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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187104
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】風力発電装置
(51)【国際特許分類】
   F03D 7/06 20060101AFI20221212BHJP
   F03D 3/06 20060101ALI20221212BHJP
   F16H 45/02 20060101ALI20221212BHJP
   F16D 43/18 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
F03D7/06 C
F03D3/06 F
F16H45/02 D
F16D43/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094929
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000149033
【氏名又は名称】株式会社エクセディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】松岡 佳宏
【テーマコード(参考)】
3H178
3J068
【Fターム(参考)】
3H178AA15
3H178AA22
3H178AA43
3H178BB02
3H178BB10
3H178BB31
3H178CC02
3H178CC16
3H178DD02X
3H178DD07X
3H178DD12Z
3H178DD51X
3J068AA01
3J068AA05
3J068BA14
3J068BB08
3J068CA10
3J068GA11
(57)【要約】
【課題】起動性を向上させることができる風力発電装置を提供する。
【解決手段】風力発電装置100は、風車2、流体継手3、及び回転電機4を備える。風車2は、回転可能に配置されている。流体継手3は、風車2からトルクが入力されるインペラ32、及びインペラ32から作動流体を介してトルクが伝達されるタービン33を有する。回転電機4は、タービン33からのトルクによって発電可能に構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に配置された風車と、
前記風車からトルクが入力されるインペラ、及び前記インペラから作動流体を介してトルクが伝達されるタービン、を有する流体継手と、
前記タービンからのトルクによって発電するように構成された回転電機と、
を備える風力発電装置。
【請求項2】
前記流体継手は、前記インペラと前記タービンとの間に配置される第1ステータを有する、
請求項1に記載の風力発電装置。
【請求項3】
前記流体継手は、前記風車から下方に延びる入力シャフトを有し、
前記入力シャフトは、前記タービンを貫通して前記インペラと連結し、
前記インペラは、前記タービンの下方に配置される、
請求項1又は2に記載の風力発電装置。
【請求項4】
前記流体継手は、前記タービンに固定されるカバーを有し、
前記カバーは、前記タービンと協働して前記流体継手の外殻を構成し、前記タービンからのトルクを前記回転電機に出力する、
請求項1から3のいずれかに記載の風力発電装置。
【請求項5】
前記インペラは、前記タービンの下方に配置され、
前記カバーは、前記インペラの下方に配置され、
前記インペラは、前記外殻内に配置される、
請求項4に記載の風力発電装置。
【請求項6】
前記流体継手は、前記インペラに取り付けられ且つ前記インペラからのトルクを前記カバーに伝達するように構成されたクラッチを有する、
請求項1から5のいずれかに記載の風力発電装置。
【請求項7】
前記クラッチは、遠心式クラッチである、
請求項6に記載の風力発電装置。
【請求項8】
前記風車からの回転速度を変速して前記流体継手に伝達するように構成された第1変速機をさらに備える、
請求項1から7のいずれかに記載の風力発電装置。
【請求項9】
前記第1変速機は、前記風車からの回転速度を減速して前記流体継手に伝達するように構成される、
請求項8に記載の風力発電装置。
【請求項10】
前記流体継手からの回転速度を変速して前記回転電機に伝達するように構成された第2変速機をさらに備える、
請求項1から9のいずれかに記載の風力発電装置。
【請求項11】
前記風車は、垂直軸揚力型である、
請求項1から10のいずれかに記載の風力発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
風力発電装置は、風車の回転を利用して発電するように構成されている。風車は、水平軸型風車と垂直軸型風車に分けることができる。垂直軸型風車としては、例えば、特許文献1にダリウス型風車を用いた風力発電装置が開示されている。このダリウス型風車は、垂直軸揚力型風車であり、発電出力が大きいというメリットを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-051288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
風力発電装置において、風車の回転を開始させるために必要なトルクを小さくしたいという要望がある。特に、上述したようなダリウス型風車では、回転を開始させるために必要なトルクが大きく、起動性が悪いという問題がある。
【0005】
本発明の課題は、起動性を向上させることができる風力発電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある側面に係る風力発電装置は、風車と、流体継手と、回転電機とを備える。風車は、回転可能に配置されている。流体継手は、風車からトルクが入力されるインペラ、及びインペラから作動流体を介してトルクが伝達されるタービン、を有する。回転電機は、タービンからのトルクによって発電可能に構成されている。
【0007】
この構成によれば、風車は、流体継手のインペラに接続されているため、風車の回転を開始させるためのトルクを小さくすることができる。この結果、風力発電装置の起動性を向上させることができる。
【0008】
好ましくは、流体継手は、インペラとタービンとの間に配置される第1ステータを有する。
【0009】
好ましくは、流体継手は、風車から下方に延びる入力シャフトを有する。入力シャフトは、タービンを貫通してインペラと連結する。インペラは、タービンの下方に配置される。
【0010】
好ましくは、流体継手は、タービンに固定されるカバーを有する。カバーは、タービンと協働して流体継手の外殻を構成する。カバーは、タービンからのトルクを回転電機に出力する。
【0011】
好ましくは、インペラは、タービンの下方に配置される。カバーは、インペラの下方に配置される。インペラは、外殻内に配置される。
【0012】
好ましくは、流体継手は、クラッチを有する。クラッチは、インペラに取り付けられる。クラッチは、インペラからのトルクをカバーに伝達するように構成される。
【0013】
好ましくは、クラッチは、遠心式クラッチである。
【0014】
好ましくは、風力発電装置は、第1変速機をさらに備える。第1変速機は、風車からの回転速度を変速して流体継手に伝達するように構成される。
【0015】
好ましくは、第1変速機は、風車からの回転速度を減速して流体継手に伝達するように構成される。
【0016】
好ましくは、風力発電装置は、第2変速機をさらに備える。第2変速機は、流体継手からの回転速度を変速して回転電機に伝達するように構成される。
【0017】
好ましくは、風車は、垂直軸揚力型である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、風力発電装置の起動性を向上させることができる
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】風力発電装置の概略断面図。
図2】風車の回転速度と回転負荷トルクとの関係を示すグラフ。
図3】変形例に係る風力発電装置の概略断面図。
図4】変形例に係る風力発電装置の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本実施形態に係る風力発電装置について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、軸方向とは、トルクコンバータの回転軸Oが延びる方向である。また、径方向とは、回転軸Oを中心とした円の径方向である。
【0021】
[風力発電装置]
図1に示すように、風力発電装置100は、風車2、トルクコンバータ3(流体継手の一例)、及び回転電機4を有している。また、風力発電装置100は、第1ケース5及び筒状部材6を有している。
【0022】
[風車]
風車2は、回転可能に配置されている。風車2の回転軸は、トルクコンバータ3の回転軸Oと同軸上に配置されている。風車2の回転軸は、垂直方向に延びている。すなわち、風車2は、垂直軸型風車である。
【0023】
風車2は、支持体21と、複数のブレード22とを有している。支持体21は、複数のブレード22を支持している。支持体21は、棒状であり、回転軸Oと同軸上に延びている。
【0024】
複数のブレード22は、支持体21に支持されている。ブレード22は、揚力型である。すなわち、本実施形態に係る風車2は、垂直軸揚力型の風車である。なお、本実施形態の風車2は、ダリウス型風車である。
【0025】
[ケース及び筒状部材]
第1ケース5は、風車2の下方に配置されている。第1ケース5は、トルクコンバータ3を収容している。第1ケース5は、貫通孔51が形成された天板52を有している。
【0026】
筒状部材6は、第1ケース5内に配置されている。筒状部材6は、第1ケース5の天板52から下方に延びている。筒状部材6は、天板52に固定されている。筒状部材6は、回転不能に配置されている。筒状部材6は、円筒状である。筒状部材6内の空間は、貫通孔51と連通している。筒状部材6は、後述するタービンハブ333を貫通している。
【0027】
[トルクコンバータ]
トルクコンバータ3は、風車2の下方に配置されている。トルクコンバータ3は、風車2と回転電機4の間に配置されている。トルクコンバータ3は、第1ケース5内に配置されている。
【0028】
トルクコンバータ3は、風車2からのトルクを増幅して回転電機4に出力するように構成されている。トルクコンバータ3は、回転可能に配置されている。トルクコンバータ3の回転軸Oは、垂直方向に延びている。トルクコンバータ3は、入力シャフト31、インペラ32,タービン33、第1ステータ34、カバー35、クラッチ36、及び出力シャフト37を有している。
【0029】
入力シャフト31は、風車2から下方に延びている。なお、入力シャフト31は、風車の支持体21と一つの部材によって一体的に構成されていてもよい。入力シャフト31には、風車2からのトルクが入力される。入力シャフト31は、タービン33を貫通して延びている。詳細には、入力シャフト31は、第1ケース5の貫通孔51を貫通し、筒状部材6内を延びている。そして、入力シャフト31は、インペラ32と連結している。
【0030】
インペラ32は、風車2からトルクが入力される。詳細には、インペラ32は、入力シャフト31を介して風車2からのトルクが入力される。インペラ32は、入力シャフト31に固定されている。インペラ32は、入力シャフト31と一体的に回転する。インペラ32は、タービン33の下方に配置されている。
【0031】
インペラ32は、インペラシェル321及び複数のインペラブレード322を有している。複数のインペラブレード322はインペラシェル321の内側面に取り付けられている。
【0032】
インペラシェル321は、入力シャフト31に固定されている。例えば、インペラシェル321に入力シャフト31がスプライン嵌合することによって固定されていてもよいし、溶接などによって固定されていてもよい。
【0033】
タービン33は、インペラ32と対向するように配置されている。詳細には、タービン33は、軸方向においてインペラ32と対向している。タービン33は、インペラ32の上方に配置されている。タービン33は、作動流体(例えば、作動油))を介してインペラ32からトルクが伝達される。
【0034】
タービン33は、タービンシェル331、複数のタービンブレード332、及びタービンハブ333を有している。タービンブレード332は、タービンシェル331の内側面に固定されている。
【0035】
タービンハブ333は、タービンシェル331の内周端部に固定されている。例えば、タービンハブ333は、リベットによって、タービンシェル331に固定されている。タービンハブ333は、タービンシェル331と別部材によって構成されていてもよいし、タービンシェル331と一つの部材によって構成されていてもよい。
【0036】
タービンハブ333は、筒状部材6にベアリングなどを介して支持されていてもよい。
【0037】
第1ステータ34は、タービン33からインペラ32へと戻る作動油を整流するように構成されている。第1ステータ34は、回転軸O周りに回転可能である。例えば、第1ステータ34は、筒状部材6に、ワンウェイクラッチ101を介して支持されている。この第1ステータ34は、軸方向において、インペラ32とタービン33との間に配置される。
【0038】
カバー35は、タービン33に固定されており、タービン33と一体的に回転する。カバー35は、タービン33からのトルクを回転電機4に出力する。
【0039】
カバー35は、インペラ32の下方に配置されている。すなわち、上から、タービン33、インペラ32,カバー35の順に配置されている。なお、タービン33とインペラ32との間に第1ステータ34が配置されている。また、インペラ32とカバー35との間にクラッチ36が配置されている。
【0040】
カバー35は、タービン33と協働してトルクコンバータ3の外殻を構成している。このカバー35とタービン33とによって構成された外殻内に、インペラ32が配置されている。
【0041】
このカバー35とタービン33とによって構成された外殻には、下方を向く孔が形成されていない。このため、この外殻内に供給される作動流体が下方に漏出することを防止できる。
【0042】
クラッチ36は、インペラ32に取り付けられ、インペラ32と一体的に回転する。クラッチ36は、インペラ32からのトルクをカバー35に伝達するように構成されている。詳細には、クラッチ36は、インペラ32が所定値以上の回転速度になると、インペラ32からのトルクをカバー35に伝達する。また、インペラ32が所定値未満の回転速度になると、インペラ32からカバー35へのトルク伝達を遮断する。この場合、インペラ32からのトルクは作動流体を介してタービン33及びカバー35に伝達される。なお、クラッチ36は、例えば、遠心式クラッチである。
【0043】
出力シャフト37は、カバー35からのトルクを回転電機4へと出力するように構成されている。出力シャフト37は、カバー35と一体的に回転する。出力シャフト37は、カバー35に固定されている。例えば、出力シャフト37は、カバー35にスプライン嵌合することによって固定されていてもよいし、カバー35に溶接などによって固定されていてもよい。
【0044】
[回転電機]
回転電機4は、風車2からのトルクがトルクコンバータ3を介して伝達される。回転電機4は、トルクコンバータ3のタービン33からのトルクによって発電可能に構成されている。詳細には、タービン33及びカバー35から出力シャフト37を介して回転電機4へとトルクが伝達される。
【0045】
回転電機4は、発電機として使用できるとともに、電気モータとしても使用できる。回転電機4は、第2ケース41、第2ステータ42、及びロータ43を有している。本実施形態における回転電機4は、いわゆるインナーロータ型である。
【0046】
第2ケース41は、地面、又は建物などに固定されており、回転不能である。第2ケース41は、第2ステータ42及びロータ43を収容している。第2ケース41は、第1ケース5と一つの部材によって一体的に形成されていてもよい。第2ケース41と第1ケース5との間には、これらを隔てる隔壁7が設けられている。隔壁7は、貫通孔71を有している。この貫通孔71を、出力シャフト37が貫通する。
【0047】
第2ステータ42は、第2ケース41の内周面に固定されている。第2ステータ42は回転不能である。第2ステータ42は、ステータコア421及びコイル422を有している。ステータコア421は、複数枚の電磁鋼板を積層することによって構成されている。コイル422は、ステータコア421に巻かれている。詳細には、コイル422は、ステータコア421のティース部分に巻かれている。
【0048】
ロータ43は、回転可能に配置されている。なお、ロータ43の回転軸は、トルクコンバータ3の回転軸Oと同軸上に配置されている。ロータ43は、径方向において、第2ステータ42の内側に配置される。
【0049】
ロータ43は、出力シャフト37に取り付けられている。ロータ43は、出力シャフト37と一体的に回転する。
【0050】
[特性]
本実施形態の風力発電装置100では、風車2がトルクコンバータ3のインペラ32と連結している。このため、図2に示すように、風車2の回転を開始させるために必要なトルクを小さくすることができる。なお、図2は、風車2の回転速度と回転負荷トルクとの関係を示すグラフである。
【0051】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0052】
変形例1
上記実施形態では、風力発電装置100は、トルクコンバータ3を有していたが、風力発電装置100の構成はこれに限定されない。例えば、風力発電装置100は、トルクコンバータ3の代わりに、第1ステータ34を有さない流体継手を有していてもよい。
【0053】
変形例2
上記実施形態では、風車2はダリウス型風車であったが、風車2の形態はこれに限定されず、他の垂直軸揚力型の風車としてもよい。また、風車2は、垂直軸抗力型としてもよいし、水平軸揚力型や、水平軸抗力型としてもよい。
【0054】
変形例3
上記実施形態では、風力発電装置100は、クラッチ36を有していたが、クラッチ36を有していなくてもよい。
【0055】
変形例4
図3に示すように、風力発電装置100は、第1変速機8をさらに備えていてもよい。第1変速機8は、風車2からの回転速度を変速してトルクコンバータ3に伝達するように構成されている。例えば、第1変速機8は、風車2からの回転速度を減速してトルクコンバータ3に伝達する。これにより、トルクコンバータ3が高速で回転することを抑制することができる。なお、第1変速機8は、風車2からの回転速度を増速してトルクコンバータ3に伝達してもよい。また、第1変速機8は、第1ケース5内に配置されていてもよい。
【0056】
変形例5
図4に示すように、風力発電装置100は、第2変速機9をさらに備えていてもよい。第2変速機9は、第1ケース5内に配置されている。なお、第2変速機9は、第2ケース41内に配置されていてもよい。
【0057】
第2変速機9は、トルクコンバータ3からの回転速度を変速して回転電機4に伝達するように構成されている。例えば、第2変速機9は、トルクコンバータ3からの回転速度を増速して回転電機4に伝達する。なお、第2変速機9は、トルクコンバータ3からの回転速度を減速して回転電機4に伝達してもよい。
【符号の説明】
【0058】
100 :風力発電装置
2 :風車
3 :トルクコンバータ
31 :入力シャフト
32 :インペラ
33 :タービン
34 :第1ステータ
35 :カバー
36 :クラッチ
4 :回転電機
8 :第1変速機
9 :第2変速機
図1
図2
図3
図4