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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187067
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】炊飯器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20221212BHJP
   A47J 27/09 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
A47J27/00 103P
A47J27/09
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094874
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】番匠 雄介
(72)【発明者】
【氏名】西嶋 礼
(72)【発明者】
【氏名】森田 賢治
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA02
4B055BA01
4B055BA31
(57)【要約】      (修正有)
【課題】圧力が加わった状態での外蓋を開けようとしたときに外蓋が開かないよう安全性を確保しつつ、圧力がかかっていない状態で外蓋を開けるときの操作ボタンを押し下げる操作荷重が軽くなるよう操作性を改善させる。
【解決手段】外蓋に設けられた回転自在のフックレバー15と、本体の上枠に設けられフックレバーの一端と係止するフック受け部と、外蓋の上面に設けられフックレバーの他端を押し下げてフックレバーとフック受け部との係止状態を解除する操作ボタン10と、操作ボタンの外周に設けられ操作ボタンを押し下げた時にフックレバーを押し下げる方向に動作する枠体形状のボタンレバー14と、ボタンレバーの対抗する枠体間に操作ボタンの下面に位置し、操作ボタンの押し下げ力に応じて変形しながら操作ボタンの押し込み力をボタンレバーに伝える連結バネ13を備えた炊飯器であって、連結バネは予め撓ませた状態でボタンレバーに固定されている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体内に着脱自在に収納された内釜と、前記内釜の上部を覆う外蓋と、前記外蓋に設けられた蒸気通路と、前記蒸気通路に設けられ前記内釜内の圧力を調整する調圧弁と、前記調圧弁を動作させて前記蒸気通路を開閉制御する調圧制御手段と、前記外蓋を前記本体に開閉自在に保持するヒンジ部と、前記ヒンジ部と反対側の前記外蓋に設けられた回転自在のフックレバーと、前記本体の上枠に設けられ前記フックレバーの一端と係止するフック受け部と、前記外蓋の上面に設けられ前記フックレバーの他端を押し下げて前記フックレバーと前記フック受け部との係止状態を解除する操作ボタンと、前記操作ボタンの外周に設けられ前記操作ボタンを押し下げた時に前記フックレバーを押し下げる方向に動作する枠体形状のボタンレバーと、前記ボタンレバーの対抗する枠体間に前記操作ボタンの下面に位置し、前記操作ボタンの押し下げ力に応じて変形しながら前記操作ボタンの押し込み力を前記ボタンレバーに伝える連結バネを備えた炊飯器であって、
前記連結バネは予め撓ませた状態で前記ボタンレバーに固定されていることを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
請求項1に記載の炊飯器において、
前記連結バネは、
前記内釜内部に圧力がかかっている状態で前記操作ボタンを押し下げた際に、前記ボタンレバーが押し下げられないように変形し、
前記内釜内部に圧力がかかっていない状態で前記操作ボタンを押し下げた際に、変形しないように前記ボタンレバーに撓ませてた状態で固定されていることを特徴とする炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は炊飯器にかかり、特に圧力式炊飯器の外蓋を開閉する操作部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の炊飯器では、炊飯中に内釜内部に圧力が加わった状態で外蓋を開けた場合、内部の圧力により外蓋が勢い良く開き、さらに内釜内部の熱水やお米が内釜の外に飛散する危険な状態を防ぐため、例えば、特許文献1に示すように、フック受け部の先端部を下向きに傾斜させ、フックレバーの先端係止部を上向きの傾斜させた構造を備えている。このような構造を備えることで、内釜内部が加圧されている時は、外蓋が上方へ押しあがられた状態になり、フック先端の回転軌跡上にフック受け部の下向きの先端部が存在してフックが回転できなくなるようにし、外蓋が開くことを不可能としている。
【0003】
しかし、炊飯中に炊飯を取りやめたり、内釜内部の圧力が抜かれたりしたときには、初めは急激に圧力が抜けその後内釜内部の圧力が完全に大気圧と同じ状態に戻るまで、短時間であるが時間を要する。この間は、外蓋を上方に持ち上げる力は低くなっており、この時に外蓋を強大な力で開けようとした場合には、外蓋が開く可能性がある。内釜内部の圧力は炊飯中に比べて低い状態となっているので危険性はないが、通常に比べると外蓋の開閉に勢いがあったりするため、使用者に不安を感じさせることがある。
【0004】
そのため特許文献2に示すように、外蓋を開閉する操作ボタンの外周に該操作ボタンを押し下げたときにフックレバーを押し下げる方向に動作する枠体形状のボタンレバーを設け、操作ボタンの下面に配置され該操作ボタンの押し下げ力に応じて変形しながら該操作ボタンの押し込み力をボタンレバーに伝える線材からなる連結バネをボタンレバーの対向する枠体間に設ける構造が提案されている。この構造により、操作ボタンを押し下げて外蓋を開ける時、フックレバーがフック受け部に係止している摩擦力が連結バネの変形した形状が元に戻る復元力より強いときは、操作ボタンの押し込み力を連結バネの変形により吸収し、操作ボタンがボタンレバーの枠体内に入り込み外蓋が開かない。すなわち、特許文献2では、炊飯中に炊飯を止めたときなど内釜内部の圧力が大気圧に戻るまでの間に過大な力で外蓋を開ける操作を行っても、新たに設けた連結バネの変形により押込み力を吸収し、外蓋が開放しないよう安全性を向上している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-316号公報
【特許文献2】特開2010-284290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に示す構造では、内釜内部に圧力かかっていない時に蓋を開ける際に連結バネを撓ませながら操作ボタンを押し下げるため、連結バネの変形に対する復元力により操作時にかかる操作荷重が重くなる。
【0007】
本発明の目的は、内釜内部に圧力が加わった状態での外蓋を開けようとしたときに外蓋が開かないよう安全性を確保しつつ、内釜内部に圧力がかかっていない状態で外蓋を開けるときの操作ボタンを押し下げる操作荷重が軽くなるよう操作性を改善させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために、本発明の炊飯器は、特許請求の範囲に記載のように構成したものである。
具体的には、本発明の炊飯器は、例えば、本体内に着脱自在に収納された内釜と、前記内釜の上部を覆う外蓋と、前記外蓋に設けられた蒸気通路と、前記蒸気通路に設けられ前記内釜内の圧力を調整する調圧弁と、前記調圧弁を動作させて前記蒸気通路を開閉制御する調圧制御手段と、前記外蓋を前記本体に開閉自在に保持するヒンジ部と、前記ヒンジ部と反対側の前記外蓋に設けられた回転自在のフックレバーと、前記本体の上枠に設けられ前記フックレバーの一端と係止するフック受け部と、前記外蓋の上面に設けられ前記フックレバーの他端を押し下げて前記フックレバーと前記フック受け部との係止状態を解除する操作ボタンと、前記操作ボタンの外周に設けられ前記操作ボタンを押し下げた時に前記フックレバーを押し下げる方向に動作する枠体形状のボタンレバーと、前記ボタンレバーの対抗する枠体間に前記操作ボタンの下面に位置し、前記操作ボタンの押し下げ力に応じて変形しながら前記操作ボタンの押し込み力を前記ボタンレバーに伝える連結バネを備えた炊飯器であって、前記連結バネは予め撓ませた状態で前記ボタンレバーに固定されている。
好ましくは、前記連結バネは、前記内釜内部に圧力がかかっている状態で前記操作ボタンを押し下げた際に、前記ボタンレバーが押し下げられないように変形し、前記内釜内部に圧力がかかっていない状態で前記操作ボタンを押し下げた際に、変形しないように前記ボタンレバーに撓ませてた状態で固定されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、内釜内部に圧力が加わった状態での外蓋を開けようとしたときに外蓋が開かないよう安全性を確保しつつ、内釜内部に圧力がかかっていない状態で外蓋を開けるときの操作ボタンを押し下げる操作荷重が軽くなり、外蓋開操作の操作性を改善させることができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施例に係る炊飯器の縦断面図である。
図2図1における炊飯器の外蓋の蓋外面部材カバーを取り除いた内部説明図である。
図3図1における炊飯器の外蓋の主要拡大断面図(図1のA部)である。
図4図1における炊飯器の制御のブロック図である。
図5図1における炊飯器の外蓋の開閉機構を説明する斜視図である。
図6図1における炊飯器の外蓋の開閉機構における連結バネが変形している時の斜視図である。
図7】本発明の一実施例に用いられる連結バネの固定状態を示す図(a)と従来の連結バネの固定状態を示す図(b)である。
図8】本発明の一実施例における連結バネの通常固定時と操作ボタン押込み時の状態を示した図である。
図9】本発明の他の実施例に係る炊飯器の外観図である。
図10図9の炊飯器の外蓋の蓋外面部材カバーを取り除いた内部を説明する図である。
図11図10のボタンレバー14に連結バネを撓ませて取り付ける方法を説明する図である。
図12】本発明の他の実施例における連結バネの通常固定時と操作ボタン押込み時の状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施例について図面を用いて説明する。
【0012】
先ず、本発明が適用される炊飯器の構造例について図1から図6に従って説明する。なお、同様な炊飯器の構造は、特許文献2にも記載されており、また、炊飯器の構造は以下の構成に限定されるものではない。
図1において、炊飯器の本体1は、内側に上面が開口した保護枠12が設けられ、保護枠12内には内釜2が着脱自在に収納されている。
内釜2は、上面が開口した有底筒状であり、その上端部は本体1から着脱操作がしやすいように外向きに略水平に折り曲げられ、本体1の上面に載置されている。
保護枠12の外側底部には内釜2の底面部を誘導加熱する加熱手段4が設けられ、保護枠12と本体1との間の前面側空間部には制御部5が配置され、該制御部5の働きによって加熱手段4を制御する。
図2図3に示すように、外蓋3は、蓋内面部材3aと蓋外面部材3bと蓋外面部材カバー3cで構成されている。
蓋内面部材3aには、図1における内釜2の上面開口部を覆う内蓋6が着脱自在に取付けられている。該内蓋6の下面周縁部に取付けられたシールパッキン7を内釜2の上端全周に当接して内釜2と内蓋6とで構成される空間を密閉状態に保持している。
内蓋6の略中央部には内釜2に連通する調圧弁8が設けられている。調圧弁8を閉じると、該内釜2内を所定の圧力(本実施例では1.3気圧)に調整しながら、蒸気は外蓋3に設けられた蒸気通路9を経て該外蓋3に着脱自在に取付けた蒸気口キャップ18へ導かれ、排気口18aより本体1の外に排出される。調圧弁8を開くと、該内釜2内と外気とは排気口18aを経て連通状態となり内釜2内には圧力が加わらない。
また、図1に示すように、外蓋3(蓋内面部材3a)の一方(図面右側)には外蓋3を開閉自在に軸支する回転軸22(ヒンジ部)が設けられ、図1図3図5及び図6に示すように、外蓋3の回転軸22と対向する側(図面左側)には本体1に設けたフック受け部17と係止して外蓋3が開かないようにする略コ字状の断面を有するフックレバー15が設けられ、フックレバー15はフック軸16を支点として回転自在に軸支されている。
そして、図3図5及び図6に示すように、フックレバー15は、フック軸16を挟んで一端に鉤状部15a、他端に押下部15bが設けられ、鉤状部15aがフック受け部17に係止すると押下部15bが押されない限り外蓋3が開かないようになっている。なお、特許文献1に示すように、フック受け部17の先端部は下向きに傾斜しており、フックレバー15の鉤状部15aが上向きの傾斜している。内釜内部が加圧されている時は、外蓋が上方へ押し上がられた状態になり、鉤状部15aの回転軌跡上にフック受け部17の下向きの先端部が存在してフックレバー15が回転できなくなるようにし、外蓋3が開くことを不可能としている。
外蓋3の蓋外面部材3bは、フックレバー15の押下部15bの略上面に位置する部分を略四角形に切欠き、該切欠き部3b-1に操作ボタン10と、該操作ボタン10を囲むように形成された枠体形状(略四角形状)のボタンレバー14が配置されている。
操作ボタン10及びボタンレバー14は、フックレバー15の押下部15bと反対側がボタン軸10a及びボタン軸10aと同軸のボタンレバー軸14aによって蓋外面部材3bの切欠き部3b-1の縁部に回転自在に軸支され、ボタンレバー14の押下部15b側は、該押下部15bの上面に位置している。このとき、操作ボタン10は蓋外面部材カバー3cより上面に突出するようにボタン軸10aに軸支される。
【0013】
ボタンレバー14のボタン軸10aと対向しない側(ボタン軸10aと直交する方向)の枠体間には、操作ボタン10の下面に位置し、該下面が載るようにステンレス線等、弾力性のある線材からなる連結バネ13が設けられている。連結バネ13の両端は、図5及び図6に示すように、ボタンレバー14の枠体に引っ掛けられている。
【0014】
本実施例ではこの連結バネ13をボタンレバー14の枠体に撓ませて固定している。図7に、ボタンレバー14に固定したときの連結バネ13の状態を示す。(a)は本実施例の連結バネ13の固定状態を示し、(b)は比較のため従来の連結バネ13の固定状態を示す。本実施例では、ボタンレバー14の枠体で連結バネ13を撓ませるように両端を枠体に固定している。予め故意に連結バネ13を撓ませて固定することで、操作ボタン10の上方からの小さい押し込み力では連結バネ13は変形しない剛体の状態となる。すなわち、固定時の連結バネ13の復元力は枠体で押えており、枠体で押さえられている連結バネ13の復元力よりも大きい反対方向の押し込み力が連結バネ13に作用しないと連結バネ13は変形しない。したがって、本実施例において、剛体の状態とは、枠体で押さえられている連結バネ13の復元力の大きさと同程度の押し込み力では連結バネ13が変形しない状態を意味する。内釜内部に圧力がかかっていない時に外蓋を開ける際には連結バネ13が剛体の状態となるため、操作ボタン10を押し込む際には連結バネ13の復元力がかからない状態で、その押込み力をボタンレバー14に伝えられるようになる。なお、連結バネ13のボタンレバー14への固定方法については後述する。
【0015】
そして、ボタンレバー14は、操作ボタン10を上から押し込むと、ボタンレバー軸14aを中心に回転してフックレバー15の押下部15bを押し下げ、押し下げられたフックレバー15はフック軸16を中心に回転して、フックレバー15の鉤状部15aがフック受け部17から外れ、外蓋3が開放される。
蒸気口キャップ18と調圧弁8との間の蒸気通路9には、調圧弁8の近傍に位置するように蒸気温度センサー19が設けられている。
制御部5には、図4に示すように蒸気温度センサー19と、内釜2の底部の温度を検出する釜底温度センサー20と、加熱手段4と、調圧弁8の調圧動作を行わせる調圧制御手段11が接続されており、蒸気温度センサー19と釜底温度センサー20からの情報により加熱手段4と、調圧弁8を閉じる調圧動作と調圧弁8が開放して内釜2内に圧力が加わらない状態とを切替制御している。
蒸気口キャップ18は、外蓋3に蒸気通路9と連なるように上面から着脱自在に取付けられている。蒸気口キャップ18は、蒸気通路9から排出される蒸気の温度を下げるように蒸気口キャップ18の内部には蒸気通路9から流入した蒸気を排気口18aまで導く長い風路が設けられている。
【0016】
使用者が内釜2に適量の米と水を入れ、内釜2を保護枠12に挿入し、外蓋3を閉めると、外蓋3は回転軸22を支点として回転し、フックレバー15はフック軸16を支点に回転動作してフックレバー15の鉤状部15aがフック受け部17を乗り越え、該フック受け部17に係止して外蓋3が閉まる。
【0017】
この状態で外蓋3を開ける場合は、内釜2と内蓋6とで構成される空間は蒸気通路を介して外気と連通しているので圧力はかかっておらず、圧力による外蓋3を上方に押し上げようとする力が無い。このため、フックレバー15の鉤状部15aとフック受け部17との係止力は弱く、図5図8(a)に示すように、使用者が外蓋3を開けようと軽い力で操作ボタン10を下方向に押し込み操作をすると、操作ボタン10が下方向に動いた力に対して、連結バネ13は撓ませて固定し剛体の状態となっており該操作ボタンの押込み力では変形しないため、変形による復元力がかからない状態で、操作ボタン10に加わった力をボタンレバー14に伝え、ボタンレバー14はフックレバー15の押下部15bを下に押す。これによって、フックレバー15は、フック軸16を中心に回転し、フックレバー15の鉤状部15aとフック受け部17との係止を解除して外蓋3が開かれる。なお、図8(b)は比較のため従来の連結バネ13の状態を示す。従来の連結バネ13の固定状態では連結バネ13は撓ませていないので、内釜内部に圧力かかっていない時に使用者が外蓋3を開けようと操作ボタン10を下方向に押し込み操作をすると、連結バネ13を撓ませながら操作ボタン10を押し下げるため、連結バネ13の変形に対する復元力により操作時にかかる操作荷重が重くなる。
【0018】
再び外蓋3を閉め、使用者が炊飯を行うために操作部の炊飯開始ボタン(図示省略)を操作すると、制御部5の働きによって炊飯が開始する。
予め定められた炊飯動作に従い、最初にお米への吸水を促進させる浸し工程が実施される。釜底温度センサー20の所定温度(本実施例では60℃)に応じて加熱手段4が内釜2を加熱(本実施例では400W)し、内釜2内部の水温を55~60℃に維持してお米への吸水を促進する。
所定時間(本実施例では15分)が経過すると、制御部5は加熱手段4の加熱量を増大(本実施例では1000W)させるとともに、調圧制御手段11が動作して調圧弁8で内釜2内の圧力を調整するように動作する。
やがて内釜2内部の水温が高まると蒸気の発生によって内釜2内部の圧力が高まり、調圧弁8の動作圧である1.3気圧まで高まると、1.3気圧に応じた107℃の沸点で沸騰を開始するとともに、調圧弁8の動作で放出された蒸気が蒸気通路9へと放出される。
蒸気通路9には調圧弁8の近傍に蒸気温度センサー19が設けられているので、蒸気によって加熱された蒸気温度センサー19の温度上昇により、蒸気の流入を検出し、制御部5は一定温度以上になることで沸騰を認識する。
制御部5は加熱手段4の加熱量を低下(本実施例では500W)させるが、この加熱量は調圧弁8の動作圧である1.3気圧を維持し、この気圧の沸点である107℃の沸騰を継続、または断続的に継続させる。
この間、内釜2に圧力が加わった状態では、外蓋3は100kg程度の力で上方に押し上げられ、その結果、フックレバー15の鉤状部15aとフック受け部17は強固に係合し、荷重による摩擦力によって容易に外れることはない。
【0019】
この状態で使用者が誤って外蓋3を開けようとして、操作ボタン10を操作すると、フックレバー15は軽微な力で容易に回転できる状態ではないので、ボタンレバー14も下方向に動くことはできない。このため、操作ボタン10を強く押し込むと、枠体で押さえられている連結バネ13の復元力よりも大きい反対方向の押し込み力が連結バネ13に作用することになり、連結バネ13が変形して、操作ボタン10の操作力を吸収する。図6に示すように、操作ボタン10を強く押し込むと、押し込む力に比例して連結バネ13は下側に変形し、操作ボタン10はボタンレバー14の枠体の内側に深く入り込む。このとき連結バネ13には予め撓ませ変形した形状を元に戻そうとする復元力が働いており、該復元力以上は連結バネが変形するように設けられているため、操作ボタン10の押し込み力が連結バネ13を介してボタンレバー14に作用してもボタンレバー14が下方向に動くことはない。これによって使用者が操作ボタン10を押しても外蓋3が開かず、安全が確保される。
【0020】
一方、炊飯の途中で炊飯を中止するために切操作をした場合には、制御部5は加熱手段4への電力の通電を停止して加熱を止め、調圧制御手段11の動作を止め、調圧弁8を開放させる。
これによって内釜2内の蒸気は、調圧弁8が開放されると蒸気通路9と蒸気口キャップ18内の風路を通って排気口18aから放出される。しかし、蒸気が放出されるまでの経路が長いため経路抵抗が生じ、一瞬に内釜2内の圧力が外気と同じ圧力になることはなく、短時間ではあるが、弱い圧力が内釜2内に残り、時間の経過とともに大気圧と同じ圧力に戻る。
【0021】
この弱い圧力が内釜2内に残っている状態で、外蓋3を開ける操作が行われた場合、連結バネ13が変形して元に戻る復元力を、弱い圧力が内釜2内に残っている状態でのフックレバー15の鉤状部15aとフック受け部17とを係止している摩擦力よりも小さくなるように設定することで、連結バネ13が変形して操作ボタン10の操作力を吸収するので、フックレバー15の鉤状部15aとフック受け部17の係止が外れることはない。なお、連結バネ13を剛体の状態とするため、連結バネ13のバネ力を単に強くし、図7(b)に示す従来のように連結バネ13を撓ませないで枠体に固定した場合には、復元力を小さくすることができないが、本実施例では剛体の状態と復元力を小さく設定することを両立でき、外蓋開操作の安全性と操作ボタンの操作性の双方を改善することができるる。
【0022】
以上説明したように、本実施例によれば、炊飯中に炊飯を止めた時など、内釜内部の圧力が大気圧まで戻らない状態で、過大な力で外蓋を開ける操作を行っても外蓋を開放することができず、使用者に不安を感じさせることがなく,また内釜内部に圧力がかかっていない状態でも軽く外蓋が空けられるような炊飯器を提供できる。
【0023】
また、内釜2に圧力が加わった状態で操作ボタン10を強く押し込んでも、操作ボタン10の押し込まれる動きをボタンレバー14の枠体内で行うので、外蓋3の高さを厚くする必要がなく、コンパクトな炊飯器を提供できる。
【0024】
上述の実施例では、操作ボタン10がボタン軸10aに軸支されているが、操作ボタン10とボタンレバー14とが連結バネ13を介して相対移動可能になっていれば良く、操作ボタン10はボタン軸10aに軸支されていなくても良い。以下に、図9図12を参照しながら、操作ボタン10がボタン軸10aに軸支されていない実施例と、連結バネ13のボタンレバー14への取り付け方法について説明する。
【0025】
図9は本実施例の炊飯器の外観を示し、図10図9の炊飯器の外蓋3の蓋外面部材カバーを取り除いた内部を説明する図である。本実施例では、ボタンレバー14に複数の穴が形成されており、その一部の穴に操作ボタン10に設けた複数の爪部10-2を挿入して操作ボタン10が抜けないようにしながら、操作ボタン10をボタンレバー14に対して相対移動可能なようにしている。また、操作ボタン10の中央下部には連結バネ13と接触するリブ10-1が設けられている。操作ボタン10のリブ10-1は、ボタンレバー14に形成したリブ貫通孔14-1(図11参照)を貫通して連結バネ13に接触するようになっている。連結バネ13はボタンレバー14に撓ませた状態で取り付けられている。なお、ボタンレバー14のボタンレバー軸14aが上述の実施例(図5図6参照)とは反対側に位置しているが上述の実施例と同様な位置にボタンレバー軸14aを配置しても良い。
【0026】
図11に連結バネ13をボタンレバー14に撓ませた状態で取り付ける方法を示す。ボタンレバー14には二つの長孔14-2が形成されており、二つの長孔14-2の間には操作ボタン10のリブ10-1が貫通するリブ貫通孔14-1が形成されている。図11の(a)(b)に示すように、一方の長孔14-2に連結バネ13の一端を挿入し、リブ貫通孔14-1の下部を通過させて、他方の長孔14-2から連結バネ13の一端を取り出す(c)。この状態で連結バネ13を回転して、ボタンレバー14の枠体に連結バネ13の両端が係止されるようする。これにより、図7(a)に示すように、連結バネ13が撓んだ固定状態となる。
【0027】
図12に本実施例における連結バネ13の通常固定時と操作ボタン押込み時の状態を示す。本実施例においても、上述の実施例と同様に、内釜2に圧力がかかっていない状態で外蓋3を開ける場合は、使用者が外蓋3を開けようと軽い力で操作ボタン10を下方向に押し込み操作をすると、操作ボタン10が下方向に動いた力に対して、連結バネ13は撓ませて固定し剛体の状態となっており該操作ボタンの押込み力では変形しないため、変形による復元力がかからない状態で、操作ボタン10に加わった力をボタンレバー14に伝え、ボタンレバー14はフックレバー15の押下部15bを下に押す。これによって、フックレバー15は、フック軸16を中心に回転し、フックレバー15の鉤状部15aとフック受け部17との係止を解除して外蓋3が開かれる。そして、本実施例においても、内釜内部に圧力が加わった状態での外蓋を開けようとしたときに外蓋が開かないよう安全性を確保しつつ、内釜内部に圧力がかかっていない時の外蓋を開けるときの操作ボタンを押し下げる操作荷重が軽くなるよう操作性を改善させることができる。
【0028】
なお、本発明は、上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0029】
例えば、上述の実施例では、連結バネ13をボタンレバー14のボタン軸10aと対向しない側の枠体間に設けているが、ボタン軸10aと対向する側の枠体間に設けることもできる。
【符号の説明】
【0030】
1 本体
2 内釜
3 外蓋
4 加熱手段
5 制御部
6 内蓋
8 調圧弁
10 操作ボタン
13 連結バネ
14 ボタンレバー
15 フックレバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12