(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187139
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20120101AFI20221212BHJP
G06Q 10/10 20120101ALI20221212BHJP
【FI】
G06Q10/06 302
G06Q10/10 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094992
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】元木 雄一
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】ファイルの担当候補者の状態を表示する画面と、該ファイルの担当者への振分けを行う画面とを別画面で表示する場合に比して、ファイル管理者の、ファイル担当者の決定とファイルの振分けに要する操作数を削減する。
【解決手段】ファイルサーバ10は、ファイルの振分けを行う管理者が使用する端末に、ワークスペース70を表示させる。ワークスペース70は、担当者に振り分ける前のファイル73を表示させる未割当表示領域71と、各担当者に振分けられたファイル74が表示される担当者別表示領域72を有する。管理者は、振分けたいファイル73aをドラッグ&ドロップ操作することによって、仕事を依頼したい担当者の個別表示領域72cにファイル74aを移動させる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
担当者に振分けられていないファイルが表示される第1表示領域と、各担当者に振分けられたファイルが表示される第2表示領域と、を同一画面に表示させるよう制御し、
前記第2表示領域では、各担当者の状況を表示させるよう制御し、
前記第1表示領域に表示されているファイルを、前記第2表示領域に移動させる操作に応じて当該ファイルを当該担当者に振分ける、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記操作に応じて、当該ファイルが振分けられた旨を当該担当者に通知することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記状況は、各担当者のファイルの処理状況であることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、担当者の第2表示領域に表示されている当該ファイルを前記第1表示領域に移動させる操作に応じて、当該ファイルをいずれの担当者にも振分けられていないファイルの状態に戻すことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記担当者による操作に応じて、当該ファイルが担当者から戻された旨を管理者に通知することを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、担当者がファイルの振分けの拒否を設定した場合、前記第2表示領域における当該担当者の担当者別ファイル表示領域に、ファイルの振分けを拒否する旨を表示させるよう制御することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記第2表示領域において、各担当者の担当者別ファイル表示領域に、当該担当者の生産能力を示す指標値を表示させるよう制御することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記ファイルの処理に要する作業情報を表示させるよう制御することを特徴とする請求項1又は7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータに、
担当者に振分けられていないファイルが表示される第1表示領域と、各担当者に振分けられたファイルが表示される第2表示領域と、を同一画面に表示させるよう制御する機能、
前記第2表示領域では、各担当者の状況を表示させるよう制御する機能、
前記第1表示領域に表示されているファイルを、前記第2表示領域に移動させる操作に応じて当該ファイルを当該担当者に振分ける機能、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ファイルの管理者が、該ファイルの処理を依頼したい担当者に、ファイルを振分けることがある。担当者を決定する際は、担当候補者の状態を加味して、該ファイルの担当者を決定したい。
【0003】
そこで、担当候補者の状態を把握するために、別途、担当候補者の状態を示す画面を表示し、担当候補者の状態を把握した上で担当者を決定し、ファイルの振分けを行う画面にて、決定した担当者にファイルを振分けることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-092806号公報
【特許文献2】特開2018-159967号公報
【特許文献3】特開2012-058935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ファイルの管理者は、複数の画面を利用して、ファイルの担当者の決定およびファイルの振分けを行わなければならなく、その作業が煩雑であった。
【0006】
本発明は、ファイルの担当候補者の状態を表示する画面と、該ファイルの担当者への振分けを行う画面とを別画面で表示する場合に比して、ファイル管理者の、ファイル担当者の決定とファイルの振分けに要する操作数を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る情報処理装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、担当者に振分けられていないファイルが表示される第1表示領域と、各担当者に振分けられたファイルが表示される第2表示領域と、を同一画面に表示させるよう制御し、前記第2表示領域では、各担当者の状況を表示させるよう制御し、前記第1表示領域に表示されているファイルを、前記第2表示領域に移動させる操作に応じて当該ファイルを当該担当者に振分ける、ことを特徴とする。
【0008】
また、前記プロセッサは、前記操作に応じて、当該ファイルが振分けられた旨を当該担当者に通知することを特徴とする。
【0009】
また、前記状況は、各担当者のファイルの処理状況であることを特徴とする。
【0010】
また、前記プロセッサは、担当者の第2表示領域に表示されている当該ファイルを前記第1表示領域に移動させる操作に応じて、当該ファイルをいずれの担当者にも振分けられていないファイルの状態に戻すことを特徴とする。
【0011】
また、前記プロセッサは、前記担当者による操作に応じて、当該ファイルが担当者から戻された旨を管理者に通知することを特徴とする。
【0012】
また、前記プロセッサは、担当者がファイルの振分けの拒否を設定した場合、前記第2表示領域における当該担当者の担当者別ファイル表示領域に、ファイルの振分けを拒否する旨を表示させるよう制御することを特徴とする。
【0013】
また、前記プロセッサは、前記第2表示領域において、各担当者の担当者別ファイル表示領域に、当該担当者の生産能力を示す指標値を表示させるよう制御することを特徴とする。
【0014】
また、前記プロセッサは、前記ファイルの処理に要する作業情報を表示させるよう制御することを特徴とする。
【0015】
本発明に係るプログラムは、コンピュータに、担当者に振分けられていないファイルが表示される第1表示領域と、各担当者に振分けられたファイルが表示される第2表示領域と、を同一画面に表示させるよう制御する機能、前記第2表示領域では、各担当者の状況を表示させるよう制御する機能、前記第1表示領域に表示されているファイルを、前記第2表示領域に移動させる操作に応じて当該ファイルを当該担当者に振分ける機能、を実現させる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、ファイルの担当候補者の状態を表示する画面と、該ファイルの担当者への振分けを行う画面とを別画面で表示する場合に比して、ファイル管理者の、ファイル担当者の決定とファイルの振分けに要する操作数を削減することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、ファイルが振分けられたことを担当者に知らせることができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、各担当者における各ファイルの進捗状況毎の件数を管理者に容易に把握させることができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、簡単な操作によってファイルを振分けられていない状態に戻すことができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、ファイルが戻されたことを管理者に知らせることができる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、担当者のファイルの振分けを拒否する旨を管理者に伝えることができる。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、管理者がファイルを振分けるための指標を提示することができる。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、管理者によってはファイルを振分ける担当者の選定を支援することができると共に、担当者にとっては振分けられたファイルの受け入れ又は拒否を判断するため指標として提示することができる。
【0024】
請求項9に記載の発明によれば、ファイルの担当候補者の状態を表示する画面と、該ファイルの担当者への振分けを行う画面とを別画面で表示する場合に比して、ファイル管理者の、ファイル担当者の決定とファイルの振分けに要する操作数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本実施の形態においてタスクを処理するシステム全体のブロック構成図である。
【
図2】本実施の形態におけるユーザ管理情報記憶部に記憶されるユーザ管理情報のデータ構成の一例を示す図である。
【
図3】本実施の形態におけるファイル管理情報記憶部に記憶されるファイル管理情報のデータ構成の一例を示す図である。
【
図4】本実施の形態における担当者状況情報記憶部に記憶される担当者管理情報のデータ構成の一例を示す図である。
【
図5】本実施の形態におけるユーザ管理画面の表示例を示す図である。
【
図6A】本実施の形態においてファイルが処理されるまでの処理を示すフローチャートである。
【
図7】本実施の形態における管理者用のワークスペースの画面表示の一例を示す図である。
【
図8】
図7に示すワークスペースに管理者の操作及びその操作に応じて更新される情報を示す図である。
【
図9】本実施の形態における依頼メッセージの内容の一例を示す図である。
【
図10】本実施の形態において用いる拒否メッセージの内容の一例を示す図である。
【
図11】本実施の形態において用いる受入メッセージの内容の一例を示す図である。
【
図12】本実施の形態における担当者用のワークスペースの画面表示の一例を示す図である。
【
図13】
図12に示すワークスペースに担当者の操作及びその操作に応じて更新される情報を示す図である。
【
図14】
図12に示すワークスペースに担当者の操作及びその操作に応じた表示内容の例を示す図である。
【
図15】本実施の形態における管理者用のワークスペースの画面表示の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0027】
図1は、本実施の形態においてタスクを処理する情報処理システム全体のブロック構成図である。
図1には、ファイルサーバ10、管理者端末30及び複数の担当者端末40が示されている。管理者端末30及び担当者端末40はそれぞれ、少なくともファイルサーバ10との間で、図示しないネットワークを介して通信することが可能である。ネットワークは、各情報処理装置10,30,40の設置位置に応じて有線若しくは無線形式のLAN(Local Area Network)若しくはインターネット、あるいはこれらを組み合わせて構成される。本実施の形態では、一業務に関するタスクを処理するため、各情報処理装置10,30,40は、同一のLANに接続されていることを想定して説明する。仮に、秘匿性の乏しいインターネット等がネットワークに含まれる場合、VPN(Virtual Private Network)等を利用してセキュリティを維持した状態でネットワーク通信を行うのが好適である。
【0028】
本実施の形態における情報処理システムは、タスクとしてファイルを処理するためのシステム、例えば請求書の電子データ(以下、単に「請求書」という)に相当するファイルに対して所定の処理を施す際に利用される。前述した「担当者」というのは、処理対象となるファイルとしての請求書のうち管理者によって振分けられた請求書を、担当者端末40を使用して処理するユーザである。このように、担当者は、請求書を処理することを仕事としている。
【0029】
なお、担当者は、担当者端末40を使用して請求書を処理することを仕事とし、担当者端末40は、担当者が仕事を行う際に請求書を処理することをタスクとして処理するので、本実施の形態において担当者が行う「仕事」と担当者端末40が処理する「タスク」とは同義の語として用いる。
【0030】
また、「管理者」というのは、処理対象となる請求書のうち担当者にまだ振分けていない請求書をいずれかの担当者に振分ける処理を行うユーザである。このように、管理者は、請求書をいずれかの担当者に振分けて処理させることを仕事としている。
【0031】
また、上記の説明から明らかなように、本実施の形態における「ファイル」は、管理者及び担当者によって処理対象とされるコンピュータ上のデータファイルである。
【0032】
本実施の形態におけるファイルサーバ10は、従前から存在する汎用的なサーバコンピュータのハードウェア構成で実現できる。すなわち、本発明に係る情報処理装置としてのファイルサーバ10は、CPU、ROM、RAM、記憶手段としてのハードディスクドライブ(HDD)、通信手段として設けられたネットワークインタフェース(IF)を有している。また、必要に応じてマウスやキーボード等の入力手段及びディスプレイ等の表示手段を含むユーザインタフェースを有してもよい。
【0033】
図1に示すように、本実施の形態におけるファイルサーバ10は、ユーザ管理部11、ファイル受付部12、ファイル管理部13、ワークスペース生成部14、ユーザ関連処理部15、担当者状況管理部16、通知部17、制御部18、ユーザ管理情報記憶部21、ファイル記憶部22、ファイル管理情報記憶部23及び担当者状況情報記憶部24を有している。なお、本実施の形態の説明に用いない構成要素については、
図1から省略している。
【0034】
ユーザ管理部11は、本システムを利用するユーザ、すなわち管理者及び担当者に関する情報を管理する。ユーザ管理部11は、ユーザ管理情報記憶部21に記憶されるユーザ管理情報の登録、更新、削除等を行うことでユーザの管理を行う。ファイル受付部12は、いずれかの担当者に処理させるファイルが外部から送信されてくると、そのファイルを受け付けてファイル記憶部22に格納する。ファイル記憶部22に格納されるファイルに関するファイル管理情報は、ファイル管理情報記憶部23に記憶されるが、ファイル管理部13は、ファイル管理情報記憶部23に記憶されるファイル管理情報の登録、更新、削除等ファイル管理を行う。
【0035】
ワークスペース生成部14は、ファイル管理情報記憶部23に記憶されているファイル管理情報及び担当者状況情報記憶部24に記憶されている担当者管理情報を参照して、ワークスペースを生成する。「ワークスペース」は、管理者及び担当者が仕事をするためにコンピュータ上に形成される作業空間である。なお、ワークスペースは、後述するように管理者と担当者とで異なる表示形式にて生成される。
【0036】
ユーザ関連処理部15は、ネットワークを介して管理者端末30及び複数の担当者端末40との間で情報のやりとりを行うことによってユーザ関連の処理を行う機能を有する。ユーザ関連処理部15は、表示制御部151、操作受付部152、端末監視部153及び処理監視部154を有している。表示制御部151は、各端末30,40への表示、特にワークスペースの表示制御を行う。操作受付部152は、各端末30,40に対するユーザ操作、特に表示されているワークスペースに対するユーザ操作を受け付ける。端末監視部153は、各端末30,40が動作しているか、特に、所定のアプリケーションを起動してワークスペースを画面表示させているかどうかを監視する。処理監視部154は、担当者端末40においてファイルに対する処理の実行状況を監視する。
【0037】
通知部17は、必要に応じてメッセージを端末30,40へ送信することによって必要な情報をユーザに通知する。制御部18は、他の構成要素11~17を連携動作させることによって後述するファイルの振分処理の実行を制御する。
【0038】
前述したように、ファイル記憶部22には、処理対象として受け付けられたファイルが格納される。より詳細には、受け付けられたファイルに、当該ファイルを識別するための情報として、例えばファイルIDが対応付けして記憶される。
【0039】
図2は、本実施の形態におけるユーザ管理情報記憶部21に記憶されるユーザ管理情報のデータ構成の一例を示す図である。ユーザ管理情報は、本システムを利用するユーザを管理するために用いられる情報である。ユーザ管理情報は、No.、ユーザ名、メールアドレス、端末、権限及び表示有無を含む。No.は、各ユーザに振られる通し番号であり、各ユーザを識別する情報となり得る。ユーザ名は、本システムを利用するユーザの氏名であり、ユーザを特定するための情報である。メールアドレスは、当該ユーザへのメッセージ等の送信先を特定する情報である。端末は、当該ユーザが使用する端末を特定する情報である。本実施の形態では、ユーザ宛てにメッセージを送信するため、その宛先を特定する情報として、例えばIPアドレスが設定される。権限は、当該ユーザが管理者であるのか、担当者であるのかを示す情報である。表示有無は、当該ユーザをワークスペースへの表示対象とするか否かを示す情報である。“表示”であれば、ワークスペースに表示され、“非表示” であれば、ワークスペースに表示されない。
【0040】
図3は、本実施の形態におけるファイル管理情報記憶部23に記憶されるファイル管理情報のデータ構成の一例を示す図である。ファイル管理情報は、ファイルを管理するために用いられる情報であり、本システムで取り扱う全てのファイル個々に対応させて生成される。ファイル管理情報に設定される項目値は、ワークスペース上に表示されたり、ファイルの振分けの際に参照されたりする。なお、処理されたファイルに関する情報は、適宜、他の格納場所に移動したり削除したりするなど運用してもよい。ファイル管理情報は、ファイルID、ファイル名、担当者、状況及び処理関連情報を含む。ファイルIDは、当該ファイルを一意に特定するための識別情報である。ファイルIDによってファイル記憶部22に記憶されているファイルと紐付けられる。ファイル名は、当該ファイルの名称である。担当者は、当該ファイルに対する処理を担当するユーザであり、当該ユーザを識別するユーザIDや担当者名が設定される。本実施の形態では、担当者名が設定される場合を例示している。状況は、当該ファイルの現在の状況(「ステータス」ともいう)を示す情報である。状況は、ファイルの処理状況に応じて適宜更新される。
図3では、“未割当”、“依頼中”、“依頼拒否”、“受付済”、“作業中”及び“完了” を、状況に設定される項目値として例示しているが、これに限る必要はない。
【0041】
処理関連情報は、当該ファイルに対して施す処理に関連する情報である。処理関連情報は、当該ファイルの属性情報やファイルの処理に要する作業情報を含む。処理関連情報は、管理者がファイルを振分ける際に参考になり、また担当者が管理者により自己に振分けられたファイルを受け付けるか、あるいは拒否するかの判断の参考になる。
【0042】
図4は、本実施の形態における担当者状況情報記憶部24に記憶される担当者管理情報のデータ構成の一例を示す図である。担当者管理情報は、ファイルを処理するユーザ、すなわち担当者個々の現在の状況を示す情報である。担当者管理情報は、担当者、振分拒否フラグ及び生産性を含む。担当者は、当該担当者を識別する情報であり、本実施の形態では、担当者名を用いる。振分拒否フラグは、管理者によるファイルの振分けを拒否する旨を示すフラグ情報である。振分拒否フラグは、当該担当者による設定操作に応じてセット(例えば“1”を設定)又はクリア(例えば“0”を設定)される。生産性は、当該担当者の生産能力を示す指標値である。本実施の形態では、1件当たりに要する処理時間、すなわち1つの請求書を処理するのにかかる所要時間の平均値によって生産性を表すことにしているが、生産性の算出方法は、これに限る必要はない。例えば、ファイルサイズ、ページ数等ボリュームを考慮した指標値を用いるようにしてもよい。
【0043】
ファイルサーバ10における各構成要素11~18は、ファイルサーバ10を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPUで動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、各記憶部21~24は、ファイルサーバ10に搭載されたHDDにて実現される。あるいは、RAM又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0044】
なお、本実施の形態においては、各記憶部21~24を設けて情報を管理するように構成したが、この記憶手段の構成は一例であって、情報の管理方法は、これに限る必要はない。
【0045】
管理者端末30は、管理者によって使用される情報処理装置であり、例えばPC(Personal Computer)によって構成される。管理者端末30は、汎用的なPCのハードウェア構成にて実現できる。すなわち、管理者端末30は、CPU、ROM、RAM、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶手段、通信手段として設けられたネットワークインタフェース、マウスやキーボード等の入力手段及びディスプレイ等の表示手段を含むユーザインタフェースを有する。
【0046】
管理者端末30は、ワークスペース処理制御部31及びファイル振分処理部32を有している。ワークスペース処理制御部31は、ワークスペースの表示、ワークスペースからの管理者による入力操作を受け付けるなどワークスペースに関連する処理の実行を制御する。ファイル振分処理部32は、管理者による操作に応じて、担当者にまだ振分けていないファイルをいずれかの担当者に振分けることによって当該担当者に当該ファイルに対する仕事を割り当てる。
【0047】
管理者端末30における各構成要素31~32は、管理者端末30を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPUで動作するプログラムとの協調動作により実現される。
【0048】
担当者端末40は、担当者によって使用される情報処理装置であり、例えばPCによって構成される。担当者端末40は、汎用的なPCのハードウェア構成にて実現できる。すなわち、担当者端末40は、CPU、ROM、RAM、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶手段、通信手段として設けられたネットワークインタフェース、マウスやキーボード等の入力手段及びディスプレイ等の表示手段を含むユーザインタフェースを有する。
【0049】
担当者端末40は、ワークスペース処理制御部41及び処理実行部42を有している。ワークスペース処理制御部41は、ワークスペースの表示、ワークスペースからの担当者による入力操作を受け付けるなどワークスペースに関連する処理の実行を制御する。処理実行部42は、担当者による操作に応じて当該担当者に割り当てられたファイルに対する処理を実行する。
【0050】
担当者端末40における各構成要素41~42は、担当者端末40を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPUで動作するプログラムとの協調動作により実現される。
【0051】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD-ROMやUSBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0052】
本実施の形態では、処理の対象とするファイルをファイルサーバ10が受け付けると、管理者は、ファイルサーバ10によって受け付けられたファイルであって担当者にまだ振分けられていないファイルを振分画面に表示させ、その振分画面上にて所定の操作を行うことでいずれかの担当者に振分ける。ただ、負荷の均等化等を考慮して振分けることが望ましいので、管理者は、ファイルの振分け先となる各担当者の仕事量、例えば各担当者が所持するファイルの数を事前に確認してからファイルを担当者に振分けたい。そのために、仕事量を確認できる画面を表示させて各担当者の仕事量を確認し、その後に担当者への振分画面を別途表示させていた。ただ、この場合、画面の切替操作を含む一連の操作が面倒になってくる。
【0053】
そこで、本実施の形態においては、管理者の、担当者へのファイルの振分けに要する操作数を削減できるように、振分けられていないファイルと、各担当者に振分けられたファイルと、を同一の画面、すなわち、ワークスペースに表示させるようにした。そして、各担当者に振分けられたファイルに関しては、各担当者の状況として、例えば各担当者の各ファイルに対する処理の進捗状況を表示させるようにした。これにより、管理者は、ワークスペースを参照することで、各担当者における仕事の負荷を考慮しつつ、未割当のファイルをいずれかの担当者に振分けることができるようにした。
【0054】
なお、本実施の形態では、ファイルをいずれかの担当者に振分けることによって、ファイルに対する仕事を担当者に割り当てることになる。ただ、「振分ける」、「割り振る」あるいは「割り当てる」は、ファイル若しくは仕事を担当者と紐付けることに関しては、同様の意味であることから、本実施の形態では、これらの語句をほぼ同義に用いる。また、担当者端末40を使用するユーザは、担当候補者であって、ファイルが割り振られ、かつそのファイルを受け付けてはじめて当該ファイルの担当者となるが、ここでは、ファイルを振分ける処理を行う管理者と区別しやすくするために、説明の便宜上、ファイルの振分けの有無に関係なく管理者以外のユーザを「担当者」と称することにする。
【0055】
次に、本実施の形態における動作について説明する。
【0056】
まず、本システムの利用を開始する際には、ユーザ管理情報を設定しておく必要がある。本実施の形態におけるユーザ管理情報の設定に使用するユーザ管理画面の表示例を
図5に示す。管理者は、ユーザ管理画面から本システムのユーザを設定登録する。管理者は、まずユーザの設定対象とするワークスペースを設定し、その設定したワークスペースに対してユーザを設定することになる。ユーザ管理画面において、設定したワークスペースに対してユーザを新規に登録する場合、担当者追加ボタン51を選択することで、当該ユーザに対して通し番号が新たに振られ、当該ユーザ設定行においてユーザ名、メールアドレス、端末、権限及び表示有無それぞれに項目値を設定する。設定が終了すると操作の項目欄には、編集ボタン52及び削除ボタン53が表示される。なお、管理者は、本システムに少なくとも1人必要なので、権限の項目欄に“管理者”が設定されたユーザが1人の場合、当該ユーザに対しては、編集ボタン52のみを対応付ける。そして、登録したユーザに対して、項目値を変更したい場合には、編集ボタン52を選択することで編集可能な状態となるので、管理者は、設定済みの項目値を変更する。また、登録したユーザの情報を削除したい場合には、当該ユーザに対応する削除ボタン53を選択する。
【0057】
表示有無の項目欄に“非表示”が設定されると、当該担当者は、対応するワークスペース(
図5に示す例では、“○○関連請求書処理用ワークスペース”)においては表示対象外となる。このため、当該担当者は、ファイルの割当対象にはならない。
【0058】
上記説明では、管理者を主体として説明したが、ユーザ管理部11は、管理者による操作に応じてユーザ管理情報を生成して、ユーザ管理情報記憶部21に登録し、またユーザ管理情報記憶部21に登録済みのユーザ管理情報を編集若しくは削除する。
【0059】
以上のようにして、本システムを利用するユーザに関するユーザ管理情報が設定されることで、本システムは利用可能となる。
【0060】
処理対象となるファイルがファイルサーバ10へ送信されてくると、ファイル受付部12は、そのファイルをファイル記憶部22に保存する。ファイルがファイル記憶部22に新規に保存されると、ファイル管理部13は、保存されたファイルに関するファイル管理情報を生成してファイル管理情報記憶部23に登録する。生成されるファイル管理情報に含まれるファイルID、ファイル名及び作業情報は、送信されてくるファイル若しくは当該ファイルの属性情報や付加情報等から得ることができる。また、ファイルの新規登録時点では、担当者は決められていないので、ファイル管理部13は、担当者の項目に初期値として空白を設定する。また、状況の項目に初期値として“未割当”を設定する。ファイルサーバ10は、ファイルが送信されてくる度に上記処理を繰り返し実行する。
【0061】
以下、本実施の形態においてファイルが処理されるまでに行われる処理について
図6A,Bに示すフローチャートを用いて説明する。
【0062】
管理者は、ファイルの振分けを行うために、管理者端末30で所定のアプリケーションを起動することによってワークスペースを画面に表示させる(ステップ101)。ワークスペースは、起動されたアプリケーションが、例えばブラウザを起動してファイルサーバ10からウェブページを取得することで表示されるようにしてもよい。ファイルサーバ10におけるワークスペース生成部14は、管理者端末30におけるアプリケーションからの要求に応じてファイル管理情報記憶部23に記憶されているファイル管理情報及び担当者状況情報記憶部24に記憶されている担当者管理情報を参照して、管理者用のワークスペースを生成する。そして、表示制御部151は、生成されたワークスペースを管理者端末30へ送信することで管理者端末30にワークスペースを表示させる。
【0063】
図7は、本実施の形態における管理者端末30に表示される管理者用のワークスペース70の画面表示の一例を示す図である。
図7に示すワークスペース70は、ファイルとしての請求書をいずれかの担当者に振分ける作業を行うために用いる作業スペースであり、前述した振分画面に対応する画面である。管理者用のワークスペース70は、未割当表示領域71と担当者別表示領域72を有する。未割当表示領域71は、ファイル受付部12により受け付けられたファイルのうち担当者にまだ振分けられていないファイル73が表示される第1表示領域である。担当者別表示領域72は、各担当者に振分けられたファイル74が表示される第2表示領域である。担当者別表示領域72には、
図7に示すように各担当者に振分けられたファイルが担当者毎の担当者別ファイル表示領域(以下、「個別表示領域」)72a,72b,72cに分けて表示される。なお、個別表示領域72a,72b,72cは、相互に区別する必要はない場合は「担当者別表示領域72」又は「個別表示領域72」と総称する。
【0064】
本実施の形態では、このようにまだ振分けられていないファイルの表示領域と、各担当者に振分けたファイルの表示領域を一画面、すなわち本実施の形態の場合は同じワークスペース70上に表示させるようにした。また、管理者がユーザ管理ボタン75を選択することによって
図5に示すユーザ管理画面に表示を切り替えることができる。リスト表示/アイコン表示ボタン78については、ファイルをアイコン形式にて表示させるか、あるいはリスト形式で表示させるかの表示形式切替ボタンである。
【0065】
なお、ファイル73,74は、厳密にはファイルの実体ではなく当該ファイルの縮小画像等により表されるアイコンなどと呼ばれる画像であるが、本実施の形態では、説明の便宜上、単に「ファイル」と称する。
【0066】
図7に示す担当者別表示領域72には、ファイルを処理する担当者として “富士太郎”、“富士花子” 、“富士次郎”の各個別表示領域72a,72b,72cが表示されている。これは、
図2に示すユーザ管理情報に含まれる項目「表示有無」の設定に従っている。なお、
図7に示すワークスペース70は、
図2に示すユーザ管理情報を参照すれば明らかなように、管理者である“富士梅子”が管理者端末30に表示させていることがわかる。
【0067】
担当者別表示領域72に表示されるファイル74には、各担当者による仕事の状況、換言すると当該ファイルのステータスを示すマーク76が付加される。各ファイル74に付加され表示されるマーク76は、
図3に示すファイル管理情報の「状況」への設定内容に従って決定される。従って、マーク76の種類は、ファイル管理情報の「状況」に設定さる項目値の数となる。なお、
図7に示す「済」のマーク76は、状況“完了”に対応する。本実施の形態においては、マーク76を利用することで各担当者による各ファイルに対する進捗状況がわかるように表示させるが、“未着手”のファイル74に対しては、マーク76を付けないことによって、担当者がまだ着手していない状況であることがわかるように表示させている。また、本実施の形態では、担当者別表示領域72に表示されるファイルに対してのみマーク76を付加するようにしたが、未割当表示領域71に表示されるファイルにもマークを付加するようにしてもよい。なお、
図7に示すマーク76の形態は、一例であって、
図7に例示した形状や付加位置等に限る必要はない。
【0068】
担当者別表示領域72には、更に管理者向けに各担当者のファイルの処理状況を示す状況情報77が表示される。状況情報77に含まれる「依頼中」、「未着手」、「作業中」、「完了」には、各ファイル74の状況毎の集計値が示される。また、状況情報77の最上位行には、担当者名と共に、当該担当者の生産能力を示す指標値として生産性が表示される。生産性には、
図4に示す担当者状況情報が表示される。
【0069】
なお、担当者の状況として、状況情報77に示す情報に限る必要はない。例えば、各担当者が使用する担当者端末40が現在オンラインか否かの状態を示す情報を含めてもよい。このように、各担当者の状況には、各ファイルの進捗状況、生産能力、更に担当者端末40のオンライン/オフラインの状態等が含まれる。
【0070】
以上、管理者端末30に表示される管理者用のワークスペース70について説明したが、ワークスペース70は、操作受付部152が管理者端末30から管理者による操作を受け付けたことに応じてワークスペース生成部14によって生成される。すなわち、ワークスペース生成部14は、ユーザ管理情報を参照して表示対象とするユーザを特定し、特定したユーザに関する情報をファイル管理情報及び担当者状況情報から抽出してワークスペース70を生成する。そして、表示制御部151は、ワークスペース70を管理者端末30へ送信することによってワークスペース処理制御部31と連携して管理者端末30に画面表示させる。
【0071】
続いて、管理者は、未割当表示領域71に表示されている、担当者にまだ振分けていないファイル73の中から担当者に振分けたいファイル73を選択し、その選択したファイルを、担当者別表示領域72に移動させる操作に応じて当該ファイルを当該担当者に振分ける。
【0072】
図8は、
図7と同じワークスペース70の画面表示例であって管理者によるファイル73の移動操作及びその移動操作に応じて更新される情報を示す図である。例えば、管理者は、振分けたいファイル73aを矢印79で表すようにドラッグ&ドロップ操作によって担当させたい担当者(
図8では“富士次郎”)の個別表示領域72cに移動させる(ステップ102)。この操作に応じて、ファイル73aは、
図8において破線で示すように未割当表示領域71から消去され、ファイル74aが個別表示領域72cに表示される。
【0073】
上記処理は、次のようにして実行される。すなわち、管理者がファイルの振分け操作、すなわち上記ドラッグ&ドロップ操作が行われると、ファイル振分処理部32は、その操作内容をファイルサーバ10に通知する。ファイルサーバ10における操作受付部152は、ワークスペース70上で管理者により行われたファイルの振分け操作(上記「ドラッグ&ドロップ操作」)を受け付けると、表示制御部151は、ファイル74aを個別表示領域72cに表示させる。また、これと共に、ファイル管理部13は、振分けられたファイル74aのファイル管理情報における「担当者」に依頼先となる担当者名を設定すると共に「状況」を“未割当”から“依頼中”に変更する。また、表示制御部151は、「状況」の変更に応じて、ファイル74aに「依頼中」のマーク76aを付加して表示させると共に、状況情報77における依頼中の件数を1件に更新する。
【0074】
本実施の形態によれば、管理者は、ファイル73の振分けに用いるワークスペース70の表示画面上で各担当者の状況、すなわち各担当者が担当するファイルの数及びファイルの状況毎の件数を確認することができ、これによって、まだ振分けていないファイル73を処理するのに適切な担当者に見つけ出し、そして振分けることができる。更に、まだ振分け元のファイル73の未割当表示領域71と振分け先となる各担当者の個別表示領域72とを同一画面上に表示させるようにしたので、管理者は、ドラッグ&ドロップ操作などの簡単な操作でファイルの振分けを行うことができる。
【0075】
ところで、上記ファイルの振分けは、管理者の意思によるものであり、ファイルの振分け先となる担当者の意思が必ずしも反映されたものではない。つまり、管理者による申し入れによってファイルが移動された状態である。そこで、本実施の形態においては、担当者が、管理者からの申し入れを受諾するか否かを選択できるようにしている。
【0076】
そのために、ファイルが未割当表示領域71から個別表示領域72に移動されることに伴い、ファイル管理情報における「状況」が“未割当”から“依頼中”に変更されたことが検出されると、端末監視部153は、依頼先となる担当者が使用する担当者端末40においてワークスペースを表示するアプリケーションが起動されているかどうかを確認する。これは、ワークスペース処理制御部41に問い合わせるなどして確認してもよい。なお、依頼先となる担当者が使用する担当者端末40は、ユーザ管理情報を参照することによって特定できる。
【0077】
依頼先となる担当者の担当者端末40において、所定のアプリケーションが起動されている場合、すなわちワークスペースが画面表示されている場合(ステップ103でY)、通知部17は、ワークスペース上にファイルが割振られたことに伴う仕事の依頼メッセージをポップアップ画面にて表示させることによって仕事が依頼されたことを担当者に通知する(ステップ104)。なお、管理者がファイルを担当者に振分けることは、仕事を担当者に依頼することと同意義である。一方、所定のアプリケーションが起動されていない場合、すなわちワークスペースが画面表示されていない場合(ステップ103でN)、通知部17は、上記依頼メッセージをメールにて通知する(ステップ105)。なお、宛先となるメールアドレスは、ユーザ管理情報を参照することによって特定できる。
【0078】
本実施の形態では、管理者がファイルを移動させる操作(上記「ドラッグ&ドロップ操作」)に応じて依頼メッセージをリアルタイムに通知する。
【0079】
図9は、本実施の形態における依頼メッセージの内容の一例を示す図である。なお、ポップアップ画面とメールとで依頼メッセージの形式は変えてもよい。
【0080】
依頼メッセージは、通知領域91と回答領域92とを含む。通知領域91には、依頼の内容が記載される。回答領域92は、依頼に対する回答を設定する領域である。担当者は、通知領域91の内容を参照するなどして、依頼を受け入れるかどうかを判断する。
【0081】
担当者が依頼を受け入れない場合(ステップ121でN)、担当者は、回答領域92において「拒否する」を選択する。そして、管理者に伝えたいメッセージがあれば、メッセージ欄93に記入した後、送信ボタン94を選択する。ファイルサーバ10における操作受付部152は、担当者による送信ボタン94の選択に応じて担当者が依頼を拒否する旨及びメッセージを受け付ける。依頼を拒否する場合、ファイルサーバ10は、管理者がドラッグ&ドロップ操作によって実行された処理を打ち消す処理を行う。すなわち、ファイルサーバ10における操作受付部152は、送信ボタン94の選択に応じて担当者が拒否した旨及びメッセージを受け付けると、ファイル管理部13は、振分けられたファイル74aのファイル管理情報における「担当者」から担当者名を消去すると共に「状況」を“依頼中”から“依頼拒否”に変更することによってファイルを管理者に戻す(ステップ122)。そして、管理者端末30において所定のアプリケーションが起動されている場合、すなわちワークスペース70が画面表示されている場合(ステップ123でY)、通知部17は、ワークスペース70の未割当表示領域71に拒否メッセージをポップアップ画面にて表示させることによってファイルが担当者から戻され、依頼した仕事が拒否されたことを管理者に通知する(ステップ124)。また、表示制御部151は、ファイルが管理者に戻されたことに伴い、個別表示領域72cに表示されていたファイル74aを消去し、未割当表示領域71にファイル73aの表示を復活させる。更に、表示制御部151は、「状況」の変更に応じて、状況情報77における依頼中の件数を0件に更新する。
【0082】
所定のアプリケーションが起動されていない場合、すなわちワークスペースが画面表示されていない場合(ステップ123でN)、通知部17は、上記拒否メッセージをメールにて通知する(ステップ125)。なお、宛先となるメールアドレスは、ユーザ管理情報を参照することによって特定できる。
【0083】
図10は、本実施の形態において用いる拒否メッセージの内容の一例を示す図である。なお、ポップアップ画面とメールとで拒否メッセージの形式は変えてもよい。
図10に例示するように、拒否メッセージには、担当者が依頼を拒否した旨及び担当者が記入したメッセージが含まれる。
【0084】
一方、担当者が依頼を受け入れる場合(ステップ121でY)、担当者は、回答領域92において「受け付ける」を選択する。そして、管理者に伝えたいメッセージがあれば、メッセージ欄93に記入した後、送信ボタン94を選択する。ファイルサーバ10における操作受付部152は、担当者による送信ボタン94の選択に応じて担当者が受け付けた旨及びメッセージを受け付ける。ここで、管理者端末30において、所定のアプリケーションが起動されている場合、すなわちワークスペース70が画面表示されている場合(ステップ126でY)、通知部17は、ワークスペース70の未割当表示領域71に受入メッセージをポップアップ画面にて表示させることによって依頼した仕事が担当者に受け入れられたことを管理者に通知する(ステップ127)。また、ファイル管理部13は、振分けられたファイル74bのファイル管理情報における「状況」を“依頼中”から“受付済”に変更する。
【0085】
一方、所定のアプリケーションが起動されていない場合、すなわちワークスペースが画面表示されていない場合(ステップ126でN)、通知部17は、上記受入メッセージをメールにて通知する(ステップ131)。なお、宛先となるメールアドレスは、ユーザ管理情報を参照することによって特定できる。
【0086】
図11は、本実施の形態において用いる受入メッセージの内容の一例を示す図である。なお、ポップアップ画面とメールとで受入メッセージの形式は変えてもよい。
図11に例示するように、受入メッセージには、担当者が依頼を受け付けた旨及び担当者が記入したメッセージが含まれる。
【0087】
その後、処理実行部42は、いずれ担当者からの指示に応じてファイル74bに対して所定の処理の実行を開始することになる。処理監視部154は、担当者端末40における処理の実行を監視しており、ファイル74bに対する処理の開始を検出すると、ファイル管理部13は、開始された処理に対応するファイル74bのファイル管理情報における「状況」を“受付済”から“作業中”に変更する(ステップ129)。
【0088】
そして、処理実行部42は、ファイル74bに対する処理をいずれ終了することになるが、処理監視部154は、ファイル74bに対する処理の終了を検出すると、ファイル管理部13は、終了した処理に対応するファイル74bのファイル管理情報における「状況」を“作業中”から“完了”に変更する(ステップ130)。
【0089】
なお、ステップ128~130において、ファイル管理情報における「状況」が更新されることに伴い、ワークスペース70に表示される状況情報77及び処理対象のファイル74に付加されるマーク76も適宜更新される。
【0090】
また、処理監視部154が担当者による処理の終了を検出すると、担当者状況管理部16は、当該処理に要した処理時間を取得し、当該担当者の生産性を再計算して、担当者状況情報に含まれる当該担当者の生産性の項目値を更新する。これに伴い、表示制御部151は、表示されている当該担当者の生産性の値を更新する。
【0091】
ところで、担当者が割振られたファイルを拒否したり、処理を実施したりする際には、ワークスペースを担当者端末40に画面表示し、処理対象のファイルを選択することになるが、ここで、担当者端末40に表示されるワークスペースについて
図12を用いて説明する。
【0092】
図12は、本実施の形態における担当者用のワークスペースの画面表示の一例を示す図である。担当者用のワークスペース80にも、基本的には、
図7に示す管理者用のワークスペース70と同様の情報が表示される。但し、担当者は、自分以外の情報に関しては、詳細に知る必要がないので、情報の表示形態が異なってくる。なお、
図12には、担当者が“富士次郎”である場合のワークスペース80の表示例が示されている。
【0093】
ワークスペース80には、管理者用のワークスペース70と同様に未割当表示領域81と担当者別表示領域82が表示される。但し、担当者は、未割当のファイルに関する情報を知る必要がないので、未割当表示領域81に表示される情報は、管理者用のワークスペース70に表示される未割当表示領域81と比較して大幅に省略され、作業未割当文書、すなわち振分けられていないことから担当者がまだ決まっていないファイルの数のみである。また、担当者別表示領域82に表示される自分以外の担当者に関する情報も特に必要ないので、自分以外の担当者については、状況情報に含まれる情報のうち当該担当者のファイルの進捗状況毎の件数のみに留めている。
【0094】
ところで、管理者からのファイルの振分けに対して、そのファイルに対する仕事の依頼、つまり申し入れを受諾するか否かを担当者が選択できるということについては、前述した。つまり、個別対応することについて説明した。ただ、担当者が、例えば数多くのファイルを抱えていることからしばらくの間、依頼された仕事を受け付けることができない状況にある場合、ファイルが振分けられる度に、仕事の依頼を拒否する操作をすることは面倒である。
【0095】
そこで、本実施の形態においては、担当者用のワークスペース80に変更ボタン88を設けることにした。担当者は、変更ボタン88を選択することでファイルを受け付けるかどうか、すなわち“可”と“不可”を切り替えることができるようにした。
【0096】
ファイルサーバ10における操作受付部152が担当者による変更ボタン88の操作を受け付けると、担当者状況管理部16は、
図4に示す担当者状況情報の、操作した担当者に対応する振分拒否フラグを変更することでセット又はクリアする。担当者の操作に応じて振分拒否フラグがセットされると、対応する個別表示領域72には、その旨が表示される。
図12には、担当者“富士花子”がファイルの振分けを拒否していることを示す拒否情報89が当該担当者の個別表示領域72bに表示されている例が示されている。これにより、担当者は、仕事が依頼された場合、他の担当者のファイルに対する処理の進捗状況に加えて、ファイルの振分けを拒否しているかどうかの状況を参考にして、その依頼を受け入れるか否かを判断することができる。
【0097】
以上、担当者端末40に表示される担当者用のワークスペース80について説明したが、ワークスペース80は、担当者からの操作に応じてワークスペース生成部14によって生成される。すなわち、ワークスペース生成部14は、ユーザ管理情報を参照して表示対象とするユーザを特定し、特定したユーザに関する情報をファイル管理情報及び担当者状況情報から抽出してワークスペース80を生成する。特に、ワークスペース生成部14は、表示要求をしたのが担当者の場合には担当者用のワークスペース80を生成するが、その際に担当者を特定し、その担当者に関する情報に関しては、
図12において個別表示領域82cに例示するように詳細な内容で、その他のユーザについては個別表示領域82a,82bに例示するように簡略した内容で、それぞれ表示されるようワークスペース80を生成する。そして、表示制御部151は、ワークスペース80を表示要求した担当者の担当者端末40へ送信することによってワークスペース処理制御部31と連携して担当者端末40に画面表示させる。
【0098】
ところで、担当者がワークスペース80を担当者端末40に表示させている際に、管理者からファイルが振分けられた場合、
図13に示すように、振分けられたファイル84aが自分の個別表示領域72cに表示されることになる。そして、前述したように、担当者は、ファイル84aを受け入れ、依頼された仕事を受け付けるかどうかを回答することになる。拒否する場合、担当者は、前述したようにファイルを元に戻すことになるが、その操作の具体的な例を
図13及び
図14に示している。
【0099】
図13には、矢印90で表すようにファイル84aを移動させる操作、例えばドラッグ&ドロップ操作によって未割当表示領域81に移動させる。この操作に応じて未割当表示領域81において未割当文書の件数は5件に戻り、ファイル84aは、個別表示領域72cから消される。
【0100】
図14には、処理したいファイルに対して所定の操作、例えばファイル84aを右クリックすると、プルダウンメニュー95が表示される。このプルダウンメニュー95から“拒否”を選択することでファイルを管理者に戻すことができる。
【0101】
なお、プルダウンメニュー95から“受付”を選択すると、ファイルを受け入れることになるので、ファイル84aのファイル管理情報における「状況」は、“未割当”から“依頼中”に変更される。なお、情報の更新等に関しては、管理者用のワークスペース70の説明の際に説明済みなので、ここでは説明を省略する。
【0102】
また、
図14には、受付済みのファイル84bに対して右クリックされたときの例が更に示されている。ファイル84bが右クリックされると、プルダウンメニュー96が表示される。担当者は、プルダウンメニュー96から“着手”を選択することでファイルの処理を開始することができる。なお、処理の開始に応じて、当該ファイルのファイル管理情報は更新されるが、情報の更新等に関しては、すでに説明済みなので、ここでは説明を省略する。
【0103】
前述したように、管理者は、ワークスペース70に表示されている情報を、ファイルをいずれの担当者に振分けるかの判断を行う際に利用する。一方、担当者は、ワークスペース80に表示されている情報を、管理者により振分けられたファイルを受け入れるかどうかの判断を行う際に利用する。担当者がファイルを処理する時間は、ファイルのサイズ、処理の内容等によって異なってくる場合がある。また、業務上、処理を終了させる期限が設定されている場合がある。そこで、本実施の形態においては、状況情報77等、すでに説明した情報とは別に、管理者及び担当者における判断の指標となり得る情報を更に提供できるようにした。
【0104】
例えば、操作受付部152が、ワークスペース70,80に表示されているファイルに対して所定の操作、例えばユーザにより右クリック操作されたことを検出すると、ファイル管理部13は、ファイル管理情報の中から、操作されたファイルに対応する処理関連情報を読み出す。表示制御部151は、読み出された処理関連情報を、操作されたファイルに対応付けてワークスペース70,80上に表示させる。
【0105】
ユーザが管理者の場合、管理者は、このファイルに対応する処理関連情報を参考にすることによって、当該ファイルを処理するのに適した担当者を選択することができる。なお、管理者が、仮に担当者の能力を把握していない場合、例えば担当者別表示領域72に表示されている担当者名に対して所定の操作、例えば右クリック操作すると、ユーザ管理部11は、ユーザ管理情報に含まれる当該担当者の個人情報(図示せず)、具体的には専門分野、得意分野、キャリア等の情報を図示しないユーザ管理情報記憶部21から読み出して表示させる。管理者は、表示されたファイルの処理関連情報と担当者の個人情報を参考にしてファイルの振分け先を選択できるようにしてもよい。
【0106】
また、ユーザが担当者の場合、担当者は、振分けられたファイルに対応する処理関連情報を参考にすることによって、受け入れるか拒否するかを判断することができる。
【0107】
なお、本実施の形態では、処理関連情報を右クリック操作により表示させるように説明したが、これに限る必要はない。例えば、ファイル73,74に表示用ボタンを付加して表示させ、表示用ボタンの選択操作に応じて表示させるようにしてもよい。あるいは、常時表示させるようにしてもよい。
【0108】
図15は、本実施の形態における管理者端末30に表示される管理者用のワークスペース70の画面表示の他の例を示す図である。
図7では、ファイルをアイコン形式にて表示する場合の表示例を示したが、
図15では、ファイルをリスト形式にて表示する場合の表示例を示している。
図7に示すワークスペース70と
図5に示すワークスペース70とは、管理者がリスト表示/アイコン表示ボタン78を選択することによって切り替えて表示される。
【0109】
リスト形式のワークスペース70において、管理者がファイルを振分けるためには、必要によりスクロール操作をするなどして振分け先の担当者の個別表示領域72を画面表示させて、
図7の場合と同様に振分け対象のファイルをドラッグ&ドロップ操作によって担当させたい担当者の個別表示領域72に移動させればよい。
【0110】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ワークスペース70に振分け対象のファイルと、振分先となる担当者を同一画面上に表示させるようにしたので、管理者は、数少ない簡単な操作(上記例における「ドラッグ&ドロップ操作」)でファイルを担当者に振分けることができる。
【0111】
上記実施の形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0112】
また上記実施の形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施の形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0113】
10 ファイルサーバ、11 ユーザ管理部、12 ファイル受付部、13 ファイル管理部、14 ワークスペース生成部、15 ユーザ関連処理部、16 担当者状況管理部、17 通知部、18 制御部、21 ユーザ管理情報記憶部、22 ファイル記憶部、23 ファイル管理情報記憶部、24 担当者状況情報記憶部、30 管理者端末、31,41 ワークスペース処理制御部、32 ファイル振分処理部、40 担当者端末、42 処理実行部、151 表示制御部、152 操作受付部、153 端末監視部、154 処理監視部。