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特開2022-187211乗車支援装置、乗車支援方法、プログラム及び乗車支援システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187211
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】乗車支援装置、乗車支援方法、プログラム及び乗車支援システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/123 20060101AFI20221212BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20221212BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095104
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 政康
(72)【発明者】
【氏名】綿貫 彩加
(72)【発明者】
【氏名】賈 舒陽
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 茂樹
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA14
5H181AA24
5H181AA27
5H181BB04
5H181BB05
5H181FF05
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF33
5H181MA05
5H181MA07
5H181MA08
5H181MA14
5H181MA17
5L049CC42
(57)【要約】
【課題】配車サービスにおけるユーザの乗車地を適切に設定する。
【解決手段】待ち時間算出部133は、ユーザ1の現在地に基づいて抽出された乗車地候補にてユーザ1がタクシーを待つ待ち時間を算出する。乗車地設定部134は、待ち時間が所定時間未満である場合には、その乗車地候補を乗車地に設定し、待ち時間が所定時間以上である場合には、ユーザ1の現在地に基づいて抽出された乗車地候補の中から周囲に立ち寄り場所が存在する乗車地候補を乗車地として設定する。配車処理部131は、待ち時間が所定時間未満である場合には、乗車地設定部134により設定された乗車地に関する情報(乗車地情報)を電子機器20に表示させ、待ち時間が所定時間以上である場合には、乗車地設定部134により設定された乗車地と当該乗車地の周囲に存在する立ち寄り場所とに関する情報(乗車地情報)を電子機器20に表示させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの予約により車両が配車設定され、前記ユーザが前記車両に乗車する乗車地を前記ユーザに通知する乗車支援装置であって、
前記ユーザの現在地に基づいて抽出された乗車地候補にて前記ユーザが前記車両を待つ待ち時間を、前記ユーザの現在地と前記車両の現在地と前記乗車地候補の位置とに基づいて算出する待ち時間算出部と、
前記待ち時間が所定時間未満である場合には、前記乗車地候補を前記乗車地に設定し、前記待ち時間が前記所定時間以上である場合には、前記ユーザの現在地に基づいて抽出された前記乗車地候補の中から周囲に立ち寄り場所が存在する乗車地候補を前記乗車地として設定する乗車地設定部と、
前記待ち時間が前記所定時間未満である場合には、前記乗車地設定部により設定された乗車地に関する情報を乗車地情報として出力させ、前記待ち時間が前記所定時間以上である場合には、前記乗車地設定部により設定された乗車地と当該乗車地の周囲に存在する立ち寄り場所とに関する情報を前記乗車地情報として出力させる出力部と、を備える、
乗車支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の乗車支援装置であって、
前記待ち時間算出部は、前記ユーザの現在地から前記乗車地候補までの移動経路における前記ユーザの移動時間を算出するとともに、前記車両の現在地から前記乗車地候補までの移動経路における前記車両の移動時間を算出し、当該ユーザの移動時間と当該車両の移動時間との差分値に基づいて、前記ユーザが前記乗車地候補に到着してから前記車両が前記乗車地候補に到着するまでの前記乗車地候補での前記待ち時間を算出する、
乗車支援装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の乗車支援装置であって、
前記ユーザの現在地を基準として、前記ユーザの移動負荷が第1所定値以下となる1または複数の乗車地を前記乗車地候補として抽出する乗車地候補抽出部をさらに備え、
前記乗車地候補抽出部は、前記待ち時間が前記所定時間以上である場合において、前記乗車地候補の周囲に前記立ち寄り場所が存在しないときには、前記移動負荷が前記第1所定値よりも大きい第2所定値以下となる1または複数の乗車地を第2乗車地候補として抽出し、
前記乗車地設定部は、前記待ち時間が前記所定時間以上である場合において、前記第1所定値を用いて抽出された前記乗車地候補の周囲に立ち寄り場所が存在するときには、当該乗車地候補を前記乗車地に設定し、当該乗車地候補の周囲に前記立ち寄り場所が存在しないときには、前記第2所定値を用いて抽出された前記第2乗車地候補のうちから、周囲に立ち寄り場所が存在する第2乗車地候補を前記乗車地に設定する、
乗車支援装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載の乗車支援装置であって、
前記所定時間は、前記ユーザの好み情報と、前記ユーザの属性情報と、前記ユーザの体調情報と、前記ユーザの周囲における環境情報と、前記乗車地候補の周囲における環境情報と、前記ユーザとともに前記車両に乗車する人の数に関する情報とのうちの少なくとも1つに基づいて可変とする、
乗車支援装置。
【請求項5】
請求項4に記載の乗車支援装置であって、
前記乗車地設定部は、前記乗車地候補の周囲における環境として天候情報を取得し、前記ユーザの好む気温を基準温度とし、前記乗車地候補の周囲の気温と前記基準温度との温度差が大きくなるのに応じて前記所定時間を小さい値とする、
乗車支援装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れかに記載の乗車支援装置であって、
前記出力部は、前記立ち寄り場所に関する情報として、当該立ち寄り場所の名称と、前記乗車地設定部により設定された乗車地及び当該立ち寄り場所間を移動する場合の推定移動時間と、当該立ち寄り場所での推定滞在時間と、当該立ち寄り場所で使用可能な優待情報とのうちの少なくとも1つを出力させる、
乗車支援装置。
【請求項7】
請求項1から6の何れかに記載の乗車支援装置であって、
前記出力部は、出力対象となる前記立ち寄り場所が複数存在する場合には、前記ユーザの移動負荷を基準にして前記立ち寄り場所の優先度を設定し、当該優先度と前記立ち寄り場所とを関連付けて出力させる、
乗車支援装置。
【請求項8】
請求項1から7の何れかに記載の乗車支援装置であって、
前記出力部は、前記乗車地情報として、前記配車設定された前記車両の目的地の当該車両の到着予定時刻と、前記乗車地での前記待ち時間とのうちの少なくとも1つを出力させる、
乗車支援装置。
【請求項9】
請求項1から8の何れかに記載の乗車支援装置であって、
前記出力部は、前記待ち時間が前記所定時間未満である場合には、前記乗車地設定部により設定された乗車地の位置を示す乗車地標識を地図に重ねて表示部に表示させ、前記待ち時間が前記所定時間以上である場合には、前記乗車地設定部により設定された乗車地の位置を示す乗車地標識と当該乗車地の周囲に存在する前記立ち寄り場所の位置を示す立ち寄り場所標識とを地図に重ねて前記表示部に表示させる、
乗車支援装置。
【請求項10】
請求項1から9の何れかに記載の乗車支援装置であって、
前記待ち時間算出部は、前記ユーザの現在地と前記車両の現在地とに基づいて、前記乗車地設定部により設定された乗車地での前記待ち時間を新たに算出し、
前記出力部は、前記乗車地設定部による乗車地の設定時における前記待ち時間が前記所定時間未満であると判定された後に、前記待ち時間が前記所定時間以上となることが新たに判定された場合において、当該乗車地の周囲に前記立ち寄り場所が存在するときには、当該乗車地とともに当該立ち寄り場所に関する情報を前記乗車地情報として新たに出力させ、当該乗車地の周囲に前記立ち寄り場所が存在しないときには、当該乗車地の位置に基づいて抽出された前記立ち寄り場所が存在する他の乗車地とともに当該立ち寄り場所に関する情報を新たな前記乗車地情報として出力させる、
乗車支援装置。
【請求項11】
請求項10に記載の乗車支援装置であって、
前記乗車地設定部は、前記他の乗車地への変更を前記ユーザに促す情報が出力された後に、前記ユーザの承認操作が行われたことを条件に前記他の乗車地を新たな乗車地として設定する、
乗車支援装置。
【請求項12】
ユーザの予約により車両が配車設定され、前記ユーザが前記車両に乗車する乗車地を前記ユーザに通知する乗車支援方法であって、
前記ユーザの現在地に基づいて抽出された乗車地候補にて前記ユーザが前記車両を待つ待ち時間を、前記ユーザの現在地と前記車両の現在地と前記乗車地候補の位置とに基づいて算出する算出ステップと、
前記待ち時間が所定時間未満である場合には、前記乗車地候補を前記乗車地に設定し、前記待ち時間が前記所定時間以上である場合には、前記ユーザの現在地に基づいて抽出された前記乗車地候補の中から周囲に立ち寄り場所が存在する乗車地候補を前記乗車地として設定する設定ステップと、
前記待ち時間が前記所定時間未満である場合には、前記設定ステップで設定された乗車地に関する情報を乗車地情報として出力部から出力させ、前記待ち時間が前記所定時間以上である場合には、前記設定ステップで設定された乗車地と当該乗車地の周囲に存在する立ち寄り場所とに関する情報を前記乗車地情報として前記出力部から出力させる出力ステップと、を備える、
乗車支援方法。
【請求項13】
ユーザの予約により車両が配車設定され、前記ユーザが前記車両に乗車する乗車地を前記ユーザに通知する乗車支援機能を実現するためのプログラムであって、
前記ユーザの現在地に基づいて抽出された乗車地候補にて前記ユーザが前記車両を待つ待ち時間を、前記ユーザの現在地と前記車両の現在地と前記乗車地候補の位置とに基づいて算出する算出ステップと、
前記待ち時間が所定時間未満である場合には、前記乗車地候補を前記乗車地に設定し、前記待ち時間が前記所定時間以上である場合には、前記ユーザの現在地に基づいて抽出された前記乗車地候補の中から周囲に立ち寄り場所が存在する乗車地候補を前記乗車地として設定する設定ステップと、
前記待ち時間が前記所定時間未満である場合には、前記設定ステップで設定された乗車地に関する情報を乗車地情報として出力部から出力させ、前記待ち時間が前記所定時間以上である場合には、前記設定ステップで設定された乗車地と当該乗車地の周囲に存在する立ち寄り場所とに関する情報を前記乗車地情報として前記出力部から出力させる出力ステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項14】
無線通信を利用して車両の配車予約操作を行う第1装置と、前記配車予約操作に応じて車両が配車設定され、前記第1装置を所持するユーザが前記車両に乗車する乗車地に関する乗車地情報を前記第1装置に送信する制御を実行する第2装置とを備える乗車支援システムであって、
前記第1装置は、
前記配車予約操作を行うための操作画面を表示する表示部と、
前記ユーザにより前記配車予約操作が行われた場合には、前記配車予約操作により設定された前記ユーザの目的地と、前記第1装置の位置情報とを含む配車予約情報を前記第2装置に送信する通信部と、を備え、
前記第2装置は、
前記第1装置の位置情報に基づいて抽出された乗車地候補にて前記ユーザが前記車両を待つ待ち時間を、前記第1装置の位置情報に対応する前記ユーザの現在地と前記車両の現在地と前記乗車地候補の位置とに基づいて算出する待ち時間算出部と、
前記待ち時間が所定時間未満である場合には、前記乗車地候補を前記乗車地に設定し、前記待ち時間が前記所定時間以上である場合には、前記ユーザの現在地に基づいて抽出された前記乗車地候補の中から周囲に立ち寄り場所が存在する乗車地候補を前記乗車地として設定する乗車地設定部と、
前記待ち時間が前記所定時間未満である場合には、前記乗車地設定部により設定された乗車地に関する情報を前記乗車地情報として前記第1装置に送信し、前記待ち時間が前記所定時間以上である場合には、前記乗車地設定部により設定された乗車地と当該乗車地の周囲に存在する立ち寄り場所とに関する情報を前記乗車地情報として前記第1装置に送信する出力部と、を備え、
前記第1装置は、前記第2装置から送信された前記乗車地情報に基づいて、前記乗車地設定部により設定された乗車地に関する情報を前記表示部に表示させ、前記乗車地情報に前記立ち寄り場所に関する情報が含まれている場合には、当該乗車地に関する情報とともに当該立ち寄り場所に関する情報を前記表示部に表示させる、
乗車支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配車サービスにおけるユーザの乗車を支援する乗車支援装置、乗車支援方法、プログラム及び乗車支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配車サービスにおけるユーザの乗車を支援する技術が存在する。例えば、ユーザからの配車リクエストに応じて推奨する乗車地をユーザに提示し、ユーザにより選択された乗車地に車両を配車する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2018-526715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術では、配車された車両が乗車地から離れている場合や配車された車両が遅れて乗車地に到着した場合には、その乗車地においてユーザが長い時間待たされる可能性もある。このように、配車された車両が乗車地に到着するまでの間に、乗車地においてユーザが長い時間待たされるような場合でも、ユーザが時間を有効に活用できる乗車地を設定することが重要である。
【0005】
本発明は、配車サービスにおけるユーザの乗車地を適切に設定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、ユーザの予約により車両が配車設定され、ユーザが車両に乗車する乗車地をユーザに通知する乗車支援装置である。この乗車支援装置は、ユーザの現在地に基づいて抽出された乗車地候補にてユーザが車両を待つ待ち時間を、ユーザの現在地と車両の現在地と乗車地候補の位置とに基づいて算出する待ち時間算出部と、待ち時間が所定時間未満である場合には、乗車地候補を乗車地に設定し、待ち時間が所定時間以上である場合には、ユーザの現在地に基づいて抽出された乗車地候補の中から周囲に立ち寄り場所が存在する乗車地候補を乗車地として設定する乗車地設定部と、待ち時間が所定時間未満である場合には、乗車地設定部により設定された乗車地に関する情報を乗車地情報として出力させ、待ち時間が所定時間以上である場合には、乗車地設定部により設定された乗車地と当該乗車地の周囲に存在する立ち寄り場所とに関する情報を乗車地情報として出力させる出力部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、配車サービスにおけるユーザの乗車地を適切に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、乗車支援システムのシステム構成例を簡略化して示すブロック図である。
図2図2は、電子機器及びサーバの機能構成例を示すブロック図である。
図3図3は、電子機器を所持するユーザの現在地を含む地図を簡略化して示す図である。
図4図4は、記憶部に記憶されている立ち寄り場所DBの格納内容を簡略化して示す図である。
図5図5は、電子機器において配車アプリを起動させた際に入出力部に表示される予約操作画面の表示例を示す図である。
図6図6は、電子機器において配車アプリを用いて予約操作を行った後に入出力部に表示される乗車地案内画面の表示例を示す図である。
図7図7は、サーバにおける乗車地設定処理の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、入出力部に表示される乗車地案内画面の表示遷移例を示す図である。
図9図9は、第2実施形態における入出力部に表示される乗車地案内画面の表示遷移例を示す図である。
図10図10は、サーバにおける乗車地設定処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0010】
[第1実施形態]
[乗車支援システムの構成例]
図1は、乗車支援システム200のシステム構成例を簡略化して示すブロック図である。乗車支援システム200は、配車予約サービスを提供する通信システムであり、ネットワーク10と、電子機器20と、タクシー31乃至33と、サーバ100と、を備える。なお、図1では、1つの電子機器20が存在する例を示すが、これに限定されない。乗車支援システム200において、2以上の電子機器が含まれてもよい。また、図1では、3台のタクシー31乃至33が存在する例を示すが、これに限定されない。乗車支援システム200において、1、2または4台以上の各種の車両が含まれてもよい。なお、乗車支援システム200は、配車システム、人配送サービス、配車サービス乗車地設定システムとも称することができる。
【0011】
ネットワーク10は、公衆回線網、インターネット等のネットワークである。また、乗車支援システム200を構成する各機器は、無線通信を利用した通信方式または有線通信を利用した通信方式の何れかの方式、または双方の方式によってネットワーク10に接続される。
【0012】
電子機器20は、ユーザ1が携帯可能な持ち運べる機器であり、無線通信または有線通信を利用して他の機器との間で通信が可能である。電子機器20として、例えば、スマートフォン、携帯電話、持ち運び可能なパーソナルコンピュータ、タブレット端末、ウェアラブル端末などの各種の電子機器や情報処理装置を用いることができる。なお、ウェアラブル端末は、ユーザ1の服や身体に装着した状態で使用可能な機器であり、例えば、腕時計型の機器やヘッドホン型の機器などが存在する。
【0013】
なお、電子機器20には、タクシーの配車予約に用いられる配車アプリケーション(配車アプリ)がインストールされており、ユーザ1は、その配車アプリを用いてタクシーの配車予約を行うことが可能である。なお、配車アプリは、タクシー31乃至33の配車予約を行う際に用いられる。また、配車アプリは、タクシー31乃至33の配車予約を行う際のユーザインタフェースを提供する。
【0014】
サーバ100は、タクシー31乃至33の配車予約サービスに用いられる情報処理装置であり、タクシー31乃至33の配車予約に関する各種処理を実行する。また、サーバ100は、ネットワーク10を介して電子機器20、タクシー31乃至33との間で通信を行う。なお、サーバ100の設置場所は特に限定されないが、例えばサーバ100はタクシー31乃至33を運用する事業者の管理センタに設置される。
【0015】
例えば、サーバ100は、ユーザ1が電子機器20の配車アプリを用いて配車予約操作をした場合には、その配車予約に関する情報(配車予約情報)を受け付け、その配車予約に関する配車処理を実行する。この場合に、サーバ100は、ユーザ1の現在地に基づいて、ユーザ1がタクシーに乗車する乗車地を設定するとともに、ユーザ1により指定された目的地に基づいて、ユーザ1がタクシーから降車する降車地(目的地に近接する場所)を設定する。このように、乗車支援システム200は、各地(例えば街中)に設定されている複数の乗降地(乗車地及び降車地)のうちから、ユーザ1の現在地及び目的地に応じてサーバ100が乗降地をマッチングするオンデマンドのシステムである。そして、乗車支援システム200では、サーバ100により設定された乗車地においてユーザ1がタクシーに乗車して目的地に向かうような移動サービスを実現する。
【0016】
また、サーバ100は、その乗車地でのユーザ1の待ち時間に応じて、他の乗車地を設定する。また、サーバ100は、設定された乗車地に関する情報をユーザ1と、割り当てられたタクシー31乃至33との双方に通知する。なお、乗車地の設定方法については、図3図4図7等を参照して詳細に説明する。
【0017】
タクシー31乃至33は、サーバ100からの指示に基づいて、乗車地から降車地まで移動が可能な車両であり、ネットワーク10を介してサーバ100との通信が可能な通信機器35乃至37を備える。タクシー31乃至33として、例えば、運転者が存在しない自動運転車両、運転者が存在する通常の車両を用いることができる。なお、運転者が存在しない自動運転車両は、ロボットタクシーまたは無人タクシーと称してもよい。
【0018】
[電子機器及びサーバの機能構成例]
図2は、電子機器20及びサーバ100の機能構成例を示すブロック図である。
【0019】
サーバ100は、記憶部110と、通信部120と、制御部130とを備える。サーバ100において、これらの構成要素がバス(図示省略)などを介して電気的に接続されている。なお、サーバ100として、汎用のコンピュータや専用のコンピュータを用いることができる。
【0020】
記憶部110は、各種情報を記憶する記憶媒体である。例えば、記憶部110には、制御部130が各種処理を行うために必要となる各種情報(例えば、制御プログラム、地図DB(Database)、顧客DB、乗降地DB、立ち寄り場所DB(図4参照))が記憶される。また、記憶部110には、通信部120を介して取得された各種情報が記憶される。記憶部110として、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などの各種記憶媒体を用いることができる。
【0021】
図DBには、道路情報、施設情報など経路案内に必要となる地図情報が格納されている。その地図情報には、道路の勾配、道路の交差点、道路の車線数、道幅情報、道路の起伏情報が含まれる。また、地図情報には、速度制限、一方通行などを示す道路標識、横断歩道、区画線などを示す道路標示も含まれる。また、地図情報には、道路構造物(例えば信号機、電信柱)、建物などの設備情報を含めてもよい。
【0022】
顧客DBは、乗車支援システム200の配車予約サービスを利用するユーザのアカウント情報、各ユーザのタクシーの利用履歴、各ユーザの属性等が格納されている。なお、アカウント情報は、例えばユーザIDである。
【0023】
乗降地DBは、配車予約をしたユーザがタクシーに乗車する場所(乗車地と称する)と、そのユーザがタクシーから降車する場所(降車地と称する)とに関する乗降地情報を格納するデータベースである。乗降地情報は、乗車地及び降車地の位置を特定するための情報であり、例えば緯度及び経度である。また、乗車地及び降車地は、車両への乗車、車両からの降車が可能な場所であり、道路上または道路に接する場所のうち、車両が駐停車可能な場所が設定される。すなわち、道路では、駐停車が可能な場所が決められているため、ユーザが駐停車可能な場所に存在しない場合には、配車予約により割り当てられたタクシーに乗車できない。そこで、第1実施形態では、道路における駐停車可能な場所を乗降地(乗車地及び降車地)として予め設定しておき、その乗降地を乗降地DBに事前に登録する。なお、乗降地の密度は、道路や周囲の環境に応じて適宜設定される。このように、乗車地は、配車予約をしたユーザと、配車予約により割り当てられたタクシーとの待ち合わせ場所である。また、降車地は、配車予約をしたユーザが、配車予約により割り当てられたタクシーから降車する場所である。例えば、図3では、太線の丸51乃至53で示す位置が乗降地として登録されている例を示し、図5では、点線の丸41乃至43で示す位置が乗降地として登録されている例を示す。なお、第1実施形態では、乗車地または降車地と称する位置は、乗降地を意味するものとする。
【0024】
また、乗車地及び降車地は、サーバ100により設定される。例えば、ユーザ1は、配車アプリを用いて配車予約をする場合に、タクシーに乗車して向かう目的地を入力する。例えば、電子機器20の入出力部27に表示される地図において目的地を指定するようにしてもよく、予め設定されている複数の場所(例えば観光地や施設)のうちから目的地を指定してもよい。この目的地の指定方法については、図5を参照して詳細に説明する。
【0025】
通信部120は、制御部130の制御に基づいて、有線通信または無線通信の少なくとも1つを利用して、他の機器との間で各種情報のやりとりを行うものである。このように、通信部120は、データを送受信するための入力部及び出力部として機能する。なお、通信部120以外の入力部及び出力部の少なくとも1つをサーバ100に設け、サーバ100において各種情報の入力や出力(例えば表示、音声出力)を実行してもよい。通信部120として、ネットワークアダプタなどのハードウェア、各種の通信用ソフトウェア、及びこれらの組み合わせを用いることができる。
【0026】
制御部130は、記憶部110に記憶されている各種プログラムに基づいて各部を制御するものである。制御部130は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置により実現される。
【0027】
制御部130は、配車予約処理に関する機能構成として、配車処理部131と、乗車地候補抽出部132と、待ち時間算出部133と、乗車地設定部134とを備える。
【0028】
配車処理部131は、ユーザ1の配車予約操作に応じて電子機器20から送信された配車予約情報を受け付けると、その配車予約情報に応じた各種の配車予約処理を実行する。この配車予約情報には、ユーザ1の現在地を特定するための位置情報と、目的地を特定するための位置情報と、ユーザIDとが含まれる。なお、各位置情報には、例えば緯度、経度、高度が含まれる。なお、配車予約情報には、例えば電子機器20において予約操作時に入力された情報や電子機器20の記憶部21に保持されている情報(例えば体調に関する情報、一緒に歩く人物の有無に関する情報)を含ませてもよい。
【0029】
配車処理部131は、その配車予約情報に含まれる各位置情報(ユーザ1の現在地を特定するための位置情報、目的地を特定するための位置情報)を乗車地候補抽出部132及び待ち時間算出部133に出力する。
【0030】
また、配車処理部131は、その配車予約情報に基づいて、複数のタクシー31乃至33の中から適切なタクシーを割り当てる。例えば、配車処理部131は、通信機器35乃至37から送信された位置情報(タクシーの現在地を示す位置情報)と記憶部110の地図DBとを用いて、ユーザ1が希望する乗車地に最も近い空車のタクシーを割り当てる。そして、配車処理部131は、記憶部110の地図DBを用いて、割り当てられたタクシーの現在地から乗車地までの移動経路を設定し、その設定された移動経路に沿って乗車地まで走行するようにタクシーの通信機器に指示情報を送信する。なお、このように設定されるタクシーの移動経路は、例えば、割り当てられたタクシーの現在地から乗車地までの経路のうち、最も短い時間で到着できる経路とする。
【0031】
乗車地候補抽出部132は、記憶部110の乗降地DBを用いて、配車処理部131から出力された位置情報(ユーザ1の現在地を特定するための位置情報)に基づいて、ユーザ1の配車予約に対応する乗車地候補を抽出するものである。そして、乗車地候補抽出部132は、抽出された乗車地候補に関する情報を配車処理部131、待ち時間算出部133、乗車地設定部134に出力する。なお、乗車地候補の抽出方法については、図3図7を参照して詳細に説明する。
【0032】
待ち時間算出部133は、乗車地候補抽出部132により抽出された乗車地候補にユーザ1が到着してから、割り当てられたタクシーがその乗車地候補に到着するまでの乗車地候補でのユーザ1の待ち時間を算出するものである。そして、待ち時間算出部133は、算出されたユーザ1の待ち時間を乗車地設定部134に出力する。なお、待ち時間の算出方法については、図7を参照して詳細に説明する。
【0033】
乗車地設定部134は、待ち時間算出部133により算出されたユーザ1の待ち時間に基づいて、ユーザ1の乗車地を設定するものであり、設定された乗車地に関する情報を、配車処理部131、乗車地候補抽出部132、待ち時間算出部133に出力する。具体的には、乗車地設定部134は、ユーザ1の待ち時間が所定時間未満である場合には、乗車地候補抽出部132により抽出された乗車地候補を乗車地に設定する。一方、乗車地設定部134は、ユーザ1の待ち時間が所定時間以上である場合には、立ち寄り場所が存在する乗車地候補を乗車地に設定する。なお、所定時間、乗車地の設定方法については、図6図7等を参照して詳細に説明する。
【0034】
また、配車処理部131は、ユーザ1からの配車予約を受け付けた旨と、設定された乗車地に関する乗車地情報とを含む乗車支援情報を電子機器20に送信する。具体的には、配車処理部131は、ユーザ1の待ち時間が所定時間未満である場合には、乗車地設定部134により設定された乗車地に関する情報を乗車地情報として電子機器20に送信する。一方、配車処理部131は、ユーザ1の待ち時間が所定時間以上である場合には、乗車地設定部134により設定された乗車地と当該乗車地の周囲に存在する立ち寄り場所とに関する乗車地情報を電子機器20に送信する。また、配車処理部131は、割り当てられたタクシーの通信機器に、ユーザ1の乗車地やその乗車地までの歩行時間等を送信する。
【0035】
電子機器20は、記憶部21と、通信部22と、位置情報取得部23と、入力部24と、制御部25と、出力部26とを備える。なお、記憶部21、通信部22、位置情報取得部23、入力部24、出力部26のそれぞれについては、電子機器20に内蔵してもよく、電子機器20から取り外し可能な別体の構成としてもよい。
【0036】
記憶部21は各種情報を記憶する記憶媒体である。例えば、記憶部21には、制御部25が各種処理を行うために必要となる各種情報(例えば、制御プログラム、配車アプリ)が記憶される。また、記憶部21には、通信部22を介して取得された各種情報が記憶される。記憶部21として、例えば、ROM、RAM、HDD、SSDなどの各種記憶媒体を用いることができる。
【0037】
通信部22は、制御部25の制御に基づいて、有線通信または無線通信の少なくとも1つを利用して、他の機器との間で各種情報のやりとりを行うものである。図1に示す例では、通信部22は、ネットワーク10を介してサーバ100との間で通信を行う。なお、通信部22の構成については、サーバ100の通信部120と同様とすることができる。
【0038】
位置情報取得部23は、電子機器20が存在する位置に関する位置情報を取得するものであり、取得した位置情報を制御部25に出力する。位置情報取得部23は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)を利用して位置情報を取得するGNSS受信機により実現できる。また、その位置情報には、GNSS信号の受信時における緯度、経度、高度等の位置に関する各データが含まれる。また、他の位置情報の取得方法により位置情報を取得してもよい。例えば、周囲に存在するアクセスポイントや基地局からの情報を用いて位置情報を導き出してもよい。また、例えば、ナビゲーション装置による位置推定技術を用いて位置情報を導き出してもよい。なお、位置情報取得部23により取得された電子機器20の位置情報は、任意のタイミングでサーバ100に送信してもよく、サーバ100に配車予約情報を送信する際にその配車予約情報に含めて送信してもよい。
【0039】
入力部24は、電子機器20を操作するための操作入力を受け付けるものである。例えば、入力部24は、各種の操作部材(例えば、スイッチ、ボタン)やタッチパネル等のユーザインタフェースとすることができる。
【0040】
制御部25は、記憶部21に記憶されている各種プログラムに基づいて各部を制御するものである。制御部25は、例えば、CPU等の処理装置により実現される。
【0041】
出力部26は、制御部25の制御に基づいて各種情報を出力するものである。出力部26として、例えば、有機EL(Electro Luminescence)パネル、LCD(Liquid Crystal Display)パネル等の表示パネルや、各種音声を出力する音声出力部(例えば、スピーカ)を用いることができる。なお、入力部24及び出力部26については、使用者がその指を表示面に接触または近接することにより操作入力を行うことが可能な入出力パネル等のユーザインタフェースを用いて一体で構成することができる。図5図6図8図9では、入力部24及び出力部26を入出力部27として一体で構成する例を示す。
【0042】
タクシー31乃至33が備える通信機器35乃至37の構成例については、図示を省略するが、通信機器35乃至37の各構成は電子機器20の構成と略同様とすることができる。そして、通信機器35乃至37の通信部は、ネットワーク10を介してサーバ100と通信する。また、通信機器35乃至37の位置情報取得部により取得されたタクシーの位置情報は、所定のタイミングでサーバ100に送信される。また、タクシー31乃至33には、車両ECU(Electronic Control Unit)が備えられる。この車両ECUは、サーバ100から受信した制御情報に基づいて各種のアクチュエータ(ブレーキアクチュエータ、アクセルアクチュエータ、ステアリングアクチュエータなど)を制御する。
【0043】
[乗車地の抽出例]
図3は、電子機器20を所持するユーザ1の現在地を含む地図50を簡略化して示す図である。第1実施形態では、配車予約により手配されたタクシーの乗車地及び降車地(乗降地)は、予め設定されている場所から抽出される例を示す。地図50では、予約したタクシーの乗車地として、太線の丸で示す位置(乗車地51乃至53)が設定されているものとする。また、図5の右側には、予め設定されている降車地として降車地41乃至43を示す。なお、乗降地に関する情報(例えば緯度及び経度)は、記憶部110に記憶されている乗降地DBに格納されている。
【0044】
また、地図50における乗車地52の周囲には立ち寄り場所P1乃至P3が存在し、乗車地53の周囲には立ち寄りP4が存在するが、乗車地51の周囲には立ち寄り場所が存在しないものとする。ここで、立ち寄り場所は、タクシーを待っているユーザが時間を費やすことができる場所を意味する。なお、立ち寄り場所は、ユーザの興味があると想定される特定の場所を意味するPOI(Point of interest)とも称することができる。例えば、タクシーの配車予約をしたユーザ1が乗車地に到着した後に乗車地での待ち時間が長い場合には、立ち寄り場所で時間を費やすことにより、ユーザ1に待ち時間を意識させず、ユーザ1はタクシーの到着を待つことが可能となる。これにより、タクシーの配車予約をしたユーザ1が乗車地に到着した後に乗車地での待ち時間が長いことに起因してその配車をキャンセルすることを防止できる。
【0045】
立ち寄り場所P1はカフェ(図4ではAカフェと称する)であり、立ち寄り場所P2は、コンビニエンスストア(図4ではBコンビニと称する)であり、立ち寄り場所P3はトイレ(図4ではC公衆トイレと称する)であるものとする。また、立ち寄りP4はATM(図4ではD銀行ATMと称する)であるものとする。なお、図3に示す立ち寄り場所は一例であり、これら以外には、本屋、スーパー、列に並ばずに買える場所、喫煙所等が立ち寄り場所として考えられる。また、立ち寄り場所については、乗車地に関連付けて立ち寄り場所DB(図4に示す)に格納されている。
【0046】
なお、ユーザ1の現在地(電子機器20の現在地)を基準とする乗車地の設定方法については、図7を参照して詳細に説明する。
【0047】
[立ち寄り場所DBの格納内容例]
図4は、記憶部110に記憶されている立ち寄り場所DBの格納内容を簡略化して示す図である。
【0048】
立ち寄り場所DBは、配車予約をしたユーザの乗車地に関する立ち寄り場所を管理するデータベースである。具体的には、乗車地111と、立ち寄り場所112と、立ち寄り場所位置情報113と、乗車地からの往復移動時間114と、滞在時間115と、優待情報116とが関連付けて立ち寄り場所DBに格納される。なお、乗車地111の「WR51」は乗車地51(図3参照)に対応し、乗車地111の「WR52」は乗車地52(図3参照)に対応し、乗車地111の「WR53」は乗車地53(図3参照)に対応するものとする。また、立ち寄り場所112の各場所は立ち寄り場所P1乃至P4(図3参照)に対応するものとする。なお、図4では、図3との対応関係を明確にするため、立ち寄り場所112の各名称の下側には、図3に示す立ち寄り場所に対応する符号(P1乃至P4)を付して示す。
【0049】
また、立ち寄り場所DBには、乗車地の周囲に存在する立ち寄り場所が格納されるものとする。なお、乗車地の周囲に相当する範囲は、例えば乗車地を基準とする所定範囲を意味する。例えば、図3に示す乗車地52の場合には、乗車地52を基準とする半径R3の円内の範囲を、乗車地の周囲とすることができる。なお、半径R3は、一例であり、他の値を用いてもよく、円以外の範囲を設定してもよい。また、乗車地の周囲の環境に応じて、乗車地の周囲に相当する範囲を乗車地毎に適宜設定してもよい。例えば繁華街に存在する乗車地の場合には、乗車地の周囲に相当する範囲を比較的狭くし、農村部に存在する乗車地の場合には、乗車地の周囲に相当する範囲を比較的広くしてもよい。
【0050】
立ち寄り場所位置情報113は、立ち寄り場所の位置を特定するための情報であり、例えば緯度及び経度である。立ち寄り場所位置情報113に基づいて、立ち寄り場所の位置を特定するための標識を地図上に表示させることが可能となる。
【0051】
乗車地からの往復移動時間114は、乗車地と立ち寄り場所とをユーザが往復して歩行した場合の推定歩行時間である。この推定歩行時間は、例えば、過去に乗車地と立ち寄り場所とを複数のユーザが往復した場合に計測された歩行時間の履歴情報に基づいて設定される。また、推定歩行時間は、ユーザ1が感覚的に安心できる乗車地からの距離(例えば徒歩3分から5分程度の距離)に基づいて設定される。なお、乗車地からの往復移動時間114は、乗降地密度によって異なる設定としてもよい。
【0052】
滞在時間115は、立ち寄り場所に来たユーザが滞在すると推定される推定滞在時間である。この推定滞在時間は、例えば、過去に複数のユーザが立ち寄り場所に滞在した時間の履歴情報に基づいて設定される。
【0053】
優待情報116は、配車サービスを利用したユーザが立ち寄り場所において受けることが可能な情報である。例えば飲食店であれば、飲食物の無料券や割引券を優待情報とすることができ、サービス業であれば、何らかの割引券や優先サービスを利用できる優待情報とすることができる。
【0054】
[予約操作画面の表示例]
図5は、電子機器20において配車アプリを起動させた際に入出力部27に表示される予約操作画面60、65の表示例を示す図である。図5の左側には、予め設定されている複数の場所からユーザが目的地を選択する予約操作画面60の表示例を示す。また、図5の右側には、地図上においてユーザが所望する目的地を選択する予約操作画面65の表示例を示す。これらの予約操作画面は、ユーザ1の操作により切り替えることが可能である。また、図5に示す例では、「ABC城」を目的地として選択する例を示す。なお、第1実施形態では、到着時間を指定しない例を示すが、到着時間を指定してもよい。
【0055】
電子機器20の配車アプリを用いて配車予約を行う場合には、ユーザ1は、電子機器20の配車アプリを起動して入出力部27に予約操作画面を表示させる。例えば、ユーザ1は、予約操作画面60、65の何れかの予約操作画面を入出力部27に表示させる。次に、ユーザ1は、入出力部27に表示されている予約操作画面において、配車予約したタクシーで向かう目的地を指定する指定操作を行う。なお、ここでは、説明を省略するが、文字による検索操作(例えば住所や施設名等のキーワード検索)により目的地を指定してもよい。
【0056】
図5の左側に示す予約操作画面60を表示させる場合には、ユーザ1は、文字検索や地図検索により、目的地を含む地域を絞り込む絞込操作を行う。そして、その絞込操作により抽出された地域において予め設定されている複数の場所を一覧表示領域62に含む予約操作画面60を表示させる。この例では、プルダウンボタン63の押下操作により一覧表示領域62を表示させる例を示すが、プルダウンボタン63を省略して一覧表示領域62のみを表示してもよい。また、この例では、文字検索や地図検索を用いた絞込操作を行う例を示すが、他の方法により、一覧表示領域62に含む予約操作画面60を表示させてもよい。例えば、ユーザ1のスケジュールを電子機器20が管理している場合には、電子機器20の制御部25は、そのスケジュールに基づいて目的地を推定することが可能である。例えば、スケジュールに「7/27の11時から家族とABC城」が記録されている場合を想定する。この場合に、ユーザ1が7/27の10時頃に配車予約を行う場合には、ユーザ1は、家族と一緒にABC城に行く可能性が高い。そこで、そのスケジュールの「7/27の11時から家族とABC城」に基づいて、「ABC城」が存在する地域(例えば市町村)の一覧表示領域62を含む予約操作画面60を表示させることが可能である。また、ユーザ1の過去の履歴情報に基づいて目的地を推定して提示してもよく、人工知能(Artificial Intelligent)を用いて目的地を推定して提示してもよい。
【0057】
図5の左側に示す予約操作画面60を用いて目的地を指定する場合には、ユーザ1は、操作支援情報61を参照しながら、一覧表示領域62に含まれる複数の場所の中から、ユーザ1が所望する目的地を探す。そして、一覧表示領域62に含まれる複数の場所の中にユーザ1が所望する目的地が存在する場合には、その目的地をユーザ1が押下した後に確定ボタン64を押下することにより予約操作が完了する。例えば、プルダウンボタン63の押下後に一覧表示される複数の場所のうちから、「ABC城」の部分を選択する選択操作(例えばタッチ操作)を行った後に確定ボタン64を押下することにより予約操作が完了する。
【0058】
図5の右側に示す予約操作画面65を用いて目的地を指定する場合には、ユーザ1は、操作支援情報66を参照しながら目的地を含む地図を予約操作画面65に表示させる。そして、表示されている地図上においてユーザが所望する目的地を選択する選択操作(例えばタッチ操作)を行う。図5の右側に示す例では、選択操作により選択されたABC城の位置を点線の丸67で示す。このように、「ABC城」の位置を選択する選択操作を行った後に確定ボタン68を押下することにより予約操作が完了する。
【0059】
上述したように、配車予約により手配されたタクシーの降車地は、予め設定されている場所から選択される。図5の右側に示す予約操作画面65に表示されている地図では、予約したタクシーの降車地として、点線の丸で示す位置(降車地41乃至43)が設定されているものとする。また、ユーザ1の予約操作により「ABC城」が目的地として選択された場合には、その予約操作により配車されたタクシーの降車地として「ABC城」に最も近い降車地43が選択される。
【0060】
なお、ユーザ1や周囲の環境に関する各種情報を入力するための入力欄を予約操作画面60、65に設け、必要に応じてユーザ1が入力操作を行ってもよい。例えば、各種情報として、ユーザの好み情報(例えばコンビニ好き、本好き、珈琲好き、暑さに弱い、寒さに弱い、好みの気温帯)、ユーザの属性情報(例えば性別、年齢)、ユーザの体調情報(例えば良好、不調、足の怪我)、タクシーに乗車する人数に関する情報等を入力する入力欄を設けることができる。
【0061】
上述した予約操作が行われると、電子機器20の制御部25は、配車予約情報をサーバ100に送信する。この配車予約情報には、ユーザ1の現在地に関する位置情報と、目的地に関する位置情報と、ユーザIDとが含まれる。また、上述したユーザ1や周囲の環境に関する各種情報がユーザ1により入力されている場合や記憶部21に保持されている場合には、それらの各情報が配車予約情報に含めて送信される。ユーザ1の周囲における環境(例えば天気、気温)を電子機器20が取得可能な場合には、その環境に関する情報を配車予約情報に含めて送信してもよい。なお、電子機器20がユーザ1の身体に装着して使用可能なスマートウォッチ等の機器である場合には、各種の測定結果に基づいて電子機器20によりユーザ1の体調が管理される。このため、電子機器20に管理されている体調を記憶部21に順次保持させて用いることができる。また、タクシーに乗車する人数等については、電子機器20において管理されているユーザ1のスケジュールに基づいて推定してもよい。例えば、家族と一緒にABC城に行く予定の時間帯であれば、家族と一緒にタクシーに乗車すると推定できる。
【0062】
その配車予約情報を受信したサーバ100は、乗車地の設定処理と、降車地の設定処理と、タクシーの割り当て処理とを実行する。例えば、図5に示すように、ABC城が指定された場合には、乗降車DBに格納されている降車地のうちから、ABC城に最も近い降車地43が選択される。なお、配車予約情報を受信した場合のサーバ100における他の各処理については、図7を参照して詳細に説明する。そして、サーバ100は、その処理結果である乗車支援情報を電子機器20に送信する。この乗車支援情報を受信した後の入出力部27の表示例を図6に示す。
【0063】
[乗車地案内画面の表示例]
図6は、電子機器20において配車アプリを用いて予約操作を行った後に入出力部27に表示される乗車地案内画面70、80の表示例を示す図である。図6の左側には、ユーザ1の現在地から最も近い乗車地51(図3参照)での待ち時間が所定時間未満となる場合の乗車地案内画面70の表示例を示す。また、図6の右側には、ユーザ1の現在地から最も近い乗車地51での待ち時間が所定時間以上となる場合の乗車地案内画面80の表示例を示す。
【0064】
ここで、所定時間は、待ち時間が長いとユーザ1が感じる程度の値である。所定時間として、例えば5分乃至15分程度の値を設定することができる。なお、所定時間は、固定値を用いてもよく、ユーザ1の好みで適宜設定可能としてもよい。なお、第1実施形態では、所定時間を10分に固定する例を示す。
【0065】
図6に示すように、電子機器20の制御部25は、サーバ100から送信された乗車支援情報に基づいて、ユーザ1の現在地から、サーバ100により設定された乗車地までの歩行を支援するための乗車地案内画面70、80を入出力部27に表示させる。
【0066】
図6の左側に示す乗車地案内画面70には、ユーザ1の現在地を示す現在地標識72と、乗車地の位置を示す乗車地標識73と、現在地標識72から乗車地標識73までの歩行経路を示す矢印標識74とが表示される。また、乗車地案内画面70には、ユーザ1の現在地から乗車地までの歩行時間を示す歩行時間表示領域75が表示される。歩行時間表示領域75には、サーバ100から送信された乗車支援情報に基づいて、矢印標識74で示される歩行経路をユーザ1が歩いた場合の推定歩行時間が表示される。また、乗車地案内画面70の下部表示領域71には、歩行を支援するためのメッセージとともに、タクシーの到着予定時刻、乗車地での待ち時間、目的地の到着予定時刻等が表示される。
【0067】
図6の右側に示す乗車地案内画面80には、現在地標識82、乗車地標識83、矢印標識84、歩行時間表示領域86が表示される。これらについては、図6の右側に示す乗車地案内画面70と同様であるため、ここでの説明を省略する。また、乗車地標識83に対応する乗車地の周囲には、立ち寄り場所P1乃至P3(図3参照)が存在するため、立ち寄り場所P1乃至P3の位置を示す立ち寄り場所標識P1’乃至P3’が表示される。また、乗車地案内画面80の下部表示領域81には、歩行を支援するためのメッセージ、タクシーの到着予定時刻、乗車地での待ち時間、目的地の到着予定時刻等が表示されるとともに、待ち時間に立ち寄り場所に立ち寄ることが可能である旨のメッセージが表示される。また、下部表示領域81の上側には、立ち寄り場所リスト表示領域85が表示される。
【0068】
ここで、図6の右側には、乗車地での待ち時間が19分である場合(下部表示領域81参照)の例を示す。また、第1実施形態では、乗車地での待ち時間(19分)の範囲内で立ち寄ることが可能な場所のみを立ち寄り場所リスト表示領域85に表示する。例えば、図3図4に示すように、乗車地標識83に対応する乗車地52の周囲には、立ち寄り場所P1乃至P3が存在する。この場合に、配車処理部131は、乗車地からの往復移動時間114、滞在時間115(図4参照)に基づいて、立ち寄り場所P1乃至P3のうちから、乗車地での待ち時間(19分)の範囲内で立ち寄ることが可能な場所を抽出する。具体的には、乗車地からの往復移動時間114及び滞在時間115の合計値が乗車地での待ち時間(19分)の範囲内となる場所が抽出される。すなわち、図4の点線の矩形117で囲んで示す立ち寄り場所P2、P3が抽出される。そして、立ち寄り場所リスト表示領域85には、抽出された立ち寄り場所P2、P3(図3参照)に関する情報が表示される。また、立ち寄り場所リスト表示領域85の識別番号1、2と、立ち寄り場所標識P2’、P3’内に示す番号とが対応する。立ち寄り場所P1に対応する立ち寄り場所標識P1’については、表示しないようにしてもよく、他の表示態様(例えば点線、色違い)で表示してもよい。
【0069】
また、抽出された立ち寄り場所P2、P3については、ユーザ1の移動負荷を基準にして立ち寄り場所の優先度を設定し、その優先度に基づいて立ち寄り場所リスト表示領域85の表示順序を決定してもよい。例えば、乗車地52に最も近い立ち寄り場所P2の優先度を高くし、乗車地52に次に近い立ち寄り場所P3の優先度を低くする。そして、立ち寄り場所リスト表示領域85の識別番号1には、優先度が高い立ち寄り場所P2を表示し、立ち寄り場所リスト表示領域85の識別番号2には、優先度が次に高い立ち寄り場所P3を表示する。すなわち、配車処理部131は、ユーザ1の移動負荷を基準にして立ち寄り場所の優先度を設定し、その優先度と立ち寄り場所とを関連付けて電子機器20の入出力部27に表示させることができる。
【0070】
また、立ち寄り場所リスト表示領域85の右側には、「優待情報」表示領域、「必要時間」表示領域が設けられる。「優待情報」表示領域には、立ち寄り場所DB(図4参照)の優待情報116に優待情報が格納されている立ち寄り場所にチェックマークが付される。そして、「優待情報」表示領域にチェックマークが付されている立ち寄り場所P2にユーザ1が立ち寄った場合には、立ち寄り場所P2で使用可能なクーポン等の優待を利用することが可能である。また、「必要時間」表示領域には、乗車地52から立ち寄り場所P2、P3に立ち寄るために必要となる時間が表示される。具体的には、乗車地からの往復移動時間114及び滞在時間115(図4参照)の合計値が「必要時間」表示領域に表示される。
【0071】
なお、ユーザ1が乗車地に向かう歩行経路上に立ち寄り場所が存在する場合には、乗車地からの往復移動時間114の値を、その歩行経路上の重複部分だけ減算した値に基づいて「必要時間」表示領域を表示してもよい。例えば、ユーザ1が乗車地52に向かう歩行経路上には立ち寄り場所P2が存在する。この場合には、乗車地からの往復移動時間114の値「4」の1/2である「2」と、滞在時間115の値「5」とを加算した値「7分」を「必要時間」表示領域に表示してもよい。
【0072】
なお、第1実施形態では、説明を省略するが、乗車地案内画面として、周知のナビゲーションシステムのように、その歩行経路に沿って乗車地に向かうための案内を表示するようにしてもよい。また、乗車地案内画面に表示される歩行時間は、ユーザの歩行に応じて表示時間を減少させ、乗車地に到着した際には「0」を表示してもよい。また、電子機器20の制御部25は、サーバ100からの情報に基づいて、タクシーの到着予定時刻、乗車地での待ち時間、目的地の到着予定時刻について、最新の情報を順次表示することができる。また、電子機器20の制御部25は、音声出力によりそれらの案内を行うようにしてもよい。
【0073】
また、サーバ100の制御部130は、タクシーの到着予定時刻が大幅に遅れ、乗車地での待ち時間が増加したような場合には、記憶部110の立ち寄り場所DB(図4参照)を参照して、増加した待ち時間に応じた立ち寄り場所をユーザ1に提示してもよい。なお、ユーザ1が乗車地に向かって歩行している間に、タクシーの到着予定時刻が大幅に遅れ、乗車地での待ち時間が増加するような場合に、立ち寄り場所が存在する他の乗車地をユーザ1に提案する例は、第2実施形態で示す。
【0074】
また、図6では、乗車地までの歩行経路における歩行時間を表示する例を示すが、歩行時間の代わりに乗車地の到着予定時刻を表示してもよい。乗車地の到着予定時刻は、ユーザ1の配車予約時の時刻に、推定された歩行時間を加算することにより求めることができる。すなわち、歩行経路における到着時間に関する各情報(例えば推定歩行時間、到着予定時刻)をユーザ1の好みに応じて表示させることができる。
【0075】
[サーバの動作例]
図7は、サーバ100における乗車地設定処理の一例を示すフローチャートである。この処理例では、サーバ100が電子機器20から配車予約情報を受信した場合の例を示す。また、この処理例は、記憶部110に記憶されているプログラムに基づいて制御部130により実行される。図7では、図1乃至図6に示す例を適宜参照して説明する。
【0076】
ステップS301において、配車処理部131は、通信部120を介して電子機器20から送信された配車予約情報を受信する。この配車予約情報を受信すると、配車処理部131は、その配車予約情報に応じた各種の配車処理を実行する。
【0077】
ステップS302において、乗車地候補抽出部132は、乗降地DBに格納されている乗車地のうちから、ユーザ1の移動負荷が第1所定値内となる乗車地候補を抽出する。すなわち、乗車地候補抽出部132は、受信した配車予約情報に含まれる位置情報(ユーザ1の現在地に関する位置情報)に基づいて、ユーザ1の移動負荷が第1所定値内となる乗車地候補を抽出する。
【0078】
ここで、ユーザ1の移動負荷は、ユーザ1が移動する際の労力、移動時間、移動距離等に基づいて求められる評価値であり、ユーザ1の移動コストとも称することができる。例えば、移動距離が長い場合や、坂道のある道路の場合は、ユーザ1が移動する際の労力が増え、ユーザ1が移動する際の時間が長くなるため、ユーザ1の移動負荷は高くなる。一方、移動距離が短い場合や、平坦な道路の場合は、ユーザ1が移動する際の労力が減り、ユーザ1が移動する際の時間が短くなるため、ユーザ1の移動負荷は低くなる。また、例えば、雨天時には、ユーザ1が移動する際の労力が増え、ユーザ1が移動する際の時間も長くなるため、ユーザ1の移動負荷は高くなる。一方、雨天時でも、屋根のある歩行者専用道路の場合は、ユーザ1が移動する際の労力が減り、ユーザ1が移動する際の時間も短くなるため、ユーザ1の移動負荷は低くなる。このように、ユーザ1が移動する歩行経路の道路状態や天候、周囲の環境に応じて、ユーザ1の移動負荷を求めることができる。なお、第1実施形態では、説明を容易にするため、ユーザ1の現在地から乗車地までの直線距離をユーザ1の移動負荷として用いる例を示す。なお、ユーザ1の現在地から乗車地までの直線距離の代わりに、ユーザ1の現在地から乗車地までの歩行経路の距離をユーザ1の移動負荷として用いてもよい。また、ユーザ1の移動負荷が少ない場合は、アクセス難易度が低いとも称し、ユーザ1の移動負荷が多い場合は、アクセス難易度が高いとも称することができる。
【0079】
なお、第1所定値は、ユーザ1が設定してもよく、所定値(例えば数十m~数百m)を用いてもよい。また、ユーザ1の移動負荷が第1所定値内となる乗車地が複数存在する場合には、それらの乗車地のうちでユーザ1の移動負荷が最も小さい乗車地を乗車地候補として抽出する。すなわち、ユーザ1の現在地からの直線距離が最も短い乗車地が乗車地候補として抽出される。
【0080】
図3では、ユーザ1の現在地を基準として、半径R1の範囲内に存在する乗車地を抽出する例を示す。図3に示す例では、ユーザ1の現在地を基準として、半径R1の範囲内に存在する乗車地は、乗車地51のみであるため、乗車地51が乗車地候補として抽出される。
【0081】
ステップS303において、配車処理部131は、ステップS302で抽出された乗車地候補に迎車可能なタクシーを選択する。すなわち、配車処理部131は、ステップS302で抽出された乗車地候補の位置に基づいて、複数のタクシー31乃至33の中から適切なタクシーを割り当てる。例えば、配車処理部131は、通信機器35乃至37から送信された位置情報(タクシーの現在地を示す位置情報)と記憶部110の地図DBとを用いて、ステップS302で抽出された乗車地候補に最も近い空車のタクシー(または、その乗車地候補に最短時間で到着可能な空車のタクシー)を割り当てる。そして、配車処理部131は、記憶部110の地図DBを用いて、割り当てられたタクシーの現在地から乗車地までの移動経路を設定し、その設定された移動経路に沿って乗車地まで走行するようにタクシーの通信機器に指示情報を送信する。なお、このように設定されるタクシーの移動経路は、例えば、割り当てられたタクシーの現在地から乗車地までの経路のうち、最も短い時間で到着できる経路とする。
【0082】
ステップS304において、待ち時間算出部133は、ステップS302で抽出された乗車地候補におけるユーザ1の待ち時間を算出する。具体的には、待ち時間算出部133は、ユーザ1の乗車地候補までの歩行時間と、割り当てられたタクシーの乗車地候補までの移動時間とを算出し、それらの差分値に基づいてユーザ1の待ち時間を算出する。
【0083】
例えば、待ち時間算出部133は、記憶部110の地図DBを用いて、ユーザ1の現在地から、ステップS302で抽出された乗車地候補までの歩行経路を選択する選択処理を実行する。例えば、待ち時間算出部133は、ユーザ1の現在地から乗車地候補までの歩行経路が複数存在する場合には、複数の歩行経路のうちから、所定条件に基づいて1つの歩行経路を選択する。また、待ち時間算出部133は、選択された歩行経路について歩行時間の算出処理を実行する。具体的には、待ち時間算出部133は、予め設定されている一般的な徒歩の速度(歩行速度)と、選択された歩行経路の距離とに基づいて、選択された歩行経路の歩行時間を算出する。例えば、次の式を用いて歩行時間を求めることができる。
歩行経路の歩行時間=歩行経路の距離/歩行速度
【0084】
なお、ユーザの属性(性別、大人、子供、体調の状態)や歩行時の環境(天候、温度、坂道の有無、悪路)などに基づいて、予め設定されている一般的な徒歩の速度を適宜変更して用いてもよい。例えば、ユーザ1の体調が不良であることが把握できる場合には、予め設定されている一般的な徒歩の速度を低下させた値を用いるようにする。また、例えば、歩行時が雨天の場合には、予め設定されている一般的な徒歩の速度を低下させた値を用いるようにする。なお、ユーザの属性は、ユーザ入力やセンサ情報に基づいて取得可能であり、天候や温度は、例えば気象に関する情報を提供する各種のウエブサイトから取得可能である。坂道の有無や悪路等は、記憶部110の地図DBから取得可能である。
【0085】
また、例えば、待ち時間算出部133は、ステップS303で設定されたタクシーの移動経路について移動時間の算出処理を実行する。具体的には、待ち時間算出部133は、設定された移動経路の距離と、その移動経路について法定速度や渋滞状態を考慮して予め設定されている車両の速度とに基づいて、設定された移動経路の移動時間を算出する。なお、道路状態(渋滞)などに基づいて、予め設定されている車両速度を適宜変更して用いてもよい。例えば、次の式を用いて移動時間を求めることができる。
移動経路の移動時間=移動経路の距離/移動速度
【0086】
次に、待ち時間算出部133は、ユーザ1の乗車地候補までの歩行時間と、タクシーの乗車地候補までの移動時間との差分値を算出する。この場合に、ユーザ1の乗車地候補までの歩行時間が、タクシーの乗車地候補までの移動時間よりも短い場合には、その差分値だけ、乗車地候補でユーザ1が待つことになる。このため、その差分値がユーザ1の待ち時間として算出される。一方、ユーザ1の乗車地候補までの歩行時間が、タクシーの乗車地候補までの移動時間よりも長い場合には、タクシーが乗車地候補で待つことになり、ユーザ1の待ち時間は発生しないことになる。このため、ユーザ1の待ち時間として0が算出される。
【0087】
ステップS305において、乗車地設定部134は、ステップS304で算出された乗車地候補におけるユーザ1の待ち時間が所定時間以上であるか否かを判定する。ここで、所定時間は、図6で示したように、待ち時間が長いとユーザ1が感じる程度の値であり、例えば5分乃至15分程度の値を設定することができる。
【0088】
なお、所定時間は、ユーザ1の好み情報と、ユーザ1の属性情報と、ユーザ1の体調情報と、ユーザ1の周囲における環境情報と、乗車地候補の周囲における環境情報と、ユーザ1とともにタクシーに乗車する人の数に関する情報とのうちの少なくとも1つに基づいて可変としてもよい。ここで、ユーザ1の周囲における環境情報や、乗車地候補の周囲における環境情報を用いる場合について説明する。例えば、乗車地で雨が降っている場合には、比較的短い時間でもユーザ1は待ち時間が長いと感じることが想定される。そこで、乗車地で雨が降っている場合には、乗車地が晴れの場合と比較して所定時間を短い値に設定する。また、例えば、乗車地の気温が極端に低い場合や極端に高い場合には、比較的短い時間でもユーザ1は待ち時間が長いと感じることが想定される。そこで、乗車地の気温が極端に低い場合や極端に高い場合には、乗車地の気温が温暖な場合と比較して所定時間を短い値に設定する。
【0089】
また、例えば、ユーザ1の属性情報や人の数に関する情報を用いて、ユーザ1が子供である場合や、ユーザ1が子供と一緒であることが把握できる場合には、所定時間として短い値を設定する。また、例えば、ユーザ1の属性情報を用いて、ユーザ1の年齢が高い場合や低い場合には、所定時間として短い値を設定する。また、例えば、ユーザ1の体調情報を用いて、ユーザ1が不調である場合や、何らかの怪我をしていることが把握できる場合には、所定時間として短い値を設定する。
【0090】
また、例えば、人の数に関する情報を用いて、ユーザ1が友人と一緒であることが把握できる場合には、乗車地で友人と一緒に長く話すことも考えられるため、所定時間として長い値を設定する。
【0091】
また、例えば、ユーザ1の好み情報を用いて、ユーザ1が過去にどの程度の待ち時間で配車予約をキャンセルしたかを把握できる場合には、その待ち時間よりも短い時間を所定時間として設定する。また、そのキャンセルされた時のユーザ1の周囲の環境(天気や気温等)を把握できる場合には、その情報を用いて所定時間を設定することも可能である。
【0092】
また、ユーザ1は、電子機器20においてユーザ1が好む気温をユーザの好み情報として登録しておき、その登録されている気温との差が大きくなるのに応じて、所定時間を短く設定してもよい。すなわち、乗車地設定部134は、乗車地候補の周囲における環境として、天候情報を取得し、ユーザ1の好む気温を基準温度とし、乗車地候補の周囲の気温と基準温度との温度差が大きくなるのに応じて所定時間を小さい値とすることができる。このように、乗車地設定部134は、ユーザ1の好み情報、ユーザ1の属性情報等に基づいて、所定時間を変更して用いることができる。
【0093】
乗車地候補におけるユーザ1の待ち時間が所定時間以上である場合には、ステップS308に進む。一方、乗車地候補におけるユーザ1の待ち時間が所定時間未満である場合には、ステップS306に進む。
【0094】
ステップS306において、乗車地設定部134は、ステップS302で抽出された乗車地候補を乗車地に設定する。
【0095】
ステップS307において、配車処理部131は、ステップS306で設定された乗車地に関する乗車地情報をユーザに通知するための通知処理を実行する。その乗車地情報は、例えば、その乗車地までの歩行経路及び歩行時間、その乗車地での待ち時間、その乗車地でのタクシーの乗車予定時刻、目的地の到着予定時刻等である。具体的には、配車処理部131は、ユーザ1からの配車予約を受け付けた旨の情報と、設定された乗車地に関する乗車地情報とを含む乗車支援情報を電子機器20に送信する。乗車支援情報を受信した電子機器20の制御部25は、その乗車支援情報に基づいて、その乗車支援情報に含まれる乗車地情報を入出力部27(表示部の一例)に表示させる。例えば、図6の左側に示すように乗車地案内画面70が入出力部27に表示される。このように、配車処理部131は、乗車地情報を電子機器20の入出力部27から出力させるための制御を実行する出力部や出力制御部として機能する。言い換えると、配車処理部131は、乗車地情報を電子機器20の入出力部27に表示させるための制御を実行する表示制御部として機能する。なお、乗車地でのタクシーの到着予定時刻は、タクシーの移動時間に基づいて求められる。また、目的地の到着予定時刻は、乗車地から目的地までのタクシーの移動経路と、その移動経路について法定速度や渋滞状態を考慮して予め設定されているタクシーの速度とに基づいて、その移動経路の移動時間を算出し、その移動時間に基づいて求められる。
【0096】
ステップS308において、乗車地設定部134は、ステップS302で抽出された乗車地候補の周囲に立ち寄り場所が存在するか否かを判定する。具体的には、乗車地設定部134は、立ち寄り場所DB(図4参照)を用いて、ステップS302で抽出された乗車地候補の周囲に立ち寄り場所が存在するか否かを判定する。例えば、乗車地候補として図3に示す乗車地51が抽出された場合を想定する。この場合には、立ち寄り場所DBに格納されている乗車地51(図4に示す乗車地111の「WR51」)には、立ち寄り場所112が関連付けて格納されていない。このため、乗車地候補の周囲に立ち寄り場所が存在しないと判定される。一方、乗車地候補として図3に示す乗車地52が抽出された場合を想定する。この場合には、立ち寄り場所DBに格納されている乗車地52(図4に示す乗車地111の「WR52」)には、立ち寄り場所112として3つの情報(Aカフェ、Bコンビニ、C公衆トイレ)が関連付けて格納されている。このため、乗車地候補の周囲に立ち寄り場所が存在すると判定される。乗車地候補の周囲に立ち寄り場所が存在する場合には、ステップS311に進む。一方、乗車地候補の周囲に立ち寄り場所が存在しない場合には、ステップS309に進む。
【0097】
ステップS309において、乗車地候補抽出部132は、ユーザ1の移動負荷が第2所定値内の第2乗車地候補のうち、立ち寄り場所が存在し、かつ、ユーザ1の待ち時間が所定時間以上の乗車地が存在するか否かを判定する。具体的には、乗車地候補抽出部132は、受信した配車予約情報に含まれる位置情報(ユーザ1の現在地に関する位置情報)に基づいて、乗降地DBに格納されている乗車地のうちから、ユーザ1の移動負荷が第2所定値内となる1または複数の第2乗車地候補を抽出する。ここで、ユーザ1の移動負荷は、ステップS302で示した移動負荷と同様である。また、第2所定値は、ステップS302で示した第1所定値よりも大きい値である。第2所定値は、ユーザ1が設定してもよく、固有値(例えば数十m~数百m)を用いてもよい。
【0098】
図3では、ユーザ1の現在地を基準として、半径R2の範囲内に存在する乗車地を第2乗車地候補として抽出する例を示す。図3に示す例では、ユーザ1の現在地を基準として、半径R2の範囲内に存在する乗車地は、乗車地51、52であるため、乗車地51以外の乗車地52が第2乗車地候補として抽出される。
【0099】
次に、乗車地設定部134は、抽出された第2乗車地候補のうち、周囲に立ち寄り場所が存在し、かつ、ユーザ1の待ち時間が所定時間以上の乗車地が存在するか否かを判定する。具体的には、乗車地設定部134は、ステップS308での判定処理と同様に、立ち寄り場所DB(図4参照)を用いて、抽出された第2乗車地候補の周囲に立ち寄り場所が存在するか否かを判定し、周囲に立ち寄り場所が存在する第2乗車地候補を抽出する。次に、乗車地設定部134は、周囲に立ち寄り場所が存在する第2乗車地候補でのユーザ1の待ち時間が所定時間以上となるか否かを判定する。なお、第2乗車地候補でのユーザ1の待ち時間は、ステップS304での算出処理と同様に、待ち時間算出部133により算出される。ここで示す所定時間は、ステップS305で示した所定時間と同様である。すなわち、立ち寄り場所が存在する乗車地であっても、その乗車地までの歩行時間が長くなり、その乗車地でのユーザ1の待ち時間が短くなる場合には、その乗車地の周囲に存在する立ち寄り場所にユーザ1が立ち寄ることができない。この場合には、立ち寄り場所が存在する第2乗車地候補であっても乗車地として設定されない。
【0100】
例えば、第2乗車地候補として図3に示す乗車地52が抽出された場合を想定する。この場合には、立ち寄り場所DBに格納されている乗車地52(図4に示す乗車地111の「WR52」)には、立ち寄り場所112として3つの情報(Aカフェ、Bコンビニ、C公衆トイレ)が関連付けて格納されている。このため、第2乗車地候補の周囲に立ち寄り場所が存在すると判定される。この場合には、乗車地52でのユーザ1の待ち時間が所定時間以上であると判定されると、ステップS310に進む。
【0101】
周囲に立ち寄り場所が存在し、かつ、ユーザ1の待ち時間が所定時間以上の第2乗車地候補が存在する場合には、ステップS310に進む。一方、周囲に立ち寄り場所が存在する第2乗車地候補が存在しない場合、または、周囲に立ち寄り場所が存在する第2乗車地候補は存在するが、その第2乗車地候補でのユーザ1の待ち時間が所定時間未満となる場合には、ステップS306に進む。この場合には、ユーザ1に対して立ち寄り場所のある乗車地を薦めずに、最初の乗車地を薦めることになる。
【0102】
ステップS310において、乗車地設定部134は、ステップS309で該当すると判定された第2乗車地候補を乗車地に設定する。
【0103】
ステップS311において、乗車地設定部134は、ステップS302で抽出された乗車地候補を乗車地に設定する。
【0104】
ステップS312において、配車処理部131は、ステップS310またはS311で設定された乗車地に関する乗車地情報をユーザに通知するための通知処理を実行する。その乗車地情報は、例えば、その乗車地までの歩行経路及び歩行時間、その乗車地での待ち時間、その乗車地でのタクシーの到着予定時刻、目的地の到着予定時刻、その乗車地の周囲に存在する立ち寄り場所等である。具体的には、ステップS307と同様に、配車処理部131は、ユーザ1からの配車予約を受け付けた旨の情報と、設定された乗車地に関する乗車地情報とを含む乗車支援情報を電子機器20に送信する。乗車支援情報を受信した電子機器20の制御部25は、その乗車支援情報に基づいて、その乗車支援情報に含まれる乗車地情報を入出力部27(表示部の一例)に表示させる。例えば、図6の右側に示すように乗車地案内画面80が入出力部27に表示される。
【0105】
なお、ユーザの好み情報(例えばコンビニ好き、本好き、珈琲好き)を用いて、立ち寄り場所の優先度を設定し、その優先度に基づいて立ち寄り場所リスト表示領域85(図6参照)の表示順序を決定してもよい。例えば、ユーザの好み情報を用いて、ユーザ1が好む立ち寄り場所が抽出されている場合には、そのユーザ1が好む立ち寄り場所の優先度を高く設定する。また、ユーザの好み情報(例えばコンビニ好き、本好き、珈琲好き)を用いて、立ち寄り場所が存在する乗車地を設定してもよい。例えば、立ち寄り場所が存在する乗車地であっても、その乗車地にユーザ1が好む立ち寄り場所が存在しないことも想定される。この場合には、ユーザ1が有効に時間を活用できないことも想定される。そこで、乗車地設定部134は、ステップS308、S309の判定処理で、ユーザ1が好む立ち寄り場所が存在するか否かを判定基準として用いてもよい。
【0106】
ここで、乗車地でのユーザ1の待ち時間を考慮せずに、ユーザ1の移動負荷が低い乗車地を設定した場合には、ユーザ1が乗車地に移動した後に、その乗車地で所定時間以上、タクシーの到着を待たされる可能性がある。例えば、乗車地で所定時間以上の待ち時間が発生する場合において、立ち寄り場所がなくユーザ1が乗車地で単に待たされるようなときには、配車アプリのユーザビリティが低下するおそれがある。特に、暴風雨や寒暖が厳しい環境下の乗車地で所定時間以上の待ち時間が発生する場合には、ユーザ1によっては、タクシーの到着を待つことができず、ユーザ1がその予約をキャンセルし、他の予約をする可能性もある。
【0107】
そこで、第1実施形態では、ユーザ1の移動負荷が最も低い乗車地でのユーザ1の待ち時間が所定時間以上であると判定された場合には、周辺に立ち寄り場所が存在する他の乗車地を設定するようにする。すなわち、乗車地でのユーザ1の待ち時間が所定時間以上であると判定された場合には、ユーザ1が有効に時間を活用することができる他の乗車地を提案することができる。これにより、立ち寄り場所で時間を有効活用しながらタクシーの到着を待つことが可能となる。また、乗車地での待ち時間を意識させないことにより、配車キャンセルを防ぐことができる。また、配車キャンセルの防止により、配車キャンセルに係る演算処理と、再度の配車予約に係る演算処理とが増加することを防止でき、制御部130の演算量を低減させることができる。
【0108】
一般に、配車予約をしたユーザは、タクシーに乗り遅れる不安から、乗車予定時刻よりも早く到着したいと考えることが多いため、乗車地までの歩行経路を通常の歩行速度よりも早く歩くことが多い。そして、乗車地に早く到着したユーザは、乗車地付近で待つ傾向がある。このため、配車予約時に推定された乗車地での待ち時間よりも長い待ち時間が発生することも想定される。このように、長い待ち時間が発生した場合でも、立ち寄り場所を提供することにより、単に待つ時間を減少させることができ、待ち時間を有効な時間に変えることができる。
【0109】
[所望の乗車地をユーザが選択可能とする表示例]
以上では、乗車地で所定時間以上の待ち時間が発生する場合には、立ち寄り場所が存在する乗車地をユーザに通知する例を示した。ただし、ユーザによっては、立ち寄り場所に寄ることを所望せず、乗車地において待つことを希望することも想定される。そこで、図8では、ユーザ選択により所望の乗車地を選択する例を示す。
【0110】
図8は、電子機器20において配車アプリを用いて予約操作を行った後に入出力部27に表示される乗車地案内画面76、80の表示遷移例を示す図である。乗車地案内画面76は、図6に示す乗車地案内画面70、80の双方の情報を表示する表示画面であるため、乗車地案内画面70、80と共通する情報には同一の符号を付して示す。なお、図8では、乗車地51、52(図3参照)を乗車地A、Bと称して説明する。
【0111】
また、乗車地案内画面76には、乗車地Aに関する歩行時間表示領域78と、乗車地Bに関する歩行時間表示領域79との双方が表示される。また、乗車地案内画面76の下部表示領域77には、乗車地A、Bの双方の待ち時間と、乗車地Bの周囲には立ち寄り場所が存在する旨と、乗車地A、Bから所望の乗車地を選択する旨とが表示される。
【0112】
図8に示す例では、乗車地標識73、83の何れかを選択する選択操作(例えばタッチ操作)により所望の乗車地として乗車地Bを選択する例を示す。この選択操作が行われると、図8の下側に示すように、乗車地案内画面80が入出力部27に表示される。この乗車地案内画面80は、図6に示す乗車地案内画面80と同様であるため、乗車地案内画面80と同一の符号を付して示す。
【0113】
このように、ユーザ1は、条件が異なる複数の乗車地のうちから所望の乗車地を選択することができる。
【0114】
[第1実施形態の構成及び効果]
第1実施形態に係るサーバ100(乗車支援装置の一例)は、ユーザ1の予約によりタクシー(車両の一例)が配車設定され、ユーザ1がタクシーに乗車する乗車地をユーザ1に通知する乗車支援装置である。また、サーバ100は、ユーザ1の現在地に基づいて抽出された乗車地候補にてユーザ1がタクシーを待つ待ち時間を、ユーザ1の現在地とタクシーの現在地と乗車地候補の位置とに基づいて算出する待ち時間算出部133と、待ち時間が所定時間未満である場合には、乗車地候補を乗車地に設定し、待ち時間が所定時間以上である場合には、ユーザ1の現在地に基づいて抽出された乗車地候補の中から周囲に立ち寄り場所が存在する乗車地候補を乗車地として設定する乗車地設定部134と、待ち時間が所定時間未満である場合には、乗車地設定部134により設定された乗車地に関する情報を乗車地情報として電子機器20の入出力部27から出力させ、待ち時間が所定時間以上である場合には、乗車地設定部134により設定された乗車地と当該乗車地の周囲に存在する立ち寄り場所とに関する情報を乗車地情報として電子機器20の入出力部27から出力させる配車処理部131(出力部の一例)と、を備える。なお、第1実施形態に係る乗車支援装置は、電子機器20により実現してもよく、乗車支援システム200を構成する各機器により実現してもよい。
【0115】
このようなサーバ100によれば、乗車地でのユーザ1の待ち時間が所定時間以上である場合には、周辺に立ち寄り場所が存在する乗車地を設定するため、ユーザ1は立ち寄り場所で時間を有効活用しながらタクシーの到着を待つことが可能となる。また、乗車地での待ち時間を意識させないことにより、配車キャンセルを防ぐことができる。
【0116】
また、第1実施形態に係るサーバ100では、待ち時間算出部133は、ユーザ1の現在地から乗車地候補までの移動経路におけるユーザ1の移動時間を算出するとともに、タクシーの現在地から乗車地候補までの移動経路におけるタクシーの移動時間を算出し、ユーザの移動時間とタクシーの移動時間との差分値に基づいて、ユーザ1が乗車地候補に到着してからタクシーが乗車地候補に到着するまでの乗車地候補での待ち時間を算出する。
【0117】
このようなサーバ100によれば、乗車地候補での待ち時間の算出精度を向上させることができ、適切な乗車地を設定することが可能となる。
【0118】
また、第1実施形態に係るサーバ100では、ユーザ1の現在地を基準として、ユーザ1の移動負荷が第1所定値以下となる1または複数の乗車地を乗車地候補として抽出する乗車地候補抽出部132をさらに備える。乗車地候補抽出部132は、待ち時間が所定時間以上である場合において、乗車地候補の周囲に立ち寄り場所が存在しないときには、ユーザ1の移動負荷が第1所定値よりも大きい第2所定値以下となる1または複数の乗車地を第2乗車地候補として抽出する。また、乗車地設定部134は、待ち時間が所定時間以上である場合において、第1所定値を用いて抽出された乗車地候補の周囲に立ち寄り場所が存在するときには、その乗車地候補を乗車地に設定し、その乗車地候補の周囲に立ち寄り場所が存在しないときには、第2所定値を用いて抽出された第2乗車地候補のうちから、周囲に立ち寄り場所が存在する第2乗車地候補を乗車地に設定する。
【0119】
このようなサーバ100によれば、乗車地候補の周囲に立ち寄り場所が存在しないときには、抽出条件を緩和して乗車地候補を抽出するため、周囲に立ち寄り場所が存在する乗車地を適切に設定することができる。
【0120】
また、第1実施形態に係るサーバ100では、所定時間を、ユーザ1の好み情報と、ユーザ1の属性情報と、ユーザ1の体調情報と、ユーザ1の周囲における環境情報と、乗車地候補の周囲における環境情報と、ユーザ1とともにタクシーに乗車する人の数に関する情報とのうちの少なくとも1つに基づいて可変とする。
【0121】
このようなサーバ100によれば、ユーザ1の好み情報等に基づいて変更された所定時間を用いて乗車地候補を抽出することが可能であるため、ユーザ1に応じた適切な乗車地を設定することができる。
【0122】
また、第1実施形態に係るサーバ100では、乗車地設定部134は、乗車地候補の周囲における環境として天候情報を取得し、ユーザ1の好む気温を基準温度とし、乗車地候補の周囲の気温と基準温度との温度差が大きくなるのに応じて所定時間を小さい値とする。
【0123】
このようなサーバ100によれば、ユーザ1の好む気温に基づいて変更された所定時間を用いて乗車地候補を抽出することが可能であるため、ユーザ1に応じた適切な乗車地を設定することができる。
【0124】
また、第1実施形態に係るサーバ100では、配車処理部131(出力部の一例)は、立ち寄り場所に関する情報として、当該立ち寄り場所の名称と、乗車地設定部134により設定された乗車地及び当該立ち寄り場所間を移動する場合の推定移動時間と、当該立ち寄り場所での推定滞在時間と、当該立ち寄り場所で使用可能な優待情報とのうちの少なくとも1つを電子機器20の入出力部27から出力させる。例えば、図6の右側に示す乗車地案内画面80が電子機器20の入出力部27に表示される。なお、図6では、推定移動時間及び推定滞在時間の合計値を必要時間として表示する例を示すが、必要時間の代わりに推定移動時間及び推定滞在時間の双方を表示するようにしてもよい。
【0125】
このようなサーバ100によれば、立ち寄り場所に関する情報をユーザ1が把握し易くなる。
【0126】
また、第1実施形態に係るサーバ100では、配車処理部131(出力部の一例)は、出力対象となる立ち寄り場所が複数存在する場合には、ユーザ1の移動負荷を基準にして立ち寄り場所の優先度を設定し、当該優先度と立ち寄り場所とを関連付けて電子機器20の入出力部27から出力させる。例えば、図6の右側に示す乗車地案内画面80の立ち寄り場所リスト表示領域85が電子機器20の入出力部27に表示される。
【0127】
このようなサーバ100によれば、ユーザ1は、立ち寄り場所の優先度を参照して立ち寄る場所を抽出できる。
【0128】
また、第1実施形態に係るサーバ100では、配車処理部131(出力部の一例)は、乗車地情報として、配車設定されたタクシーの目的地のタクシーの到着予定時刻と、乗車地での待ち時間とのうちの少なくとも1つを電子機器20の入出力部27から出力させる。例えば、図6の左側に示す乗車地案内画面70の下部表示領域71に、目的地のタクシーの到着予定時刻と乗車地での待ち時間が表示され、図6の右側に示す乗車地案内画面80の下部表示領域81に、目的地のタクシーの到着予定時刻と乗車地での待ち時間が表示される。なお、図6では、目的地のタクシーの到着予定時刻と、乗車地での待ち時間との双方を表示する例を示すが、それらのうちの一方を表示するようにしてもよい。また、ユーザ操作により表示対象となる情報を選択可能としてもよい。
【0129】
このようなサーバ100によれば、設定された乗車地での待ち時間と、目的地のタクシーの到着予定時刻とをユーザ1が容易に把握できる。
【0130】
また、第1実施形態に係るサーバ100では、配車処理部131(出力部の一例)は、待ち時間が所定時間未満である場合には、乗車地設定部134により設定された乗車地の位置を示す乗車地標識を地図に重ねて電子機器20の入出力部27(表示部の一例)に表示させ、待ち時間が所定時間以上である場合には、乗車地設定部134により設定された乗車地の位置を示す乗車地標識と当該乗車地の周囲に存在する立ち寄り場所の位置を示す立ち寄り場所標識とを地図に重ねて入出力部27に表示させる。例えば、待ち時間が所定時間未満である場合には、図6の左側に示す乗車地案内画面70が表示され、待ち時間が所定時間以上である場合には、図6の右側に示す乗車地案内画面80が表示される。
【0131】
このようなサーバ100によれば、ユーザ1は、設定された乗車地とその周囲の立ち寄り場所とをユーザ1が地図上で容易に把握できる。
【0132】
また、第1実施形態に係る乗車支援方法は、ユーザ1の予約によりタクシー(車両の一例)が配車され、ユーザ1がタクシーに乗車する乗車地をユーザ1に通知する乗車支援方法である。この乗車支援方法は、ユーザ1の現在地に基づいて抽出された乗車地候補にてユーザ1がタクシーを待つ待ち時間を、ユーザ1の現在地とタクシーの現在地と乗車地候補の位置とに基づいて算出する算出ステップ(ステップS304)と、待ち時間が所定時間未満である場合には、乗車地候補を乗車地に設定し、待ち時間が所定時間以上である場合には、ユーザ1の現在地に基づいて抽出された乗車地候補の中から周囲に立ち寄り場所が存在する乗車地候補を乗車地として設定する設定ステップ(ステップS305、S306、S308乃至S311)と、待ち時間が所定時間未満である場合には、設定ステップで設定された乗車地に関する情報を乗車地情報として電子機器20の入出力部27(出力部の一例)から出力させ、待ち時間が所定時間以上である場合には、設定ステップで設定された乗車地と当該乗車地の周囲に存在する立ち寄り場所とに関する情報を乗車地情報として電子機器20の入出力部27から出力させる出力ステップ(ステップS307、S312)と、を備える。また、第1実施形態に係るプログラムは、そのような乗車支援方法を実現するための乗車支援機能をコンピュータに実現させるためのプログラムであり、それらの各処理手順(ステップS304乃至S306乃至S312)をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0133】
このような乗車支援方法及びプログラムによれば、乗車地でのユーザ1の待ち時間が所定時間以上である場合には、周辺に立ち寄り場所が存在する乗車地を設定するため、ユーザ1は立ち寄り場所で時間を有効活用しながらタクシーの到着を待つことが可能となる。また、乗車地での待ち時間を意識させないことにより、配車キャンセルを防ぐことができる。
【0134】
また、第1実施形態に係る乗車支援システム200は、無線通信を利用してタクシー(車両の一例)の配車予約操作を行う電子機器20(第1装置の一例)と、配車予約操作に応じてタクシーが配車設定され、電子機器20を所持するユーザ1がタクシーに乗車する乗車地に関する乗車地情報を電子機器20に送信する制御を実行するサーバ100(第2装置の一例)とを備える乗車支援システムである。電子機器20は、配車予約操作を行うための操作画面を表示する入出力部27(表示部の一例)と、ユーザ1により配車予約操作が行われた場合には、その配車予約操作により設定されたユーザ1の目的地と、電子機器20の位置情報とを含む配車予約情報をサーバ100に送信する通信部22と、を備える。また、サーバ100は、電子機器20の位置情報に基づいて抽出された乗車地候補にてユーザ1がタクシーを待つ待ち時間を、電子機器20の位置情報に対応するユーザ1の現在地とタクシーの現在地と乗車地候補の位置とに基づいて算出する待ち時間算出部133と、待ち時間が所定時間未満である場合には、乗車地候補を乗車地に設定し、待ち時間が所定時間以上である場合には、ユーザ1の現在地に基づいて抽出された乗車地候補の中から周囲に立ち寄り場所が存在する乗車地候補を乗車地として設定する乗車地設定部134と、待ち時間が所定時間未満である場合には、乗車地設定部134により設定された乗車地に関する情報を乗車地情報として電子機器20に送信し、待ち時間が所定時間以上である場合には、乗車地設定部134により設定された乗車地と当該乗車地の周囲に存在する立ち寄り場所とに関する情報を乗車地情報として電子機器20に送信する配車処理部131(出力部の一例)と、を備える。また、電子機器20は、サーバ100から送信された乗車地情報に基づいて、乗車地設定部134により設定された乗車地に関する情報を入出力部27(表示部の一例)に表示させ、乗車地情報に立ち寄り場所に関する情報が含まれている場合には、当該乗車地に関する情報とともに当該立ち寄り場所に関する情報を入出力部27に表示させる。
【0135】
このような乗車支援システム200によれば、ユーザ1は、電子機器20を用いた配車予約操作により、タクシーの配車予約を行うことができる。また、乗車地でのユーザ1の待ち時間が所定時間以上である場合には、周辺に立ち寄り場所が存在する乗車地を設定するため、ユーザ1は立ち寄り場所で時間を有効活用しながらタクシーの到着を待つことが可能となる。
【0136】
[第2実施形態]
第1実施形態では、ユーザ1が配車予約をしたタイミングで乗車地候補での待ち時間が算出され、この待ち時間に基づいて乗車地を設定する例を示した。このため、待ち時間が短い乗車地が設定された場合には、その乗車地の周囲に立ち寄り場所が存在しないことも想定される。
【0137】
ここで、ユーザ1が乗車地への歩行を開始した後に、割り振られたタクシーが交通渋滞等で遅れて乗車地に到着するも想定される。この場合には、タクシーの遅れた時間だけ乗車地での待ち時間が増加する。例えば、配車予約時に算出された待ち時間が短く、周囲に立ち寄り場所が存在しない乗車地が設定された場合には、その乗車地で長い時間待つことも想定される。そこで、第2実施形態では、ユーザ1が乗車地へ向かって歩行している間に、割り振られたタクシーが交通渋滞等で遅れて乗車地に到着することが判定された場合には、新たな乗車地を設定してユーザに提案する例を示す。これにより、割り振られたタクシーが交通渋滞等で遅れて乗車地に到着した場合でも、ユーザ1は乗車地の周囲に存在する立ち寄り場所で時間を費やすことが可能となる。なお、第2実施形態は、第1実施形態の変形例であり、第1実施形態と共通するものについての詳細な説明を省略する。
【0138】
[乗車地案内画面の表示遷移例]
図9は、電子機器20において配車アプリを用いて予約操作を行った後に入出力部27に表示される乗車地案内画面70、90の表示遷移例を示す図である。なお、乗車地案内画面70は、図6の左側に示す乗車地案内画面70と同じであるため、乗車地案内画面70と同一の符号を付して、ここでの説明を省略する。
【0139】
図9では、ユーザ1が配車予約をしたタイミングでは、ユーザ1の現在地から最も近い乗車地51(図3参照)での待ち時間が所定時間未満となると判定されたため、乗車地案内画面70が表示される例を示す。そこで、ユーザ1は、乗車地案内画面70に表示される乗車地標識73に対応する乗車地51に向かって歩行を開始する。
【0140】
このように、ユーザ1が乗車地51へ向かって歩行をしている間に、割り振られたタクシーが交通渋滞等で遅れて乗車地51に到着することが検出された場合を想定する。この場合には、タクシーの遅れた時間だけ乗車地51での待ち時間が増加する。例えば、タクシーの遅れにより乗車地51での待ち時間が所定時間以上となることも想定される。この場合には、周囲に立ち寄り場所が存在しない乗車地51での待ち時間が長くなり、ユーザ1が適切に時間を過ごすことが困難となるおそれがある。そこで、ユーザ1が乗車地51への歩行を開始した後に、割り振られたタクシーが交通渋滞等で遅れて乗車地51に到着することが検出された場合には、周囲に立ち寄り場所が存在する乗車地52(図3参照)をユーザ1に提案する。
【0141】
具体的には、入出力部27に乗車地案内画面90を表示し、割り振られたタクシーが遅れて乗車地51に到着するため、周囲に立ち寄り場所が存在する乗車地52に変更するか否かをユーザ1に確認する。
【0142】
乗車地案内画面90には、現在地標識91、乗車地標識83、矢印標識84、立ち寄り場所標識P1’乃至P3’、立ち寄り場所リスト表示領域85が表示される。これらについては、ユーザ1の移動に応じて現在地標識91の位置が移動した点以外は、図6の右側に示す乗車地案内画面80と略同様であるため、乗車地案内画面80と同一の符号を付して、これらの説明を省略する。
【0143】
また、乗車地案内画面90には、新たな乗車地52に変更することについてユーザ1の承認を得ていないため、現在の乗車地51に対応する乗車地標識73が表示される。また、乗車地案内画面90の下部表示領域92には、配車予約したタクシーの到着が予定時刻よりも遅れているため、乗車地51で待ち時間が所定時間以上となること、新たな乗車地52に変更して立ち寄り場所に寄ることを薦めるメッセージが表示される。
【0144】
また、下部表示領域92には、新たな乗車地への変更を承認する場合に押下されるYesボタン93と、新たな乗車地への変更を承認しない場合に押下されるNoボタン94とが表示される。Yesボタン93が押下された場合には、ユーザの乗車地が乗車地51から乗車地52に変更されるため、図6の右側に表示される乗車地案内画面80と略同様の乗車地案内画面が表示される。一方、Noボタン94が押下された場合には、ユーザの乗車地は乗車地51のままとなるため、元の乗車地案内画面70が表示される。
【0145】
また、下部表示領域92の上側には、ユーザ1の現在地から乗車地51までの歩行時間とともに、ユーザ1の現在地から新たな乗車地52までの歩行時間を示す歩行時間表示領域95が表示される。歩行時間表示領域95を表示することにより、ユーザ1が新たな乗車地52を設定するか否かを判断し易くすることができる。
【0146】
[サーバの動作例]
図10は、サーバ100における乗車地設定処理の一例を示すフローチャートである。この処理例は、図7の一部を変形したものであり、ステップS307の処理後にステップS321乃至S334の処理を実行する点が異なる。なお、図7に示すステップS301乃至S311は、図10に示す処理例と共通するため、図10では、ステップS301乃至S311のうちのステップS306、S307のみを図示し、他の処理手順の図示を省略する。
【0147】
ステップS321において、配車処理部131は、ステップS306で設定された乗車地にユーザ1が到着したか否かを判定する。例えば、ユーザ1が所持する電子機器20の制御部25が、位置情報取得部23により取得された位置情報をサーバ100に順次送信することにより、サーバ100は、その位置情報に基づいてユーザ1の現在地を取得することが可能である。そこで、配車処理部131は、ユーザ1の現在地が乗車地に到着したか否かを判定することができる。ユーザ1が乗車地に到着している場合には、乗車地設定処理の動作を終了する。一方、ユーザ1が乗車地に到着していない場合には、ステップS322に進む。
【0148】
ステップS322において、待ち時間算出部133は、ステップS306で設定された乗車地におけるユーザ1の待ち時間を算出する。この場合には、タクシー及びユーザ1の双方が移動を開始しているため、移動後のタクシーの現在地と、移動後のユーザ1の現在地と、乗車地の位置とに基づいて、ユーザ1の待ち時間が算出される。なお、この待ち時間の算出方法は、タクシー及びユーザ1の現在地が移動している点以外は、ステップS304と同様であるため、ここでの説明を省略する。
【0149】
ステップS323において、乗車地設定部134は、ステップS322で算出された乗車地におけるユーザ1の待ち時間が所定時間以上であるか否かを判定する。ここで示す所定時間は、ステップS305で示した所定時間と同様としてもよく、他の値を用いてもよい。例えば、ユーザ1の待ち時間が所定時間以上である場合には、当初の乗車地を変更することになるため、ユーザ1には何らかの負担をかけることになる。このため、ステップS305で示した所定時間よりも大きい第2所定時間を用いて、ユーザ1の待ち時間が第2所定時間以上となる場合にのみ、乗車地の変更を薦めるようにしてもよい。乗車地におけるユーザ1の待ち時間が所定時間未満である場合には、ステップS321に戻る。一方、乗車地におけるユーザ1の待ち時間が所定時間以上である場合には、ステップS324に進む。
【0150】
ステップS324において、乗車地設定部134は、ステップS306で設定された乗車地の周囲に立ち寄り場所が存在するか否かを判定する。具体的には、乗車地設定部134は、立ち寄り場所DB(図4参照)を用いて、ステップS306で設定された乗車地の周囲に立ち寄り場所が存在するか否かを判定する。この判定方法は、図7に示すステップS308の判定方法と同様である。乗車地の周囲に立ち寄り場所が存在する場合には、ステップS325に進む。一方、乗車地の周囲に立ち寄り場所が存在しない場合には、ステップS326に進む。
【0151】
ステップS325において、配車処理部131は、ステップS306で設定された乗車地に関する乗車地情報をユーザに通知するための通知処理を実行する。この通知処理では、ステップ307で通知された情報以外に、タクシーが遅れる旨、新たな乗車予定時刻、乗車地の周囲に存在する立ち寄り場所に関する各情報が通知される。
【0152】
ステップS326において、乗車地候補抽出部132は、ステップS306で設定された乗車地を基準として所定範囲内に存在する他の乗車地のうち、周囲に立ち寄り場所が存在する乗車地が存在するか否かを判定する。具体的には、乗車地候補抽出部132は、ステップS306で設定された乗車地の位置情報に基づいて、乗降地DBに格納されている他の乗車地のうちから、所定範囲内に存在する1または複数の新たな乗車地候補を抽出する。なお、第2実施形態では、説明を容易にするため、ステップS306で設定された乗車地51を中心とする半径R4(図3参照)の範囲を所定範囲とする例を示す。なお、所定範囲は、ユーザ1が設定してもよく、固有値(例えば数十m~数百m)の半径により特定される円の範囲としてもよい。また、円以外の範囲を用いてもよい。
【0153】
図3では、乗車地51を中心として、半径R4の範囲内に存在する他の乗車地を新たな乗車地候補として抽出する例を示す。図3に示す例では、乗車地51を中心として、半径R4の範囲内に存在する他の乗車地は、乗車地52、53であるため、乗車地52、53が新たな乗車地候補として抽出される。
【0154】
次に、乗車地設定部134は、抽出された新たな乗車地候補のうち、周囲に立ち寄り場所が存在する乗車地が存在するか否かを判定する。具体的には、乗車地設定部134は、ステップS308での判定処理と同様に、立ち寄り場所DB(図4参照)を用いて、抽出された新たな乗車地候補の周囲に立ち寄り場所が存在するか否かを判定し、周囲に立ち寄り場所が存在する乗車地候補を抽出する。ステップS306で設定された乗車地を基準とする所定範囲内に、周囲に立ち寄り場所が存在する乗車地が存在する場合には、ステップS327に進む。一方、ステップS306で設定された乗車地を基準とする所定範囲内に、周囲に立ち寄り場所が存在する乗車地が存在しない場合にはステップS328に進む。
【0155】
ステップS327において、乗車地設定部134は、ステップS326で抽出された新たな乗車地候補のうち、ユーザ1の歩行距離が所定値以内であり、かつタクシーの到着予定時刻が乗車予定時刻と近い乗車地が存在するか否かを判定する。ここで、ユーザ1の歩行距離は、ユーザ1の現在地から、対象となる乗車地までの歩行経路の距離を意味する。また、所定値は、乗車地を変更した場合に、変更後の乗車地までユーザ1が長いと感じる程度の値である。所定値として、例えば数十m乃至数百m程度の値を設定することができる。なお、所定値は、固定値を用いてもよく、ユーザ1の好みで適宜設定可能としてもよい。また、判定対象となる乗車地は、ステップS306で設定された乗車地とは異なる場所であるため、タクシーの到着予定時刻が、ステップS306で設定された乗車地について求められた到着予定時刻とは異なる。また、タクシーの到着予定時刻が乗車予定時刻と近いことは、ステップS306で設定された乗車地について求められた乗車予定時刻と、判定対象となる乗車地について求められた乗車予定時刻とが所定範囲内となることを意味する。この所定範囲として、例えば数分乃至数十分程度の値を設定することができる。この所定範囲は、固定値を用いてもよく、ユーザ1の好みで適宜設定可能としてもよい。
【0156】
ユーザ1の歩行距離が所定値以内であり、かつタクシーの到着予定時刻が乗車予定時刻と近い乗車地が存在する場合には、ステップS329に進む。一方、ユーザ1の歩行距離が所定値以内でない場合、または、タクシーの到着予定時刻が乗車予定時刻と近い乗車地が存在しない場合には、ステップS328に進む。なお、タクシーの到着予定時刻は、乗車地にタクシーが到着する推定時刻を意味し、乗車予定時刻は、乗車地でユーザ1がタクシーに乗車する推定時刻を意味する。ユーザ1がタクシーよりも乗車地に早く到着する場合には、到着予定時刻及び乗車予定時刻は同じ時刻となる。
【0157】
ステップS328において、配車処理部131は、ステップS306で設定された乗車地に関する乗車地情報をユーザに通知するための通知処理を実行する。この通知処理では、ステップ307で通知された情報以外に、タクシーが遅れる旨、新たな乗車予定時刻等が通知される。
【0158】
ステップS329において、乗車地設定部134は、ユーザ1の歩行距離が所定値以内であり、かつタクシーの到着予定時刻が乗車予定時刻と近いと判定された乗車地候補を乗車地に設定する。なお、これらの条件を満たす乗車地候補が複数存在する場合には、所定条件に基づいて1つの乗車地候補が新たな乗車地として設定される。
【0159】
ステップS330において、配車処理部131は、タクシーが遅れる旨と、ステップS329で新たに設定された乗車地に関する乗車地情報とをユーザに通知するための通知処理を実行する。具体的には、配車処理部131は、タクシーが遅れる旨と、ステップS329で新たに設定された乗車地に関する乗車地情報とを含む乗車支援情報を電子機器20に送信する。乗車支援情報を受信した電子機器20の制御部25は、その乗車支援情報に基づいて、タクシーが遅れる旨と、新たに設定された乗車地に関する乗車地情報とを入出力部27(表示部の一例)に表示させる。例えば、図9に示すように乗車地案内画面90が入出力部27に表示される。また、電子機器20の制御部25は、乗車地案内画面90においてYesボタン93またはNoボタン94を押下する押下操作がユーザ1により行われた場合には、押下されたボタンに応じた操作情報をサーバ100に送信する。
【0160】
ステップS331において、配車処理部131は、ユーザ1の承認があったか否かを判定する。具体的には、配車処理部131は、電子機器20から送信された操作情報が、Yesボタン93に応じた操作情報であるか、Noボタン94に応じた操作情報であるかを判定する。そして、電子機器20から送信された操作情報が、Yesボタン93に応じた操作情報である場合には、ユーザ1の承認があったと判定し、ステップS332に進む。一方、電子機器20から送信された操作情報が、Noボタン94に応じた操作情報である場合には、ユーザ1の承認がなかったと判定し、ステップS333に進む。
【0161】
ステップS332において、配車処理部131は、新たな乗車地に関する乗車地情報をユーザ1に通知し、新たな乗車地とその乗車地までの移動経路を、割り当てられたタクシーに通知する通知処理を実行する。
【0162】
ステップS333において、乗車地設定部134は、元の乗車地、すなわちステップS306で設定された乗車地を再設定する。
【0163】
ステップS334において、配車処理部131は、元の乗車地に関する乗車地情報をユーザに再通知する通知処理を実行する。
【0164】
例えば、人の歩行速度は、比較的高い精度の計算で推定することが可能であるため、ユーザ1が乗車地に到着する予定時刻は、比較的高い精度で推定することが可能である。しかし、タクシーは、交通渋滞、事故、通行止め等で到着予定時刻が遅れることもある。このように、タクシーの到着予定時刻が遅れたような場合には、ユーザ1が無駄な時間を過ごすこともある。特に、暴風雨や寒暖が厳しい環境下の乗車地で所定時間以上の待ち時間が発生する場合には、ユーザ1は待つことに耐えられず、配車予約をキャンセルすることもあり得る。この場合には、配車予約により割り振られたタクシーは、乗車地に既に向かっているため、そのタクシーが他の人を乗せる機会を損失したり、その乗車地に向かうための無駄なエネルギを損失したりする可能性がある。そこで、第2実施形態では、基本的には、アクセス難易度が低い場所を乗車地として設定するとともに、その設定後にタクシーの到着予定時刻が変化したような場合には、乗車地での待ち時間に応じて、時間を有効活用できる立ち寄り場所が周囲に存在する乗車地を新たに抽出する。これにより、ユーザに待ち時間を意識させず、配車キャンセルを防止できる。
【0165】
なお、ユーザ1が乗車地まで早足で移動したり、走ったりすることも想定される。この場合についてもユーザ1の待ち時間が増えるため、乗車地での待ち時間に応じて、時間を有効活用できる立ち寄り場所が周囲に存在する乗車地を新たに提案してもよい。
【0166】
なお、図9では、立ち寄り場所が存在する乗車地として1つの乗車地52(図3参照)をユーザ1に薦める例を示す。ただし、立ち寄り場所が存在する複数の乗車地をユーザ1に薦め、ユーザ1の選択操作によりユーザ1が立ち寄りたい場所が存在する乗車地を選択してもよい。
【0167】
なお、第1、第2実施形態では、電子機器20に提供する乗車支援情報を作成するための各処理をサーバ100において実行する例を示したが、その乗車支援情報を作成するための各処理の全部または一部を他の機器において実行してもよい。この場合には、その乗車支援情報を作成するための各処理の一部を実行する各機器により乗車支援システムが構成される。また、第1、第2実施形態では、電子機器20に提供する乗車支援情報を作成する際に用いられる各DB(地図DB、顧客DB、乗降地DB、立ち寄り場所DB(図4参照))をサーバ100において管理する例を示す。ただし、それらの全部または一部のDBを、サーバ100以外の1または複数の他の機器により管理し、サーバ100は、他の機器により管理されているDBを取得して用いてもよい。
【0168】
また、サーバ100の機能を含む乗車支援システム200の一部(または全部)については、ネットワーク10を介して提供可能なアプリケーションにより提供されてもよい。このアプリケーションは、例えばSaaS(Software as a Service)である。
【0169】
また、その乗車支援情報を作成するための各処理の全部または一部を電子機器20において実行してもよい。この場合には、電子機器20の制御部25は、サーバ100の制御部130が備える配車処理部131と乗車地候補抽出部132と待ち時間算出部133と乗車地設定部134とのうちの全部または一部の処理を実行する。また、電子機器20の記憶部110には、上述した各DB(地図DB、顧客DB、乗降地DB、立ち寄り場所DB(図4参照))のうちの一部を記憶させてもよい。なお、電子機器20は、それらの各DBを用いる場合には、外部装置から取得して用いてもよい。
【0170】
例えば、ユーザ1の個人的な情報は、サーバ100で管理せずに電子機器20において管理し、電子機器20において乗車支援情報を作成してよい。このようにサーバ100の各処理の全部または一部を電子機器20において実行する場合には、電子機器20は、乗車支援装置として機能する。
【0171】
また、例えば、電子機器20が、配車アプリの機能を提供するサーバ100にアクセスして機能提供を受け、サーバ100から送信される機能の実行結果をブラウザに表示してもよい。
【0172】
なお、第1、第2実施形態で示した各処理は、各処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムに基づいて実行されるものである。このため、第1、第2実施形態は、それらの各処理を実行する機能を実現するプログラム、そのプログラムを記憶する記録媒体の実施形態としても把握することができる。例えば、乗車支援装置に新機能を追加するためのアップデート処理により、そのプログラムを乗車支援装置の記憶装置に記憶させることができる。これにより、そのアップデートされた乗車支援装置に第1、第2実施形態で示した各処理を実施させることが可能となる。
【0173】
[第2実施形態の構成及び効果]
第2実施形態に係るサーバ100(乗車支援装置の一例)では、待ち時間算出部133は、ユーザ1の現在地とタクシー(車両の一例)の現在地とに基づいて、乗車地設定部134により設定された乗車地での待ち時間を新たに算出する。また、配車処理部131(出力部の一例)は、乗車地設定部134による乗車地の設定時における待ち時間が所定時間未満であると判定された後に、待ち時間が所定時間以上となることが新たに判定された場合において、当該乗車地の周囲に立ち寄り場所が存在するときには、当該乗車地とともに当該立ち寄り場所に関する情報を乗車地情報として電子機器20の入出力部27から新たに出力させ、当該乗車地の周囲に立ち寄り場所が存在しないときには、当該乗車地の位置に基づいて抽出された立ち寄り場所が存在する他の乗車地とともに当該立ち寄り場所に関する情報を新たな乗車地情報として電子機器20の入出力部27から出力させる。
【0174】
このようなサーバ100によれば、乗車地の設定後にタクシーの到着予定時刻が変化したような場合には、乗車地での待ち時間に応じて、時間を有効活用できる立ち寄り場所が周囲に存在する乗車地を新たに設定することができる。これにより、ユーザに待ち時間を意識させず、配車キャンセルを防止できる。
【0175】
また、第2実施形態に係るサーバ100では、乗車地設定部134は、他の乗車地への変更をユーザ1に促す情報が電子機器20の入出力部27から出力された後に、ユーザ1の承認操作が行われたことを条件に他の乗車地を新たな乗車地として設定する。例えば、他の乗車地への変更をユーザ1に促す情報として、図9に示す乗車地案内画面90が電子機器20の入出力部27に表示される。また、乗車地案内画面90におけるYesボタン93の押下操作がされた場合には、ユーザ1の承認操作が行われたと判定し、新たな乗車地が設定される。
【0176】
このようなサーバ100によれば、乗車地の設定後にタクシーの到着予定時刻が変化したような場合には、ユーザ1の承認がされたことを確認した後に、新たな乗車地を設定するため、ユーザ1に応じた適切な乗車地を設定することができる。
【0177】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0178】
10 ネットワーク 、20 電子機器 、21 記憶部 、22 通信部 、23 位置情報取得部 、24 入力部 、25 制御部 、26 出力部 、27 入出力部 、100 サーバ 、110 記憶部 、120 通信部 、130 制御部 、131 配車処理部 、132 乗車地候補抽出部 、133 待ち時間算出部 、134 乗車地設定部 、35~37 通信機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10