IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フミオ工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-感染防止用ガウン 図1
  • 特開-感染防止用ガウン 図2
  • 特開-感染防止用ガウン 図3
  • 特開-感染防止用ガウン 図4
  • 特開-感染防止用ガウン 図5
  • 特開-感染防止用ガウン 図6
  • 特開-感染防止用ガウン 図7
  • 特開-感染防止用ガウン 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187120
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】感染防止用ガウン
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/12 20060101AFI20221212BHJP
【FI】
A41D13/12 190
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094964
(22)【出願日】2021-06-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 公開日: 令和3年5月18日 公開場所:神戸赤十字病院(兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1丁目3番1号) 公開者: 株式会社服部(兵庫県豊岡市小田井町13番25号) 公開した物(発明)の内容:フミオ工業株式会社から依頼を受けた株式会社服部が神戸赤十字病院に対し、神戸赤十字病院において、大友隆が発明しフミオ工業株式会社が特許を受ける権利を有する「感染防止用ガウン」を公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 公開日: 令和3年5月17日 公開場所:フミオ工業株式会社(兵庫県豊岡市九日市上町817番地の4) 公開者: フミオ工業株式会社(兵庫県豊岡市九日市上町817番地の4) 公開した物(発明)の内容:フミオ工業株式会社が株式会社服部に対し、自社応接室において、大友隆が発明しフミオ工業株式会社が特許を受ける権利を有する「感染防止用ガウン」を公開した。
(71)【出願人】
【識別番号】393000733
【氏名又は名称】フミオ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129104
【弁理士】
【氏名又は名称】舩曵 崇章
(72)【発明者】
【氏名】大友 隆
【テーマコード(参考)】
3B011
【Fターム(参考)】
3B011AB09
3B011AC22
(57)【要約】
【課題】首部分に生じる隙間が少ない感染防止用ガウンを提供する。
【解決手段】装着者の前面を概ね覆う前面部2と、この前面部2の上端縁となる折り曲げ部21から後方に向かって垂下する背面部3と、前記上端縁を含む前記前面部2および前記背面部3の左右方向の両側に連続し、装着者の両腕が挿入される左右一対の袖部4と、を備え、前記折り曲げ部21は、左右方向に連続しており、前記背面部3に、装着者の首が挿入される首挿入部(首挿入用切欠き30)が形成されている、感染防止用ガウン1とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の前面を概ね覆う前面部と、
この前面部の上端縁となる折り曲げ部から後方に向かって垂下する背面部と、
前記上端縁を含む前記前面部および前記背面部の左右方向の両側に連続し、装着者の両腕が挿入される左右一対の袖部と、を備え、
前記折り曲げ部は、左右方向に連続しており、
前記背面部に、装着者の首が挿入される首挿入部が形成されている、
感染防止用ガウン。
【請求項2】
首挿入部は、
装着者の首が挿入される首挿入用切欠きである、
請求項1に記載の感染防止用ガウン。
【請求項3】
首挿入用切欠きは、
背面部の概ね中央上部を頂点とした形状に切欠かれている、
請求項2に記載の感染防止用ガウン。
【請求項4】
首挿入用切欠きの左右の縁部それぞれに、
上端で背面部と連続する左右の首紐を備えた、
請求項2または請求項3に記載の感染防止用ガウン。
【請求項5】
左右の首紐は、
背面部と連続する上端から、斜め下方外側に向かってそれぞれ延びている、
請求項4に記載の感染防止用ガウン。
【請求項6】
左右の首紐は、
背面部と連続する上端の外側が略円弧状に形成されている、
請求項4または請求項5に記載の感染防止用ガウン。
【請求項7】
装着者の前面を概ね覆う前面部と、
この前面部の上端縁となる折り曲げ部から後方に向かって垂下する背面部と、
前記上端縁を含む前記前面部および前記背面部の左右方向の両側に連続し、装着者の両腕が挿入される一対の袖部と、を備え、
前記折り曲げ部は、左右方向に連続しており、
前記背面部に、装着者の首が挿入される首挿入用切欠きが形成されており、
前記首挿入用切欠きは、
前記背面部の概ね中央上部を頂点とした略凸状に切欠かれており、
前記首挿入用切欠きの左右の縁部それぞれに、
上端で前記背面部と連続する左右の首紐を備えており、
前記左右の首紐は、
前記背面部と連続する上端から、斜め下方外側に向かってそれぞれ延びており、背面部と連続する上端の外側が略円弧状に形成されている、
感染防止用ガウン。
【請求項8】
左右の首紐は、
首挿入用切欠きの頂点よりも低い位置で背面部と連続する上端から、
下方に向かって延びている、
請求項4に記載の感染防止用ガウン。
【請求項9】
左右の首紐は、
首挿入用切欠きの頂点よりも低い位置で背面部と連続する上端から、
下方に向かって互いに略平行に延びている、
請求項4に記載の感染防止用ガウン。
【請求項10】
首挿入用切欠きは、
上下方向に概ね同じ幅で延びる本体部と、
この本体部の上端から上方に向かって徐々に拡幅する拡幅部と、
この拡幅部の上端縁中央部から上方に向かって略円弧状に突出する円弧状突出部と、を備えている、
請求項4に記載の感染防止用ガウン。
【請求項11】
装着者の前面を概ね覆う前面部と、
この前面部の上端縁となる折り曲げ部から後方に向かって垂下する背面部と、
前記上端縁を含む前記前面部および前記背面部の左右方向の両側に連続し、装着者の両腕が挿入される一対の袖部と、を備え、
前記折り曲げ部は、左右方向に連続しており、
前記背面部に、装着者の首が挿入される首挿入用切欠きが形成されており、
前記首挿入用切欠きは、前記背面部の概ね中央上部を頂点とした形状に切欠かれ、上下方向に概ね同じ幅で延びる本体部と、この本体部の上端から上方に向かって徐々に拡幅する拡幅部と、この拡幅部の上端縁中央部から上方に向かって略円弧状に突出する円弧状突出部と、を備えており、
前記首挿入用切欠きの左右の縁部それぞれに、
上端で前記背面部と連続する左右の首紐を備えており、
前記左右の首紐は、
前記首挿入用切欠きの頂点よりも低い位置で前記背面部と連続する上端から、下方に向かって互いに略平行に延びており、
背面部と連続する上端の外側が略円弧状に形成されている、
感染防止用ガウン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感染防止用ガウンに関する。詳しくは、新型コロナウイルス(COVID‐19)などの各種ウイルスや細菌の感染予防対策・感染防止対策として好適に用いられる、感染防止用ガウンに関する。
【背景技術】
【0002】
医療、看護および介護の分野において、新型コロナウイルス(COVID‐19)の感染予防対策・感染防止対策として、感染防止用ガウンの需要が高まっている。感染防止用ガウンを装着することで、患者の血液や体液等が医療者の肌に付着することを防止することができる。
【0003】
なかでも使い捨ての感染防止用ガウンは、感染防止の観点や衛生面から特に好ましく、需要が爆発的に増大している。
【0004】
さらに、今後の新型コロナウイルスの感染予防対策・感染防止対策として感染防止用ガウンが必要とされる場面は、医療現場、看護現場のみならず、感染によって重症化しやすい高齢者と濃厚接触する介護福祉現場、さらには、銀行窓口業務やスーパー・コンビニのレジ業務などの対面接客に係る業務など、幅広いビジネスシーン・ビジネス現場などにおいても拡がっていくことが予想される。
【0005】
前述したような感染防止用ガウンとしては、例えば、特許文献1記載の医療用使い捨てエプロン(ガウン)が知られている。
【0006】
特許文献1には、「首挿通用孔と前掛け面を有し、且つ腰紐を前記前掛け面の中央部左右両側から延設させたエプロン本体に、前記前掛け面の上方部左右両側に筒状袖部の前側袖繰りを連接し、後側袖繰りを非連接としたものであることを特徴とする医療用使い捨てエプロン。」が記載され、これによって「着用操作が簡便、容易であり、従って素早く着用することができ、特に患者を緊急に処置する必要がある場合に好適である。またエプロンに使用する生地(フィルム)量も少ないから、低コストとなる。」とある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】登録実用新案公報第3061734号公報 (請求項1、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1記載の医療用使い捨てエプロン(ガウン)は、着用(装着)した際に、首の部分に生じる隙間が大きくなってしまっていた。そして、この隙間を通じて出血や嘔吐物に含まれるウイルス等が侵入する可能性が高くなり、汚染されるリスクが増大していた。
【0009】
これは、簡単に装着することができるように「首挿通用孔」が比較的大きく形成されており、また、その前縁部分が比較的前方よりの位置に設けられたものとなっていることが原因となっていた。
【0010】
また、医療現場における新型コロナウイルス対応において、当初、フェイスシールドとガウン等の組み合わせを用いることが多かった。しかしながら、ICUだけでなく一般病棟、発熱外来など、対応場所が多岐に渡ることからフェイスシールドに替えて医療ゴーグルを使用することが増え、より一層、首や肩口に生じる隙間が問題となっていた。
さらに、医療、看護および介護の分野の従事者は、患者を抱きかかえるなど様々な姿勢を余儀なくされており、首部分や肩口に生じる隙間が大きくなりやすく、また、飛沫などを浴び、この隙間を通じて汚染されるリスクが増大していたのである。
【0011】
本発明は、上述の事柄に留意してなされたものであって、首部分に生じる隙間を少なくすることができる感染防止用ガウンを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、装着者の前面を概ね覆う前面部と、この前面部の上端縁となる折り曲げ部から後方に向かって垂下する背面部と、前記上端縁を含む前記前面部および前記背面部の左右方向の両側に連続し、装着者の両腕が挿入される左右一対の袖部と、を備え、前記折り曲げ部は、左右方向に連続しており、前記背面部に、装着者の首が挿入される首挿入部が形成されている、感染防止用ガウンとした。
【0013】
この感染防止用ガウンは、背面部に、装着者の首が挿入される首挿入部が形成されていることで、装着時に首の前方部分が立ち上がりやすくなり、首部分に生じる隙間が少なくなる。折り曲げ部を含む前面部には、首挿入部が形成されていないのである。
【0014】
首挿入部は、装着者の首が挿入される首挿入用切欠きである、感染防止用ガウンとすることができる。
【0015】
この感染防止用ガウンは、装着作業がしやすくなる。首挿入部(首挿入用切欠き)は下方に向かって開口していることになる。
【0016】
首挿入用切欠きは、背面部の概ね中央上部を頂点とした形状に切欠かれている、感染防止用ガウンとすることもできる。
【0017】
この感染防止用ガウンは、装着作業がしやすくなるとともに、首部分に生じる隙間がより少なくなる
【0018】
首挿入用切欠きの左右の縁部それぞれに、上端で背面部と連続する左右の首紐を備えた、感染防止用ガウンとすることができる。
【0019】
この感染防止用ガウンは、左右の首紐を首の後ろ側で結ぶことによって、装着時に首の前方部分がより立ち上がりやすくなり、首部分に生じる隙間がより少なくなる。
【0020】
左右の首紐は、背面部と連続する上端から、斜め下方外側に向かってそれぞれ延びている、感染防止用ガウンとすることもできる。
【0021】
この感染防止用ガウンは、装着する際に、左右の首紐を首の後ろ側で結びやすくなる。
【0022】
左右の首紐は、背面部と連続する上端の外側が略円弧状に形成されている、感染防止用ガウンとすることもできる。
【0023】
この感染防止用ガウンは、左右の首紐の上端部の強度が増し、首紐を結ぶ際などに首紐が上端からちぎれにくくなる。
【0024】
上記課題は、装着者の前面を概ね覆う前面部と、この前面部の上端縁となる折り曲げ部から後方に向かって垂下する背面部と、前記上端縁を含む前記前面部および前記背面部の左右方向の両側に連続し、装着者の両腕が挿入される一対の袖部と、を備え、前記折り曲げ部は、左右方向に連続しており、前記背面部に、装着者の首が挿入される首挿入用切欠きが形成されており、前記首挿入用切欠きは、前記背面部の概ね中央上部を頂点とした略凸状に切欠かれており、前記首挿入用切欠きの左右の縁部それぞれに、上端で前記背面部と連続する左右の首紐を備えており、前記左右の首紐は、前記背面部と連続する上端から、斜め下方外側に向かってそれぞれ延びており、背面部と連続する上端の外側が略円弧状に形成されている、感染防止用ガウンとすることによっても解決される。
【0025】
また、首挿入用切欠きの左右の縁部それぞれに、上端で背面部と連続する左右の首紐を備えている場合において、左右の首紐は、首挿入用切欠きの頂点よりも低い位置で背面部と連続する上端から、下方に向かって延びている、感染防止用ガウンとすることもできる。
【0026】
この感染防止用ガウンは、左右の首紐を首の後ろ側で結ぶことによって、装着時に首の前方部分が立ち上がりやすくなり、首部分に生じる隙間が少なくなる。また、装着時に、肩の上方に隙間(首紐の上端の外側と背面部の間)が生じにくくなる。
【0027】
このとき、左右の首紐は、首挿入用切欠きの頂点よりも低い位置で背面部と連続する上端から、下方に向かって互いに略平行に延びている、感染防止用ガウンとすることができる。
【0028】
この感染防止用ガウンは、装着する際に、左右の首紐を首の後ろ側で結びやすくなる。
【0029】
首挿入用切欠きは、上下方向に概ね同じ幅で延びる本体部と、この本体部の上端から上方に向かって徐々に拡幅する拡幅部と、この拡幅部の上端縁中央部から上方に向かって略円弧状に突出する円弧状突出部と、を備えている感染防止用ガウンとすることもできる。
【0030】
この感染防止用ガウンは、より一層、首部分に生じる隙間が少なくなる。特に、円弧状突出部によって、首の前側にフィットしやすくなる。
【0031】
また、上記課題は、装着者の前面を概ね覆う前面部と、この前面部の上端縁となる折り曲げ部から後方に向かって垂下する背面部と、前記上端縁を含む前記前面部および前記背面部の左右方向の両側に連続し、装着者の両腕が挿入される一対の袖部と、を備え、前記折り曲げ部は、左右方向に連続しており、前記背面部に、装着者の首が挿入される首挿入用切欠きが形成されており、前記首挿入用切欠きは、前記背面部の概ね中央上部を頂点とした形状に切欠かれ、上下方向に概ね同じ幅で延びる本体部と、この本体部の上端から上方に向かって徐々に拡幅する拡幅部と、この拡幅部の上端縁中央部から上方に向かって略円弧状に突出する円弧状突出部と、を備えており、前記首挿入用切欠きの左右の縁部それぞれに、上端で前記背面部と連続する左右の首紐を備えており、前記左右の首紐は、前記首挿入用切欠きの頂点よりも低い位置で前記背面部と連続する上端から、下方に向かって互いに略平行に延びており、背面部と連続する上端の外側が略円弧状に形成されている、感染防止用ガウンとすることによっても解決される。
【発明の効果】
【0032】
本発明により、首部分に生じる隙間が少ない感染防止用ガウンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】第一実施形態の感染防止用ガウンの背面図である。
図2】第一実施形態の感染防止用ガウンの正面図である。
図3】第一実施形態の感染防止用ガウンの展開図である。
図4】第一実施形態の感染防止用ガウンを装着した状態を例示する斜視図(写真)である。
図5】第二実施形態の感染防止用ガウンの背面図である。
図6】第二実施形態の感染防止用ガウンの正面図である。
図7】第二実施形態の感染防止用ガウンの展開図である。
図8】第二実施形態の感染防止用ガウンを装着した状態を例示する斜視図(写真)である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図を用いて感染防止用ガウンを例示説明する。感染防止用ガウンは、前面部と背面部と袖部を備えており、背面部に首挿入部が形成されている。
以下、実施形態を挙げて例示説明するが、本発明およびその構成要素は、以下の説明に限定されるものではない。
【0035】
まず、第一実施形態の感染防止用ガウンについて、図1図4を用いて例示説明する。第一実施形態の感染防止用ガウンは、請求項1~7に対応する。
なお、図1図3において、例示する感染防止用ガウンは左右対象であるため、原則として、一方側の構成要素にのみ符号を付してある。また、図1において、図面の奥側が前面側、手前側が背面側となる。さらに、図4において、感染防止用ガウンの首回りなどに縁取りを施してある。
【0036】
A.第一実施形態の感染防止用ガウン
1.前面部
前面部2は装着者の前面を概ね覆うような形状および大きさである。前面部2は、例えば、装着者の胴体(胸部や腹部を含む)の前面を概ね覆うような形状および大きさや、胴体の前面に加えて脚部の前面を概ね覆うような形状および大きさとすることができる。
【0037】
本実施形態では、前面部2はシート状である。また、前面部2は、後述する背面部3や袖部4と連続しており、これらは同一シートを用いて形成してある。前面部2などに用いるシートとしては、例えば、不織布や樹脂シートなどを用いることができる。樹脂シートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどを用いることができる。なかでも、ポリプロピレンシートを用いることが好ましい。
樹脂シートの厚みは、例えば、0.01~0.5mmとすることが好ましい。ポリプロピレンシートを用いる場合、その厚みは、例えば、0.01~0.2mmが好ましく、0.02~0.1mmがより好ましい。
本実施形態では1枚の塩素化ポリプロピレンシートを用いて、前面部2などを形成した。
【0038】
前面部2には、装着者の首が挿入される首挿入部(30)が形成されていない。また、本実施形態では、前面部2に貫通孔などは設けていない。
【0039】
[折り曲げ部]
前面部2の上端縁は折り曲げ部21となっており、前面部2は、この折り曲げ部21を介して、後述する背面部3と連続している。
【0040】
折り曲げ部21は、前面部2と背面部3の境界部分の折り曲げ線であり、感染防止用ガウン1を水平面に載置して略平面状としたときに、図1に例示するように、自然と折れ曲がる部分である。折り曲げ部21には、折れ曲がりやすくするような曲げ加工を施してもよい。
本実施形態では、後述するように、前側延長部41と後側延長部45が上下対称になるような中心線で折り曲げた後、前側延長部41の前側端縁42と後側延長部45の後側端縁46を溶着してあるところ、前側延長部41と後側延長部45が上下対称になるような中心線が、折り曲げ部21となる。
【0041】
また、折り曲げ部21は、左右方向に連続している。すなわち、折り曲げ部21には、後述する首挿入部(首挿入用切欠き30)が位置していない。首挿入部(首挿入用切欠き30)は、後述するように、背面部3に形成されている。
【0042】
2.背面部
背面部3は、図1に例示するように、前面部2の上端縁となる折り曲げ部21から後方に向かって垂下するように設けられている。
【0043】
本実施形態では、背面部3は、前面部2や袖部4に加え、首紐5と連続しており、これらは同一シートを用いて形成してある。なお、背面部3と袖部4との境界は必ずしも明確ではないが、例えば、感染防止用ガウン1を装着した際に背中側に位置する部分を背面部3とすることができる。
【0044】
そして、背面部3には、装着者の首が挿入される首挿入部(30)が形成される。本実施形態では、首挿入部(30)として、装着者の首が挿入される首挿入用切欠き30が形成されている。
【0045】
[首挿入用切欠き(首挿入部)]
首挿入用切欠き30は、背面部3の概ね中央上部を頂点とした形状(概ね中央上部が高くなっている形状)に切欠かれている。本実施形態においては、略凸状の首挿入用切欠き30となっている。詳細には、略凸状の首挿入用切欠き30は、頂部が直線状であり、左右両辺が、それぞれ下方に向かってなだらかに拡がる曲線状となっている。
【0046】
折り曲げ部21から首挿入部(首挿入用切欠き30)の上端(頂部)までの距離は、例えば、1~8cmとすることができる。折り曲げ部21から首挿入部(首挿入用切欠き30)の上端(頂部)までの距離は、好ましくは3~7cm、より好ましくは5~6cmである。本実施形態では、折り曲げ部21から首挿入用切欠き30の上端(頂部)までの距離を5.5cmとした。
【0047】
[首紐]
本実施形態では、図1に例示するように、首挿入用切欠き30の左右の縁部それぞれに、上端51で背面部3と連続する左右の首紐5を備えている。首紐5の幅(太さ)は、例えば、1~5cmとすることができる。首紐5の幅(太さ)は、好ましくは、1.4~4cmであり、より好ましくは2~3cmである。
【0048】
そして、左右の首紐5は、図1に例示するように、皺など無いように平面状に伸ばした状態で、背面部3と連続する上端から、緩やかなカーブを描くように斜め下方外側に向かってそれぞれ延びており、背面部3と連続する上端51の外側52が略円弧状に形成されている。
【0049】
3.袖部
袖部4は、左右に一対設けられており、前面部2および背面部3の左右方向の両側にそれぞれ連続している。袖部4は、筒状であり、感染防止用ガウン1の装着に伴って腕を通す部位となっている。
【0050】
本実施形態では、袖部4は、図3に例示するように、裁断した薄厚シートのうち、側方に突出した前面部2側の延長部分(前側延長部41)と、背面部3側の延長部分(後側延長部45)によって形成した部分である。前側延長部41と後側延長部45は、後に上端縁となる折り曲げ部21を中心線として概ね対称形状を成すように形成された部分である。そして、袖部4は、先端方向に向かってやや幅が狭くなるように形成されており、折り曲げ部21を中心線として前側延長部41と後側延長部45を折り返して表裏重ね合わせた後に、前側延長部41の前側端縁42と後側延長部45の後側端縁46を接着(溶着を含む)することで、左右に連通するやや先細の筒状の袖部4を形成するようになっている。
【0051】
前側延長部41と後側延長部45は折り曲げ部21を中心線として概ね対称形状を成しており、折り曲げ部21が肩から腕先に亘る上端縁と一致し、前側延長部41と後側延長部45の接合部である前側端縁42と後側端縁46が、脇下から腕先に亘る袖部4の下端縁を構成するようになっている。
【0052】
また、本実施形態では、袖部4の先端に指掛け49を設けてある。詳細には、前側延長部41の先端に、略環状の指掛け49を設けてある。この指掛け49には、図4に例示するように、装着者の親指を挿入することができる。
【0053】
4.感染防止用ガウンの装着方法
このような感染防止用ガウン1は、例えば、装着者の前方に位置させ、装着者の両腕を左右の袖部4に通した後、装着者の背中側で左右の腰紐6を結ぶとともに、装着者の首部の後ろ側で左右の首紐5を結ぶことによって装着することができる。なお、背面部3に、装着者の首が挿入される首挿入部(30)が形成されているため、装着した際、装着者の首の前側には、背面部3の中央上部(背面図(本実施形態では図1)における背面部3の中央上部。換言すると、首挿入部(30)の上方に位置する背面部3の部分)が位置することになる。
【0054】
B.第二実施形態の感染防止用ガウン
以下、第二実施形態の感染防止用ガウンについて図5図8を用いて例示説明する。前述した第一実施形態とは、首挿入用切欠き30の形状や、首紐5の上端の位置や延びる方向などが異なる。第二実施形態の感染防止用ガウンは、請求項1~4および請求項8~11に対応する。
なお、図5図8において、前記第一実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する。また、図5図8においても、原則として、一方側の構成要素にのみ符号を付してある。
【0055】
[首挿入用切欠き(首挿入部)]
本実施形態においても、首挿入用切欠き30は、背面部3の概ね中央上部を頂点とした形状に切欠かれている。本実施形態において、首挿入用切欠き30は、詳細には、上下方向に概ね同じ幅で延びる本体部301と、この本体部301の上端から上方に向かって徐々に拡幅する拡幅部302と、この拡幅部302の上端縁中央部から上方に向かって略円弧状に突出する円弧状突出部303と、を備えている。
ここで、首挿入用切欠き30の本体部301の幅(左右の幅、後述する左右の首紐5の間隔)は、例えば、5~20cmとすることができる。首挿入用切欠き30の本体部301の幅(左右の幅)は、好ましくは7~18cm、より好ましくは12~17cm、最も好ましくは14~16cmである。
【0056】
折り曲げ部21から首挿入部(首挿入用切欠き30)の上端(本実施形態では、円弧状突出部303の頂部)までの距離は、例えば、0.1~8cmとすることができる。折り曲げ部21から首挿入部(首挿入用切欠き30)の上端までの距離は、好ましくは0.3~5cm、より好ましくは0.5~5cm、最も好ましくは1~3cmである。本実施形態では、折り曲げ部21から首挿入用切欠き30の上端までの距離を1cmとした。当然、1.5cmとすることもできる。なお、折り曲げ部21については、第一実施形態のものと同様である。
【0057】
[首紐]
本実施形態では、図5に例示するように、首挿入用切欠き30の左右の縁部それぞれに、上端51で背面部3と連続する左右の首紐5を備えている。本実施形態では、左右の首紐5は、首挿入用切欠き30の頂点よりも低い位置で背面部3と連続する上端51から、下方に向かって(垂下するように)延びている。首挿入用切欠き30の頂点と首紐5の上端51(左右の首紐を形成するために左右の首紐の外方にそれぞれ形成した切欠きの最上端)との距離L(上下方向の距離:図5参照)は、例えば、3~15cmとすることができる。首挿入用切欠き30の頂点と首紐5の上端51との距離Lは、好ましくは5~12cm、特に好ましくは7~11cm、最も好ましくは8~10cmである。
また、首紐5の幅(太さ)は、例えば、1~5cmとすることができる。首紐5の幅(太さ)は、好ましくは、1.4~4cmであり、より好ましくは2~3cmである。
【0058】
そして、左右の首紐5は、図5に例示するように、皺など無いように平面状に伸ばした状態で、背面部3と連続する上端51から、下方に向かってそれぞれ略平行に延びており、背面部3と連続する上端51の外側52が略円弧状に形成されている。
【0059】
本実施形態のガウンも第一実施形態のガウンと同様に装着することができる。図8に、本実施形態のガウンを装着した状態を例示する。第一実施形態のガウン(図4参照)とは異なり、装着時に、肩の上方に隙間(首紐の上端の外側と背面部の間)が生じていないことがわかる。
【0060】
以上、特定の実施形態を参照して本発明を例示説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、当該技術分野における熟練者等により、本出願の願書に添付された特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変更及び修正が可能である。
【0061】
例えば、上記実施形態において、装着者の首が挿入される首挿入部が首挿入用切欠き30であったが、これに限定されず、例えば、首挿入孔であってもよい。首挿入孔の形状としては、例えば、略円形状、略楕円形状、略矩形状などとすることができる。
【0062】
例えば、上記実施形態において、首挿入用切欠き30は、頂部が直線状又は頂部が上方に向かって突出する略円弧状であったがこれに限定されず、例えば、頂部が上方に向かって突出する略山脈状であってもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 感染防止用ガウン

2 前面部
21 折り曲げ部

3 背面部
30 首挿入用切欠き(首挿入部)
301 本体部
302 拡幅部
303 円弧状突出部

4 袖部
41 前側延長部
42 前側端縁
45 後側延長部
46 後側端縁
49 指掛け

5 首紐
51 上端
52 上端の外側

6 腰紐
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8