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特開2022-187168プリンタ、プリンタの印字方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187168
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】プリンタ、プリンタの印字方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/36 20060101AFI20221212BHJP
【FI】
B41J2/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095030
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】グローバル・アイピー東京特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】平藤 拓磨
【テーマコード(参考)】
2C066
【Fターム(参考)】
2C066AB09
2C066AC01
2C066AD03
2C066CB01
2C066CC07
2C066CC14
2C066CD06
2C066CD11
2C066CD19
2C066CF03
2C066CF07
(57)【要約】
【課題】サーマルヘッドを備えたプリンタの印字速度を予め設定された値から変化させる場合に、印字品質の低下を抑制するように制御する手法を提供する。
【解決手段】本発明のある態様は、感熱発色層を有する印字媒体に対して印字を行うプリンタである。このプリンタは、ライン状に配列された複数の発熱素子を有するサーマルヘッドと、1ラインの印字周期において、複数の発熱素子に対して感熱発色層を発色させる熱エネルギーを与えるための通電パルスの第1印加期間を設定するパルス設定部と、印字媒体に対して印字を行う前に、予め設定された印字速度から減速するように、印字を行うときの印字速度を補正する第1補正部と、第1補正部による印字速度の補正前後において通電パルスの第1印加期間の印字周期に占める比率の差が所定値以下となるように、第1補正部による補正後の印字速度、及び/又は、第1印加期間の長さを補正する第2補正部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感熱発色層を有する印字媒体に対して印字を行うプリンタであって、
ライン状に配列された複数の発熱素子を有するサーマルヘッドと、
1ラインの印字周期において、前記複数の発熱素子に対して前記感熱発色層を発色させる熱エネルギーを与えるための通電パルスの第1印加期間を設定するパルス設定部と、
前記印字媒体に対して印字を行う前に、予め設定された印字速度から減速するように、印字を行うときの印字速度を補正する第1補正部と、
前記第1補正部による印字速度の補正前後において前記通電パルスの第1印加期間の印字周期に占める比率の差が所定値以下となるように、前記第1補正部による補正後の印字速度、及び/又は、前記第1印加期間の長さを補正する第2補正部と、
を備えたプリンタ。
【請求項2】
前記第2補正部は、
前記第1補正部による印字速度の補正前後において前記比率が実質的に同一となるように前記第1印加期間の長さを補正する比率補正部と、
前記第1補正部による補正後の印字速度からさらに減速するように印字速度を補正する印字速度補正部と、を含む、
請求項1に記載されたプリンタ。
【請求項3】
所定の第1速度幅で設定された複数の印字速度の各々に対応する1ラインの印字周期における前記通電パルスの第1印加期間の長さのデータを記憶する記憶部を備え、
前記予め設定された印字速度は、前記複数の印字速度のいずれかであって、
前記第1補正部は、前記予め設定された印字速度を基準として前記第1速度幅よりも小さい第2速度幅で印字速度が減速するように印字速度を補正する、
請求項1又は2に記載されたプリンタ。
【請求項4】
印字対象のイメージに基づいて、前記パルス設定部により設定された前記第1印加期間の長さを補正する印加期間補正部を備え、
前記第1補正部は、前記印加期間補正部による補正後の第1印加期間が印字周期内に収まるように印字速度を補正する、
請求項1から3のいずれか一項に記載されたプリンタ。
【請求項5】
前記サーマルヘッドに電力を供給するバッテリを備え、
前記印加期間補正部は、前記バッテリの電圧に基づいて前記第1印加期間の長さを補正する、
請求項4に記載されたプリンタ。
【請求項6】
前記サーマルヘッドの温度を検出する温度検出部を備え、
前記印加期間補正部は、前記サーマルヘッドの温度に基づいて前記第1印加期間の長さを補正する、
請求項4又は5に記載されたプリンタ。
【請求項7】
前記パルス設定部は、1ラインの印字周期において、前記複数の発熱素子に対して前記感熱発色層を発色させない程度に熱エネルギーを与えるための通電パルスの第2印加期間を設定し、
前記第1補正部は、前記第1印加期間と前記第2印加期間とが印字周期内に収まるように印字速度を補正し、
前記第2補正部は、前記第1補正部による印字速度の補正前後において前記通電パルスの第1印加期間及び第2印加期間の印字周期に占める比率の差が所定値以下となるように、前記第1補正部による補正後の印字速度、及び/又は、前記第1印加期間及び前記第2印加期間の長さを補正する、
請求項1から6のいずれか一項に記載されたプリンタ。
【請求項8】
ライン状に配列された複数の発熱素子を有するサーマルヘッドを有し、感熱発色層を有する印字媒体に対して印字を行うプリンタにおける印字方法であって、
1ラインの印字周期において、前記複数の発熱素子に対して前記感熱発色層を発色させる熱エネルギーを与えるための通電パルスの第1印加期間を設定し、
前記印字媒体に対して印字を行う前に、予め設定された印字速度から減速するように、印字を行うときの印字速度を補正し、
印字速度の前記補正前後において前記通電パルスの第1印加期間の印字周期に占める比率の差が所定値以下となるように、前記補正後の印字速度、及び/又は、前記第1印加期間の長さを補正する、
プリンタの印字方法。
【請求項9】
ライン状に配列された複数の発熱素子を有するサーマルヘッドを有し、感熱発色層を有する印字媒体に対して印字を行うプリンタにおいて、コンピュータに所定の方法を実行させるプログラムであって、
前記方法は、
1ラインの印字周期において、前記複数の発熱素子に対して前記感熱発色層を発色させる熱エネルギーを与えるための通電パルスの第1印加期間を設定し、
前記印字媒体に対して印字を行う前に、予め設定された印字速度から減速するように、印字を行うときの印字速度を補正し、
印字速度の前記補正前後において前記通電パルスの第1印加期間の印字周期に占める比率の差が所定値以下となるように、前記補正後の印字速度、及び/又は、前記第1印加期間の長さを補正すること、を含む、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、プリンタの印字方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、サーマルヘッドは、ライン状に配列された複数の発熱素子に独立して所定の電流を流すことによって発熱させ、感熱発色層を有する印字媒体にドットパターンを形成することで情報を印字する。このとき、発熱素子に電流を流す時間(つまり、通電パルス幅)によって当該発熱素子に対応するドットの発色有無が制御される。
サーマルヘッドによって印字媒体に印字を行う場合、印字対象のラインごとに印字速度を可変制御する方式が知られている。例えば特許文献1には、印刷データから記録媒体の搬送直交方向における1ライン毎の印刷領域の割合を検出する検出手段と、印刷濃度と、印刷領域の割合と、搬送速度と、を対応付けた搬送速度テーブルを格納する記憶手段と、検出手段により検出された印刷領域の割合の値から、搬送速度テーブルを参照して搬送速度を決定し、記録媒体を搬送する搬送手段とを備えたラベルプリンタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-228259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
印字速度が予め設定されている複数の速度設定値(例えば、特許文献1の搬送速度テーブルに設定された速度)のいずれかである場合には、所定の印字濃度が得られるように、予め、サーマルヘッドの発熱素子に熱エネルギーを印加するストローブ時間を最適に設定しておくことができる。つまり、複数の速度設定値の各々については、所定の印字濃度が得られることを予め検証することができる。しかし、プリンタの印字環境や印字対象のイメージレイアウトに応じて、予め設定されている複数の速度設定値とは異なる速度に変更しようとした場合、そのような速度での印字品質は検証されていないため、印字品質が低下する場合がある。
そこで、予め設定する速度設定値の数を増加させることが考えられる。しかし、予め多くの速度設定値を設定する場合、その各々について、所定の印字品質が得られるようにストローブ時間を決定する試行錯誤が必要となり、プリンタの開発に多大な労力を伴う。
【0005】
そこで、本発明は、サーマルヘッドを備えたプリンタにおいて、印字速度を予め設定された値から変化させる場合に、印字品質の低下を抑制するように制御する手法を提供することを可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、感熱発色層を有する印字媒体に対して印字を行うプリンタである。
このプリンタは、
ライン状に配列された複数の発熱素子を有するサーマルヘッドと、
1ラインの印字周期において、前記複数の発熱素子に対して前記感熱発色層を発色させる熱エネルギーを与えるための通電パルスの第1印加期間を設定するパルス設定部と、
前記印字媒体に対して印字を行う前に、予め設定された印字速度から減速するように、印字を行うときの印字速度を補正する第1補正部と、
前記第1補正部による印字速度の補正前後において前記通電パルスの第1印加期間の印字周期に占める比率の差が所定値以下となるように、前記第1補正部による補正後の印字速度、及び/又は、前記第1印加期間の長さを補正する第2補正部と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様によれば、サーマルヘッドを備えたプリンタにおいて、印字速度を予め設定された値から変化させる場合に、印字品質の低下を抑制するように制御する手法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態のプリンタによる印字動作を説明するためのプリンタの概略的な断面図である。
図2】一実施形態のプリンタの機能ブロック図である。
図3】一実施形態のプリンタにおいて制御部とサーマルヘッドに着目した機能ブロック図である。
図4】一実施形態のサーマルヘッドの概略的な回路図である。
図5】一実施形態に係る印字制御において、ストローブレベルと、印字周期中にストローブ信号が印加される各期間に実質的に発熱素子に電流が流れるタイミングとの関係を示す図である。
図6】基準ストローブテーブルのデータ構成例を示す図である。
図7】一実施形態のプリンタにおいて、印字周期におけるデータ信号の転送タイミングとストローブ信号の印加タイミングを示すタイミングチャートである。
図8】実施例と比較例による印字速度の制御方式について説明する図である。
図9】バッテリ電圧補正テーブルとドット数補正テーブルを例示する図である。
図10】温度補正テーブルを例示する図である。
図11】一実施形態のプリンタにおいて連続可変速方式を説明する図である。
図12】一実施形態のプリンタにおける印字前処理のフローチャートである。
図13図12の速度補正処理に含まれる減速補正処理のフローチャートである。
図14図13の減速補正処理に含まれる濃度補正シミュレーションのフローチャートである。
図15図12の速度補正処理に含まれる濃度比率補正処理のフローチャートである。
図16】一実施形態のプリンタにおける印字中処理のフローチャートである。
図17】一実施形態のプリンタにおける連続可変速方式について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係るプリンタについて説明する。一実施形態に係るプリンタは、感熱発色層を有する印字媒体に対して印字を行うサーマルプリンタである。印字媒体は、如何なる材料を基材として含むものであってよく、基材が紙類である場合に限られない。例えば、基材としてフィルムを用いることもできる。
一実施形態のプリンタは、ライン状に配列された複数の発熱素子を有するサーマルヘッドと、パルス設定部と、を備える。パルス設定部は、1ラインの印字周期において、サーマルヘッドの複数の発熱素子に対して感熱発色層を発色させる熱エネルギーを与えるための通電パルスの印加期間(第1印加期間)を設定する。後述するストローブ信号は、通電パルスの一例である。
【0010】
一実施形態のプリンタでは、印字対象のイメージに基づいて、パルス設定部により設定された第1印加期間の長さを補正するとともに、補正後の第1印加期間の最大長さが収まるように印字周期を長くすることで、イメージの全体を一定速度で印字するときの印字速度を決定する。それによって、イメージを印字している期間の全体に亘って印字速度が変化しないため、印字濃度の不均一化が避けられ、1ページの全体的な印字品質を向上させることができる。
【0011】
一実施形態のプリンタでは、印字媒体に対して印字を行う前に、予め設定された印字速度から減速するように、印字を行うときの印字速度が補正される。さらに、この印字速度の補正前後において通電パルスの第1印加期間の印字周期に占める比率の差が所定値以下となるように、補正後の印字速度、及び/又は、第1印加期間の長さが補正される。後述するように、発明者によって得られた知見によれば、通電パルスの第1印加期間の印字周期に占める比率に応じて印字濃度が定まるため、補正前後での上記比率の差を大きく変化させないようにすることで印字濃度の変動を抑制することができる。
以下において、実施形態に係るプリンタについて図面を参照してより詳細に説明する。
【0012】
図1に一実施形態に係るプリンタ1を例示する。プリンタ1は、片面に感熱発色層を有するラベルに印字するサーマルプリンタである。
図1に示すように、プリンタ1は、ロール紙収容室9、プラテンローラ10、サーマルヘッド15、プリンタカバー25、及び、コイルばね29等を有する。ロール紙Rは、プリンタカバー25を開閉することによりロール紙収容室9に装填可能である。
ロール紙Rは、帯状の連続紙Pがロール状に巻回されたものである。図示しないが、一実施形態では、連続紙Pは、例えば、帯状の台紙と、台紙上に予め決められた間隔毎に仮着された複数枚のラベルとを有している。台紙のラベル貼付面には、ラベルを容易に剥離することが可能なようにシリコーン等のような剥離剤で被覆されている。
別の実施形態では、連続紙Pは台紙なしラベルであってもよい。
【0013】
図1に示すように、プリンタ1には、プラテンローラ10が正逆方向に回動自在の状態で支持されている。プラテンローラ10は、ロール紙Rから引き出される連続紙Pを搬送する搬送手段であり、連続紙Pの幅方向に沿って延在した状態で形成されている。このプラテンローラ10のプラテン軸の一端には、ギア(図示せず)が設けられており、このギアがローラ駆動用のステッピングモータ(図示せず)に機械的に接続されている。回路基板(図示せず)から送信される信号に基づいて動作するステッピングモータの回転に応じて、プラテンローラ10が回転する。
【0014】
サーマルヘッド15は、例えば、文字、記号、図形またはコード等の情報を、連続紙P上のラベルに印字する印字手段である。サーマルヘッド15は、連続紙Pの幅方向に沿って配列される複数の発熱素子(発熱抵抗体)を備え、回路基板から送信される信号に基づいて複数の発熱素子を選択的に通電することで印字を行う。
サーマルヘッド15は、プリンタカバー25が閉鎖状態のときにはプラテンローラ10に対向するように配置され、プラテンローラ10とともに連続紙Pを挟持する。コイルばね29は、サーマルヘッド15をプラテンローラ10に向けて付勢する付勢手段であり、サーマルヘッド15とプラテンローラ10の間に印字に適切なニップ圧を生成する。
以下の説明において、連続紙Pの搬送方向と直交する方向(つまり、発熱素子が配列されている方向)を「主走査方向」といい、連続紙Pの搬送方向と同じ方向を「副走査方向」という。
サーマルヘッド15については、後により詳細に説明する。
【0015】
次に、図2を参照して、プリンタ1の内部構成について説明する。図2は、プリンタ1の内部構成を示すブロック図である。
図2に示すように、プリンタ1は、例えば、制御部11、ストレージ12、駆動回路13、プラテンローラ10に機械的に連結されたモータ14、サーマルヘッド15、及び、通信インタフェース(I/F)16を含む。
【0016】
制御部11は、コントローラとメモリを含み、プリンタ1の動作を制御する。プロセッサは、プリンタ1の起動時にROMに記憶されているファームウェアを読み出して実行する。
コントローラは、後述するようにCPU(Central Processing Unit)を含み、ファームウェアを実行することによって、サーマルヘッド15がラベルに所定の情報を印字するように制御する。
ストレージ12は、例えばSSD(Solid State Drive)等の記憶装置である。ストレージ12には、例えば通信インタフェース16を介してホストコンピュータから取得した印字用のファイルを格納する。ストレージ12は、各ラベルに情報を印字するときの印字フォーマットの情報を格納してもよい。
【0017】
駆動回路13は、制御部11からの搬送要求に応じて、プラテンローラ10の回転を制御するモータ14を駆動する回路である。モータ14は、例えばステッピングモータである。搬送要求には、例えば、搬送方向(順方向あるいは逆方向)および搬送量(例えばステップ数)の情報が含まれる。
【0018】
制御部11は、印字対象となるイメージデータに基づいて、サーマルヘッド15に含まれる複数の発熱素子の各々に選択的に電流を流すように制御することで印字処理を実行する。イメージデータは、印字用のファイルをビットマップデータに描画したデータである。電流により発熱したサーマルヘッド15の発熱素子がプラテンローラ10によって搬送された連続紙P上のラベルに押し当てられると、発熱素子が押し当てられたラベルの感熱発色層が発色することでラベルに情報が印字される。
【0019】
通信インタフェース16は、例えばホストコンピュータ等の外部装置との通信を行うための通信回路を含む。
【0020】
次に、図3及び図4を参照して、プリンタ1の印字動作について説明する。図3は、一実施形態のプリンタ1において制御部とサーマルヘッドに着目した機能ブロック図である。図4は、一実施形態のサーマルヘッド15の概略的な回路図である。
【0021】
図3に示すように、制御部11は、CPU111、ヘッドコントローラ112、及び、メモリ113を含み、バス114を介して各部が通信可能となるように構成されている。
CPU111は、制御部11における印字動作の全体を制御する。ヘッドコントローラ112は、CPU111による制御の下、サーマルヘッド15に対して印字を行うための各種信号を供給する。
ヘッドコントローラ112によってサーマルヘッド15に供給される信号は、クロックパルスCLK、ラッチパルスLATCH、データ信号DATA、及び、ストローブ信号STBを含む。
【0022】
メモリ113(記憶部の一例)は、例えばRAM(Random Access Memory)であり、FIFO(First In First Out)構成のイメージバッファ、ラインバッファ、熱履歴データテーブル、及び、基準ストローブテーブルを有する。
【0023】
一実施形態では、CPU111は、熱履歴制御を行って印字を実行する。熱履歴制御とは、発熱素子に過去に通電したデータ、及び/又は、発熱素子に通電する予定のデータに基づいて通電パルス幅であるストローブ印加期間の長さを調整し、発熱素子に対する熱エネルギーを一定にする制御である。
熱履歴制御を行うために、CPU111は、オリジナルの印字対象となるイメージデータにおいて注目するドットの印字データと当該ドットの周辺のドットの印字データとに基づいてオリジナルのイメージデータを変更したデータ(以下、「熱履歴反映データ」という。)を生成する。熱履歴反映データは、イメージバッファに格納される。
以下の説明において、「イメージデータ」とは、熱履歴反映データに変更される前のオリジナルのイメージデータを意味する。
【0024】
熱履歴制御では、一印字周期中(つまり、1ラインの印字周期)に複数回のデータ信号と、各データ信号に応じた複数回のストローブ信号とが生成される。後述する例では、一印字周期中に4回のデータ信号とストローブ信号とが生成される。この場合、例えば、サーマルヘッド15においてライン状にM本の発熱素子が配置され、イメージデータの1ラインのデータ(ラインデータ)がMビットである場合には、熱履歴反映データの1ラインのデータ(ラインデータ)は、M×4ビットのデータとなる。
【0025】
イメージデータのラインデータには、各ドットに対する印字有無を示す印字データが含まれる。印字データは、「印字」又は「非印字」のいずれかである。
それに対して、イメージデータの1ラインデータに対応する熱履歴反映データのラインデータの各ドットに対するデータは、複数回のデータ信号に相当し、「通電」又は「非通電」のいずれかを示すデータとなっている。
【0026】
ラインバッファには、熱履歴反映データのラインデータが順次格納される。
前述したように、熱履歴データテーブルは、熱履歴反映データを生成する際に参照される。
熱履歴データテーブルは、イメージデータにおける印字対象ライン(以下、「注目ライン」という。)における処理対象のドット(以下、「注目ドット」という。)の印加データ、及び、注目ラインの前後のラインにおいて注目ドットに対応するドットの印字データ(つまり、過去の印字データ、未来の印字データ)と、印字周期中の注目ドットに対するストローブレベルとの関係を示したものである。
【0027】
ここで、ストローブレベルとは、注目ドットに対応する発熱素子に対する複数のストローブ印加期間の各データ信号のレベル(ハイレベル又はローレベル)を示している。データ信号のレベルは、各ストローブ印加期間における通電パルスの印加有無を示す。ストローブレベルは、印字周期において実質的に発熱素子に電流を流す時間の長さを示す。ストローブレベルが大きいほど印字期間中において長い時間、発熱素子に電流が流れるため、発熱素子に対して大きな熱エネルギーが与えられる。
【0028】
CPU111は、熱履歴データテーブルを参照して、注目ラインの各ドットに対して、複数のストローブ印加期間の各データ信号のレベル(「通電」を示すハイレベル、又は、「非通電」を示すローレベル)を決定する。それによって、現在の注目ドットの印字データと、その前後の印字データとを考慮して、現在の注目ドットに対応する発熱素子に与える熱エネルギーが適切に制御される。
【0029】
別の実施形態の熱履歴データテーブルでは、さらに、注目ドットに隣接するドットの各々の印字データと、印字周期中の注目ドットに対するストローブレベルとの関係を含む。注目ドットの左右に隣接するドットの印字データを参照することで、注目ドットに対応する発熱素子が隣接する発熱素子から受ける熱エネルギーをも考慮されるため、現在の注目ドットに対応する発熱素子に与える熱エネルギーがより適切に制御される。
【0030】
ヘッドコントローラ112は、ラインバッファから順次転送されるラインデータを基にデータ信号DATAを生成するとともに、所定タイミングでストローブ信号STBを生成する。なお、ラインバッファからヘッドコントローラ112へのラインデータの転送は、例えばDMA(Direct Memory Access)により行われる。
【0031】
図3に示すように、サーマルヘッド15は、駆動回路2、発熱素子群3、及び、サーミスタ4(温度検出部の一例)を含む。
発熱素子群3は、ライン上に配列された複数の発熱素子(発熱抵抗体)から構成される。
駆動回路2は、ヘッドコントローラ112から供給される各種信号を基に、発熱素子群3の各発熱素子に選択的に電流を流して発熱させる。サーミスタ4は、サーマルヘッド15の温度(サーマルヘッド温度)を検出する。
駆動回路2及び発熱素子群3の詳細な構成例については後述する。
【0032】
図4に示すように、一実施形態の駆動回路2は少なくとも、1ライン分のデータ信号DATAを一時的に記憶するためのシフトレジスタ(S/R)21と、ラッチ回路(L)22と、ゲート回路群23と、トランジスタ群24とを含む。
発熱素子群3は、発熱素子(発熱抵抗体)31_1~31_Mを含む。
【0033】
駆動回路2は、データ信号DATA、クロックパルスCLK、ラッチパルスLATCH、及び、ストローブ信号STBによって動作するが、これらのデータおよび信号は、ヘッドコントローラ112から入力又は転送される。1ライン分のデータ信号DATAの転送は、転送時間を短縮するために、複数のラインバッファを利用して分割して転送してもよい。その場合、各ラインバッファに1ライン分のデータ信号DATAの分割された一部が格納され、各ラインバッファからシリアル転送される。
【0034】
なお、図4の駆動回路2においてストローブ信号STBは正論理(ハイレベルのときに発熱素子に電流が流れて発熱する)である。別の実施形態では、ストローブ信号STBを負論理(ローレベルのときに発熱素子に電流が流れて発熱する)としてもよい。
【0035】
シフトレジスタ21には、クロックパルスCLKに同期して1ライン分のデータ信号DATAが入力され、保持される。なお、データ信号DATA(通電パルスの一例)は、「通電」の場合がハイレベルであり、「非通電」の場合がローレベルであるビット列で構成される。ラッチ回路22は、シフトレジスタ21にパラレルに接続され、シフトレジスタ21上のビット列を、同時並列的に移送して保持する。シフトレジスタ21からラッチ回路22へのデータの転送タイミングは、ラッチパルスLATCHによって制御される。
【0036】
ゲート回路群23は、1ラインの1番目からM番目のドットにそれぞれ対応するゲート回路(AND回路)23_1,23_2,…,23_Mを含む。各ゲート回路の一方の入力端子にはストローブ信号STBが供給され、各ゲート回路の他方の入力端子はラッチ回路22の出力に接続されている。
ゲート回路群23の各ゲート回路は、対応するデータ信号DATAとストローブ信号STBとの論理積を出力する。
トランジスタ群24は、MOSトランジスタ24_1~24_Mを含む。各MOSトランジスタは、対応するゲート回路の出力に応じてオン/オフする。
【0037】
ストローブ信号STBがハイレベルである間、ゲート回路群23の各ゲート回路の出力端子の論理レベルはラッチ回路22の出力レベルと一致する。例えば、ラッチ回路22の出力レベルが「通電」を示すハイレベルである場合、対応するゲート回路の出力はハイレベルとなるため、対応するMOSトランジスタがオンし、発熱素子31に電流が流れる。逆に、ラッチ回路22の出力レベルが「非通電」を示すローレベルである場合、対応するゲート回路の出力はローレベルとなるため、対応するMOSトランジスタがオフし、発熱素子31に電流が流れない。
【0038】
なお、ストローブ信号STBを負論理とする場合には、以下のように構成すればよい。
すなわち、図4において、ゲート回路群23の各ゲート回路をNAND回路とし、ストローブ信号STBの反転信号をNAND回路に入力する。それによって、ストローブ信号STBがローレベルのときに、NAND回路がラッチ回路22の出力の反転信号を出力する。対応するMOSトランジスタは、NAND回路の出力がローレベルの場合にオンして発熱素子に電流が流れるように構成される。
【0039】
熱履歴制御を行わない場合には、1行分のラインデータに対して印字周期の間に1回のデータ信号DATAがサーマルヘッド15の駆動回路2に送られる。それに対して、熱履歴制御を行う場合には、1行分のラインデータに対して印字周期内において複数の期間にデータ信号DATA(例えば、後述するデータ信号DATA1~DATA4)がサーマルヘッド15の駆動回路2に送られる。
【0040】
一実施形態では、ヘッドコントローラ112は、印字周期の間に、クロックパルスCLKに同期した所定のタイミングで4回のデータ信号DATA1~DATA4を駆動回路2に供給する。
イメージデータの1ラインデータがMビットである場合には、熱履歴反映データの対応するラインデータは、M×4ビットのデータとなる。このM×4ビットのデータの各Mビットが4回に分けて、データ信号DATA1~DATA4として駆動回路2に供給される。
【0041】
ヘッドコントローラ112は、クロックパルスCLKに同期した所定のタイミングで、ラッチパルスLATCHと、ストローブ信号STB1~STB4とを、サーマルヘッド15の駆動回路2に供給する。熱履歴制御を行う場合の一印字周期におけるデータ信号の転送タイミングとストローブ信号の印加タイミングの関係ついては後述する。
【0042】
図5に、一実施形態に係る熱履歴制御において、ストローブレベル(STBレベル)と、印字周期中にストローブ信号STB1~STB4が印加される各期間(以下、適宜「ストローブ期間」という。)に実質的に発熱素子に電流が流れるタイミング(ストローブパターン)との関係を示す。
正論理のサーマルヘッドの場合、実質的に発熱素子に電流が流れることは、対応するデータ信号DATA1~DATA4がハイレベルであることを意味する。すなわち、データ信号DATA1~DATA4は、ストローブレベルと対応付けられる。
例えば、注目ドットに対応するデータ信号DATA1~DATA4は、ストローブレベルに対応した4ビットのデータとなっている。例えば、データ信号DATA1~DATA4は、ストローブレベルが「0」の場合に「0000」であり、ストローブレベルが「6」の場合に「0110」であり、ストローブレベルが「15」の場合に「1111」である。
【0043】
一実施形態では、ストローブレベルが4以上の場合にラベルの感熱発色層を変色させる熱エネルギーを発熱素子に与え、ストローブレベルが4未満の場合は、ラベルの感熱発色層を変色させる熱エネルギーを発熱素子には与えないが、発熱素子に対する予熱効果を発揮する。
【0044】
一実施形態では、図5に示すように、印字周期において4つのデータ信号に対応する4つのストローブ信号STB1~STB4は、長い期間から短い期間の順に設定されている。つまり、4つのストローブ信号STB1~STB4の長さ(ストローブ長)をそれぞれL1~L4とすると、L1>L2>L3>L4を満たす。
好ましくは、4つのストローブ信号STB1~STB4の長さの比は、8:4:2:1である。このように長さの比を設定することで、一印字周期中に発熱素子に熱エネルギーを与える時間(つまり、ストローブ長)の組合せの数を極力多くすることができ、精細な印加エネルギーの設定が可能になる。4つのストローブ信号STB1~STB4の長さの比は、8:4:2:1に限定しないが、それぞれ異なる長さとすることで、ストローブ長がそれぞれ異なる16(=2)通りのストローブ長のパターンが設定可能となる。
【0045】
CPU111は、注目ラインデータの各注目ドットに対して、熱履歴データテーブルを参照して、ストローブレベルを決定する。CPU111は、ストローブレベルに応じた4ビットのデータを各注目ドットに割り当てることで、熱履歴反映データを生成する。
ヘッドコントローラ112は、熱履歴反映データのラインデータの各注目ドットに対して、1ビット目~4ビット目のデータをそれぞれデータ信号DATA1~DATA4に割り当てる。
【0046】
次に、好ましい印字速度及びストローブ長の決定方法について説明する。
一実施形態では、CPU111は、基準ストローブテーブルを参照して、印字速度及び印字濃度に応じた、ストローブ信号STB1~STB4のストローブ長L1~L4を決定する。
図6に、基準ストローブテーブルの構成例を示す。
図6に例示するように、基準ストローブテーブルは、印字速度(例えば、2~6IPS(inch per second))と印字濃度(1A~10A)の組合せに対するストローブ長L1~L4(つまり、50通りのストローブパターン)が記述されている。以下では、基準ストローブテーブルで定義されている印字速度及び印字濃度をそれぞれ、「速度設定値」及び「濃度設定値」と表記する。
基準ストローブテーブルは、後述する濃度補正のための基準となるものであり、サーマルヘッド温度が25℃であり、バッテリ電圧が最大電圧VMAXであり、同時印字ドット数が1である場合のストローブ長を示している。
【0047】
基準ストローブテーブルにおいて濃度設定値は、1Aから10Aの順に濃い(つまり、濃度が高い)濃度設定値となっている。速度設定値及び濃度設定値の各々の数は限定しないが、図6に示す例では、速度設定値が5段階あり、濃度設定値が10段階あるため、50パターンのストローブ長L1~L4が設定されていることになる。ストローブ長L1~L4は限定しないが、上述したように8:4:2:1の比とすることができる。5段階の速度設定値は、複数の印字速度の一例である。
なお、図6に示す基準ストローブテーブルには、参考のために印字周期を記載しているが、印字周期を基準ストローブテーブルに含めることは必須ではない。印字対象であるラベルの1ラインの長さは既知であるため、速度設定値に応じて印字周期が一意に定まる。
図6に示すように、速度設定値が速いほど印字周期が短くなるため、すべてのストローブ長L1~L4を印字周期内に収めるために各ストローブ長が短くなる。また、濃度設定値が高いほど必要な熱エネルギーが大きくなるため、各ストローブ長が長くなる。
【0048】
なお、基準ストローブテーブルにおいて、濃度設定値は、所定の速度設定値での濃淡についての相対的な設定値である。そのため、速度設定値が異なると、同じ濃度設定値であっても実際に得られる印字濃度(つまり、実際にラベルに印字されるときの濃淡の度合い)は異なる。例えば、速度設定値が2IPSの場合と3IPSの場合とで、濃度設定値5Aによって得られる印字濃度が異なる。
【0049】
図7に、一実施形態において、熱履歴制御を行って印字するときのデータ信号DATA1~DATA4の転送タイミングとストローブ信号STB1~STB4の印加タイミングを示す。図7は、印字周期SLTにおけるデータ信号の転送タイミングとストローブ信号の印加タイミングを示すタイミングチャートである。図7に示すように、連続するストローブ印加期間の間には待機時間WTが設定される。
一実施形態では、CPU111は、基準ストローブテーブルを参照して、印字前に図7に例示するタイミングを決定する。ここで、印字周期SLTは、速度設定値によって決定される。図6の基準ストローブテーブルに示したように、「濃度設定値:1A」の場合、「濃度設定値:5A」(デフォルト設定)の場合と比較して、4つのストローブ信号STB1~STB4の各ストローブ長が短くなる。それに対して、「濃度設定値:10A」の場合、「濃度設定値:5A」(デフォルト設定)の場合と比較して、4つのストローブ信号STB1~STB4の各ストローブ長が長くなる。
【0050】
次に、一実施形態のプリンタ1の印字速度の決定方法について説明する。
一実施形態では、実際の印字速度を、基準ストローブテーブルにおける複数の速度設定値のいずれかとするのではなく、印字対象のイメージや動作環境(例えばバッテリ電圧)に基づいて印字速度を速度設定値から変化させる(つまり、可変速とする)。
一実施形態では、印字速度は、基準ストローブテーブルにおいて定義される複数の速度設定値の速度幅(第1速度幅の一例;図6の例では1IPS)よりも小さい速度幅(第2速度幅の一例;例えば1mm/秒)で調整される。調整後の印字速度による一定速度で印字対象のイメージが印字される。つまり、印字対象イメージを含む1ページが調整後の印字速度による一定速度で印字される。
これにより、実際の印字速度が速度設定値と異なる場合があるためにベストエフォート型の印字速度とはなるが、ラベル全体の印字品質が向上する利点がある。以下、この印字速度の決定方法を「連続可変速方式」という。
【0051】
連続可変速方式では、印字速度の調整が印字開始前に行われ、印字中に印字速度は変化しない。
後述するが、一実施形態では、プリンタ1の動作環境や印字対象のイメージのレイアウト等によって印字品質が低下しないように濃度補正を行う。この濃度補正では、バッテリ電圧、サーマルヘッド温度等の動作環境や印字対象のイメージにおける1ラインの同時印字ドット数等に応じて、ラインごとにストローブ長が補正される。その際、印字前に印字対象のイメージを解析し、補正後にストローブ長が最大となる場合であっても1ラインの印字周期にストローブ信号が収まるように印字速度が調整される。
【0052】
連続可変速方式によって印字速度を決定することの利点について、従来の印字速度決定方式と比較しつつ図8A及び図8Bを参照して説明する。図8Aには例示的なイメージの一部を示し、図8Bには図8Aに示すイメージを印字するときの異なる印字速度決定方式における印字速度の変化を、時刻の経過に応じて(つまり、主走査方向において)示している。
ここでは、従来の印字速度決定方式として、「段階的定速方式」と「段階的可変速方式」を挙げる。段階的定速方式とは、最も簡易的な速度決定方式であり、複数の速度設定値の中から予めユーザに設定された速度設定値、あるいはデフォルトで設定された速度設定値に従って印字速度を決定する方式である。
段階的可変速方式とは、濃度補正の結果として必要となるストローブ長に応じて、予め設定された複数の速度設定値の中のいずれかの速度設定値に印字速度をライン単位で変化させる方式である。
図8Bでは、段階的定速方式の場合の印字速度をM1で示し、段階的可変速方式の場合の印字速度をM2で示し、連続可変速方式の場合の印字速度をM3で示している。
【0053】
図8Aにおいて、印字対象のイメージには、1ラインの同時印字ドット数が比較的多いイメージ部分IM1~IM3が含まれる。例えば、イメージ部分IM1~IM3には、副走査方向に同時印字ドット数が多い典型的な例である直線が含まれる。
図8Bを参照すると、段階的定速方式(M1)では、予め決定された速度設定値(図8Bでは4IPS)で全ラインの印字が行われる。そのため、印字濃度をイメージ全体で均一とするためには、印字対象のイメージやバッテリ電圧等の動作環境に応じて最適な速度設定値を予めユーザが選択しなければならない。しかし、これは現実的ではなく、結果として印字品質の低下を招く。例えば、濃度補正によって必要な印字濃度を確保するためにストローブ長を長くする必要がある場合であっても、長くしたストローブ長が予め決定された速度設定値に対応する印字周期内に収まらないときには、必要な熱エネルギーを発熱素子に印加できないので、印字濃度の低下が生ずる。
【0054】
段階的可変速方式(M2)では、イメージ部分IM1~IM3のように1ラインの同時印字ドット数が多いラインに対して比較的低速とし、それ以外のイメージ部分(つまり、1ラインの同時印字ドット数が少ないラインからなるイメージ部分)に対して比較的高速となるように制御される。例えば、同時印字ドット数が比較的少ないラインに対しては一括印字により高速で印字が行われ、同時印字ドット数が比較的多いラインに対して分割印字により低速で印字が行われる。分割印字は、1ラインを複数に分割して印字する方式である。1ラインを2分割した場合、単純計算では印字速度が半減する。そのため、段階的可変速方式(M2)では、印字対象のイメージ全体のレイアウト次第で、スループットが大きく低下する(つまり、イメージ全体の印字に要する時間が長くなる)場合がある。
また、主走査方向の空白部分が少ない場合、印字速度を戻しきれず、速度変化中に印字が行われる場合がある。この速度変化が行われる間において印字速度とストローブ長とのバランスが崩れる(言い換えれば、オン(熱付加)とオフ(冷却)の時間のバランスが崩れる)ことから、印字濃度が均一とならず、印字品質が低下する。
まとめると、段階的可変速方式では、印字レイアウト次第でスループット及び画質が低下する場合がある点が問題である。
【0055】
一実施形態に係る連続可変速方式(M3)は、従来の段階的定速方式及び段階的可変速方式とは異なり、イメージ全体で印字濃度を均一化させ、ラベルの印字品質を向上させることを可能とする方式である。以下、この連続可変速方式について詳述する。
【0056】
先ず、図9及び図10を参照して、一実施形態の濃度補正について説明する。前述したように、濃度補正では、バッテリ電圧等の動作環境や印字対象のイメージにおける1ラインの同時印字ドット数等に応じて、ラインごとにストローブ長が補正される。
【0057】
一実施形態では、濃度補正は、バッテリ電圧に基づいてストローブ長の補正を行うバッテリ電圧補正を含む。
バッテリ電圧の低下によってサーマルヘッド15の発熱素子31に対する印加電力が減少するため、ストローブ長を長くすることで印加電力の低下分を補うようにバッテリ電圧補正が行われる。
バッテリ電圧補正は、例えば、図9に示すバッテリ電圧補正テーブルを参照して行われる。
【0058】
図9に示すように、バッテリ電圧補正テーブルでは、バッテリ電圧と電圧補正比率とが対応付けて記述されている。電圧補正比率は、バッテリ電圧補正において、基準ストローブテーブルに記述されているストローブ長に対して乗算する値である。基準となるバッテリ電圧は最大電圧VMAXであり、このときの電圧補正比率(「100%」)では、基準ストローブテーブルに記述されているストローブ長に対する変更は行われない。
バッテリ電圧補正テーブルでは、バッテリ電圧が低下するにつれて電圧補正比率が大きくなるように記述されている。したがって、バッテリ電圧補正では、バッテリ電圧が低くなるにつれて、ストローブ長を基準ストローブテーブルに記述されている値よりも長くするように補正される。
限定しない例では、最大電圧VMAXは16~17V程度、最小電圧VMINは12~13V程度であり、例えば0.01V~0.05V刻みで設定される。
なお、バッテリ電圧補正において、必ずしもバッテリ電圧補正テーブルを参照する必要はなく、バッテリ電圧補正と電圧補正比率の関係を規定する既知の関数を用いて電圧補正比率を算出してもよい。その場合、関数は、最大電圧VMAXと現在のバッテリ電圧との差分に相当する印加熱量をストローブ時間の延長で補うように、バッテリ電圧と電圧補正比率の関係を規定する。
【0059】
一実施形態では、濃度補正は、同時印字ドット数に基づいてストローブ長の補正を行うヘッド電圧降下補正と電源電圧降下補正とを含む。
サーマルヘッド15では、1ライン中の同時印字ドット数(1ラインにおける印字率)が増加するにつれて、回路内のON抵抗(例えば、図4のMOSトランジスタのON抵抗)や導通抵抗等によって生ずる電圧降下によって、発熱素子31に対する印加電力が低下する。そこで、ストローブ長を長くすることで印加電力の低下分を補うようにヘッド電圧降下補正が行われる。
他方、1ライン中に同時印字ドット数が増加するにつれてサーマルヘッド15を流れるピーク電流が上昇することで電源電圧の低下が発生し、発熱素子31に対する印加電力が低下する。そこで、ストローブ長を長くすることで印加電力の低下分を補うように電源電圧降下補正が行われる。
【0060】
ヘッド電圧降下補正と電源電圧降下補正は、例えば、図9に示すドット数補正テーブルを参照して行われる。一実施形態では、ヘッド電圧降下補正と電源電圧降下補正の各々に対して個別のドット数補正テーブルが用意される。
【0061】
図9に示すように、ドット数補正テーブルでは、同時印字ドット数とドット数補正比率とが対応付けて記述されている。ドット数補正比率は、ヘッド電圧降下補正及び電源電圧降下補正において、基準ストローブテーブルに記述されているストローブ長に対して乗算する値である。基準となる同時印字ドット数は「1」であり、このときの電圧補正比率(「100%」)では、基準ストローブテーブルに記述されているストローブ長に対する変更は行われない。
ドット数補正テーブルでは、同時印字ドット数が増加するにつれてドット数補正比率が大きくなるように記述されている。したがって、ヘッド電圧降下補正及び電源電圧降下補正では、同時印字ドット数が増えるにつれて、ストローブ長を基準ストローブテーブルに記述されている値よりも長くするように補正される。
【0062】
一実施形態では、濃度補正は、サーマルヘッド温度に基づいてストローブ長の補正を行うヘッド温度補正を含む。サーマルヘッド温度は、サーミスタ4(図3)によって検出される。
サーマルヘッド15の温度変動による印字濃度の変動を極力抑制するため、ヘッド温度補正が行われる。ヘッド温度補正は、例えば、図10に示す温度補正テーブルを参照して行われる。
【0063】
図10に示すように、温度補正テーブルでは、サーマルヘッド温度と温度補正比率とが対応付けて記述されている。温度補正比率は、ヘッド温度補正において、基準ストローブテーブルに記述されているストローブ長に対して乗算する値である。基準となるサーマルヘッド温度は25℃であり、このときの温度補正比率(「100%」)では、基準ストローブテーブルに記述されているストローブ長に対する変更は行われない。
温度補正テーブルでは、サーマルヘッド温度が低下するにつれて温度補正比率が大きくなり、サーマルヘッド温度が上昇するにつれて温度補正比率が小さくなるように記述されている。したがって、ヘッド温度補正では、サーマルヘッド温度に応じて、ストローブ長を基準ストローブテーブルに記述されている値よりも長くする場合もあれば短くする場合もある。
なお、ヘッド温度補正において、必ずしも温度補正テーブルを参照する必要はなく、サーマルヘッド温度と温度補正比率が線形な関係であると仮定した関数が定義されていてもよい。例えば、温度補正比率は、サーマルヘッド温度の基準値(図10の例では25℃)と、サーマルヘッド温度の現在値(測定値)との差分に対する1次関数として予め定義されていてもよい。
【0064】
なお、一実施形態の濃度補正は、バッテリ電圧補正、ヘッド電圧降下補正、電源電圧降下補正、及び、ヘッド温度補正のうち少なくともいずれかの補正を含む。
以上説明したようにして濃度補正を行う場合、ストローブ長を基準ストローブテーブルに記述されている値よりも長くすることで、現在の印字周期にストローブ長が収まらない場合がある。そこで、連続可変速方式では、印字前に濃度補正のシミュレーションを行い、濃度補正による最大ストローブ長の場合であっても印字周期に収まるように、印字速度を速度設定値から減速させるように制御する。すなわち、バッテリ電圧等の動作環境や印字対象のイメージのレイアウトによって、ストローブ長が印字周期に収まらないことに起因する印字品質の変動が生じないようにする。
【0065】
さらに、本願発明者が鋭意研究した結果、以下の(I),(II)の知見が得られた。
(I)印字濃度は、印字周期内の連続パルス時間が占める割合(以下、「濃度比率」という。)により概ね決定される。
ここで、「連続パルス時間」とは、感熱発色層を発色させる熱エネルギーを与えるためのストローブ期間の長さであり、図5に示した例では、ストローブ信号STB1の立ち上がりエッジのタイミングからストローブ信号STB2の立下りエッジのタイミングまでの期間(第1印加期間の一例)の長さである。
【0066】
(II)同一の濃度比率であっても、印字速度が低いほど印字濃度が濃くなる傾向がある。
例えば、図6に示した基準ストローブテーブルにおいて、例えば濃度設定値:5A(基準)の場合の濃度比率は複数の速度設定値の間で大差ないようにした場合でも、速度設定値が低いほど実際に得られる印字濃度が濃くなる。したがって、印字速度を速度設定値から減速させる場合であって印字濃度が変わらないようにするためには、印字速度の減速に併せて濃度比率を低くする必要がある。
【0067】
上記(I),(II)の知見を踏まえ、連続可変速方式では、印字前の濃度補正のシミュレーションの実行結果に応じた印字速度の減速補正処理を実行するとともに、補正後の印字速度に応じた濃度比率補正処理を実行する。この減速補正処理及び濃度比率補正処理について、図11を参照して説明する。図11は、連続可変速方式における減速補正処理及び濃度比率補正処理について説明する図である。
【0068】
図11を参照すると、状態ST1は、基準ストローブテーブルにおいて、印字直前に設定されている速度設定値及び濃度設定値でのストローブ信号STB1~STB4を示している。速度設定値に応じて印字周期SLT1が定まっている。図11には、状態ST1において、ストローブ信号STB1,STB2の印加期間を含む連続パルス時間CPが示される。
【0069】
図11の状態ST2は、状態ST1に示すストローブ信号STB1~STB4に対して濃度補正シミュレーションを行った結果であり、ストローブ信号STB1~STB4の各ストローブ長が濃度補正により最大となる場合のストローブ信号STB1_max~STB4_maxを示している。一実施形態では、ストローブ信号STB1_max~STB4_maxの各ストローブ長は、基準となるストローブ信号STB1~STB4の各ストローブ長に対して、電圧補正比率(図9)×ドット数補正比率(図9)の最大値を乗じたときの値である。なお、この最大値は、印字対象のイメージのレイアウトとその時点のバッテリ電圧によって変動する。
【0070】
この濃度補正シミュレーションは、印字前に印字速度を決定するために、印字中の濃度補正によるストローブ長の最大値を予め見積もるのが目的である。
印字中に濃度補正を行う場合には、印字対象のイメージの各ラインの同時印字ドット数とサーマルヘッド温度に応じて、基準となるストローブ信号STB1~STB4と、最大ストローブ長の場合のストローブ信号STB1_max~STB4_maxとの間で、適用されるストローブ信号のストローブ長がラインごとに変動する。
【0071】
図11の状態ST2では、ストローブ長が濃度補正により最大となる場合のストローブ信号STB1_max~STB4_maxが、速度設定値によって定まる印字周期SLT1に収まらない場合を示している。
そこで、減速補正処理では、ストローブ信号STB1_max~STB4_maxが印字周期内に収まるように印字速度を補正する。前述したように、基準ストローブテーブルにおいて定義される複数の速度設定値の速度幅(図6の例では1IPS)よりも小さい速度幅(例えば1mm/秒)で調整される。そのため、ストローブ信号STB1_max~STB4_maxを収容可能としつつ、予め設定された速度設定値に対して最低限の速度低下に留めることが可能である。
【0072】
図11の状態ST3は、状態ST1のストローブ信号STB1~STB4に対して減速補正処理を実行して、印字周期をSLT1からSLT2に延長した状態を示している。このように印字周期を延長することで、印字対象のイメージのいずれのラインを印字する場合であっても(つまり、イメージ中で同時印字ドット数が最大となるラインを印字する場合であっても)、濃度補正によりストローブ信号が印字周期に収まらないということが生じない。
【0073】
前述したように、印字濃度は濃度比率により概ね決定されるが(上記(I))、状態ST3を状態ST1と比較すると、印字周期をSLT1からSLT2に延長したことで、基準となるストローブ信号STB1~STB4の濃度比率が変化(低下)してしまう。具体的には、図11において濃度比率がCP/SLT1からCP/SLT2に低下する。
そこで、減速補正処理の前後での濃度比率が同一となるように、状態ST3のストローブ信号STB1~STB4に対して濃度比率補正処理を実行する。図11の状態ST4は、濃度比率補正処理後のストローブ信号STB1_c~STB4_cを示している。
ここで、濃度比率補正処理後の連続パルス時間をCP_cとすると、以下の式(1)が成立するように、ストローブ信号STB1_c~STB4_cが決定される。それによって、図11に示すように連続パルス時間がΔt増加する。

CP_c=(SLT2/SLT1)・CP …(1)
【0074】
図11には図示していないが、一実施形態では、図11の状態ST4のストローブ信号STB1_c~STB4_cから少なくとも1回、減速補正処理が実行されてもよい。すなわち、上述したように、同一の濃度比率であっても印字速度が低いほど印字濃度が濃くなる傾向があるため((II))、状態ST4では、状態ST1と同一の濃度比率であるが印字速度が低下した分、印字濃度が状態ST1と比較して濃い設定となっている。そこで、状態ST4のストローブ信号に対してさらに減速補正処理を実行することで、状態ST1のストローブ信号による印字濃度に近付けるようにすることが好ましい。
【0075】
一実施形態では、減速補正処理と濃度比率補正処理を所定回数繰り返し実行してもよい。
図11の状態ST4に示したように、濃度比率補正処理後のストローブ信号STB1_c~STB4_cの各々ストローブ長は、元の状態ST1におけるストローブ信号STB1~STB4の各々のストローブ長に対して延長されている。そのため、ストローブ信号STB1_c~STB4_cに対して濃度補正シミュレーションを実行し、各ストローブ長が濃度補正により最大となる場合のストローブ信号が印字周期SLT2に収まるか確認し、収まらない場合には2回目の減速補正処理を実行する。この2回目の減速補正処理を実行した結果、濃度比率が2回目の減速補正処理の実行前後で変動するため、濃度比率を調整するために2回目の濃度比率補正処理を実行する。
このように、一実施形態では、減速補正処理と濃度比率補正処理を所定回数繰り返すことで、所望のストローブ信号に決定することができる。後述するが、減速補正処理と濃度比率補正処理のそれぞれの実行回数については、適宜設定することができる。
【0076】
以上説明したように、基準ストローブテーブルにおいて速度設定値及び濃度設定値によって定まるストローブパターンに対して、印字品質を確保するために、印字レイアウトや動作環境に応じた濃度補正が行われる。しかし、この濃度補正だけでは十分でなく、上記(I)及び(II)の知見から印字速度と濃度比率を考慮する必要がある。そこで、連続可変速方式では、印字前に印字速度を決定する際、濃度補正が適切に機能するように印字速度を調整しつつ、減速補正処理及び濃度比率補正処理を少なくとも1回実行する。それによって、印字対象のイメージ全体で印字品質を良好とする(印字濃度をイメージ全体で均一とする)ことができる。
【0077】
一実施形態では、プリンタ1の制御部11は、以下のパルス設定部、印字期間補正部、及び、印字速度決定部として機能する。これは、図11の印字周期のSLT1からSLT2の変更に相当する。
(a1)1ラインの印字周期において、サーマルヘッド15の複数の発熱素子に対してラベルの感熱発色層を発色させる熱エネルギーを与えるための第1ストローブ期間(例えば、ストローブ信号STB1及び/又はSTB2が印加される期間;第1印加期間の一例)を設定するパルス設定部
(a2)印字対象のイメージに基づいて(例えば、イメージの1ラインにおける同時印字ドット数に基づいて)、パルス設定部により設定された第1ストローブ期間の長さを補正する印加期間補正部
(a3)印加期間補正部による補正後の第1ストローブ期間の最大長さが収まるように印字周期を長くすることで、イメージの全体を一定速度で印字するときの印字速度を決定する印字速度決定部
【0078】
プリンタ1の制御部11が(a1)~(a3)の各部として機能することで、上記濃度補正を行っても第1ストローブ期間が印字周期に収まらないということがなく、印字中の濃度補正が効果を発揮する。
また、印字速度をイメージの全体に亘って一定とすることで、従来の段階的可変速方式と比較して、印字中の印字速度の加減速に伴うスループットの低下が抑制できるとともに、印字中の印字速度の変化に伴う印字品質の低下を避けられる利点がある。
さらに、速度設定値により定速で印字する従来の段階的低速方式と比較した場合には、印字周期を長くする(印字速度を減速させる)ことでスループットが低下するが、小さい速度幅(例えば1mm/秒)で印字速度を微調整可能とすることで、スループットの低下代を最小限に抑えることができる。
【0079】
一実施形態では、プリンタ1が熱履歴制御を実行し、その場合、上記パルス設定部は、第1ストローブ期間に加え、サーマルヘッド15の複数の発熱素子に対してラベルの感熱発色層を発色させない程度の熱エネルギーを与えるための第2ストローブ期間(例えば、ストローブ信号STB3及び/又はSTB4が印加される期間;第2印加期間の一例)を設定する。
上記印字期間補正部は、第1ストローブ期間及び第2ストローブ期間の長さを補正し、印字速度決定部は、補正後の第1ストローブ期間及び第2ストローブ期間の最大長さが収まるように印字周期を長くすることで、イメージの全体を一定速度で印字するときの印字速度を決定する。
【0080】
一実施形態では、プリンタ1の制御部11はさらに、印字周期を長くする前後で濃度比率の差が所定値以下となるように、印加期間補正部により補正された第1ストローブ期間の長さをさらに補正する第2の印加期間補正部としても機能する。これは、図11において、状態ST3から状態ST4への濃度比率補正処理に相当する。濃度比率補正処理を実行することで、濃度比率が所定範囲内に維持されるため、印字濃度が均一化され、イメージ全体の印字品質がさらに向上する。
なお、図11では、式(1)に示したように、状態ST1と状態ST4とで濃度比率を同一とするように濃度比率補正を行ったが、その限りではない。濃度比率補正処理の前後での濃度比率の差が、実質的に印字濃度に影響を与えない程度の所定値以下であればよい。
【0081】
次に、図12図16を参照して、連続可変速方式を実現するための一連の処理について説明する。
図12図15は、印字前に行われる印字前処理に対応するフローチャートである。図16は、印字中に行われる印字中処理に対応するフローチャートである。各図のフローチャートは、制御部11(CPU111及びヘッドコントローラ112)によって実行される。
【0082】
以下、一実施形態の印字前処理について説明する。
図12は、一実施形態の印字前処理の全体フローを示している。この全体フローは、前述したように、減速補正処理と濃度比率補正処理を所定回数繰り返す場合のフローを示している。
先ず、制御部11は、減速補正処理を行う上限回数を規定する減速補正カウンタCTR_1をセットし(ステップS2)、濃度比率補正処理を行う上限回数を規定する濃度比率補正カウンタCTR_2をセットする(ステップS4)。
例えば、減速補正カウンタCTR_1にセットされる値(セット値)が2であり、濃度比率補正カウンタCTR_2にセットされる値(セット値)が1である。各カウンタのセット値は限定しないが、CTR_1>CTR_2を満足するように設定される。
【0083】
図12のステップS6~S14は、減速補正処理(ステップS6)と濃度比率補正処理(ステップS12)とをそれぞれ、ステップS2,S4でのセット値の回数、実行するように構成される。減速実行フラグは、減速補正処理において印字速度の減速(つまり、印字周期の延長)を実行したか否かを示すフラグであり、印字速度の減速を実行した場合に「1」となる。
【0084】
後述するが、減速補正処理では、ストローブ信号が印字周期内に収まらないために印字速度を減速させた場合に、減速実行フラグが「1」になるとともに減速補正カウンタCTR_1が1減算される。減速補正処理では、ストローブ信号が印字周期内に収まる場合には減速実行フラグは「0」のままとなっている。また、濃度比率補正処理が実行される度に、濃度比率補正カウンタCTR_2が1減算される。
そのため、図12のフローでは、減速補正処理(ステップS6)を実行した結果、減速実行フラグが「0」である場合(つまり、ストローブ信号が印字周期内に収まる場合)(ステップS8:NO)、制御部11は、印字前処理を終了する。減速実行フラグが「1」である場合(ステップS8:YES)、濃度比率補正カウンタCTR_2が「0」であるか否かに基づいて濃度比率補正処理(ステップS12)の実行有無が決定される(ステップS10)。
【0085】
濃度比率補正処理の実行後に、減速補正カウンタCTR_1が「0」であるか否かが判断される(ステップS14)。制御部11は、減速補正カウンタCTR_1が「0」である場合に印字前処理を終了し、「0」でない場合には、ステップS6に戻り、減速補正処理を実行する。
以上のようにして、減速補正処理と濃度比率補正処理とが、各カウンタのセット値の回数、実行される。
【0086】
次に、減速補正処理の詳細について、図13を参照して説明する。
図13を参照すると、減速補正処理では、制御部11は、先ず減速実行フラグを「0」に初期化する(ステップS20)。
次いで、制御部11は、基準ストローブテーブルを基に第1補正後ストローブテーブルを生成する(ステップS22)。より具体的には、制御部11は、バッテリ電圧補正テーブル(図9)を参照して、現在のバッテリ電圧に対応する電圧補正比率を特定し、特定した電圧補正比率を基準ストローブテーブルの各ストローブ長に乗算することで、第1補正後ストローブテーブルを生成する。
なお、ステップS22では、基準ストローブテーブルのすべてのストローブパターンに対応した第1補正後ストローブテーブルを生成するのではなく、基準ストローブテーブル内の現在の速度設定値及び濃度設定値のストローブパターンに対応する補正後のストローブ長を算出することでもよい。
【0087】
次いで、制御部11は、ドット数補正テーブルを生成する(ステップS24)。一実施形態では、ヘッド電圧降下補正と電源電圧降下補正の各々に対して個別のドット数補正テーブル(図9)が用意される。その場合、制御部11は、ヘッド電圧降下補正に対応するドット数補正テーブルと電源電圧降下補正に対応するドット数補正テーブルとにおいて、各バッテリ電圧に対応するドット数補正比率を乗算することで、ヘッド電圧降下補正と電源電圧降下補正を組み合わせたドット数補正テーブルを生成する。
【0088】
次いで、制御部11は、図14に詳細を示す濃度補正シミュレーションを実行する(ステップS26)。
濃度補正シミュレーションは、前述したように、印字速度を印字前に決定するために、印字中の濃度補正によるストローブ長の最大値を予め見積もるのが目的である。言い換えれば、濃度補正シミュレーションとは、印字中の濃度補正によってストローブ長(補正後ストローブ長)が最大となる場合であっても、その最大の補正後ストローブ長が印字周期に収まるようにするため、印字前に補正後ストローブ長の最大値を見積もる処理である。
【0089】
図14を参照すると、濃度補正シミュレーションは以下のようにして行われる。
先ず、制御部11は、ステップS22で生成した第1補正後ストローブテーブルを参照して、現在の速度設定値及び濃度設定値に対応する各ストローブ信号のストローブ長を特定する(ステップS42)。ここで、特定されるストローブ長は、基準ストローブテーブルの対応する値に対してバッテリ電圧補正が反映されたストローブ長である。
次いで、制御部11は、印字対象のイメージを解析することで、当該イメージ内のラインごとの同時印字ドット数の中で最大値を特定し(ステップS44)、ドット数補正を実行する(ステップS46)。つまり、制御部11は、ステップS44で特定された同時印字ドット数の最大値に対応するドット数補正比率を、ステップS42で生成されたドット数補正テーブルを参照することで特定する。
【0090】
次いで、制御部11は、温度補正を実行する(ステップS48)。より具体的には、制御部11は、温度補正テーブル(図10)を参照して、現在のサーマルヘッド温度に対応する温度補正比率を特定する。
なお、温度補正テーブルを参照すると、サーマルヘッド温度が現在値よりも低くなると温度補正比率が増加してストローブ長が長くなるように印字中に補正を行うことになるが、このような補正は、濃度補正シミュレーションで考慮する必要はない。これは、印字中のサーマルヘッド温度は、濃度補正シミュレーション実行時のサーマルヘッド温度よりも高くなる方向であるためである。
【0091】
最後に、制御部11は、補正後ストローブ長の最大値を決定する(ステップS50)。ステップS50では、制御部11は、ステップS44で特定されたストローブ信号STB1~STB4の各ストローブ長に対して、ステップS46で特定したドット数補正比率と、ステップS48で特定した温度補正比率と、を乗算する処理を行うことで、補正後ストローブ長の最大値を決定する。
【0092】
図13の説明に戻る。
制御部11は、濃度補正シミュレーションを実行した後、補正後ストローブ長の最大値が印字周期内に収まるか否か判断する(ステップS28)。補正後ストローブ長の最大値が印字周期内に収まる場合には、印字速度を変更する必要がないため、減速補正カウンタCTR_1を0にする(ステップS30)。この場合、減速実行フラグが「0」のままであるため、制御部11は、印字前処理を終了する(図12のステップS8:NO)。
【0093】
制御部11は、補正後ストローブ長の最大値が印字周期内に収まらない場合(ステップS28:NO)、補正後ストローブ長の最大値が収まるように印字周期を延長する(つまり、印字速度を減速させる)(ステップS32)。このとき、好ましくは、基準ストローブテーブルにおいて定義される複数の速度設定値の速度幅(図6の例では1IPS)よりも小さい速度幅(例えば1mm/秒)で調整される。
制御部11は、印字速度の減速に応じて減速実行フラグを「1」とするとともに(ステップS34)、減速補正カウンタCTR_1を1減算する(ステップS36)。
【0094】
次に、濃度比率補正処理の詳細について、図15を参照して説明する。
図15を参照すると、濃度比率補正処理では、制御部11は先ず、基準ストローブテーブル(例えば図6)から、現在の速度設定値及び濃度設定値に対応する連続パルス時間CP(図11の状態ST1参照)を求め(ステップS60)、濃度比率を算出する(ステップS62)。濃度比率は、連続パルス時間CPを、速度設定値に対応する印字周期で除算した値である。
【0095】
次いで、制御部11は、減速補正後(つまり、直前に行われた減速補正処理のステップS32の実行後)の連続パルス時間を算出し(ステップS64)、新しい基準ストローブテーブルを生成する(ステップS66)。ここでは、上記式(1)に示したように、減速補正前後で濃度比率が同一となるように連続パルス時間を補正し、補正後の連続パルス時間に基づいて新しい基準ストローブテーブルが生成される。この新しい基準ストローブテーブルは、この後に減速補正処理が実行される場合において第1補正後ストローブテーブルを生成するときの基準となる。
最後に、制御部11は、濃度比率補正カウンタCTR_2を1減算する(ステップS68)。
なお、ステップS66では、すべてのストローブパターンに対応した新しい基準ストローブテーブルを生成するのではなく、現在の速度設定値及び濃度設定値のストローブパターンに対応する新しいストローブ長を算出することでもよい。
【0096】
以上が一実施形態の印字前処理であり、減速補正処理と濃度比率補正処理を所定回数繰り返すことで、印字速度、印字周期、及び、印字中処理において使用される第1補正後ストローブテーブルが、印字前に決定される。
【0097】
次に、印字中処理について、図16を参照して説明する。
印字は、印字対象のイメージ全体において、印字前処理で決定された印字速度による一定速度で行われる。印字中処理では、図16に示す一連の処理がライン単位で行われる。以下の説明では、印字処理対象のラインを「注目ライン」という。
図16を参照すると、制御部11は、先ず、サーミスタ4からサーマルヘッド温度を取得し(ステップS70)、温度補正テーブル(図10)を参照して、取得したサーマルヘッド温度に対応する温度補正比率を取得(特定)する(ステップS72)。なお、前述したように、サーマルヘッド温度の基準値と現在値とに基づいて、温度補正比率を算出してもよい。
【0098】
次いで、制御部11は、印字前の減速補正処理(図13のステップS22)において生成した第1補正後ストローブテーブルを、ステップS72で取得した温度補正比率によって補正することで、第2補正後ストローブテーブルを生成する(ステップS74)。なお、第1補正後ストローブテーブルは、バッテリ電圧補正が反映されたものであるが、印字中のバッテリ電圧は印字前のバッテリ電圧と概ね同一であると考えられるため、印字中処理においても使用される。第2補正後ストローブテーブルに記述される各ストローブ長は、第1補正後ストローブテーブルの対応するストローブ長に対して温度補正比率を乗算した値となる。
【0099】
次いで、制御部11は、注目ラインの同時印字ドット数を取得し(ステップS76)、取得した同時印字ドット数に対応するドット数補正比率を、ドット数補正テーブル(図9)を参照して取得する(ステップS78)。さらに、制御部11は、第2補正後ストローブテーブルにおいて、現在の速度設定値及び濃度設定値に対応する各ストローブ信号のストローブ長に対して、ステップS78で取得されたドット数補正比率を乗算することで、注目ラインに適用する各ストローブ信号のストローブ長を決定する(ステップS80)。
なお、印字前の減速補正処理(図13のステップS22)において、第1補正後ストローブテーブルを生成することに代えて現在の速度設定値及び濃度設定値のストローブパターンに対応する補正後のストローブ長を算出した場合には、ステップS74では、この補正後のストローブ長を、ステップS72で取得した温度補正比率によって補正したストローブ長が算出される。この処理は、ステップS80と等価な処理となる。
【0100】
以上が一実施形態の印字中処理であり、注目ラインごとに、サーマルヘッド温度と同時印字ドット数に基づく濃度補正を実行して印字周期中の各ストローブ信号のストローブ長が決定される。
印字前処理において、濃度補正による最大の補正後ストローブ長に基づいて印字速度が調整されているため、印字対象のイメージのすべてのラインに対して、ステップS80で決定される各ストローブ信号のストローブ長が印字周期に収まるようになっている。
【0101】
一実施形態では、熱履歴制御において印字周期の間にストローブ印加期間を4回設けた例について説明したが、その限りではなく、3回であってもよいし、5回以上であってもよい。ストローブ印加期間の回数を増やすことでストローブレベルを多く設定することができ、より精細な制御が可能となる。
【0102】
前述したように、図12図16の各図のフローチャートは、制御部11(CPU111及びヘッドコントローラ112)によって実行される。このとき、一実施形態では、プリンタ1の制御部11は、以下のパルス設定部、第1補正部、及び、第2補正部として機能する。
(b1)1ラインの印字周期において、サーマルヘッド15の複数の発熱素子に対してラベルの感熱発色層を発色させる熱エネルギーを与えるための第1ストローブ期間(例えば、ストローブ信号STB1及び/又はSTB2が印加される期間;第1印加期間の一例)を設定するパルス設定部
(b2)ラベルに対して印字を行う前に、速度設定値から減速するように、印字を行うときの印字速度を補正する第1補正部
(b3)第1補正部による印字速度の補正前後において濃度比率の差が所定値以下となるように、第1補正部による補正後の印字速度、及び/又は、第1ストローブ期間の長さを補正する第2補正部
【0103】
ここで、第1補正部は、1回目の減速補正処理に相当する。第2補正部は、1回目の減速補正処理の後に行われる濃度比率補正処理、及び/又は、2回目以降の減速補正処理に相当する。
第2補正部では、印字速度の補正処理、及び、第1ストローブ期間の長さの補正処理のうち少なくともいずれかの処理、又はその両方の処理を含み得る。すなわち、濃度比率は、印字速度及び/又は第1ストローブ期間によって変化し得るため、印字速度の補正と、第1ストローブ期間の長さの補正とを個別に行っても、あるいは、その両方の補正を行っても、濃度比率を所望の範囲に調整することができる。このとき、濃度比率を所望の範囲に調整する方法は、図12の印字前補正処理に基づく方法に限定されない。
【0104】
上記構成とすることで、ラベルに対して印字を行う前に印字速度を速度設定値から変化させる場合に、印字品質の低下を抑制する(つまり、印字中の印字濃度の変動を抑制する)ことが可能となる。言い換えれば、基準ストローブテーブルにおいて規定された複数の速度設定値とは異なる印字速度で印字を行う場合に、印字品質の低下を抑制できる。結果的に、ユーザから見ると、プリンタ1に対する速度設定、濃度設定が同じである限り、プリンタ1の動作環境や印字対象のイメージのレイアウトに関わらず、常に同程度の印字品質が得られるという利点がある。
【0105】
また、基準ストローブテーブルに記述されている各ストローブパターンのストローブ長は、予め、所定の印字濃度が得られるように試行錯誤により決定されているもの(つまり、検証済み)である。そのため、基準ストローブテーブルにおいて規定されている速度設定値から印字速度を変更する場合、どのような印字品質になるか検証されていない条件となる。そのような条件においても上述した減速補正処理及び濃度比率補正処理を実行することで、印字濃度を検証済みのレベルと同等程度に合わせ込むことができるようになる。
【0106】
一実施形態では、上記第2補正部は、以下の比率補正部及び印字速度補正部を含む。
(c1)第1補正部による印字速度の補正前後において濃度比率が実質的に同一となるように第1ストローブ期間の長さを補正する処理(濃度比率補正処理)を実行する比率補正部
(c2)第1補正部による補正後の印字速度からさらに減速するように印字速度を補正する処理(減速補正処理)を実行する印字速度補正部
すなわち、図12に示したように、印字速度を濃度比率の両方を制御するに際し、濃度比率補正処理と減速補正処理とを連続的に行うと効率的にストローブ長を決定できる。各処理の実行回数は、図12を参照して説明したように、各処理に対応したカウンタのセット値で規定することができる。
【0107】
一実施形態では、プリンタ1が熱履歴制御を実行し、その場合、上述したパルス設定部は、第1ストローブ期間に加え、サーマルヘッド15の複数の発熱素子に対してラベルの感熱発色層を発色させない程度の熱エネルギーを与えるための第2ストローブ期間(例えば、ストローブ信号STB3及び/又はSTB4が印加される期間;第2印加期間の一例)を設定する。
上述した第1補正部は、第1ストローブ期間と第2ストローブ期間とが印字周期内に収まるように印字速度を補正する。第2補正部は、第1補正部による印字速度の補正前後において濃度比率の差が所定値以下となるように、第1補正部による補正後の印字速度、及び/又は、第1ストローブ期間及び第2ストローブ期間の長さを補正する。
【0108】
一実施形態では、上述した熱履歴制御を行わずに印字が実行される。その場合であっても、上述した連続可変速方式を適用することができる。
図17は、図11に対応する図であり、熱履歴制御を行わない場合の連続可変速方式を示す図である。熱履歴制御を行わない場合には、1ラインの印字周期中に単一のストローブ信号STBが設定される。この場合、感熱発色層を発色させる熱エネルギーを与えるためのストローブ期間の長さは、ストローブ信号STBのストローブ長Lに等しい。
【0109】
図17の状態ST2は、状態ST1に示すストローブ信号STBに対して濃度補正シミュレーションを行った結果であり、ストローブ信号STBのストローブ長Lが濃度補正により最大となる場合のストローブ信号STB_maxを示している。一実施形態では、ストローブ信号STB_maxのストローブ長は、基準となるストローブ長Lに対して、電圧補正比率(図9)×ドット数補正比率(図9)の最大値を乗じたときの値である。
【0110】
図17の状態ST2では、ストローブ長が濃度補正により最大となる場合のストローブ信号STB_maxが、速度設定値によって定まる印字周期SLT1に収まらない場合を示している。
図17の状態ST3は、状態ST1のストローブ信号STBに対して減速補正処理を実行して、印字周期をSLT1からSLT2に延長した状態を示している。このように印字周期を延長することで、イメージ中で同時印字ドット数が最大となるラインを印字する場合であっても、濃度補正によりストローブ信号が印字周期に収まらないということが生じない。
【0111】
状態ST3のストローブ信号STBに対して濃度比率補正処理を実行した結果が、状態ST4のストローブ信号STB_cである。
ここで、濃度比率補正処理後のストローブ長LをL_cとすると、以下の式(2)が成立するように、ストローブ信号STB_cが決定される。それによって、図17に示すように連続パルス時間がΔt増加する。

L_c=(SLT2/SLT1)・L …(2)
【0112】
一実施形態では、以下のステップを有するプリンタの印字方法が開示される。
(d1)1ラインの印字周期において、サーマルヘッド15の複数の発熱素子に対してラベルの感熱発色層を発色させる熱エネルギーを与えるためのストローブ信号の第1ストローブ期間を設定するステップ
(d2)印字対象のイメージに基づいて、設定された第1ストローブ期間の長さに対する補正を行うステップ
(d3)補正後の第1ストローブ期間の最大長さが収まるように印字周期を長くすることで、イメージの全体を一定速度で印字するときの印字速度を決定するステップ
【0113】
一実施形態では、以下のステップを有するプリンタの印字方法が開示される。
(e1)1ラインの印字周期において、複数の発熱素子に対してラベルの感熱発色層を発色させる熱エネルギーを与えるためのストローブ信号の第1ストローブ期間を設定するステップ
(e2)ラベルに対して印字を行う前に、速度設定値から減速するように、印字を行うときの印字速度を補正するステップ
(e3)印字速度の前記補正前後において濃度比率の差が所定値以下となるように、補正後の印字速度、及び/又は、第1ストローブ期間の長さを補正するステップ
【0114】
一実施形態に係るプログラムは、コンピュータに上記プリンタの印字方法を実行させるプログラムである。例えば、プリンタ1の制御部11に含まれるCPU111がプログラムを実行することで、上記プリンタの印字方法が実行される。
一実施形態では、このプログラムは、一時的でないコンピュータ可読記録媒体に記録されてもよい。
【0115】
以上、本発明のプリンタ、プリンタの印字方法、及び、プログラムの実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。
【符号の説明】
【0116】
1…プリンタ
9…収容室
10…プラテンローラ
11…制御部
111…CPU
112…ヘッドコントローラ
113…メモリ
114…バス
12…ストレージ
13…駆動回路
14…モータ
15…サーマルヘッド
2…駆動回路
21…シフトレジスタ
22…ラッチ回路
23…ゲート回路群
23_1~23_M…AND回路
24…トランジスタ群
24_1~24_M…MOSトランジスタ
3…発熱素子群
31_1~31_M…発熱素子
4…サーミスタ
16…通信インタフェース
20…発行口
25…プリンタカバー
29…コイルばね
DATA1~DATA4…データ信号
STB1~STB4…ストローブ信号
L1~L4…パルス幅
WT…待機時間
P…連続紙
R…ロール紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17