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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186994
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
G01S7/481 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172546
(22)【出願日】2022-10-27
(62)【分割の表示】P 2020500440の分割
【原出願日】2019-02-07
(31)【優先権主張番号】P 2018022812
(32)【優先日】2018-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】花田 健一
(72)【発明者】
【氏名】宮鍋 庄悟
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 吉親
(72)【発明者】
【氏名】中村 幸平
(57)【要約】
【課題】複数のセンサを用いて検出範囲を広げる場合において、電磁波の強度が強くなりすぎたり誤った信号を検出する可能性のある領域が生じないようにする。
【解決手段】照射システム(100)は、複数の照射装置(1)及び制御装置(2)を備えている。複数の照射装置(1)は、第1方向に隣り合って配置されている。複数の照射装置(1)のそれぞれは、電磁波を、第1方向に移動させつつ、第1方向とは異なる第2方向にも移動可能である。制御装置(2)は、複数の照射装置を制御する。詳細には、制御装置(2)は、制御装置と、所定のタイミングにおける、複数の照射装置(1)のそれぞれによる電磁波の照射位置を、少なくとも第2の方向に所定距離以上離れさせる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に隣り合って配置されている複数の照射装置を制御する制御装置であって、
前記複数の照射装置のそれぞれは、電磁波の照射位置を、前記第1方向に移動させつつ、前記第1方向とは異なる第2方向にも移動可能であり、
所定のタイミングにおける、前記複数の照射装置のそれぞれによる前記電磁波の照射位置が、少なくとも前記第2方向に所定距離以上離れるように制御する、制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、車両などの移動体に、光などの電磁波を照射してその反射波を検出するセンサを設け、このセンサの検出結果を用いて移動体の制御を行うことがある。このような用途のセンサでは、出射する電磁波は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)などのデバイスを用いて移動されている。
【0003】
電磁波を移動させるためのデバイスの一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載のデバイスは可動式の反射ミラーを有している。この反射ミラーは、電極に生じる静電気力によって振動する。この静電気力は、電極に印加される電圧によって制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-167254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
可動式の反射ミラーを用いて電磁波の移動させる場合、反射ミラーは、電磁波の照射位置を、第1方向に移動させつつ、第1方向とは異なる第2方向にも移動させる。一方、検出範囲を広げるために、複数のセンサを並列して用いることがある。この場合、複数のセンサの検出範囲は並んでいるが、隣り合う検出範囲の間に隙間が生じないようにするために、隣り合う検出範囲の端が互いに重ねる必要がある。このようにすると、その重なった部分において電磁波の強度が強くなりすぎる可能性が出てくる。また、その重なった部分において、対象物からの反射波に伴う受信信号が、自身が照射した電磁波による受信信号か隣接したセンサが照射した電磁波による受信信号かの区別ができないため、誤った信号を検出してしまう可能性が出てくる。
【0006】
本発明が解決しようとする課題としては、複数のセンサを用いて検出範囲を広げる場合において、電磁波の強度が強くなりすぎたり誤った信号を検出する可能性がある領域が生じないようにすることが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、第1方向に隣り合って配置されている複数の照射装置を制御する制御装置であって、
前記複数の照射装置のそれぞれは、電磁波の照射位置を、前記第1方向に移動させつつ、前記第1方向とは異なる第2方向にも移動可能であり、
所定のタイミングにおける、前記複数の照射装置のそれぞれによる前記電磁波の照射位置が、少なくとも前記第2の方向に所定距離以上離れるように制御する、制御装置である。
【0008】
本発明の一例は、複数の照射装置と、
前記複数の照射装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記複数の照射装置のそれぞれは、電磁波の照射位置を、前記第1方向に移動させつつ、前記第1方向とは異なる第2方向にも移動可能であり、
前記制御装置は、所定のタイミングにおける、前記複数の照射装置のそれぞれによる前記電磁波の照射位置を、少なくとも第2の方向に所定距離以上離れるように制御する、照射システムである。
【0009】
本発明の一例は、第1方向に隣り合って配置されている複数の照射装置を制御する制御装置に利用される制御方法であって、
前記複数の照射装置のそれぞれは、電磁波の照射位置を、前記第1方向に移動させつつ、前記第1方向とは異なる第2方向にも移動可能であり、
所定のタイミングにおける、前記複数の照射装置のそれぞれによる前記電磁波の照射位置が、少なくとも前記第2の方向に所定距離以上離れるように制御する工程を含む、制御方法である。
【0010】
本発明の一例は、コンピュータを、照射装置を制御する制御装置として機能させるためのプログラムであって、
前記照射装置は、電磁波の照射位置を、前記第1方向に移動させつつ、前記第1方向とは異なる第2方向にも移動可能であり、
前記コンピュータに、
前記第2方向において、前記電磁波の照射位置を基準からどれだけずらすかを示す情報を記憶する機能と、
前記第2方向における前記基準を受信し、受信した前記基準と前記記憶している情報とを用いて、前記電磁波の照射方向を制御する機能と、
を持たせるプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0012】
図1】実施形態に係る照射システムの構成を示す図である。
図2】照射システムによる光の照射範囲を説明するための図である。
図3】制御装置による制御の一例を説明するための図である。
図4】(A)及び(B)は制御装置による制御の一例を説明するための図である。
図5】複数の制御部を連動させるための第1の方法を説明するための図である。
図6】複数の制御部を連動させるための第2の方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0014】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る照射システム100の構成を示す図である。本実施形態に係る照射システム100は、複数の照射装置1及び制御装置2を備えている。複数の照射装置1は、第1方向に隣り合って配置されている。複数の照射装置1のそれぞれは、電磁波の照射位置を、第1方向に移動させつつ、第1方向とは異なる第2方向にも移動可能である。制御装置2は、複数の照射装置を制御する。詳細には、制御装置2は、制御装置と、所定のタイミングにおける、複数の照射装置1のそれぞれによる電磁波の照射位置が、少なくとも第2の方向に所定距離以上離れるように制御する。なお、本実施形態において、照射装置1の一部である制御部30は、制御装置2の一部にもなっている。以下、照射システム100について詳細に説明する。
【0015】
照射システム100は、例えば車両などの移動体に搭載されている。上記したように、照射システム100は、複数の照射装置1を備えている。照射装置1は、照射器10、可動反射部20、及び制御部30を備えている。そして、上記したように、制御装置2は、複数の照射装置1が有している可動反射部20及び制御部30を含むことになる。照射装置1は、例えばLIDAR(LIght Detection And Ranging)やミリ波レーダであり、移動体を基準としたときの、移動体の周囲に位置する物体の相対位置を検出する。この場合、照射装置1は、受光器も備えている。
【0016】
照射器10は、光などの電磁波を照射する。照射器10が光を照射する場合、照射器10は、例えばレーザダイオードなどの半導体レーザであり、電気エネルギーが入力されることによりレーザを発光する。制御部30は、照射器10に入力する電力を制御することにより、照射器10の発光タイミング及び発光強度を制御している。以下、照射器10が照射する電磁波が光であるとして、説明を行う。
【0017】
可動反射部20は、少なくとも一つの可動ミラーを備えており、照射器10が発光した光の照射方向を2次元的に変更することができる。可動反射部20が一つの可動ミラーを有している場合、この可動ミラーの傾きは、互いに直交する2軸のそれぞれを中心に変更できる。可動反射部20が2つの可動ミラーを有している場合、2つの可動ミラーの軸は互いに直交している。
【0018】
可動反射部20が有する可動ミラーの傾きは、例えば、可動反射部20に入力する電圧によって制御できる。この電圧は、制御部30によって制御されている。具体的には、可動反射部20に入力される電圧は、周期的に変化する。この電圧は、例えば正弦波である。この場合、可動反射部20による光の反射方向は、周期的、例えば正弦波的に変化する。
【0019】
制御部30は、例えば集積回路を用いて実現される。この集積回路は、例えば、バス、プロセッサ、メモリ、ストレージデバイス、及び入出力インタフェース、及びネットワークインタフェースを有する。バスは、プロセッサ、メモリ、ストレージデバイス、入出力インタフェース、及びネットワークインタフェースが、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサなどを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。プロセッサは、マイクロプロセッサなどを用いて実現される演算処理装置である。メモリは、RAM(Random Access Memory)などを用いて実現されるメモリである。ストレージデバイスは、ROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリなどを用いて実現されるストレージデバイスである。
【0020】
入出力インタフェースは、集積回路を周辺デバイスと接続するためのインタフェースである。周辺デバイスは、例えば、照射器10及び可動反射部20である。
【0021】
ネットワークインタフェースは、集積回路を通信網に接続するためのインタフェースである。この通信網は、例えばCAN(Controller Area Network)通信網である。なお、ネットワークインタフェースが通信網に接続する方法は、無線接続であってもよいし、有線接続であってもよい。
【0022】
ストレージデバイスは、制御部30の機能を実現するためのプログラムモジュールを記憶している。プロセッサは、このプログラムモジュールをメモリに読み出して実行することで、制御部30の機能を実現する。なお、プログラムモジュールはメモリに格納されてもよい。この場合、集積回路は、ストレージデバイスを備えていなくてもよい。
【0023】
図2は、照射システム100による光の照射範囲を説明するための図である。可動反射部20を制御することにより、照射器10からの光を移動させる。具体的には、制御部30は、図2に示すように、光を、第1方向(H方向)に周期的に移動させると同時に、第1方向に直交する第2方向(V方向)にも周期的に移動させている。第1方向は、可動反射部20の第1の回転軸に対応しており、第2方向は、可動反射部20の第2の回転軸に対応している。そして、第1方向の移動周期は、第2方向の移動周期よりも短い。例えば、制御部30は、可動反射部20に入力する信号のうち、第1方向(H方向)の移動を制御するための制御信号には正弦波を使用し、第2方向(V方向)の移動を制御するための制御信号には、前記した正弦波よりも長周期の信号(例えばのこぎり波)を使用する。このため、図2に示すように、光は、図2におけるH方向(横方向)に周期的に移動しつつ、徐々にV方向(横方向)に移動する。その結果、制御部30は、略矩形の範囲に光を照射する。
【0024】
図1に示したように、照射システム100は複数の照射装置1を備えている。そして、光を照射する範囲αは、複数の照射装置1別に定まっている。これら複数の範囲αは、少なくとも第1方向(H方向)に互いに並んでいる。本図に示す例において、第1の照射装置1による光の照射範囲を第1の範囲α1として、第2の照射装置1による光の照射範囲を第2の範囲α2とした場合、第1の範囲α1と第2の範囲α2は第1の方向(H方向)に並んでいる。そして、照射システム100を一つの装置としてみた場合に光を照射する範囲に隙間を生じさせないためには、隣り合う範囲αの一部を重ねる必要がある。例えば図1及び図2に示すように、第1の範囲α1の一部は第2の範囲α2の一部と重なっている。この重なっている範囲(以下、重複範囲α3と記載)において、第1の照射装置1による光の照射タイミングと第2の照射装置1による光の照射タイミングが重なってしまうと、重複範囲α3への光の照射強度が想定よりも高くなってしまう恐れが出てくる。
【0025】
これに対して本実施形態では、制御装置2は、重複範囲α3への光の照射タイミングが、第1の照射装置1と第2の照射装置1とで異なるようにしている。例えば、制御装置2は、所定のタイミングにおける、前記複数の照射装置のそれぞれによる電磁波の照射位置を、少なくとも第2の方向に所定距離以上離れさせる。本実施形態において、制御装置2は、任意のタイミングにおいて(すなわち常に)このようにしている。具体的には、図3に示すように、2つの制御部30は、第1の照射装置1の可動反射部20(第1の範囲α1に対応)のV方向(第2方向)の位相と、第2の照射装置1(第2の範囲α2に対応)の可動反射部20のV方向(第2方向)の位相とを互いに異ならせている。
【0026】
上記した所定距離は、所定角度と置き換えることもできる。この所定角度の最小値は、例えば、照射された任意の電磁波の広がり角の中に隣り合うセンサの瞬時視野が入らないように定められる。すなわち照射電磁波の広がり角が離すべき最小の所定角度となる。この最小の所定角度は、H方向、V方向のそれぞれに存在する。
【0027】
なお、図1には、2つの照射装置1が図示されている。一方、照射システム100が3つ以上の照射装置1を有しており、かつ、これらの照射装置1による範囲αが第1の方向(H方向)に並んでいる場合、可動反射部20のV方向(第2方向)の位相は、範囲αが第1の方向(H方向)に行くにつれて、図4(A)に示すように、同一方向(例えば位相が進む方向)に徐々にずれていってもよいし、図4(B)に示すように、位相の進み方がジグザグになるようにずれていてもよい。図4(B)の場合、例えば2種類の位相が交互に現れるようにしてもよい。
【0028】
なお、第1の照射装置1と第2の照射装置1と重複範囲α3への光の照射タイミングを異ならせるためには、複数の制御部30を連動させる必要がある。以下、この連動の方法の例について説明する。
【0029】
図5は、複数の制御部30を連動させるための第1の方法を説明するための図である。本図に示す例では、複数の制御部30は信号線または無線で互いに繋がっている。そして、いずれか一つの制御部30がマスター(以下、マスター制御部30aと記載)になっており、残りの制御部30がスレーブ(以下、スレーブ制御部30bと記載)になっている。複数のスレーブ制御部30bは、いずれも、マスター制御部30aが制御している可動反射部20に対して、どの程度、そのスレーブ制御部30bが制御している可動反射部20のV方向の位相を遅延(又は先行)すべきかを特定するための情報(すなわち基準からどれだけずらすかを示す情報)を、予め記憶している。そして、マスター制御部30aは、マスター制御部30aが制御している可動反射部20の位相を特定する情報(すなわち基準)を複数のスレーブ制御部30bに出力する。スレーブ制御部30bは、マスター制御部30aから受信した情報と、予め記憶している情報とを用いて、可動反射部20のV方向の位相を特定する。
【0030】
なお、スレーブ制御部30bが予め記憶している遅延量(又は先行量)は、H方向の周期の整数倍であるのが好ましい。
【0031】
図6は、複数の制御部30を連動させるための第1の方法を説明するための図である。本図に示す例では、照射システム100は、制御装置2の一部として、制御装置3を備えている。制御装置3はいずれの照射装置1とも異なる装置である。制御装置3及び複数の制御部30は、信号線または無線で互いに繋がっている。制御装置3はマスターであり、基準タイミングを複数の制御部30に対して出力する。複数の制御部30はいずれもスレーブになっており、基準タイミングに対して、どの程度その制御部30が制御している可動反射部20のV方向の位相を遅延(又は先行)すべきかを特定するための情報を、予め記憶している。複数の制御部30は、制御装置3から受信した基準タイミングと、予め記憶している情報とを用いて、可動反射部20のV方向の位相を特定する。
【0032】
以上、本実施形態によれば、制御装置2は、複数の照射装置1のそれぞれによる電磁波の照射位置を、少なくとも第2の方向に所定距離以上離れさせる。このため、図1に示す重複範囲α3が生じても、重複範囲α3に対して同時に複数の照射装置1から電磁波が照射される可能性は低くなる。従って、電磁波の強度が強くなりすぎたり誤った信号を検出する可能性のある領域は生じにくい。
【0033】
以上、図面を参照して実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0034】
この出願は、2018年2月13日に出願された日本出願特願2018-022812号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0035】
1 照射装置
2 制御装置
3 制御装置
10 照射器
20 可動反射部
30 制御部
100 照射システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6