(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187146
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理装置の制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20120101AFI20221212BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094999
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】岩渕 康平
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】画像認識で被害を検出・認識し、圃場内で発生する被害について優先度に応じた対応すべき作業を提示することを可能とする情報処理装置、情報処理装置の制御方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置において、利用者から画像の入力を受け付ける画像入力部201、画像入力部201で受け付けた画像に対して、画像認識を行い、各画像に含まれる農作物や設備の被害を認識する被害認識部202、被害情報に基づいて作業情報を取得する作業決定部203、作業情報の表示順を決定するための情報(優先情報)を決定する優先情報決定部204及び作業情報を優先情報に基づいて表示部に表示させる作業提示部205を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場における撮影により得られた画像に対する画像処理に基づいて、農作物又は設備の被害を認識する認識手段と、
前記認識手段により認識された被害に対して必要な作業を決定する決定手段と、
前記決定手段により決定された複数の作業の優先度に基づいて、前記複数の作業を提示する提示手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記認識手段は、被害の種別を示す被害種別と被害の程度を示す被害度合を認識し、
前記認識手段により認識された前記被害種別と、前記被害度合とに基づいて、前記決定手段により決定された作業の優先度を決定する優先度決定手段を更に有し、
前記提示手段は、前記優先度決定手段により決定された前記複数の作業の優先度に基づいて、前記複数の作業を提示することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記認識手段は、前記被害種別として、被害の原因となった病害虫を認識し、
前記優先度決定手段は、前記認識手段により認識された病害虫の伝染力に基づいて、前記決定手段により決定された作業の優先度を決定することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記優先度決定手段は、前記認識手段により認識された前記被害種別により示される被害が農作物の生育に及ぼす影響に応じて、前記決定手段により決定された作業の優先度を決定することを特徴とする請求項2または3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記優先度決定手段は、前記認識手段により認識された被害を受けた農作物の種別に応じて、前記決定手段により決定された作業の優先度を決定することを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記認識手段は、入力される画像に含まれる農作物または設備の被害を特定するように学習された学習済モデルを用いて、前記圃場における撮影により得られた画像に含まれる農作物又は設備の被害を認識することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記提示手段は、前記複数の作業の優先度が高い順に、前記複数の作業を提示することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記提示手段により提示された前記複数の作業のうちの何れかの作業をユーザ操作に基づいて選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された作業の詳細を表示させる表示制御手段とを更に有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記表示制御手段は、前記選択手段により選択された作業が必要な場所を特定するための情報を表示させることを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記表示制御手段は、前記選択手段により選択された作業が必要な場所を特定するための情報を表示させることを特徴とする請求項8または9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記表示制御手段は、前記選択手段により選択された作業に係る、器具、薬剤、薬剤の量及び手順を示す情報のうちのいずれか一つ以上の情報を表示させることを特徴とする請求項8から10のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記優先度決定手段は、作業実施時の気象条件に基づいて、前記決定手段により決定された作業の優先度を決定することを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記提示手段は、前記複数の作業の実施に掛かるコストを提示することを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
作業の実施の予算を取得する取得手段を更に有し、
前記提示手段は、前記予算内で実施可能な前記複数の作業を提示することを特徴とする請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記提示手段は、利用者の属性に応じて、当該属性に基づき提示が認めらえる被害に対する前記複数の作業を提示することを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記利用者の属性は、料金に対応するランクであることを特徴とする請求項15に記載の情報処理装置。
【請求項17】
圃場における撮影により得られた画像に対する画像処理に基づいて、農作物又は設備の被害を認識し、
認識された被害に対して必要な作業を決定し、
決定された複数の作業の優先度に基づいて、前記複数の作業を提示することを特徴とする情報処理方法。
【請求項18】
請求項1から16のいずれか1項に記載の情報処理装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理装置の制御方法及びプログラムに関し、特に、圃場内で発生する作物や設備の被害に対する作業を優先度に従って提示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
農業分野では、圃場内で作物や設備に被害が発見された場合、被害の種類や程度に応じて適切な対応を実施する必要がある。しかし、被害に対応するための予算は限られているため、限られた予算の中で効率よく圃場の被害に対応できるよう、対応する被害を適切に選択しなければならない。
【0003】
特許文献1では、建造物に発生した被害をユーザが目視によって判定し、その判定された被害の度合いに基づいて修繕工事の優先度を求める技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
農業分野においては、広大な圃場において発生する作物や設備の被害状況を把握し、それらに対する補修や対策のための作業を限られた予算内に効率的に実施する必要がある。しかしながら、特許文献1に記載の従来技術では、優先度を求めるにあたり、ユーザによる目視によって判断した被害の度合いを必要とする。広大な圃場において人手によって作物や設備の被害状況を把握することは現実的には困難であり、従来技術を農業分野における作業の推奨に適用するに際しては改善の余地がある。
【0006】
本発明は上述した問題を解決するためになされたものであり、画像認識で被害を検出・認識し、圃場内で発生する被害について優先度に応じた対応すべき作業を提示することを可能とする情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための一手段として、本発明の情報処理装置は以下の構成を備える。すなわち、
圃場における撮影により得られた画像に対する画像処理に基づいて、農作物又は設備の被害を認識する認識手段と、
前記認識手段により認識された被害に対して必要な作業を決定する決定手段と、
前記決定手段により決定された複数の作業の優先度に基づいて、前記複数の作業を提示する提示手段と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上の構成からなる本発明によれば、画像認識で被害を検出・認識し、優先度を求める手間を削減することで、圃場内で発生する被害について優先度に応じた対応すべき作業を提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図2】情報処理装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図4】区画情報を格納するテーブルを示す図である。
【
図5】被害種別情報を格納するテーブルを示す図である。
【
図6】被害情報を格納するテーブルを示す図である。
【
図7】作業定義情報を格納するテーブルを示す図である。
【
図8】被害情報と作業定義情報の対応付けを格納するテーブルを示す図である。
【
図9】作業情報を格納するテーブルを示す図である。
【
図10】作業の基本優先度を格納するテーブルを示す図である。
【
図11】被害に対する作業を優先度順に提示する処理を示すフローチャートである。
【
図13】優先度補正係数β情報を格納するテーブルを示す図である。
【
図15】作業定義情報を格納するテーブルを示す図である。
【
図16】被害に対する作業を優先度順に提示する処理を示すフローチャートである。
【
図18】利用者情報を格納するテーブルを示す図である。
【
図19】ランクと利用可能な被害種別の対応付けを格納するテーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照して、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態において示す構成は一例に過ぎず、本発明は図示された構成に限定されるものではない。
【0011】
<実施形態1>
本実施形態では、圃場で撮影された画像に含まれる農作物や設備の被害に対応する作業を優先度順に表示させる情報処理装置による情報処理方法の例について説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る情報処理装置100のハードウェア構成図である。
図1に示すように、情報処理装置100は、CPU101と、ROM102と、RAM103と、HDD104と、表示部105と、操作部106と、通信部107とを有している。CPU101は、中央演算装置(Central Processing Unit)であり、各種処理のための演算や論理判断等を行い、システムバス108に接続された各構成要素を制御する。ROM(Read-Only Memory)102は、プログラムメモリであって、後述する各種処理手順を含むCPU101による制御のためのプログラムを格納する。RAM(Random Access Memory)103は、CPU101の主メモリ、ワークエリア等の一時記憶領域として用いられる。尚、情報処理装置100に接続された外部記憶装置等からRAM103にプログラムをロードすることで、プログラムメモリを実現しても構わない。CPU101は、ROM102に格納されたプログラムをRAM103に読み込んで実行することで、後述する各フローチャートに従った処理を実現する。CPU101は、各処理の実行結果をRAM103に書き込む。
【0013】
HDD104は、本実施形態に係る電子データやプログラムを記憶しておくためのハードディスクである。同様の役割を果たすものとして外部記憶装置を用いてもよい。ここで、外部記憶装置は、例えば、メディア(記録媒体)と、当該メディアへのアクセスを実現するための外部記憶ドライブとで実現することができる。このようなメディアとしては、例えば、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、DVD、USBメモリ、MO、フラッシュメモリ等が知られている。また、外部記憶装置は、ネットワークで接続されたサーバ装置等であってもよい。なお、後述する各テーブルの実体はRAM103またはHDD104に格納される。表示部105は、例えばCRTディスプレイや、液晶ディスプレイ等であって、表示画面に画像を出力するデバイスである。なお表示部105は、情報処理装置100と有線あるいは無線で接続された外部デバイスでも構わない。操作部106は、キーボードやマウスを有し、利用者による各種操作を受け付ける。通信部107は、公知の通信技術により、他の情報処理装置や通信機器、外部記憶装置等との間で、有線又は無線による双方向の通信を行う。
【0014】
図2は、情報処理装置100の機能構成を示すブロック図の一例である。これらの各機能部は、CPU101が、ROM102に格納されたプログラムをRAM103に展開し、プログラムに従った後述する処理を実行することで実現される。また例えば、CPU101を用いたソフトウェア処理の代替としてハードウェアを構成する場合には、ここで説明する各機能部の処理に対応させた演算部や回路を構成すればよい。以下、各要素について説明する。
【0015】
画像入力部201は、利用者から画像の入力を受け付け、入力された画像をHDD104に格納する。画像には、画像が撮影された地点の座標情報が紐づけられている。
【0016】
被害認識部202は、画像入力部201で受け付けた画像に対して、画像認識を行い、各画像に含まれる農作物や設備の被害を認識する。認識された被害情報はHDD104に格納される。画像認識処理では、機械学習された学習済みモデルを用いた画像処理に基づいて、入力画像の被写体の被害を認識する。この場合、例えば、入力データと出力データとの組み合わせを学習データとして複数個準備し、それらから機械学習によって知識を獲得し、獲得した知識に基づいて入力データに対する出力データを結果として出力する学習済みモデルを生成する。学習済みモデルは、例えば、ニューラルネットワークモデルで構成可能である。このように本実施形態では、入力される画像に含まれる農作物や設備の被害を特定するように学習された学習済モデルを用いて被害の認識を行う。なお、上記学習済みモデルは、必要に応じて一定の処理後に更新してもよい。被害情報は、被害の種類を表す被害種別、被害の程度を表す被害度合、画像認識によって認識された被害の確からしさを表す確信度、対応する画像が撮影された地点の座標から構成されるものとする。なお、被害情報の構成要素は、一例であり、これらのうち少なくとも一つ以上により構成されてもよいし、他の情報を含んでもよい。
【0017】
作業決定部203は、CPU101によってHDD104に格納されている被害情報に基づいて作業情報を取得し、RAM103に保持する。優先情報決定部204は、CPU101によってRAM103に保持されている作業情報の表示順を決定するための情報(優先情報)を決定し、RAM103に保持する。優先情報には、例えば、作業の優先度や作業の実施にかかるコストがある。優先情報決定部204は、作業の優先度決定を行う。
【0018】
作業提示部205は、RAM103に保持されている作業情報を優先情報に基づいて表示部105に表示させる表示制御を行う。
【0019】
図3は、本実施形態の情報処理装置置100が表示させる、作業の推奨するための画面構成の一例を説明する図である。
図3において、画像読み込みボタン301は、画像の読み込みの指示を受け付けるボタンである。本ボタンが押下されると、画像の選択を受け付けるためのダイアログが表示される。利用者にダイアログ上で画像を選択させ、情報処理装置置100は、選択された画像の読み込み指示を受付ける。
【0020】
作業一覧表示領域302は、画像読み込みボタン301によって読み込まれた画像群のすべての被害に対する作業を優先情報に基づいて一覧表示する領域である。ここでは、例えば、作業の優先度が高いほど上に表示されるようにさせ、視認性が高い領域に優先度が高い作業を表示させる。情報処理装置置100は、作業一覧から特定の作業の選択操作を、操作部106を介して利用者から受付ける。情報処理装置置100は、ユーザ操作に基づいて選択された作業が選択状態であることを表すため、例えば、作業一覧表示領域302において選択された作業の背景色を変化させる。作業が選択されると、選択された作業の詳細が後述する作業詳細表示領域303に表示される。
【0021】
作業詳細表示領域303は、作業一覧表示領域302において選択された作業の詳細を表示する領域である。作業一覧表示領域302は、例えば、後述する地図表示領域304、被害情報表示領域308、作業内容表示領域309から構成される。
【0022】
地図表示領域304は、地図上に後述する区画アウトライン305や被害情報アイコン306を可視化する領域である。操作部106による本領域上でのスクロール操作やズーム操作によって、地図の任意の範囲を本領域上に表示される。
【0023】
区画アウトライン305は、圃場を区分けした区画のアウトラインを表すポリゴンである。区画アウトライン305は、対応する区画情報の座標で表される地図上の位置に表示される。
【0024】
被害情報アイコン306は、被害情報を表すアイコンである。即ち、被害情報アイコン306により被害が発生している位置(作業が必要な位置)を地図上に示すことができる。対応する被害情報が、座標で表される位置に表示される。作業一覧表示領域302において選択された作業に対応する被害情報は、選択した作業が必要な場所を特定可能に例えば黒い円により地図上で表される。利用者は操作部106によって被害情報アイコンを選択できる。被害情報アイコンが選択されると、情報処理装置置100は、後述する被害情報選択インジケータ307が選択された被害情報アイコン近傍に表示させ、選択された被害情報アイコンに対応する被害情報を後述する被害情報表示領域308に表示させる。なお、選択可能な被害情報アイコンを作業一覧表示領域302において選択された作業に対応する被害情報アイコンのみに限定するため、黒い円で表される被害情報アイコンのみを選択できるように制御してもよい。
【0025】
被害情報選択インジケータ307は、被害情報アイコン306が利用者によって選択されたことを表すインジケータである。
図3に示す例では、被害情報選択インジケータ307は、所定のアイコンであって、選択された被害情報アイコン306を特定可能に表示される。
【0026】
被害情報表示領域308は、利用者によって選択された被害情報アイコン306に対応する被害情報の詳細な内容を表示する領域である。
図3に示す例では、被害情報表示領域308において、被害情報の詳細として、被害種別、被害度合、確信度が一例として表示される。被害情報表示領域308に表示される被害情報の詳細は、これらのうち何れかの情報であってもよいし、他の情報を含んでもよい。
【0027】
作業内容表示領域309は、作業一覧表示領域302において選択された作業の内容を表示する領域である。
図3に示す例では、作業内容表示領域309において、作業種別、作業内容が一例として表示される。作業内容としては、作業に必要な器具、薬剤、薬剤の量及び作業の手順を示す情報が含まれる。なお、作業内容としては、作業に必要な器具、薬剤、薬剤の量及び作業の手順を示す情報のうちいずれか一つ以上の情報であってもよし、他の情報が含まれてもよい。また、作業内容表示領域309に表示される情報は、これらのうち何れかの情報であってもよいし、他の情報を含んでもよい。
【0028】
続いて、情報処理装置100が
図3に示す作業の推奨画面を表示させるために用いる情報について
図4から
図10を用いて説明する。なお、
図4から
図10に示す情報の構成は一例であり、各図に示した要素のうち何れかの情報であってもよいし、他の情報を含んでもよい。
【0029】
図4は、圃場の区画情報を管理するために用いる区画情報テーブル400を例示した図である。
図4に示される区画情報テーブル400は、利用者からの入力に基づいて予め作成しておくものとする。
【0030】
区画情報テーブル400の各行は、
図3の305に示したような1つの区画の区画情報を表す。区画情報ID401には、区画情報テーブル400に格納された区画情報を一意に識別するためのIDが記述される。座標402には、区画のアウトラインを表す座標の配列が記述される。
【0031】
図5は、被害種別を管理するために用いる被害種別テーブル500を例示した図である。被害種別テーブル500の各行は、圃場内で発生する作物や設備の被害の種類を表す。被害種別テーブル500で管理される被害は、圃場で発生しうる作業が必要となり得る農作物や施設、設備に対する被害である。
図5に示される被害種別テーブル500は、利用者からの入力に基づいて予め作成しておくものとする。
【0032】
被害種別ID501には、被害種別テーブル500に格納された被害種別を一意に識別するためのIDが記述される。ここで、本実施形態における被害の一例は、灰色かび病、うどんこ病、べと病、葉巻病などの病気や病害虫による被害である。また、果樹などが果実などの実を生産しなくなった枯れ枝の領域である非生産領域を被害としてもよい。また、農作物だけでなく圃場の設備の破損を被害としてもよい。被害種別テーブル500において、被害種別名502には、被害種別の表示用文字列である被害種別名が記述される。
【0033】
図6は、被害情報を管理するために用いる被害情報テーブル600を例示した図である。被害情報テーブル600は、圃場における農作物や設備などを撮影した画像に対する画像認識処理によって取得される圃場における農作物や設備に対する被害の情報を管理するテーブルである。
図6に示される被害情報テーブル600は、画像の入力に応じて、情報処理装置100の画像認識処理に基づいて作成される。
【0034】
被害情報テーブル600において、被害情報ID601には、被害情報テーブル600に格納された被害情報を一意に識別するためのIDが記述される。被害情報テーブル600の各行は、圃場内で発生した作物や設備の被害に関する被害情報を表す。被害種別ID602には、画像認識処理によって認識された画像に含まれる農作物や設備の被害を識別するための識別子が格納される。具体的には、被害種別ID602には、被害種別テーブル500に格納された被害種別IDが記述される。被害度合603には、認識された被害の程度を示す被害度合が記述される。確信度604には、画像認識によって認識された被害情報の確からしさを表す確信度が記述される。座標605には、被害情報に対応する画像が撮影された地点の座標が記述される。
【0035】
図7は、作業定義情報を管理するために用いる作業定義情報テーブル700を例示した図である。作業定義情報テーブル700の各行は、圃場内で発生した被害に対する作業の定義情報を表す。作業定義情報ID701には、作業定義情報テーブル700に格納された作業定義情報を一意に識別するためのIDが記述される。作業名702には、作業定義情報の表示用文字列である作業名が記述される。作業内容703には、作業の詳細や内容が記述される。
図7に示される作業定義情報テーブル700は、利用者からの入力に基づいて予め作成しておくものとする。
【0036】
図8は、被害情報と作業定義情報の対応付けを管理するために用いる被害情報・作業定義情報対応テーブル800を例示した図である。被害情報・作業定義情報対応テーブル800の各行は、被害に対する作業を特定するために用いられる対応付け情報を表す。
【0037】
図8において、被害種別ID801には、被害情報が持つ被害種別ID602で本テーブルを検索するための被害種別IDが記述される。被害度合802には、被害情報が持つ被害度合603で本テーブルを検索するための被害度合の範囲が記述される。作業定義情報ID803には、作業定義情報テーブル700に格納された作業定義情報を参照するためのIDが記述される。
【0038】
図8に示す被害情報・作業定義情報対応テーブル800において、例えば、1行目では、灰色カビ病で被害台が、1から2の場合、薬剤の塗布作業が必要であることを定義している。
図8に示される被害情報・作業定義情報対応テーブル800は、利用者からの入力に基づいて予め作成しておくものとする。
【0039】
図9は、作業情報を管理するために用いる作業情報テーブル900を例示した図である。作業情報テーブル900の各行は、圃場内で発生した作物や設備の被害に対する作業の作業情報を表す。
【0040】
図9において、作業情報ID901には、作業情報テーブル900に格納された作業情報を一意に識別するためのIDが記述される。区画情報ID902には、区画情報テーブル400の特定の区画情報を示す区画情報IDが記述される。作業定義情報ID903には、作業定義情報テーブル700の特定の作業定義情報を示す作業定義情報IDが記述される。被害情報ID904には、被害情報テーブル600の特定の被害情報を示す被害情報IDの配列が記述される。
図9に示される作業情報テーブル900は、入力画像に対する画像認識処理により取得される
図6に示される被害情報テーブル600に基づいて、
図4~8に示す各情報の対応付けを判定し、判定結果に基づき情報処理装置100により構成される。
【0041】
図10は、作業の優先度の基本値を示す基本優先度を管理するために用いる基本優先度テーブル1000を例示した図である。情報処理装置100は、基本優先度を基に、後述する処理により各作業の優先度を決定する。
【0042】
図10において、基本優先度テーブル1000の各行は、区画ごとの被害種別に応じて割り当てる、作業の優先度を算出する際に参照される基本優先度を表す。被害種別ID1001には、後述する区画情報ID1002と合わせて基本優先度テーブル1000に格納された基本優先度情報を一意に識別するためのIDが記述される。区画情報ID1002には、被害種別ID1001と合わせて基本優先度テーブル1000に格納された基本優先度情報を一意に識別するためのIDが記述される。
【0043】
基本優先度1003には、作業の優先度を決定する際の因子の1つである値が記述される。基本優先度は、被害の性質に基づいて定められる。被害の性質は、例えば、被害の原因である病害虫の伝染力であり、伝染力が高いほど基本優先度を高く設定する。あるいは、被害が作物の生育や圃場内で発生する栽培業務の実施に影響を及ぼす度合いであり、被害によって作物の生育や圃場内で発生する栽培業務の実施に及ぼす影響が大きいほど基本優先度を高く設定する。例えば、灌漑設備の故障は作物の生育に及ぼす影響が大きいため基本優先度を高くする。杭の破損は作物の生育や栽培業務の実施に及ぼす影響が小さいため基本優先度を低くする。杭の倒壊は農作業用車両の通行が妨げられるなど栽培業務の実施に及ぼす影響が大きいため基本優先度を高くする。あるいは、被害が発生した区画で栽培されている作物の格付けであり、作物の格付けが高いほど基本優先度を高く設定する。
図10に示される基本優先度テーブル1000は、利用者からの入力に基づいて予め作成しておくものとする。即ち、本実施形態では、被害を受けた農作物の種別に応じて、優先度を決定する。
【0044】
以上説明した構成を有する情報処理装置100による、
図4から
図10にした情報を参照して表示画面を生成する際の処理について詳細に説明する。
【0045】
図11は、本実施形態における被害に対する作業を優先度順に提示する処理の流れを説明するフローチャートである。
図11に示すフローチャートの示す処理は、利用者からの圃場における作業の推奨指示を受付けた場合に開始される。
【0046】
S1101において、画像入力部201は、利用者から画像の入力を受け付ける。S1102において、被害認識部202は、S1101において入力を受けつけた各画像に対して画像認識によって被害種別、被害程度及び確信度を特定する。被害認識部202は、特定した被害種別被害程度及び確信度を画像の撮影地点の座標と合わせて被害情報テーブル600に格納する。
【0047】
S1103において、情報処理装置100は、被害情報テーブル600に格納されているすべての被害情報について後述するS1104の処理が実施されたか否かを判定する。情報処理装置100は、被害情報テーブル600に格納されているすべての被害情報についてS1104の処理が終了していない場合、未処理の被害情報の何れかを処理対象として特定する。他方、情報処理装置100は、被害情報テーブル600に格納されているすべての被害情報についてS1105に処理を進める。以下では、S1104の処理の対象とする被害情報を参照被害情報と記す。
【0048】
S1104において、作業情報決定部203は、参照被害情報に対する作業情報を決定する。具体的には、作業情報決定部203は、参照被害情報の被害種別IDと被害度合をキーとして、被害情報・作業定義情報対応テーブル800を検索する。作業情報決定部203は、参照被害情報の被害種別IDが被害種別ID801に一致し、かつ、参照被害情報の被害度合が被害度合802の値の範囲に含まれる行の作業定義情報ID803を取得する。
【0049】
また、作業情報決定部203は、区画情報テーブル400から、座標402で表される区画のアウトラインの内部に参照被害情報の座標が含まれる行を取得し、取得した行の区画情報ID401を取得する。そして、作業情報決定部203は、取得した作業定義情報IDと区画情報IDに対応する作業情報を作業情報テーブル900から検索し、検出できたら該当作業情報の被害情報ID904に参照被害情報の被害情報IDを追加する。作業情報決定部203は、取得した作業定義情報IDと区画情報IDに対応する作業情報を検出できなければ、取得した作業定義情報ID、区画情報ID、参照被害情報の被害情報IDを新たな作業情報として作業情報テーブル900に追加する。
【0050】
S1105において、情報処理装置100は、作業情報テーブル900に格納されているすべての作業情報について後述するS1106の処理が実施されたか否かを判定する。情報処理装置100は、作業情報テーブル900に格納されているすべての作業情報についてS1106の処理が終了していない場合、未処理の作業情報の何れかを処理対象として特定する。他方、情報処理装置100は、作業情報テーブル900に格納されているすべての作業情報ついてS1106の処理が終了している場合、S1107に処理を進める。以下では、S1106の処理の対象とする作業情報を参照作業情報と記す。
【0051】
S1106において、優先情報決定部204は、参照作業情報の優先度を決定する。優先度は以下の式で求められる。
優先度=基本優先度*確信度*優先度補正係数α 式1
ここで、基本優先度は、参照作業情報の区画情報IDと被害情報IDで基本優先度テーブル1000を検索して取得される。具体的には、まず、優先情報決定部204は、被害情報テーブル600から参照作業情報の被害情報IDに対応する被害情報を取得し、取得した被害情報から被害種別IDを取得する。そして、優先情報決定部204は、取得した被害種別IDと参照作業情報の区画情報IDで、基本優先度テーブル1000を検索して、基本優先度を取得する。なお、参照作業情報の被害情報IDに複数の被害情報IDが含まれている場合、被害情報IDごとに基本優先度を取得し、最も大きな値を持つ基本優先度を使用するものとする。
【0052】
確信度は、被害情報テーブル600から参照作業情報の被害情報IDに対応する被害情報から取得される。なお、参照作業情報の被害情報IDに複数の被害情報IDが含まれている場合、被害情報IDごとに確信度を取得し、取得した複数の確信度の平均を使用する。
【0053】
優先度補正係数αは、被害の分布に基づいて作業の優先度を補正するための係数であり、以下の式で求められる。
優先度補正係数α=被害の数/被害の範囲 式2
ここで、被害の数は、参照作業情報の被害情報IDの要素数である。
また、被害の範囲は、参照作業情報の被害情報IDの各要素が参照する被害情報から求めた凸包の面積である。凸包を求める際には、被害情報の座標605が参照される。
【0054】
S1107において、作業情報提示部205は、S1105~S1106で決定した作業情報の優先度に基づいて作業情報をソートし、優先度が高い順に作業情報を提示する。S1107において、例えば、上述した
図3の画面により作業情報が提示される。
【0055】
情報表示領域308に表示する情報のうち、被害度合と確信度は、利用者に選択された被害情報アイコン306に対応する被害情報の被害情報IDで被害情報テーブル600を検索して得られる被害情報から取得される。被害種別を表す文字列は、先に取得した被害情報の被害種別IDで被害種別テーブル500を検索して得られる被害種別情報から取得される。
【0056】
作業内容表示領域309に表示する情報は、S1105~S1106で決定した作業情報の作業定義情報IDで作業定義情報テーブル700を検索して得られる作業定義情報から取得する。
【0057】
以上説明したように、本実施形態では、まず、圃場内でインターバル撮影した画像に対して画像認識によって被害情報を認識する。次に、被害情報から対応する作業情報が決定される。次に、被害の性質に基づいて作業情報の優先度を求め、優先度に従って作業情報を提示する。これにより、圃場内で発生する被害に対する作業を優先度順に提示することができる。
【0058】
[変形例1]
上述の実施形態の変形例1について説明する。上述した各処理のうち、S1106については、以下で説明する処理に置き換えてもよい。これにより、作業実施時の条件を考慮に入れて作業の優先度を計算できるようになる。なお、作業実施時の条件は、気象条件の他、作物の生育状況や作業の履歴でもよい。
【0059】
図12は、変形例1の画面構成の一例を説明する図である。301~309は、
図3と同様であるため説明を割愛する。
【0060】
図12において、作業実施日入力1201は、作業を実施する日付の入力を受け付ける。なお、情報処理装置100は、作業実施日入力1201において入力された作業実施日をRAM103に格納する。
【0061】
作業実施区画入力1202は、作業を実施する区画の入力を受け付ける。なお、情報処理装置100は、作業実施区画入力1202において入力された作業実施区画をRAM103に格納する。
【0062】
図13は、優先度補正係数βを管理するために用いる優先度補正係数βテーブル1300を例示した図である。優先度補正係数βテーブル1300の各行は、作業の優先度を算出する際に参照される優先度補正係数βを表す。
【0063】
作業定義情報ID1301には、優先度補正係数βテーブル1300に格納された優先度補正係数βを一意に識別するためのIDが記述される。
【0064】
気象条件1302には、作業実施時の気象条件が記載される。優先度補正係数β1303には、作業情報の優先度の決定時に用いる優先度補正係数βが記述される。
【0065】
以下、変形例1におけるS1106の処理について説明する。変形例1におけるS1106において、優先情報決定部204は、S1104において決定された作業情報の優先度を決定する。優先度は以下の式で求める。
優先度=基本優先度*確信度*優先度補正係数α*優先度補正係数β 式3
ここで、基本優先度、確信度、優先度補正係数αはS1106と同様であるため説明を割愛する。優先度補正係数βは、S1104において決定された作業情報の作業定義情報IDと作業実施時の気象条件によって決定される。具体的には、まず、情報処理装置100は、任意の気象サービスを利用して、作業実施日と作業実施区画における気象条件を取得する。そして、情報処理装置100は、作業情報の作業定義情報IDと先に取得した気象条件が、優先度補正係数βテーブルの作業定義情報ID1301と気象条件1302にそれぞれ一致する行の優先度補正係数β1303を取得する。なお、複数の行が一致する場合、各行の優先度補正係数β同士を掛けて優先度補正係数βを求める。なお、一致する行が見つからない場合、優先度補正係数βを1とする。
【0066】
[変形例2]
上述の実施形態の変形例2について説明する。変形例2では、上述した
図11のフローチャートにおいて、後述するS1601の処理を追加して、作業の実行にかかるコストを算出し、利用者に提示するようにする。これにより、利用者は作業の実行にかかるコストを確認できるようになり、コストを考慮に入れて実施する作業を選択できるようになる。
【0067】
図14は、変形例2の画面構成の一例を説明する図である。301~308は、
図3と同様であるため説明を割愛する。
【0068】
図14において、作業内容表示領域1401は、作業一覧表示領域302において選択された作業の内容を表示する領域である。作業種別、作業内容に加え、
図16を用いて後述する処理で求めるコストを表示する。
【0069】
図15は、作業情報を管理するために用いる作業定義情報テーブル1500を例示した図である。作業定義情報テーブル1500の各行は、圃場内で発生した被害に対する作業の定義情報を表す。701~703は、
図7と同様であるため説明を割愛する。コスト1501は、作業を実施する際に発生するコストまたはコストの計算式が記述される。
【0070】
図16は、変形例2における被害に対する作業を優先情報に基づいて提示する処理の流れを説明するフローチャートである。S1101~S1107は、
図11と同一であるため説明を割愛する。
【0071】
S1601において、優先情報決定部204は、S1104において決定された作業情報について実施にかかるコストを算出する。まず、作業定義情報テーブル1500からS1104において決定された作業情報の作業情報IDが作業情報ID701に一致する行を特定し、コスト1501を取得する。取得したコストの内容が数値である場合、それをコストとする。なお、コスト1501は、作業を実施する際に掛かる費用として説明を行うが、時間や工数をコストとしてもよいし、費用と時間とを含めた概念をコストとしてもよい。
【0072】
取得したコストの内容が計算式である場合、計算式に含まれる変数(波括弧に囲まれている文字列)の値を求め、計算式内に代入してコストを求める。
【0073】
変数が区画の面積である場合、その値を次のように求める。区画情報テーブル400から、区画情報ID401がS1104において決定された作業情報の区画情報IDに一致する行を取得し、座標402で表される区画のアウトラインの面積を算出する。
【0074】
変数が被害個所数である場合、S1104において決定された作業情報の被害情報IDの要素数を取得する。
【0075】
なお、S1107において、作業情報提示部205は、S1601において求めた作業の実施にかかるコストに基づいて作業情報をソートし、コストが高い順または低い順に作業情報を提示してもよい。
【0076】
[変形例3]
上述の実施形態の変形例3について説明する。変形例3において、変形例2において上述した各処理のうち、S1107について、以下で説明する処理に置き換える。これにより、予算内で実施可能な作業の一覧を容易に確認できるようになる。
【0077】
図17は、変形例3の画面構成の一例を説明する図である。301~308、1401は、
図14と同様であるため説明を割愛する。予算入力1701は、作業に割り当てられた予算の入力を受け付ける。情報処理装置100は、入力された予算をRAM103に格納する。
【0078】
以下、変形例3におけるS1107の処理について説明する。変形例3におけるS1107の処理において、作業情報提示部205は、すべての作業情報から予算入力1701によって入力された予算に収まるように作業情報を絞り込む。具体的には、まず、作業情報提示部205は、すべての作業情報を優先度でソートする。そして、作業情報提示部205は、すべての作業情報について優先度の高さ順にその作業情報を選択するかを判定する。作業情報提示部205は、優先度の高さ順にその作業情報を選択すると判定された作業情報は、作業一覧表示領域302に表示させる。
【0079】
変形例3におけるS1107の判定処理と作業情報の選択処理は具体的には次のように行う。作業情報提示部205は、それまでに選択された作業情報のコストと未判定の作業情報の中で最も優先度が高い作業情報のコストの合計が予算内である場合、未判定の作業情報の中で最も優先度が高い作業情報を選択する。予算を超える場合、作業情報の選択を終了する。
【0080】
[変形例4]
上述の実施形態の変形例4について説明する。変形例4において、上述したS1102については、以下で説明する処理に置き換える。これにより、利用者の属性に応じて利用可能な被害種別を制限できるようになる。なお、本変形例においては、利用者の属性として利用者の支払う利用料金に応じたランクを例に説明するが、利用者の属性は利用者が支払う利用料金に応じたランクに限定されない。利用者の属性には、例えば、継続使用期間に応じたランク、ユーザが本装置を利用する地域、ユーザが栽培している作物の種類などがある。
【0081】
本変形例において、情報処理装置100は、利用者を識別する必要がある。利用者はあらかじめサインアップを行う。ここでサインアップとは、利用者の識別子と本人のみが知る情報(パスワードなど)を合わせて登録する行為である(以下、利用者の識別子と本人のみが知る情報を合わせて認証情報と記す)。本変形例において、サインアップ時に利用者の表示用文字列である利用者名と本人のみが知る情報であるパスワードとランクの入力を受け付ける。そして、一意な利用者IDが生成され、該利用者ID、入力された利用者名、パスワード及びランクが後述する利用者情報テーブルに格納される。なお、パスワードはハッシュ化した上で格納するのが望ましい。
【0082】
サインアップが済んでいる利用者は、登録した認証情報に基づいて認証を行うサインインを行う。情報処理装置100は、サインインした利用者の利用者IDを参照可能であるとする。ここでサインインとは、本装置に対して認証情報を提供し、サインアップ済みの利用者の中から認証情報を提供した利用者を特定する行為である。
【0083】
図18は、利用者情報を管理するために用いる利用者情報テーブル1800を例示した図である。利用者情報テーブル1800の各行は、本装置にサインアップした利用者の利用者情報を表す。
【0084】
図18において、利用者ID1801には、利用者情報テーブル1800に格納された利用者情報を一意に識別するためのIDが記述される。
【0085】
利用者名1802には、利用者の表示用文字列である利用者名が記述される。
【0086】
パスワード1803には、ハッシュ化されたパスワードが記述される。ランク1804には、利用者のランクを示す情報が記述される。利用者のランクに応じて、利用者が利用可能な被害の種類を特定される。なお、利用者のランクに応じて、利用者の使用料が異なるように構成されてもよい。
【0087】
図19は、ランクごとに利用可能な被害種別を管理するために用いる利用可能被害種別テーブル1900を例示した図である。
図19において、ランク1901には、利用可能被害種別テーブル1900に格納された利用可能被害種別情報を一意に識別するための情報が記述される。被害種別ID1902には、利用者のランクがランク1901と一致する場合に利用者が利用可能な被害情報の一覧を表す被害種別IDの配列が記述される。
【0088】
以下、S1102を置き換える処理について説明する。変形例4のS1102において、情報処理装置100は、情報処理装置100を利用している利用者の利用者IDを取得する。次に、情報処理装置100利用者情報テーブル1800から、先に取得した利用者IDと利用者ID1801が一致する行を取得し、取得した行のランク1804を取得する。次に、情報処理装置100利用可能被害種別テーブル1900から、先に取得したランクとランク1901が一致する行を取得し、取得した行の被害種別ID1902を取得する。次に、情報処理装置100は、各画像に対して画像認識によって被害種別と被害程度、確信度を求め、画像の撮影地点の座標と合わせて被害情報テーブル600に格納する。このとき、先に取得した被害種別IDが表す被害種別のみを画像認識処理で認識する対象とする。
【0089】
このようにすることで、利用者の使用料などに応じて利用できる機能を制限することが可能となる。
【0090】
以上説明した上述の実施形態によれば、広大な圃場における農作物や設備を撮影したことにより得られる画像から画像認識で被害を検出・認識し、これらの被害について優先度順に対応すべき作業を提示することができる。
【0091】
<その他の実施形態>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。また、複数の機器(例えば、ホストコンピュータ、インタフェース機器、撮像装置、webアプリケーション等)から構成されるシステムによっても実現可能である。
【0092】
また、上述の実施形態において、情報処理装置100は単一の装置である情報処理システムとして説明を行った。これに限らず、上述した処理を複数の装置により構成される情報処理システムが実施する構成としてもよい。例えば、複数の装置による分散処理により上述の処理を実施してもよいし、
図11に示したフローチャートの一又は複数のステップをそれぞれ異なる装置により実施する構成としてもよい。
【0093】
また、上述の実施形態をSaaS (Software as a Service)として構成してもよい。即ち、
図11に示したフローチャートにおいて、例えば、S1101~S1106に説明した処理及びS1107における表示画面の作成をクラウド・コンピューティングにより実施する。そして、クラウド・コンピューティングにより作成した画面を端末装置が表示することによりS1107における提示処理を行う構成としてもよい。また、上述の処理の分担は一例であり、クラウド・コンピューティング及び端末装置で任意に上述の処理を分担する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0094】
301 画像読み込みボタン
302 作業一覧表示領域
303 作業詳細表示領域
304 地図表示領域
305 区画アウトライン
306 被害情報アイコン
307 被害情報選択インジケータ
308 被害情報表示領域
309 作業内容表示領域
1201 作業実施日入力
1202 作業実施区画入力
1401 作業内容表示領域
1701 予算入力