(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187180
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】水栓
(51)【国際特許分類】
E03C 1/05 20060101AFI20221212BHJP
E03C 1/042 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
E03C1/05
E03C1/042 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095055
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000242378
【氏名又は名称】株式会社KVK
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山田 篤則
(72)【発明者】
【氏名】長江 拓磨
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA03
2D060BA05
2D060BB03
2D060BC00
2D060BE00
2D060BE15
2D060BF01
2D060CA04
2D060CA15
(57)【要約】
【課題】水栓の組付性を向上させる。
【解決手段】本体部3と、前記本体部3を内部に収容するカバー2とを有する水栓であって、前記本体部3は、給水管への接続部11と吐水口31とを連通する通水路を内部に有するとともに、センサからの検知信号に基づいて前記通水路を開閉する弁部22を有する通水部材4と、前記通水部材4の上部に設けられて、前記弁部22に電力を供給するとともに前記弁部22の開閉を制御する弁駆動ユニット6とを備え、前記通水部材4には、前記弁駆動ユニット6を直接又は間接的に載置する第1載置部13、15、30と、嵌合又は当接によって、前記弁駆動ユニット6が正規の位置から前記カバー2の組付方向へ移動することを規制する第1規制部13、15bが設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、前記本体部を内部に収容するカバーとを有する水栓であって、
前記本体部は、
給水管への接続部と吐水口とを連通する通水路を内部に有するとともに、センサからの検知信号に基づいて前記通水路を開閉する弁部を有する通水部材と、
前記通水部材の上部に設けられて、前記弁部に電力を供給するとともに前記弁部の開閉を制御する弁駆動ユニットと
を備え、
前記通水部材には、前記弁駆動ユニットを直接又は間接的に載置する第1載置部と、嵌合又は当接によって、前記弁駆動ユニットが正規の位置から前記カバーの組付方向へ移動することを規制する第1規制部が設けられていることを特徴とする水栓。
【請求項2】
前記本体部は、前記通水部材と前記弁駆動ユニットとの間に設けられる支持部材をさらに備え、
前記第1載置部は、前記支持部材を載置することによって前記弁駆動ユニットを間接的に載置し、
前記第1規制部は、前記支持部材との嵌合又は当接によって、該支持部材が正規の位置から前記カバーの組付方向へ移動することを規制し、
前記支持部材には、前記弁駆動ユニットを載置する第2載置部と、前記弁駆動ユニットとの嵌合又は当接によって、該弁駆動ユニットが正規の位置から前記カバーの組付方向へ移動することを規制する第2規制部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の水栓。
【請求項3】
前記支持部材には、前記通水部材の幅方向の両側部に当接する一対の側壁が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の水栓。
【請求項4】
前記弁駆動ユニットは、前記検知信号に基づいて前記弁部の開閉を制御する駆動制御部と、前記弁部及び前記駆動制御部に電力を供給する電源供給部とを備え、
前記駆動制御部及び前記電源供給部は、嵌合によって組み付けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の水栓。
【請求項5】
前記本体部は、前記カバーの内面に当接して、前記カバーの組付方向以外の方向への移動が規制されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ式の水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
物体を検知するためのセンサが取り付けられ、センサからの検知信号に基づいて吐水口からの吐止水を自動的に行うようにした水栓が知られている。
特許文献1に記載される自動水栓は、吐水部、弁部、電源供給部、及び制御回路部等が筒状のケース内に組み付けられて構成されている。吐水部は、自動水栓から外部へ延びる配管を介して給水源としての上水道に接続されるとともに、内部に通水路が設けられた吐水部材を備えている。弁部は、電源供給部からの電源の供給によって作動する電磁弁を備えている。電磁弁は、制御回路部からの指令に基づいて通水路を開閉動作する。電源供給部及び制御回路部、電磁弁及び制御回路部はそれぞれ配線で接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される自動水栓は、概ね、次のようにして組み立てられる。まず、吐水部材の上部に弁部及び制御回路部を載せて、これらを手で保持しながらそれぞれネジ止めにより固定する。続いて、配線を電源供給部の下部に収容しながら電源供給部を吐水部材の上部に重ねて、電源供給部を手で保持しながら吐水部材にネジ止めにより固定する。そして、吐水部材にロアケースをネジ止めにより固定するとともに、アッパケースをスライドさせながらロアケースに組み付ける。
【0005】
このように、従来の水栓の組立方法では、ネジ止めにより固定する箇所が複数ある。また、ネジ止めする際には、各部材を手で保持している必要がある。そのため、組付作業の効率が悪く、改善の余地があるものであった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の水栓は、本体部と、前記本体部を内部に収容するカバーとを有する水栓であって、前記本体部は、給水管への接続部と吐水口とを連通する通水路を内部に有するとともに、センサからの検知信号に基づいて前記通水路を開閉する弁部を有する通水部材と、前記通水部材の上部に設けられて、前記弁部に電力を供給するとともに前記弁部の開閉を制御する弁駆動ユニットとを備え、前記通水部材には、前記弁駆動ユニットを直接又は間接的に載置する第1載置部と、嵌合又は当接によって、前記弁駆動ユニットが正規の位置から前記カバーの組付方向へ移動することを規制する第1規制部が設けられている。
【0007】
水栓を組み立てる際、カバーの内部に収容される本体部を組み立て、本体部にカバーを組み付ける。本体部は、通水部材と、通水部材の上部に設けられる弁駆動ユニットを備えている。通水部材には第1載置部が設けられているため、本体部を組み立てる際、弁駆動ユニットを通水部材の上部に仮置き状態にすることができる。これにより、弁駆動ユニット及び通水部材を手で保持したり、ネジ止めにより固定したりしなくても、仮置き状態を保持することができる。また、通水部材には、弁駆動ユニットが正規の位置からカバーの組付方向へ移動することを規制する第1規制部が設けられている。そのため、弁駆動ユニットが仮置き状態のままであっても、カバーの組付時にカバーとともに組付方向へ移動することが規制される。ネジ止めにより固定しなくても、通水部材と弁駆動ユニットとが正規の位置に組み付けられる。上記の構成によれば、水栓の組付性が向上する。
【0008】
上記の構成において、前記本体部は、前記通水部材と前記弁駆動ユニットとの間に設けられる支持部材をさらに備え、前記第1載置部は、前記支持部材を載置することによって前記弁駆動ユニットを間接的に載置し、前記第1規制部は、前記支持部材との嵌合又は当接によって、該支持部材が正規の位置から前記カバーの組付方向へ移動することを規制し、前記支持部材には、前記弁駆動ユニットを載置する第2載置部と、前記弁駆動ユニットとの嵌合又は当接によって、該弁駆動ユニットが正規の位置から前記カバーの組付方向へ移動することを規制する第2規制部が設けられていることが好ましい。
【0009】
水栓のメンテナンス時等に、水栓のカバーを取り外し、水栓の設置箇所である壁面等に取り付けられた通水部材から、弁駆動ユニット等の部材を取り外したり、組付けたりする場合がある。上記の構成によれば、本体部が支持部材を備えているため、弁駆動ユニットを組み付ける際、弁駆動ユニットを支持部材に載置した状態で、支持部材とともに通水部材に載置することができる。水栓の組付作業がし易い。
【0010】
また、第1載置部及び第2載置部により、通水部材の上部に支持部材を仮置き状態とし、支持部材の上部に弁駆動ユニットを仮置き状態にすることができる。弁駆動ユニット、支持部材、及び通水部材を手で保持したり、ネジ止めにより固定したりしなくても、仮置き状態を保持することができる。そして、カバーの組付時には、第1規制部及び第2規制部により、支持部材及び弁駆動ユニットがカバーとともに組付方向に移動することが規制される。水栓の組付性が向上する。
【0011】
上記の構成において、前記支持部材には、前記通水部材の幅方向の両側部に当接する一対の側壁が形成されていることが好ましい。この構成によれば、支持部材の一対の側壁が通水部材の両側部を保持することができる。そのため、支持部材が通水部材の上部に安定して載置される。支持部材の組付性が向上する。
【0012】
上記の構成において、前記弁駆動ユニットは、前記検知信号に基づいて前記弁部の開閉を制御する駆動制御部と、前記弁部及び前記駆動制御部に電力を供給する電源供給部とを備え、前記駆動制御部及び前記電源供給部は、嵌合によって組み付けられていることが好ましい。この構成によれば、駆動制御部と電源供給部を互いにネジ止め固定することなく、一体化することができる。弁駆動ユニットの組付性が向上する。
【0013】
上記の構成において、前記本体部は、前記カバーの内面に当接して、前記カバーの組付方向以外の方向への移動が規制されていることが好ましい。この構成によれば、本体部を構成する通水部材、支持部材、弁駆動ユニットをそれぞれネジ止め固定しなくても、カバーの内部で位置決めされる。本体部のガタつきが抑制され、安定した状態で保持される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、水栓の組付性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を具体化した一実施形態の水栓について説明する。本実施形態の水栓1は、電池で作動し、センサで物体を検知することにより弁体を開閉動作させて吐止水を行うセンサ式の自動水栓である。
【0017】
図1に示すように、水栓1は略円柱状に形成されて、その軸線が洗面所等の壁面Wに対して垂直となるように取り付けられている。以下では、水栓1の取付側を基端側、取付側とは反対側を先端側と規定する。また、取り付けられた状態で、水栓1の上下を規定する。水栓1の軸線方向、又は、後述するカバー本体7の軸線方向を軸線方向と言う。さらに、水栓1の軸線方向及び上下方向に直交する方向を幅方向と言う。
【0018】
図2に示すように、水栓1は、カバー2と、カバー2の内部に収容される本体部3を備えている。本体部3は、通水部材4、支持部材5、及び弁駆動ユニット6を備えている。
<カバー2について>
図1及び
図2に示すように、カバー2は、略円筒状のカバー本体7と、カバー本体7の基端部を被覆する化粧カバー8と、カバー本体7の先端縁を閉塞するキャップ9を備えている。カバー本体7の周面には複数の開口(切り欠きを含む。以下、同様である。)が形成されている。カバー本体7の下面には、先端側からセンサ用開口7a、吐水口用開口7bが形成されている。吐水口用開口7bからは、通水部材4に取り付けられた吐水口31が突出している。カバー2の基端部下面には、止水栓12が露出する止水栓用開口7cが形成されている。カバー2の基端部には、2つの当接部用開口7dと、3つの貫通孔7eが形成されている。また、化粧カバー8の下面には、止水栓用開口7cと連通するとともに、止水栓12が露出する止水栓用開口8aが形成されている。
【0019】
<通水部材4について>
図2~
図4に示すように、通水部材4の基端部には、図示しない給水管に接続される接続筒11が形成されている。また、通水部材4の先端部には、軸線方向に延びる円筒形状の吐水管30が形成され、吐水管30の先端には、下方に向かって開口する吐水口31が取り付けられている。通水部材4の内部には、接続筒11と吐水口31とを連通する通水路32が設けられている。通水部材4の軸線方向の中間部には、センサ62aからの検知信号に基づいて通水路32を開閉する弁部を有する弁ユニット20が設けられている。
【0020】
図4に示すように、通水部材4の基端下部には、止水栓12が取り付けられている。止水栓12は水栓1のメンテナンス時等に吐水口31からの吐水を手動で停止するためのものである。止水栓12の上部には、幅方向に延びる当接部13が形成されている。当接部13の先端側には、上下方向に延びる当接面13aが形成され、上側には、軸線方向に延びる載置面13bが形成されている。
【0021】
当接部13の先端側には、幅方向に延びるカバー固定部14が形成されている。カバー固定部14には、幅方向に開口するネジ孔14aが形成されている。当接部13の幅方向の長さは、カバー固定部14の幅方向の長さより長い。そのため、当接部13の幅方向両端部は、カバー固定部14の幅方向両端部から突出している。
【0022】
当接部13及びカバー固定部14の幅方向中間部には、上方に延びる突出部15が形成されている。突出部15の基端側には上方に開口するネジ孔15aが形成され、先端側には上方に開口する断面円形状の係止孔15bが形成されている。カバー固定部14の先端側の下部には、幅方向に延びる張出部16が形成されている。
【0023】
弁ユニット20は内部パイロット式であり、ダイヤフラム弁を備える主弁部21と、パイロット弁を備える副弁部22とを有している。副弁部22には、図示しない配線が接続されており、後述するセンサユニット62から引き出された配線64aとコネクタ64cを介して接続されている。センサ62aからの検知信号に基づいてパイロット弁が駆動することにより、ダイヤフラム弁が通水路32を開放して吐水口31から水が吐出される。主弁部21の上面には、平坦な板材23が取り付けられている。副弁部22の基端部には、副弁部22の先端部や主弁部21より幅広の副弁固定部24が形成されている。
【0024】
<支持部材5について>
図2及び
図3に示すように、支持部材5は通水部材4の上方から取り付けられて、その上部に弁駆動ユニット6を収容している。支持部材5の基端部には、配線63、64を収容する配線収容部51が形成され、先端部には、電池ボックス61及びセンサユニット62を収容する電源収容部52が形成されている。配線収容部51は弁ユニット20の上部に位置し、電源収容部52は吐水管30の上部に位置している。
【0025】
図5に示すように、配線収容部51は、上向き半円筒状の周壁が軸線方向に切り欠かれることにより形成された一対の側壁51aと、上向き半円筒状の周壁51bを有している。一対の側壁51a及び周壁51bに囲まれた部分が、配線63、64を収容する配線スペース53を構成する。配線スペース53の下方には、弁ユニット20の板材23が位置しており、板材23が配線スペース53の底面として機能している。
【0026】
配線収容部51の周壁51bの幅方向両側には、一対の切欠部54が形成されている。切欠部54は、側面視矩形状に切り欠かれて、上下方向に延びる切欠縁54aと軸線方向に延びる切欠縁54bを有している。切欠部54の先端側であって、周壁51bの幅方向両側には、一対のネジ用開口51cが形成されている。また、周壁51bの上部には、貫通孔51dが形成されている。
【0027】
図3に示すように、周壁51bの内周面には、下方へ突出する円筒状の係止筒55が形成されている。係止筒55の外径は、通水部材4の基端部に形成された突出部15の係止孔15bの内径より少し小さい。
【0028】
図5に示すように、配線収容部51の先端部には、一対の側壁51aの先端から連設されて上下方向に延びる一対の側壁56が形成されている。側壁56の外面には、上下方向に延びる3つのリブ56a、56b、56cが形成されている。先端側のリブ56aは側壁56の先端縁に形成されている。
【0029】
図5に示すように、電源収容部52は、配線収容部51の側壁56の下端縁から軸線方向先端側へ延びるような形状に形成されている。電源収容部52の下部には、開口52aが形成されて、開口52aの周縁部には、平面状の載置部52bが形成されている。また、電源収容部52の基端部には、幅方向に延びる連結壁57が形成されている。連結壁57の下面には、上向き円形状に切り欠かれて軸線方向に延びる管当接面57aが形成されている。連結壁57の先端側には、幅方向に対向するように一対の係合壁58が形成されている。
【0030】
<弁駆動ユニット6について>
図2及び
図6に示すように、弁駆動ユニット6は、電池ボックス61、センサユニット62、及び配線63、64を備えている。電池ボックス61は半円筒状に形成されて、内部に電池が収容される。電池ボックス61の側部には、嵌合爪61aが形成されている。
図6に示すように、電池ボックス61の軸線方向中間部には、幅方向の両側部に一対の被係合部61bが形成されている。
【0031】
電池ボックス61の軸線方向の長さは、センサユニット62の軸線方向の長さより長く、電池ボックス61の基端部は、センサユニット62の基端部から軸線方向に突出している。電池ボックス61においてセンサユニット62から突出した部分の下面には、平面状の平面部61cが形成されている。
【0032】
図3及び
図6に示すように、センサユニット62は、収容ケース65と、収容ケース65の内部に収容されて、センサ62a及び制御部62bが搭載された制御基板62cを備えている。制御部62bは、センサ62aからの検知信号に基づいて吐水を制御する。収容ケース65の側部には、電池ボックス61の嵌合爪61aが嵌合する嵌合孔65aが形成されている。電池ボックス61と収容ケース65は、嵌合爪61aと嵌合孔65aとの嵌合により一体化している。収容ケース65の下面の周縁部には、平面状の平面部65bが形成されている。
【0033】
図6に示すように、配線63は、電池ボックス61から引き出された配線63aと、センサユニット62から引き出された配線63bとがコネクタ63cによって接続されたものである。配線63により、電池からの電力がセンサユニット62に供給される。配線64は、センサユニット62から引き出された配線64aと、副弁部22から引き出された図示しない配線とがコネクタ64cによって接続されたものである。配線64により、電池からの電力がセンサユニット62を介して副弁部22に供給されて、センサ62aからの検知信号に基づいて副弁部22の駆動が制御される。
【0034】
<水栓1の組立作業について>
次に、水栓1の組立作業について、その作用とともに説明する。
図2に示すように、まず、通水部材4の上部に支持部材5を組み付ける。
図4及び
図5に示すように、支持部材5は、配線収容部51が通水部材4の基端部に位置し、電源収容部52が吐水管30の上部に位置するように組み付ける。
【0035】
図3及び
図7に示すように、このとき、通水部材4の主弁部21の全体と副弁部22の基端部は、支持部材5の配線スペース53の下部に位置し、側壁56で囲まれた領域には副弁部22の先端部が位置している。通水部材4の突出部15の上面には、支持部材5の周壁51bが載置されて、支持部材5の係止筒55が突出部15の係止孔15bに係合される。また、通水部材4の当接部13の載置面13bには、支持部材5の切欠部54の切欠縁54bが載置される。さらに、通水部材4の吐水管30の上面には、支持部材5の連結壁57が載置されて、吐水管30の上部周面に連結壁57の管当接面57aが当接する。これにより、支持部材5が通水部材4の上部に仮置き状態とされる。通水部材4の突出部15、当接部13、及び吐水管30は、請求項で規定する第1載置部に相当する。
【0036】
図4及び
図5に示すように、通水部材4のカバー固定部14の幅方向両端部には、支持部材5の周壁51bの内面が当接する。カバー固定部14のネジ孔14aの位置に、周壁51bのネジ用開口51cが位置する。また、通水部材4の張出部16の幅方向両端部と、副弁固定部24の幅方向両端部には、支持部材5の側壁51aの内面が当接する。支持部材5は、周壁51b及び側壁51aで、通水部材4の幅方向両側部を挟み込むような状態となり、支持部材5の仮置き状態が安定する。
【0037】
図7に示すように、通水部材4の上部に支持部材5が載置された状態では、支持部材5の切欠部54の切欠縁54bは、通水部材4の当接部13の当接面13aに当接している。また、
図3に示すように、通水部材4の突出部15の係止孔15bには、支持部材5の係止筒55が係合されている。これにより、支持部材5が通水部材4に対して軸線方向基端側に移動することが規制される。支持部材5の仮置き状態が安定する。通水部材4の当接部13、係止孔15bは、請求項で規定する第1規制部に相当する。また、係止孔15bと係止筒55の係合により、支持部材5が通水部材4に対して軸線方向先端側へ移動することも規制される。
【0038】
図2に示すように、続いて、支持部材5の上部に弁駆動ユニット6を組み付ける。
図5及び
図6に示すように、弁駆動ユニット6は、配線63、64が横に引き出された状態で、電池ボックス61及びセンサユニット62を支持部材5の電源収容部52に収容する。
図3、
図5及び
図6に示すように、電源収容部52の載置部52bには、センサユニット62の収容ケース65の平面部65bが載置される。このとき、収容ケース65内でセンサ62a及び制御部62bが収容された部分は、電源収容部52の開口52aから下方に位置している。また、電源収容部52の連結壁57には、電池ボックス61の平面部61cが載置される。支持部材5の載置部52b及び連結壁57は、請求項で規定する第2載置部に相当する。
【0039】
図5及び
図6に示すように、電池ボックス61の幅方向両側部の被係合部61bには、支持部材5の係合壁58が係合する。これにより、電池ボックス61及びセンサユニット62は、幅方向両側部が係合壁58によって挟み込むような状態で支持される。
【0040】
図7に示すように、支持部材5の上部に弁駆動ユニット6が載置された状態では、弁駆動ユニット6の電池ボックス61の基端面が、支持部材5のリブ56aに当接している。これにより、弁駆動ユニット6が支持部材5に対して軸線方向基端側に移動することが規制される。電池ボックス61及びセンサユニット62の仮置き状態が安定する。支持部材5のリブ56aは、請求項で規定する第2規制部に相当する。また、弁駆動ユニット6の被係合部61bの基端縁には、支持部材5の係合壁58の基端縁が当接している。これにより、弁駆動ユニット6が支持部材5に対して軸線方向先端側へ移動することも規制される。
【0041】
電池ボックス61及びセンサユニット62を電源収容部52に収容した後、配線63、64を配線収容部51の配線スペース53内に収容する。
図7に示すように、通水部材4、支持部材5、及び弁駆動ユニット6が組み付けられて本体部3が形成される。支持部材5の配線収容部51は、全体に上向き半円筒状に形成されており、電池ボックス61は、半円筒状に形成されている。そのため、通水部材4に、支持部材5及び弁駆動ユニット6が組み付けられた本体部3の上半部は、半円柱形状をなしている。
【0042】
図2に示すように、本体部3に対してカバー本体7を軸線方向先端側から基端側に向けて組み付ける。通水部材4に形成された第1規制部としての当接部13、突出部15、支持部材5に形成された第2規制部としてのリブ56aにより、通水部材4に対して、支持部材5及び弁駆動ユニット6がカバー本体7の組付方向へ移動することが規制される。支持部材5及び弁駆動ユニット6が仮置き状態で組み付けられた正規の位置から位置ずれすることが抑制される。
【0043】
図2に示すように、組み付けられたカバー本体7は、当接部用開口7dが通水部材4の当接部13に当接して、それ以上の移動が規制される。また本体部3は、支持部材5の周壁51b、側壁51a、リブ56a、56b、56c、及び電池ボックス61の外面等で、カバー本体7の内周面に当接している。これにより、本体部3が、カバー本体7の軸線方向と直交する方向へ移動することが規制される。
【0044】
カバー本体7を組み付けた後、カバー本体7の両側部の貫通孔7e、支持部材5のネジ用開口51c、及び通水部材4のネジ孔14aにネジS1を締め付ける。また、カバー本体7の上部の貫通孔7e、支持部材5の貫通孔51d、及び通水部材4のネジ孔15aにネジS2を締め付ける。続いて、化粧カバー8を組み付けるとともに、キャップ9を取り付ける。カバー本体7の吐水口用開口7bから、通水部材4に吐水口31を取り付けることで水栓1が組み立てられる。
【0045】
<本実施形態の水栓1の効果について>
(1)本実施形態の水栓1では、通水部材4は、当接部13の載置面13b、突出部15の上面、及び吐水管30の上部周面に支持部材5を載置する。そのため、本体部3を組み立てる際、支持部材5を通水部材4の上部に仮置き状態にすることができる。また、支持部材5は、電源収容部52の載置部52bの上面及び連結壁57の上面に弁駆動ユニット6を載置する。そのため、本体部3を組み立てる際、弁駆動ユニット6を支持部材5の上部に仮置き状態にすることができる。本体部3を組み付ける際、構成する部材同士を手で保持したり、ネジ止めにより固定したりしなくてもよく、水栓1の組付性が向上する。
【0046】
(2)支持部材5は、通水部材4の当接部13の当接面13a、係止孔15bに当接して、正規の位置からカバー本体7の組付方向へ移動することが規制されている。また、弁駆動ユニット6は、支持部材5の側壁56のリブ56aに当接して、正規の位置からカバー本体7の組付方向へ移動することが規制されている。そのため、支持部材5や弁駆動ユニット6が仮置き状態のままであっても、カバー本体7とともに組付方向へ移動することが規制される。ネジ止めにより固定しなくても、通水部材4に対して、支持部材5及び弁駆動ユニット6が正しい位置に組み付けられる。水栓1の組付性が向上する。
【0047】
(3)弁駆動ユニット6は、支持部材5の上部に載置されている。そのため、水栓1のメンテナンス時等に弁駆動ユニット6を組み付ける際、弁駆動ユニット6を支持部材5に載置した状態で、支持部材5とともに通水部材4に載置することもできる。
【0048】
(4)支持部材5には、通水部材4の張出部16の幅方向両端部と、副弁固定部24の幅方向両端部に当接する側壁51aが形成されている。支持部材5は一対の側壁51aで通水部材4の幅方向両側部を挟み込むような状態で仮置き状態を保持することができる。支持部材5の仮置き状態が安定して、水栓1の組付性が向上する。
【0049】
(5)弁駆動ユニット6の電池ボックス61とセンサユニット62は、嵌合爪61aと嵌合孔65aとの嵌合により一体化している。そのため、電池ボックス61とセンサユニット62を互いにネジ止め固定する必要がない。弁駆動ユニット6の組付性が向上する。
【0050】
(6)本体部3は、カバー本体7の内面に当接している。そのため、カバー本体7の軸線方向と直交する方向へ移動することが規制されるだけでなく、カバー本体7の組付方向以外の方向への移動が規制される。通水部材4、支持部材5、弁駆動ユニット6をそれぞれネジ止め固定しなくても、カバー本体7の内部で位置決めされる。本体部3のガタつきが抑制され、カバー本体7の内部に安定した状態で保持される。
【0051】
(7)通水部材4の突出部15の係止孔15bに、支持部材5の係止筒55が係合していることで、支持部材5が通水部材4に対して軸線方向先端側に移動することが規制される。また、支持部材5の係合壁58の基端縁に電池ボックス61の被係合部61bの基端縁が係合することで、弁駆動ユニット6が支持部材5に対して軸線方向先端側に移動することが規制される。そのため、弁駆動ユニット6や支持部材5の仮置き状態が安定する。また、水栓1のメンテナンス時等にカバー本体7を外す際、弁駆動ユニット6や支持部材5が意図せず外れることが抑制される。水栓1の組付性が向上する。
【0052】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態の水栓1では、弁駆動ユニット6は、支持部材5を介して通水部材4の上部に載置されているが、支持部材5を省略することもできる。この場合、通水部材4に、弁駆動ユニット6を載置するための第1載置部が設けられていて、弁駆動ユニット6を直接載置するようにすればよい。また、通水部材4に、弁駆動ユニット6のカバー本体7の組付方向への移動を規制する第1規制部が設けられていればよい。
【0053】
・上記実施形態の水栓1では、支持部材5は、通水部材4の当接部13の当接面13aに当接することによって、カバー本体7の組付方向への移動が規制されるが、これに限定されない。支持部材5と通水部材4との嵌合によって組付方向への移動が規制されていてもよい。支持部材5と弁駆動ユニット6との移動規制についても同様である。
【0054】
・通水部材4の第1載置部の位置は、上記実施形態のものに限定されない。支持部材5を仮置き状態に保持できればよい。支持部材5の第2載置部についても同様である。
・通水部材4の第1規制部の位置は、上記実施形態のものに限定されない。支持部材5の移動規制ができればよい。支持部材5の第2規制部についても同様である。
【0055】
・弁駆動ユニット6を支持部材5にネジ止め固定するようにしてもよい。また、支持部材5を通水部材4にネジ止め固定するようにしてもよい。
・支持部材5に、通水部材4の幅方向両側部に当接する一対の側壁51aが形成されていなくてもよい。例えば、側壁51aの上下方向の長さが短く、通水部材4の幅方向両側部を挟み込むような形状でなくてもよい。
【0056】
・電池ボックス61とセンサユニット62は嵌合によって組み付けられていなくてもよい。例えば、ネジ止めにより固定されていてもよい。
・水栓1の形状は特に限定されない。略円柱状のものでなくてもよい。また、通水部材4、支持部材5、弁駆動ユニット6の形状も特に限定されない。
【0057】
・本体部3とカバー本体7の内面との当接箇所は上記実施形態のものに限定されない。また、本体部3はカバー本体7の内面に当接していなくてもよい。
・カバー本体7とキャップ9が一体であってもよい。
【0058】
・化粧カバー8を省略してもよい。
上記実施形態及び変更例から把握される技術的思想について以下に記載する。
(イ)本体部と、前記本体部を内部に収容するカバーとを有する水栓であって、前記本体部は、給水管への接続部と吐水口とを連通する通水路を内部に有するとともに、センサからの検知信号に基づいて前記通水路を開閉する弁部を有する通水部材と、前記通水部材の上部に設けられる支持部材と前記支持部材の上部に設けられて、前記弁部に電力を供給するとともに前記弁部の開閉を制御する弁駆動ユニットとを備え、前記通水部材には、前記支持部材を載置する第1載置部と、前記支持部材との嵌合又は当接によって前記カバーの組付方向への該支持部材の移動を規制する第1規制部が設けられ、前記支持部材には、前記通水部材の側部を挟み込む一対の第1側壁が形成されていることを特徴とする水栓。
【0059】
(ロ)前記支持部材には、前記弁駆動ユニットを載置する第2載置部と、前記弁駆動ユニットとの嵌合又は当接によって、前記カバーの組付方向への該弁駆動ユニットの移動を規制する第2規制部が設けられていることを特徴とする上記(イ)に記載の水栓。
【0060】
(ハ)前記支持部材には、前記弁駆動ユニットの側部を挟み込む一対の第2側壁が形成されていることを特徴とする上記(イ)又は(ロ)に記載の水栓。
【符号の説明】
【0061】
1…水栓、2…カバー、3…本体部、4…通水部材、5…支持部材、6…弁駆動ユニット、11…接続筒(接続部)、13…当接部(第1載置部、第1規制部)、15…突出部(第1載置部)、15b…係止孔(第1規制部)、22…副弁部(弁部)、30…吐水管(第1載置部)、31…吐水口、32…通水路、52b…載置部(第2載置部)、56a…リブ(第2規制部)、57…連結壁(第2載置部)、61…電池ボックス(電源供給部)、62…センサユニット(駆動制御部)、62a…センサ。