IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルプス電気株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-入力装置 図1
  • 特開-入力装置 図2
  • 特開-入力装置 図3
  • 特開-入力装置 図4
  • 特開-入力装置 図5
  • 特開-入力装置 図6
  • 特開-入力装置 図7
  • 特開-入力装置 図8
  • 特開-入力装置 図9
  • 特開-入力装置 図10
  • 特開-入力装置 図11
  • 特開-入力装置 図12
  • 特開-入力装置 図13
  • 特開-入力装置 図14
  • 特開-入力装置 図15
  • 特開-入力装置 図16
  • 特開-入力装置 図17
  • 特開-入力装置 図18
  • 特開-入力装置 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187173
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 35/00 20060101AFI20221212BHJP
   H01H 1/20 20060101ALI20221212BHJP
   H01H 1/06 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
H01H35/00 Q
H01H1/20
H01H1/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095038
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】谷口 義尚
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 邦明
(72)【発明者】
【氏名】渡部 弘也
【テーマコード(参考)】
5G051
5G055
【Fターム(参考)】
5G051EA03
5G055DB01
5G055DD19
5G055DD30
5G055DG03
(57)【要約】
【課題】製品毎のバラツキを抑えると共に、高圧領域での出力変化を更に大きくすることができる入力装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る入力装置は、絶縁基板と、絶縁基板上に設けられた第1導電パターン及び第2導電パターンと、第1導電パターン及び第2導電パターンの上に絶縁基板側に向かって進退可能に支持された、凸状端部を有する導電弾性部材とを備え、凸状端部の絶縁基板に対する圧接力が高まるにしたがって凸状端部と第1導電パターン及び第2導電パターンとの接触面積が増大し、第1導電パターンと第2導電パターンの間の電気抵抗が減少する入力装置であって、絶縁基板は、第1導電パターンと第2導電パターンを電気的に独立するよう隔てた隔離面を有し、隔離面は、凸状端部の先端が当接する先端当接エリアと、凸状端部の周辺が当接する周辺当接エリアを有し、周辺当接エリアに第1導電パターン及び第2導電パターンから電気的に独立した島状導電パターンを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板と、
前記絶縁基板上に設けられた第1導電パターン及び第2導電パターンと、
前記第1導電パターン及び前記第2導電パターンの上に前記絶縁基板側に向かって進退可能に支持された、凸状端部を有する導電弾性部材と、を備え、
前記凸状端部の前記絶縁基板に対する圧接力が高まるにしたがって前記凸状端部と前記第1導電パターンの接触面積及び前記凸状端部と前記第2導電パターンの接触面積が増大し、前記第1導電パターンと前記第2導電パターンとの間の電気抵抗が減少する入力装置であって、
前記絶縁基板は、前記第1導電パターンと前記第2導電パターンを電気的に独立するよう隔てた隔離面を有し、
前記隔離面は、前記凸状端部の先端が当接する先端当接エリアと、前記凸状端部の周辺が当接する周辺当接エリアを有し、
前記周辺当接エリアに前記第1導電パターン及び前記第2導電パターンから電気的に独立した島状導電パターンを備える入力装置。
【請求項2】
前記島状導電パターンは、前記先端当接エリアから前記周辺当接エリアに向かう方向に沿って伸びる細長形状に形成されている請求項1記載の入力装置。
【請求項3】
前記島状導電パターンは、前記先端当接エリアから前記周辺当接エリアに向かう方向に沿って断続的に複数設けられている請求項1記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
押圧力が加えられることにより抵抗値(電気抵抗値)が変化する抵抗変化検出型の弾性部材と、一対の電極を備える入力装置は、携帯情報端末等の様々な電子機器にタッチセンサとして広く用いられている。
【0003】
このような弾性部材を備える入力装置として、例えば、特許文献1に、導電抵抗を有する抵抗体からなる接点部材と、その接点部材が接触する回路基板に設けた一対の電極とを有する感圧センサが開示されている。この感圧センサでは、接点部材が押圧されることで、その接点部材と一対の電極とが接触してこれらの接触領域が変化することで、一対の電極間の抵抗値を変化させ、押圧後期の段階では単位押圧力に対する抵抗値の低下を促進させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-114178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の感圧センサでは、接点部材が押圧されるにしたがって接点部材と一対の電極との接触領域を大きくなるように電極の形状は形成されているため、さらに高ストローク側で接点部材と一対の電極との接触領域は大きくし難い、という問題があった。
【0006】
また、高ストローク側で接点部材と一対の電極との接触領域がさらに大きくなるように電極の形状を設計して製造することは困難であるため、高ストローク側での電流変化がさらに大きくなるように電極を設計しても、製造される電極毎に高ストローク側での電流変化にばらつきが生じやすく安定しない可能性が高い、という問題があった。
【0007】
本発明の一態様は、製品毎のバラツキを抑えると共に、高圧領域での出力変化を更に大きくすることができる入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る入力装置の一態様は、絶縁基板と、前記絶縁基板上に設けられた第1導電パターン及び第2導電パターンと、前記第1導電パターン及び前記第2導電パターンの上に前記絶縁基板側に向かって進退可能に支持された、凸状端部を有する導電弾性部材と、を備え、前記凸状端部の前記絶縁基板に対する圧接力が高まるにしたがって前記凸状端部と前記第1導電パターンの接触面積及び前記凸状端部と前記第2導電パターンの接触面積が増大し、前記第1導電パターンと前記第2導電パターンとの間の電気抵抗が減少する入力装置であって、前記絶縁基板は、前記第1導電パターンと前記第2導電パターンを電気的に独立するよう隔てた隔離面を有し、前記隔離面は、前記凸状端部の先端が当接する先端当接エリアと、前記凸状端部の周辺が当接する周辺当接エリアを有し、前記周辺当接エリアに前記第1導電パターン及び前記第2導電パターンから電気的に独立した島状導電パターンを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る入力装置の一態様は、製品毎のバラツキを抑えると共に、高圧領域での出力変化を更に大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態に係る入力装置の構成を示す斜視図である。
図2図1のA-A方向から見た図であり、入力装置の一部の構成を示す平面図である。
図3図2のI-I断面図である。
図4図2のII-II断面図である。
図5】導電弾性部材が島状導電パターンの上面に接触している状態を示す説明図である。
図6】導電弾性部材が島状導電パターンの上面を押圧して変形している状態を示す説明図である。
図7】ストロークと抵抗値との関係の一例を示す説明図である。
図8】ストロークと電流値との関係の一例を示す説明図である。
図9】島状導電パターンの他の構成の一例を示す平面図である。
図10】第1導電パターン及び第2導電パターンの他の構成の一例を示す平面図である。
図11】第1導電パターン及び第2導電パターンの他の構成の一例を示す平面図である。
図12】第1導電パターン及び第2導電パターンの他の構成の一例を示す平面図である。
図13】本発明の第2の実施形態に係る入力装置の構成の一例を示す平面図である。
図14】ストロークと電流値との関係の一例を示す説明図である。
図15】島状導電パターンの他の構成の一例を示す平面図である。
図16】ストロークと電流値との関係の一例を示す説明図である。
図17】実施例1と比較例1の入力装置の電流値の測定結果を示す。
図18】実施例2と比較例2の入力装置の電流値の測定結果を示す。
図19】実施例3と比較例3の入力装置の電流値の測定結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の符号を付して、重複する説明は省略する。また、図面における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。本明細書において数値範囲を示す「~」は、別段の断わりがない限り、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
【0012】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る入力装置について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る入力装置の構成を示す斜視図であり、図2は、図1のA-A方向から見た図であり、入力装置の一部の構成を示す平面図であり、図3は、図2のI-I断面図であり、図4は、図2のII-II断面図である。図1及び図2に示すように、入力装置1Aは、絶縁基板10と、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bと、導電弾性部材30と、島状導電パターン40A及び40Bを備え、導電弾性部材30の第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bへの押圧具合によって第1導電パターン20Aと第2導電パターン20Bとの間の電気抵抗を増減させる。
【0013】
なお、本明細書では、3軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)の3次元直交座標系を用い、島状導電パターン40A及び40Bの配列方向と直交する方向をX軸方向、島状導電パターン40A及び40Bの配列方向をY軸方向とし、入力装置の高さ方向をZ軸方向とする。入力装置1Aの導電弾性部材30側を+Z軸方向とし、絶縁基板10側を-Z軸方向とする。以下の説明において、説明の便宜上、+Z軸方向側を上側又は上、-Z軸方向側を下側又は下と称すが、普遍的な上下関係を表すものではない。
【0014】
絶縁基板10は、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bを設置するための基板である。絶縁基板10は、絶縁性を有していればよく、絶縁基板10としては、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリブチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンニトリル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEk)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、フェノール、エポキシ(ガラスフィラー入り)及びポリカーボネート(PC)等の合成樹脂を用いることができる。これらは、一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐熱性等の観点から、ポリイミド、又はポリエチレンテレフタレート等を用いることが好ましい。
【0015】
絶縁基板10は、図2及び図3に示すように、平面視において、絶縁基板10の主面10aに第1導電パターン20Aと第2導電パターン20Bとを隔てた隔離面11を有する。
【0016】
隔離面11は、第1導電パターン20Aと第2導電パターン20Bとを電気的に独立するように隔てている。
【0017】
隔離面11は、図2及び図4に示すように、導電弾性部材30の凸状端部31の先端が当接する先端当接エリア111と、凸状端部31の周辺が当接する周辺当接エリア112を有する。
【0018】
第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bは、図1及び図3に示すように、絶縁基板10の主面10a上に設けられている。
【0019】
第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bは、図1及び図2に示すように、平面視において、半円状に形成されてよい。第1導電パターン20Aと第2導電パターン20Bとは、隔離面11を介して略対称に形成されてよい。
【0020】
なお、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bは、平面視において、半円状以外の形状に形成されてよい。また、第1導電パターン20Aと第2導電パターン20Bとは、隔離面11を介して対称に形成されていなくてもよい。
【0021】
第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bを形成する材料としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、錫(Sn)、鉛(Pb)、クロム(Cr)及びコバルト(Co)等の各種金属;これらの合金;カーボンブラック、グラファイト(黒鉛)、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー(炭素繊維)、及びフラーレン等の炭素系材料等が挙げられる。第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bを形成する材料は、これらを、一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、接続の安定性、製造コストの低減、及び作製のし易さ等の点から、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bを形成する材料としては、Ag又はCuを用いることが好ましい。第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bは、1つの金属層で形成されていてもよいし、複数の金属層を積層して構成されていてもよい。
【0022】
また、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bは、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bを形成する材料を導電性部材としてバインダーに分散させたコンポジット皮膜としてもよい。これにより、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bは、導電弾性部材30の凸状端部31の押圧に追従して変形させ易くなる。
【0023】
バインダーとしては、エラストマーや合成樹脂を用いることができる。エラストマーとしては、例えば、天然ゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、ポリイソブチレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、エチレン-プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ポリエステルゴム、フッ素ゴム、及びこれらの変性体等を用いることができる。合成樹脂としては、柔軟性エポキシ樹脂等を用いることができる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
さらに、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bは、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bを形成する材料として、電子伝導性の導電性高分子を用いてもよい。電子伝導性の導電性高分子としては、例えば、ポリ3、4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、PEDOTにポリスチレンスルホン酸(ポリ4-スチレンサルフォネート;PSS)をドープしたPEDOT/PSS、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリアニリンスルホン酸、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、又はポリピロール等を用いることができる。これらは、一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。中でも、生体との接触インピーダンスを低くできる点から、PEDOT、PEDOT/PSS、又はポリアニリンスルホン酸を用いることが好ましい。また、生体との接触インピーダンスがより低く、高い導電性を有する点から、PEDOT/PSSを用いることがより好ましい。
【0025】
第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bの厚さは、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bが金属、合金、炭素系材料及びコンポジット皮膜である場合、1μm~50μmであることが好ましく、5μm~30μmであることがより好ましく、10μm~20μmであることがさらに好ましい。第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bの厚さが1μm~50μmの範囲内であれば、導電性を十分確保できる。また、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bの厚さは、流す電流の大きさに対応して決められるが、50μm以上にしてもよい。
【0026】
第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bの厚さは、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bが導電性高分子である場合、10μm~100μmであることが好ましく、20μm~75μmであることがより好ましく、25μm~50μmであることがさらに好ましい。第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bの厚さが10μm~100μmの範囲内であれば、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bは十分な強度及び導電性を有することができる。
【0027】
導電弾性部材30は、図1に示すように、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bの上方に設けられている。導電弾性部材30は、図2及び図3に示すように、入力装置1Aの本体内に、不図示の支持機構等によって、絶縁基板10に向かって進退可能に支持されている。
【0028】
導電弾性部材30は、図1に示すように、円筒状に形成されており、図2及び図3に示すように、その先端に第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bと接触可能な表面である凸状端部31を有する。凸状端部31は、丸みがある曲面形状に形成されており、ドーム形状に形成されてよい。
【0029】
凸状端部31とは、導電弾性部材30のドーム形状に形成されている先端部分であり、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bと接触する先端と、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bと接触する可能性のある、先端の周辺領域を含む。
【0030】
導電弾性部材30は、導電性を有する材料を弾性変形可能な部材に含んで形成されている。これにより、第1導電パターン20Aと第2導電パターン20Bとを電気的に接続することができる。
【0031】
導電性を有する材料としては、上記の、金属、合金、炭素系材料を用いることができる。弾性変形可能な部材を形成する材料としては、例えば、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム又はウレタンゴム等のエラストマーを用いることができる。
【0032】
導電弾性部材30は、エラストマーで形成される場合、導電弾性部材30のゴム硬度は、40~70の範囲内であることが好ましく、50~60の範囲内であることがより好ましい。ゴム硬度が40~70の範囲内であれば、導電弾性部材30は十分な強度を有することができる。なお、ゴム硬度とは、日本工業規格JIS K6301で規定された値である。
【0033】
島状導電パターン40A及び40Bは、図1及び図2に示すように、隔離面11の周辺当接エリア112に、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bから電気的に独立して設けられている。
【0034】
島状導電パターン40A及び40Bは、図2に示すように、対向する第1導電パターン20Aと第2導電パターン20Bとの間に配置されている。
【0035】
島状導電パターン40A及び40Bを形成する材料としては、上記の、金属、合金、炭素系材料、コンポジット皮膜及び導電性高分子を用いることができる。
【0036】
島状導電パターン40A及び40Bの厚さは、図3に示すように、同じでもよい。
【0037】
島状導電パターン40A及び40Bの厚さは、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bの厚さに応じて適宜設定可能であり、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bの厚さと略同じ厚さとしてもよいし、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bよりも厚くてもよい。島状導電パターン40A及び40Bが第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bと同等の厚さ以上であれば、島状導電パターン40A及び40Bは、第1導電パターン20Aと第2導電パターン20Bとの間の導通を確保し易くなる。
【0038】
島状導電パターン40Aと島状導電パターン40Bとの最短距離L1は、第1導電パターン20A、第2導電パターン20B、導電弾性部材30、島状導電パターン40A及び島状導電パターン40A40Bの、材質、形状、大きさ等に応じて適宜設定可能であり、50μm~5mmが好ましく、100μm~3mmがより好ましい。
【0039】
入力装置1Aでは、図4に示すように、導電弾性部材30が島状導電パターン40A及び40Bの上面に非接触の状態で配置されている。そして、導電弾性部材30が上部から押圧され、下降すると、導電弾性部材30が島状導電パターン40A及び40Bの上面に接触すると共に、導電弾性部材30が島状導電パターン40A及び40Bの一部と接触して、第1導電パターン20Aと第2導電パターン20Bとの間を電流が流れ始める。そして、図6に示すように、導電弾性部材30がさらに押圧されて下降し、凸状端部31の絶縁基板10に対する圧接力が高まるにしたがって導電弾性部材30が撓んで変形すると、凸状端部31と第1導電パターン20Aの接触面積及び凸状端部31と第2導電パターン20Bの接触面積が増大し、第1導電パターン20Aと第2導電パターン20Bとの間の電気抵抗を減少させる。また、凸状端部31の絶縁基板10に対する圧接力が高まるにしたがって導電弾性部材30が更に撓んで変形することで、島状導電パターン40A及び40Bを介して、第1導電パターン20Aと第2導電パターン20Bとの間が導通される。これにより、図7に示すように、凸状端部31の絶縁基板10に対する圧接力が高まり、導電弾性部材30のストロークが大きくなることで、島状導電パターン40A及び40Bがない場合(図7中、破線)に比べて、第1導電パターン20Aと第2導電パターン20Bとの間の抵抗値をさらに減少させる。この結果、第1導電パターン20Aと第2導電パターン20Bとの間の導電性が高められ、図8に示すように、第1導電パターン20Aと第2導電パターン20Bとの間を流れる電流値が、島状導電パターン40A及び40Bがない場合(図8中、破線)よりも高められる。
【0040】
入力装置1Aは、絶縁基板10の主面10aに第1導電パターン20Aと第2導電パターン20Bとを隔離する隔離面11を設け、隔離面11の周辺当接エリア112に島状導電パターン40A及び40Bを備える。周辺当接エリア112は、凸状端部31の第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bとの接触面積が大きくなり、導電弾性部材30のストロークが大きい範囲に位置する。入力装置1Aは、島状導電パターン40A及び40Bを、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bの間の周辺当接エリア112に設置することで、導電弾性部材30が下降してストロークが大きい範囲でも、島状導電パターン40A及び40Bが第1導電パターン20Aと第2導電パターン20Bとの導通の橋渡しとなり、第1導電パターン20Aと第2導電パターン20Bとの間を流れる電流量を多くできる。そのため、高ストローク側での電流変化を大きくできる。よって、入力装置1Aは、製品毎のバラツキを抑えると共に、高圧領域での出力変化を更に大きくすることができる。
【0041】
なお、高ストロークとは、ストロークが所定値以上の範囲である。所定値は、特定のストロークに限定されず、入力装置1Aを構成する、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20B、導電弾性部材30等の各部材の大きさ、材質、設計等に応じて適宜設定される。例えば、高ストロークは、導電弾性部材30が第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bを押圧する時点又は第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bが導電弾性部材30により変形し始める時のストロークとしてよい。
【0042】
また、入力装置1Aは、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bの設計や導電弾性部材30を構成する導電ゴムの材質を変えることなく、導電弾性部材30のストロークが大きい範囲での電流の変化量を大きくすることができる。
【0043】
さらに、入力装置1Aは、島状導電パターン40A及び40Bを第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bとは比抵抗が異なる材料を用いて形成できる。これにより、島状導電パターン40A及び40Bは、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bとは異なる導電率を有するため、入力装置1Aは、導電弾性部材30のストロークが大きい高ストローク側において、第1導電パターン20Aと第2導電パターン20Bとの間を流れる電流量を多くして、電流の変化量を容易に大きくできる。
【0044】
なお、入力装置が島状導電パターン40A及び40Bを備えていない場合、導通を構成する材料の選択が第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bの種類の1種類に限定されるため、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bを構成する材料の抵抗値のみによって決定される。また、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bに比抵抗の違う材料を用いると、第1導電パターン20Aと第2導電パターン20Bとはこれらの高さが同じになるように形成し難く、ストロークの大きさに対する荷重の変化量が異なり易くなる。入力装置1Aは、材料での抵抗値を変化させることはできると共に、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bの高さを略同じにでき、ストロークの大きさに対する荷重の変化量が略同じになるように容易に調整できる。
【0045】
入力装置1Aは、島状導電パターン40A及び40Bを、先端当接エリアから周辺当接エリアに向かう方向に沿って伸びる細長形状に形成できる。これにより、入力装置1Aは、導電弾性部材30のストロークが大きい範囲での電流の変化量を大きくすることができるため、出力変化を広い範囲で容易に大きくすることができる。
【0046】
なお、本実施形態では、島状導電パターン40A及び40Bの何れか1つでもよい。
【0047】
本実施形態では、図9に示すように、島状導電パターン40A及び40Bは平面視において矩形でもよい。
【0048】
本実施形態では、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bは、平面視において、図10に示すように、櫛歯状に形成されてもよいし、図11に示すように、菱形に形成されてもよい。第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bは、平面視において、図12に示すように、一対の第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bの互いに対向する外縁が、最初に接点部と接触する頂部を有する山形と、その山形の両端に生じる谷形と、その谷形から斜めに:立ち上がる斜形とが連続した形状に形成されてもよい。
【0049】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る入力装置について説明する。図13は、本実施形態に係る入力装置の構成の一例を示す平面図である。図13に示すように、入力装置1Bは、上記の第1の実施形態に係る入力装置1Aの島状導電パターン40A及び40Bをそれぞれ所定の間隔を有して複数備えたものである。本実施形態では、島状導電パターン40A及び40Bは、それぞれ、平面視において矩形状に形成され、2つずつ設けられている。
【0050】
入力装置1Bは、入力装置1Aと同様、島状導電パターン40A及び40Bを、それぞれ、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bの間の周辺当接エリア112に複数設置することで、導電弾性部材30が下降してストロークが大きい範囲でも、島状導電パターン40A及び40Bが第1導電パターン20Aと第2導電パターン20Bとの導通の橋渡しとなり、第1導電パターン20Aと第2導電パターン20Bとの間を流れる電流量を多くできる。そのため、例えば、図14に示すように、高ストローク側での電流変化をより大きくできる。よって、入力装置1Bでも、入力装置1Aと同様、製品毎のバラツキを抑えると共に、高圧領域での出力変化を更に大きくすることができる。
【0051】
また、入力装置1Bは、島状導電パターン40A及び40Bを、それぞれ、比抵抗が異なる材料を用いて形成できる。例えば、2つの島状導電パターン40A及び40Bのうち、内側に位置する島状導電パターン40A及び40Bを炭素材料で形成し、外側に位置する島状導電パターン40A及び40BをAgで形成できる。これにより、内側に位置する島状導電パターン40A及び40Bと、外側に位置する島状導電パターン40A及び40Bとは異なる導電率を有するため、入力装置1Bは、導電弾性部材30のストロークが大きい高ストローク側において、第1導電パターン20Aと第2導電パターン20Bとの間を流れる電流量がより多くなるようにして、電流の変化量の傾きがより大きくなるように容易に調整できる。
【0052】
なお、本実施形態では、島状導電パターン40A及び40Bのそれぞれの数は、3つ以上でもよく、例えば、図15に示すように、4つでもよい。また、島状導電パターン40A及び40Bのそれぞれの大きさは同一でなくてよい。これにより、例えば、図16に示すように、段階的に電流値を上げることができる。よって、入力装置1Bは、高圧領域での出力変化を段階的に上昇させることができる。
【実施例0053】
以下、実施例及び比較例を示して実施形態を更に具体的に説明するが、実施形態はこれらの実施例及び比較例により限定されるものではない。
【0054】
<実施例1>
[入力装置の作製]
絶縁基板の上に、平面視において半月状の導電パターン(PEDOT/PSS、「Clevios」、ヘレウス社製)を高さが1μm以下になるように、一対形成した。一対の導電パターンの間隔は0.2mmとした。そして、一対の導電パターンの間の隔離面の周辺当接エリアにAgインク(東洋紡社製)を塗布して、周辺当接エリアに対向するように一対の島状導電パターン(Ag)を高さが50μmになるように形成した。そして、一対の導電パターンの上に導電弾性部材(朝日ラバー社製)を設置して、図3に示す入力装置を作製した。
【0055】
[押し込み時の電流値の測定]
導電弾性部材を押圧しながら、一対の導電パターンの間を流れる電流値を測定した。測定結果を図17に示す。なお、一対の島状導電パターンを配置していない入力装置の測定結果を比較例1として示す。
【0056】
図17に示すように、実施例1と比較例1は、初期抵抗値の検出位置は同等であったが、実施例1の方が比較例1よりも、ストロークを大きくするにしたがって電流量が多くなった。
【0057】
また、実施例1と同様にして作製した複数の入力装置の電流値を測定した場合も、それぞれの入力装置で測定される電流値の誤差は殆ど無く、高ストローク側での電流量が略安定し多くなった。
【0058】
よって、実施例1の入力装置は、いずれも、絶縁基板上の一対の導電パターンの間の隔離面の周辺当接エリアに対向するように一対の島状導電パターンを設けることで、高ストローク側で第1導電パターンと第2導電パターンとの間を流れる電流量を高め、電流変化を大きくできた。したがって、実施例1の入力装置は、製品毎のバラツキを抑えると共に、高圧領域での出力変化を大きくすることができるといえる。
【0059】
<実施例2>
実施例1において、島状導電パターンの平面視における形状を略三角形状から四角形状に変更し、四角形状に形成された島状導電パターンをそれぞれ2つ設けたこと以外は、実施例1と同様にして行った。そして、導電弾性部材の平面視において、導電弾性部材から絶縁基板の側面側に向かって、内側に位置する島状導電パターンをカーボンで形成し、外側に位置する島状導電パターンを銀で形成した。導電弾性部材を押圧しながら一対の導電パターンの間を流れる電流値を測定した測定結果を図18に示す。なお、一対の島状導電パターンを配置していない入力装置の測定結果を比較例2として示す。
【0060】
図18に示すように、実施例2と比較例2は、初期抵抗値の検出位置は同等であったが、実施例2の方が比較例2よりも、ストロークを大きくするにしたがって電流量が急激に増大させることができた。これは、四角形状の島状導電パターンを介して一対の矩形状の島状導電パターン同士の間を電流がより流れやすくなったためと考えられる。また、外側に位置する島状導電パターンの材料を、Agで形成し、内側に位置する島状導電パターンの材料として用いたカーボンよりも、導電性が高いため、高ストローク側での電流量をより高め易いといえる。
【0061】
また、実施例2と同様にして作製した複数の入力装置の電流値を測定した場合も、実施例1の場合と同様に、それぞれの入力装置で測定される電流値の誤差は殆ど無く、高ストローク側での電流量が略安定し多くなった。
【0062】
よって、実施例2の入力装置は、いずれも、絶縁基板上の一対の導電パターンの間の隔離面の周辺当接エリアに複数の島状導電パターンを対向するように一対設けることで、高ストローク側で第1導電パターンと第2導電パターンとの間を流れる電流量をより高められ、電流変化を大きくできた。したがって、実施例2の入力装置は、製品毎のバラツキを抑えると共に、高圧領域での出力変化をより大きくすることができるといえる。
【0063】
<実施例3>
実施例2において、四角形状に形成された島状導電パターンをAgでそれぞれ4つ設けた。そして、導電弾性部材の平面視において、導電弾性部材から絶縁基板の側面側に向かって、島状導電パターンの大きさが大きくなるように、島状導電パターンの大きさを変更した。それ以外は、実施例1と同様にして行った。導電弾性部材を押圧しながら一対の導電パターンの間を流れる電流値を測定した測定結果を図198に示す。なお、一対の島状導電パターンを配置していない入力装置の測定結果を比較例3として示す。
【0064】
図19に示すように、実施例3と比較例3は、初期抵抗値の検出位置は同等であったが、実施例3の方が比較例3よりも、ストロークを大きくするにしたがって電流量を段階的に増大させることができた。これは、四角形の島状導電パターンを介して一対の矩形状の島状導電パターン同士の間を電流がより流れやすくなったためと考えられる。また、導電弾性部材が押圧によって変形するのに伴い、導電弾性部材がより平面視における面積が大きい島状導電パターンに接触する面積が大きくなり、電流量が段階的に大きくなったためと考えられる。
【0065】
また、実施例3と同様にして作製した複数の入力装置の電流値を測定した場合も、実施例1の場合と同様に、それぞれの入力装置で測定される電流値の誤差は殆ど無く、高ストローク側での電流量が略安定し多くなった。
【0066】
よって、実施例3の入力装置は、いずれも、絶縁基板上の隔離面の一対の周辺当接エリアに複数の島状導電パターンを導電弾性部材から絶縁基板の側面側に向かってその大きさが大きくなるように一対設けることで、高ストローク側でも、第1導電パターンと第2導電パターンとの間を流れる電流量を段階的に高め、電流変化を大きくできた。したがって、実施例3の入力装置は、製品毎のバラツキを抑えると共に、高圧領域での出力変化を段階的に大きくすることができるといえる。
【0067】
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更などを行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
1A、1B 入力装置
10 絶縁基板
11 隔離面
20A 第1導電パターン
20B 第2導電パターン
30 導電弾性部材
31 凸状端部
40A、40B 島状導電パターン
111 先端当接エリア
112 周辺当接エリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19