(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187039
(43)【公開日】2022-12-16
(54)【発明の名称】太陽光発電システム
(51)【国際特許分類】
G05F 1/67 20060101AFI20221209BHJP
【FI】
G05F1/67 A
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094833
(22)【出願日】2021-06-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】714003922
【氏名又は名称】嶋田 隆一
(71)【出願人】
【識別番号】520032099
【氏名又は名称】株式会社シグマエナジー
(74)【代理人】
【識別番号】100114269
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貞喜
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 隆一
【テーマコード(参考)】
5H420
【Fターム(参考)】
5H420BB14
5H420CC03
5H420DD04
5H420EA14
5H420EB09
5H420FF03
5H420FF22
(57)【要約】 (修正有)
【課題】モジュール毎にMPPT制御を可能とする接続装置、PVモジュール及び太陽光発電システムを提供する。
【解決手段】第1の半導体スイッチ6と第2の半導体スイッチ7を同時にオンして一旦コンデンサ4の電圧をゼロにした直後、第1の半導体スイッチ6と第2の半導体スイッチ7を同時にオフしてコンデンサ4を再充電しつつ、電圧センサ5にて計測した電圧に基づいて所定の計算式によりPVモジュール1の発電電力を算出し、算出した発電電力が最大となる点の電圧をスキャンして新たな最大電力点電圧)として記憶し、PVモジュール1に降圧型DC/DC変換する接続装置10によって、各PVモジュールが最大電力点の電圧になるように制御して、多数直列接続してストリングとなし、その電流を昇圧型DC/DC変換した後に電圧型DC/AC逆変換若しくは直接に電流型逆変換により系統に連系する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電モジュール(以下「PVモジュール」という。)と接続され、該PVモジュール(1)から出力される直流電力を降圧型DC/DC変換で所望の電圧・電流値に電力変換して出力する電力変換接続装置(以下「接続装置」という。)であって、該接続装置(10)は、
前記PVモジュール(1)と接続される入力端子(2)(正極及び負極)と、前記電力変換された直流電力を負荷又は電力系統に供給するための出力端子(3)(正極及び負極)と、前記入力端子(2)の正極と負極との間に接続されたコンデンサ(4)と、前記コンデンサの両端の電圧(Vc)を計測する電圧センサ(5)と、直列に接続された2個の半導体スイッチ(6,7)と、通信によりオン/オフ制御可能な金属接点(8)と、制御装置(9)とを備えるとともに、
前記2個の半導体スイッチの接続点が前記出力端子の正極に接続され、前記入力端子の負極が前記出力端子の負極に接続され、
前記金属接点(8)は、前記入力端子の正極と前記出力端子の正極との間に接続され、
前記2個の半導体スイッチのうち、前記接続点とは反対側の端子が前記入力端子の正極に接続されるものを第1の半導体スイッチ(6)とし、前記半導体スイッチのうち、前記接続点とは反対側の端子が前記出力端子の負極に接続されるものを第2の半導体スイッチ(7)とし、
さらに、前記制御装置(9)は、
前記電圧センサ(5)からの電圧(Vc)を受信し、それに基づいて前記第1の半導体スイッチ(6)、第2の半導体スイッチ(7)及び前記金属接点(8)のオン/オフを制御することにより、前記PVモジュール(1)から出力される直流電力を降圧型DC/DC変換で所望の電力値に電力変換して出力又はその出力を停止することを特徴とする接続装置。
【請求項2】
前記制御装置(9)が、
前記金属接点(8)がオフの状態において、前記電圧センサからの電圧(Vc)と前記PVモジュールの最大電力点電圧(Vmp)との差が所定の範囲内に入っているときは、前記2個の半導体スイッチを交互にオン/オフしてPWM制御により前記電圧(Vc)を制御し、
前記電圧センサからの電圧(Vc)と前記PVモジュールの最大電力点電圧(Vmp)との差が所定の範囲を超え、かつ、前記電圧(Vc)が前記最大電力点電圧(Vmp)よりも低いときは、前記第1の半導体スイッチ(6)と前記第2の半導体スイッチ(7)を同時にオンして一旦前記電圧(Vc)をゼロにした直後、前記第1の半導体スイッチ(6)と前記第2の半導体スイッチ(7)を同時にオフして前記コンデンサ(4)を再充電しつつ、前記電圧センサ(5)にて計測した前記電圧(Vc)に基づいて所定の計算式により前記PVモジュールの発電電力を算出し、該算出した発電電力が最大となる点の前記電圧(Vc)をゼロから最大まで全電圧スキャンすることにより求めて新たな最大電力点電圧(Vmp)として記憶し、
前記電圧センサからの電圧(Vc)と前記PVモジュールの最大電力点電圧(Vmp)との差が所定の範囲を超え、かつ、前記電圧(Vc)が前記最大電力点電圧(Vmp)よりも高いときは、前記第1の半導体スイッチ(6)をオンした後に前記金属接点(8)をオンし、かつ、前記第2の半導体スイッチ(7)をオフすることにより電流を放出して電圧(Vc)を下げるように制御することを特徴とする請求項1に記載の接続装置。
【請求項3】
前記制御装置(9)が、さらに、外部装置との通信機能を備え、
前記外部装置からの出力半停止指令を受信すると、前記金属接点(8)をオフの状態にした上で前記第1の半導体スイッチ(6)をオフするとともに前記第2の半導体スイッチ(7)をオンし、あるいは、
前記外部装置からの出力全停止指令を受信すると、前記金属接点(8)をオフの状態にした上で前記第1の半導体スイッチ(6)及び前記第2の半導体スイッチ(7)をオンし、その後に前記金属接点(8)をオンにするように制御することを特徴とする請求項2に記載の接続装置。
【請求項4】
PVモジュールの出力端子に請求項2又は3に記載の接続装置(10)を接続したものを複数個直列接続して電流リンクのストリングを構成し、前記PVモジュールごとに最大電力点追従制御を行うことを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項5】
前記ストリングをダイオード(12)とインダクタ(13)の直列接続を介して複数列並列接続して、別に設置された系統連系装置(15)で昇圧型DC/DC変換を行って電圧を上げた後、DC/AC逆変換を行って交流連系することを特徴とする請求項4に記載の太陽光発電システム。
【請求項6】
前記ストリングをダイオード(12)とインダクタ(13)の直列接続により昇圧型DC/DC変換を介して高圧直流母線に接続し、集電した後にDC/AC逆変換を行って交流連系する請求項4に記載の太陽光発電システム。
【請求項7】
ダイオードを介して並列接続した複数のPVモジュールに請求項3に記載の接続装置(10)を接続したものを複数個直列接続してストリングを構成し、該ストリングを外部のダイオード(12)を介して電流リンクに接続し、それを二次電池に接続して該二次電池を充電する太陽光発電システムであって、
前記制御装置(9)が、前記外部装置からの指令により、前記二次電池の充電電流の制御を行うことを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項8】
前記ストリングを外部ダイオードを介し、さらに、外部インダクタを介して電流リンクを構成し、電流型DC/AC逆変換回路(16)で交流連系する請求項4に記載の太陽光発電システム。
【請求項9】
前記ストリングと前記電流型DC/AC逆変換回路(16)で交流連系する請求項8に記載の太陽光発電システムにおいて、
さらに、交流送電端子側にフライホイール付同期機(17)を短時間の電力貯蔵装置として設置して、電力変動を緩和することを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項10】
前記半導体スイッチがMOSFET又はIGBTなど絶縁ゲート形のスイッチング素子である請求項1乃至3のいずれかに記載の接続装置。
【請求項11】
前記半導体スイッチがN型MOSFETであって、前記第2の半導体スイッチ(7)のドレインとゲートとを抵抗器(18)を介して接続し、かつ、前記制御装置(9)と前記ゲートとをリードスイッチ(19)を介して接続し、通常動作時においては、前記リードスイッチ(19)に永久磁石を近接して設置しておいて前記リードスイッチ(19)を導通させて前記制御装置(9)からの制御信号を前記ゲートに供給し、前記出力端子(3)からの出力を強制的に停止させるときは、前記永久磁石を人力により、又は衝撃等により自然脱落させることで前記リードスイッチ(19)から隔離させて前記リードスイッチ(19)をオフしてゲートへの制御信号を遮断することにより、前記ゲートの電位を前記抵抗器(18)によって前記ドレインの電位までプルアップさせて前記第2の半導体スイッチ(7)をオンすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の接続装置。
【請求項12】
請求項1乃至3のいずれかに記載の接続装置(10)の前記入力端子(2)と前記PVモジュール(1)の出力を直結し、かつ、前記接続装置(10)を内蔵したことを特徴とするPVモジュール。
【請求項13】
前記制御装置(9)が、さらに、外部装置との通信機能を備え、
前記金属接点(8)がオフの状態において、前記外部装置からの指令により、前記第1の半導体スイッチ(6)と前記第2の半導体スイッチ(7)を同時にオンして一旦前記電圧(Vc)をゼロにした直後、前記第1の半導体スイッチ(6)と前記第2の半導体スイッチ(7)を同時にオフして前記コンデンサ(4)を再充電しつつ、前記電圧センサ(5)にて計測した前記電圧(Vc)に基づいて所定の計算式により前記PVモジュールの発電電力を算出し、該算出した発電電力が最大となる点の前記電圧(Vc)をゼロから最大まで全電圧スキャンすることにより求めて新たな最大電力点電圧(Vmp)として記憶する機能をさらに備えたことを特徴とする請求項2に記載の接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電システムに関し、特に、多数の太陽電池モジュール(以下「PVモジュール」という。)を直列にストリング接続して、さらに、そのストリングを並列に接続して構成する太陽光発電システムに関するもので、個々に光量、温度、または規格が異なるPVモジュールのそれぞれの最大電力を集めるためのPVモジュールの接続装置及びそれを接続したPVモジュールを用いた太陽光発電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電は、電力密度が昼のピークでも約200W/m2と低いので電力エネルギー源とするには広大な面積が必要なのが欠点であるが、枯渇しないエネルギー源である。近年、半導体製造技術の進歩で製造コストが下がり、耐用年数も30年近くと永く、近い将来、主要な電力エネルギー源になるものと期待されている。大規模な発電設備・メガソーラーでは、数万枚のPVモジュールが、広い平坦な土地に均一に並べられて、ストリング状に直列に、さらに並列に接続されて、合わせて数MWの直流出力をインバータで交流に変換して電力系統に連系している。
【0003】
これまでの太陽光発電システムでは、PVモジュールから最大電力を取り出せるように、系統連系装置(PCS:Power Conversion System)によって、並列に接続されたストリングに対して一括して電圧を制御して、全体として最大電力になる電圧を探して運転するMPPT(Maximum Power Point Tracking:最大電力点追従)運転を行っている。
すなわち、全てのPVモジュールの規格や光量や温度の条件が同一のPVモジュールが同一に発電している場合であれば、一括PCSによってストリング電圧を制御して、温度の変化などに対してMPPT制御を行い、電圧源型のDC/AC変換装置で逆変換して交流電力系統に送電する。
【0004】
PVモジュールの最大電力を得るには、直列ストリングの電圧をPCSによってMPPT制御をすると、各PVモジュールの条件が同じならば、同じ電圧分担で各PVモジュールの最大電力が得られる。しかしながら、そこに、電柱、建物の影や落ち葉、汚染、劣化などによってストリング内の1枚のPVモジュールの出力減によって、そのストリングの電力が大幅に下がる問題(部分影問題)がある。ストリング内のPVモジュールが影や落ち葉などの汚染により光出力電流がストリング電流以下になると、PVモジュールに並列接続されているバイパスダイオードが導通して短絡され、そのPVモジュールが出力しなくなるばかりでなく、端子電圧がゼロに下がる。その他のPVモジュールは分担電圧がその分高くなってMPPT条件の電圧から外れることで出力電力がさらに下がる。
【0005】
図2にPVモジュール1枚の電流・電圧特性を示すが、横軸に電流を、縦軸に電圧と電力を、パラメータに光量100%、75%、50%、25%として示している。一般のPVモジュール特性は、横軸に電圧を取るが、
図2は横軸を電流としている。例えば、直列PVモジュールがある光量の最大電力点で運転されており、その1つのモジュールの光量がわずか20%下がると電流は光量に比例して下がるが、電圧はそこでバイパスダイオードが導通して、端子電圧がゼロ以下、わずかマイナスになることがわかる。この場合、そのモジュールは電力を送出できないばかりか、ストリングの1モジュールが短絡して電圧ゼロ、その分、他のPVモジュールの分担電圧も上がって、最大電力点より高電圧側にずれる。それによってストリング内の他の健全なPVモジュールも発電電力が下がり、ストリングは大きな出力損失が生じるのである。
【0006】
図11に示すPSIM回路シミュレーション計算コードのモデルによって、部分影の影響を計算した。
図12にシミュレーション計算の結果を示すが、計算によれば、PVモジュール(最大定格250Wが8直列)、2,000Wのストリングで、1枚のみが光量50%になると、光のパワーは125W減であるはずが、ストリング全体電力は2,000Wが450W減の1,550Wになってしまう。
【0007】
下記特許文献1では、部分影によって生じた足りない電圧、バイパスされたPVモジュール分の電圧をストリングに直列に電圧を補充することで回復する方法や、下記特許文献2では、各PVモジュールの出力を昇降圧のDC/DCコンバータで変換して直並列のストリングにして、その最大電力を出力する方法を開示している。
また太陽光発電システムの安全対策では、下記特許文献3の電気による人的障害を回避する電気安全のためPVモジュール単体・複数の出力端子間を半導体スイッチで短絡することによって発電出力を停止する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許6032651号
【特許文献2】特開2010-177554
【特許文献3】特許5864006号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
平たんでない土地など条件の悪い場所に展開され、設置される太陽光発電施設では、上述のような、ストリング内のPVモジュールが部分影など、時々刻々の日照、温度などが変化する発電出力変動のほかに、性能や規格の異なるPVモジュールを接続したストリングスにおいては電圧分担の問題が発生する。
そこで、性能、規格の違うモジュールでも、最大電力点で発電して、バイパスすることなく全てのPVモジュールからストリングへ送出して太陽光発電システムの効率と稼働率を上げることが求められている。
しかし、理想的条件で設置され、各PVモジュールの性能が均一な状態で接続されたPVモジュールは従来のPCSによるストリングの電圧一括制御ですべてのPVモジュールの最大電力が得られるので、その場合には、DC/DC変換などの半導体スイッチの導通損、挿入損が無いように運用したい。
【0010】
本発明は、かかる従来のPVモジュールの発電電力の制御の問題点に鑑みなされたものであり、直列接続されたPVモジュールの部分影や経年劣化したPVモジュール、または電圧・電流などの規格が異なるPVモジュールがある場合であっても、モジュールごとにMPPT制御を可能とするための接続装置を提供し、それを用いた太陽光発電システムを提供することを目的とする。
【0011】
PVモジュール単体又はその集合体は、発電設備であり、光があれば発電するので電圧を停止することができない。人家、車庫、倉庫や工場の屋根にも配置されるのであれば、発電の不要な時は発電出力を停止し、さらに衝撃を受けた場合や水没時にも、自動的に発電出力を停止し、人体に安全な電圧にする対策が必要である。
そこで、本発明の他の目的は、非常時において発電電力を安全に停止させる手段を備えた接続装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、PVモジュールと接続され、該PVモジュールから出力される直流電力を降圧型DC/DC変換で所望の電力値に電力変換して出力する電力変換接続装置(以下「接続装置」という。)に関し、本発明の上記目的は、該接続装置は、前記PVモジュールと接続される入力端子(正極及び負極)と、前記電力変換された直流電力を負荷又は電力系統に供給するための出力端子(正極及び負極)と、前記入力端子の正極と負極との間に接続されたコンデンサと、前記コンデンサの両端の電圧(Vc)を計測する電圧センサと、直列に接続された2個の半導体スイッチと、通信によりオン/オフ制御可能な金属接点と、制御装置とを備えるとともに、前記2個の半導体スイッチの接続点が前記出力端子の正極に接続され、前記入力端子の負極が前記出力端子の負極に接続され、前記金属接点は、前記入力端子の正極と前記出力端子の正極との間に接続され、前記2個の半導体スイッチのうち、前記接続点とは反対側の端子が前記入力端子の正極に接続されるものを第1の半導体スイッチとし、前記半導体スイッチのうち、前記接続点とは反対側の端子が前記出力端子の負極に接続されるものを第2の半導体スイッチとし、さらに、前記制御装置は、前記電圧センサからの電圧(Vc)を受信し、それに基づいて前記第1の半導体スイッチ、第2の半導体スイッチ及び前記金属接点のオン/オフを制御することにより、前記PVモジュールから出力される直流電力を降圧型DC/DC変換で所望の電力値(電流・電圧値)に電力変換して出力又はその出力を停止することによって達成される。
【0013】
また、本発明の上記目的は、前記制御装置が、前記金属接点がオフの状態において、前記電圧センサからの電圧(Vc)と前記PVモジュールの最大電力点電圧(Vmp)との差が所定の範囲内に入っているときは、前記2個の半導体スイッチを交互にオン/オフしてPWM制御により前記電圧(Vc)を制御し、前記電圧センサからの電圧(Vc)と前記PVモジュールの最大電力点電圧(Vmp)との差が所定の範囲を超え、かつ、前記電圧(Vc)が前記最大電力点電圧(Vmp)よりも低いときは、前記第1の半導体スイッチと前記第2の半導体スイッチを同時にオンして一旦前記電圧(Vc)をゼロにした直後、前記第1の半導体スイッチと前記第2の半導体スイッチを同時にオフして前記コンデンサを再充電しつつ、前記電圧センサにて計測した前記電圧(Vc)に基づいて所定の計算式により前記PVモジュールの発電電力を算出し、該算出した発電電力が最大となる点の前記電圧(Vc)をゼロから最大まで全電圧スキャンすることにより求めて新たな最大電力点電圧(Vmp)として記憶し、前記電圧センサからの電圧(Vc)と前記PVモジュールの最大電力点電圧(Vmp)との差が所定の範囲を超え、かつ、前記電圧(Vc)が前記最大電力点電圧(Vmp)よりも高いときは、前記第1の半導体スイッチをオンした後に前記金属接点をオンし、かつ、前記第2の半導体スイッチをオフすることにより外部に電流を放出して電圧(Vc)を下げるように制御することによって効果的に達成される。
【0014】
さらに、本発明の上記他の目的は、前記半導体スイッチがN型MOSFETであって、前記第2の半導体スイッチのドレインとゲートとを抵抗器を介して接続し、かつ、前記制御装置と前記ゲートとをリードスイッチを介して接続し、通常動作時においては、前記リードスイッチに永久磁石を近接して設置しておいて前記リードスイッチを導通させて前記制御装置からの制御信号を前記ゲートに供給し、前記出力端子からの出力を強制的に停止させるときは、前記永久磁石を人力により、又は衝撃等により自然脱落させることで前記リードスイッチから隔離させて前記リードスイッチをオフしてゲートへの制御信号を遮断することにより、前記ゲートの電位を前記抵抗器によって前記ドレインの電位までプルアップさせて前記第2の半導体スイッチをオンすることを特徴とする前記接続装置によって達成される。
【0015】
またさらに、本発明の上記目的は、PVモジュールの出力端子に前記接続装置を接続したものを複数個直列接続して電流リンクのストリングを構成し、個々に前記PVモジュールごとに最大電力点追従制御を行うことを特徴とする太陽光発電システムによって達成される。
【発明の効果】
【0016】
太陽光発電システムの個々のPVモジュールの最大出力を得るには各PVモジュールの出力端電圧を最大出力時の電圧Vmpに維持するために、出力電流を制限すればよい。そのために部分影のPVモジュール、電流規格が異なるPVモジュールを直列接続するには、半導体スイッチによる降圧型DC/DC変換によって、PVモジュールの端子電圧をVmpに維持するように端子に接続されたコンデンサの電荷を降圧型DC/DC変換で電流パルスにしてストリングに出力すれば、直列に接続された全てのPVモジュールの電力を系統連系インバータに集めることが出来る。
本発明に係る接続装置をPVモジュールに接続して使用すれば、上記のことが実現可能になる。
【0017】
本発明に係る接続装置によれば、部分影や、規格の異なるPVモジュールであっても、瞬時スキャン(詳細は後述)によってVmpを求めることができるので、その時の状態に合わせたMPPT運転が可能となる。
【0018】
本発明に係る接続装置によれば、PVモジュールに接続された接続装置が衝撃を受けた場合、永久磁石が離れ落ちることで、第2の半導体スイッチがPVモジュールの発電電圧によってオンするため、外部電源なしにPVモジュールの出力を短絡して、人体に安全な電圧にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明のPVモジュールの降圧型DC/DC変換を行う接続装置の基本構成を示す図である。
【
図2】PVモジュールのストリング電流を横軸に、電圧とモジュール電力を縦軸にし、光量をパラメータにした図である。
【
図3】本発明のPVモジュールの最大電力点の電圧をコンデンサの充電電圧波形から求めることができることを示す概念図である。
【
図4】本発明の接続装置の制御装置による制御のフローの一例を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の接続装置を接続したPVモジュールの直列ストリングをダイオードとインダクタの直列接続を介して並列に接続し、昇圧型DC/DC変換して電圧型DC/AC変換器で交流連系する構成図である。
【
図6】本発明の接続装置を接続したPVモジュールのストリングをさらに昇圧型DC/DC変換器で昇圧した後に並列にして、電圧型DC/AC変換器で交流連系する構成図である。
【
図7】本発明の接続装置による電流リンクで蓄電池を充電する構成図である。
【
図8】本発明の接続装置によるPVモジュールのストリングを電流型DC/AC変換で交流連系する構成図である。
【
図9】本発明の接続装置によるPVモジュールを電流リンクのストリングにして電流型DC/AC変換で交流の共通母線で並列にし、さらに同期発電機も並列にある構成図である。
【
図10】本発明に係る出力停止機能を持った接続装置の構成例である。
【
図11】電子回路シミュレーション計算コードPSIMによる解析回路を示す。8枚のPVモジュールの内、その1枚が50%の光量になり、その後、本発明のPVモジュールの接続装置が動作して回復する様子を計算する。
【
図12】電子回路シミュレーション計算コードPSIMによる計算結果を示す。0.1秒で1枚のモジュールの光量が50%になり、電力は1,550Wに低下するが10ms後に接点がオフになってMPPT制御が開始して、電力は1,850Wに回復する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、PVモジュールごとにMPPT運転を可能とするための接続装置及びそれを用いた太陽光発電システムの実施形態について説明する。
上記特許文献1では、PVモジュール端子の電圧が、PVモジュールの最大電力を発電する電圧Vmpになるように外部から補助電圧を与えていたが、本発明では、出力電流を断続して制限することで電圧の下がるのを止めて発生させるようにする。
そのため、PVモジュールの出力端子とストリングとの間に、電圧電流を変換する接続装置を挿入する。
【0021】
図1は本発明に係る接続装置10の構成を示す図である。以下、
図1を参照しつつ詳細に説明する。
接続装置10は、PVモジュール1と接続される入力端子2(正極及び負極)と、電力変換された直流電力を負荷又は電力系統に供給するための出力端子3(正極及び負極)と、入力端子2の正極と負極との間に接続されたコンデンサ4と、コンデンサ4の両端の電圧(Vc)を計測する電圧センサ5と、直列に接続された2個の半導体スイッチ6及び7と、通信によりオン/オフ制御可能な金属接点8と、制御装置9とを備えるとともに、半導体スイッチ6,7の接続点が出力端子3の正極に接続され、入力端子2の負極が出力端子3の負極に接続され、金属接点8は、入力端子2の正極と出力端子3の正極との間に接続され、2個の半導体スイッチ6,7のうち、接続点とは反対側の端子が入力端子2の正極に接続されるものを第1の半導体スイッチ6とし、接続点とは反対側の端子が出力端子3の負極に接続されるものを第2の半導体スイッチ7とし、さらに、制御装置9は、電圧センサ5からの電圧(Vc)を受信し、それに基づいて第1の半導体スイッチ6、第2の半導体スイッチ7及び金属接点8のオン/オフを制御することにより、PVモジュール1から出力される直流電力を降圧型DC/DC変換で所望の電圧・電流値に電力変換して出力する。
なお、参照符号11で示すのは、PVモジュール1に付属しているバイパスダイオードである。半導体スイッチとしては、例えばMOSFET又はIGBT、金属接点としてはリレーが利用可能である。MOSFETは直列に接続されたペアのものが市販されている。制御装置9はマイクロコンピュータを所定のソフトウェアで動作させることによって実現できる。
また、制御装置9は、外部から無線あるいは有線にて指令を送受信可能な通信機能(不図示)を備えている。
【0022】
すなわち、PVモジュール1の出力を、一旦、コンデンサ4に静電エネルギーとして蓄積して、その電圧が最大電力の電圧Vmpになるように制御すれば、最大電力を発電している状態になる。そのため、実際には、電圧が下がった場合は図の第1の半導体スイッチ6をオフしてコンデンサ4を充電し、電圧がVmpよりも上がった場合は、第1の半導体スイッチ6をオンし、コンデンサ4の電荷を電流としてストリングに放電する。ストリングの電流は第1の半導体スイッチ6がオフの間は、第2の半導体スイッチ7がオンしてバイパスしてストリング電流は外部インダクタ13によって還流している。
結局、接続装置10はPVモジュール1が最大電力となる電圧Vmpでストリングに出力する。PVモジュール1は、
図2で示すように、最大電力点の電圧値Vmpは、光量による変化がほとんど無いという特性を利用して、コンデンサ4の電圧をVmpに維持しようとする降圧型DC/DC変換制御で、PVモジュール1の最大電力点を追従するMPPT制御が実現できる。
【0023】
部分影などによってストリング中の1つのPVモジュールの光量が約20%減少すると、
図2のように、PVモジュールの出力電圧は急に減少して、ほぼゼロになる。PVモジュールは、バイパスダイオード11が順方向に導通して電圧は約ゼロとなる。
その電圧低下を電圧センサ5で検出すると、制御装置9は第1の半導体スイッチ6をオフにして最大電力点の瞬時スキャンを開始する。
図3に示すのは、ここで行うPVモジュールの最大電力点電圧の瞬時スキャン法の概念図である
【0024】
最大電力点の電圧は、コンデンサの充電時の電流、電圧特性から決定することができる。半導体スイッチ6と7を同時にオンした後、同時にオフすると、コンデンサ4の電圧がゼロから無負荷開放電圧まで変化するが、その充電特性からPVモジュールの特性を探査する。コンデンサ4の静電容量が例えば1,000μFとすると、PVモジュールの光発電電流が10Aとして、コンデンサ充電完了の時間は約10msである。この充電の電圧・電流特性から最大電力点の電圧Vmpが分かる。この方法の特徴は、瞬時(約10ms程度の短時間)でスキャンが可能であるし、山登り法などのアルゴリズム・各種インテリジェントな方法とは違い、この瞬時スキャン法では、全電圧をスキャンしているので、発電電力に複数のピークがある場合でも全電圧領域のスキャンができ、外れがない。
【0025】
最大電力点電圧(Vmp)の検出の方法は、半導体スイッチ6と7を同時にオンにしてコンデンサ電圧をゼロにした後、同時にオフにするとコンデンサ4に充電が始まる。コンデンサ4の電流Icを電流センサで検出しても良いが、ここでは電圧センサ5によってコンデンサ電圧Vcを計測しているので、その充電スピード(電圧の時間微分)と電圧とで、最大電力点の電圧Vmpを決定する。
すなわち、
PVモジュールの発電電力Watt=コンデンサの充電電力
=コンデンサ電流×コンデンサ電圧
Watt=Ic×Vc
コンデンサへの電流Icは、コンデンサの電荷Q(=C×Vc)の時間変化であるから、電流は
Ic=dQ/dt=d(C×Vc)/dt
したがって、電力は、
Watt=d(C×Vc)/dt ×Vc =C×(dVc/dt)×Vc…(式1)
電力ピーク値は、VcとVcの時間微分の掛け算値のピーク値であり、電力のピークを記憶して、その時の電圧Vcを最大電力点の電圧Vmpとして設定すれば良い。これは制御装置9内に計算能力を持たせることで可能である。
本発明のコンデンサ4の充電時間は約10ms程度であるから、PVモジュール上の影が激しく変化する場合にはそれに合わせて瞬時に探査することも可能である。
【0026】
次に、制御装置9の行う制御について、
図4に示すフローチャートに基づいて説明する。
制御装置9は各種の運転条件や各種の指令(出力開始や出力停止、Vmp探査実行等)を外部装置(例えば、太陽光発電システム全体を統括する上位の制御機器等を指す。)との通信によって受信する(ステップS1)。指令の中に出力停止指令が含まれていなければ(S2のNo)、電圧センサ5から電圧Vcを受信する(S3)。
なお、スタート直後はまだVmpが分かっていないので、外部装置からの指令により、後述のステップS7に飛んで、その処理を先に行ってVmpを求めてからS3の処理に移行することになる。これにより、ストリングの各PVモジュールの規格値がバラバラであっても、PVモジュールごとに最適のVmpでMPPT運転をすることが可能になる。
次に、電圧VcとVmpとを比較して、その差が所定の値δ(例えば1V程度)であれば(S4のYes)、金属接点8がオフの状態において、第1の半導体スイッチ6と第2の半導体スイッチ7とを交互にオン/オフして、PWM制御によりコンデンサの電圧VcがVmpになるように制御する(S5)。すなわち、MPPT運転を行う。
ステップS4において、VcとVmpとの差がδを超えている場合であって、かつ、Vc<Vmpである場合は(S6のNo)、何らかの原因(例えば部分影など)でPVモジュールの発電電力が低下していると考えられるので、ステップS7に移行して電圧Vcに基づいてVmpを求める(S7)。
具体的には、金属接点8がオフの状態で、半導体スイッチ6と7を同時にオンしてコンデンサ電圧Vcをゼロにし、その後半導体スイッチ6と7を同時にオフすると、
図3のゲートOFFの状態になる。そうするとコンデンサ4の充電が開始され、コンデンサ電圧Vcは瞬時に0Vから無負荷開放電圧まで上昇する。この時間内に上記(式1)に基づいてコンデンサの充電電力Wattを計算して、それが最大となる点の電圧VcをVmpとしてメモリに記憶する。このVmpをステップS4で使用する。
一方、ステップS6において、Vc>Vmpである場合は(S6のYes)、先に第1の半導体スイッチ6をオンしてから金属接点8をオンし、第2の半導体スイッチ7をオフにする(S8)。これにより、コンデンサ4の電荷は電流としてストリングに放電され、電圧Vcが下がる。次に、ステップS1に戻って同様の制御を繰り返す。
もし、ステップS2において出力停止指令がある場合は(S2のYes)、それが全停止指令の場合は(S9のYes)、半導体スイッチ6と7を共にオンした後、接点8をオンする(S11)。一方、半停止指令の場合は(S9のNo)、接点8がオフ状態であれば、その状態で半導体スイッチをオフ、半導体スイッチ7をオンにする。もし、接点8がオンの状態であれば、半導体スイッチ6をオンの状態にしてから、先に接点8をオフし、その後に半導体スイッチ6をオフする。その後半導体スイッチ7をオンする(S10)。
なお、全停止と半停止の違いは、前者がPVモジュールの出力と接続装置の出力を共にゼロ(短絡)にするのに対して、後者は接続装置の出力のみを短絡し、PVモジュールの出力はそのまま維持するという点である。
この実施形態では、コンデンサ電圧Vcが部分影の影響等によって低下した場合に、制御装置9が備える制御プログラムに基づいて瞬時スキャンを行って新たなVmpを算出するものであるが、そうではなくて、PVモジュールの温度変化等による変化に対応して上記外部装置からの指令により、上述の瞬時スキャンを行ってVmpを求めるようにしてもよい。
【0027】
図11、
図12にシミュレーション計算結果を示すが、8直列のPVモジュールストリングが時刻0.1秒時点で、1つのPVモジュール(PV1)の光量が50%に落ちるとPVモジュールの電流が50%になって、バイパスダイオードが導通し、そのモジュール電圧はゼロになる。その結果ストリングの出力は1つのPVモジュールが低下する以上の1,550Wに低下することを示している。電圧ゼロまたは電圧低下を電圧センサ5で検出すると、制御装置9は金属接点(以下「接点」という。)8を(それまで接点8で電流を流して、損失無しにストリングに接続していたが、)オフするが、接点8が動作する時間を考慮して、半導体スイッチ6をオン状態に維持して無アークで接点を開極させるが、そのため約10ms程度遅らせてコンデンサ4の降圧型DC/DC制御を開始する。その結果、
図12のPV1のコンデンサ端子電圧は最大電力点の電圧Vmpの付近、この場合、27Vになって、光量が低下したPVモジュールからも、その最大電力を送出することができる。影になったPVモジュールも出力電圧がゼロではなくなるので、またその他のPVモジュールの電圧の分担電圧も改善して、接点が導通状態で通電損失も無く、8個のモジュールのストリングの全電力は光入力から換算すると1,875Wであったがそれが1,850Wまでに回復する。
【0028】
半導体スイッチ7は、ダイオードでも代替可能であるが、MOSFETのオン電圧は、ダイオードのオン電圧より低くできるので、後述の実施例ではMOSFETを採用して、併せて電気安全のための出力短絡スイッチとしても使う。
また、本発明が降圧型DC/DC変換を採用した理由は、損失の大きなインダクタを使わず、PVモジュールの電力は一旦、降圧型DC/DC変換で降圧して、電流リンクで系統連系インバータの昇圧型DC/DC変換につなぐ形である。接続装置10には、入力に大きな約1,000μF耐圧50Vのコンデンサ4が必要だが、コンデンサ4は軽量で損失が少ないが寿命が短い欠点もある。
【0029】
図5に、一般的に普及している系統連系装置(PCS)15を接続する場合を示すが、本発明の接続装置10により各PVモジュールの最大電力を電流パルスで出力させ、ダイオード12と外部インダクタ13を介して並列に接続した後、全体を昇圧型DC/DC変換で昇圧し、電圧型DC/AC変換機能を持つ系統連系装置15で系統に接続することで電圧・電流の規格の異なるPVモジュールでも直列させてそれぞれの最大電力を集めることができる。
現在普及している直列PVモジュール、一括ストリング電圧方式の大規模太陽光発電設備に本発明の接続装置10を採用しても損失が増えることの無いように、
図5の場合、同一規格のPVモジュールが影の無い状態では全てPVモジュールの電圧は均一で最大電力の出力電圧Vmpになるように系統連系装置側のMPPT制御機能でストリング電圧が制御されているので、個々のPVモジュールでの変換は不要なので、接点8をオン状態にしてバイパスすれば、接続装置10は挿入損なしに全てPVモジュールの最大電力を取り出せる。したがって、従来の全ストリング一括方式電圧型インバータのMPPT制御でも損失が増えることはない。また接点8は接点の開閉による直流アークの発生で接点8が損傷すること無いように、制御装置9によって、並列の半導体スイッチ6にゲートオン信号をリレーと同期して導通・短絡すればアークを発生すること無しに接点を開閉することができる。
【0030】
図6では、電流リンクによってストリング毎の外部インダクタ13と昇圧回路によって多数のストリングをPCSに連結する。ストリング毎に最適の電流になるように昇圧型DC/DC制御で制御される。電流はストリング内にPVモジュールの最大電流以上になるように、また電流のジュール損の関係で大きすぎないように制御されるのが好ましい。ここではリンク電流は各ストリングの昇圧型DC/DC変換側で高圧の直流配電線で電圧源型PCSの交流連系につなぐことで電線のジュール損を減らす、または導線重量を軽くすることができる。
また、
図6が
図5と異なるのは、本発明の接続装置10を介してPVモジュールを一括直列ストリング状にするが、太陽に向かう向きが異なるストリング、電流電圧の規格の違うPVモジュールのストリングなど条件の違うすべてのPVモジュールの最大電力を集めることが可能にする太陽光発電設備を構築することができる。各ストリング電流は各ストリングの昇圧型DC/DC制御により制御する必要がある。
【0031】
制御装置9の機能は、最適電圧Vmpの値はパネル温度による変化が大きいので、モジュール温度の実測を行い、最大電力電圧VmpのテーブルによってVmpを設定する機能も良いが、瞬時に電圧スキャンの探査することも、内部セルの健全性を調査するなど、制御装置9は外部装置と通信しながら連携する。
【0032】
図7にその構成を示すが、本発明の接続装置10を使って、蓄電池に一旦充電してから、その電圧を逆変換で交流連系する形である。PVモジュールの接続装置10は、これまで最大電力を出すことに注目してMPPT運転していたが、最大にするだけではなく、本発明の制御装置9によって、設定電圧を必要に応じて上げることで、各モジュールの出力を下げることができる。図はPVモジュールを並列接続した後に直列する形である。
例えば、PVモジュールの電流・電圧特性(
図2参照)から、設定電圧をVmp(約27V)から、さらに上げて無負荷開放電圧(約38V)まで変化することで、発生電力を最大から連続的にゼロまで下げることができる。この各PVモジュールの出力を調整できる機能は太陽光発電で直接、蓄電池を充電する場合に有効である。制御装置9は外部装置からの指令で設定される。
【0033】
大規模な太陽光発電設備の1日の発電運転記録を見ると、良く晴れた日ほど急速な雲の通過や雲の反射、またパネル温度の変化などで発電電力が大幅に変化している。これを電力の「しわ」と呼んでいるが、太陽光発電の電力品質は悪いと言われる。将来、大規模な太陽光発電システムでは、電力系統の電圧変化、フリッカと呼ばれる電圧急変問題になりうる。極端な例であるが、航空機の影が通過した場合、それが電力系統に与えるショックが問題になるだろう。電力急変を補完する短時間の電力補償装置が必要である。
図9に示すが、交流連系点にフライホイール付可変速同期機、ROTES(Rotary Energy Storage System)17があると短時間の電力蓄積があるのでこれで解決する。太陽光発電の大きな欠点は発電電力の予期せぬ急変であるが、
図9のROTESの設置は系統への電力変動を、電力系統が要求する数100MWの変動を1%1秒以下の変動に抑えるのに、本案は、製造コスト、寿命、電力系統での実運転経験の点で有利な構成である。
【0034】
図8と
図9は、本発明の接続装置10の降圧型DC/DC変換による電流リンクの電流を電力系統に連系するに、電流型DC/AC変換(電流型インバータ)とする形である。
逆電流阻止型の半導体スイッチまたはダイオードを直列にしてインバータを構成する逆変換の電流型インバータは、直流側の電流は1方向であるが電圧はプラスからマイナスに可変である。この場合、電流に対してマイナスの電圧を発生させ、直流のリンク電流を制御しながら交流電力を交流系統に送る。
図8の太陽光発電システムは電流型インバータで逆変換して三相交流にして出力している。これは最小の部品数で構成できる点が特徴で本発明の降圧型DC/DC変換で電流出力を行った結果である。
電流型DC/AC逆変換装置16は、電圧高調波が少なく、電圧源コンデンサ14が不要で、事故時に電圧が蓄積されないので、急速遮断(Rapid Shutdown)が可能であるなど電流型変換は堅牢で安全性が高い。
すなわち、直列接続された各PVモジュールの最大電力を降圧型DC/DC変換によって電圧電流変換して、そのストリングの電流を電流型変換によって、電流から交流電力に逆変換して系統連系すれば、大容量で、かつ短絡保護が可能で、高周波ノイズの少ない太陽光発電システムになる。要するに、PVモジュールを電圧源であるとして電圧から電流変換の後に、電流電圧変換で系統連系するシステムが最適な構成である。
【0035】
図9はさらに大型の数10MW級のメガソーラーに本発明の接続装置を応用した場合で、多数のストリングが電流型DC/AC変換16で共通の交流母線に接続される実施形態を示す。各PVモジュール1には本発明の降圧型DC/DC変換を行う接続装置10(PVモジュール1と接続装置10を接続したものを参照符号1’で表している。)によって最大電力点で発電電力をストリングに電流パルスにて電流リンクで直列に出力され、逆阻止型半導体スイッチで構成される電流型DC/AC変換16で共通母線に連系される。交流電力は変圧器で昇圧されて共通母線6kVの配電系統の機器で構成し、さらに交流連系へは66kVでメガソーラーの電力をさらに遠方に送る。そこにフライホイール付同期機17が共通母線に結合する多数の電流型インバータのバックパワーとして必要で、さらに交流電力系統の電圧安定化、周波数安定化、停電後の復旧にも寄与する。
【0036】
今後、PVモジュールは、多くの人家の屋根、工場の屋上、壁などに配置されるようになると、清掃時、保守・点検時に、電気工作物として、人身への電気的安全対策が不可欠であるが、そのために、全てのPVモジュール出力を停止する機能が必要である。その場合の制御のフローを
図4に示したが、制御の割り込み指令によって半導体スイッチ7を連続オンすればよい(
図4のS10,S11)。 制御装置9からの指令によって半導体スイッチ6と7がゲート制御でオンにして、出力を短絡すれば、電圧が無くなるまで数マイクロ秒である。
【0037】
さらに本発明の接続装置10に付加して
図10に示すように、半導体スイッチ7のドレイン-ゲート間に抵抗器18が接続されて、ゲートにはリードスイッチ19でゲート制御回路へと接続されている。リードスイッチ19は永久磁石があるとオンになって、ゲート制御回路へと接続し、抵抗器18があっても正常にゲート駆動動作をするが、永久磁石が離れるとリードスイッチ19がオフになって、半導体スイッチ7はドレイン-ゲート間が同電位になり、スレッショルド電圧のオン状態になってPVモジュール1の出力が短絡状態になって、電気的に安全になる。この永久磁石は、PVモジュール1が受ける衝撃によって容易に脱落し、水没、また工事、点検時にも人手により外すようにするとよい。
【実施例0038】
上記の目的を達成するために、
図1にPVモジュールとストリングとの間に挿入する接続装置10の回路構成を示す。PVモジュール1は、ここでは例として、60セルで短絡電流9.8A、温度が25度Cでは、最大電力となる電圧はVmp=28V付近で、約250Wの発電をする。半導体スイッチ6,7はn-MOSFETであり、MOSFET6をオフすると、コンデンサ4(ここでは一例として1,000μFである。)に電荷が蓄積される。この電圧が最大電力点の電圧VmpになるとMOSFET6をオンし、下がればオフするヒステリシス制御で制御する。電圧の精度は1V程度ずれてもあまり電力は変化が無いので、オン/オフは遅くてもよく、または高速オン/オフのPWM制御でもよい。電流リンクのストリングに数mHの外部インダクタがあれば、ストリングの電流は平滑化され直流電流になっている。また、接点8としては10A-50V程度の小形リレーを用いている。
正常時、即ち、すべてのPVモジュール1の電流、光量がストリング内で均一の場合、PCSは全ストリングをまとめてのMPPT制御、最大電力ポイント追従制御が行われる結果、すべてのPVモジュールの電圧はVmp付近にある。本発明の接続装置10はコンデンサ4の電圧Vcが最大電力電圧Vmpであるかそれ以上ある場合、制御装置9の指令でMOSFET6をオンする。
本発明の接続装置10には接点(リレー)8があり、MOSFET6のオンが継続する場合、制御装置9はこれをオンにして、接続装置10は接点8によって半導体の導通損失も無くして、ストリングに直列接続する。接点8は直流電流の遮断能力が無いので遮断には注意が必要で、リレーの動作の遅れが約10msあるので、遮断時はMOSFET6のオフ信号をこれよりさらに遅らせて発信して、接点8を無アークで開極するシーケンスが重要である。これらのシーケンスは制御装置9に内蔵し、外部装置からの通信による指令を受け、また連携も行う。