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特開2022-187042ワイヤハーネス製造方法、ワイヤハーネス、及び、保護部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187042
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス製造方法、ワイヤハーネス、及び、保護部材
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20221212BHJP
   B60R 16/02 20060101ALN20221212BHJP
【FI】
H02G3/04 062
H02G3/04 018
B60R16/02 623V
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094837
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 祐貴
【テーマコード(参考)】
5G357
【Fターム(参考)】
5G357DA06
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD02
5G357DD06
5G357DE03
5G357DE08
5G357DG05
5G357DG06
(57)【要約】
【課題】適正に電線を結束することができるワイヤハーネス製造方法、ワイヤハーネス、及び、保護部材を提供することを目的とする。
【解決手段】ワイヤハーネス製造方法は、電線が配索される配索空間部を形成するベース部材と、ベース部材に設けられ配索空間部の内外に渡って結束部材を挿通可能である挿通孔と、ベース部材の外面に設けられ結束部材が挿通孔に挿通された状態で当該結束部材の端部を仮保持可能である仮保持部とを備える保護部材の挿通孔に結束部材を挿通する挿通工程(S1)と、挿通孔に挿通された状態の結束部材の端部を仮保持部に仮保持する仮保持工程(S2)と、結束部材の端部が仮保持部に仮保持された状態で配索空間部に電線を配索する配索工程(S3)と、仮保持部に仮保持された状態の結束部材の端部を当該仮保持部から取り外し、配索空間部に配索された状態の電線を結束部材によってベース部材に結束する結束工程(S4)とを含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線が配索される配索空間部を形成するベース部材と、前記ベース部材に設けられ前記配索空間部の内外に渡って結束部材を挿通可能である挿通孔と、前記ベース部材の外面に設けられ前記結束部材が前記挿通孔に挿通された状態で当該結束部材の端部を仮保持可能である仮保持部とを備える保護部材の前記挿通孔に前記結束部材を挿通する挿通工程と、
前記挿通孔に挿通された状態の前記結束部材の端部を前記仮保持部に仮保持する仮保持工程と、
前記結束部材の端部が前記仮保持部に仮保持された状態で前記配索空間部に前記電線を配索する配索工程と、
前記仮保持部に仮保持された状態の前記結束部材の端部を当該仮保持部から取り外し、前記配索空間部に配索された状態の前記電線を前記結束部材によって前記ベース部材に結束する結束工程とを含む、
ワイヤハーネス製造方法。
【請求項2】
前記ベース部材は、前記配索空間部において第1方向に沿って一方側に開口した開口部を有し、
前記仮保持部は、前記開口部を介して前記第1方向に沿って前記配索空間部側から前記一方側に向けて引き出され、前記第1方向に沿って他方側に折り返された前記結束部材の端部を前記第1方向に沿って差し込み可能である差し込み孔によって形成される、
請求項1に記載のワイヤハーネス製造方法。
【請求項3】
前記ベース部材は、前記配索空間部において第1方向に沿って一方側に開口した開口部を有し、
前記仮保持部は、前記ベース部材の前記外面において、前記第1方向の前記開口部側の端に設けられる、
請求項1又は請求項2に記載のワイヤハーネス製造方法。
【請求項4】
さらに、前記保護部材は、前記開口部を塞ぐカバー部材を備え、
前記カバー部材は、前記電線が前記結束部材によって前記ベース部材に結束された状態で、前記仮保持部を覆う仮保持カバー部を含む、
請求項3に記載のワイヤハーネス製造方法。
【請求項5】
電線と、
内部に前記電線が配索される保護部材と、
前記保護部材の内部に配索された前記電線を当該保護部材に結束する結束部材とを備え、
前記保護部材は、
前記電線が配索される配索空間部を形成するベース部材と、
前記ベース部材に設けられ前記配索空間部の内外に渡って前記結束部材を挿通可能である挿通孔と、
前記ベース部材の外面に設けられ前記結束部材が前記挿通孔に挿通された状態で当該結束部材の端部を仮保持可能である仮保持部とを備える、
ワイヤハーネス。
【請求項6】
電線が配索される配索空間部を形成するベース部材と、
前記ベース部材に設けられ前記配索空間部の内外に渡って結束部材が挿通された挿通孔と、
前記ベース部材の外面に設けられ前記結束部材が前記挿通孔に挿通された状態で当該結束部材の端部を仮保持した仮保持部とを備える、
保護部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネス製造方法、ワイヤハーネス、及び、保護部材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、底壁と、該底壁の幅方向の両端縁から突出する側壁とで電線通路を形成しているプロテクタが開示されている。このプロテクタは、底壁の長さ方向先端側に仕切壁が立設されることで電線通路が分割されている。そして、プロテクタは、分割された電線通路のそれぞれの先端開口に沿った位置に、底壁と側壁の少なくともいずれか一方に2個以上の締結バンド用の通し穴が設けられている。プロテクタは、これら2個の通し穴に1本の締結バンドのバンド片を連続して通し、電線通路に挿通された電線群に巻き付けて締結固定する構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-051096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載のプロテクタは、例えば、電線を配索し結束する際の作業性向上等の点で更なる改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、適正に電線を結束することができるワイヤハーネス製造方法、ワイヤハーネス、及び、保護部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るワイヤハーネス製造方法は、電線が配索される配索空間部を形成するベース部材と、前記ベース部材に設けられ前記配索空間部の内外に渡って結束部材を挿通可能である挿通孔と、前記ベース部材の外面に設けられ前記結束部材が前記挿通孔に挿通された状態で当該結束部材の端部を仮保持可能である仮保持部とを備える保護部材の前記挿通孔に前記結束部材を挿通する挿通工程と、前記挿通孔に挿通された状態の前記結束部材の端部を前記仮保持部に仮保持する仮保持工程と、前記結束部材の端部が前記仮保持部に仮保持された状態で前記配索空間部に前記電線を配索する配索工程と、前記仮保持部に仮保持された状態の前記結束部材の端部を当該仮保持部から取り外し、前記配索空間部に配索された状態の前記電線を前記結束部材によって前記ベース部材に結束する結束工程とを含む。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るワイヤハーネスは、電線と、内部に前記電線が配索される保護部材と、前記保護部材の内部に配索された前記電線を当該保護部材に結束する結束部材とを備え、前記保護部材は、前記電線が配索される配索空間部を形成するベース部材と、前記ベース部材に設けられ前記配索空間部の内外に渡って前記結束部材を挿通可能である挿通孔と、前記ベース部材の外面に設けられ前記結束部材が前記挿通孔に挿通された状態で当該結束部材の端部を仮保持可能である仮保持部とを備える。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る保護部材は、電線が配索される配索空間部を形成するベース部材と、前記ベース部材に設けられ前記配索空間部の内外に渡って結束部材が挿通された挿通孔と、前記ベース部材の外面に設けられ前記結束部材が前記挿通孔に挿通された状態で当該結束部材の端部を仮保持する仮保持部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るワイヤハーネス製造方法、ワイヤハーネス、及び、保護部材は、適正に電線を結束することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係るワイヤハーネスの概略構成を表す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るワイヤハーネスの概略構成を表す部分斜視図である。
図3図3は、実施形態に係るワイヤハーネス製造方法を表すフローチャートである。
図4図4は、実施形態に係るワイヤハーネス製造方法を表す部分斜視図である。
図5図5は、実施形態に係るワイヤハーネス製造方法を表す部分斜視図である。
図6図6は、実施形態に係るワイヤハーネス製造方法を表す部分斜視図である。
図7図7は、実施形態に係るワイヤハーネスが備える保護部材の仮保持カバー部を含む部分断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
なお、以下で説明する図1図2図6は、電線の一部を二点鎖線で省略して図示している。また、以下の説明では、互いに直交(交差)する第1方向、第2方向、及び、第3方向をそれぞれ「第1方向X」、「第2方向Y」、「第3方向Z」という。例えば、第1方向Xは、典型的には、ベース部材とカバー部材とが積層される積層方向に相当する。以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、各部が相互に組み付けられた状態での方向として説明する。
【0013】
[実施形態]
本実施形態に係るワイヤハーネス製造方法は、図1等に示すワイヤハーネスWHを製造するものである。以下では、まず、図1等に示すワイヤハーネスWHの基本的な構成について説明し、その後、ワイヤハーネス製造方法について詳細に説明する
【0014】
図1図2に示すワイヤハーネスWHは、例えば、車両に搭載される各装置間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の電線Wを束にして集合部品とし、コネクタ等で複数の電線Wを各装置に接続するようにしたものである。本実施形態のワイヤハーネスWHは、電線Wと、保護部材1と、結束部材2とを備える。電線Wは、導電性を有する配索材であり、例えば、複数の金属素線を束ねた芯線を、絶縁被覆部によって被覆した絶縁電線である。電線Wは、複数を束ねたものであってもよい。保護部材1は、ワイヤハーネスWHに組み込まれ、内部に電線Wが挿通、配索され当該電線Wに外装され、内部に配索された当該電線Wを保護すると共に電線Wの配索経路を規制するものである。保護部材1は、外装部材、あるいは、プロタクタとも呼ばれる。結束部材2は、保護部材1の内部に配索された電線Wを当該保護部材1に結束するものである。結束部材2は、例えば、いわゆる結束バンドであり、ヘッド部2a、及び、ヘッド部2aから延在するバンド部2bを含んで構成される。結束部材2は、電線Wと保護部材1とに巻き回されたバンド部2bがヘッド部2aに係止されることで、当該電線Wを当該保護部材1に結束固定する。ワイヤハーネスWHは、この他、さらに、グロメット、電気接続箱、固定具、コネクタ等の種々の構成部品を含んで構成されてもよい。
【0015】
そして、本実施形態の示すワイヤハーネスWHは、保護部材1において、内部に電線Wを配索する際に、結束部材2のバンド部2bを仮保持しておく仮保持部40が形成されていることで、電線Wを配索し結束する際の作業性の向上を実現している。以下、各図を参照して保護部材1の構成について詳細に説明する。
【0016】
具体的には、保護部材1は、図1図2に示すように、ベース部材10と、カバー部材20と、挿通孔30と、仮保持部40とを備える。ベース部材10とカバー部材20とは、それぞれ絶縁性を有する樹脂材料によって別体に形成され、相互に組み付けられることで、内部に電線Wが配索される配索空間部11を形成する。挿通孔30と仮保持部40とは、共にベース部材10に一体成形される。
【0017】
ベース部材10は、配索空間部11を形成する主体たる部材であり、保護部材(プロタクタ)本体を構成する。ベース部材10は、底部12、及び、側壁部13を含んで構成される。底部12は、板厚方向が第1方向Xに沿う板状に形成される。底部12は、要求される配索空間部11の形状に対応した形状に形成されている。側壁部13は、底部12から第1方向Xに沿って一方側に突出して板状に形成される。側壁部13は、複数設けられ、それぞれが凹状部位、凸状部位、湾曲部位、又は、屈曲部位等を含む様々な形状をなしている。ベース部材10は、底部12、及び、複数の側壁部13によって囲われた内部空間部が配索空間部11を構成する。配索空間部11は、電線Wが挿通され、当該電線Wが位置する空間部であり、様々な形状をなす複数の側壁部13によって複数に分岐した配索経路を構成する。ベース部材10は、この複数の配索経路に対応して複数の配索口部14が形成されている。ここでは、配索口部14は、5つ設けられている。各配索口部14は、配索空間部11の配索経路に配索される電線Wが挿通される開口である。各配索口部14は、底部12、及び、側壁部13によって形成され、第1方向Xと交差する方向に沿って開口する。また、ベース部材10は、配索空間部11において第1方向Xに沿って一方側に開口した開口部15を有している。開口部15は、複数の側壁部13の第1方向Xの一方側の端部、すなわち、底部12側とは反対側の端部によって形成される。
【0018】
カバー部材20は、ベース部材10の開口部15を塞ぐ部材であり、保護部材(プロタクタ)カバーを構成する。カバー部材20は、板厚方向が第1方向Xに沿う板状に形成される。カバー部材20は、開口部15を覆うことができるように、当該開口部15の形状に対応した形状となっている。カバー部材20は、複数の係止孔部20aがそれぞれベース部材10の係止爪部10aに係止されることで、ベース部材10に組み付けられ、開口部15を塞ぐ(閉鎖する)。
【0019】
挿通孔30は、ベース部材10に設けられ配索空間部11の内外に渡って結束部材2を挿通可能な孔である。挿通孔30は、配索空間部11において、電線Wの配索経路上に位置して設けられる。一例として、挿通孔30は、複数の配索口部14のうち第1の配索口部14Aと第2の配索口部14Bとに渡って構成される配索経路上に位置して設けられ、当該配索経路に配索された電線Wをベース部材10に結束固定するための結束部材2が設けられる。ここで、第1の配索口部14Aは、複数の配索口部14のうち第2方向Yの一方側で、かつ、第3方向Zの一方側に位置する一方、第2の配索口部14Bは、第1の配索口部14Aと対向するように第2方向Yの他方側で、かつ、第3方向Zの他方側に位置する。挿通孔30は、ベース部材10の底部12において、複数の側壁部13のうち第2の配索口部14Bを形成する一対の側壁部13Aに挟まれた部位の近傍に設けられる。挿通孔30は、底部12を第1方向Xに沿って貫通して形成され、配索空間部11の内外を連通する。挿通孔30は、1つの結束部材2に対して一対で設けられる。一対の挿通孔30は、底部12において、電線Wの配索経路と交差する方向に間隔をあけて形成される。ここでは一例として、一対の挿通孔30は、共に結束部材2のバンド部2bを挿通可能な略矩形状に形成される。
【0020】
仮保持部40は、ベース部材10の外面(配索空間部11側とは反対側の面)10Aに設けられ結束部材2が挿通孔30に挿通された状態で当該結束部材2のバンド部2bの先端部(ヘッド部2aとは反対側の端部)2cを仮保持可能な部分である(図5等も参照)。本実施形態の仮保持部40は、上述した配索口部14Bを形成する一方の側壁部13Aにおいて、配索空間部11側に向かって窪んだ凹状部位10Bの外面10Aに形成されている。仮保持部40は、ベース部材10の側壁部13Aの外面10Aにおいて、第1方向Xの開口部15側の端に設けられる。
【0021】
本実施形態の仮保持部40は、結束部材2の先端部2cを第1方向Xに沿って差し込み可能である差し込み孔41によって形成される。差し込み孔41は、側壁部13Aの外面10Aに突出して略矩形筒状に形成された筒状部41aの内側の空間部として形成される。差し込み孔41は、後述するように、開口部15を介して第1方向Xに沿って配索空間部11側から一方側に向けて引き出され、第1方向Xに沿って他方側に折り返された結束部材2の先端部2cを第1方向Xに沿って差し込み可能である(図5等参照)。ここでは、仮保持部40は、上述した一対の挿通孔30の並び方向と交差する方向に対して、当該一対の挿通孔30から側壁部13A側(言い換えれば、配索口部14B側)にずれて位置しているが、挿通孔30に挿通された状態の結束部材2の先端部2cが届く範囲に位置している。
【0022】
次に、図3図4図5図6を参照して、上記のように構成されるワイヤハーネスWHの製造方法(ワイヤハーネス製造方法)について説明する。以下の説明では、図3のフローチャートを基に説明しつつ、適宜他図を参照する。以下で説明するワイヤハーネスWHの製造方法は、作業員が種々の装置、機器、治具等を用いて手作業で行ってもよいし、種々の製造装置によって自動で行われるものであってもよい。
【0023】
本実施形態のワイヤハーネスWHの製造方法は、挿通工程(ステップS1)と、仮保持工程(ステップS2)と、配索工程(ステップS3)と、結束工程(ステップS4)と、閉鎖工程(ステップS5)とを含む。ここでは、このワイヤハーネスWHの製造方法は、作業員によって手作業で行われるものとして説明する。
【0024】
まず、作業員は、図4に示すように、挿通工程として、挿通孔30に結束部材2を挿通する(ステップS1)。ここでは、結束部材2は、一対の挿通孔30のうち仮保持部40から離間した側の挿通孔30に対して配索空間部11側からバンド部2bの先端部2cが挿通される。その後、結束部材2は、配索空間部11の外側でバンド部2bの先端部2cが折り返され、仮保持部40に近接した側の挿通孔30に対して配索空間部11側に向けて当該バンド部2bの先端部2cが挿通される。この状態では、結束部材2は、バンド部2bが一対の挿通孔30に渡って挿通され略U字状に折り返された状態となる。また、この状態では、結束部材2は、バンド部2bの先端部2cが仮保持部40側に位置し、ヘッド部2aが仮保持部40から離間した側に位置している。
【0025】
次に、作業員は、図5に示すように、仮保持工程として、挿通孔30に挿通された状態の結束部材2の先端部2cを仮保持部40に仮保持する(ステップS2)。ここでは、結束部材2は、バンド部2bの先端部2cが開口部15を介して第1方向Xに沿って配索空間部11側から一方側に向けて引き出され、第1方向Xに沿って他方側に折り返される。そして、この結束部材2は、折り返された当該バンド部2bの先端部2cが仮保持部40を構成する差し込み孔41に対して第1方向Xに沿って差し込まれることで、当該差し込み孔41に仮保持される。
【0026】
次に、作業員は、配索工程として、結束部材2の先端部2cが仮保持部40の差し込み孔41に仮保持された状態で配索空間部11に電線Wを配索する(ステップS3)。ここでは、電線Wは、配索空間部11において、第1の配索口部14Aと第2の配索口部14Bとに渡って構成される配索経路上に配索される。
【0027】
次に、作業員は、図6に示すように、結束工程として、仮保持部40の差し込み孔41に仮保持された状態の結束部材2の先端部2cを当該仮保持部40から取り外し、配索空間部11に配索された状態の電線Wを結束部材2によってベース部材10に結束する(ステップS4)。ここでは、結束部材2は、バンド部2bが挿通孔30を介して電線Wとベース部材10の底部12とに巻き回された状態で、当該バンド部2bの先端部2cがヘッド部2aに係止されることで、当該電線Wを底部12に結束固定する。
【0028】
その後、作業員は、閉鎖工程として、カバー部材20をベース部材10に組み付け、当該カバー部材20によって開口部15を閉鎖し(ステップS5)、このワイヤハーネスWHの製造方法を終了する。
【0029】
なお、本実施形態のカバー部材20は、図7に示すように、電線Wが結束部材2によってベース部材10の底部12に結束された状態で、仮保持部40を覆う仮保持カバー部21を含んで構成される。仮保持部40は、電線Wが結束部材2によって底部12に結束固定された状態では、結束部材2を仮保持せず解放された状態となっている。仮保持カバー部21は、カバー部材20がベース部材10に組み付けられ、当該カバー部材20によって開口部15が塞がれた状態で、この解放された状態の仮保持部40を覆う。ここでは、仮保持カバー部21は、差し込み孔41を形成する筒状部41aの全体を第1方向Xの一方側から覆う。
【0030】
以上で説明した製造方法、ワイヤハーネスWH、保護部材1は、ベース部材10の配索空間部11に電線Wを配索する前に、挿通孔30に挿通された状態の結束部材2の先端部2cを、ベース部材10の外面10Aに設けられた仮保持部40に仮保持しておくことで、電線Wを配索し結束する際の作業性を向上することができる。すなわち、製造方法、ワイヤハーネスWH、及び、保護部材1は、結束部材2の先端部2cを仮保持部40に仮保持しておくことで、配索空間部11に電線Wを配索する際に、電線Wに結束部材2の先端部2cが絡みつくことを抑制することができる。そして、製造方法、ワイヤハーネスWH、及び、保護部材1は、配索空間部11に電線Wを配索した後、仮保持部40に仮保持されていた先端部2cを外して結束部材2によって電線Wを当該保護部材1に結束固定することができる。この結果、以上で説明した製造方法、ワイヤハーネスWH、保護部材1は、電線Wを配索し結束する際の作業性を向上し、適正に電線Wを結束することができる。
【0031】
また、以上で説明した製造方法、ワイヤハーネスWH、保護部材1は、結束部材2の先端部2cを第1方向Xに沿って差し込み可能である差し込み孔41によって仮保持部40が形成される。この構成より、保護部材1は、結束部材2の先端部2cを開口部15側から仮保持部40に仮保持させ易い構成とすることができると共に、当該仮保持部40を、成形時に型抜きし易い差し込み孔41によって構成することができる。この結果、以上で説明した製造方法、ワイヤハーネスWH、保護部材1は、上記のように適正に電線Wを結束することができ、その上で、製造効率を向上することができ、例えば、製造コストの増加を抑制することができる。
【0032】
また、以上で説明した製造方法、ワイヤハーネスWH、保護部材1は、仮保持部40がベース部材10の外面10Aにおいて、第1方向Xの開口部15側の端に設けられる。この構成によって、保護部材1は、結束部材2の先端部2cを開口部15側から仮保持部40に仮保持させ易い構成で、かつ、仮保持部40に仮保持された結束部材2の先端部2cを開口部15側から取り外し易い構成とすることができる。この結果、以上で説明した製造方法、ワイヤハーネスWH、保護部材1は、電線Wを配索し結束する際の作業性をさらに向上し、より適正に電線Wを結束することができる。
【0033】
また、以上で説明した製造方法、ワイヤハーネスWH、保護部材1は、ベース部材10に組み付けられ開口部15を塞ぐカバー部材20が仮保持部40を覆う仮保持カバー部21を含んで構成される。この構成によって、保護部材1は、車両等に搭載された使用状態において、ベース部材10の外面10Aに設けられた仮保持部40を仮保持カバー部21によって覆うことができるので、保護部材1の周りの物体が当該仮保持部40に引っ掛かり難くすることができる。この結果、以上で説明した製造方法、ワイヤハーネスWH、保護部材1は、適正に電線Wを結束することができ、その上でより適正な使用状態を確保することができる。
【0034】
なお、上述した本発明の実施形態に係るワイヤハーネス製造方法、ワイヤハーネス、及び、保護部材は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0035】
以上の説明では、保護部材1は、外装部材、あるいは、プロタクタであるものとして説明したがこれに限らず、例えば、いわゆる電気接続箱等の筐体の一部分として構成されてもよい。
【0036】
以上の説明では、仮保持部40は、一対の挿通孔30の並び方向と交差する方向に対して、当該一対の挿通孔30から側壁部13A側にずれて位置するものとして説明したがこれに限らない。仮保持部40は、挿通孔30に挿通された状態の結束部材2の先端部2cが届く範囲に位置していれば、一対の挿通孔30の並び方向に並んで位置してもよい。同様に、仮保持部40は、ベース部材10の側壁部13Aの外面10Aにおいて、第1方向Xの開口部15側の端に設けられるものとして説明したがこれに限らず、外面10Aにおいて挿通孔30に挿通された状態の結束部材2の先端部2cが届く位置ならどこでもよい。
【0037】
以上の説明では、仮保持部40は、差し込み孔41によって形成されるものとして説明したがこれ限らず、結束部材2の先端部2cを仮保持可能な形状であれば、例えば、爪状部等によって形成さされてもい。
【0038】
以上の説明では、カバー部材20は、仮保持カバー部21を含んで構成されるものとして説明したがこれに限らず仮保持カバー部21を含まない構成であってもよい。
【0039】
本実施形態に係るワイヤハーネス製造方法、ワイヤハーネス、及び、保護部材は、以上で説明した実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 保護部材
2 結束部材
2c 先端部
10 ベース部材
10A 外面
10B 凹状部位
11 配索空間部
12 底部
13、13A 側壁部
14、14A、14B 配索口部
15 開口部
20 カバー部材
21 仮保持カバー部
30 挿通孔
40 仮保持部
41 差し込み孔
41a 筒状部
W 電線
WH ワイヤハーネス
X 第1方向
Y 第2方向
Z 第3方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7