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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186987
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20221208BHJP
   A01B 63/10 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
A01B69/00 303M
A01B63/10 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172349
(22)【出願日】2022-10-27
(62)【分割の表示】P 2019158816の分割
【原出願日】2019-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】加茂田 浩史
(57)【要約】
【課題】走行車体に反射材を備えた作業車両において、作業機が上昇した状態の時でも、安全性が確保され、路上走行にも適した作業車両が、知られている。しかしながら、上述された従来の作業車両は、必要とされる車速規制制御を適切に行うことができない。
【解決手段】車体10の位置を測定するGNSS機構70と、車体10への作業機200の装着を検出するISOBUS80と、GNSS機構70による測定結果に基づいて車体10が圃場の外に位置していると判断するとともに、ISOBUS80による検出結果に基づいて作業機200が車体10へ装着されていると判断するとき、車速規制制御を行う制御部100と、を備えた農業用トラクタである。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の位置を測定する車体位置測定機構と、
前記車体への作業機の装着を検出する作業機装着検出機構と、
前記車体位置測定機構による測定結果に基づいて前記車体が圃場の外に位置していると判断するとともに、前記作業機装着検出機構による検出結果に基づいて前記作業機が前記車体へ装着されていると判断するとき、車速規制制御を行うコントローラと、
を備えたことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記車速規制制御は、副変速設定値に応じて定められた主変速設定上限値を超える主変速設定値の設定を禁止する制御であることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
作業者が前記主変速設定上限値を超える前記主変速設定値の設定操作を行った場合には、前記車速規制制御に関する情報が前記作業者に対して出力されることを特徴とする請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記車体へ装着されていると前記判断される作業機は、前記車速規制制御を必要とする作業機のリストに基づいて決定されることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項5】
前記車体へ前記装着された作業機の昇降状態を検出する作業機昇降状態検出機構を備え、
前記車体へ装着されていると前記判断される作業機は、前記作業機昇降状態検出機構による検出結果に基づいて決定されることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業用トラクタなどのような作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
走行車体に反射材を備えた作業車両において、作業機が上昇した状態の時でも、安全性が確保され、路上走行にも適した作業車両が、知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-108687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述された従来の作業車両は、必要とされる車速規制制御を適切に行うことができない。
【0005】
本発明は、上述された従来の課題を考慮し、必要とされる車速規制制御を適切に行うことができる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明は、車体の位置を測定する車体位置測定機構と、
前記車体への作業機の装着を検出する作業機装着検出機構と、
前記車体位置測定機構による測定結果に基づいて前記車体が圃場の外に位置していると判断するとともに、前記作業機装着検出機構による検出結果に基づいて前記作業機が前記車体へ装着されていると判断するとき、車速規制制御を行うコントローラと、
を備えたことを特徴とする作業車両である。
【0007】
これにより、車体位置測定機構による測定結果に基づいて車体が圃場の外に位置していると判断するとともに、作業機装着検出機構による検出結果に基づいて作業機が車体へ装着されていると判断するとき、車速規制制御を行うので、車体が圃場の外に位置しており、作業機が車体へ装着されているとき、必要とされる車速規制制御を適切に行うことができる。
【0008】
第2の本発明は、前記車速規制制御は、副変速設定値に応じて定められた主変速設定上限値を超える主変速設定値の設定を禁止する制御であることを特徴とする第1の本発明の作業車両である。
【0009】
これにより、副変速設定値に応じて定められた主変速設定上限値を超える主変速設定値の設定を禁止するので、不必要な車速規制制御を抑制することができる。
【0010】
第3の本発明は、作業者が前記主変速設定上限値を超える前記主変速設定値の設定操作を行った場合には、前記車速規制制御に関する情報が前記作業者に対して出力されることを特徴とする第2の本発明の作業車両である。
【0011】
これにより、車速規制制御に関する情報が作業者に対して出力されるので、利便性を向上することができる。
【0012】
第4の本発明は、前記車体へ装着されていると前記判断される作業機は、前記車速規制制御を必要とする作業機のリストに基づいて決定されることを特徴とする第1の本発明の作業車両である。
【0013】
これにより、作業機は、車速規制制御を必要とする作業機のリストに基づいて決定されるので、不必要な車速規制制御を抑制することができる。
【0014】
第5の本発明は、前記車体へ前記装着された作業機の昇降状態を検出する作業機昇降状態検出機構を備え、
前記車体へ装着されていると前記判断される作業機は、前記作業機昇降状態検出機構による検出結果に基づいて決定されることを特徴とする第1の本発明の作業車両である。
【0015】
これにより、作業機は、作業機昇降状態検出機構による検出結果に基づいて決定されるので、不必要な車速規制制御を抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、必要とされる車速規制制御を適切に行うことが可能な作業車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明における実施の形態の農業用トラクタの左側面図
図2】本発明における実施の形態の農業用トラクタの制御系のブロック図
図3】本発明における実施の形態の農業用トラクタのメータパネル近傍の部分斜視図
図4】本発明における実施の形態の農業用トラクタの規制作業機リストの説明図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
本実施の形態の農業用トラクタは、本発明における作業車両の例である。
【0020】
GNSS(Global Navigation Satellite System)機構70は本発明における車体位置測定機構の例であり、ISO(International Organization for Standardization)BUS80は本発明における作業機装着検出機構の例であり、昇降センサ92は本発明における作業機昇降状態検出機構の例である。
【0021】
制御部100は本発明におけるコントローラの例であり、規制作業機リスト101は本発明におけるリストの例である。
【0022】
はじめに、図1および2を参照しながら、本実施の形態の農業用トラクタの構成および動作について具体的に説明する。
【0023】
ここに、図1は本発明における実施の形態の農業用トラクタの左側面図であり、図2は本発明における実施の形態の農業用トラクタの制御系のブロック図である。
【0024】
本実施の形態の農業用トラクタの動作について説明しながら、本発明に関連した発明の車速規制制御方法についても説明する。
【0025】
まず説明されるのは、本実施の形態の農業用トラクタの基本的な構成および動作である。したがって、制御部100に関連する構成および動作などについては、後に詳細に説明する。
【0026】
車体10の前部のボンネットの内部には、エンジン30が設けられている。
【0027】
エンジン30の回転動力は、運転ユニット20のフロア21の下方に設けられているトランスミッションケースの内部のさまざまなクラッチを介して伝達される。より具体的には、主変速装置および副変速装置などのような変速装置31で変速された回転動力は、左右一対の前輪40および左右一対の後輪50へ伝達される。
【0028】
エンジン30の後方には、ダッシュボードカバーおよびメータパネル27、ならびに前後進レバー26とともに、ステアリングホイール23が設けられている。
【0029】
ステアリングホイール23の後方には、運転席22が設けられている。
【0030】
左側のフロア21には、ブレーキペダル連結解除ペダルおよびクラッチペダル25が配置されている。右側のフロア21には、左右一対のブレーキペダルおよびアクセルペダル24が配置されている。
【0031】
車体10の後部には、作業機200が、たとえば、3点リンク機構を利用して装着される。
【0032】
作業機昇降機構60は、メインシリンダ、リフトアーム63、トップリンク61および左右一対のロワーリンク62、ならびに回動カバーおよびサイドカバーを有する。
【0033】
トップリンク61およびロワーリンク62の前端部は車体10の側と接続されており、トップリンク61およびロワーリンク62の後端部は作業機200の側と接続されている。そして、メインシリンダにより回動されるリフトアーム63の後端部は、ロワーリンク62と接続されている。
【0034】
回動カバーの回動角度は耕耘深さセンサにより検出され、リフトアーム63の回動角度は昇降センサ92により検出される。
【0035】
作業機200の情報は、作業機200と接続されたISOBUS80、または運転ユニット20に搭載された情報端末などを利用して取得され、制御部100へ通知される。
【0036】
つぎに、図2を主として参照しながら、本実施の形態の農業用トラクタの構成および動作についてより具体的に説明する。
【0037】
車体10の側の制御部100は、作業機200の側の作業機制御部210とISOBUS80により接続されている。制御部100は規制作業機リスト101を格納しており、作業機制御部210は作業機情報211を格納している。
【0038】
車速センサ91は車速に関する検出を行うセンサであり、変速センサ93は変速に関する検出を行うセンサである。
【0039】
制御部100は、車体10の位置を測定するGNSS機構70による測定結果に基づいて車体10が圃場の外に位置していると判断するとともに、車体10への作業機200の装着を検出するISOBUS80による検出結果に基づいて作業機200が車体10へ装着されていると判断するとき、車速規制制御を行う。
【0040】
車体10の位置を測定するGNSS機構70はトラクタ自己位置推定機構として機能し、圃場位置などに関する圃場区画情報は、たとえば、作業者により任意に設定され記録される。ISOBUS80は、作業機200と接続される、作業機200の装着を認識するための機構である。
【0041】
GNSS機構70による測定結果に基づいて車体10が圃場の外に位置していると判断されたとき、車速規制制御が行われるので、路上走行における安全性が向上される。
【0042】
車速規制制御は、副変速設定値に応じて定められた主変速設定上限値を超える主変速設定値の設定を禁止する制御である。
【0043】
たとえば、低主変速設定上限値が高副変速設定値に応じて定められ、中主変速設定上限値が中副変速設定値に応じて定められ、高主変速設定上限値が低副変速設定値に応じて定められる。したがって、低主変速設定上限値が中副変速設定値または低副変速設定値に応じて定められないので、一律な主変速設定値の設定禁止に起因する不必要な車速規制制御は発生しにくい。
【0044】
変速センサ93はいわゆる副変速スイッチを有するので、制御部100は副変速レバーのレバー位置を把握することができる。主変速レバーは油圧クラッチを調節するためのレバーであるが、変速センサ93は主変速レバーのレバー位置またはレバー角度を電気的に把握することができ、電気的に制御可能な主変速構造が実現される。したがって、レバー位置そのものが変化しなくても、変速センサ93の電気的な制御により、副変速設定値に応じて定められた主変速設定上限値を超える主変速設定値の設定を禁止する制御を行うことができる。
【0045】
たとえば、車体10への作業機200の装着が検出され、走行が作業者の操作を利用して行なわれており、車体10が設定された圃場区画の外に位置していれば、主変速レバーの最高設定位置はレバー位置の機械的な制限または変速センサ93の電気的な制御により規制される。
【0046】
自動走行機能を有するロボット農業用トラクタが圃場の外において走行するとき、作業機200が車体10へ装着されている場合には、主変速規制が自動的に行なわれるので、車速は、たとえば、15キロメートル/時を超えないように規制される。したがって、作業者の認識不足に起因する大きすぎる車速は、発生しにくい。
【0047】
15キロメートル/時のような車速設定値は、あらかじめ設定された前輪40または後輪50のタイヤ径を考慮し、理論最高車速に基づいて決定されてもよい。
【0048】
主変速設定上限値は副変速設定値に応じて定められ、主変速設定値は過度に小さくならないので、車速は小さくなりすぎない。そして、車速規制制御のためのエンジン30の回転数規制制御は不要であるので、上り坂における馬力不足は発生しにくい。
【0049】
作業者が主変速設定上限値を超える主変速設定値の設定操作を行った場合には、車速規制制御に関する情報が作業者に対して出力される。
【0050】
本発明における実施の形態の農業用トラクタのメータパネル27近傍の部分斜視図である図3に示されているように、「路上走行車速規制」による車速設定値は「15km/h」であること、および主変速設定上限値としての「最大主変速」は「5速」であることを警告する、注意喚起のためのウォーニングメッセージ28がメータパネル27に表示される。したがって、作業者は車速が大きくならないように規制されていることを認識することができるので、事故などは発生しにくい。
【0051】
たとえば、「路上走行車速規制」による車速設定値は「15km/h」であることを警告する注意喚起のためのウォーニングメッセージが表示された後に、「最大主変速」は「5速」であることを警告するウォーニングメッセージが表示されてもよい。作業者は、主変速レバーのレバー位置が「7速」のレバー位置であっても、「最大主変速」は車速設定値「15km/h」に対応する「5速」であることを容易に認識することができる。
【0052】
このように、作業者が主変速設定上限値を超える主変速設定値の設定操作を行った場合には、主変速設定値は主変速設定上限値へ強制的に設定される。たとえば、「最大主変速」が「5速」であるとき、主変速レバーのレバー位置が「7速」のレバー位置へ作業者により変化せられても、実際の主変速設定値は上述された変速センサ93の電気的な制御などにより「5速」のレバー位置に対応する値へ強制的に設定される。このとき、主変速レバーのレバー位置は、「5速」のレバー位置へ対応して変化せられてもよいし、「5速」のレバー位置へ変化せられなくてもよい。
【0053】
もちろん、作業者が主変速設定上限値を超えない主変速設定値の設定操作を行った場合には、主変速設定値はそのまま設定される。たとえば、「最大主変速」が「8速」であるとき、主変速レバーのレバー位置が「7速」のレバー位置へ作業者により変化せられれば、主変速設定値は「7速」のレバー位置に対応する値へそのまま設定される。
【0054】
上述されたように、主変速設定上限値は副変速設定値に応じて定められている。したがって、たとえば、高副変速設定値に応じた「最大主変速」が「5速」であり、低副変速設定値に応じた「最大主変速」が「8速」であるとき、副変速レバーのレバー位置が低副変速設定値のレバー位置から高副変速設定値のレバー位置へ作業者により変化せられた後に、主変速レバーのレバー位置が「7速」のレバー位置へ作業者により変化せられても、実際の主変速設定値は上述された変速センサ93の電気的な制御などにより「5速」のレバー位置に対応する値へ強制的に設定される。もちろん、副変速レバーのレバー位置が高副変速設定値のレバー位置から低副変速設定値のレバー位置へ作業者により回帰的に変化せられれば、主変速設定値は「7速」のレバー位置に対応する値へそのまま設定される。
【0055】
制御部100は、車体10の位置を測定するGNSS機構70による測定結果に基づいて車体10が圃場の内に位置していると判断しても、上述された圃場区画情報が作業者により設定され記録されるまで車速規制制御を継続的に行う。圃場区画情報の設定および記録の開始にともなって、車体10が圃場の内に位置していると実質的に判断されるので、路上走行から圃場作業へのスムーズな移行が実用的な車速規制解除タイミングで実現される。
【0056】
対照的に、圃場作業から路上走行へのスムーズな移行を実現するために、走行が作業者の操作を利用して行なわれており、車体10と圃場区画外周との間の距離が所定値以下であるとき、主変速設定上限値を超える主変速設定値の設定操作が行われていれば、上述されたようなウォーニングメッセージがメータパネル27に表示される。したがって、車体10が圃場の内に位置している間に、主変速設定値の設定操作などが作業者に促されるので、車速規制制御の開始にともなう車体10の急激な車体減速に起因する事故などは発生しにくい。
【0057】
さらに、走行が作業者の操作を利用して行なわれており、車体10と圃場区画外周との間の距離が所定値以下であるとき、主変速設定上限値を超える主変速設定値の設定操作が行われていれば、このようなウォーニングメッセージがメータパネル27に表示されるのみならず、安全性を考慮し、警報音が外部に発報されて車体停止または車体減速が強制的に行われてもよい。
【0058】
たとえば、主クラッチまたは前後進クラッチをオフすることにより、このような車体停止は副変速設定値に応じて定められた主変速設定上限値を超える主変速設定値の設定が解消されるまで継続的に行われることが望ましい。たとえば、「最大主変速」が「5速」であるとき、主変速レバーのレバー位置が「7速」のレバー位置から「3速」のレバー位置へ作業者により変化せられなければ、車体発進は許可されない。したがって、車体10が圃場の外に出ても車速規制制御は開始されないので、安全性が向上される。もちろん、圃場作業モードにおいては、路上走行モードにおける高速走行のような走行は作業負荷などのために行われないので、高速走行にともなう危険などはない。
【0059】
主変速設定上限値を超える主変速設定値の設定操作は無効化されるので、路上走行における安全性が向上される。そして、車速規制制御に関する情報が出力されるので、車速が大きくならないように規制されていることを認識することができる作業者は違和感を覚えない。
【0060】
車体10へ装着されていると判断される作業機200は、車速規制制御を必要とする作業機200の規制作業機リスト101に基づいて決定される。
【0061】
車体10へ装着されていると判断される作業機200は、車体10へ装着された作業機200の昇降状態を検出する昇降センサ92による検出結果に基づいて決定される。
【0062】
本発明における実施の形態の農業用トラクタの規制作業機リスト101の説明図である図4に示されているように、「作業機A」は「速度規制対象」であって「規制昇降センサ値」は「0」であり、「作業機B」は「速度規制対象」でなくて「規制昇降センサ値」は該当なしであり、「作業機C」は「速度規制対象」であって「規制昇降センサ値」は「40」である。
【0063】
制御部100には、規制作業機リスト101が速度規制対象作業機データベースとしてあらかじめ格納されている。したがって、車体10へ装着される作業機200が変更されても、作業機200の作業機情報211がISOBUS80による通信を利用して取得され、車速規制制御が必要とされるか否かを規制作業機リスト101と取得された作業機情報211との比較で決定することができる。
【0064】
車速規制制御を必要とする作業機200の路上走行モードにおける車速を規制するために、安全性を考慮し、昇降センサ92による検出結果の比較基準である規制対象高さとしての「規制昇降センサ値」が規制作業機リスト101に記述されている。
【0065】
回動線λL、λMおよびλHなどに応じて回動されるリフトアーム63の回動角度は昇降センサ92により検出され、作業機200の高さが監視される。したがって、作業機200が転倒する閾値である転倒角度を考慮し、高さが大きすぎる作業機200の車速規制制御を行うことができる。
【0066】
上述されたように、車速規制はいわゆる電子制御による主変速規制として行われ、たとえば、「最大主変速」が「4速」であるとき、主変速レバーのレバー位置が「5速」以上のレバー位置へ作業者により変化せられても、実際の主変速設定値は「4速」のレバー位置に対応する値へ強制的に設定され、車速規制のウォーニングメッセージなどがメータパネル27に表示される。
【0067】
作業機200が、たとえば、30度未満の小さい転倒角度を有する高い重心の薬剤散布機であって、車速規制制御を必要とする場合にのみ、車速規制制御が行われるので、不必要な車速規制制御を抑制することができる。そして、作業機200が、たとえば、転倒が発生しやすい位置へ上昇されており、車速規制制御を実際に必要とする場合にのみ、車速規制制御が行われるので、不必要な車速規制制御をさらに抑制することができる。したがって、不必要な車速規制制御が行われにくいので、安全性が向上されるのみならず、利便性も向上される。
【0068】
なお、本発明に関連した発明のプログラムは、上述された本発明に関連した発明の車速規制制御方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムである。
【0069】
また、本発明に関連した発明の記録媒体は、上述された本発明に関連した発明の車速規制制御方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の全部または一部の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した記録媒体であり、読取られたプログラムがコンピュータと協働して利用されるコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【0070】
なお、上述された「一部のステップ(または工程、動作および作用など)」は、それらの複数のステップの内の一つまたはいくつかのステップを意味する。
【0071】
また、上述された「ステップ(または工程、動作および作用など)の動作」は、上述されたステップの全部または一部の動作を意味する。
【0072】
また、本発明に関連した発明のプログラムの一利用形態は、インターネット、光、電波または音波などのような伝送媒体の中を伝送され、コンピュータにより読取られ、コンピュータと協働して動作するという形態であってもよい。
【0073】
また、記録媒体としては、ROM(Read Only Memory)などが含まれる。
【0074】
また、コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)などのような純然たるハードウェアに限らず、ファームウェア、OS(Operating System)、そしてさらに周辺機器を含んでもよい。
【0075】
なお、上述されたように、本発明の構成は、ソフトウェア的に実現されてもよいし、ハードウェア的に実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明における作業車両は、必要とされる車速規制制御を適切に行うことができ、農業用トラクタなどのような作業車両に利用する目的に有用である。
【符号の説明】
【0077】
10 車体
20 運転ユニット
21 フロア
22 運転席
23 ステアリングホイール
24 アクセルペダル
25 クラッチペダル
26 前後進レバー
27 メータパネル
28 ウォーニングメッセージ
30 エンジン
31 変速装置
40 前輪
50 後輪
60 作業機昇降機構
61 トップリンク
62 ロワーリンク
63 リフトアーム
70 GNSS機構
80 ISOBUS
91 車速センサ
92 昇降センサ
93 変速センサ
100 制御部
101 規制作業機リスト
200 作業機
210 作業機制御部
211 作業機情報
図1
図2
図3
図4