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特開2022-187126抗血小板剤、血小板粘着抑制剤、血小板凝集抑制剤、抗血栓剤、血小板粘着および/または血小板凝集を抑制するための食品組成物ならびに血栓症を予防または改善するための食品組成物
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  • 特開-抗血小板剤、血小板粘着抑制剤、血小板凝集抑制剤、抗血栓剤、血小板粘着および/または血小板凝集を抑制するための食品組成物ならびに血栓症を予防または改善するための食品組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187126
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】抗血小板剤、血小板粘着抑制剤、血小板凝集抑制剤、抗血栓剤、血小板粘着および/または血小板凝集を抑制するための食品組成物ならびに血栓症を予防または改善するための食品組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/125 20160101AFI20221212BHJP
   A61K 31/726 20060101ALI20221212BHJP
   A61P 7/02 20060101ALI20221212BHJP
   A61K 31/702 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
A23L33/125
A61K31/726
A61P7/02
A61K31/702
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094977
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】300079508
【氏名又は名称】丸共水産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110766
【弁理士】
【氏名又は名称】佐川 慎悟
(74)【代理人】
【識別番号】100165515
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 清子
(74)【代理人】
【識別番号】100169340
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 陽輔
(74)【代理人】
【識別番号】100195682
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 陽子
(74)【代理人】
【識別番号】100206623
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 智行
(72)【発明者】
【氏名】宮本 宜之
(72)【発明者】
【氏名】堤 尚信
【テーマコード(参考)】
4B018
4C086
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018MD31
4B018ME14
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA02
4C086EA26
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA54
(57)【要約】
【課題】 経口摂取された場合であっても有効な抗血小板剤、血小板粘着抑制剤、血小板凝集抑制剤、抗血栓剤、血小板粘着および/または血小板凝集を抑制するための食品組成物ならびに血栓症を予防または改善するための食品組成物を提供する。
【解決手段】 コンドロイチン硫酸オリゴ糖を有効成分とする抗血小板剤。本発明によれば、有効成分を、簡便かつ非侵襲な使用形態である経口摂取の形態で用いて、血小板粘着または血小板凝集を抑制することができる。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンドロイチン硫酸オリゴ糖を有効成分とする、抗血小板剤。
【請求項2】
コンドロイチン硫酸オリゴ糖を有効成分とする、血小板粘着抑制剤。
【請求項3】
コンドロイチン硫酸オリゴ糖を有効成分とする、血小板凝集抑制剤。
【請求項4】
コンドロイチン硫酸オリゴ糖を有効成分とする、抗血栓剤。
【請求項5】
経口摂取により用いられることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の剤。
【請求項6】
前記コンドロイチン硫酸オリゴ糖の構成糖の数が2~12個である、請求項1~5のいずれかに記載の剤。
【請求項7】
コンドロイチン硫酸オリゴ糖を有効成分とする、血小板粘着および/または血小板凝集を抑制するための食品組成物。
【請求項8】
コンドロイチン硫酸オリゴ糖を有効成分とする、血栓症を予防または改善するための食品組成物。
【請求項9】
前記コンドロイチン硫酸オリゴ糖の構成糖の数が2~12個である、請求項7または請求項8に記載の食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンドロイチン硫酸オリゴ糖を有効成分とする、抗血小板剤、血小板粘着抑制剤、血小板凝集抑制剤、抗血栓剤、血小板粘着および/または血小板凝集を抑制するための食品組成物ならびに血栓症を予防または改善するための食品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
コンドロイチン硫酸(CS)は、ウロン酸とN-アセチル-D-ガラクトサミンとの二糖繰り返し構造からなる長い糖鎖に硫酸基が結合した構造を持つグリコサミノグリカンの一種である。多数の硫酸基を持つことから強く負に帯電して、保水性および弾力性に富む性質を有する。生体内の分布は、軟骨のほか、皮膚などの結合組織、脳などあらゆる組織に広く見られ、細胞増殖因子や細胞外マトリックス成分と相互作用し、細胞接着、移動、増殖、分化、形態形成といった様々な細胞活動を制御しており、特に、軟骨ではクッション作用に重要な役割を果たしていることが知られている。
【0003】
また、従来より、CSは弱い血液凝固抑制作用を有することが知られ(非特許文献1)、特許文献1には、CSを過硫酸化した過硫酸化CSが、より高い抗血液凝固活性を有することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-166001号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】竹下 剛、コンドロイチン硫酸およびそのスルフォン化物の生体における血液凝固阻止作用について(コンドロイチン硫酸に関する研究 その2)、法医・鑑識並びに社会医学雑誌、第6巻、第1・2号、第48~64頁、1968年3月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のとおりCSあるいはその誘導物について、血液凝固抑制作用を有することは知られていたが、血小板に対する作用は知られておらず、これらを有効成分とする抗血小板剤も無かった。また、高分子のCSは、経口摂取してもそのほぼ全てが腸内細菌によって利用され、血中に移行しない(国際特許出願PCT/JP2021/3414号明細書)。このことから、経口摂取の使用形態では高分子のCSによって血液凝固抑制作用を得ることができない。
【0007】
一方、本発明者らは、CSを高温高圧条件下で加水分解して低分子化し、コンドロイチン硫酸オリゴ糖(CSオリゴ糖)を製造する技術開発に成功している(特許第6146733号)。そして今般、本発明者らは、鋭意研究の結果、CSオリゴ糖が、経口摂取された場合であっても生体内に吸収されて血中に存在すること、および血小板の粘着や血小板の凝集を抑制できることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、上記課題を解決するために成されたものであって、経口摂取された場合であっても有効な、CSオリゴ糖を有効成分とする抗血小板剤、血小板粘着抑制剤、血小板凝集抑制剤、抗血栓剤、血小板粘着および/または血小板凝集を抑制するための食品組成物ならびに血栓症を予防または改善するための組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係る抗血小板剤は、コンドロイチン硫酸オリゴ糖を有効成分とする。
【0010】
(2)本発明に係る血小板粘着抑制剤は、コンドロイチン硫酸オリゴ糖を有効成分とする。
【0011】
(3)本発明に係る血小板凝集抑制剤は、コンドロイチン硫酸オリゴ糖を有効成分とする。
【0012】
(4)本発明に係る抗血栓剤は、コンドロイチン硫酸オリゴ糖を有効成分とする。
【0013】
(5)本発明に係る剤は、経口摂取により用いられるものであってもよい。
【0014】
(6)本発明において、コンドロイチン硫酸オリゴ糖の構成糖の数は、2~12個であってもよい。
【0015】
(7)本発明に係る血小板粘着および/または血小板凝集を抑制するための食品組成物は、コンドロイチン硫酸オリゴ糖を有効成分とする。
【0016】
(8)本発明に係る血栓症を予防または改善するための食品組成物は、コンドロイチン硫酸オリゴ糖を有効成分とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、血小板のコラーゲンへの粘着または血小板の凝集を抑制することができる。すなわち、本発明によれば、血小板血栓の不必要な形成や過剰な形成を抑制することができる。このことから、血栓がその発症や悪化の要因となる疾病や不健康状態の予防や改善に寄与することができる。
【0018】
有効成分であるCSオリゴ糖は、後述する実施例で示すように、経口摂取によって血中に移行する。よって、本発明によれば、有効成分を、簡便かつ非侵襲な使用形態である経口摂取の形態で用いて、血小板粘着または血小板凝集を抑制することができる。
【0019】
また、CSオリゴ糖は、プラセボ二重盲検でのヒト介入試験において、経口摂取における安全性が確認されている(Mie Nishimura, Nobuyuki Miyamoto, Jun Nishihira , Daily Oral Chondroitin Sulfate Oligosaccharides for Knee Joint Pain in Healthy Subjects: A Randomized, Blinded, Placebo-Controlled Study , The Open Nutrition Journal, 2018, 12, 10-20)。よって、本発明によれば、安全性への懸念なく、血小板粘着または血小板凝集を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施例で用いたオリゴ糖製造装置を模式的に示す図である。
図2】4糖のコンドロイチン硫酸(CS4糖)の希釈列に係るHPLCクロマトグラムにおけるピーク面積と、サンプルに含まれるCS4糖量との関係を示すグラフ(検量線)である。
図3】CS4糖を経口投与した被験者の血漿のHPLCクロマトグラムである。上図が被験者1の血漿(検体1)をサンプルとしたクロマトグラムであり、下図が被験者2の血漿(検体2)をサンプルとしたクロマトグラムである。また、点線がCS4糖の投与前の血漿をサンプルとしたクロマトグラムであり、実線がCS4糖を経口投与した後の血漿をサンプルとしたクロマトグラムである。
図4】種々の濃度となるようCS4糖を添加した、CSオリゴ糖の常用者の血小板粘着能を示す棒グラフである。
図5】CSオリゴ糖の常用者、服用中止後8日間経過した常用者、非常用者および服用開始後6日間経過した非常用者の血液の血小板粘着能を示す棒グラフである。
図6】種々の濃度となるようCS4糖を添加した、CSオリゴ糖の常用者および非常用者の血液の血小板凝集能を示す棒グラフである。
【0021】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0022】
本発明は、抗血小板剤、血小板粘着抑制剤、血小板凝集抑制剤、抗血栓剤、血小板粘着および/または血小板凝集を抑制するための食品組成物ならびに血栓症を予防または改善するための食品組成物を提供する。以下、これらの剤および食品組成物をまとめて、あるいはこれらの剤および食品組成物のうちのいずれかを指して「本発明の剤等」あるいは「本発明に係る剤等」という場合がある。
【0023】
抗血小板剤は、血小板の働きを低下させて血栓の形成を抑制する作用を有する剤、あるいは当該作用を生体にもたらす目的で用いられる剤をいう。
【0024】
血小板粘着抑制剤は、血小板粘着を抑制する作用を有する剤、あるいは当該作用を生体にもたらす目的で用いられる剤をいう。
【0025】
血小板凝集抑制剤は、血小板凝集を抑制する作用を有する剤、あるいは当該作用を生体にもたらす目的で用いられる剤をいう。
【0026】
抗血栓剤は、血栓の形成を抑制する作用を有する剤、血栓症を予防または改善する作用を有する剤、あるいは前記の作用を生体にもたらす目的で用いられる剤をいう。
【0027】
血小板の粘着(血小板粘着)とは、血小板が、コラーゲンや血管内皮細胞、血管内皮細胞下組織などの生体内物質に直接あるいは他因子を介して粘着することをいう。また、血小板粘着を抑制するとは、左記物質に血小板が粘着する程度(粘着した血小板数や粘着強度など)を小さくすることをいう。
【0028】
被験物質により血小板粘着が抑制されたか否かは、例えば、後述する実施例に示すように、コラーゲンビーズを用いた血小板粘着能検査により確認することができる。当該検査において、被験物質の存在によりビーズを通過する血小板数が増大すれば、被験物質により血小板粘着が抑制されたと判断することができる。
【0029】
血小板の凝集(血小板凝集)とは、血小板同士が直接あるいは他因子を介して凝集して凝集塊を形成することをいう。また、血小板凝集を抑制するとは、凝集塊を形成する程度(凝集した血小板数など)を小さくすることをいう。
【0030】
被験物質により血小板凝集が抑制されたか否かは、例えば、後述する実施例に示すように、光透過法による血小板凝集能検査により確認することができる。当該検査において、血小板刺激物質(アデノシン二リン酸など)添加時の光透過率(凝集率)が被験物質の存在により小さくなれば、被験物質により血小板凝集が抑制されたと判断することができる。
【0031】
血小板粘着および血小板凝集が起こると血栓が形成される。形成された血栓が血管に詰まると、そこから先の血流が著しく悪くなり、組織に重大な障害を引き起こす。例えば、心臓や脳、肺の血管に血栓が詰まると、心筋梗塞、脳梗塞、肺塞栓症を引き起こし、生命に危険をもたらす。このような、血管が血栓で閉塞することにより発症する疾病を血栓症という。血栓症は、動脈血栓症(脳梗塞、心筋梗塞、末梢動脈血栓症など)と静脈血栓症(深部静脈血栓症、術後深部静脈血栓症、肺塞栓、エコノミークラス症候群など)とに分けられる場合がある。
【0032】
また、疾病まではいかずとも、正常状態よりも血栓の量が増加すると、動脈硬化、痴呆、血圧異常、めまい、肩こり、頭痛、腰痛、関節痛、目のかすみ、不眠、動悸、息切れ、不整脈、皮膚のくすみ、くまなどの不健康状態を引き起こす。
【0033】
CSオリゴ糖は、血小板粘着を抑制、あるいは血小板凝集を抑制できることから、血小板血栓の生成を抑制することができる。よって、CSオリゴ糖は、抗血小板剤や抗血栓剤の有効成分とすることができる。
【0034】
すなわち、本発明の剤等は、血小板血栓がその発症または悪化の要因となる疾患や不健康状態を予防または改善する用途の剤や食品組成物として用いることができる。本発明は、血小板粘着を抑制することまたは血小板凝集を抑制することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
【0035】
本発明において、CSオリゴ糖とは、ウロン酸とN-アセチル-D-ガラクトサミンとの二糖繰り返し構造からなる糖鎖に硫酸基が結合した構造(コンドロイチン硫酸構造)をもち、かつ、構成糖の個数が、コンドロイチン硫酸よりも少ないものをいう。CSオリゴ糖の構成糖の個数は、単糖よりも多く、コンドロイチン硫酸よりも少ない数であればよく、例えば、2糖、3糖、4糖、5糖、6糖、7糖、8糖、9糖、10糖、11糖、12糖、13糖、14糖、15糖、16糖、17糖、18糖、19糖、20糖・・・48糖などを挙げることができる。これらのうち、構成糖の個数が2~12個のCSオリゴ糖は、腸管膜の透過性が高いことから(特許第6146733号明細書:段落[0081]-[0086]、[図18])、経口摂取により生体に吸収されやすいと考えられる。よって、2~12糖のCSオリゴ糖を有効成分とすれば、本発明の剤等を、経口摂取により簡便に用いられる形態とすることができる。
【0036】
CSオリゴ糖は、化学合成して得てもよく、高分子のCSを公知の方法により分解して低分子化することにより得てもよい。CSを低分子化する方法としては、例えば、温度Tが175℃≦T≦220℃でありかつ圧力Pが5MPa≦P≦25MPa高温高圧条件で加水分解する方法(特許第6146733号公報)や、塩酸などの酸により加水分解する方法(Cifonelli、Carbohydrate Res.、第2巻、第150-161頁、1966年)、コンドロイチナーゼABCやコンドロイチナーゼACII、精巣ヒアルロニダーゼ、CS分解酵素(特開平9-168384号公報)などの酵素により脱離分解あるいは加水分解する方法、pH2.5~12.0のCS水溶液を100~160℃未満の水熱条件下に5~20分未満保つ方法(特開2010-77256号公報)を例示することができる。
【0037】
原料のCSは、動物の軟骨等から抽出して得てもよく、市販品を用いてもよい。CSの由来としては、例えば、エイやサメ、ウシ、クジラ、ウサギ、ヒツジ、カブトガニ、ブタ、イカ、ニワトリなどの動物を挙げることができるが、いずれの生物であってもよい。また、CSが有する構造としては、例えば、グルクロン酸-N-アセチル-D-ガラクトサミン4-硫酸構造(いわゆるコンドロイチン硫酸A構造)や、グルクロン酸-N-アセチル-D-ガラクトサミン6-硫酸構造(いわゆるコンドロイチン硫酸C構造)、グルクロン酸2-硫酸-N-アセチル-D-ガラクトサミン6-硫酸構造(いわゆるコンドロイチン硫酸D構造)、グルクロン酸-N-アセチル-D-ガラクトサミン4,6-硫酸構造(いわゆるコンドロイチン硫酸E構造)、上記の構造において、グルクロン酸がエピマー化してイズロン酸である構造(いわゆるコンドロイチン硫酸B構造)を挙げることができるが、これらのいずれであってもよい。
【0038】
本発明の剤は、ヒトもしくは動物の生体、または生体から採取した血小板を含む細胞や組織・器官に投与することにより使用することができる。投与方法としては、例えば、経口、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、髄腔内注射、舌下投与、口腔粘膜投与、経直腸投与、経膣投与、点眼、点耳、経鼻、経口吸入、噴霧吸入、経皮などを例示することができる。本発明の剤の形態としては、有効成分であるCSオリゴ糖のみからなるもののほか、適当な賦形剤や担体と合わせてなる、医薬品や医薬部外品、サプリメント、食品添加剤、飼料添加物、化粧品などの形態を挙げることができる。係る医薬品や医薬部外品、サプリメント、食品添加剤、飼料添加物、化粧品は、当業者に公知の方法で製造することができる。
【0039】
医薬品や医薬部外品、サプリメント、食品添加剤、飼料添加物におけるCSオリゴ糖の含有量は、その剤型により異なるが、例えば、乾燥質量を基準として0.001~90質量%、0.01~85質量%、0.1~80質量%などとすることができる。
【0040】
また、化粧品におけるCSオリゴ糖の含有量は、その剤型により異なるが、例えば、乾燥質量を基準として0.0001~80質量%、0.001~60質量%、0.01~50質量%などとすることができる。
【0041】
本発明の食品組成物の形態としては、有効成分であるCSオリゴ糖のみからなるもののほか、菓子や飲料、加工食品、健康食品、乳幼児食品などの通常の飲食物の形態を挙げることができる。飲食物の形態とする場合は、通常の製造過程で、有効成分を添加して製造することができる。この場合の食品組成物には、人用の飲食物のみならず、家畜、競走馬、愛玩動物などの飼料、ペットフード、飲料など(動物用飼料等)も包含する。動物用飼料等は、対象が動物である以外は飲食物とほぼ等しいことから、本明細書における食品組成物に関する記載は、動物用飼料等についても同様に当てはめることができる。
【0042】
食品組成物におけるCSオリゴ糖の含有量は、飲食物の形態により異なるが、例えば、乾燥質量を基準として0.001~99質量%、0.01~80質量%、1~80質量%などとすることができる。1日当たりの摂取量は、1回で摂取してもよいが、数回に分けて摂取してもよい。
【0043】
以下、本発明について各実施例に基づいて説明する。本発明の技術的範囲は、これらの実施例によって示される特徴に限定されない。
【実施例0044】
本実施例において、「%」は、特段の記載のない限り質量%((w/w)%)を表す。また、単位の「M」はmol/Lを意味する。本実施例において、「コンドロイチン硫酸オリゴ糖(CSオリゴ糖)の常用者」は、CSオリゴ糖を約300mg/日の摂取量で約12ヶ月間、毎日経口摂取している者を被験者とした。「CSオリゴ糖の非常用者」は、CSオリゴ糖の摂取経験が無い者、または摂取経験があるとしても前回の摂取から30日以上経過している者を被験者とした。血小板粘着能および血小板凝集能の測定は株式会社保健科学研究所にて行った。健常者における基準値は当該測定機関にて設定された値である。
【0045】
<実施例1>被験物質の調製
(1)高分子のコンドロイチン硫酸
エイの軟骨280kgを斜軸ニーダーに入れ、攪拌しながらパパイン300gを投入して、55℃で3時間反応させた。92℃に10分間保つことにより失活処理したのち、金網を通過させて粗ろ過し、ろ液を回収した。ろ液を50℃に冷却し、ろ過助剤として珪藻土10kgを加えてよく攪拌した後、加圧型ろ過装置フィルタープレスを用いて清澄ろ過し、淡黄色清明なろ液を得た。ろ液を分画分子量13000の限外ろ過膜を備えた濾過装置に供して、適宜加水しながら12時間透析した。内液(透析保持液)を回収して92℃で加熱殺菌した後、スプレードライヤーにより噴霧乾燥し、白色粉末10.2kgを得て、これを粗精製コンドロイチン硫酸とした。
【0046】
粗精製コンドロイチン硫酸10gをイオン交換水500mLに溶解し、活性炭5gを加え、4℃で一晩攪拌した。続いて、ろ過助剤として珪藻土を加えて清澄ろ過し、ろ液を回収した。エタノールを終濃度70(v/v)%となるよう加え、よく攪拌したのち4℃で一晩静置した。白色沈殿をガラスフィルターでろ過して集め、冷却した70(v/v)%エタノールで洗った。これを400mLのイオン交換水に溶解し、エタノールを終濃度80(v/v)%となるよう加え、よく攪拌したのち4℃で一晩静置した。白色沈殿をガラスフィルターでろ過して集め、冷却した80(v/v)%エタノールで洗った。これを400mLのイオン交換水に溶解し、エタノールを終濃度90(v/v)%となるよう加え、よく攪拌したのち4℃で一晩静置した。白色沈殿をガラスフィルターでろ過して集め、別に冷却した90(v/v)%エタノールで洗った。これをエタノール中で良く攪拌したのち、白色沈殿をガラスフィルターでろ過して集め、デシケーターで乾燥して、精製したコンドロイチン硫酸の白色粉末3.8gを得た。これを高分子のコンドロイチン硫酸とした。
【0047】
(2)CSオリゴ糖およびCS4糖
高分子のコンドロイチン硫酸を、175~220℃かつ5~25MPaの高温高圧条件で加水分解して、オリゴ糖のコンドロイチン硫酸(CSオリゴ糖)を得た。具体的には、まず、特許第6146733号公報に記載のオリゴ糖製造装置(図1)を用意した。すなわち、当該装置は、図1に示すように、蒸留水を収容する水容器、高圧ポンプA(ミルフロー制御容量ポンプ M150 パルスレスC24-Z3、日機装)、ヒーター(電気ヒーター)、センサーA、原料を収容する原料容器、高圧ポンプB(ミルフロー制御容量ポンプ M150 パルスレスC23-X1、日機装)、混合T字管、反応部(内腔径0.5mmのステンレス316製配管(内腔の空間体積46800mm~191000mm)からなる)、センサーB、センサーC、ウォーターバス、センサーD、背圧弁(High Pressure/Back Pressure 26-1762-66-314、TESCOM)および反応生成物を収容する生成物容器を備えるものであり、水容器、原料容器および生成物容器はすべてステンレス製配管でつながれた構造である。反応部の入り口温度をセンサーB、出口温度をセンサーCで確認する。圧力はセンサーDにより確認する。
【0048】
本実施例1(1)に記載の方法により調製した粗精製コンドロイチン硫酸10kgを500Lの水に溶解し、Brix2.0に調整して原料液とした。脱気した蒸留水を水容器に入れ、高圧ポンプAにより連続的に送液してヒーターで加熱した。原料液を原料容器に入れ、高圧ポンプBにより連続的に送液した。加熱された蒸留水と常温の原料液とは、反応部入口の混合T字管で混合され、反応部にて、水と原料液に含まれるコンドロイチン硫酸とを反応させて加水分解を行った。反応条件は、反応部の温度が175~220℃、反応部の圧力が5~25MPa、反応時間が8.8秒間とした。続いて、ステンレス製配管をウォーターバスで直接冷却することにより反応を速やかに終了させた。その後、背圧弁によりステンレス製配管内の圧力を下げて、反応生成物を生成物容器に収容した。なお、蒸留水の流量は原料液の流量の3倍以上とした。
【0049】
反応生成物を分画分子量3000の限外ろ過膜を備えた濾過装置に供して限外濾過し、外液(透過液)を回収して濃縮した。これを陰イオン交換担体NuviaQ(Bio Rad)を充填したイオン交換クロマトグラフィーに供して精製し、続いて、Biogel P-6(Bio Rad)に通して脱塩処理した後、凍結乾燥して、コンドロイチン硫酸オリゴ糖(CSオリゴ糖)の粉末を得た。また、濃縮後の外液を、Biogel P-6(Bio Rad)を充填したカラムを用いたゲル濾過クロマトグラフィーに供して分画し、四糖画分を分取した。これらを、上記と同様に精製、脱塩処理および凍結乾燥し、コンドロイチン硫酸構造を有する4糖(CS4糖)の粉末を得た。
【0050】
<実施例2>CSオリゴ糖の血中移行の確認
(1)血漿の取得
CS4糖を文献(河原ら、応用糖質科学、2021年、in press)に従い精製した後、超純水に溶解して水溶液とした。CS4糖1000mgを含有する水溶液を、健康な成人男性ボランティア2名(被験者1、2)に経口投与した。なお、被験者1は、CSオリゴ糖の服用を24時間中止した常用者であり、被験者2は非常用者である。投与前と投与から2時間または3時間後とに、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を終濃度1mg/mLになるように添加した10mL容量のシリンジ(テルモ)に血液を採取した。採血後ただちに10回ほどシリンジを転倒混和した後、15mL容量の遠心チューブに血液を移し、15分間静置した。これを遠心分離(2370×g、15分)し、上清(血漿)を分離回収して、-20℃で冷凍保存した。被験者1から取得した血漿を検体1、被験者2から取得した血漿を検体2とした。
【0051】
(2)サンプル液の調製
解凍した血漿500μLを、分画分子量10000の限外ろ過膜を備えた遠心濃縮チューブに分取し、2MのNaCl水溶液500μLを加え、ピペッティングで攪拌した。その後、遠心分離(8000×g、20分、10℃)を行い、透過液を回収した。保持液約200μLに等量の1MのNaCl水溶液を加え、ピペッティングで攪拌し、遠心分離(8000×g、15分、10℃)を行い、透過液を回収した。同様の操作を合計4回繰り返し行って透過液を回収し、合計約1700μLの透過液を得た。以上の操作により、血漿中に存在するCS4糖の99%以上を透過液中に回収したと考えられる。透過液を減圧遠心濃縮(510×g、10時間、室温、20Pa)した後、凍結乾燥した。乾燥物に300μLの超純水を加え、ボルテックスにて溶解してサンプル液とした。
【0052】
(3)CS4糖の蛍光標識
参考文献(Bigge et al, Analytical Biochemistry, 1995)に従い、サンプル液中の糖の還元末端を2-アミノベンズアミド(2AB)により蛍光標識した。ただし、水溶液中で還元アミノ化反応を行うため、還元剤として2-ピコリンボラン(2PB)を用いた。すなわち、30%酢酸ジメチルスルホキシド溶液に、50mg/mLとなるよう2ABを、110mg/mLとなるよう2PBを、それぞれ加えタッピングで攪拌、溶解し、蛍光標識液とした。サンプル液を100μL分取し、蛍光標識液を100μL加え、タッピングで攪拌後、軽度の遠心分離に供して壁面に付着した液を落とした。これを65℃で1時間置くことにより反応させた。続いて、室温にて放冷後、超純水を100μL加えボルテックスミキサーで攪拌した。過剰に加えた2ABの除去のため、クロロホルム500μLを加えボルテックスミキサーで攪拌後、遠心分離に供して水層と有機溶媒層を分離し、ピペットで吸引して有機溶媒層を廃棄した。同様の操作を合計5回行って、水層を回収した。水層を孔径0.22μmのメンブレンフィルターGLCTD-MCE1322(島津ジーエルシー)で濾過して有形物を除去し、濾液を回収して血漿サンプルとした。
【0053】
また、CS4糖を超純水に溶解して希釈列を作製し、同様に蛍光標識して、これを検量線用サンプルとした。
【0054】
(4)糖濃度の測定
検量線用サンプルを下記条件の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に供した。得られたクロマトグラムにおいてCS4糖のピーク面積を測定し、検量線を作製した。その結果を図2に示す。図2に示すように、近似曲線は原点を通り、傾き6974の直線であり、その決定係数(R)は0.9999であった。このことから、本実施例における蛍光標識手法は、サンプルのCS4糖100ngから1mgにおいて非常に良い線形性を有することが確認された。
《HPLC分析条件》
システム:株式会社島津製作所 プロミネンス
検出器:蛍光検出器(励起波長330 nm、検出波長 420 nm)
カラム:ゲルろ過カラムSuperdex 30 Increase 10/300 GL (Cytiva)
移動相:50mM重炭酸アンモニウム水溶液
流速:0.5mL/分
カラム温度:室温
サンプル注入量:100μL
【0055】
続いて、血漿サンプルを同条件のHPLCに供してクロマトグラムを得た。その結果を図3に示す。図3に示すように、検体1、2のどちらにおいても、投与後のみCS4糖に相当する溶出位置(保持時間25.5分)に強いピークが観測された。CS4糖に相当する溶出位置のピーク面積を、図3において塗り潰しで示す部分に区切って測定した。続いて、投与後の当該ピーク面積から投与前の当該ピーク面積を減じて実質ピーク面積を算出した。この実質ピーク面積を図2の検量線に当てはめてCS4糖の血漿中濃度を算出した。その結果、検体1の投与2時間後でCS4糖の血漿中濃度は140ng/mLであり、検体2の投与3時間後で174ng/mLであった。すなわち、CS4糖を経口投与した後の血漿中には、投与前と比較して比較的大量のCS4糖が存在していた。これらの結果から、経口投与したCSオリゴ糖は、腸管より吸収されて血中に移行し、血中に存在していることが明らかになった。
【0056】
<実施例3>血小板粘着能に対する効果:CS4糖添加時の評価
(1)全血の取得
CS4糖を生理食塩水に溶解し、各濃度のCS4糖溶液を調製した。CSオリゴ糖の常用者1名(成人男性)を被験者とした。サイズ21Gの翼状針を用いて被験者腕静脈に穿刺し、真空採血管に数mLの血液を採取したのちこれを捨て、4本の新しい5mLクエン酸含有真空採血管に等圧となるまで採血した。採血後すみやかに採血管を転倒混和したのち、シリンジを用いてCS4糖溶液または生理食塩水50μLを注入し、再度転倒混和した。CS4糖溶液は、添加したCS4糖の終濃度が、50、250および500μg/mLとなるよう全血に添加した。これを4℃で冷蔵保存し、血小板粘着能の測定に供した。
【0057】
(2)血小板粘着能の測定
コラーゲンビーズ法により血小板粘着能を測定した。すなわち、本実施例3(1)のクエン酸含有全血をシリンジに充填し、コラーゲンビーズカラム(プラスチックビーズ表面にコラーゲンを結合させたもの、型番Lot 0012-4D、アイエスケー)に、シリンジポンプ(シリンジポンプMODEL 777、アイエスケー)を用いて流速0.75mL/分で120秒間(1.5mL)通液させた。自動血球計数器(型番XE-2100、シスメックス)を用いて、カラム通過前後の血液の血小板数を計測し、下記式1により血小板粘着能を算出した。その結果を図4に示す。なお、このように測定・算出した血小板粘着能の健常者における基準値は27.0~59.0%である。
式1:血小板粘着能(%)={(カラム通過前の血小板数-通過後の血小板数)/カラム通過前の血小板数}×100
【0058】
図4に示すように、血小板粘着能はCS4糖の濃度が高いほど小さくなった。すなわち、血中におけるCS4糖の存在量が大きいほど、血小板のコラーゲンへの粘着反応が抑制された。また、CS4糖を添加しない場合(0μg/mL)において特に明らかなように、CSオリゴ糖の常用者の血液では、健常者における基準値と比較して、もともとの血小板粘着能が顕著に小さかった。これらの結果から、CSオリゴ糖は、血中において血小板のコラーゲンへの粘着を抑制できる、極めて高い効果を有することが明らかになった。
【0059】
<実施例4>血小板粘着能に対する効果:服用中止・服用開始時の評価
実施例3で、CSオリゴ糖の常用者血液の血小板粘着能が、健常者における基準値と比較して顕著に低かったことから、CSオリゴ糖の服用中止および服用開始による血小板粘着能の変化を検討した。
【0060】
すなわち、CSオリゴ糖の常用者1名と非常用者1名と(いずれも成人男性)を被験者とし、試験開始時に両者から採血した。続いて、常用者についてはCSオリゴ糖の服用(経口摂取)を中止し、8日間経過後に再度採血した。また、非常用者についてはCSオリゴ糖の服用(CSオリゴ糖200mg(1錠当たりCSオリゴ糖50mg含有の錠剤4錠)/日を水とともに毎日経口摂取)を開始し、6日間経過後に再度採血した。採血は、サイズ21Gの翼状針を用いて被験者腕静脈に穿刺し、真空採血管に数mLの血液を採取したのちこれを捨て、1本の新しい5mLクエン酸含有真空採血管に等圧となるまで採血した。採血後すみやかに採血管を転倒混和したのち、4℃で冷蔵保存した。これらのクエン酸含有全血について、実施例3(2)に記載の方法により血小板粘着能を測定した。その結果を図5に示す。
【0061】
図5に示すように、常用者血液の血小板粘着能は、試験開始時に8.1%であったのが、CSオリゴ等の服用中止8日目には25.5%であった。すなわち、血小板粘着能は、CSオリゴ糖の服用中止後に顕著に増大した。
【0062】
一方、非常用者血液の血小板粘着能は、試験開始時に28.3%であったのが、CSオリゴ等の服用開始6日目には21.6%であった。すなわち、血小板粘着能は、CSオリゴ糖の服用開始後に顕著に低下した。
【0063】
これらの結果から、血小板粘着能は、CSオリゴ糖を経口摂取していると低くなり、経口摂取していないと高くなることが明らかになった。すなわち、CSオリゴ糖は、経口摂取により血小板のコラーゲンへの粘着を抑制できる、極めて高い効果を有することが明らかになった。
【0064】
<実施例5>血小板凝集能に対する効果
CSオリゴ糖の常用者1名と非常用者1名と(いずれも成人男性)を被験者とし、実施例3(1)に記載の方法によりクエン酸含有全血を取得して、添加したCS4糖の終濃度が0、50、250および500μg/mLとなるよう加えた後、4℃で冷蔵保存した。
【0065】
光透過法により血小板凝集能を測定した。すなわち、クエン酸含有全血を室温で1時間静置後、遠心分離(190×g、10分)して上清を多血小板血漿(PRP)として回収した。また、その沈渣部を遠心分離(1400×g、10分)して上清を乏血小板血漿(PPP)として回収した。PRPを200μLずつ2本のキュベットに分注し、37℃で1分間インキュベートした。血小板刺激物質としてアデノシン二リン酸(ADP)を終濃度が1μMおよび3μMとなるよう各キュベットに添加した。PPP、PRP、ADPを上記濃度に添加したPRPについて、血小板凝集能測定装置(MCM HEMA TRACER 313M、エム・シー・メディカル)に供して光透過率を測定した。PRP、PPPそれぞれの光透過率を0%、100%とし、ADPを添加したPRPの光透過率を百分率に換算して、これを血小板凝集率(%)とした。続いて、下記式2により血小板凝集能を算出した。その結果を図6に示す。なお、このように測定・算出した血小板凝集能の健常者における基準値は18.7~68.7%である。
式2:血小板凝集能(%)=3μMのADP添加PRPにおける最大血小板凝集率-1μMのADP添加PRPにおける最大血小板凝集率
【0066】
図6に示すように、CSオリゴ糖の常用者および非常用者のいずれの血液においても、CS4糖の濃度が高いほど、血小板凝集能の値が小さくなった。すなわち、血中におけるCS4糖の存在量が大きいほど、血小板の凝集反応が抑制された。この結果から、CSオリゴ糖は、血中において血小板の凝集を抑制できることが明らかになった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6