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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187093
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 3/33 20060101AFI20221212BHJP
   A63H 33/00 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
A63H3/33 C
A63H33/00 P
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094909
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000102108
【氏名又は名称】イワヤ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】中野 殖夫
(72)【発明者】
【氏名】東山 誠
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA05
2C150CA02
2C150DA05
2C150DF04
2C150EF13
2C150EF16
2C150EF50
2C150FA04
(57)【要約】
【課題】少ない電池の本数で多様な動作をさせることが可能な玩具を提供する。
【解決手段】玩具1は、玩具本体と、複数の電池を取り付け可能な電源部10と、電源部10からの給電により動作可能な一及び他の電動部8,17と、玩具本体の傾斜を検出する傾斜センサ27と、傾斜センサ27による玩具本体の傾斜の検出の有無に応じて一の電動部8と他の電動部17とを選択的に動作させる動作切替部25と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
玩具本体と、
複数の電池からの給電により動作可能な一及び他の電動部と、
前記玩具本体の傾斜を検出する傾斜センサと、
前記傾斜センサによる前記玩具本体の傾斜の検出の有無に応じて前記一の電動部と前記他の電動部とを選択的に動作させる動作切替部と、
を備えることを特徴とした玩具。
【請求項2】
一の電動部は、玩具本体の少なくとも一部を動作させる駆動部であり、
他の電動部は、音声を出力する音声出力部である
ことを特徴とした請求項1記載の玩具。
【請求項3】
一及び他の電動部は、2つの電池からの給電により動作可能である
ことを特徴とした請求項1または2記載の玩具。
【請求項4】
動作切替部は、トランジスタを有し、このトランジスタのオンオフの切り替えに応じて一の電動部と他の電動部とを選択的に動作させる
ことを特徴とした請求項1ないし3のいずれか一記載の玩具。
【請求項5】
他の電動部が動作しているときに傾斜センサによる玩具本体の傾斜の検出の有無に応じた動作切替部による切り替えを生じさせない動作制限部を備える
ことを特徴とした請求項1ないし4のいずれか一記載の玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電池からの給電により動作可能な電動部を備える玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電池を電源として動作する電動玩具が知られている。電動玩具には、例えば単三乾電池2本を用い、3Vの電圧で駆動することが多い。このような電動玩具において、より付加価値を上げる手段として、音声出力ICを用いたものやセンサで動作を切り替えるものを作りたいというニーズがある。例えば、傾斜センサを用い、電動玩具の姿勢に応じて音声出力ICから異なる鳴き声を出力する電動玩具が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、音声出力ICを用いて鳴き声を出力させたり、センサを追加して操作することでモータを用いて異なる動きをさせたりする電動玩具の場合には、モータが動作時に大電流を必要とすることにより、モータが動作すると電池からの電流がモータへと引っ張られ、電源電圧が急激に降下することで、一般的な玩具用の音声出力ICの最低動作電圧である2.3Vを下回り、音声出力ICが暴走したりリセットしたりして動作が不安定になる等、正常に動作できなくなるという問題がある。したがって、電池2本を用いた電源電圧3Vの電源では、電池が新品で電池電圧が3Vに近い時しか動作させることができず、音声出力ICを用いて動作を切り替えるような電動玩具の場合、電池3本を用いて電源電圧を4.5Vにする必要があった。
【0005】
他方、電動玩具は、大きさやコストの制限があり、電池2本の3V仕様を変更しないことが望まれる。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、少ない電池の本数で多様な動作をさせることが可能な玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の玩具は、玩具本体と、複数の電池からの給電により動作可能な一及び他の電動部と、前記玩具本体の傾斜を検出する傾斜センサと、前記傾斜センサによる前記玩具本体の傾斜の検出の有無に応じて前記一の電動部と前記他の電動部とを選択的に動作させる動作切替部と、を備えるものである。
【0008】
請求項2記載の玩具は、請求項1記載の玩具において、一の電動部は、玩具本体の少なくとも一部を動作させる駆動部であり、他の電動部は、音声を出力する音声出力部であるものである。
【0009】
請求項3記載の玩具は、請求項1または2記載の玩具において、一及び他の電動部は、2つの電池からの給電により動作可能であるものである。
【0010】
請求項4記載の玩具は、請求項1ないし3のいずれか一記載の玩具において、動作切替部は、トランジスタを有し、このトランジスタのオンオフの切り替えに応じて一の電動部と他の電動部とを選択的に動作させるものである。
【0011】
請求項5記載の玩具は、請求項1ないし4のいずれか一記載の玩具において、他の電動部が動作しているときに傾斜センサによる玩具本体の傾斜の検出の有無に応じた動作切替部による切り替えを生じさせない動作制限部を備えるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、少ない電池の本数で多様な動作をさせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施の形態に係る玩具の内部構成を模式的に示す回路図である。
図2】同上玩具の内部構成のブロック図である。
図3】同上玩具の玩具本体の一の使用状態を示す側面図である。
図4】同上玩具の玩具本体の他の使用状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
図3及び図4において、1は玩具である。本実施の形態では、玩具1は、動物を模して形成された玩具本体2を備える動物玩具である。
【0016】
玩具本体2は、例えば四肢動物、好ましくは犬、猫等の愛玩動物を模している。玩具本体2は、合成樹脂製等の硬質の骨格部、及び、その骨格部を覆う表皮部等を有する。図示される例では、玩具本体2は、頭部3、胴体部4、脚部5、尻尾部6等を有する。頭部3、脚部5等は、可動的に設けられた可動部である。
【0017】
頭部3、脚部5等の可動部は、図2に示す一の電動部8により動作される。一の電動部8は、電源部10からの給電により動作可能である。すなわち、玩具1は、電源部10からの給電により動作する電動動物玩具である。
【0018】
本実施の形態において、一の電動部8は、駆動部である。一の電動部8は、電源部10からの給電により連続的または断続的に動作する。図示される例では、一の電動部8は、一の電動部本体であるアクチュエータとしてのモータ12、及び、モータ12の回転を可動部の動作に変換する動作変換部であるギヤボックス13等を有する。ギヤボックス13は、カムやギヤを有し、モータ12の回転に伴い、頭部3、脚部5等(図3)が予め決められた所定の動作を定期的に繰り返すように構成されている。図3に示すように、脚部5が動作することにより、玩具1が歩行可能となっている。また、一例として、図2に示すように、ギヤボックス13は、物理的に駆動されることで動物の鳴き声を模した音声を出力する笛箱15を備えていてもよい。例えば、玩具本体2(図3)が子犬を模したものである場合には、笛箱15は、「キャンキャン」等の音声を出力するように構成される。
【0019】
また、玩具1には、一の電動部8と異なる動作を行う他の電動部17が備えられる。他の電動部17は、電源部10からの給電によって動作する。他の電動部17は、例えば電気的に合成された音声を出力する音声出力部である。他の電動部17は、電動部10からの給電により予め決められた一定時間動作をする。他の電動部17は、出力部本体である音声出力IC20、及び、スピーカ21等を有する。音声出力IC20は、例えば予めプログラムが書き込まれたマイコン等の汎用の制御素子である。
【0020】
一の電動部8と他の電動部17とは、動作切替部25により選択的に動作される。動作切替部25は、傾斜センサ27による玩具本体2(図3)の傾斜の検出の有無に応じて一の電動部8と他の電動部17とを選択的に動作させる。すなわち、電源部10からの給電は、動作切替部25と傾斜センサ27とによって一の電動部8と他の電動部17とに選択的に振り分けられる。本実施の形態では、動作切替部25は、傾斜センサ27及び音声出力IC20と一体的にユニット化されている。
【0021】
図3及び図4に示すように、傾斜センサ27は、例えば玩具本体2に取り付けられ、玩具本体2を水平状の設置面に置いた状態(図3)と、そこから持ち上げる等して傾いた状態(図4)とでオンオフが切り替わることで、玩具本体2の傾斜を検出するように構成されている。
【0022】
次に、動作切替部を含む玩具1の回路構成の一例について、図1を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
玩具1において、電源部10は、複数の電池29が取り付けられて構成される。つまり、玩具1は、電池駆動式である。電池29は、例えば2本が使用される。これら電池29は電源部10において直列に接続される。一例として、電池29は、1.5Vの公称定格電圧に設定された単三乾電池が用いられる。すなわち、電池29を2本直列に用いることで、電源部10から3Vの電圧が各部に供給されるように構成されている。電池29は、電池ボックス等に着脱可能に取り付けられる。
【0024】
また、電源部10には、電源スイッチ30が備えられる。電源スイッチ30は、玩具1の全体の動作開始・停止を切り替えるメインスイッチである。
【0025】
電源部10には、一の電動部8のモータ12が電気的に接続されている。モータ12には、動作切替部25の少なくとも一部をなすスイッチ素子32が電気的に接続されている。スイッチ素子32は、例えばトランジスタである。図示される例では、スイッチ素子32は、NPN型のバイポーラトランジスタである。スイッチ素子32のエミッタは接地され、コレクタはモータ12と電気的に接続されている。また、スイッチ素子32の制御端子であるベースは、動作切替部25の一部をなす抵抗33を介して音声出力IC20のトリガ用端子と電気的に接続されている。スイッチ素子32のオンオフに応じて、スイッチ素子32のベースから、抵抗33を介して音声出力IC20のトリガ用端子に対し、音声出力IC20の停止・動作を切り替えるためのハイレベルまたはローレベルのトリガ信号が入力される。
【0026】
さらに、スイッチ素子32のベースは、抵抗33を介してスイッチ素子34と電気的に接続されている。スイッチ素子34は、例えばトランジスタである。図示される例では、スイッチ素子34は、PNP型のバイポーラトランジスタである。スイッチ素子34のコレクタは抵抗33を介してスイッチ素子32のベースと接続されるとともに抵抗35を介して接地され、エミッタは電源部10と電気的に接続されている。スイッチ素子34の制御端子であるベースは抵抗36を介して接地されているとともに、傾斜センサ27を介して電源部10と電気的に接続されている。
【0027】
さらに、スイッチ素子34のベースには、スイッチ素子37が電気的に接続されている。スイッチ素子37は、例えばトランジスタである。図示される例では、スイッチ素子37は、PNP型のバイポーラトランジスタである。スイッチ素子37のエミッタは、電源部10と電気的に接続され、コレクタはスイッチ素子34のベースと電気的に接続されている。また、スイッチ素子37の制御端子であるベースは、抵抗38を介して、他の電動部17の音声出力IC20の動作状態出力端子と電気的に接続されている。音声出力IC20の動作状態、すなわち音声出力IC20を介して合成音声が出力されているか否かに応じて、音声出力IC20の動作状態出力端子からスイッチ素子37のベースに対し、音声出力IC20の動作・停止を示すローレベルまたはハイレベルの動作状態信号が入力される。スイッチ素子34、抵抗35スイッチ素子37、抵抗38、及び、音声出力IC20の動作状態出力端子により、他の電動部17が動作しているときに傾斜センサ27の検出結果に応じた動作切替部25による切り替えを生じさせない動作制限部39が構成されている。
【0028】
音声出力IC20の電源用端子は、電源部10と電気的に接続されている。また、音声出力IC20の入力端子には、合成音声のデータを記憶した音声データ記憶部である音声ROM40が電気的に接続されている。音声ROM40の電源用端子は、電源部10と電気的に接続されている。
【0029】
また、音声出力IC20の出力端子は、音声ROM40から読み出された音声データを出力する端子である。音声出力IC20の出力端子は、フィルタ部41を介して、信号増幅部である音声アンプ42の入力端子と電気的に接続されている。音声アンプ42の電源用端子は、電源部10と電気的に接続されている。音声アンプ42の出力端子は、スピーカ21と電気的に接続されている。
【0030】
次に、一実施の形態の動作を説明する。
【0031】
電池29を電源部10に装着し、電源スイッチ30を投入すると、電源部10から、各部に電源が供給される。
【0032】
例えば図3に示すように、玩具1を床面等の設置面上に置いている場合、玩具本体2が傾斜しないことから、傾斜センサ27は反応せず、オフの状態を維持する。
【0033】
図1に示す傾斜センサ27がオフであるとき、スイッチ素子34のベースが抵抗36を介して接地されたローレベルとなるため、スイッチ素子34がオンされる。そのため、このスイッチ素子34のコレクタと電気的に接続されているスイッチ素子32のベースがスイッチ素子34を介して電源部10と電気的に接続されることでハイレベルとなり、スイッチ素子32がオンされることで、電源部10からモータ12に電流が流れ、モータ12が動作し、ギヤボックス13を介して可動部が動作される。すなわち、一の電動部8が動作する。これにより、例えば玩具1は、歩行、立ち止まり、鳴き、伏せ、歩行、等の自動歩行動作を繰り返す。
【0034】
このとき、音声出力IC20のトリガ用端子には、スイッチ素子32のベース電圧、すなわちハイレベルのトリガ信号が入力される。そのため、音声出力IC20は、書き込まれているプログラムに基づき、動作をせずに待機状態を維持する。すなわち、他の電動部17は動作を停止している。また、音声出力IC20の動作状態出力端子からハイレベルの動作状態信号をスイッチ素子37のベースへと抵抗38を介して出力することで、スイッチ素子37がオフの状態となり、傾斜センサ27による玩具本体2の傾斜の検出が有効となっている。
【0035】
一方、例えば図4に示すように、玩具1を持ち上げた場合、玩具本体2が傾斜すると傾斜センサ27がこの玩具本体2の傾斜を検出してオンの状態となる。
【0036】
図1に示す傾斜センサ27がオンであるとき、スイッチ素子34のベースは電源部10と電気的に接続されたハイレベルとなるため、スイッチ素子34がオフされる。そのため、このスイッチ素子34のコレクタと電気的に接続されているスイッチ素子32のベースが抵抗35を介して接地されたローレベルとなるため、スイッチ素子32がオフされることで、モータ12に供給される電力が遮断され、モータ12が動作を停止する。すなわち、一の電動部8が動作を停止する。本実施の形態では、玩具本体2の頭部3や脚部5等の可動部、及び、笛箱15により機械的に発生される鳴き声が停止する。
【0037】
一方、このとき音声出力IC2のトリガ用端子には、スイッチ素子32のベース電圧、すなわちローレベルのトリガ信号が入力される。そのため、音声出力IC20は、書き込まれているプログラムに基づき、動作を開始して音声ROM40から所定の音声データを読み出す。音声ROM40から読み出された音声データは、音声出力IC20の入力端子に入力され、音声出力IC20の出力端子からフィルタ部41を介して音声アンプ42に入力される。音声アンプ42では、入力された信号を増幅し、スピーカ21から出力させる。すなわち、他の電動部17が動作する。
【0038】
また、音声出力IC20は、音声を出力させる動作を開始すると、動作状態出力端子からローレベルの動作状態信号をスイッチ素子37のベースへと抵抗38を介して入力することで、スイッチ素子37がオンの状態となる。そのため、スイッチ素子34のベースがハイレベルとなることで、スイッチ素子34がオフ状態となる。音声出力IC20からの動作状態信号は、音声出力IC20が動作を継続している間、ローレベルを維持するので、その間、スイッチ素子34のベースがハイレベルに維持されることで、傾斜センサ27の検出のオンオフの切り替わりに拘らず、スイッチ素子34がオフ状態を維持する。したがって、音声出力IC20による音声出力動作が終了するまで、すなわち他の電動部17の動作が終了するまで、動作制限部39により傾斜センサ27による玩具本体2の傾斜の検出結果が無視されることで動作切替部25による切り替えが生じず、他の電動部17が動作を継続するとともにモータ12すなわち一の電動部8が動作停止状態を維持する。また、他の電動部17の動作が一定時間後に一旦終了しても、その時点で傾斜センサ27が玩具本体2の傾斜を検出していれば、他の電動部17が再度一定時間動作する。したがって、他の電動部17は、傾斜センサ27が玩具本体2の傾斜を検出している間、一定時間の動作を繰り返す。
【0039】
そして、玩具1を再度床面等の設置面上に置くと、傾斜センサ27がオフされることで、他の電動部17の動作が終了している状態では動作切替部25の切り替え動作により一の電動部8が動作し、他の電動部17が動作しないように切り替わる。
【0040】
このように、上記一実施形態によれば、傾斜センサ27による玩具本体2の傾斜の検出の有無に応じて一の電動部8と他の電動部17とを動作切替部25によって選択的に動作させることで、複数の電池29からの給電の振り分け先を傾斜センサ27の検出に応じて切り換え、一の電動部8と他の電動部17とで同時に電力を消費することを避けることができる。そのため、少ない電池29の本数であっても、すなわち電池29の供給電力が比較的小さい構成であっても、一の電動部8と他の電動部17とを切り替えて異なる動作をさせることができ、多様な動作をさせることが可能となる。
【0041】
本実施の形態では、一及び他の電動部8,17が、2つの電池29からの給電により動作可能であるため、電源部10及び玩具1(玩具本体2)を小型に作ることができる。したがって、消耗品である電池29を購入する金額が少なくて済み、ユーザのコストメリットも高い。
【0042】
例えば、一の電動部8を、玩具本体2の少なくとも一部を動作させる駆動部とし、他の電動部17を、音声を出力する音声出力部とすることで、一の電動部8が動作しているとき、すなわち傾斜センサ27により玩具本体2の傾斜を検出しないときには玩具本体2の少なくとも一部が動く動作を行い、他の電動部17が動作しているとき、すなわち傾斜センサ27により玩具本体2の傾斜を検出したときには玩具本体2の少なくとも一部の動きを止め、音声を出力する動作を行うことができる。
【0043】
特に、一の電動部8にモータ12を用いる場合、モータ12が動作すると電源部10からの電流がモータ12へと引っ張られることで電源部10の電圧が急降下するため、他の電動部17に音声出力IC20を用いる場合、一の電動部8と他の電動部10とを同時に動作させると、電源部10から音声出力IC20に供給される電圧が急激に低下し、動作が不安定となることが懸念される。そのため、本実施の形態によれば、傾斜センサ27及び動作切替部25を用いて一の電動部8と他の電動部10とのいずれかを選択的に動作させるようにすることで、他の電動部10を動作させる際に一の電動部8のモータ12の動作に伴う電源部10の電圧の急激な低下を生じさせず、他の電動部10の音声出力IC20を安定的に動作させることができる。
【0044】
玩具本体2が動物を模して形成されている場合、ユーザによる玩具1の抱き上げによって一の電動部8の動作が停止し他の電動部17の動作が開始されるので、玩具本体2が模している動物に対するユーザの自然な行動に応じて玩具1の動作を切り替えることが可能となり、ユーザは玩具1を通じて動物と遊ぶという疑似体験ができ、遊びの変化が生まれ、興趣性が向上する。
【0045】
例えば、一の電動部8によって玩具本体2の脚部5を動作させるようにすることで、脚部5の動きによってあたかも動物が設置面を歩行するように構成できるとともに、ユーザが玩具1を設置面から抱き上げると一の電動部8の停止によって脚部5の動作が停止し、抱き上げやすくなり、かつ、他の電動部17が動作したときに出力する音声を玩具本体2が模している動物に応じてその動物が甘える鳴き声、例えば玩具本体2が子犬を模している場合には「くーん……くーん」等の鳴き声とすることで、玩具1を抱きしめてかわいがるユーザに、「抱き上げたら嬉しそうに甘えてくれている」と感じさせることができる。
【0046】
また、例えば玩具本体2の頭部3にタッチセンサ等の接触センサを配置することで、玩具本体2を抱き上げたユーザが頭部3を撫でる動作を検出した場合に、他の電動部17において、音声出力IC20が音声ROM40から読み出す音声データを異ならせることにより、あたかもユーザの動物をかわいがる動作に応じて動物が自然に反応しているように演出でき、興趣性を向上することが可能になる。
【0047】
さらに、動作切替部25が、トランジスタであるスイッチ素子32を有し、スイッチ素子32のオンオフの切り替えに応じて一の電動部8と他の電動部17とを選択的に動作させるので、電池29の本数が少ない、すなわち供給電力が小さい構成であっても、スイッチ素子32のオンオフを容易に切り替えることができ、動作切替部25を安価に、かつ、容易に構成できる。
【0048】
他の電動部17が動作しているときに傾斜センサ27による玩具本体2の傾斜の検出の有無に応じた動作切替部25による切り替えを生じさせない動作制限部39を備えることで、他の電動部17が動作している最中に玩具本体2の姿勢を変化させたとしても、他の電動部17が一定の動作を終了するまでは一の電動部8の動作に切り替わることがなく、他の電動部17の動作が中断されることがない。
【0049】
なお、上記一実施の形態において、傾斜センサ27のオンオフについては、その切り替わりが重要であって、オンオフは上記の説明と逆になっていても構わない。その場合、スイッチ素子のオンオフ及び音声出力IC20の動作等も同様に反転させることで、同様に構成することが可能である。
【0050】
また、各スイッチ素子は、他のスイッチ素子を用いて等価な回路を構成してもよい。例えば、NPN型のトランジスタとPNP型とのトランジスタとを入れ替えて、等価な回路を構成することが可能である。
【0051】
動作制限部39は、他の電動部17が動作しているときに傾斜センサ27の検出結果を無視する構成としたが、これに限らず、他の電動部17が動作しているときに傾斜センサ27の検出動作自体を無効にする構成としてもよい。
【0052】
また、動作制限部39は、必須の構成ではなく、他の電動部17が動作しているときに傾斜センサ27が玩具本体2の傾斜を検出しなくなった場合に動作切替部25が他の電動部17の動作を停止させ、一の電動部8を動作させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 玩具
2 玩具本体
8 一の電動部
17 他の電動部
25 動作切替部
27 傾斜センサ
29 電池
32 トランジスタであるスイッチ素子
39 動作制限部
図1
図2
図3
図4