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特開2022-187174制御装置、印刷制御方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187174
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】制御装置、印刷制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20221212BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
G06F3/12 355
G06F3/12 305
G06F3/12 332
B41J29/38 202
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095039
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉田 康雄
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061HJ08
2C061HK05
2C061HK07
2C061HN05
2C061HN19
2C061HP02
2C061HP08
2C061HQ01
2C061HV11
2C061HV12
2C061HV35
(57)【要約】
【課題】ユーザーが意図しない印刷設定で印刷される可能性を低減すること。
【解決手段】制御装置で動作可能な、印刷制御ソフトウェアとして機能するプログラムであって、制御装置を、プリンタから、プリンタの印刷において設定可能な印刷設定の情報を取得する第一取得手段と、印刷時のデフォルト印刷設定の情報を取得する第二取得手段と、第一取得手段により取得した印刷設定の情報に、第二取得手段により取得したデフォルト印刷設定の情報が含まれているかどうかの判定をする判定手段と、判定手段により、印刷設定の情報にデフォルト印刷設定の情報が含まれていないと判定した場合に、ユーザーに通知を行う通知手段と、として機能させる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置で動作可能な、印刷制御ソフトウェアとして機能するプログラムであって、
前記制御装置を、
プリンタから、前記プリンタの印刷において設定可能な印刷設定の情報を取得する第一取得手段と、
印刷時のデフォルト印刷設定の情報を取得する第二取得手段と、
前記第一取得手段により取得した前記印刷設定の情報に、前記第二取得手段により取得したデフォルト印刷設定の情報が含まれているかどうかの判定をする判定手段と、
前記判定手段により、前記印刷設定の情報に前記デフォルト印刷設定の情報が含まれていないと判定した場合に、ユーザーに通知を行う通知手段と、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項2】
前記印刷設定の情報は、印刷に用いる用紙の種類を示す情報であることを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記通知手段は、前記用紙の種類が前記プリンタによってサポートされていない用紙の種類である旨を、ディスプレイに通知させることを特徴とする請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記通知手段は、前記デフォルト印刷設定に用いる用紙の種類の選択肢を含む通知をさらに行うことを特徴とする請求項2または3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記選択肢は、前記第一取得手段で取得した前記プリンタの印刷において設定可能な印刷設定から選択が可能であることを特徴とする請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記通知において、前記デフォルト印刷設定に用いる用紙の種類を選択した場合、前記デフォルト印刷設定を、ユーザーが選択した用紙の種類に変更する変更手段をさらに備えることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記制御装置を、
前記プリンタによってサポートされていない用紙の種類が設定された状態で印刷指示を受け付けた場合に、ユーザーに通知を行う第二通知手段としてさらに機能させることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項8】
前記第二通知手段は、印刷データを前記プリンタに送出した際に、前記プリンタでのエラーに基づいて、ユーザーに通知を行うことを特徴とする請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記第二通知手段は、前記印刷制御ソフトウェアにて設定可能な用紙情報を更新するかどうか選択するための通知を行うことを特徴とする請求項7または8に記載のプログラム。
【請求項10】
前記プログラムは、
前記第二通知手段によって通知される前記印刷制御ソフトウェアにて設定可能な用紙情報を更新するかどうかを選択するための通知において、または、前記印刷制御ソフトウェアが提供する設定画面において、用紙情報を更新する指示が入力された場合に、
前記第一取得手段、前記第二取得手段、前記判定手段、および前記通知手段を実行させることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項11】
プリンタから、前記プリンタの印刷において設定可能な印刷設定の情報を取得する第一取得手段と、
印刷制御ソフトウェアを用いた印刷時のデフォルト印刷設定の情報を取得する第二取得手段と、
前記第一取得手段により取得した前記印刷設定の情報に、前記第二取得手段により取得したデフォルト印刷設定に情報が含まれているかどうかの判定をする判定手段と、
前記判定手段により、前記印刷設定の情報に前記デフォルト印刷設定の情報が含まれていないと判定した場合に、ユーザーに通知を行う通知手段と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項12】
プリンタから、前記プリンタの印刷において設定可能な印刷設定の情報を取得する第一取得ステップと、
印刷制御ソフトウェアを用いた印刷時のデフォルト印刷設定の情報を取得する第二取得ステップと、
前記第一取得ステップにより取得した前記印刷設定の情報に、前記第二取得ステップにより取得したデフォルト印刷設定に情報が含まれているかどうかの判定をする判定ステップと、
前記判定ステップにより、前記印刷設定の情報に前記デフォルト印刷設定の情報が含まれていないと判定した場合に、ユーザーに通知を行う通知ステップと、
を備えることを特徴とする制御装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置に対して印刷データを送出する制御装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリンタより印刷を実行する手段として、プリンタと接続するホスト装置にインストールしたプリンタドライバを用いることが一般的である。プリンタドライバには、デフォルトの印刷設定が存在する。これは、ホスト装置上のアプリケーションから印刷を行う際の、印刷設定の初期値として使われるものである。
【0003】
また、プリンタには、設定可能な印刷設定の内容が更新可能な装置が存在する。特許文献1では、プリンタドライバと上述のようなプリンタとを接続し、同期を取ることで、プリンタにて更新した設定可能な印刷設定の情報をプリンタドライバが取得する技術が用いられている。また、取得した情報に基づいてプリンタドライバはデフォルトの印刷設定を変更することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-224702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プリンタドライバにおいてデフォルトの印刷設定として設定されている設定値が、プリンタ側の印刷設定の内容の更新等により非サポートとなる場合がある。この場合、プリンタドライバでは、以後の印刷では、そのデフォルトの印刷設定の内容で印刷できなくなる。また、プリンタの印刷設定の更新内容を同期するプリンタドライバでは、プリンタ側のデフォルトの印刷設定も、同期の結果として、変更されることになるが、ユーザーは、その変更に気づきにくい。
【0006】
そこで本発明は、ユーザーが意図しない印刷設定で印刷される可能性を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るプログラムは、制御装置で動作可能な、印刷制御ソフトウェアとして機能するプログラムであって、前記制御装置を、プリンタから、前記プリンタの印刷において設定可能な印刷設定の情報を取得する第一取得手段と、印刷時のデフォルト印刷設定の情報を取得する第二取得手段と、前記第一取得手段により取得した前記印刷設定の情報に、前記第二取得手段により取得したデフォルト印刷設定の情報が含まれているかどうかの判定をする判定手段と、前記判定手段により、前記印刷設定の情報に前記デフォルト印刷設定の情報が含まれていないと判定した場合に、ユーザーに通知を行う通知手段と、として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザーが意図しない印刷設定で印刷される可能性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】システム構成を示す図である。
図2】ホストコンピュータおよびプリンタのソフトウェア構成を示すである。
図3】ユーザーインターフェース部の提供する印刷設定画面の一例である。
図4】用紙リストの構成を示す図である。
図5】用紙詳細情報の構成を示す図である。
図6】用紙情報更新プログラムの処理を示すフローチャートである。
図7】ユーザーインターフェース部が通知するダイアログの一例である。
図8】プリンタドライバにおける印刷実行時の処理を示すフローチャートである。
図9】プリンタステータス報知部が通知するダイアログの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳しく説明する。尚、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0011】
<実施形態1>
図1は本実施形態の印刷制御装置であるホストコンピュータ(以下、ホスト)1と記録装置であるインクジェットプリンタ(以下、プリンタ)2とを有するプリントシステムの概略を示したブロック図である。図1に示されているように、ホスト1およびプリンタ2は、所定の双方向インターフェース3(例えば、USB、またはTCP/IPなど)を介して互いに接続される。なお、ホスト1はパーソナルコンピュータ(PC)などが代表的な例である。
【0012】
ホスト1は、CPU101などを含むメインボード100、キーボード(KB)105、LCDなどのディスプレイ(DISPLAY)107、および外部記憶装置109を有する。外部記憶装置109は、ハードディスク(HDD)またはフレキシブルディスク(FDD)等を含む。また、メインボード100は、RAM102、ROM103、キーボードコントローラ(KBC)104、ディスプレイコントローラ(DISPC)106、ディスクコントローラ(DKC)108、およびプリンタコントローラ(PRTC)110を有する。
【0013】
CPU101は、システムバス111に接続される上記各構成要素を総括的に制御し、各種プログラムを実行する。KBC104は、キーボード105またはポインティングデバイス(不図示)からの入力を制御する。キーボードコントローラ104を操作部または入力部とも呼ぶ。DISPC106は、DISPLAY107の表示を制御する。
【0014】
RAM102は、CPU101のメインメモリまたはワークエリアとして機能する。ROM103は、オペレーティングシステム、本実施形態に従う各種プログラム、ブートプログラム、各種のアプリケーション、または印刷制御ソフトウェアであるプリンタ制御コマンド生成プログラム(以下、「プリンタドライバ」とも呼ぶ)等を記憶する。DKC108は、ハードディスクまたはフレキシブルディスク(登録商標)等の外部記憶装置109とのアクセスを制御する。PRTC110は、双方向インターフェース3を介してプリンタ2に接続され、プリンタ2との印刷データの通信処理を制御する。
【0015】
プリンタ2は、コントローラ121、プリンタエンジン122、操作パネル12、および不揮発性記憶装置133を有し、双方向インターフェース3を介して、ホスト1と接続されている。不揮発性記憶装置133は、ハードディスク(HDD)128またはEEPROM129を含む。不揮発性記憶装置を不揮発性メモリと呼ぶこともある。
【0016】
コントローラ121は、CPU124、ROM125、RAM126、インタフェースコントローラ(I/FC)123、およびディスクコントローラ(DKC)127を含む。その他、コントローラ121は、パネルインタフェース(I/FP)130、およびエンジンインタフェース(I/FE)132を含む。CPU124は各種プログラムを実行する。ROM125は、ホスト1から印刷データを受信し、プリンタエンジン122を制御して最適な記録を実現させるプログラムまたは各種データを記憶する。
【0017】
RAM126は、各種データや各種プログラムを一時的に記憶するワークエリアとして用いられる。I/FC123は、双方向インターフェース3を介してホスト1に接続され、ホスト1との印刷データの通信処理を制御する。HDD128は、ホスト1からのデータ及びそのデータに関する付属情報など大容量のデータを記憶する。EEPROM129は、記録動作時に使用する記録装置独自の情報などを記憶する。DKC127は、不揮発性記憶装置133とのアクセスを制御する。I/FP130は、操作パネル12への表示または操作パネル12からの入力を制御する。I/FE132は、ハードウェアを直接制御して最適な記録を実現させるプリンタエンジン122を制御する。なお、本実施形態ではプリンタエンジン122はインクジェット記録方法を用いたプリンタエンジンを用いるが、電子写真方式に従うプリンタエンジンまたはオフセット印刷機を用いることもできる。
【0018】
図2は、ホスト1およびプリンタ2のソフトウェアの機能構成を示す図である。本実施形態におけるプリンタ2は、紙または布等の印刷可能な印刷媒体の種別(以降、用紙の種類)が更新可能な装置であるものとする。一般的にプリンタ2は用紙の種類に応じて、それぞれ適合する処理パラメータを用いて印刷を行うようになっている。プリンタ2は、工場からの出荷時点で、複数の用紙の種類に対して印刷可能となっているが、プリンタ2の出荷後に登場した用紙の種類などはサポートしておらず印刷することができない。そのような非サポートの用紙の種類に対して印刷を可能とするために、本実施形態のプリンタ2では、印刷可能な用紙の種類を拡張することができる。印刷可能な用紙の種類の更新手段については、さまざまな方法が考えられる。一例としては、プリンタ2が操作パネル12などを介して、ユーザーからの指示に基づき機能の更新を実施する方法が考えられる。また、プリンタ2と接続した外部の情報処理装置等からの指示により機能の更新を実施する方法、またはプリンタ2がインターネットなどを介した情報の受信により機能の更新を実施する方法などが考えられる。なお、本実施形態では、特に更新方法について限定しないものとする。
【0019】
ホスト1はプリンタドライバ201およびデフォルト印刷設定210を有する。印刷制御ソフトウェアであるプリンタドライバ201は、印刷制御装置で動作可能であり、印刷設定および印刷設定の変更手段を備える。また、ユーザーの印刷指示に基づき、印刷対象のドキュメントを印刷設定の内容に基づきプリンタ2の解釈可能な印刷データに変換してプリンタ2に送出する。プリンタ2は、受け取った印刷データを展開して印刷物の生成を行う。プリンタドライバ201は、ユーザーインターフェース部202、印刷データ生成部203、プリンタステータス報知部204、用紙リスト取得部205、および用紙詳細情報取得部206を有する。また、プリンタドライバ201は、ドライバ用紙情報207を有する。ドライバ用紙情報207は、プリンタドライバ201の印刷設定として設定可能な用紙の種類に関する情報を格納したものであり、ドライバ用紙リスト208およびドライバ用紙詳細情報209を含む。ドライバ用紙リスト208とは、プリンタドライバ201で設定可能な用紙の種類が記載されたリストである。また、ドライバ用紙詳細情報209は、ドライバ用紙リスト208に記載されているそれぞれの用紙の種類についての詳細が記載された情報である。ドライバ用紙リスト208およびドライバ用紙詳細情報209については後述にて詳しく説明する。
【0020】
ユーザーインターフェース部202は、ユーザーに対してプリンタドライバ201の印刷設定を入力するための手段を提供する。プリンタドライバ201はオペレーティングシステムからの印刷設定画面の表示命令に基づき、DISPLAY107に印刷設定画面を表示する。ユーザーインターフェース部202は内部にプリンタ2の機能に関する情報を保持し、これに基づき印刷設定画面を表示する。また、用紙の種類の印刷設定については、ドライバ用紙情報207に基づき印刷設定画面を表示する。さらに、ユーザーインターフェース部202は、プリンタ2から取得したプリンタ用紙情報211を用いてドライバ用紙情報207の内容の上書き更新(同期更新)を行う。
【0021】
印刷データ生成部203は、印刷ジョブとしてプリンタに送出する印刷データを生成する。印刷データ生成部203は、ユーザーインターフェース部202を用いて設定した印刷設定に従って、ユーザーの用意したドキュメントをプリンタ2が解釈可能なデータ形式へ変換すると共に、プリンタ制御を行うための制御コマンドの生成を行う。
【0022】
プリンタステータス報知部204は、双方向インターフェース3を介して、プリンタ2の印刷状況またはエラー発生状況などのステータス情報を取得し、DISPLAY107に情報を表示する。用紙リスト取得部205は、双方向インターフェース3を介して、プリンタ2が有するプリンタ用紙リスト212を取得する。用紙詳細情報取得部206は、双方向インターフェース3を介して、プリンタ2が有するプリンタ用紙詳細情報213を取得する。
【0023】
デフォルト印刷設定210には、ホスト1上のアプリケーションからプリンタドライバ201を介してプリンタ2にて印刷を行う際の、印刷設定の初期値が格納されている。デフォルト印刷設定210に格納する印刷設定は、プリンタドライバ201をホスト1にインストール時、オペレーティングシステムがプリンタドライバ201から取得し、ホスト上のROM103に格納することによって生成される。また、デフォルト印刷設定210の内容は、ユーザーがプリンタドライバ201を介して、任意の印刷設定に変更することが可能である。
【0024】
プリンタ2は、プリンタコントローラ部121、プリンタエンジン部122、およびプリンタ用紙情報211を備える。プリンタ用紙情報211は、プリンタ2の印刷設定として設定可能な用紙の種類に関する情報を格納したものであり、プリンタ用紙リスト212およびプリンタ用紙詳細情報213を含む。プリンタ用紙リスト212とは、プリンタ2でサポートされている用紙の種類が記載されたリストである。また、プリンタ用紙詳細情報213は、プリンタ用紙リスト212に記載されているそれぞれの用紙の種類についての詳細が記載された情報である。プリンタ用紙リスト212およびプリンタ用紙詳細情報213については後述にて詳しく説明する。本実施形態では説明上呼び分けているが、ドライバ用紙リスト208とプリンタ用紙リスト212とはそれぞれ同じ構造のデータからなる。また、ドライバ用紙詳細情報209とプリンタ用紙詳細情報213とについても、それぞれ同じ構造のデータからなる。
【0025】
図3は、ユーザーインターフェース部202がドライバ用紙情報207に従って提供するプリンタドライバの印刷設定画面の一例である。本実施形態における印刷設定画面は、基本設定シート301を有し、このシート上で用紙の種類302、および用紙の種類302に関連するいくつかの印刷設定が可能となっている。用紙の種類302に関連する機能としては、品位303、両面印刷304、フチなし印刷305、およびモノクロ印刷306、が提供されている。
【0026】
品位303は、印刷物の出力品位を選択するものであり、「きれい」、「標準」、および「はやい」といった選択肢を有するものとする。両面印刷304、フチなし印刷305、およびモノクロ印刷306は、それぞれ機能の「オン」、「オフ」を選択肢と持ち、設定に応じて印刷結果に反映されるものとする。用紙情報更新307は、後述する用紙情報更新プログラムを起動するためのボタンである。
【0027】
図4は、ドライバ用紙情報207に含まれるドライバ用紙リスト208、またはプリンタ用紙情報211に含まれるプリンタ用紙リスト212の一例を示したものである。本実施形態では、図4(a)は、ドライバ用紙情報207に含まれるドライバ用紙リスト208とし、図4(b)は、プリンタ用紙情報211に含まれるプリンタ用紙リスト212であるものとする。なお、両者のデータの構造は同一である。図3にて示されている用紙の種類302は、ドライバ用紙リスト208に記載された用紙の種類403を、並び順402に従って、印刷設定の選択肢として提供される。さらに、ドライバ用紙リスト208には、リスト情報の更新日時401と、用紙の種類403の各用紙に対するドライバ用紙詳細情報209を基に生成したチェックSUM値404を有する。
【0028】
図5は、任意の用紙の種類403に対するドライバ用紙詳細情報209の一例を示したものである。また、図5は、用紙の種類403が「普通紙(高画質)」の場合についてのドライバ用紙詳細情報209である。ドライバ用紙詳細情報209は、用紙の種類403に記載された用紙個数分の情報テーブルから成る。基本設定シート301において任意の用紙の種類302を選択している時、ユーザーインターフェース部202は、品位303、両面印刷304、フチなし印刷305、およびモノクロ印刷306の選択肢を提供する。これらの選択肢は、ドライバ用紙詳細情報209の項目501に対応する内容502に基づいて提供される。なお、プリンタ用紙詳細情報213についても、図5で示した情報テーブルと同じ構造のデータから成っている。
【0029】
ユーザーの要望通りの印刷を行うためには、ドライバ用紙情報207が含むドライバ用紙リスト208と、プリンタ用紙情報が含むプリンタ用紙リスト212の内容が一致していることが望ましい。例えば、プリンタ側での印刷設定の更新を行った際、プリンタドライバにてデフォルトとして設定されている用紙の種類がサポートされた状態のままであれば問題なく印刷ができる。しかし、プリンタ側での印刷設定の更新によって、プリンタドライバにてデフォルトとして設定されている用紙の種類が非サポートの状態となった場合は、印刷が実行できなくなってしまう。さらに、デフォルトの印刷設定はアプリケーションから印刷する際の初期値として使われるため、デフォルトの印刷設定の設定値が現在プリンタで非サポートとなっていることはユーザーにとって気づきにくい。そこで本実施形態では、図3に示す用紙情報更新307がユーザーによって押下されたとき、ドライバ用紙リスト208およびプリンタ用紙リスト212の記載内容に応じて、処理を行う。
【0030】
図6は、用紙情報更新プログラムの処理プログラムを示すフローチャートである。本実施形態では、上述の通り、プリンタドライバ201は、ドライバ用紙リスト208として図4(a)を有し、プリンタ2は、プリンタ用紙リスト212として、図4(b)を有するものとする。また、プリンタ用紙リスト212に「普通紙(高画質)」が記載されている場合におけるプリンタ用紙詳細情報213を図5に示すものとする。さらに、デフォルト印刷設定210には、デフォルトの用紙の種類302の印刷設定として「普通紙」が格納されているものとする。以上の状況のもと、ユーザーインターフェース部202上で、用紙情報更新307が押下された時に、CPU101が実行する、用紙情報更新プログラムの内容を、図6のフローチャートを用いて説明する。なお、図6の各ステップにおける処理は、ホスト1のCPU101が、ROM103に記憶されているプログラムコードを、RAM102に展開し実行することにより行われる。なお、各処理の説明における記号「S」は、当該フローチャートにおけるステップであることを意味する。
【0031】
まず、図6のフローチャートは、基本設定シート301において用紙情報更新307が押下されることによって、処理が開始される。S601においてCPU101は、用紙リスト取得部205を用いて、プリンタ2からプリンタ用紙リスト212(Aとする)の取得を行う。本実施形態では、図4(b)に示した内容のリスト情報がプリンタ用紙リスト212として取得されることとなる。
【0032】
次に、S602においてCPU101は、オペレーティングシステムを介して、デフォルト印刷設定210を取得し、格納されているデフォルトの用紙の種類302(Bとする)を取得する。本実施形態では、「普通紙」が取得されることとなる。S603においてCPU101は、S602で取得した用紙の種類302(B)がS601で取得したプリンタ用紙リスト212(A)の中に含まれるか否かを判定する。含まれている場合は、S608へ進む。一方、含まれていない場合は、S604に進む。S604では、用紙情報更新プログラムの処理を進めることによって、現在、デフォルト印刷設定210に格納されているデフォルトの用紙の種類302の設定が、非サポートとなった旨の通知を行う。
【0033】
図7は、S604で、CPU101が、DISPLAY107に表示するダイアログの一例を示している。図7のダイアログには、デフォルトの用紙の種類302の設定が非サポート化された旨の説明701が含まれており、これにより、ユーザーに非サポートであることの報知を行う。また、今後、デフォルトの用紙の種類302として利用するものを選択するコントロール702を備える。コントロール702には、S601で取得したプリンタ用紙リスト212に含まれる用紙の種類413が選択できるようになっている。さらに、図7のダイアログでは、続行ボタン703とキャンセルボタン704とを備える。なお、図7は、デフォルトの用紙の種類302の設定が非サポート化された旨の説明701およびデフォルトの用紙の種類302として利用するものを選択するコントロール702を同一画面で表示しているが、別々に表示させてもよい。
【0034】
S605においてCPU101は、図7のダイアログで、ユーザーが続行ボタン703とキャンセルボタン704のどちらを押下したか判定する。ユーザーによって続行ボタン703が押下されたと判定した場合、S606に進む。一方ユーザーが、続行ボタン703ではなくキャンセルボタン704を押下した場合、CPU101は用紙情報更新プログラムを終了する。
【0035】
S606においてCPU101は、ドライバ用紙情報207を更新することによって、プリンタドライバ201で設定可能な用紙の種類302の更新を行う。具体的には、まず、CPU101が、S601で取得したプリンタ用紙リスト212を基に、ドライバ用紙リスト208を上書き更新する。次に、CPU101は、用紙詳細情報取得部206を用いて、更新後のドライバ用紙リスト208に記載の用紙の種類403のうち、現在の、ドライバ用紙詳細情報209に含まれていない用紙の種類403の情報を、プリンタ用紙詳細情報213から取得する。そして、取得したプリンタ用紙詳細情報213を、ドライバ用紙詳細情報209として保管することを行う。本実施形態の場合、S606の処理を行うことによって、ドライバ用紙リスト208が図4(a)から図4(b)に更新される。また、図4(b)リストに載っている用紙の種類503の内、現在の、ドライバ用紙詳細情報209に含まれない「普通紙(高画質)」の情報を、プリンタ用紙詳細情報213から取得し、ドライバ用紙詳細情報209に保管する。
【0036】
次に、S607においてCPU101は、デフォルト印刷設定210に格納されている用紙の種類302の変更を行う。これは、S605にて、図7のダイアログ上で続行ボタン703が押下されたタイミングでコントロール702にて選択されていた用紙の種類を、デフォルト印刷設定210として格納することを行う。変更後、CPU101は用紙情報更新プログラムを終了する。
【0037】
S608においてCPU101は、デフォルトに設定されている用紙の種類以外における用紙の種類において、プリンタ用紙リストとドライバ用紙リストとが異なっている場合に対応するために、ドライバ用紙情報207の更新を行う。S608の処理を行った後、CPU101は用紙情報更新プログラムを終了する。
【0038】
以上説明したように、本実施形態によれば、プリンタドライバのデフォルトの印刷設定がプリンタの印刷設定の更新によって非サポートとなった場合の使用性を向上させることができる。具体的には上述で説明したような処理フローを行うことによって、デフォルトの印刷設定に登録されている印刷設定が、プリンタで利用できなくなっている場合、通知を行うことでこれをユーザーが認識することができる。なお、通知は、図6のS603にてYESと判定された場合(即ち、プリンタ2で印刷が利用できなっている場合)に行うためユーザーが不要な通知を受けずに済むようにしている。また、通知画面にてデフォルト用紙の種類の変更も併せて行うことができる点も、ユーザーにとって使用性の向上に繋がる。
【0039】
<実施形態2>
本実施形態では、プリンタ2でサポートしていない用紙の種類302を、プリンタドライバ201にて設定し、印刷を行った場合の処理フローについて説明する。
【0040】
図8は、プリンタドライバにおける印刷実行時の処理を示すフローチャートである。ここで、プリンタドライバ201は、ドライバ用紙リスト208として図4(a)の内容を有するものとする。また、プリンタ2は、プリンタ用紙リスト212として、図4(b)の内容を有するものとする。また、図5はプリンタ用紙リスト212に「普通紙(高画質)」が記載されている場合におけるプリンタ用紙詳細情報213を示すものとする。さらに、デフォルト印刷設定210には、デフォルトの用紙の種類302の印刷設定として「普通紙」が格納されているものとする。以上の状況のもと、ホスト1上のアプリケーションから、プリンタドライバ201を介して、用紙の種類302の印刷設定が「普通紙」で、プリンタ2に対して印刷を行った時の処理フローを図8のフローチャートを用いて説明する。
【0041】
図8のフローチャートは、ホスト1上のアプリケーションからプリンタドライバ201に対して印刷指示を出すことによって開始される。なお、図8の各ステップにおける処理は、ホスト1のCPU101が、ROM103に記憶されているプログラムコードを、RAM102に展開し実行することにより行われる。なお、各処理の説明における記号「S」は、当該フローチャートにおけるステップであることを意味する。
【0042】
S801においてCPU101は、印刷データ生成部203を用いて、用紙の種類302に「普通紙」が設定された印刷データを生成し、プリンタ2への送出を行う。S802においてCPU101は、S801で送出した印刷データに設定された用紙の種類302が、プリンタ2でサポートされているか、即ち、プリンタ2で印刷エラーが発生しているか否かの判定を行う。なお、上述の判定は、プリンタステータス報知部204を用いて取得した、プリンタ2のステータス情報に基づき行われる。本実施形態では、S801で送出した印刷データの用紙の種類302には「普通紙」が設定されているのに対し、プリンタ2では「普通紙」をサポートしていないため、印刷エラーが発生する。この場合は、S802の判定の結果、処理をS803に進める。また、エラーが発生していないと判定された場合は、CPU101はプログラムを終了する。S803においてCPU101は、プリンタ2で印刷エラーが発生している旨の通知を行う。
【0043】
図9は、S803で、CPU101が、DISPLAY107に表示するダイアログの一例を示している。図9のダイアログには、用紙の種類302の設定が非サポートである旨の説明901が含まれており、これにより、ユーザーに非サポートとなる旨の報知を行う。加えて説明901では、プリンタ2でサポートしているプリンタ用紙情報211とドライバ用紙情報207とを同期するため、ドライバ用紙情報207の更新を実施するかどうかの問い合わせをユーザーに対し行う。図9のダイアログには、この問い合わせに対する同意ボタン902と、いいえボタン903とを備える。
【0044】
S804では、図9のダイアログで、ユーザーが同意ボタン902と、いいえボタン903のどちらを押下したかによって、CPU101が処理の分岐を行う。ユーザーが、同意ボタン902を押下した場合、CPU101は、処理をS805に進め、ユーザーが、いいえボタン903を押下した場合、CPU101は、プログラムを終了する。
【0045】
S805において、CPU101は、ドライバ用紙情報更新の処理を行う。即ち、プリンタドライバ201のドライバ用紙情報207の更新を行う。これは、CPU101によって、図6に示した処理フローを開始し、以降の処理は、実施形態1にて説明した内容に即して処理フローを進めるものとする。S805の処理が終了したら、CPU101は、プログラムを終了する。
【0046】
以上説明したように、本実施形態によれば、プリンタ2でサポートしていない用紙の種類302を、プリンタドライバ201にて設定し、印刷を行った場合においてユーザーに通知画面を表示することで迅速に異常を報知できる。また、通知画面での操作によってドライバ用紙情報207を更新することも可能であるためプリンタドライバ201の使用性を向上させることができる。さらに、プリンタ2の印刷設定の内容を更新したユーザーと、プリンタドライバ201を利用し印刷を行うユーザーとが異なる場合においても、上述の通知を行うことは有効である。
【0047】
<その他の実施形態>
上述では、印刷時の用紙の種類に着目して上記の実施形態の説明をしたが、用紙の種類以外の印刷設定においても上記の実施形態を適用することができる。例えば、フチなし印刷設定のデフォルト設定が変わることもあり得る。一例として、デフォルトの「用紙の種類A(フチなし可)」が、プリンタ側で削除などされ、デフォルトの「用紙の種類B(フチなし不可)」に変更される場合があり得る。このような場合にも、フチなし印刷不可になる旨を通知してもよい。その他、印刷に関わる設定がプリンタ側で非サポートの設定となった場合に、該当の印刷設定が変更になる旨の通知をしてもよい。
【0048】
また、ある一つのプリンタドライバに対して、印刷を実行することができる記録装置が複数ある場合についても実施形態を適用することができる。具体的には、両面印刷ができる記録装置Aと、両面印刷ができない記録装置Bとに対し、共通のプリンタドライバを用いて印刷を行う環境があるとする。プリンタドライバのデフォルト印刷設定が「両面印刷ON」であるとき、印刷を実行する記録装置の設定を記録装置Aから記録装置Bに変更すると、印刷ができなくなる。このような場合に実施形態2のフローを適用することができる。
【0049】
本発明は上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は、記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。又、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 ホストコンピュータ
2 プリンタ
201 プリンタドライバ
210 デフォルト印刷設定
212 プリンタ用紙リスト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9