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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187084
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/72 20060101AFI20221212BHJP
【FI】
B65D5/72 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094897
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000205306
【氏名又は名称】大阪シーリング印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】村中 成仁
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA04
3E060BA23
3E060BB01
3E060CF10
3E060DA17
3E060DA30
3E060EA13
3E060EA14
(57)【要約】
【課題】傾斜角度を任意に変更することができる包装箱を提供する。
【解決手段】前壁面20に開口窓20Bが設けられると共に、所定の内容物Nを収納可能な包装箱本体2と、
開口窓20Bを開放閉止可能な開閉部材3と、を有し、
包装箱本体2と、開閉部材3とは、別体として設けられ、
開閉部材3は、
包装箱本体2内に設けられると共に、開口窓20B側に向かって下り状に傾斜する傾斜部30と、
包装箱本体2外に設けられると共に、開口窓20Bを開放閉止できるように、傾斜部30に対して傾動可能に一体的に設けられる開閉部31と、を有してなる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側面に開口窓が設けられると共に、所定の内容物を収納可能な包装箱本体と、
前記開口窓を開放閉止可能な開閉部材と、を有し、
前記包装箱本体と、前記開閉部材とは、別体として設けられ、
前記開閉部材は、
前記包装箱本体内に設けられると共に、前記開口窓側に向かって下り状に傾斜する傾斜部と、
前記包装箱本体外に設けられると共に、前記開口窓を開放閉止できるように、前記傾斜部に対して傾動可能に一体的に設けられる開閉部と、を有してなる包装箱。
【請求項2】
前記開口窓には、上部側に突起部が設けられてなる請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記包装箱本体の一側面には、係止孔が設けられ、
前記開閉部には、前記係止孔に係止可能な係止片が設けられてなる請求項1又は2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記開閉部の両側面には、該開閉部の傾動動作に伴い、前記開口窓内を通って、前記包装箱本体内に挿抜可能な一対の壁部が設けられており、
前記一対の壁部には、夫々、前記開閉部が前記開口窓を開放する方向に傾動した際、前記包装箱本体の一側面の内面に当接する当接片が設けられてなる請求項1~3の何れか1項に記載の包装箱。
【請求項5】
前記包装箱本体の一側面の両側面には、夫々、前記開口窓と連通する切欠き部が設けられ、
前記切欠き部には、前記一対の壁部が夫々挿入されてなる請求項4に記載の包装箱。
【請求項6】
前記傾斜部の幅は、前記開閉部の幅よりも幅狭に形成されてなる請求項1~5の何れか1項に記載の包装箱。
【請求項7】
前記開閉部の下部側には、支持片が設けられ、
前記包装箱本体には、前記支持片と対向する位置に、該支持片を係止可能な支持孔が設けられてなる請求項1~6の何れか1項に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の包装箱として、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1に記載の包装箱は、下面に下面開口部を有し、内部に内容物を収容する周壁と、下面開口部を塞ぐように周壁の後方の下端部から前方に向かって延びて周壁の前方の下端部に接触または近接した状態に設けられ、下方に撓むことで周壁の前方の下端部との間に内容物を取り出すための隙間を形成する底壁と、を備えているというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-193067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような包装箱は、底壁の傾斜角度を任意に変更することができないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、傾斜角度を任意に変更することができる包装箱を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0007】
請求項1の包装箱によれば、一側面(前壁面20)に開口窓(20B)が設けられると共に、所定の内容物(N)を収納可能な包装箱本体(2,2A,2B)と、
前記開口窓(20B)を開放閉止可能な開閉部材(3,3A,3B)と、を有し、
前記包装箱本体(2,2A,2B)と、前記開閉部材(3,3A,3B)とは、別体として設けられ、
前記開閉部材(3,3A,3B)は、
前記包装箱本体(2,2A,2B)内に設けられると共に、前記開口窓(20B)側に向かって下り状に傾斜する傾斜部(30)と、
前記包装箱本体(2,2A,2B)外に設けられると共に、前記開口窓(20B)を開放閉止できるように、前記傾斜部(30)に対して傾動可能に一体的に設けられる開閉部(31)と、を有してなることを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明によれば、上記請求項1に記載の包装箱(1,1A,1B)において、前記開口窓(20B)には、上部側に突起部(20Ba)が設けられてなることを特徴としている。
【0009】
請求項3の発明によれば、上記請求項1又は2に記載の包装箱(1,1A,1B)において、前記包装箱本体(2,2A,2B)の一側面(前壁面20)には、係止孔(20A)が設けられ、
前記開閉部(31)には、前記係止孔(20A,20AA)に係止可能な係止片(31A,31AA)が設けられてなることを特徴としている。
【0010】
請求項4の発明によれば、上記請求項1~3の何れか1項に記載の包装箱(1,1A,1B)において、前記開閉部(31)の両側面(左側面31a,右側面31b)には、該開閉部(31)の傾動動作に伴い、前記開口窓(20B)内を通って、前記包装箱本体(2,2A,2B)内に挿抜可能な一対の壁部(左壁部32,右壁部33)が設けられており、
前記一対の壁部(左壁部32,右壁部33)には、夫々、前記開閉部(31)が前記開口窓(20B)を開放する方向に傾動した際、前記包装箱本体(2,2A,2B)の一側面(前壁面20)の内面(20C)に当接する当接片(34)が設けられてなることを特徴としている。
【0011】
請求項5の発明によれば、上記請求項4に記載の包装箱(1,1A,1B)において、前記包装箱本体(2,2A,2B)の一側面(前壁面20)の両側面には、夫々、前記開口窓(20B)と連通する切欠き部(20B1)が設けられ、
前記切欠き部(20B1)には、前記一対の壁部(左壁部32,右壁部33)が夫々挿入されてなることを特徴としている。
【0012】
請求項6の発明によれば、上記請求項1~5の何れか1項に記載の包装箱(1,1A,1B)において、前記傾斜部(30)の幅(横幅W2)は、前記開閉部(31)の幅(横幅W1)よりも幅狭に形成されてなることを特徴としている。
【0013】
請求項7の発明によれば、上記請求項1~6の何れか1項に記載の包装箱(1B)において、前記開閉部(31)の下部側には、支持片(30B)が設けられ、
前記包装箱本体(2B)には、前記支持片(30B)と対向する位置に、該支持片(30B)を係止可能な支持孔(20BcB)が設けられてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0015】
請求項1の発明によれば、包装箱本体(2,2A,2B)と、開閉部材(3,3A,3B)とは、別体として設けられているから、開閉部材(3,3A,3B)の傾斜部(30)の傾斜角度だけを自由に変更することが可能となる。それゆえ、本発明によれば、傾斜角度を任意に変更することができる包装箱を提供することができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、開口窓(20B)には、上部側に突起部(20Ba)が設けられているから、複数の所定の内容物(N)が開口窓(20B)より外側に飛び出してしまう事態を防止することができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、開閉部(31)に設けられている係止片(31A,31AA)を係止孔(20A,20AA)に係止するようにすれば、開閉部(31)によって開口窓(20B)を閉止している状態を維持することができる。これにより、開口窓(20B)より所定の内容物(N)が誤って外に飛び出してしまう事態を低減させることができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、一対の壁部(左壁部32,右壁部33)には、夫々、開閉部(31)が開口窓(20B)を開放する方向に傾動した際、包装箱本体(2,2A,2B)の一側面(前壁面20)の内面(20C)に当接する当接片(34)が設けられている。これにより、当接片(34)を一対の壁部(左壁部32,右壁部33)の自由な位置に設けるようにすれば、包装箱本体(2,2A,2B)の一側面(前壁面20)に対して所望する角度位置で開閉部(31)を停止させることができる。
【0019】
請求項5の発明によれば、切欠き部(20B1)には、一対の壁部(左壁部32,右壁部33)が夫々挿入されているから、一対の壁部(左壁部32,右壁部33)は、切欠き部(20B1)内を通って、包装箱本体(2,2A,2B)内に挿抜されることとなる。これにより、一対の壁部(左壁部32,右壁部33)は、開口窓(20B)の形状に左右されることなく、スムーズに包装箱本体(2,2A,2B)内に挿抜されることとなる。
【0020】
請求項6の発明によれば、傾斜部(30)の幅(横幅W2)は、開閉部(31)の幅(横幅W1)よりも幅狭に形成されている。これにより、傾斜部(30)が邪魔をして開閉部(31)が包装箱本体(2,2A,2B)の開口窓(20B)より外部に露出し難くならないようにすることができる。
【0021】
請求項7の発明によれば、包装箱本体(2B)に設けられている支持孔(20BcB)は、支持片(30B)と対向する位置に設けられ、そして、その支持孔(20BcB)には、支持片(30B)が係止できるようになっている。そしてさらに、その支持片(30B)は、開閉部(31)の下部側に設けられている。これにより、開閉部(31)を傾動させたとしても、包装箱本体(2B)と、開閉部材(3B)とのズレが生じ難くなり、もって、安定性が向上することとなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る包装箱を示す斜視図である。
図2】同実施形態に係る包装箱の開口窓が開放された状態を示す斜視図である。
図3図2に示すX-X線断面図である。
図4】(a)は同実施形態に係る包装箱本体の展開図、(b)は同実施形態に係る開閉部材の展開図である。
図5図4(a)に示す状態から包装箱本体を組み立てている状態の過程を示す斜視図である。
図6図5に示す包装箱本体内に、図4(b)に示す状態から組み立てた開閉部材を挿入しようとしている状態を示す斜視図である。
図7図6に示す包装箱本体内に図6に示す開閉部材を挿入した状態を示す斜視図である。
図8図7に示す状態から包装箱本体を組み立てている状態の過程を示す斜視図である。
図9図8に示す状態から包装箱本体を組み立てている状態の過程を示す斜視図である。
図10】本発明の他の実施形態に係る包装箱を示す斜視図である。
図11】他の実施形態に係る包装箱の開口窓が開放された状態を示す斜視図である。
図12】(a)は本発明の他の実施形態に係る包装箱を示す正面図、(b)は(a)に示すX部分の拡大図である。
図13】(a)は他の実施形態に係る包装箱本体の展開図、(b)は他の実施形態に係る開閉部材の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。
【0024】
<包装箱の説明>
図1図3に示すように、本実施形態に係る包装箱1は、所定の内容物Nを収納することができる包装箱本体2と、包装箱本体2と別体で設けられる開閉部材3と、で構成されている。以下、各構成について詳しく説明することとする。
【0025】
<包装箱本体の説明>
包装箱本体2は、図3に示すように、内部に空洞Kが形成された断面視略矩形状に形成されており、この空洞K内に複数の内容物N(図示では、6個)を上下に積み重ねて収納できるようになっている。そして、図2に示すように、包装箱本体2の前壁面20には、下壁面25側に略矩形状の開口窓20Bが包装箱本体2の内外に貫通して設けられている。
【0026】
ところで、このように形成される包装箱本体2は、図4(a)に示すように、厚紙等で形成された一枚のシートS1を用いて形成されるものである。この点、詳しく説明すると、図4(a)に示すように、1枚のシートS1は、縦長矩形状の前壁面20を有している。この前壁面20の中央部分には、略T字状の係止孔20Aが形成されており、下面側には、左側面から右側面に向かって略矩形状に貫通されている開口窓20Bが形成されている。そして、この開口窓20Bの上部側には、前壁面20の下面側に向かって(開口窓20B側に向かって)半円状の突起部20Baが前壁面20と一体となるように形成されている。そしてさらに、この開口窓20Bの下面には、折り曲げ線20Bbが形成されており、この折り曲げ線20Bbを基点として、前壁面20の上面側に向かって(開口窓20B側に向かって)、台形状のフラップ20Bcが前壁面20と一体となるように形成されている。またさらに、開口窓20Bの上面には、左右側面に、それぞれ、前壁面20の上面側に向かって(開口窓20Bから離れる方向に向かって)僅かな切欠き部20B1が形成されている。なお、この一対の切欠き部20B1は、開口窓20Bと連通している。
【0027】
かくして、このように形成される前壁面20の外周面には、図4(a)に示すように、折り曲げ線20a~20dが形成されている。そして、この前壁面20の上面には、折り曲げ線20aを基点として、前壁面20と同程度の横幅からなる矩形状の上壁面21が前壁面20に連なって設けられている。この上壁面21の上面には、折り曲げ線21aが形成されており、この折り曲げ線21aを基点として、上壁面21と同程度の横幅からなる矩形状の外フラップ22が上壁面21に連なって設けられている。なお、上壁面21の上面には左右側面に折り曲げ線21aと連通するように一対のスリット21bが僅かに形成されている。
【0028】
一方、図4(a)に示すように、前壁面20の右側面には、折り曲げ線20bを基点として、前壁面20と同程度の縦幅からなる矩形状の右壁面23が前壁面20に連なって設けられている。この右壁面23の上面には折り曲げ線23aが形成されており、この折り曲げ線23aを基点として、右壁面23と同程度の横幅からなる矩形状の右内フラップ24が右壁面23に連なって設けられている。なお、右内フラップ24には、折り曲げ線23a側に右突片24aが一体的に設けられている。
【0029】
一方、図4(a)に示すように、右壁面23の下面には折り曲げ線23bが形成されており、この折り曲げ線23bを基点として、右壁面23と同程度の横幅からなる略台形状の第1下壁面25aが右壁面23に連なって設けられている。
【0030】
他方、図4(a)に示すように、前壁面20の下面には、折り曲げ線20cを基点として、前壁面20と同程度の横幅からなる略台形状の第2下壁面25bが前壁面20に連なって設けられている。
【0031】
一方、図4(a)に示すように、前壁面20の左側面には、折り曲げ線20dを基点として、前壁面20と同程度の縦幅からなる矩形状の左壁面26が前壁面20に連なって設けられている。この左壁面26の上面には折り曲げ線26aが形成されており、この折り曲げ線26aを基点として、左壁面26と同程度の横幅からなる矩形状の左内フラップ27が左壁面26に連なって設けられている。なお、左内フラップ27には、折り曲げ線26a側に左突片27aが一体的に設けられている。
【0032】
一方、図4(a)に示すように、左壁面26の下面には折り曲げ線26bが形成されており、この折り曲げ線26bを基点として、左壁面26と同程度の横幅からなる略台形状の第3下壁面25cが左壁面26に連なって設けられている。そしてさらに、左壁面26の左側面には折り曲げ線26cが形成されており、この折り曲げ線26cを基点として、左壁面26と同程度の縦幅からなる矩形状の後壁面28が左壁面26に連なって設けられている。この後壁面28の下面には折り曲げ線28aが形成されており、この折り曲げ線28aを基点として、後壁面28と同程度の横幅からなる凹状の第4下壁面25dが後壁面28に連なって設けられている。そして、後壁面28の左側面には折り曲げ線28bが形成されており、この折り曲げ線28bを基点として、後壁面28と同程度の縦幅からなる縦長矩形状の糊代29が後壁面28に連なって設けられている。
【0033】
なお、図1図3に示す下壁面25は、第1下壁面25aと、第2下壁面25bと、第3下壁面25cと、第4下壁面25dと、で構成されることとなる。
【0034】
<開閉部材の説明>
開閉部材3は、図3に示すように、包装箱本体2内に設けられ、開口窓20B側に向かって下り状に傾斜する傾斜部30を有している。この傾斜部30は、図3に示すように、傾斜部30の下端部30Aが開口窓20Bの下面に位置するように、包装箱本体2の後壁面28から前壁面20に向かって下り傾斜している。そして、この傾斜部30には、図3に示すように、包装箱本体2の空洞K内に収納された複数の内容物N(図示では、6個)が上下に積み重ねられることとなる。そしてさらに、この傾斜部30には、下端部30Aに連なるように、断面視L字状の開閉部31が一体的に設けられている。この開閉部31は、図2に示すように、略半円弧状に形成されており、図3に示すように、開口窓20Bを開放閉止できるように、矢印Y1方向に傾動可能に形成されている。なお、図3では、開閉部31の破線部分に位置する状態が開口窓20Bを閉止している状態、実線部分に位置する状態が開口窓20Bを開放している状態を示している。
【0035】
一方、図2に示すように、開閉部31の左側面31aには、扇形状の左壁部32が一体的に立設されており、開閉部31の右側面31bには、扇形状の右壁部33が一体的に立設されている。この左壁部32及び右壁部33は、図3に示すように、開閉部31が矢印Y1方向に傾動した際、開口窓20B内を通って、包装箱本体2内に挿抜可能に設けられている。すなわち、図3に示す右壁部33(左壁部32)の実線部分に位置する状態が包装箱本体2内より抜出された状態で、右壁部33(左壁部32)の破線部分に位置する状態が包装箱本体2内に挿入された状態である。そしてさらに、左壁部32及び右壁部33は、図2に示すように、切欠き部20B1内に挿入されている。これにより、左壁部32及び右壁部33は、切欠き部20B1内を通って、包装箱本体2内に挿抜されることとなるから、開口窓20Bの形状に左右されることなく、スムーズに包装箱本体2内に挿抜されることとなる。
【0036】
ところで、図3に示すように、右壁部33(左壁部32)の円弧面には、外方向に向かって矩形状の当接片34が一体的に突出して設けられている。これにより、開口窓20Bを開放する方向に開閉部31が傾動し、それに合わせて、左壁部32及び右壁部33が包装箱本体2内より抜出すると、図3に示すように、当接片34が、包装箱本体2の前壁面20の内面20Cに当接することとなる。しかるに、この当接片34が、包装箱本体2の前壁面20の内面20Cに当接することによって、開閉部31及び左壁部32並びに右壁部33の移動が規制されることとなる。それゆえ、図3に示すように、開閉部31は、包装箱本体2の前壁面20に対して90度の位置までしか移動できないこととなる。しかして、右壁部33(左壁部32)の円弧面の自由な位置に当接片34を設けるようにすれば、包装箱本体2の前壁面20に対して所望する角度位置で開閉部31を停止させることができる。
【0037】
一方、図2に示すように、開閉部31の円弧面中央部には、半円状の係止片31Aが外方向に向かって一体的に突出して設けられている。この係止片31Aは、図1及び図3に示すように、包装箱本体2の係止孔20A内に挿入できるようになっている。これにより、図1に示すように、開閉部31によって開口窓20Bを閉止している状態(図3参照)を維持することができる。それゆえ、開口窓20Bより内容物Nが誤って外に飛び出してしまう事態を低減させることができる。
【0038】
ところで、このように形成される開閉部材3は、図4(b)に示すように、厚紙等で形成された一枚のシートS2を用いて形成されるものである。この点、詳しく説明すると、図4(b)に示すように、1枚のシートS2は、矩形状の傾斜部30を有している。この傾斜部30の外周面には、図4(b)に示すように、折り曲げ線30a~30dが形成されている。そして、この傾斜部30の上面には、折り曲げ線30aを基点として、傾斜部30と同程度の横幅からなる略半円弧状の開閉部31が傾斜部30に連なって設けられている。この傾斜部30の円弧面中央部分には、折り曲げ線31Aaが形成されており、この折り曲げ線31Aaを基点として、半円状の係止片31Aが外方向に向かって一体的に突出して設けられている。さらに、傾斜部30の左側面31aには折り曲げ線が形成されており、この折り曲げ線を基点として、傾斜部30と同程度の縦幅からなる扇形状の左壁部32が傾斜部30に連なって設けられている。そしてさらに、傾斜部30の右側面31bには折り曲げ線が形成されており、この折り曲げ線を基点として、傾斜部30と同程度の縦幅からなる扇形状の右壁部33が傾斜部30に連なって設けられている。なお、左壁部32及び右壁部33の円弧面には、それぞれ、外方向に向かって矩形状の当接片34が一体的に突出して設けられている。
【0039】
一方、図4(b)に示すように、傾斜部30の右側面には、折り曲げ線30bを基点として、傾斜部30と同程度の縦幅からなる傾斜部30を支持する台形状の第1支持部35が傾斜部30に連なって設けられている。そして、傾斜部30の下面には、折り曲げ線30cを基点として、傾斜部30と同程度の横幅からなる傾斜部30を支持する矩形状の第2支持部36が傾斜部30に連なって設けられている。そしてさらに、傾斜部30の左側面には、折り曲げ線30dを基点として、傾斜部30と同程度の縦幅からなる傾斜部30を支持する台形状の第3支持部37が傾斜部30に連なって設けられている。
【0040】
<包装箱の組み立て方法の説明>
かくして、上記のように構成される包装箱1は、以下のように組み立てられる。
【0041】
まず、図4(a)に示す折り曲げ線20dを基点として、左壁面26及び後壁面28並びに糊代29を外側に折り曲げ、すなわち、山折りする。さらに、折り曲げ線26cを基点として、後壁面28及び糊代29を外側に折り曲げ、折り曲げ線28bを基点として、糊代29を内側に折り曲げ、すなわち、谷折りする。
【0042】
次いで、図4(a)に示す折り曲げ線20bを基点として、右壁面23を外側に折り曲げ、すなわち、山折りし、その右壁面23に糊代29を貼り付けるようにすれば、包装箱本体2は、図5に示すような状態となる。これにより、図3に示すように、包装箱本体2内に空洞Kが形成されることとなる。
【0043】
次いで、図4(b)に示す折り曲げ線30aを基点として、傾斜部30及び第2支持部36を外側に折り曲げ、すなわち、山折りする。そして、折り曲げ線30cを基点として、第2支持部36を内側に折り曲げ、すなわち、谷折りする。さらに、折り曲げ線30bを基点として、第1支持部35を内側に折り曲げ、折り曲げ線30dを基点として、第3支持部37を内側に折り曲げる。そしてさらに、開閉部31の左側面31aに形成されている折り曲げ線を基点として、左壁部32を外側に折り曲げ、開閉部31の右側面31bに形成されている折り曲げ線を基点として、右壁部33を外側に折り曲げる。これにより、開閉部材3は、図6に示すような状態となる。
【0044】
次いで、図6に示すように、開閉部材3は、包装箱本体2の下壁面25より包装箱本体2内に挿入される。これにより、図7に示すように、開閉部材3は、開閉部31が、包装箱本体2の開口窓20Bより外部に露出した状態で、包装箱本体2内に挿入されることとなる。なお、この際、図6に示すフラップ20Bcは、折り曲げ線20Bbを基点として開口窓20B内に折り曲げられている。
【0045】
ところで、図4(b)に示すように、傾斜部30の横幅W2は、開閉部31の横幅W1よりも幅狭、すなわち、W1>W2となるように形成されている。これは、傾斜部30の横幅W2と開閉部31の横幅W1とを同程度にしてしまうと、傾斜部30が包装箱本体2の内壁面に密着し、開閉部31が開口窓20Bより外部に露出し難くなるためである。それゆえ、傾斜部30が邪魔をして開閉部31が包装箱本体2の開口窓20Bより外部に露出し難くならないように、傾斜部30の横幅W2は、開閉部31の横幅W1よりも幅狭になるように形成されている。
【0046】
次いで、図7に示すように、包装箱本体2外に露出している開閉部材3の傾斜部30、第1支持部35、第2支持部36、及び、第3支持部37を、包装箱本体2内に没入するように、包装箱本体2内に押し込む。そして、図7に示す折り曲げ線26bを基点として、第3下壁面25cを内側に折り曲げ、すなわち、谷折りし、さらに、図4に示す折り曲げ線23bを基点として、第1下壁面25aを内側に折り曲げる。そしてさらに、図6に示す折り曲げ線28cを基点として、第4下壁面25dを内側に折り曲げ、図7に示す折り曲げ線20cを基点として、第2下壁面25bを内側に折り曲げる。これにより、図8に示すように、いわゆる地獄底(「アメリカンロック」とも称される)の構造となった下壁面25が形成されることとなる。
【0047】
次いで、図8に示す折り曲げ線26aを基点として左内フラップ27を内側に折り曲げ、すなわち、谷折りし、図4に示す折り曲げ線23aを基点として右内フラップ24を内側に折り曲げる。これにより、図9に示すような状態となる。なお、左内フラップ27及び右内フラップ24を内側に折り曲げる前は、包装箱本体2の上方が開放されている。それゆえ、この開放された上方から、図3に示す空洞K内に複数の内容物N、或いは、単数の内容物Nが投入されることとなる。そしてその後、左内フラップ27及び右内フラップ24が内側に折り曲げられることとなる。
【0048】
次いで、図9に示す折り曲げ線21aを基点として、外フラップ22を外側に折り曲げ、すなわち、山折りし、その外フラップ22を、包装箱本体2内に隠蔽するように、折り曲げ線20aを基点として上壁面21を内側に折り曲げる。これにより、図1に示すような状態となり、包装箱本体2の上方が閉止されることとなる。なお、この際、図9に示す一対のスリット21b内に、左内フラップ27の左突片27a、及び、右内フラップ24の右突片24aがそれぞれ挿入されることとなる。これにより、包装箱本体2内に外フラップ22がしっかりと固定配置されることとなるから、包装箱本体2の上方を上壁面21にてしっかりと閉止することができる。
【0049】
また、開口窓20Bを閉止する方向に開閉部31を傾動させ、係止片31Aを包装箱本体2の係止孔20A内に挿入するようにすれば、図1に示すように、開閉部31によって、開口窓20Bを閉止できることとなる。
【0050】
かくして、上記のように組み立てられた包装箱1を使用するにあたっては、開口窓20Bを開放する方向に開閉部31を傾動させ、図2に示す状態とする。そして、包装箱1を図3に示す矢印Y2方向に上下動させれば、傾斜部30に接している内容物N(図3に示す最下端の内容物N)、すなわち、単数の内容物Nが開口窓20Bより外側に飛び出し、開閉部31の上面に移動することとなる。これにより、包装箱本体2内に収納された内容物Nを取り出すことが可能となる。なお、この際、複数の内容物Nが開口窓20Bより外側に飛び出さないように、図2及び図3に示すように、突起部20Baが設けられている。すなわち、この突起部20Baによって、例えば、2個の内容物Nが開口窓20Bより外側に飛び出そうとしても、2個の内容物Nのうち包装箱本体2の上方側に位置する1個の内容物Nが突起部20Baによって外側への飛び出しを阻害されることとなる。それゆえ、単数の内容物Nが開口窓20Bより外側に飛び出すこととなる。これにより、突起部20Baによって、複数の内容物Nが開口窓20Bより外側に飛び出してしまう事態を防止することができる。
【0051】
しかして、以上説明した本実施形態によれば、包装箱本体2と、開閉部材3とは、別体として設けられているから、開閉部材3の傾斜部30の傾斜角度だけを自由に変更することが可能となる。それゆえ、本実施形態によれば、傾斜角度を任意に変更することができる包装箱1を提供することができる。
【0052】
なお、本実施形態において示した形状等はあくまで一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、本実施形態においては、突起部20Baの形状を半円状にする例を示したが、それに限らず、矩形状でも良いし、三角形状でも良く、どのような形状でも良い。また、単数の突起部20Baでなくとも、適当間隔をあけて、複数の突起部20Baを形成するようにしても良い。
【0053】
また、本実施形態において示した係止孔20A、及び、係止片31Aの形状はあくまで一例であり、どのような形状でも良い。例えば、図10及び図11に示す包装箱1Aのようにすることもできる。以下、この点詳しく説明する。なお、上記説明した包装箱1と同一の構成については、同一の符号を付し説明は省略することとする。
【0054】
図10及び図11に示す包装箱1Aの包装箱本体2Aは、図11に示すように、前壁面20の中央部分に、凹状のスリットが形成されており、この凹状のスリットによって、係止孔20AAが形成されている。
【0055】
一方、図11に示すように、包装箱1Aの開閉部材3Aは、開閉部31の円弧面中央部に、係止片31AAが外方向に向かって一体的に突出して設けられている。この係止片31AAは、半円状の係止片本体31AAaと、係止片本体31AAaの中央部分開閉部31寄りに形成されている舌状の挿入片31AAbと、で構成されている。
【0056】
かくして、このように構成される係止孔20AAに、係止片31AAを係止するにあたっては、開口窓20Bを閉止する方向に開閉部31を傾動させる。そして、係止片本体31AAaをつまんで、挿入片31AAbを係止孔20AA内に挿入するようにする。これにより、図10に示すように、係止孔20AAに、係止片31AAを係止することができる。しかして、このような係止孔20AA及び係止片31AAであっても、開口窓20Bを開閉部31にて閉止することができる。
【0057】
他方、図12及び図13に示す包装箱1Bのようにすることもできる。以下、この点詳しく説明する。なお、上記説明した包装箱1及び包装箱1Aと同一の構成については、同一の符号を付し説明は省略することとする。
【0058】
図12(b)に示すように、この包装箱1Bは、開閉部材3Bの開閉部31の下部側に舌状の支持片30Bが設けられている。そしてさらに、図12(a)(特に、図12(b))に示すように、包装箱本体2Bの前壁面20の下壁面25側には、支持片30Bに対向する位置に、その支持片30Bを係止可能な支持孔20BcBが設けられている。これにより、開閉部31を傾動させたとしても、包装箱本体2Bと、開閉部材3Bとのズレが生じ難くなり、もって、安定性が向上することとなる。
【0059】
さらに詳しく、支持片30B、支持孔20BcBが設けられる位置を、図13を用いて説明する。図13(b)に示す1枚のシートS2Bに示すように、傾斜部30と連通している開閉部31の基点となる折り曲げ線30aの中央部分に矩形状のスリットが設けられている。これにより、支持片30Bは、舌状に形成されることとなり、さらに、開閉部材3Bの開閉部31の下部側に設けられることとなる。
【0060】
一方、図13(a)に示す1枚のシートS1Bに示すように、台形状のフラップ20Bcの下面に位置する折り曲げ線20Bbの中央部分に矩形状の孔(支持片30Bの形状に対応した孔)が包装箱本体2の内外に貫通して設けられている。これにより、支持孔20BcBは、包装箱本体2Bの前壁面20の下壁面25側で、支持片30Bに対向する位置に設けられることとなる。
【0061】
しかして、このように支持片30B、支持孔20BcBが設けられることにより、図12(b)に示すように、支持孔20BcB内に支持片30Bを係止できることとなる。これにより、開閉部31を傾動させたとしても、包装箱本体2Bと、開閉部材3Bとのズレが生じ難くなり、安定性が向上することとなる。
【0062】
一方、本実施形態においては、開口窓20Bを、包装箱本体2の前壁面20に設ける例を示したが、これに限らず、右壁面23、左壁面26、後壁面28の何れに設けても良い。
【0063】
また、本実施形態において示した内容物Nとしては、お菓子、文房具など、どのようなものにも適用可能である。
【符号の説明】
【0064】
1,1A,1B 包装箱
2,2A,2B 包装箱本体
20 前壁面(一側面)
20A,20AA 係止孔
20B 開口窓
20Ba 突起部
20C 内面
20BcB 支持孔
3,3A,3B 開閉部材
30 傾斜部
30B 支持片
31 開閉部
31A,31AA 係止片
31a 左側面
31b 右側面
32 左壁部(壁部)
33 右壁部(壁部)
34 当接片
N 内容物
W1 横幅(幅)
W2 横幅(幅)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13