(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187144
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】通信装置、通信方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 76/15 20180101AFI20221212BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20221212BHJP
H04W 72/04 20090101ALI20221212BHJP
H04W 48/08 20090101ALI20221212BHJP
H04L 13/00 20060101ALI20221212BHJP
H04L 1/22 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
H04W76/15
H04W84/12
H04W72/04 132
H04W48/08
H04L13/00 S
H04L1/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094997
(22)【出願日】2021-06-07
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】皆川 篤志
【テーマコード(参考)】
5K014
5K034
5K067
【Fターム(参考)】
5K014DA06
5K034AA06
5K034EE03
5K034MM01
5K067AA21
5K067CC02
5K067DD34
5K067EE02
5K067EE10
5K067HH24
(57)【要約】
【課題】 通信装置と他の通信装置が複数の周波数チャネルを介して接続を確立している際に、全ての周波数チャネルに送信されるフレームを重複して受信することを抑制すること。
【解決手段】 第1の周波数チャネルと第2の周波数チャネルを介して他の通信装置と接続を確立している状態で、第1の周波数チャネルと第2の周波数チャネルを介して他の通信装置に送信される第1のフレームが、第1の周波数チャネルと第2の周波数チャネルを介して重複して送信されるか否かを示す情報が格納された第2のフレームを受信し、第1の周波数チャネルを介して第2のフレームを受信する際に、前記情報に基づいて、第2の周波数チャネルを介して第2のフレームを受信しないように制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置であって、
第1の周波数チャネルと第2の周波数チャネルを介して他の通信装置と接続を確立する確立手段と、
前記確立手段によって前記第1の周波数チャネルと前記第2の周波数チャネルを介して前記他の通信装置と接続を確立している状態で、前記第1の周波数チャネルと前記第2の周波数チャネルを介して前記他の通信装置に送信される第1のフレームが、前記第1の周波数チャネルと前記第2の周波数チャネルとで重複して送信されるか否かを示す情報が格納された第2のフレームを受信する受信手段と、
前記第1の周波数チャネルを介して前記第2のフレームを受信する際に、前記受信手段によって受信した前記第1のフレームの前記情報に基づいて、前記第2の周波数チャネルを介して前記第2のフレームを受信しないように制御する制御手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
通信装置であって、
第1の周波数チャネルを第2の周波数チャネルを介して他の通信装置と接続を確立する確立手段と、
前記確立手段によって前記第1の周波数チャネルと前記第2の周波数チャネルを介して前記他の通信装置と接続を確立している状態で、前記第1の周波数チャネルと前記第2の周波数チャネルを介して前記他の通信装置に送信される第1のフレームが、前記第1の周波数チャネルと前記第2の周波数チャネルとで重複して送信されるか否かを示す情報を第2のフレームに格納する格納手段と、
前記格納手段によって、前記情報が格納された前記第1のフレームを送信する送信手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項3】
前記第1のフレームはIEEE802.11シリーズ規格に準拠したGroup Addressed Frameであることを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第2のフレームはBeaconフレームであることを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項5】
前記情報は、前記BeaconフレームのTIM ElementまたはVendor Specific Elementに格納されることを特徴とする請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記通信装置はIEEE802.11シリーズ規格に準拠したMulti-Link通信を行うことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記通信装置は前記第1の周波数チャネルを介してデータを受信中である場合に、前記第2の周波数チャネルにおいて同時にデータを送信できない通信装置であることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の通信装置。
【請求項8】
通信装置の通信方法であって、
第1の周波数チャネルと第2の周波数チャネルを介して他の通信装置と接続を確立する確立工程と、
前記確立工程によって前記第1の周波数チャネルと前記第2の周波数チャネルを介して前記他の通信装置と接続を確立している状態で、前記第1の周波数チャネルと前記第2の周波数チャネルを介して前記他の通信装置に送信される第1のフレームが、前記第1の周波数チャネルと前記第2の周波数チャネルとで重複して送信されるか否かを示す情報が格納された第2のフレームを受信する受信工程と、
前記第1の周波数チャネルを介して前記第2のフレームを受信する際に、前記受信工程によって受信した前記第1のフレームの前記情報に基づいて、前記第2の周波数チャネルを介して前記第2のフレームを受信しないように制御する制御工程と、
を有することを特徴とする通信装置の通信方法。
【請求項9】
通信装置の通信方法であって、
第1の周波数チャネルを第2の周波数チャネルを介して他の通信装置と接続を確立する確立工程と、
前記確立工程によって前記第1の周波数チャネルと前記第2の周波数チャネルを介して前記他の通信装置と接続を確立している状態で、前記第1の周波数チャネルと前記第2の周波数チャネルを介して前記他の通信装置に送信される第1のフレームが、前記第1の周波数チャネルと前記第2の周波数チャネルとで重複して送信されるか否かを示す情報を第2のフレームに格納する格納工程と、
前記格納工程によって、前記情報が格納された前記第1のフレームを送信する送信工程と、
を有することを特徴とする通信装置の通信方法。
【請求項10】
コンピュータを請求項1から8の何れか1項に記載の通信装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信を行う通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers、米国電気電子技術者協会)が策定しているWLAN通信規格として、IEEE802.11シリーズが知られている。尚、WLANとはWireless Local Area Networkの略である。IEEE802.11シリーズ規格としては、IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax規格などの規格がある。特許文献1には、IEEE802.11ax規格ではOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access、直交周波数分割多元接続)による無線通信を実行することが開示されている。
【0003】
IEEEでは、さらなるスループットの向上や周波数利用効率の改善のため、IEEE802.11シリーズの新たな規格として、IEEE802.11be規格(以下11be)の策定が検討されている。
【0004】
従来、IEEE802.11のAP(Accsess Point)は単一の周波数チャネルを介してSTAと接続を確立し、通信を行っていた。11beでは、1台のAPが複数の周波数チャネルを介してSTA(Station)と接続を確立し、通信を行うMulti-Link(マルチリンク)通信の導入が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
1台のAPと1台のSTAとが第1のリンクと第2のリンクを確立して、Multi-Link通信を実行している際に、APがマルチキャスト通信またはブロードキャスト通信でフレームを送信すると、同一のSTAに対して同一のフレームが重複して送信される。しかしながら、当該フレームを第1の周波数チャネルで受信するSTAは、当該フレームが第2の周波数チャネルにおいてもAPによって送信されるかを判別できず、同じフレームを無駄に重複して受信するおそれがあった。
【0007】
上記課題を鑑み、本発明は、通信装置と他の通信装置が複数の周波数チャネルを介して接続を確立している際に、全ての周波数チャネルに送信されるフレームを重複して受信することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の通信装置は、
第1の周波数チャネルと第2の周波数チャネルを介して他の通信装置と接続を確立する確立手段と、
前記確立手段によって前記第1の周波数チャネルと前記第2の周波数チャネルを介して前記他の通信装置と接続を確立している状態で、前記第1の周波数チャネルと前記第2の周波数チャネルを介して前記他の通信装置に送信される第1のフレームが、前記第1の周波数チャネルと前記第2の周波数チャネルとで重複して送信されるか否かを示す情報が格納された第2のフレームを受信する受信手段と、
前記第1の周波数チャネルを介して前記第2のフレームを受信する際に、前記受信手段によって受信した前記第1のフレームの前記情報に基づいて、前記第2の周波数チャネルを介して前記第2のフレームを受信しないように制御する制御手段と、
を有する。
【0009】
また、本発明の通信装置は、
第1の周波数チャネルを第2の周波数チャネルを介して他の通信装置と接続を確立する確立手段と、
前記確立手段によって前記第1の周波数チャネルと前記第2の周波数チャネルを介して前記他の通信装置と接続を確立している状態で、前記第1の周波数チャネルと前記第2の周波数チャネルを介して前記他の通信装置に送信される第1のフレームが、前記第1の周波数チャネルと前記第2の周波数チャネルとで重複して送信されるか否かを示す情報を第2のフレームに格納する格納手段と、
前記格納手段によって、前記情報が格納された前記第1フレームを送信する送信手段と、
を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、通信装置と他の通信装置が複数の周波数チャネルを介して接続を確立している際に、全ての周波数チャネルに送信されるフレームを重複して受信することを抑制することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】通信装置102が構築するネットワークの構成を示す図である。
【
図2】通信装置102、103のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】通信装置102、103の機能構成を示す図である。
【
図4】本実施形態におけるTIM elementフレームの一例を示す図である。
【
図5】通信装置103が複数のリンクにおいて同じタイミングにてDTIM Beaconフレームを受信する処理を示すシーケンス図である。
【
図6】通信装置103が複数のリンクにおいてずれたタイミングにてDTIM Beaconフレームを受信する処理を示すシーケンス図である。
【
図7】通信装置102がBeaconフレームを送信する際に実行する処理を示すフローチャートである。
【
図8】本実施形態における通信装置102がDTIM Beaconフレームを送信する際に実行する処理を示すフローチャートである。
【
図9】本実施形態における通信装置103がDTIM Beaconフレームを受信する際に実行する処理を示すフローチャートである。
【
図10】第2実施形態における通信装置102が構築するネットワークの構成を示す図である。
【
図11】本実施形態における通信装置102がDTIM Beaconフレームを送信する際に実行する処理を示すフローチャートである。
【
図12】本実施形態における通信装置103がDTIM Beaconフレームを受信する際に実行する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。尚、以下の実施形態において示す構成は一例に過ぎず、本発明は図示された構成に限定されるものではない。
【0013】
図1に、本実施形態にかかるネットワークの構成例を示す。
図1は、通信装置として、1つのAP(通信装置102)と1つのSTA(通信装置103)を含んだ構成を示している。
【0014】
AP(Access Point、アクセスポイント)102はネットワーク101を構築する役割を有する通信装置である。尚、ネットワーク101は無線ネットワークである。
【0015】
また、STA(Station、ステーション)103はネットワーク101に参加する役割を有する通信装置である。各通信装置は、IEEE802.11be(EHT)規格に対応しており、ネットワーク101を介してIEEE802.11be規格に準拠した無線通信を実行することができる。尚、IEEEはInstitute of Electrical and Electronics Engineersの略である。また、EHTは、Extremely High Throughputの略である。尚、EHTは、Extreme High Throughputの略であると解釈してもよい。各通信装置は、2.4GHz帯、5GHz帯、および6GHz帯の周波数帯において通信することができる。各通信装置が使用する周波数帯は、これに限定されるものではなく、例えば60GHz帯のように、異なる周波数帯を使用してもよい。また、各通信装置は、20MHz、40MHz、80MHz、160MHz、および320MHzの帯域幅を使用して通信することができる。
【0016】
また、通信装置102および通信装置103は、複数の周波数チャネルを介してリンクを確立し、通信するマルチリンク(Multi-Link)通信を実行する。マルチリンク通信を実行するAPはAP MLD(Multi-Link Device)ともいう。ここで、周波数チャネルとは、IEEE802.11シリーズ規格に定義された周波数チャネルであって、IEEE802.11シリーズ規格に準拠した無線通信を実行できる周波数チャネルを指す。IEEE802.11シリーズ規格では、2.4GHz帯、5GHz帯、および6GHz帯の各周波数帯に複数の周波数チャネルが定義されている。
【0017】
また、IEEE802.11シリーズ規格では、各周波数チャネルの帯域幅は20MHzとして定義されている。尚、隣接する周波数チャネルをボンディングすることで、1つの周波数チャネルにおいて40MHz以上の帯域幅を利用してもよい。例えば、通信装置102は、通信装置103と2.4GHz帯の第1の周波数チャネルを介した第1のリンク104と、5GHz帯の第2の周波数チャネルを介した第2のリンク105とを確立し、両方のリンクを介して通信することができる。この場合に、通信装置102は、第1の周波数チャネルを介した第1のリンク104と並行して、第2の周波数チャネルを介した第2のリンク105を維持する。
【0018】
このように、通信装置102は、複数の周波数チャネルを介したリンクを通信装置103と確立することで、通信装置103との通信におけるスループットを向上させることができる。
【0019】
尚、通信装置102と通信装置103とは、マルチリンク通信において、周波数帯の異なるリンクを複数確立してもよい。例えば、通信装置102と通信装置103とは、2.4GHz帯における第1のリンク104と、5GHz帯における第2のリンク105に加えて、6GHz帯における第3のリンクを確立するようにしてもよい。あるいは同じ周波数帯に含まれる複数の異なるチャネルを介してリンクを確立するようにしてもよい。例えば2.4GHz帯における1chを介した第1のリンク104と、2.4GHz帯における5chを介した第2のリンク105を確立するようにしてもよい。尚、周波数帯が同じリンクと、異なるリンクとが混在していてもよい。例えば、通信装置102と通信装置103とは、2.4GHz帯における1chを介した第1のリンク104と、2.4GHz帯における5chを介した第2のリンク105に加えて、5GHz帯における36chを介した第3のリンクを確立してもよい。通信装置102は、通信装置103と周波数帯の異なる複数の接続を確立することで、ある帯域が混雑している場合であっても、通信装置103と他方の帯域で通信することができるため、通信装置103との通信におけるスループットの低下を防ぐことができる。
【0020】
マルチリンク通信において、通信装置102と通信装置103とが確立する複数のリンクは、少なくともそれぞれの周波数チャネルが異なればよい。尚、マルチリンク通信において、通信装置102と通信装置103とが確立する複数のリンクの周波数チャネルのチャネル間隔は、少なくとも20MHzより大きければよい。尚、本実施形態では、通信装置102と通信装置103とは第1のリンク104と第2のリンク105とを確立するとしたが、3つ以上のリンクを確立してもよい。
【0021】
尚、マルチリンク通信を実行する場合、通信装置102はそれぞれのリンクに対応するように、複数の無線ネットワークを構築する。この場合、通信装置102は内部的に複数のAPを有し、夫々について無線ネットワークを構築するように動作させる。通信装置102が内部に有するAPは、1つ以上の物理的なAPで合っても良いし、1つの物理的なAP上に構成される複数の仮想的なAPであっても良い。尚、複数のリンクが共通の周波数帯に属する周波数チャネルにおいて確立される場合、該複数のリンクで共通の無線ネットワークを用いるようにしてもよい。
【0022】
尚、通信装置102および通信装置103は、IEEE802.11be規格に対応するとしたが、これに加えて、IEEE802.11be規格より前の規格であるレガシー規格の少なくとも何れか一つに対応していてもよい。レガシー規格とは、IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax規格のことである。尚、本実施形態では、IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax/be規格の少なくとも何れか一つを、IEEE802.11シリーズ規格と呼ぶ。また、IEEE802.11シリーズ規格に加えて、Bluetooth(登録商標)、NFC、UWB、Zigbee、MBOAなどの他の通信規格に対応していてもよい。尚、UWBはUltra Wide Bandの略であり、MBOAはMulti Band OFDM Allianceの略である。尚、OFDMはOrthogonal Frequency Division Multiplexingの略である。また、NFCはNear Field Communicationの略である。UWBには、ワイヤレスUSB、ワイヤレス1394、Winetなどが含まれる。また、有線LANなどの有線通信の通信規格に対応していてもよい。
【0023】
通信装置102の具体例としては、無線LANルーターやPCなどが挙げられるが、これらに限定されない。通信装置102は、他の通信装置とマルチリンク通信を実行することができる通信装置であれば何でもよい。また、通信装置102は、IEEE802.11be規格に準拠した無線通信を実行することができる無線チップなどの情報処理装置であってもよい。また、通信装置103の具体的な例としては、カメラ、タブレット、スマートフォン、PC、携帯電話、ビデオカメラなどが挙げられるが、これらに限定されない。通信装置103は、他の通信装置とマルチリンク通信を実行することができる通信装置であればよい。また、通信装置103は、IEEE802.11be規格に準拠した無線通信を実行することができる無線チップなどの情報処理装置であってもよい。また、
図1のネットワークは1台のAPと1台のSTAによって構成されるネットワークであるが、APおよびSTAの台数はこれに限定されない。例えば、1台のAPが構築するネットワークに2台以上のSTAが参加し、それぞれの装置間でマルチリンク通信を実行してもよい。尚、無線チップなどの情報処理装置は、生成した信号を送信するためのアンテナを有する。
【0024】
尚、本実施形態では、通信装置102はAPであって、通信装置103はSTAであるとしたが、これに限らず、通信装置102と通信装置103の両方がSTAであってもよい。この場合、通信装置102はSTAとして動作するが、通信装置103とリンクを確立するための無線ネットワークを構築する役割を有する装置として動作する。
【0025】
図2に、通信装置102のハードウェア構成例を示す。通信装置102は、記憶部201、制御部202、機能部203、入力部204、出力部205、通信部206およびアンテナ207を有する。
【0026】
記憶部201は、ROMやRAM等の1以上のメモリにより構成され、後述する各種動作を行うためのコンピュータプログラムや、無線通信のための通信パラメータ等の各種情報を記憶する。ROMはRead Only Memoryの、RAMはRandom Access Memoryの夫々略である。尚、記憶部201として、ROM、RAM等のメモリの他に、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、DVDなどの記憶媒体を用いてもよい。また、記憶部201が複数のメモリ等を備えていてもよい。
【0027】
制御部202は、例えば、例えばCPUやMPU等の1以上のプロセッサにより構成され、記憶部201に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、通信装置102全体を制御する。尚、制御部202は、記憶部201に記憶されたコンピュータプログラムとOS(Operating System)との協働により、通信装置102全体を制御するようにしてもよい。また、制御部202は、他の通信装置との通信において送信するデータや信号(無線フレーム)を生成する。尚、CPUはCentral Processing Unitの、MPUは、Micro Processing Unitの略である。また、制御部202がマルチコア等の複数のプロセッサを備え、複数のプロセッサにより通信装置102全体を制御するようにしてもよい。
【0028】
また、制御部202は、機能部203を制御して、無線通信や、撮像、印刷、投影等の所定の処理を実行する。機能部203は、通信装置102が所定の処理を実行するためのハードウェアである。
【0029】
入力部204は、ユーザからの各種操作の受付を行う。出力部205は、モニタ画面やスピーカーを介して、ユーザに対して各種出力を行う。ここで、出力部205による出力とは、モニタ画面上への表示や、スピーカーによる音声出力、振動出力などであってもよい。尚、タッチパネルのように入力部204と出力部205の両方を1つのモジュールで実現するようにしてもよい。また、入力部204および出力部205は、夫々通信装置102と一体であってもよいし、別体であってもよい。
【0030】
通信部206は、IEEE802.11be規格に準拠した無線通信の制御を行う。また、通信部206は、IEEE802.11be規格に加えて、他のIEEE802.11シリーズ規格に準拠した無線通信の制御や、有線LAN等の有線通信の制御を行ってもよい。通信部206は、アンテナ207を制御して、制御部202によって生成された無線通信のための信号の送受信を行う。通信装置102は、通信部206を複数有していてもよい。通信部206を複数有する通信装置102は、マルチリンク通信において複数のリンクを確立する場合に、1つの通信部206あたり少なくとも1つのリンクを確立する。
【0031】
あるいは、通信装置102は、1つの通信部206を用いて複数のリンクを確立してもよい。この場合、通信部206は時分割で動作する周波数チャネルを切り替えることで、複数のリンクを介した通信を実行する。尚、通信装置102が、IEEE802.11be規格に加えて、NFC規格やBluetooth規格等に対応している場合、これらの通信規格に準拠した無線通信の制御を行ってもよい。また、通信装置102が複数の通信規格に準拠した無線通信を実行できる場合、夫々の通信規格に対応した通信部とアンテナを個別に有する構成であってもよい。通信装置102は通信部206を介して、画像データや文書データ、映像データ等のデータを通信装置103と通信する。尚、アンテナ207は、通信部206と別体として構成されていてもよいし、通信部206と合わせて一つのモジュールとして構成されていてもよい。
【0032】
アンテナ207は、2.4GHz帯、5GHz帯、および6GHz帯における通信が可能なアンテナである。本実施形態では、通信装置102は1つのアンテナを有するとしたが、周波数帯ごとに異なるアンテナを有していてもよい。また、通信装置102は、アンテナを複数有している場合、各アンテナに対応した通信部206を有していてもよい。
【0033】
尚、通信装置103は通信装置102と同様のハードウェア構成を有する。
【0034】
図3に、通信装置102の機能構成例を示す。通信装置102は、受信フレーム解析部301、送信フレーム生成部302、フレーム送受信部303を含む。通信装置102はさらに、Beaconフレーム管理部304を含む。
【0035】
受信フレーム解析部301は、対向の通信装置から受信したフレームを解析する機能ブロックである。
【0036】
送信フレーム生成部302は、対向の通信装置へ送信するフレームを生成する機能ブロックである。
【0037】
フレーム送受信部303は、対向の通信装置との間でフレームを送受信する機能ブロックである。この機能ブロック内で、Beaconフレーム、グループアドレス(Group Addressed)フレーム、データフレームなどの送受信を制御する。
【0038】
Beaconフレーム管理部304は、Beaconフレームの生成や解析を指示する機能ブロックである。この機能ブロック内で、Group Addressed Frameの重複送信を判別するための情報をBeaconフレームに含めるように送信フレーム生成部302に指示をする。また、Beaconフレームに含められたGroup Addressed Frameの重複送信を判別するための情報を解析するように受信フレーム解析部301に指示をする。
【0039】
尚、通信装置103は通信装置102と同様の機能構成を有する。
【0040】
図4にBeaconフレームに含まれるTIM Elementを示す。本ElementはIEEE802.11の規格に準拠して定義される。
【0041】
Element IDフィールド401には、BeaconフレームのElementがTIM Elementであることを示す「5」が格納される。
【0042】
Lengthフィールド402は、TIM Elementの長さを示す。
【0043】
DTIM Countフィールド403は、当該Elementを含むBeaconフレームがDTIM(Delivery traffic indication map) Beaconフレームであるか否かを示す。このフィールドで示されるDTIMカウントが「0」のとき、当該Elementが含まれるBeaconフレームはDTIM Beaconフレームであることを示し、DTIM Beaconフレームの後にGroup Addressed Frameが送信される可能性がある。DTIMカウントの値が「0」以外の値であれば、DTIM Beaconフレームではないため、Group Addressed Frameではない。
【0044】
DTIM Periodフィールド404は、DTIM間隔を示し、例えばDTIM間隔が「3」に設定されている場合、3回送信されるBeaconフレームのうち1回はDTIM Beaconフレームが送信されることを示す。DTIMカウントは、Beaconフレームが送信される毎にデクリメントされ、DTIM Beaconフレームを送信する際のDTIMカウントは「0」となり、次に送信されるBeaconフレームのDTIMカウントには初期値(=最大値)が設定される。ここで、初期値は例えば、DTIM間隔が「3」に設定されている場合、DTIMカウントの最大値は「2」であるため、初期値として「2」が設定される。
【0045】
Bitmap Controlフィールド405は、そのBitによってGroup Addressed Frameがあるか否かを示す。
【0046】
Bitmap Controlフィールド405が「1」に、DTIMカウントが「0」に設定されている場合のシーケンス図を示す。Bitmap Controlフィールド405が「1」に、DTIMカウントが「0」に設定されている場合は、DTIM Beaconフレーム送信後にGroup Addressed Frameが送信される。
【0047】
ここでGroup Addressed Frameとは、MACフレームのDestination Address(DA)に含めるMACアドレスにおいて、Group Bitが1であるアドレスを含むフレームを指す。また、マルチキャストフレームについても同様にGroup Bitを1とするため、Group Addressed Frameとなる。
【0048】
また、
図5においてDTIM Beaconフレームは、Link104とLink105とで同じタイミングで送信されているが、
図6のようにLink104とLink105とでずれたタイミングで送信されてもよい。
【0049】
(実施形態1)
図7は、通信装置102の記憶部201に記憶されているプログラムを制御部202が実行することによって行われる処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートは、本実施形態における通信装置102がBeaconフレームを送信する際に実行する例を示す。
【0050】
本フローチャートの処理は、通信装置102の電源が投入されたことに応じて開始される。あるいは、通信装置102に対してユーザがBeaconフレームに関する動作設定等を完了したことに応じて開始されてもよい。
【0051】
通信装置102は、送信するBeaconフレームに含まれるTIM elementのDTIM Countフィールド403に格納される値が「0」であるか否かを判定する(S701)。DTIM Countフィールド403に格納される値が「0」でない場合(S701でNO)、Beaconフレームを送信する(S702)。S702の処理を実行後、DTIM Countフィールド403に格納される値をデクリメントして(S703)、停止指示を受けたかを判定する(S706)。具体的には、通信装置102は、ユーザからAPとしての動作の停止を指示されたかを判定する。停止を指示された場合(S706でYES)、通信装置102はAPとしての動作を停止し、本フローチャートの処理を終了する。一方、停止を指示されていない場合(S706でNO)、S701の処理を行う。
【0052】
DTIM Countフィールド403に格納される値が「0」である場合(S701でYES)、DTIM Beaconフレームの送信処理を行う(S704)。S704の処理の詳細については、
図8を用いて後述する。S704の処理を実行後、DTIM Countフィールド403の値を初期値に戻す(S705)。ここで、初期値は例えば、DTIM間隔が「3」に設定されている場合、DTIMカウントの最大値は「2」であるため、初期値として「2」が設定される。S705の処理を実行後、APの停止指示を受けたかを判定する(S706)。S706において、停止を指示されていないと判定された場合(S706でNo)、S701の処理を行い、一方、停止を指示されていない場合(S706でYes)、通信装置102はAPとしての動作を停止し、本フローチャートの処理を終了する。
【0053】
図8は、通信装置102の記憶部201に記憶されているプログラムを制御部202が実行することによって行われる処理の流れを示すフローチャートである。本実施形態における通信装置102が、DTIM Beaconフレームを送信する際に実行する例を示す。本フローチャートの処理は、S704の処理の指示を契機に開始される。
【0054】
通信装置102は、送信すべきGroup Addressed Frameを保持しているか否かを判定する(S801)。当該フレームを保持していないと判定された場合(S801でNO)、Beaconフレームを送信し(S804)、本フローチャートの処理を終了する。
【0055】
当該クレームを保持していると判定された場合(S801でYES)、通信装置102は送信するBeaconフレームのTIM ElementにおけるBitmap Controlフィールド405を「1」に設定し、自装置がマルチリンク通信を動作中であるか否かを判定する(S802)。Bitmap Controlフィールド405を「1」に設定すると、DTIM Beaconフレーム送信後にGroup Addressed Frameが送信されることを示す。S802において、マルチリンク通信を実行中でないと判定された場合(S802でNO)、DTIM Beaconフレームを送信し(S804)、本フローチャートの処理を終了する。
【0056】
マルチリンク通信を実行中であると判定された場合(S802でYES)、重複を判別するための情報をBeaconフレームに格納する(S803)。重複を判別するための情報とは、通信装置102がリンク104およびリンク105を介して送信するGroup Addressed Frameは同じフレームであることを示す情報である。尚、重複を判別するための情報は1ビットで示される情報であり、「1」の場合はGroup Addressed Frameが重複して送信されることを、「0」の場合はGroup Addressed Frameが重複して送信されないことを示す。また、重複を判別するための情報は、BeaconフレームにおいてReservedとなっているElementに格納されることが考えられるが、これに限定されない。また、BeaconフレームのElement IDに、ベンダー独自情報(Vendor Specific)を示す「221」が格納されたElementに重複を判別するための情報を格納してもよい。また、
図4に示したTIM Elementに新規のフィールドを作成して、そのフィールドにGroup Addressed Frame識別子の値を格納してもよい。
【0057】
通信装置102は、重複を判別するための情報を格納したDTIM Beaconフレームを送信し(S804)、本フローャートの処理を終了する。
【0058】
図9は、通信装置103の記憶部201に記憶されているプログラムを制御部202が実行することによって行われる処理の流れを示すフローチャートである。本実施形態における通信装置103がDTIM Beaconフレームを受信する際に実行する例を示す。本フローチャートの処理は、通信装置103がDTIM Beaconフレームを受信したことを契機に開始される。
【0059】
通信装置103は、Group Addressed Frameの受信指示があるか否かを判定する(S901)。具体的には、受信したDTIM BeaconフレームのBitmap Controlフィールド405のBitが「1」であるか否かを判定する。受信指示がないと判定された場合(S901でNO)、本フローチャートの処理を終了する。
【0060】
受信指示があると判定された場合(S901でYES)、通信装置103は自装置がマルチリンク通信を実行中であるか否かを判定する(S902)。マルチリンク通信を実行中ではないと判定された場合(S902でNO)、通信装置102がDTIM Beaconフレームの後に送信されるGroup Addressed Frameを受信し(S904)、本フローチャートの処理を終了する。
【0061】
マルチリンク通信を実行中であると判定された場合(S902でYES)、リンク104およびリンク105を介して受信するGroup Addressed Frameが重複するか否かを判定する(S903)。具体的には、Beaconフレームに格納されている重複を判別するための情報を確認する。本実施形態においては、当該Element IDに格納されているビットが1である場合は、Group Addressed Frameが重複して受信されることを示す。S903において、重複しないと判定された場合(S903でNO)、DTIM Beaconフレームの後に送信されるGroup Addressed Frameを受信し(S904)、本フローチャートの処理を終了する。
【0062】
一方、S903において重複すると判定された場合(S903でYES)、Group Addressed Frameを受信する必要があるか否かを判定する(S904)。具体的には、後述するS905での処理によって記憶部201に設定される受信する必要があるか否かの情報に基づいて判定する。尚、この情報は、Group Addressed Frameを受信する必要があるか否かを示すビットであり、ビットが「1」の場合は受信する必要がないこと、ビットが「0」に設定されている場合は受信する必要があることを示す。
【0063】
S904において受信する必要があると判定された場合(S904でYES)、次回のGroup Addressed Frameの受信処理を必要なしに設定する(S905)。具体的には、記憶部201に記憶されている受信する必要があるか否かを示すビットを「1」に設定する。S905において、次回の受信処理を必要なしに設定した通信装置103は、Group Addressed Frameを受信し(S907)、本フローチャートの処理を終了する。
【0064】
一方、受信する必要がないと判定された場合、(S904でYES)、次回のGroup Addressed Frameの受信処理を必要ありに設定する(S906)。具体的には、記憶部201に記憶されている受信する必要があるか否かを示すビットを「0」に設定する。該ビットを「0」に設定するのは、次のDTIM Beaconフレーム受信時に、Group Addressed Frameを受信できるようにするためである。S906において次回の受信処理を必要ありに設定した通信装置103は、Group Addressed Frameを受信せずに、本フローチャートの処理を終了する。
【0065】
本実施形態によると、通信装置103はリンク104とリンク105で同じGroup Addressed Frameが送信されることを判別することができる。その結果、同じGroup Addressed Frameを重複して受信しなくなるので、受信処理の負荷が軽減できる。
【0066】
また
図6に示すように、Group Addressed Frameがずれて送信される場合に、通信装置103がリンク105において受信処理中にリンク104において送信処理を行うことができない通信装置である場合には以下のような利点がある。すなわち、同じGroup Addressed Frameを重複して受信しないように制御することで、
図6のリンク105で当該フレームを受信している期間においても、リンク104において、データの送信処理を行うことができるようになる。
【0067】
(実施形態2)
実施形態1では、APがリンク104およびリンク105を介して同じGroup Addressed Frameを送信する場合に、DTIM Beaconフレームに含まれる重複を判別する情報に基づいて、STA側で受信の制御を行う例を示した。実施形態2では、APによって、リンク104とリンク105とで異なるGroup Addressed Frameが送信される場合において、重複を判別するための処理を説明する。
【0068】
図10に、本実施形態にかかるネットワークの構成例を示す。
【0069】
図10は、例えばリンク104とリンク1003において、2.4GHz帯で動作しており、リンク105とリンク1004において、5GHz帯で動作している場合を示している。このように、リンク104とリンク105ではマルチキャストグループが異なる。そのため例えば、5GHz帯を使用しているリンク105、1004ではチャネルスイッチアナウンスメントを送信している際に、リンク104とリンク1003においては別のフレームを送信する場合等が想定される。
【0070】
図11に、通信装置102の記憶部201に記憶されているプログラムを制御部202が実行することによって行われる処理の流れを示すフローチャートである。本実施形態における通信装置102が、DTIM Beaconフレームを送信する際に実行する例を示す。本フローチャートの処理は、S704の処理の指示を契機に開始される。
【0071】
S1101~S1102の処理は、
図8のS801~S802の処理と同様である。
【0072】
マルチリンク通信を動作中でないと判定された場合(S1102でNO)、Beaconフレームを送信し(S1106)、本フローチャートの処理を終了する。
【0073】
マルチリンク通信を動作中であると判定された場合(S1102でYES)、保持しているGroup Addressed Frameが別リンクで送信すべきGroup Addressed Frameと同じであるか否かを判定する(S1103)。具体的には、リンク105で送信すべきGroup Addressed Frameが、リンク104で送信すべきGroup Addressed Frameと同じフレームであるか否かを判定する。尚、Group Addressed Frameのうちの一部分が同じ場合に、同じフレームであると判定してもよい。Group Addressed Frameの一部分とは、例えば、Group Addressed Frameに含まれるIEEE802.11ヘッダや物理ヘッダやFCS(Frame Check Sequence)を除いたデータ部である。
【0074】
同じではないと判定された場合(S1103でNO)、別リンクと異なるGroup Addressed Frame識別子をDTIM Beaconフレームに格納する(S1105)。Group Addressed Frame識別子とは、リンク104で送信したGroup Addressed Frameとリンク105で送信する当該フレームが同じか否かを示す値である。Group Addressed Frame識別子の初期値は「0」であるが、この値に限らない。Group Addressed Frame識別子の値は、記憶部201に記憶されていて、その値をインクリメントしてDTIM Beaconフレームに格納する。つまり、別リンクのDTIM Beaconフレームに格納したGroup Addressed Frame識別子と異なる値をBeaconフレームに格納する。具体的には、受信したDTIM Beaconフレームに格納されたGroup Addressed Frame識別子に「1」を足した値をDTIM Beaconフレームに格納する。例えば、記憶部201に記憶されている識別子の値が「5」であれば「6」にし、DTIM Beaconフレームに格納する。尚、インクリメントする値は「1」に限らず、整数であれば「1」以外の値を足してもよい。
【0075】
また、Group Addressed Frame識別子は、BeaconフレームのElementにおけるReservedとなっているElementに、新規に当該識別子を格納するためのフィールドを設け、当該フィールドに格納される。通信装置102は、S1105にて別リンクと異なる識別子の値を格納したDTIM Beaconフレームを送信し(S1106)、本フローチャートの処理を終了する。
【0076】
一方、別リンクで送信すべきGroup Addressed Frameと同じであると判定された場合(S1103でYES)、記憶部201に記憶されているGroup Addressed Frame識別子の値をDTIM Beaconフレームに格納する(S1104)。つまり、受信したGroup Addressed Frame識別子の値と同じ値をDTIM Beaconフレームに格納する。S1104において、Group Addressed Frame識別子をBeaconフレームに格納した通信装置102は、DTIM Beaconフレームを送信し(S1106)、本フローチャートの処理を終了する。
【0077】
図12に、通信装置103の記憶部201に記憶されているプログラムを制御部202が実行することによって行われる処理の流れを示すフローチャートである。本実施形態における通信装置103がDTIM Beaconフレームを受信する際に実行するフローチャートの例を示す。本フローチャートの処理は、通信装置103がDTIM Beaconフレームを受信したことを契機に開始される。
【0078】
S1201~S1202の処理は、
図9のS901~S902の処理と同様である。
【0079】
マルチリンク通信を動作中でないと判定された場合(S1202でNO)、Group Addressed Frameを受信し(S1206)、本フローチャートの処理を終了する。
【0080】
マルチリンク通信を動作中であると判定された場合(S1202でYES)、受信したDTIM BeaconフレームにGroup Addressed Frame識別子が格納されているか否かを判定する(S1203)。具体的には、DTIM BeaconフレームのGroup Addressed Frame識別子が格納されていることを示す新規のElementフィールドに、Group Addressed Frame識別子が格納されているか否かを判定する。Group Addressed Frame識別子が格納されていないと判定された場合(S1203でNO)、Group Addressed Frameを受信し(S1206)、本フローチャートの処理を終了する。
【0081】
尚、受信したDTIM Beaconフレームに新規のElementフィールドに対応するElement IDが含まれていない場合に、当該識別子が格納されていないと判定してよい。
【0082】
Group Addressed Frame識別子が格納されていると判定された場合(S1203でYES)、保存済みのGroup Addressed Frame識別子と、新規のElementフィールドに格納されている識別子が同じ値であるか否かを判定する(S1204)。具体的には、記憶部201に記憶されているGroup Addressed Frame識別子の値と、今回受信したDTIM Beaconフレーム新の規のElementフィールドに格納されている識別子の値とを比較して、同じ値であるか否かを判定する。保存済みのGroup Addressed Frame識別子と同じ値であると判定された場合(S1204でYES)、本フローチャートの処理を終了する。つまり、受信しようとしているGroup Addressed Frameが重複すると判別し、受信処理を行わない。
【0083】
一方、保存済みのGroup Addressed Frame識別子と同じ値でないと判定された場合(S1204でNO)、今回受信したDTIM Beaconフレームの新規のElementフィールドに格納されている識別子の値を記憶部201に記憶する(S1205)。S1205において、Group Addressed Frame識別子の値を記憶した通信装置103は、Group Addressed Frameを受信し(S1206)、本フローチャートの処理を終了する。
【0084】
本実施形態によると、通信装置103はリンク104およびリンク105で同じGroup Addressed Frameが送信されることを判別することができる。
【0085】
各実施例で示した通信装置102および通信装置103のフローチャートは、
図1のネットワークの構成に限らない。例えば、
図12で示すように、リンク104またはリンク105と同じ周波数チャネルを介して、単独リンクで(Single-Link)通信を実行するSTA1201とSTA1202を含むネットワーク構成で実施してもよい。尚、リンク104およびリンク105と同じ周波数チャネルを介したリンクにそれぞれ通信装置が接続している場合に、各実施例の処理を実行してもよい。例えば、
図1の構成に加えて、リンク104と同じ周波数チャネルであるリンク1203にSTA1201が接続し、リンク105と同じ周波数チャネルであるリンク1204にSTA1202が接続している場合に各実施例の処理を実行するようにしてもよい。
【0086】
尚、上述の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体をシステムあるいは装置に供給し、システムあるいは装置のコンピュータ(CPU、MPU)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行するようにしてもよい。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述の実施形態の機能を実現することとなり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は上述の装置を構成することになる。
【0087】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVDなどを用いることができる。
【0088】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上述の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSが実際の処理の一部または全部を行い、上述の機能を実現してもよい。OSとは、Operating Systemの略である。
【0089】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードを、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込む。そして、そのプログラムコードの指示に基づき、機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUが実際の処理の一部または全部を行い、上述の機能を実現してもよい。
【0090】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0091】
201 記憶部
202 制御部
203 機能部
204 入力部
205 出力部
206 通信部
207 アンテナ