(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187183
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】基板作業装置および浮遊物検出方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20221212BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095059
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】柏村 雅司
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC21
5E353EE02
5E353EE90
5E353GG01
5E353HH11
5E353JJ21
5E353JJ45
5E353JJ48
5E353KK02
5E353KK03
5E353KK25
5E353LL03
5E353LL04
5E353LL06
5E353MM04
5E353MM08
5E353QQ11
(57)【要約】
【課題】部品が実装される実装箇所を有する基板に所定作業を実行するにあたって、浮遊物の発生状況を確認することを可能とする。
【解決手段】部品実装機4(基板作業装置)の筐体40内に浮遊するダストを検出するダストセンサ5(浮遊物検出部)が設けられ、このダストセンサ5が筐体40内のダストの量に応じた検出値Vc1、Vc2を出力する。したがって、ダストセンサ5の検出値Vc1、Vc2に基づき、部品実装機4におけるダストの発生状況を確認することが可能となっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品が実装される実装箇所を有する基板に所定作業を実行する基板作業装置であって、
筐体と、
前記筐体内の作業位置に前記基板を搬入する基板搬送部と、
前記基板搬送部によって前記作業位置に搬入された前記基板に前記所定作業を実行する作業実行部と、
前記筐体内に浮遊する浮遊物を検出して前記浮遊物の量に応じた検出値を出力する浮遊物検出部と
を備える基板作業装置。
【請求項2】
前記作業位置への前記基板の搬入前に、前記浮遊物検出部の前記検出値を搬入前検出値として取得して、前記搬入前検出値に基づき前記基板搬送部による前記基板の搬入を制御する第1制御部をさらに備える請求項1に記載の基板作業装置。
【請求項3】
前記第1制御部は、前記搬入前検出値が搬入許可閾値未満の場合に、前記作業位置への前記基板の搬入を前記基板搬送部に実行させる一方、前記搬入前検出値が前記搬入許可閾値以上の場合は、前記基板搬送部による前記作業位置への前記基板の搬入を禁止する請求項2に記載の基板作業装置。
【請求項4】
前記第1制御部は、前記搬入前検出値が前記搬入許可閾値以上である場合は、作業者に警告を報知する請求項3に記載の基板作業装置。
【請求項5】
前記第1制御部は、前記警告を報知した後の前記浮遊物検出部の前記検出値を警告後検出値として取得し、前記警告後検出値が前記搬入許可閾値未満であることを確認すると、前記作業位置への前記基板の搬入を前記基板搬送部に実行させる請求項4に記載の基板作業装置。
【請求項6】
前記第1制御部は、前記搬入前検出値が前記搬入許可閾値以上であることを確認してから所定時間を経過した後の前記浮遊物検出部の前記検出値を警告前検出値として取得し、前記警告前検出値が前記搬入許可閾値以上であることを確認すると、作業者に警告を報知する請求項3に記載の基板作業装置。
【請求項7】
前記第1制御部は、前記警告前検出値が前記搬入許可閾値未満であることを確認すると、前記作業位置への前記基板の搬入を前記基板搬送部に実行させる請求項6に記載の基板作業装置。
【請求項8】
前記第1制御部は、作業者の入力操作に応じて前記搬入許可閾値を変更する請求項3ないし7のいずれか一項に記載の基板作業装置。
【請求項9】
前記作業実行部による前記所定作業の実行前に、前記浮遊物検出部が検出した浮遊物の量を作業前検出値として取得して、前記作業前検出値に基づき前記作業実行部による前記所定作業の実行を制御する第2制御部をさらに備える請求項1ないし8のいずれか一項に記載の基板作業装置。
【請求項10】
前記第2制御部は、前記作業前検出値が作業許可閾値以上である場合は、前記作業実行部による前記所定作業の実行を禁止する請求項9に記載の基板作業装置。
【請求項11】
前記第2制御部は、前記作業前検出値が前記作業許可閾値未満である場合に、前記作業実行部に前記所定作業を実行させる請求項10に記載の基板作業装置。
【請求項12】
前記作業位置に搬入された前記基板を撮像するカメラをさらに備え、
前記第2制御部は、前記カメラが前記基板を撮像することで取得した画像によって前記基板に付着する付着物の有無を判断した結果に基づき、前記作業実行部による前記所定作業の実行を制御する請求項10に記載の基板作業装置。
【請求項13】
前記第2制御部は、前記基板に付着する前記付着物を確認した場合は、前記作業実行部による前記所定作業の実行を禁止する請求項12に記載の基板作業装置。
【請求項14】
前記第2制御部は、前記作業前検出値が前記作業許可閾値未満であることと、前記基板に前記付着物が付着していないこととを確認した場合に、前記作業実行部に前記所定作業を実行させる請求項13に記載の基板作業装置。
【請求項15】
前記第2制御部は、作業者の入力操作に応じて前記作業許可閾値を変更する請求項10ないし14のいずれか一項に記載の基板作業装置。
【請求項16】
前記浮遊物検出部が出力する前記検出値をログとして保存する記憶部をさらに備える請求項1ないし15のいずれか一項に記載の基板作業装置。
【請求項17】
前記浮遊物検出部は、前記基板搬送部に取り付けられている請求項1ないし16のいずれか一項に記載の基板作業装置。
【請求項18】
前記作業実行部は、前記所定作業を実行する作業ユニットと、前記作業ユニットを駆動するユニット駆動部とを有し、
前記浮遊物検出部は、前記作業ユニットに取り付けられている請求項1ないし17のいずれか一項に記載の基板作業装置。
【請求項19】
前記浮遊物検出部は、前記筐体内に複数設けられている請求項1ないし18のいずれか一項に記載の基板作業装置。
【請求項20】
前記作業実行部は、前記作業位置に搬入された前記基板の前記実装箇所に部品を実装する請求項1ないし19のいずれか一項に記載の基板作業装置。
【請求項21】
前記作業実行部は、前記作業位置に搬入された前記基板の前記実装箇所に半田を印刷する請求項1ないし19のいずれか一項に記載の基板作業装置。
【請求項22】
部品が実装される実装箇所を有する基板に所定作業を実行する基板作業装置で浮遊物を検出する浮遊物検出方法であって、
前記基板作業装置の筐体内に配置された浮遊物検出部によって、前記筐体内に浮遊する浮遊物を検出することで、前記浮遊物の量に応じた検出値を前記浮遊物検出部から出力する工程を備える浮遊物検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品が実装される実装箇所を有する基板に所定作業を実行する基板作業装置で浮遊物を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、基板の実装箇所に半田を印刷する半田印刷機と、半田が印刷された基板の実装箇所に部品を実装する部品実装機とを用いて、部品が実装された基板を生産することができる。特に特許文献1では、基板を撮像するカメラが設けられ、カメラによって撮像した画像に基づき、基板に付着した異物を検出すると、基板から異物を除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、基板への作業の実行は、清浄な環境で行われることが好ましい。しかしながら、異物が既に付着した基板を確認する上記の手法では、これに対応することが難しい。つまり、半田印刷機や部品実装機といった基板作業装置の内部で塵や埃といった浮遊物が多量に浮遊している環境は、基板に作業を行うのに適切ではない。しかしながら、上記の手法は、かかる浮遊物の発生状況を確認できるものではない。そこで、基板作業装置における浮遊物の発生状況を確認できる技術が求められていた。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、部品が実装される実装箇所を有する基板に所定作業を実行するにあたって、浮遊物の発生状況を確認することを可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る基板作業装置は、部品が実装される実装箇所を有する基板に所定作業を実行する基板作業装置であって、筐体と、筐体内の作業位置に基板を搬入する基板搬送部と、基板搬送部によって作業位置に搬入された基板に所定作業を実行する作業実行部と、筐体内に浮遊する浮遊物を検出して浮遊物の量に応じた検出値を出力する浮遊物検出部とを備える。
【0007】
本発明に係る浮遊物検出方法は、部品が実装される実装箇所を有する基板に所定作業を実行する基板作業装置で浮遊物を検出する浮遊物検出方法であって、基板作業装置の筐体内に配置された浮遊物検出部によって、筐体内に浮遊する浮遊物を検出することで、浮遊物の量に応じた検出値を浮遊物検出部から出力する工程を備える。
【0008】
このように構成された本発明(基板作業装置、浮遊物検出方法)では、基板作業装置の筐体内に浮遊する浮遊物を検出する浮遊物検出部が設けられ、この浮遊物検出部が筐体内の浮遊物の量に応じた検出値を出力する。したがって、浮遊物検出部の検出値に基づき、基板作業装置における浮遊物の発生状況を確認することが可能となっている。
【0009】
また、作業位置への基板の搬入前に、浮遊物検出部の検出値を搬入前検出値として取得して、搬入前検出値に基づき基板搬送部による基板の搬入を制御する第1制御部をさらに備えるように、基板作業装置を構成してもよい。かかる構成では、基板の搬入前における浮遊物の発生状況に基づき、基板の搬入を適切に制御することができる。
【0010】
また、第1制御部は、搬入前検出値が搬入許可閾値未満の場合に、作業位置への基板の搬入を基板搬送部に実行させる一方、搬入前検出値が搬入許可閾値以上の場合は、基板搬送部による作業位置への基板の搬入を禁止するように、基板作業装置を構成してもよい。かかる構成では、筐体内における浮遊物が多い場合は、筐体内の作業位置への基板の搬入が禁止されるため、清浄でない環境に基板が搬入されるのを抑制できる。
【0011】
また、第1制御部は、搬入前検出値が搬入許可閾値以上である場合は、作業者に警告を報知するように、基板作業装置を構成してもよい。かかる構成では、筐体内における浮遊物が多い場合には、作業者に警告が報知される。したがって、作業者は、警告をきっかけに清掃作業を適宜実行して、筐体内から浮遊物を取り除くことができる。
【0012】
また、第1制御部は、警告を報知した後の浮遊物検出部の検出値を警告後検出値として取得し、警告後検出値が搬入許可閾値未満であることを確認すると、作業位置への基板の搬入を基板搬送部に実行させるように、基板作業装置を構成してもよい。かかる構成では、作業者の清掃作業によって筐体内の浮遊物が減少した場合には、筐体内の作業位置へ基板を搬入することができる。
【0013】
また、第1制御部は、搬入前検出値が搬入許可閾値以上であることを確認してから所定時間を経過した後の浮遊物検出部の検出値を警告前検出値として取得し、警告前検出値が搬入許可閾値以上であることを確認すると、作業者に警告を報知するように、基板作業装置を構成してもよい。かかる構成では、筐体内における浮遊物が多い場合には、作業者に警告が報知される。したがって、作業者は、警告をきっかけに清掃作業を適宜実行して、筐体内から浮遊物を取り除くことができる。
【0014】
また、第1制御部は、警告前検出値が搬入許可閾値未満であることを確認すると、作業位置への基板の搬入を基板搬送部に実行させるように、基板作業装置を構成してもよい。かかる構成では、筐体内の浮遊物の量が所定時間の経過とともに減少したような場合には、筐体内の作業位置へ基板を搬入することができる。
【0015】
また、第1制御部は、作業者の入力操作に応じて搬入許可閾値を変更するように、基板作業装置を構成してもよい。かかる構成では、作業者が求める筐体内の清浄レベルに応じて、基板の搬入の実行・禁止を制御することができる。
【0016】
また、作業実行部による所定作業の実行前に、浮遊物検出部が検出した浮遊物の量を作業前検出値として取得して、作業前検出値に基づき作業実行部による所定作業の実行を制御する第2制御部をさらに備えるように、基板作業装置を構成してもよい。かかる構成では、所定作業の実行前における浮遊物の発生状況に基づき、基板への所定作業の実行を適切に制御することができる。
【0017】
また、第2制御部は、作業前検出値が作業許可閾値以上である場合は、作業実行部による所定作業の実行を禁止するように、基板作業装置を構成してもよい。かかる構成では、筐体内における浮遊物が多い場合は、所定作業の実行が禁止されるため、清浄でない環境で基板に所定作業が実行されるのを抑制することができる。
【0018】
また、第2制御部は、作業前検出値が作業許可閾値未満である場合に、作業実行部に所定作業を実行させるように、基板作業装置を構成してもよい。かかる構成では、清浄な環境において、基板への所定作業を実行することができる。
【0019】
また、作業位置に搬入された基板を撮像するカメラをさらに備え、第2制御部は、カメラが基板を撮像することで取得した画像によって基板に付着する付着物の有無を判断した結果に基づき、作業実行部による所定作業の実行を制御するように、基板作業装置を構成してもよい。かかる構成では、基板の付着物の有無に応じて、基板への所定作業の実行を適切に制御することができる。
【0020】
また、第2制御部は、基板に付着する付着物を確認した場合は、作業実行部による所定作業の実行を禁止するように、基板作業装置を構成してもよい。かかる構成では、付着物が付着した基板へ所定作業が実行されるのを抑制することができる。
【0021】
また、第2制御部は、作業前検出値が作業許可閾値未満であることと、基板に付着物が付着していないこととを確認した場合に、作業実行部に所定作業を実行させるように、基板作業装置を構成してもよい。かかる構成では、付着物が付着していない基板に対して、所定作業を適切に実行することができる。
【0022】
また、第2制御部は、作業者の入力操作に応じて作業許可閾値を変更するように、基板作業装置を構成してもよい。かかる構成では、作業者が求める筐体内の清浄レベルに応じて、所定作業の実行・禁止を制御することができる。
【0023】
また、浮遊物検出部が出力する検出値をログとして保存する記憶部をさらに備えるように、基板作業装置を構成してもよい。かかる構成では、ログを解析することで、浮遊物の発生状況に対する知見を得ることが可能となる。
【0024】
また、浮遊物検出部は、基板搬送部に取り付けられているように、基板作業装置を構成してもよい。かかる構成では、基板の近傍における浮遊物の発生状況を確認することができる。
【0025】
また、作業実行部は、所定作業を実行する作業ユニットと、作業ユニットを駆動するユニット駆動部とを有し、浮遊物検出部は、作業ユニットに取り付けられているように、基板作業装置を構成してもよい。かかる構成では、作業ユニットに伴って浮遊物検出部を移動させることで、浮遊物の発生状況を確認する場所を適宜変更することができる。
【0026】
また、浮遊物検出部は、筐体内に複数設けられているように、基板作業装置を構成してもよい。かかる構成では、複数の場所で浮遊物を検出でき、筐体内の広い範囲で浮遊物の発生状況を確認することができる。
【0027】
また、作業実行部は、作業位置に搬入された基板の実装箇所に部品を実装するように、基板作業装置を構成してもよい。かかる構成では、部品実装機(基板作業装置)における浮遊物の発生状況を確認することができる。
【0028】
また、作業実行部は、作業位置に搬入された基板の実装箇所に半田を印刷するように、基板作業装置を構成してもよい。かかる構成では、印刷機(基板作業装置)における浮遊物の発生状況を確認することができる。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本発明によれば、部品が実装される実装箇所を有する基板に所定作業を実行するにあたって、浮遊物の発生状況を確認することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図2】
図1の部品実装機が備える電気的構成を示す図。
【
図3】部品実装機で実行される基板搬入制御の第1例を示すフローチャート。
【
図4】部品実装機で実行される基板搬入制御の第2例を示すフローチャート。
【
図5】部品実装機で実行される部品実装制御の一例を示すフローチャート。
【
図7】ダストセンサの検出値をログとして収集する動作の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は部品実装機を模式的に示す平面図であり、
図2は
図1の部品実装機が備える電気的構成を示す図である。
図1および以下の図では、水平方向であるX方向、X方向に直交する水平方向であるY方向および鉛直方向であるZ方向を適宜示す。この部品実装機4は、基板Bに設けられた実装箇所に部品Pを実装する。基板Bは例えばプリント基板であり、実装箇所は例えばプリント基板に設けられたランドである。
【0032】
図2に示すように、部品実装機4は、制御部410、記憶部420およびUI(User Interface)430を備える。制御部410は、CPU(Central Processing Unit)等で構成されるプロセッサであり、部品実装機4の全体を制御する。記憶部420は、HDD(Hard Disk Drive)あるいはSSD(Solid State Drive)等の記憶装置であり、各種データを記憶する。UI430は、例えばタッチパネルディスプレイで構成され、作業者に情報を表示したり、作業者の入力操作を受け付けたりする。
【0033】
図1に示すように、部品実装機4は、Y方向へ並列に配置された一対のコンベア41を備える。そして、部品実装機4は、コンベア41によりY方向(基板搬送方向)の上流側(
図1の左側)から実装作業位置Lo(
図1の基板Bの位置)に搬入した基板Bに対して部品Pを実装し、部品Pの実装を完了した基板B(部品実装基板B)をコンベア41により実装作業位置LoからY方向の下流側へ搬出する。このコンベア41による基板Bの搬送は、制御部410によって制御される。
【0034】
また、部品実装機4では、X方向に平行な一対のX軸レール421と、X方向に平行なX軸ボールネジ422と、X軸ボールネジ422を回転駆動するX軸モータMx(サーボモータ)とが設けられ、Y方向に平行なY軸レール424が一対のX軸レール421にX方向に移動可能に支持された状態でX軸ボールネジ422のナットに固定されている。Y軸レール424には、Y方向に平行なY軸ボールネジ425と、Y軸ボールネジ425を回転駆動するY軸モータMy(サーボモータ)とが取り付けられており、ヘッドユニット43がY軸レール424にY方向に移動可能に支持された状態でY軸ボールネジ425のナットに固定されている。したがって、制御部410は、X軸モータMxによりX軸ボールネジ422を回転させてヘッドユニット43をX方向に移動させ、Y軸モータMyによりY軸ボールネジ425を回転させてヘッドユニット43をY方向に移動させることができる。
【0035】
ヘッドユニット43には、基板認識カメラCが取り付けられている。基板認識カメラCは下方を向いており、実装作業位置Loに位置する基板Bのフィデューシャルマークを撮像する。基板認識カメラCによって撮像された画像は、制御部410に転送されて、制御部410は、画像に含まれるフィデューシャルマークから基板Bの位置を求めることができる。
【0036】
ヘッドユニット43は、いわゆるロータリ型の実装ヘッド431を有する。つまり、実装ヘッド431は、回転軸を中心に円周状に等角度間隔で配列された複数(8個)のノズル432を有し、複数のノズル432は、R軸モータMrの駆動力によって、回転軸を中心に回転可能である。さらに、ノズル432は、アクチュエータ等で構成されたZ軸駆動機構MzによってZ方向に昇降される。したがって、制御部410は、R軸モータMrを制御することでノズル432の回転位置を調整できるとともに、Z軸駆動機構Mzを制御することでノズル432の高さを調整することができる。
【0037】
また、ノズル432には圧力付与部433が連通しており、圧力付与部433は、制御部410に制御に応じて、ノズル432に所定の圧力を付与する。具体的には、ノズル432によって部品Pを吸着・保持する場合には、圧力付与部433は、ノズル432に負圧を与える。また、ノズル432から基板Bの実装箇所(ランド)に部品Pを載置する場合には、圧力付与部433は、ノズル432に大気圧あるいは正圧を与える。
【0038】
図1に示すように、一対のコンベア41のY方向の両側それぞれでは、2つの部品供給部44がX方向に並んでいる。各部品供給部44に対しては、複数のテープフィーダ441がY方向に並んで着脱可能に装着されている。テープフィーダ441はX方向に延設されており、X方向におけるコンベア41側の先端部に部品供給箇所442を有する。そして、集積回路、トランジスタ、コンデンサ等の小片状の部品Pを所定間隔おきに収納したテープが巻き付けられた部品供給リールが各テープフィーダ441に対して配置され、テープフィーダ441には、部品供給リールから引き出されたテープが装填されている。そして、テープフィーダ441は、制御部410からの指令に応じて、テープをコンベア41側へ向けてX方向に間欠的に送り出す。これによって、テープ内の部品PがX方向(フィード方向)に送り出されて、テープフィーダ441の部品供給箇所442に順番に供給される。
【0039】
そして、実装ヘッド431は、制御部410の指令に基づき次の動作を実行することで、基板Bに部品Pを実装する。つまり、実装ヘッド431はテープフィーダ441の上方へ移動して、テープフィーダ441により部品供給箇所442に供給された部品Pにノズル432を当接させる。そして、実装ヘッド431は、ノズル432に与えられた負圧によって、部品Pを吸着(ピックアップ)する。実装ヘッド431は、こうしてノズル432により保持した部品Pを、実装作業位置Loの基板Bの実装箇所(ランド)に移載する。
【0040】
また、部品実装機4は筐体40を備え、実装作業位置Loは筐体40内に設けられている。ここで、対象物が筐体40内に設けられているとは、平面視において筐体40の外縁の内側に対象物が含まれている状態を示す。なお、
図1では、筐体40を透かして示されている。ヘッドユニット43および基板認識カメラCも筐体40内に配置されており、平面視において、ヘッドユニット43および基板認識カメラCそれぞれの移動範囲は、筐体40内に収まる。また、各テープフィーダ441の先端部分も筐体40内に配置されている。
【0041】
さらに、部品実装機4は、筐体40内に配置されたダストセンサ5を備える。このダストセンサ5は、例えば2019-158721号公報に記載の粒子センサと同様の構成を具備しており、筐体40内の空気を吸気口51から吸引して排気口52から排出する。このダストセンサ5は、吸気口51から排気口52へ向かう流路を通過する空気に光を照射する発光部と、この空気に含まれる粒子(ダスト)で反射された光を受光する受光部とを有し、受光部は、受光した光の量に応じた検出値(電流値あるいは電圧値)を出力する。
図1の例では、ダストセンサ5は、コンベア41のY方向の側面(外側の面)に取り付けられており、吸気口51および排気口52は上方を向く。つまり、ダストセンサ5は、筐体40内で浮遊するダスト(浮遊物)を検出して、当該ダストの量に応じた検出値を制御部410に出力する。したがって、制御部410は、ダストセンサ5から出力される検出値に基づき、筐体40内のダストの量を確認することができる。
【0042】
図3は部品実装機で実行される基板搬入制御の第1例を示すフローチャートである。
図3のフローチャートは、基板搬送方向(Y方向)において実装作業位置Loの上流側で待機する基板Bをコンベア41により実装作業位置Loに搬入する際に、制御部410の制御に基づき実行される。基板Bの待機場所は、例えば筐体40の外に設けられる。ただし、基板Bが部分的に筐体40内に進入した状態で基板Bを待機させてもよい。
【0043】
ステップS101では、基板Bが実装作業位置Loの上流側で待機する状態において、ダストセンサ5が筐体40内のダスト(浮遊物)を検出して(ダスト検出)、ダストの量に応じた検出値Vc1を出力する。ステップS102では、制御部410は、検出値Vc1が搬入許可閾値Tcp未満であるか否かを判断する。そして、検出値Vc1が搬入許可閾値Tcp未満である場合(ステップS102で「YES」の場合)には、実装作業位置Loへの基板Bの搬入が実行される(ステップS108)。
【0044】
一方、検出値Vc1が搬入許可閾値Tcp以上である場合(ステップS102で「NO」の場合)には、制御部410は、実装作業位置Loへの基板Bの搬入を禁止する(ステップS103)。すなわち、制御部410は、コンベア41による実装作業位置Loへの基板Bの搬入を実行せず、基板Bは、基板搬送方向(Y方向)において実装作業位置Loの上流側で待機する。
【0045】
さらに、検出値Vc1が搬入許可閾値Tcp以上である場合(ステップS102で「NO」の場合)には、制御部410は作業者に警告を報知する(ステップS104)。例えば、制御部410は、UI430のディスプレイに、多量のダストが発生している旨を示す警告画面を表示する。あるいは、制御部410は、UI430に設けられたスピーカから警告ブザーを鳴らす。かかる警告を確認することで、作業者は、ダストを除去する清掃作業を実行できる。具体的には、フィルタを介して筐体40内の空気を循環させることで、フィルタによってダストを捕集するといった清掃作業が実行可能である。
【0046】
警告の報知から所定時間が経過すると(ステップS105で「YES」)、ダストセンサ5が筐体40内のダスト(浮遊物)を検出して(ダスト検出)、ダストの量に応じた検出値Vc2を出力する(ステップS106)。ステップS107では、制御部410は、検出値Vc2が搬入許可閾値Tcp未満であるか否かを判断する。そして、検出値Vc2が搬入許可閾値Tcp未満である場合(ステップS107で「YES」の場合)には、実装作業位置Loへの基板Bの搬入が実行される(ステップS108)。一方、検出値Vc2が搬入許可閾値Tcp以上である場合(ステップS107で「NO」の場合)には、ステップS103に戻る。
【0047】
このように基板搬送制御の第1例では、部品実装機4(基板作業装置)の筐体40内に浮遊するダストを検出するダストセンサ5(浮遊物検出部)が設けられ、このダストセンサ5が筐体40内のダストの量に応じた検出値Vc1、Vc2を出力する。したがって、ダストセンサ5の検出値Vc1、Vc2に基づき、部品実装機4におけるダストの発生状況を確認することが可能となっている。
【0048】
また、制御部410(第1制御部)は、実装作業位置Lo(作業位置)への基板Bの搬入前に、ダストセンサ5の検出値Vc1(搬入前検出値)を取得する(ステップ101)。そして、制御部410は、コンベア41(基板搬送部)による実装作業位置Loへの基板Bの搬入を検出値Vc1に基づき制御する(ステップS102、S103、S108)。かかる構成では、実装作業位置Loへの基板Bの搬入前におけるダストの発生状況に基づき、基板Bの搬入を適切に制御することができる。
【0049】
また、制御部410は、検出値Vc1が搬入許可閾値Tcp未満の場合に、実装作業位置Loへの基板Bの搬入をコンベア41に実行させる一方(ステップS108)、検出値Vc1が搬入許可閾値Tcp以上の場合は、制御部410は、コンベア41による実装作業位置Loへの基板Bの搬入を禁止する(ステップS103)。かかる構成では、筐体40内におけるダストが多い場合は、筐体40内の実装作業位置Loへの基板Bの搬入が禁止されるため、清浄でない環境に基板Bが搬入されるのを抑制できる。
【0050】
また、制御部410は、検出値Vc1が搬入許可閾値Tcp以上である場合は、作業者に警告を報知する(ステップS104)。かかる構成では、筐体40内におけるダストが多い場合には、作業者に警告が報知される。したがって、作業者は、警告をきっかけに清掃作業を適宜実行して、筐体40内から浮遊物を取り除くことができる。
【0051】
また、制御部410は、警告を報知した後に、ダストセンサ5の検出値Vc2(警告後検出値)を取得する(ステップS106)。そして、制御部410は、検出値Vc2が搬入許可閾値Tcp未満であることを確認すると(ステップS107で「YES」)、実装作業位置Loへの基板Bの搬入をコンベア41に実行させる(ステップS108)。かかる構成では、作業者の清掃作業によって筐体40p内のダストが減少した場合には、筐体40内の実装作業位置Loへ基板Bを搬入することができる。
【0052】
また、ダストセンサ5は、コンベア41(基板搬送部)に取り付けられている。かかる構成では、基板Bの近傍におけるダストの発生状況を確認することができる。
【0053】
図4は部品実装機で実行される基板搬入制御の第2例を示すフローチャートである。
図4のフローチャートは、
図3の第1例と同様に、基板搬送方向(Y方向)において実装作業位置Loの上流側で待機する基板Bをコンベア41により実装作業位置Loに搬入する際に、制御部410の制御に基づき実行される。
【0054】
ステップS201では、基板Bが待機する状態において、ダストセンサ5がダスト(浮遊物)を検出して(ダスト検出)、ダストの量に応じた検出値Vc3を出力する。そして、検出値Vc3が搬入許可閾値Tcp未満である場合(ステップS202で「YES」の場合)には、実装作業位置Loへの基板Bの搬入が実行される(ステップS208)。一方、検出値Vc3が搬入許可閾値Tcp以上である場合(ステップS202で「NO」の場合)には、実装作業位置Loへの基板Bの搬入が禁止される(ステップS203)。
【0055】
さらに、検出値Vc3が搬入許可閾値Tcp以上である場合(ステップS202で「NO」の場合)には、ステップS204~S207が実行される。つまり、制御部410は、検出値Vc3が搬入許可閾値Tcp以上であることを確認してから所定時間が経過すると(ステップS204で「YES」)、筐体40内に浮遊するダストをダストセンサ5に検出させて、ダストの量に応じたダストセンサ5の検出値Vc4を取得する(ステップS205)。
【0056】
ステップS206では、制御部410は、検出値Vc4が搬入許可閾値Tcp未満であるか否かを判断する。検出値Vc4が搬入許可閾値Tcp未満である場合(ステップS206で「YES」の場合)には、実装作業位置Loへの基板Bの搬入が実行される(ステップS208)。一方、検出値Vc4が搬入許可閾値Tcp以上である場合(ステップS206で「NO」の場合)には、制御部410は作業者に警告を報知して(ステップS207)、ステップS204に戻る。
【0057】
このように基板搬送制御の第2例では、部品実装機4(基板作業装置)の筐体40内に浮遊するダストを検出するダストセンサ5(浮遊物検出部)が設けられ、このダストセンサ5が筐体40内のダストの量に応じた検出値Vc3、Vc4を出力する。したがって、ダストセンサ5の検出値Vc3、Vc4に基づき、部品実装機4におけるダストの発生状況を確認することが可能となっている。
【0058】
また、制御部410(第1制御部)は、検出値Vc3(搬入前検出値)が搬入許可閾値Tcp以上であることを確認してから所定時間を経過した後のダストセンサ5の検出値Vc4(警告前検出値)を取得する(ステップS204、S205)。そして、制御部410は、検出値Vc4が搬入許可閾値Tcp以上であることを確認すると(ステップS206で「NO」)、作業者に警告を報知する(ステップS207)。かかる構成では、筐体40内におけるダストが多い場合には、作業者に警告が報知される。したがって、作業者は、警告をきっかけに清掃作業を適宜実行して、筐体40内からダストを取り除くことができる。
【0059】
また、制御部410は、検出値Vc4が搬入許可閾値Tcp未満であることを確認すると(ステップS206で「YES」)、実装作業位置Loへの基板Bの搬入をコンベア41(基板搬送部)に実行させる。かかる構成では、筐体40内のダストの量が所定時間の経過とともに減少したような場合には、筐体40内の実装作業位置Loへ基板Bを搬入することができる。
【0060】
図5は部品実装機で実行される部品実装制御の一例を示すフローチャートである。
図5のフローチャートは、実装作業位置Loに搬入された基板Bに部品Pをヘッドユニット43により実装する際に、制御部410の制御に基づき実行される。
【0061】
ステップS301では、実装作業位置Loの基板Bに対する部品Pの実装を開始する前に、ダストセンサ5が筐体40内のダスト(浮遊物)を検出して(ダスト検出)、ダストの量に応じた検出値Vm1を出力する。ステップS302では、制御部410は、検出値Vm1が実装許可閾値Tmp未満であるか否かを判断する。そして、検出値Vm1が実装許可閾値Tmp未満である場合(ステップS302で「YES」の場合)には、ヘッドユニット43が基板Bへの部品Pの実装を開始する(ステップS308)。これによって、ヘッドユニット43は、テープフィーダ441により部品供給箇所442に供給された部品Pを基板Bに移載する動作を、所定の手順で繰り返す。
【0062】
一方、検出値Vm1が実装許可閾値Tmp以上である場合(ステップS302で「NO」の場合)には、制御部410は、ヘッドユニット43による基板Bへの部品Pの実装を禁止する。すなわち、制御部410は、ヘッドユニット43による基板Bへの部品Pの実装を実行せず、ヘッドユニット43は、所定のホームポジションで待機する。
【0063】
さらに、検出値Vm1が実装許可閾値Tmp以上である場合(ステップS302で「NO」の場合)には、制御部410は作業者に警告を報知する(ステップS304)。具体的には、ステップS104と同様にして警告を報知することができる。かかる警告を確認することで、作業者は、ダストを除去する清掃作業を実行できる。
【0064】
警告の報知から所定時間が経過すると(ステップS305で「YES」)、ダストセンサ5が筐体40内のダスト(浮遊物)を検出して(ダスト検出)、ダストの量に応じた検出値Vm2を出力する(ステップS306)。ステップS307では、制御部410は、検出値Vm2が実装許可閾値Tmp未満であるか否かを判断する。そして、検出値Vm2が実装許可閾値Tmp未満である場合(ステップS307で「YES」の場合)には、基板Bへの部品Pの実装が開始される(ステップS308)。一方、検出値Vm2が実装許可閾値Tmp以上である場合(ステップS307で「NO」の場合)には、ステップS303に戻る。
【0065】
このように部品実装制御の一例では、部品実装機4(基板作業装置)の筐体40内に浮遊するダストを検出するダストセンサ5(浮遊物検出部)が設けられ、このダストセンサ5が筐体40内のダストの量に応じた検出値Vm1、Vm2を出力する。したがって、ダストセンサ5の検出値Vm1、Vm2に基づき、部品実装機4におけるダストの発生状況を確認することが可能となっている。
【0066】
また、制御部410(第2制御部)は、ヘッドユニット43(作業実行部)による部品実装(所定作業)の実行前に、ダストセンサ5が検出したダストの量を示す検出値Vm1(作業前検出値)を取得して(ステップS301)、検出値Vm1に基づきヘッドユニット43による部品実装の実行を制御する(ステップS302、S303、S308)。かかる構成では、部品実装の実行前におけるダストの発生状況に基づき、基板Bへの部品実装の実行を適切に制御することができる。
【0067】
また、制御部410は、検出値Vm1が実装許可閾値Tmp(作業許可閾値)以上である場合は、ヘッドユニット43による部品実装の実行を禁止する(ステップS303)。かかる構成では、筐体40内におけるダストが多い場合は、部品実装の実行が禁止されるため、清浄でない環境で基板Bに部品実装が実行されるのを抑制することができる。
【0068】
また、制御部410は、検出値Vm1が実装許可閾値Tmp未満である場合に、ヘッドユニット43に部品実装を実行させる。かかる構成では、清浄な環境において、基板Bへの部品実装を実行することができる。
【0069】
ところで、次の変形例に示すように、
図5の部品実装制御において、基板認識カメラCを用いた異物検出の結果を併用することができる。この変形例では、ステップS301において、ダスト検出の他に異物検出が実行される。この異物検出では、基板認識カメラCが実装作業位置Loで停止する基板Bに上方から対向して、基板Bの画像を撮像する。この画像は、基板認識カメラCから制御部410に転送されて、制御部410は、基板Bに付着する異物の有無を判断する。
【0070】
そして、ステップS302では、次の実装開始条件
・実装開始条件1…検出値Vm1<実装許可閾値Tmp
・実装開始条件2…基板Bに付着する異物が存在しない
の両方が満たされる場合に「YES」と判断され、部品実装が開始される(ステップS308)。一方、実装開始条件1および2のいずれかが満たされない場合には、部品実装が禁止される(ステップS303)。さらに、ステップS306、S307も、ステップS301、S302と同様に実行される。
【0071】
かかる変形例では、実装作業位置Loに搬入された基板Bを撮像する基板認識カメラC(カメラ)が設けられ、制御部410(第2制御部)は、基板認識カメラCにより基板Bを撮像することで取得した画像によって基板Bに付着する異物(付着物)の有無を判断した結果に基づき、ヘッドユニット43による部品実装の実行を制御する(ステップS301、S302、S308)かかる構成では、基板Bに付着する異物の有無に応じて、基板Bへの部品実装の実行を適切に制御することができる。
【0072】
また、制御部410は、基板Bに付着する異物を確認した場合(ステップS302で「YES」)は、ヘッドユニット43による部品実装の実行を禁止する(ステップS303)。かかる構成では、異物が付着した基板Bへ部品実装が実行されるのを抑制することができる。
【0073】
また、制御部410は、検出値Vm1(作業前検出値)が実装許可閾値Tmp(作業許可閾値未満)であることと、基板Bに異物が付着していないこととを確認した場合に、ヘッドユニット43に部品実装を実行させる。かかる構成では、異物が付着していない基板Bに対して、部品実装を適切に実行することができる。
【0074】
図6は部品実装機の変形例を模式的に示す平面図である。
図6および
図1それぞれの部品実装機4の差異はダストセンサ5の配置であり、その他の構成は両者で共通する。つまり、
図6の部品実装機4では、ダストセンサ5がヘッドユニット43に取り付けられており、ダストセンサ5は、X軸モータMxおよびY軸モータMyの駆動によってヘッドユニット43と一体的に筐体40内を移動することができる。ダストセンサ5の吸気口51および排気口52はそれぞれ、側方(X方向)を向いている。
【0075】
つまり、部品実装を実行するヘッドユニット43(作業ユニット)と、ヘッドユニット43を駆動するX軸モータMxおよびY軸モータMy(ユニット駆動部)とが設けられ、ダストセンサ5は、ヘッドユニット43に取り付けられている。したがって、ヘッドユニット43に伴ってダストセンサ5を移動させることで、ダストの発生状況を確認する場所を適宜変更することができる。
【0076】
図7はダストセンサの検出値をログとして収集する動作の一例を示すフローチャートである。同図のフローチャートは、制御部410の制御によって実行される。また、部品実装機4では、ダストセンサ5は、コンベア41の側面(
図1の構成)と、ヘッドユニット43(
図6の構成)との両方に取り付けられている。つまり、2個のダストセンサ5が設けられている。
【0077】
このフローチャートは、部品実装機4で発生する各イベント(ステップS401~S406に示すイベント)の度にダストセンサ5によりダストを検出して(ステップS407)、その検出値がログとして記憶部420に記録される(ステップS408)。なお、ダストセンサ5の検出値は、当該検出値を取得するきっかけとなったイベントの内容と、当該検出値の取得時刻と対応付けて、記録される。
【0078】
具体的には、実装作業位置Loへの基板Bの搬入が確認されると(ステップS401で「YES」)、コンベア41に取り付けられたダストセンサ5がダストを検出して(ステップS407)、ステップS407で得られたダストの検出値がログとして記録される(ステップS408)。これによって、基板Bが搬入された直後における基板Bの近傍のダストの発生状況を記録できる。
【0079】
ヘッドユニット43の実装ヘッド431が部品供給箇所442の上方へ移動すると(ステップS402で「YES」)、ヘッドユニット43に取り付けられたダストセンサ5がダストを検出して(ステップS407)、ステップS407で得られたダストの検出値がログとして記録される(ステップS408)。これによって、実装ヘッド431が部品供給箇所442へ移動した直後における部品供給箇所442の近傍のダストの発生状況を記録できる。
【0080】
ヘッドユニット43の実装ヘッド431が部品供給箇所442から部品Pを吸着すると(ステップS403で「YES」)、ヘッドユニット43に取り付けられたダストセンサ5がダストを検出して(ステップS407)、ステップS407で得られたダストの検出値がログとして記録される(ステップS408)。これによって、実装ヘッド431が部品供給箇所442から部品Pを吸着した直後における部品供給箇所442の近傍のダストの発生状況を記録できる。
【0081】
ヘッドユニット43の実装ヘッド431が基板Bの実装箇所の上方へ移動すると(ステップS404で「YES」)、ヘッドユニット43に取り付けられたダストセンサ5がダストを検出して(ステップS407)、ステップS407で得られたダストの検出値がログとして記録される(ステップS408)。これによって、実装ヘッド431が実装箇所へ移動した直後における基板Bの近傍のダストの発生状況を記録できる。
【0082】
ヘッドユニット43の実装ヘッド431が実装箇所に部品Pを実装すると(ステップS405で「YES」)、ヘッドユニット43に取り付けられたダストセンサ5がダストを検出して(ステップS407)、ステップS407で得られたダストの検出値がログとして記録される(ステップS408)。これによって、実装ヘッド431が部品Pを実装した直後における基板Bの近傍のダストの発生状況を記録できる。
【0083】
実装作業位置Loからの基板Bの搬出が確認されると(ステップS406で「YES」)、コンベア41に取り付けられたダストセンサ5がダストを検出して(ステップS407)、ステップS407で得られたダストの検出値がログとして記録される(ステップS408)。これによって、基板Bが搬出された直後における基板Bの近傍のダストの発生状況を記録できる。
【0084】
このようにダストセンサ5が出力する検出値がログとして記憶部420に保存される。かかる構成では、ログを解析することで、ダストの発生状況に対する知見を得ることが可能となる。
【0085】
また、ダストセンサ5は、筐体40内に複数設けられている。かかる構成では、複数の場所でダストを検出でき、筐体40内の広い範囲でダストの発生状況を確認することができる。
【0086】
以上に説明したように本実施形態では、部品実装機4が本発明の「基板作業装置」の一例に相当し、筐体40が本発明の「筐体」の一例に相当し、コンベア41が本発明の「基板搬送部」の一例に相当し、ヘッドユニット43が本発明の「作業ユニット」の一例に相当し、ヘッドユニット43、X軸モータMxおよびY軸モータMyが協働して本発明の「作業実行部」の一例として機能し、X軸モータMxおよびY軸モータMyが本発明の「ユニット駆動部」の一例に相当し、ダストセンサ5が本発明の「浮遊物検出部」の一例に相当し、制御部410が本発明の「第1制御部」および「第2制御部」の一例に相当し、記憶部420が本発明の「記憶部」の一例に相当し、基板Bが本発明の「基板」の一例に相当し、ランドが本発明の「実装箇所」の一例に相当し、部品Pが本発明の「部品」の一例に相当し、実装作業位置Loが本発明の「作業位置」の一例に相当し、基板認識カメラCが本発明の「カメラ」の一例に相当し、検出値Vc1、Vc3が本発明の「搬入前検出値」の一例に相当し、検出値Vc2が本発明の「警告後検出値」の一例に相当し、検出値Vc4が本発明の「警告前検出値」の一例に相当し、検出値Vm1が本発明の「作業前検出値」の一例に相当し、搬入許可閾値Tcpが本発明の「搬入許可閾値」の一例に相当し、実装許可閾値Tmpが本発明の「作業許可閾値」の一例に相当する。
【0087】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、ダストセンサ5の個数や配置は上記の例に限られない。したがって、3個以上のダストセンサ5を筐体40内に配置したり、コンベア41およびヘッドユニット43とは異なる場所にダストセンサ5を取り付けたりできる。
【0088】
また、ダストセンサ5を配置する向きを適宜変更してもよい。この際、吸気口51および排気口52は、上方、側方および下方のいずれを向いていてもよい。また、吸気口51および排気口52が同じ方向を向いている必要は必ずしもない。
【0089】
また、ダストセンサ5による検出値をログとして残す態様は種々の変更が可能である。例えば、
図5のようにイベントをきっかけとするのではなく、所定時間(例えば、30秒あるいは1分等)が経過する度に、ダストセンサ5による検出値をログとして記録してもよい。
【0090】
また、搬入許可閾値Tcpの設定は、種々の態様により実行できる。例えば、制御部410は、UI430に対する作業者の入力操作に応じて搬入許可閾値Tcpを変更してもよい。かかる構成では、作業者が求める筐体40内の清浄レベルに応じて、基板Bの搬入の実行・禁止を制御することができる。
【0091】
また、実装許可閾値Tmpの設定は、種々の態様により実行できる。例えば、制御部410は、UI430に対する作業者の入力操作に応じて実装許可閾値Tmpを変更してもよい。かかる構成では、作業者が求める筐体40内の清浄レベルに応じて、部品実装の実行・禁止を制御することができる。
【0092】
さらに、部品実装機4の具体的な構成を適宜変更してもよい。したがって、例えば特開2019-110154号公報に記載されているような、ダイシングされたウエハWのベアチップを部品Pとして基板Bに実装(フリップチップ実装)するように部品実装機4を構成してもよい。
【0093】
あるいは、基板Bの実装箇所(ランド)に半田を印刷する半田印刷機にダストセンサ5を設けて、上記の各フローチャートと同様の制御を実行することもできる。
図8は半田印刷機を模式的に示す正面図である。半田印刷機2は、基板Bのランドに対応して設けられたパターン孔が貫通するマスクMを用いて基板Bのランドに半田を印刷する。この半田印刷機2は、マスクMを保持するマスク保持ユニット21と、マスクMの下方に配置された基板保持ユニット23と、マスクMの上方に配置されたスキージユニット29とを備える。また、マスク保持ユニット21、基板保持ユニット23およびスキージユニット29は、半田印刷機2の筐体20内に配置されている。この半田印刷機2は、基板保持ユニット23により基板BをマスクMに下方から対向させつつスキージユニット29のスキージ291をマスクMの上面にX方向へ摺動させることで、マスクMの上面に供給された半田を、マスクMのパターン孔を介して基板Bの上面に印刷する(印刷作業)。
【0094】
基板保持ユニット23は、マスク保持ユニット21に保持されたマスクMの下方に配置され、マスクMに対して基板Bの位置を合わせる。この基板保持ユニット23は、基板Bを搬送する一対のコンベア24と、コンベア24から受け取った基板Bを保持する基板保持部25と、コンベア24および基板保持部25を支持する平板形状の可動テーブル26とを有する。
【0095】
一対のコンベア24はX方向に間隔を空けつつY方向に平行に配置されており、それぞれの上面で基板BのX方向の両端を下方から支持する。そして、各コンベア24がY方向に基板Bを搬送して、半田印刷機2に対する基板Bの搬入あるいは搬出を実行する。特に、マスクMに下方から対向する位置が基板Bへの半田の印刷を行う印刷作業位置に相当し、コンベア24は、筐体20内の印刷作業位置へ基板Bを搬入し、当該印刷作業位置から基板Bを搬出する。
【0096】
基板保持部25は、平板形状の昇降テーブル251と、可動テーブル26に対してZ方向にスライド可能なスライド支柱252とを有し、昇降テーブル251がスライド支柱252の上端に支持されている。また、昇降テーブル251の上面にはZ方向に立設された複数のバックアップピン253がX方向およびY方向に間隔を空けて並ぶ。そして、スライド支柱252が昇降することで、昇降テーブル251とともにバックアップピン253が昇降する。例えばコンベア24の基板Bの搬入時は、各バックアップピン253の上端がコンベア24の上面より下方に位置する。そして、コンベア24がバックアップピン253の直上の印刷作業位置に基板Bを搬入すると、バックアップピン253が上昇して、バックアップピン253の上端がコンベア24の上面より上方へ突出する。これによって、コンベア24の上面から各バックアップピン253の上端へ基板Bが受け渡される。
【0097】
また、基板保持部25は、一対のコンベア24の上方でX方向に間隔を空けて配置された一対のクランププレート254を有する。各クランププレート254の上面はX方向およびY方向に平行な平面であり、同じ高さに位置する。これらクランププレート254のうち少なくとも一方は、X方向に可動である。
【0098】
そして、バックアップピン253上の基板Bが一対のクランププレート254の間にまで上昇して、可動のクランププレート254がX方向に移動することで、これらクランププレート254の間隔が狭まって、基板Bがこれらクランププレート254によりX方向(水平方向)からクランプされる。
【0099】
さらに、基板保持ユニット23は、可動テーブル26を駆動するテーブル駆動機構27を有する。このテーブル駆動機構27は、X軸テーブル271と、X軸テーブル271の上面に取り付けられたY軸テーブル272と、Y軸テーブル272の上面に取り付けられたR軸テーブル273と、R軸テーブル273に対して可動テーブル26を昇降させるボールネジ274とを有する。このテーブル駆動機構27は、X軸テーブル271をX方向に駆動し、Y軸テーブル272をY方向へ駆動し、R軸テーブル273をR方向(Z方向に平行な軸を中心とする回転方向)に駆動し、ボールネジ274を回転させることで可動テーブル26をZ方向に駆動する。つまり、テーブル駆動機構27は、可動テーブル26に配置されたコンベア24および基板保持部25をX、Y、Z、R方向に駆動することができる。例えば搬入された基板BをマスクMに対して位置決めする際には、テーブル駆動機構27は、クランププレート254にクランプされた基板Bの位置を、X・Y・R方向に調整しつつ、Z方向へ上昇させる。これによって、クランププレート254および基板Bそれぞれの上面がマスクMの下面に接触する。
【0100】
スキージユニット29は、スキージ291の回転角度を調整することでスキージ291を所定の角度(アタック角度)でマスクMの上面に当接させるとともに、所定の圧力(印圧)でスキージ291をマスクMに押圧する。この状態から、スキージユニット29は、スキージ291を所定の速度(スキージ速度)でスキージ291をX方向に移動させることで、マスクMのパターン孔を介して半田を基板Bのランドに印刷する。
【0101】
さらに、半田印刷機2は、筐体20内に配置されたダストセンサ5を備える。このダストセンサ5は、コンベア24のX方向の側面(外側の面)に取り付けられており、吸気口51および排気口52は上方を向く。このダストセンサ5は、筐体20内で浮遊するダスト(浮遊物)を検出して、当該ダストの量に応じた検出値を制御部200に出力する。したがって、制御部200は、ダストセンサ5から出力される検出値に基づき、筐体20内のダストの量を確認することができる。なお、制御部200は、CPU等で構成されたプロセッサである。
【0102】
このように構成された半田印刷機2(基板作業装置)では、筐体20内に浮遊するダストを検出するダストセンサ5が設けられ、このダストセンサ5が筐体20内のダストの量に応じた検出値を出力する。したがって、ダストセンサ5の検出値に基づき、半田印刷機2におけるダストの発生状況を確認することが可能となっている。
【0103】
また、コンベア24による印刷作業位置(平面視においてマスクMに重複する位置)への基板Bの搬入に際して、
図3あるいは
図4の基板搬入制御を実行することができる。これによって、上記と同様の効果が奏される。
【0104】
なお、半田印刷機2におけるダストセンサ5の配置は、
図8の例に限られず、例えばスキージユニット29にダストセンサ5を取り付けてもよい。これによって、ダストセンサ5は、スキージユニット29に伴って筐体20内を移動することができる。さらに、ダストセンサ5の検出値をログとして記録する上記と同様の動作を、半田印刷機2について実行することもできる。
【符号の説明】
【0105】
2…半田印刷機(基板作業装置)
4…部品実装機(基板作業装置)
40…筐体
41…コンベア(基板搬送部)
43…ヘッドユニット(作業実行部、作業ユニット)
5…ダストセンサ(浮遊物検出部)
410…制御部(第1制御部、第2制御部)
420…記憶部
Mx…X軸モータMx(作業実行部、ユニット駆動部)
My…Y軸モータMy(作業実行部、ユニット駆動部)
B…基板
P…部品
Lo…実装作業位置(作業位置)
C…基板認識カメラ(カメラ)
Vc1…検出値(搬入前検出値)
Vc2…検出値(警告後検出値」
Vc3…検出値(搬入前検出値)
Vc4…検出値(警告前検出値)
Vm1…検出値(作業前検出値)
Tcp…搬入許可閾値
Tmp…実装許可閾値(作業許可閾値)