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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187055
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】点滴台連結装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/16 20060101AFI20221212BHJP
   A61M 5/14 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
A61J1/16 D
A61M5/14 532
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094858
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】301044174
【氏名又は名称】三重金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 重行
(72)【発明者】
【氏名】中尾 将也
(72)【発明者】
【氏名】島▲崎▼ 駿
【テーマコード(参考)】
4C047
4C066
【Fターム(参考)】
4C047CC05
4C047EE02
4C047EE04
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD01
4C066GG10
4C066LL30
(57)【要約】
【課題】患者搭載装置と点滴台との連結状態の安定性の向上が図られると共に、例えば患者搭載装置と点滴台の上下方向の相対的な変位や連結位置の選択などにも対応することが可能とされた、新規な構造の点滴台連結装置を提供する。
【解決手段】患者搭載装置80へ着脱可能に取り付けられる第一の取付部12と、点滴台82へ着脱可能に取り付けられる第二の取付部14と、第一の取付部12と第二の取付部14とを連結する連結本体部16とを、有しており、点滴台82を患者搭載装置80へ連結する点滴台連結装置10であって、連結本体部16には、第一の取付部12と第二の取付部14に対して連結本体部16の水平方向での連結状態を維持しつつ、第一の取付部12と第二の取付部14の上下方向での相対移動を許容する上下移動機構32が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストレッチャなどの患者搭載装置へ着脱可能に取り付けられる第一の取付部と、
点滴台へ着脱可能に取り付けられる第二の取付部と、
該第一の取付部と該第二の取付部とを連結する連結本体部と
を、有しており、該点滴台を該患者搭載装置へ連結する点滴台連結装置であって、
前記連結本体部には、前記第一の取付部と前記第二の取付部に対して該連結本体部の水平方向での連結状態を維持しつつ該第一の取付部と該第二の取付部の上下方向での相対移動を許容する上下移動機構が設けられている点滴台連結装置。
【請求項2】
前記上下移動機構には、前記連結本体部の重力による下方への移動に対して抑制力を及ぼす落下防止機構が設けられている請求項1に記載の点滴台連結装置。
【請求項3】
前記落下防止機構が、前記連結本体部に対して上方への付勢力を及ぼす付勢手段を含む請求項2に記載の点滴台連結装置。
【請求項4】
前記付勢手段として定荷重ばねが用いられている請求項3に記載の点滴台連結装置。
【請求項5】
前記連結本体部と前記第一の取付部及び前記第二の取付部とによる前記点滴台と前記患者搭載装置との連結経路上には、鉛直軸回りの回動を許容する回動許容部が少なくとも一箇所に設けられている請求項1~4の何れか一項に記載の点滴台連結装置。
【請求項6】
前記連結本体部は、長さ方向の伸縮変形許容部と湾曲変形許容部との少なくとも一方の変形許容部を備えている請求項1~5の何れか一項に記載の点滴台連結装置。
【請求項7】
前記第一の取付部は、前記患者搭載装置に設けられて上下方向に延びる取付孔に対して上方から挿入される挿入ロッドと、該挿入ロッド回りの回転を制限して該第一の取付部を該取付孔に対して位置決めする回転制限部とを、有している請求項1~6の何れか一項に記載の点滴台連結装置。
【請求項8】
前記第二の取付部は、鉛直軸回りで開閉可能とされた一対の把持片と、該一対の把持片を閉状態に保持する係止ロックを備えており、該一対の把持片の開状態下で側方から差し入れられた前記点滴台の支柱を、該一対の把持片を該係止ロックにより閉状態に保持することで把持せしめるようになっている請求項1~7の何れか一項に記載の点滴台連結装置。
【請求項9】
前記第一の取付部と前記第二の取付部は前記患者搭載装置と前記点滴台に対して何れも上下方向で固定的に取り付けられる請求項1~8の何れか一項に記載の点滴台連結装置。
【請求項10】
請求項5に記載の前記回動許容部と、前記上下移動機構とが、何れも、前記第二の取付部よりも前記第一の取付部に近い位置に設けられている請求項1,2,3,4,6,7,8,9の何れか一項に記載の点滴台連結装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレッチャなどの患者搭載装置と点滴台とを連結する点滴台連結装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
患者が点滴等の治療を受けている場合、ストレッチャなどの患者搭載装置を移動させる際には、点滴台を患者搭載装置と共に移動させる場合があるが、従来は、医療従事者や患者が点滴台を手で持ちながら移動する必要があり、片手で点滴台を把持することによって、患者搭載装置の操作が難しくなるなどの不具合があった。
【0003】
そこで、例えば、特開2019-198446号公報(特許文献1)や特開2014-068908号公報(特許文献2)等において、患者搭載装置と点滴台を連結することで、点滴台を患者搭載装置に追従して移動させる点滴台連結装置が提案されている。点滴台連結装置を用いることにより、医療従事者や患者が点滴台を手で持つ必要がなくなって、患者搭載装置の操作等が容易になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-198446号公報
【特許文献2】特開2014-068908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の点滴スタンド用連結装置は、点滴台をクランプによって保持する構造であり、当該クランプが点滴台に対して固定的に位置決めされた状態で点滴台に取り付けられる。しかし、このような特許文献1の如き点滴スタンド用連結装置は、例えば患者搭載装置が昇降機能を有するストレッチャなどの場合に、点滴台と患者搭載装置とを点滴スタンド用連結装置によって連結したままで患者搭載装置を昇降させてしまうと、点滴台が持ち上がって転倒等するおそれがあった。また、点滴スタンド用連結装置の点滴台に対する連結位置の自由度が固定的に設定されてしまうことから、例えば点滴台にポンプ制御装置などが装着されることで連結位置が制限されるような場合には、点滴スタンド用連結装置を使用できないこともあった。
【0006】
特許文献2の連結治具は、点滴台の支柱に対してカラビナ状の取付部材によって緩く取り付けられることから、取付部材が点滴台の支柱に対して上下に変位することにより、点滴台と患者搭載装置とを連結したままで患者搭載装置の昇降を許容することもできる。しかしながら、特許文献2のように連結治具の取付部材が点滴台に対して容易に変位するように緩く取り付けられていると、連結治具と点滴台の連結態様が安定せず、点滴台の転倒等が生じ易くなってしまうおそれがある。また、患者搭載装置の移動時などにおいて取付部材が点滴台に対して不必要に変位して、取付部材が点滴台に打ち当たることによる音や衝撃などが問題になるおそれもあった。
【0007】
本発明の解決課題は、患者搭載装置と点滴台との連結状態の安定性の向上が図られると共に、例えば患者搭載装置と点滴台の上下方向の相対的な変位や連結位置の選択などにも対応することが可能とされた、新規な構造の点滴台連結装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、本発明を把握するための好ましい態様について記載するが、以下に記載の各態様は、例示的に記載したものであって、適宜に互いに組み合わせて採用され得るだけでなく、各態様に記載の複数の構成要素についても、可能な限り独立して認識及び採用することができ、適宜に別の態様に記載の何れかの構成要素と組み合わせて採用することもできる。それによって、本発明では、以下に記載の態様に限定されることなく、種々の別態様が実現され得る。
【0009】
第一の態様は、ストレッチャなどの患者搭載装置へ着脱可能に取り付けられる第一の取付部と、点滴台へ着脱可能に取り付けられる第二の取付部と、該第一の取付部と該第二の取付部とを連結する連結本体部とを、有しており、該点滴台を該患者搭載装置へ連結する点滴台連結装置であって、前記連結本体部には、前記第一の取付部と前記第二の取付部に対して該連結本体部の水平方向での連結状態を維持しつつ該第一の取付部と該第二の取付部の上下方向での相対移動を許容する上下移動機構が設けられているものである。
【0010】
本態様に従う構造とされた点滴台連結装置によれば、患者搭載装置に取り付けられる第一の取付部と、点滴台に取り付けられる第二の取付部とが、上下移動機構によって、連結本体部の上下方向での相対移動を許容されている。それゆえ、例えば、患者搭載装置が昇降機能を備えている場合には、第一の取付部の患者搭載装置への取付位置と、第二の取付部の点滴台への取付位置とが上下方向で相対的に変位する際に、第一の取付部と第二の取付部が相対的に移動することで取付位置の変位に追従することができる。このように、上下移動機構を設けたことによって、例えば、患者搭載装置が昇降機能を備えている場合や患者搭載装置と点滴台とが異なるタイミングで段差を越えて移動するような場合などにおいても、患者搭載装置と点滴台とを点滴台連結装置によって連結したままで、患者搭載装置と点滴台の相対的な上下変位を許容することができる。また、第一の取付部と第二の取付部との相対的な高さ位置を任意に又は選択的に設定することができることから、例えば点滴台に制御装置やモニタ装置などが装着されているために連結可能な部位が制限されているような場合でも、状況に対応して、連結可能な位置へ連結本体部を連結させることが可能になる。
【0011】
上下移動機構が連結本体部に設けられることから、第一の取付部と第二の取付部は、患者搭載装置と点滴台にそれぞれ固定することが可能である。それゆえ、点滴台連結装置を患者搭載装置と点滴台にしっかりと取り付けることができて、取付部におけるガタツキなどを防止し、点滴台を患者搭載装置に安定した態様で連結することができる。
【0012】
第二の態様は、第一の態様に記載された点滴台連結装置において、前記上下移動機構には、前記連結本体部の重力による下方への移動に対して抑制力を及ぼす落下防止機構が設けられているものである。
【0013】
本態様に従う構造とされた点滴台連結装置によれば、上下移動機構を設けたことによる連結本体部の意図しない落下を防ぐことができる。
【0014】
第三の態様は、第二の態様に記載された点滴台連結装置において、前記落下防止機構が、前記連結本体部に対して上方への付勢力を及ぼす付勢手段を含むものである。
【0015】
本態様に従う構造とされた点滴台連結装置によれば、付勢手段の付勢力によって連結本体部の意図しない落下を防ぐことができる。
【0016】
第四の態様は、第三の態様に記載された点滴台連結装置において、前記付勢手段として定荷重ばねが用いられているものである。
【0017】
本態様に従う構造とされた点滴台連結装置によれば、付勢手段として定荷重ばねを用いることによって、上下移動機構によって第一の取付部と第二の取付部を上下方向で相対移動させるために必要な外力(操作力など)を、第一の取付部と第二の取付部の上下方向での相対位置にかかわらず略一定とすることができる。
【0018】
第五の態様は、第一~第四の何れか1つの態様に記載された点滴台連結装置において、前記連結本体部と前記第一の取付部及び前記第二の取付部とによる前記点滴台と前記患者搭載装置との連結経路上には、鉛直軸回りの回動を許容する回動許容部が少なくとも一箇所に設けられているものである。
【0019】
本態様に従う構造とされた点滴台連結装置によれば、患者搭載装置と点滴台との水平方向での相対移動を、回動許容部における鉛直軸周りでの回動によって許容することができる。
【0020】
第六の態様は、第一~第五の何れか1つの態様に記載された点滴台連結装置において、前記連結本体部は、長さ方向の伸縮変形許容部と湾曲変形許容部との少なくとも一方の変形許容部を備えているものである。
【0021】
本態様に従う構造とされた点滴台連結装置によれば、患者搭載装置と点滴台との水平方向での相対移動を、変形許容部の変形によって許容することができる。
【0022】
第七の態様は、第一~第六の何れか1つの態様に記載された点滴台連結装置において、前記第一の取付部は、前記患者搭載装置に設けられて上下方向に延びる取付孔に対して上方から挿入される挿入ロッドと、該挿入ロッド回りの回転を制限して該第一の取付部を該取付孔に対して位置決めする回転制限部とを、有しているものである。
【0023】
本態様に従う構造とされた点滴台連結装置によれば、挿入ロッドを取付孔に挿入する簡単な作業によって、第一の取付部を患者搭載装置に対して取り付けることができる。また、第一の取付部が挿入ロッド回りでの回転を制限されることにより、第一の取付部の患者搭載装置への取付けを安定させることができて、患者搭載装置と点滴台の安定した連結を実現することができる。
【0024】
第八の態様は、第一~第七の何れか1つの態様に記載された点滴台連結装置において、前記第二の取付部は、鉛直軸回りで開閉可能とされた一対の把持片と、該一対の把持片を閉状態に保持する係止ロックを備えており、該一対の把持片の開状態下で側方から差し入れられた前記点滴台の支柱を、該一対の把持片を該係止ロックにより閉状態に保持することで把持せしめるようになっているものである。
【0025】
本態様に従う構造とされた点滴台連結装置によれば、開閉可能な一対の把持片で点滴台の支柱を挟み込むように把持させることによって、第二の取付部を点滴台に容易に取り付けることができる。また、点滴台の支柱が一対の把持片の間へ側方から差し入れられた状態で、一対の把持片を係止ロックによって閉状態に保持することにより、点滴台の支柱が一対の把持片の間から抜け出すのを防いで、第二の取付部を点滴台に対して安定して取り付けることができる。
【0026】
第九の態様は、第一~第八の何れか1つの態様に記載された点滴台連結装置において、前記第一の取付部と前記第二の取付部は前記患者搭載装置と前記点滴台に対して何れも上下方向で固定的に取り付けられるものである。
【0027】
本態様に従う構造とされた点滴台連結装置によれば、例えば、外力の作用によって第一の取付部や第二の取付部が患者搭載装置や点滴台に対して意図せずに上下方向で動いて、第一の取付部や第二の取付部が患者搭載装置や点滴台から外れたり、打ち当たりによって音を発するなどの不具合が回避される。また、患者搭載装置と点滴台の上下方向の相対変位に際して、第一の取付部と第二の取付部から上下移動機構に対して力が有効に伝達されることから、点滴台連結装置によって患者搭載装置と点滴台の水平方向での連結状態を維持しながら、上下方向の相対変位を上下移動機構で許容することができる。
【0028】
第十の態様は、第一,第二,第三,第四,第六,第七,第八,第九の何れか1つの態様に記載された点滴台連結装置において、第五の態様に記載の前記回動許容部と、前記上下移動機構とが、何れも、前記第二の取付部よりも前記第一の取付部に近い位置に設けられているものである。
【0029】
本態様に従う構造とされた点滴台連結装置によれば、点滴台に取り付けられる第二の取付部側を小型化することができて、点滴台連結装置の点滴台への連結部分が、治療や搬送などの作業に際して邪魔になり難い。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、点滴台連結装置において、患者搭載装置と点滴台との連結状態の安定性の向上が図られる。また、本発明の点滴台連結装置は、例えば昇降作動する患者搭載装置にも適用することもでき、点滴台の安定した連結状態を保ちつつ患者搭載装置を昇降作動させることを可能と為し得る。また、本発明の点滴台連結装置は、患者搭載装置と点滴台との安定した連結性能を確保しつつ、患者搭載装置や点滴台に対する取付位置について、上下方向で柔軟に対応することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の第一の実施形態としての点滴台連結装置を示す正面図
図2図1に示す点滴台連結装置の左側面図
図3図2のIII-III断面図
図4図1のIV-IV断面図
図5図1のV-V断面図
図6図3のVI-VI断面図
図7図1に示す点滴台連結装置の正面図であって、第一の取付部が第二の取付部に対して上方へ相対移動した状態を示す図
図8図1の点滴台連結装置をストレッチャ及び点滴台に装着した状態で示す平面図
図9図8に示す点滴台連結装置をストレッチャ及び点滴台に装着した状態の背面図
図10図8に示す点滴台連結装置をストレッチャ及び点滴台に装着した状態の左側面図
図11】本発明の別の一実施形態としての点滴台連結装置の要部をストレッチャへの装着状態で示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0033】
図1図6には、本発明の第一の実施形態としての点滴台連結装置10が示されている。点滴台連結装置10は、後述するストレッチャ80と後述する点滴台82との間に介装されて、ストレッチャ80と点滴台82とを相互に連結する装置である。点滴台連結装置10は、ストレッチャ80に取り付けられる第一の取付部12と、点滴台82に取り付けられる第二の取付部14とが、連結本体部16によって連結された構造を有している。以下の説明において、上下方向とは、原則として、通常の使用状態下で鉛直上下方向となる図1中の上下方向を言う。
【0034】
第一の取付部12は、上下方向に延びる挿入ロッド18を備えている。挿入ロッド18は、上下方向に直線的に延びる小径柱状とされており、後述するストレッチャ80に設けられた取付孔94に対して挿入可能とされている。
【0035】
挿入ロッド18の上端部には、回転制限部20が固定されている。回転制限部20は、上下逆向きの略U字断面を有する溝状の金具であって、上底壁部が挿入ロッド18の上端部に接着や溶接等の手段で固定されている。回転制限部20は、上底壁部を外れた一対の側壁部分が挿入ロッド18と径方向で対向して離れた位置に配されている。
【0036】
第二の取付部14は、合成樹脂や金属によって形成されており、後述する点滴台82の支柱92を把持する第一の把持片22と第二の把持片24とを備えている。
【0037】
第一の把持片22と第二の把持片24は、一辺においてヒンジ連結されており、鉛直軸回りで開閉可能に連結されている。また、第二の取付部14は、第一の把持片22と第二の把持片24がヒンジ連結された一辺と対向する開閉可能な他の一辺において、それら一対の把持片22,24を閉じた状態に保持する係止ロック26を備えている。係止ロック26は、図4に示すように、第二の把持片24に対して揺動可能にピン支持されたロック金具28が、第一の把持片22に設けられた受部30に係止されることによって、一対の把持片22,24を閉じた状態に保持する。また、第二の把持片24の外部に露出した係止ロック26を操作して揺動変位させることにより、係止ロック26の受部30への係止による一対の把持片22,24の閉状態でのロックを解除して、一対の把持片22,24を開くことができる。
【0038】
連結本体部16は、第一の取付部12と第二の取付部14の間に設けられており、一端が第一の取付部12の回転制限部20に連結されていると共に、他端が第二の取付部14の第一の把持片22に連結されている。
【0039】
連結本体部16の第一の取付部12への連結部分は、上下移動機構32によって構成されている。上下移動機構32は、第一の取付部12に連結されるハウジング34を備えている。ハウジング34は、中空の矩形箱状とされており、上下方向に長い形状とされている。そして、ハウジング34の上部の外周面に対して、第一の取付部12の回転制限部20が固定されており、第一の取付部12がハウジング34の側方に連結されている。
【0040】
ハウジング34の内部には、上下方向に延びる一対のガイドレール36,36が相互に離隔して並列的に設けられている。ガイドレール36は、凹状断面で延びる溝状の部材であって、ハウジング34の対向する壁内面にそれぞれ固定された一対が相互に対向配置されている。
【0041】
ガイドレール36,36の間には、可動部38が取り付けられている。可動部38は、ガイドレール36,36に対して複数のボールベアリング40を介して上下方向にスライド可能な態様で組み合わされるスライド部42,42を備えている。ガイドレール36とスライド部42とボールベアリング40によって、上下方向のリニアタイプのスライド式ベアリング機構が構成されている。
【0042】
スライド部42,42は、軸部材44の両端部に取り付けられている。軸部材44は、略円柱状の部材であって、軸方向の両端部がスライド部42,42に対して固定的に連結されている。
【0043】
軸部材44には、定荷重ばね46の一端が固定されている。定荷重ばね46は、ばね鋼によって形成されたシート状の部材であって、軸部材44に巻き付けられている。定荷重ばね46は、一端が軸部材44に固定されていると共に、定荷重ばね46の他端がハウジング34に固定されている。本実施形態では、定荷重ばね46の他端が、ハウジング34と第一の取付部12を連結するボルトによって、ハウジング34に固定されている。
【0044】
定荷重ばね46が可動部38とハウジング34の間に跨って設けられており、定荷重ばね46の可動部38側の端部よりもハウジング34側の端部が上方に位置していることにより、定荷重ばね46の弾性に基づく付勢力が、可動部38に対して上向きに作用している。定荷重ばね46の弾性に基づく付勢力は、可動部38から第二の取付部14に至る部分に作用する重力等の静荷重と釣り合うように設定されている。従って、例えば、可動部38から第二の取付部14までの部分が重力の作用によって下方へ移動(落下)するのが、定荷重ばね46の付勢力によって抑制されている。このように、本実施形態では、落下防止機構が、付勢手段としての定荷重ばね46によって構成されている。
【0045】
軸部材44には、連結金具48が取り付けられている。連結金具48は、U字断面を有する部材であって、相互に対向する両端部分を貫通して形成された円形孔50,50に対して軸部材44の軸方向両端部分の各一方が挿通されており、軸部材44が連結金具48に対して固定されている。連結金具48はハウジング34に設けられた一対のスリット52,52(図2参照)を貫通しており、連結金具48の中央部分がハウジング34から突出している。スリット52,52は、ハウジング34における第一の取付部12の連結側とは反対側の壁部に設けられており、上下方向で直線的に延びている。従って、連結金具48は、ハウジング34に対して第一の取付部12とは反対側に突出している。
【0046】
連結金具48は、ハウジング34に対して、スリット52,52に沿った上下方向の移動と、上下方向の任意の位置での停止とを許容されている。連結金具48がハウジング34に対して図1に示す上端位置から図7に示す下端位置に向けて移動する場合には、定荷重ばね46が軸部材44から引き出される。連結金具48がハウジング34に対して図7に示す下端位置から図1に示す上端位置に向けて移動する場合には、定荷重ばね46が軸部材44に巻き取られる。これらにより、連結金具48には、定荷重ばね46による略一定の付勢力が上下方向の位置に関わらず作用しており、手で押すなどの外部からの入力によって、連結金具48を上下方向に移動させることができると共に、外部からの入力を解除することによって、連結金具48を上下方向の任意の位置に停止させることが可能とされている。
【0047】
連結金具48には、回動許容部54が取り付けられている。回動許容部54は、ブラケット56を介して連結金具48に固定されて上下方向に延びる回動軸58を備えている。回動軸58には、外周面に開口する複数の位置決め凹部60が形成されている。位置決め凹部60は、回動軸58の周方向に所定の角度ごとに形成されており、本実施形態では6つの位置決め凹部60が30°ごとに形成されている。また、回動許容部54は、回動軸58に外挿状態で取り付けられて、回動軸58に対して周方向に移動可能とされた摺動部62を備えている。摺動部62には、後述する伸縮ロッド64の外筒部66が一体的に設けられており、外筒部66が回動軸58を中心として揺動可能とされている。回動許容部54において、摺動部62は、回動軸58に対して、周方向で任意の位置へ回動可能とされていてもよいし、周方向で段階的に回動可能とされていてもよい。
【0048】
回動許容部54の摺動部62には、伸縮ロッド64が固定されている。伸縮ロッド64は、外筒部66に内筒部68の基端部分が挿入された構造を有しており、内筒部68の外筒部66への挿入量の変更によって、軸方向の長さが変更設定可能とされている。要するに、伸縮ロッド64は、連結本体部16において、内筒部68の外筒部66への挿入量の変更によって長さ方向の伸縮変形を許容する伸縮変形許容部を構成する。
【0049】
また、外筒部66を貫通するロックねじ70が設けられており、ロックねじ70を締め込んで先端を内筒部68の外周面に押し当てることにより、外筒部66と内筒部68を軸方向で位置決めすることができる。従って、伸縮ロッド64は、軸方向の伸縮による長さの連続的な変更設定が可能とされていると共に、設定した長さに保持することが可能とされている。本実施形態では、ロックねじ70によって、伸縮ロッド64の長さ変更を制限する伸縮制限機構が構成されている。なお、内筒部68の外周面に開口する複数の凹部又は貫通孔を設けて、それら凹部又は貫通孔に対してロックねじ70の先端部を挿入することにより、伸縮ロッド64の長さ変更を制限する伸縮制限機構を構成することも可能である。この場合には、凹部又は貫通孔の間隔に応じた多段階で長さの変更設定が可能になる。
【0050】
伸縮ロッド64は、外筒部66から径方向の内側へ向けて突出するガイド突起72が、内筒部68の周方向の一部に形成されたスリット状のガイド孔74に挿入されている。これにより、外筒部66と内筒部68の軸方向での相対変位量が制限されていると共に、外筒部66と内筒部68の周方向の相対回転が防止されている。
【0051】
外筒部66には、内筒部68よりも回動許容部54側に開口部75が設けられている。開口部75は、外筒部66に対して軸方向にスライド変位可能とされた操作部76によって覆われている。操作部76には、外筒部66内を回動許容部54側へ向けて延びる位置決めピン77が固定されている。そして、操作部76を回動許容部54に近い位置とすることにより、位置決めピン77の先端部が回動許容部54の回動軸58に設けられた位置決め凹部60に挿入されて、位置決めピン77と位置決め凹部60の壁内面との周方向での係止によって、摺動部62と回動軸58との相対回転、ひいては回動許容部54による伸縮ロッド64の揺動変位が制限される。また、操作部76を回動許容部54から遠い位置へ移動させることにより、位置決めピン77の先端部が位置決め凹部60から引き抜かれて、摺動部62の回動軸58回りの回動が許容される。このように、本実施形態では、回動許容部54における回動の許容を制限する回動制限機構が設けられている。なお、位置決めピン77は、板ばね78(図3参照)等のばね手段によって回動許容部54へ向けて弾性的に付勢されており、位置決め凹部60からの位置決めピン77の意図しない抜けが防止されている。
【0052】
内筒部68の先端部分には、第二の取付部14が固定されている。第二の取付部14の内筒部68への固定方法は、特に限定されず、ボルト固定、接着、溶接などであってもよいが、本実施形態では、第二の取付部14の第一の把持片22に設けられたC字環状のリング状部79が内筒部68に外挿されて、リング状部79の周方向の一部に設けられた切欠き状の開口部がねじによって閉じる方向へ締め込まれることにより、第二の取付部14が内筒部68に固定されている。
【0053】
第一の取付部12と第二の取付部14の連結経路上において、上下移動機構32と回動許容部54は、何れも、第二の取付部14よりも第一の取付部12に近い位置に配されている。これにより、第二の取付部14側は、構造が簡単で小型且つ軽量とされており、点滴台連結装置10の重量による点滴台82の転倒などが生じ難くなっていると共に、外側に位置する第二の取付部14側が小型とされることで、治療や搬送などの作業に際して邪魔になり難い
【0054】
かくの如き構造とされた点滴台連結装置10は、図8図9に示すように、患者搭載装置としてのストレッチャ80と点滴台82とを相互に連結する。ストレッチャ80は、患者を搭載する患者搭載面84の位置を上下方向で変更可能な昇降機能を有するものとされている。図8図10では、患者搭載面84が最も低い位置にある状態のストレッチャ80が示されている。ストレッチャ80は、車輪86によって移動可能とされている。点滴台82は、車輪88によって移動可能とされた基台90と、基台90から上方へ延び出す支柱92とを備えている。
【0055】
点滴台連結装置10の第一の取付部12は、挿入ロッド18がストレッチャ80に設けられた上下方向に延びる取付孔94に挿入されて、ストレッチャ80に対して着脱可能に取り付けられる。ストレッチャ80のフレームが回転制限部20の内側に差し入れられることにより、第一の取付部12の挿入ロッド18回りでの回転が、回転制限部20とストレッチャ80のフレームとの係止によって制限されている。これにより、第一の取付部12が取付孔94に対して取付孔94の周方向で位置決めされており、第一の取付部12に連結される上下移動機構32が、ストレッチャ80から側方へ離れた位置に保持されている。
【0056】
第一の取付部12は、ストレッチャ80に対して、上下方向において位置決めされて固定的に取り付けられていることが望ましい。例えば、挿入ロッド18がストレッチャ80の取付孔94に嵌め入れられたり、ストレッチャ80のフレームが回転制限部20の内側に嵌め入れられるなどして、第一の取付部12をストレッチャ80に対して上下方向で簡易に位置決めすることができる。もっとも、第一の取付部12とストレッチャ80をボルト固定する等して上下方向でより強固に位置決めすることも可能である。
【0057】
点滴台連結装置10の第二の取付部14は、点滴台82の支柱92に対して着脱可能に取り付けられる。即ち、一対の把持片22,24が開いた状態において、一対の把持片22,24の間へ点滴台82の支柱92を側方から略水平方向に差し入れる。そして、一対の把持片22,24を閉じて支柱92を一対の把持片22,24によって把持せしめた後、係止ロック26によって一対の把持片22,24を閉状態に保持する。これらにより、点滴台82の支柱92が一対の把持片22,24による把持状態に保たれて、第二の取付部14が点滴台82の支柱92に対して取り付けられる。なお、係止ロック26による一対の把持片22,24の拘束を解除して、一対の把持片22,24を開くことによって、支柱92を第二の取付部14から側方へ取り外すことが可能であり、第二の取付部14は点滴台82に対して、点滴台82を持ち上げるなどの特別な操作を必要とすることなく、着脱可能に取り付けられる。
【0058】
第二の取付部14は、点滴台82に対して、上下方向において位置決めされて固定的に取り付けられていることが望ましい。本実施形態では、一対の把持片22,24と支柱92との間に作用する摩擦抵抗力によって、第二の取付部14と点滴台82が上下方向で位置決めされている。例えば、摩擦係数の大きい材料で形成した滑止めが、一対の把持片22,24と支柱92との間に設けられていてもよい。
【0059】
このように、第一の取付部12がストレッチャ80に取り付けられると共に、第二の取付部14が点滴台82に取り付けられることにより、ストレッチャ80と点滴台82が点滴台連結装置10によって相互に連結される。そして、ストレッチャ80を移動させる際に、点滴台連結装置10によってストレッチャ80と連結された点滴台82が追従して移動することから、医療従事者や患者が点滴台82を持つ必要がない。
【0060】
図8に示すように、点滴台連結装置10は、ストレッチャ80と点滴台82の連結経路上に設けられた回動許容部54において、摺動部62の回動軸58回りの回転移動によって屈曲可能とされており、回動許容部54よりも第二の取付部14側に設けられた伸縮ロッド64が水平方向での揺動を許容されている。本実施形態において、第二の取付部14は、回動許容部54によって、図8中に二点鎖線で示す位置まで30°ずつ移動可能とされている。それゆえ、点滴台82のストレッチャ80に対する位置を、通路の広さ等に応じて変更することができる。また、伸縮ロッド64の伸縮変形によって、ストレッチャ80と点滴台82の距離を変更することも可能であり、ストレッチャ80と点滴台82の干渉を防ぐことができる。図8では、第一の取付部12をストレッチャ80の頭側の側方に配した状態が示されているが、第一の取付部12は頭側の他方の側方や足側に配することも可能であり、点滴台82のストレッチャ80に対する位置を適宜に変更できる。
【0061】
ここにおいて、点滴台連結装置10は、ストレッチャ80の患者搭載面84の昇降によるストレッチャ80と点滴台82の上下方向での相対変位を、ストレッチャ80と点滴台82の連結を解除することなく許容することができる。図9図10には、ストレッチャ80の患者搭載面84が下端位置に位置している場合が示されていることから、患者搭載面84の上昇について説明する。
【0062】
患者搭載面84が上昇する際に、患者搭載面84の周囲を囲むストレッチャ80のフレームに取り付けられた第一の取付部12には、ストレッチャ80から上向きの力が及ぼされる。第一の取付部12は、ハウジング34に固定されていることから、ハウジング34に上向きの力が伝達される。ハウジング34は、連結金具48を含む可動部38に対して、上方へ変位可能とされていることから、上向きの入力によって可動部38に対して上方へ変位する。従って、点滴台連結装置10は、第二の取付部14が図1に示す上端位置側から図7に示す下端位置側に向けて変位することにより、ストレッチャ80と点滴台82の水平方向での連結状態を維持しながら、ストレッチャ80の患者搭載面84の上昇を許容することができる。
【0063】
なお、点滴台連結装置10は、第二の取付部14が図7に示す下端位置側から図1に示す上端位置側に向けて変位することにより、ストレッチャ80と点滴台82の水平方向での連結状態を維持しながら、ストレッチャ80の患者搭載面84の下降を許容することもできる。要するに、点滴台連結装置10の上下移動機構32は、ストレッチャ80の点滴台82に対する上下両側への相対移動を許容する。
【0064】
ストレッチャ80の患者搭載面84は、必ずしも上端位置と下端位置の何れかに位置している必要はなく、上端位置と下端位置の間で任意の位置に停止可能とされていてもよいし、上端位置と下端位置の間で段階的に停止可能位置が設定されていてもよい。点滴台連結装置10の上下移動機構32は、第一の取付部12と第二の取付部14を上下方向の任意の相対位置に保持可能とされていることから、上下方向においてストレッチャ80の患者搭載面84と対応する位置に第一の取付部12を保持することができる。
【0065】
第一の取付部12がストレッチャ80に対して上下方向で固定的に取り付けられていると共に、第二の取付部14が点滴台82に対して上下方向で固定的に取り付けられている。これにより、例えば、ストレッチャ80が点滴台82に対して下方へ相対移動する際に、第一の取付部12がストレッチャ80に追従せずにストレッチャ80から外れてしまう不具合を防ぐことができる。また、ストレッチャ80が点滴台82に対して上方へ相対移動する際に、点滴台82の支柱92に対する第二の取付部14の取付位置が上下方向でずれてしまうのも防ぐことができる。従って、ストレッチャ80の昇降に際して、第一の取付部12と第二の取付部14の間に作用する力が、上下移動機構32へ有効に及ぼされて、上下移動機構32において可動部38をストレッチャ80の昇降に対応して上下方向へ移動させることができる。
【0066】
なお、前記実施形態の第一の取付部12に代えて、図11に示す点滴台連結装置100のような別構造の第一の取付部102を採用することもできる。以下の説明において、前記実施形態と実質的に同一の部材及び部位には、図中に同一の符号を付すことにより説明を省略する。また、図11では、要部だけを示すが、図示されていない第二の取付部側は、前記実施形態と同様の構造を採用することができる。
【0067】
第一の取付部102は、取付金具103を備えている。取付金具103は、上下逆向きの溝状とされており、一方の側壁部が下部において連結本体部16の上下移動機構32にボルト固定される連結板部104とされていると共に、他方の側壁部が後述する柵122を挟持する第一の挟持部106とされている。
【0068】
取付金具103の上部には、第一の挟持部106と連結板部104を対向方向に貫通する締結ねじ108が設けられている。締結ねじ108は、ボルトの頭部に手で把持して回転させるためのハンドルが取り付けられた構造を有している。締結ねじ108は、取付金具103に対して軸回りで回転可能とされていると共に、第一の挟持部106と連結板部104との対向間に設けられたスライダ112に対して螺合されている。なお、締結ねじ108は、先端に螺着された係止部材110と第一の挟持部106との係止によって、意図しない抜けが防止されている。
【0069】
スライダ112は、締結ねじ108に螺着されており、締結ねじ108の回転によって締結ねじ108の軸方向に移動する。スライダ112は、取付金具103の上底壁部に重ね合わされていることによって、締結ねじ108との連れ回りが防止されている。スライダ112には、挟持部材114が固定されている。
【0070】
挟持部材114は、固定部116と第二の挟持部118とを一体的に備えている。固定部116は、略平板形状とされており、スライダ112の下面に重ね合わされてスライダ112に固定されている。第二の挟持部118は、固定部116の連結板部104側の端部から下方へ延び出しており、第一の挟持部106と対向している。第二の挟持部118は、固定部116につながる上部が下方へ向けて次第に連結板部104に接近する方向へ傾斜していると共に、下部が下方へ向けて次第に連結板部104から離隔する方向へ傾斜する係止片120とされている。第二の挟持部118を備える挟持部材114は、締結ねじ108の回転によって、スライダ112と共に締結ねじ108の軸方向に移動する。
【0071】
第一の取付部102は、ストレッチャ80の柵122に取り付けられるようになっている。即ち、柵122の上端に設けられた手摺部124が、第一の挟持部106と第二の挟持部118の対向面間に差し入れられて、第一の挟持部106と第二の挟持部118によって挟持されることにより、第一の取付部102が柵122に対して取り付けられる。より詳細には、まず、締結ねじ108を緩めて第二の挟持部118を第一の挟持部106に対して離隔させた状態で、柵122の手摺部124を第一の挟持部106と第二の挟持部118の対向間へ差し入れる。次に、締結ねじ108を締めて第二の挟持部118を第一の挟持部106に対して接近させることにより、手摺部124が第一の挟持部106と第二の挟持部118の間で挟み込まれて、第一の取付部102が柵122に対して取り付けられる。また、第一の取付部102が柵122に取り付けられた状態で締結ねじ108を緩めることにより、柵122の手摺部124を第一の挟持部106と第二の挟持部118の対向間から外すことが可能であり、第一の取付部102は柵122に対して着脱可能に取り付けられる。手摺部124は、幅が大きくなっており、第二の挟持部118の係止片120が手摺部124の下方へ入り込むことにより、第一の取付部102が柵122に対して上下方向で固定的に位置決めされる。
【0072】
このように、前記実施形態に示した第一の取付部の具体的な構造は、あくまでも例示であって、限定的に解釈されるべきものではない。同様に、第二の取付部の具体的な構造も適宜に変更することが可能である。
【0073】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、患者搭載装置は、ストレッチャに限定されるものではなく、昇降機構を備えたベッドなどであってもよい。
【0074】
上下移動機構32において、可動部38への接触や異物の侵入等を防いで安定した作動を実現するために、ハウジング34を設けることが望ましいが、ハウジング34は必須ではなく、例えば、可動部38等の前記実施形態においてハウジング34に収容されていた部分が外部に露出していてもよい。
【0075】
前記実施形態では、ストレッチャ80に取り付けられる第一の取付部12が上下移動機構32のハウジング34に連結されて、上下方向で位置決めされていると共に、点滴台82に取り付けられる第二の取付部14が上下移動機構32の可動部38に連結されて、上下方向に移動可能とされた例を示した。しかしながら、例えば、第一の取付部12が上下方向に移動可能とされていてもよいし、第一の取付部12と第二の取付部14の両方が上下方向に移動可能とされていてもよい。即ち、前記実施形態では、連結本体部16において、第一の取付部12側の端部にだけ上下移動機構32が設けられていたが、例えば第一の取付部12側の端部に代えて又は加えて、連結本体部における第二の取付部14側の端部や連結本体部16の長さ方向の中間部分に上下移動機構を設けても良い。
【0076】
前記実施形態では、上下移動機構32として、スライド部42がガイドレール36に対してボールベアリング40を介して上下方向に摺動可能とされた一対のリニアタイプのスライド式ベアリングを備える構造を例示したが、変位を許容するための構造は、可動部38の上下方向の変位が実現されるものであれば特に限定されない。例えばリニアタイプの公知のリニアブッシュやリニアボールベアリングを採用しても良いし、ボールベアリングの他に摺動タイプのベアリング機構を採用しても良い。例えば、ハウジング34と可動部38の一方側に設けられるスリーブに対して、他方側に設けられるガイドロッドを挿入し、ガイドロッドをスリーブに対して挿入量が変化するように相対変位させることにより、可動部38のハウジング34に対する上下方向の変位が案内されるようにしてもよい。また、可動部38を対向する両側で支える一対のベアリング機構の他、可動部38を背後(挿入ロッド18側の壁部側)等に配される単一のベアリング機構によって上下方向に変位可能に支持することも可能である。
【0077】
定荷重ばね46によって第二の取付部14側の第一の取付部12側に対する下方への移動を抑制する落下防止機構は、必須ではなく、例えば、重力以外の外力が作用しない静置状態において、第二の取付部14側が第一の取付部12側に対して重力の作用で落下するようにしてもよい。その際、重力作用による不用意な自由落下を防止するために、落下防止機構として例えば下方への移動を制限するラチェット機構を採用し、当該ラチェットの解除用ボタンを手動で押圧操作することで下方への移動は意図的な操作で実現されるようにしても良い。
【0078】
また、落下防止機構は、重力作用による下方への自由落下を軽減乃至は防止するものであれば良く、定荷重ばね46によるものに限定されず、例えば、コイルばねの弾性に基づく付勢力、摩擦式スライダの摩擦抵抗力、バランスマスによる釣り合い等を利用して実現することもできる。なお、定荷重ばねとしても、例示の具体的構造に限定されるものでなく、例えばC型やN型などの何れの形式の定荷重ばねも採用可能である。また、定荷重ばねやコイルばね等の付勢手段、摩擦式スライダ、バランスマスによる釣り合い機構などについて、それらの複数を組み合わせて採用することも可能であり、更に、必要に応じて流体式などのダンパー機構を併せて採用することで上下移動速度を制限等するようにしても良い。
【0079】
回動許容部54、伸縮ロッド64(伸縮変形許容部)は必須ではなく、省略することもできる。また、変形許容部として、伸縮変形許容部に代えて或いは加えて、湾曲変形を許容する湾曲変形許容部を設けることもできる。湾曲変形許容部は、例えば、連結本体部において、特開2014-068908号公報に記載されているような柔軟で湾曲可能な部分を設けることによって実現され得る。
【0080】
また、前記実施形態では、連結本体部16において、伸縮ロッド64などによる伸縮変形許容部が設けられていたが、連結本体部16の長さは不変とされていても良いし、異なる態様の伸縮変形許容部を採用することもできる。例えば、内外筒66,68をコイルスプリング等で弾性的に連結することで、点滴台が何かに引っ掛かる等した場合に、その衝撃を吸収又は緩和するように、連結本体部16が弾性的に伸長するようにしても良い。
【0081】
また、前記実施形態では、連結本体部16において、第一の取付部12側の端部にだけ回動許容部54が設けられていたが、例えば第一の取付部12側の端部に代えて又は加えて、連結本体部16における第二の取付部14側の端部や連結本体部16の長さ方向の中間部分に回動許容部を設けても良い。また、第一の取付部12において、例えば挿入ロッド18を、ストレッチャ80の取付孔94に対して回動可能に挿入して取り付けることにより、回動許容部を構成することも可能である。尤も、鉛直軸回りの回動許容部54は、本発明において必須ではないし、かかる回動許容部54において周方向の回動を解除可能に規制する機構を設けないで、常時フリーに回動を許容するようにしても良い。
【0082】
また、前記実施形態では、上下移動機構32において、第一の取付部12側と第二の取付部14側との上下方向の相対変位が常時許容されていたが、必要に応じて、上下方向の相対移動を制限又は阻止するストッパ機構を採用することも可能である。かかるストッパ機構は、例えば相対的に上下変位する部材(ハウジング34と可動部38など)を固定的に位置決めするロックピンやロックねじなどによって実現可能である。
【0083】
また、前記実施形態では、患者搭載装置の一例としてストレッチャに対して本発明に係る点滴台連結装置を装着した場合を例示したが、本発明に係る点滴台連結装置は、患者搭載面の昇降機構を備えているか否かに拘わらず、ストレッチャの他にもベッドや車椅子など、各種の患者搭載装置に対する点滴台の連結に際して用いられ得る。
【符号の説明】
【0084】
10 点滴台連結装置(第一の実施形態)
12 第一の取付部
14 第二の取付部
16 連結本体部
18 挿入ロッド
20 回転制限部
22 第一の把持片
24 第二の把持片
26 係止ロック
28 ロック金具
30 受部
32 上下移動機構
34 ハウジング
36 ガイドレール
38 可動部
40 ボールベアリング
42 スライド部
44 軸部材
46 定荷重ばね(落下防止機構 付勢手段)
48 連結金具
50 円形孔
52 スリット
54 回動許容部
56 ブラケット
58 回動軸
60 位置決め凹部
62 摺動部
64 伸縮ロッド(伸縮変形許容部)
66 外筒部
68 内筒部
70 ロックねじ
72 ガイド突起
74 ガイド孔
75 開口部
76 操作部
77 位置決めピン
78 板ばね
79 リング状部
80 ストレッチャ(患者搭載装置)
82 点滴台
84 患者搭載面
86 車輪
88 車輪
90 基台
92 支柱
94 取付孔
100 点滴台連結装置(第二の実施形態)
102 第一の取付部
103 取付金具
104 連結板部
106 第一の挟持部
108 締結ねじ
110 係止部材
112 スライダ
114 挟持部材
116 固定部
118 第二の挟持部
120 係止片
122 柵
124 手摺部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11