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  • 特開-画像形成装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187223
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20221212BHJP
【FI】
G03G15/00 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095123
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 友浩
【テーマコード(参考)】
2H270
【Fターム(参考)】
2H270LA25
2H270LA26
2H270LA29
2H270LA71
2H270LA72
2H270MA33
2H270MB29
2H270MB39
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】少ないハードウェアリソースで機内温度を予測可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成部16は、トナー像を形成する。定着部20は、用紙Pにトナー像を定着させる。筐体4には、画像形成部16及び定着部20が収容されている。機外温度検出部5は、筐体4が設置されている環境の温度を検出する。定着温度検出部6は、定着部20の温度を検出する。予測部71は、主電源がオンになったときに機外温度検出部5が検出する機外温度及び定着部20が検出する定着温度を用いて、筐体4内部の機内温度を予測する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を形成する画像形成部と、
用紙に前記トナー像を定着させる定着部と、
前記画像形成部及び前記定着部が収容されている筐体と、
前記筐体が設置されている環境の温度を検出する機外温度検出部と、
前記定着部の温度を検出する定着温度検出部と、
主電源がオンになったときに前記機外温度検出部が検出する機外温度及び前記定着温度検出部が検出する定着温度を用いて、前記筐体内部の機内温度を予測する予測部と
を備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成部が連続して動作している動作時間を計測する動作時間計測部と、
前記動作時間計測部が計測する前記動作時間が予め定められた時間を経過する都度、前記機内温度に対してプラス側への補正を行う補正部と
を備える、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成部が連続して停止している停止時間を計測する停止時間計測部を備え、
前記補正部は、前記停止時間計測部が計測する前記停止時間が予め定められた時間を経過する都度、前記機内温度に対してマイナス側への補正を行う、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記補正部は、補正後の前記機内温度が予め定められた上限値になるまで、前記機内温度の補正を行う、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記補正部は、補正後の前記機内温度が予め定められた下限値になるまで、前記機内温度の補正を行う、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記予測部は、前記機外温度が前記定着温度以上である場合、前記機外温度を前記機内温度とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記補正部が補正した前記機内温度を前回値として記憶する記憶部を備え、
前記予測部は、前記機外温度が前記定着温度未満である場合、前記記憶部に記憶されている前記前回値を前記機内温度とする、請求項2~5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、機内温度を予測する画像形成装置が開示されている。特許文献1に記載された画像形成装置は、画像形成装置の内部の温度変化の特性を示す昇温プロファイルを予め保有しており、発熱部によって加熱された記録材の温度分布に基づいて昇温プロファイルを補正し、補正した昇温プロファイルに基づいて機内温度を予測する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-8620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された画像形成装置は、昇温プロファイルを予め保有すると共に、昇温プロファイルの補正及び補正後の昇温プロファイルを用いた機内温度の予測を行う構成であるため、ハードウェアリソースが必要であった。
【0005】
本発明は、少ないハードウェアリソースで機内温度を予測可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像形成装置は、画像形成部と、定着部と、筐体と、機外温度検出部と、定着温度検出部と、予測部とを備える。前記画像形成部は、トナー像を形成する。前記定着部は、用紙に前記トナー像を定着させる。前記筐体には、前記画像形成部及び前記定着部が収容されている。前記機外温度検出部は、前記筐体が設置されている環境の温度を検出する。前記定着温度検出部は、前記定着部の温度を検出する。前記予測部は、主電源がオンになったときに前記機外温度検出部が検出する機外温度及び前記定着温度検出部が検出する定着温度を用いて、前記筐体内部の機内温度を予測する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、少ないハードウェアリソースで機内温度を予測可能な画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係る画像形成装置の構成を示す図である。
図2】実施形態1に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
図3】実施形態1に係る画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0010】
<実施形態1>
図1図3を参照して、実施形態1に係る画像形成装置100について説明する。図1は、実施形態1に係る画像形成装置100の構成を示す図である。図2は、実施形態1に係る画像形成装置100の構成を示すブロック図である。画像形成装置100は、カラー複合機として機能する。
【0011】
画像形成装置100は、画像形成ユニット1、画像読取ユニット2、及び原稿搬送ユニット3を備える。画像形成ユニット1は、用紙Pの上に画像を形成する。画像読取ユニット2は、原稿Rの上に形成された画像を読み取り、画像情報を生成する。原稿搬送ユニット3は、原稿Rを画像読取ユニット2に搬送する。
【0012】
画像形成ユニット1は、給送部10、搬送部12、トナー供給部14、画像形成部16、転写部18、定着部20、及び排出部22を備える。また、画像形成ユニット1が備える各部は、筐体4に収容されている。
【0013】
給送部10は、用紙Pを搬送部12へ搬送する。搬送部12は、給送部10によって搬送された用紙Pを、排出部22まで搬送する。用紙Pは、転写部18及び定着部20を経由して排出部22に到達する。
【0014】
トナー供給部14は、画像形成部16にトナーを供給する。トナー供給部14には、トナーコンテナTCc、トナーコンテナTCm、トナーコンテナTCy、及びトナーコンテナTCkが各々着脱自在に装着される。トナーコンテナTCcにはシアン色のトナーが、トナーコンテナTCmにはマゼンタ色のトナーが、トナーコンテナTCyにはイエロー色のトナーが、トナーコンテナTCkには黒色のトナーが、それぞれ収容されている。各トナーコンテナは、対応する色のトナーを画像形成部16へ供給する。
【0015】
画像形成部16は、現像ローラー及び感光体ドラム等を有し、トナー像を形成する。転写部18は、画像形成部16が形成したトナー像を用紙Pに転写する。定着部20は、加熱ローラー及び加圧ローラーを有する。加熱ローラー及び加圧ローラーが用紙Pを加熱及び加圧することによって、トナー像が用紙Pに定着する。排出部22は、用紙Pを筐体4の外部に排出する。
【0016】
図2に示されるように、画像形成装置100は、駆動部17、機外温度検出部5、定着温度検出部6、制御部7、及び記憶部8を備える。駆動部17は、モーター等を有する。モーターは、画像形成部16が有する現像ローラー及び感光体ドラム等を回転させる。
【0017】
機外温度検出部5は、筐体4が設置されている環境の温度を検出する。機外温度検出部5が検出する温度を「環境温度」と称する。機外温度検出部5は、検出した環境温度を制御部7へ出力する。機外温度検出部5は、発熱部である定着部20から遠い位置に配置される。例えば、機外温度検出部5は、筐体4に設けられたファンの吸気口付近に配置される。
【0018】
定着温度検出部6は、定着部20の温度を検出する。定着温度検出部6が検出する温度を「定着温度」と称する。定着温度検出部6は、検出した定着温度を制御部7へ出力する。定着温度検出部6は、発熱部である定着部20に配置される。例えば、定着温度検出部6は、定着部20が有する加熱ローラーの端部又は中央部等に配置される。なお、複数の定着温度検出部6が、加熱ローラーの複数位置に配置されてもよい。
【0019】
制御部7は、例えば、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーを有する。制御部7は、記憶部8に記憶されているコンピュータープログラムを実行することにより、制御部7の機能、並びに、制御部7に含まれる予測部71、動作時間計測部72、停止時間計測部73、及び補正部74の機能を実現する。
【0020】
制御部7は、画像形成ユニット1、画像読取ユニット2、及び原稿搬送ユニット3の動作を制御する。具体例として、制御部7は、駆動部17の動作を制御することによって、画像形成部16が有する現像ローラー及び回転体ドラム等を動作させる。また、例えば、制御部7は、定着温度検出部6が検出する定着温度を用いて、定着部20が有する加熱ローラーの温度を制御する。
【0021】
予測部71は、画像形成装置100の主電源(不図示)がオンになったときに機外温度検出部5が検出する機外温度及び定着温度検出部6が検出する定着温度を用いて、筐体4の内部の温度(即ち、機内温度)を予測する。なお、定着温度検出部6が複数位置の定着温度を検出する場合、予測部71は、複数位置の定着温度を用いて1つの定着温度(例えば、平均値)を算出すればよい。
【0022】
動作時間計測部72は、画像形成部16が連続して動作している動作時間を計測する。例えば、動作時間計測部72は、制御部7が駆動部17を連続して駆動させている時間を、動作時間として計測する。画像形成部16が動作しているときは定着部20も動作しており、反対に画像形成部16が停止しているときは定着部20も停止している。そのため、画像形成部16が動作しているときは定着部20が発熱し、機内温度が上昇する。
【0023】
停止時間計測部73は、画像形成部16が連続して停止している停止時間を計測する。例えば、停止時間計測部73は、制御部7が駆動部17を連続して停止させている時間を、停止時間として計測する。
【0024】
補正部74は、動作時間計測部72が計測する動作時間が予め定められた一定時間T1を経過する都度、予測部71が予測した機内温度に対してプラス側への補正を行って補正後機内温度を得る。
【0025】
一般的に、機内温度は、動作時間の経過と共に昇温していき、やがてある温度(即ち、上限値)に向かって収束する傾向がある。そのため、補正後機内温度に対して上限値が設けられていてもよい。その場合、補正部74は、補正後機内温度が予め定められた上限値になるまで、機内温度の補正を行う。補正後機内温度が上限値に到達した場合、補正部74は、上限値を補正後機内温度として扱う。
【0026】
また、補正部74は、停止時間計測部73が計測する停止時間が予め定められた一定時間T2を経過する都度、予測部71が予測した機内温度に対してマイナス側への補正を行って補正後機内温度を得る。
【0027】
一般的に、機内温度は、停止時間の経過と共に降温していき、やがてある温度(即ち、下限値)に向かって収束する傾向がある。そのため、補正後機内温度に対して下限値が設けられていてもよい。その場合、補正部74は、補正後機内温度が予め定められた下限値になるまで、機内温度の補正を行う。補正後機内温度が下限値に到達した場合、補正部74は、下限値を補正後機内温度として扱う。
【0028】
機内温度の過度の上昇は、画像不良等を引き起こす。そこで、例えば、制御部7は、補正部74が得た補正後機内温度が予め定められた閾値を超えた場合、画像形成ユニット1の動作を一時的に停止させる。また、例えば、制御部7は、補正部74が得た補正後機内温度を用いて、現像ローラーに印加する現像バイアス電圧を補正する。
【0029】
記憶部8は、例えば、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)のようなメモリーを有する。記憶部8は、制御部7によって実行されるコンピュータープログラムを記憶する。また、記憶部8は、一定時間T1、一定時間T2、補正値α、補正値β、及び最新の補正後機内温度等を記憶する。最新の補正後機内温度は「前回値」に相当する。
【0030】
次に、図3を参照して、画像形成装置100の動作について説明する。図3は、実施形態1に係る画像形成装置100の動作を示すフローチャートである。
【0031】
ステップS11において、画像形成装置100の主電源がオンになると、画像形成装置100の各部に対する電源供給が開始され、画像形成装置100の各部が動作を開始する。
【0032】
なお、画像形成装置100の主電源がオフになると、画像形成装置100の各部に対する電源供給が停止され、画像形成装置100の各部が動作を停止する。よって、主電源がオフになると、図3のフローチャートに示される動作は終了する。
【0033】
ステップS12において、予測部71は、機外温度検出部5が検出した機外温度と定着温度検出部6が検出した定着温度とを取得する。即ち、ステップS12で予測部71が取得した機外温度及び定着温度は、主電源がオンになったときに検出された機外温度及び定着温度である。
【0034】
ステップS13において、予測部71は、ステップS12で取得した機外温度と定着温度とを比較する。機外温度が定着温度以上である場合(ステップS13;Yes)、予測部71の処理はステップS14へ進む。機外温度が定着温度未満である場合(ステップS13;No)、予測部71の処理はステップS15へ進む。
【0035】
機外温度と定着温度に差がない場合、又は機外温度より定着温度の方が低い場合(ステップS13;Yes)、主電源がオフであった期間中に筐体4内が十分に冷えたと考えられる。そのため、ステップS14において、予測部71は、ステップS12で取得した機外温度を、現在の機内温度とする。予測部71は、現在の機内温度を、補正部74へ通知する。
【0036】
機外温度より定着温度の方が高い場合(ステップS13;No)、主電源がオフであった期間中に筐体4内が十分に冷えていないと考えられる。そのため、ステップS15において、予測部71は、機内温度の更新は行わず、記憶部8に記憶されている最新の補正後機内温度を、現在の機内温度とする。予測部71は、現在の機内温度を、補正部74へ通知する。
【0037】
記憶部8に記憶されている最新の補正後機内温度は、後述するステップS21又はステップS26で記憶部8に記憶された補正後機内温度(前回値)である。なお、画像形成装置100の初回動作時、記憶部8には、最新の補正後機内温度が記憶されていない。そこで、最新の補正後機内温度のダミー値が記憶部8に予め与えられていてもよい。
【0038】
ステップS16において、動作時間計測部72は、画像形成部16が連続して動作しているか否かを判定すると共に、連続して動作している動作時間を計測する。また、停止時間計測部73は、画像形成部16が連続して停止しているか否かを判定すると共に、連続して停止している停止時間を計測する。画像形成部16が動作している場合(ステップS16;Yes)、動作時間計測部72の処理はステップS17へ進む。画像形成部16が停止している場合(ステップS16;No)、停止時間計測部73の処理はステップS22へ進む。
【0039】
ステップS17において、動作時間計測部72は、画像形成部16が連続して動作している動作時間が、一定時間T1を経過したか否かを判定し、判定結果を補正部74へ通知する。一定時間T1は、記憶部8に予め記憶されている。動作時間が一定時間T1を経過した場合(ステップS17;Yes)、補正部74の処理はステップS18へ進む。動作時間が一定時間T1未満である場合(ステップS17;No)、動作時間計測部72はステップS16の処理を繰り返す。
【0040】
1回目の一定時間T1経過後のステップS18において、補正部74は、ステップS14又はステップS15で予測部71から通知された機内温度に対してプラス側の補正を行って補正後機内温度を得る。具体的には、補正部74は、記憶部8に予め記憶されている補正値αを、機内温度に加算して、補正後機内温度を得る。
【0041】
2回目以降の一定時間T1経過後のステップS18において、補正部74は、記憶部8に記憶されている最新の補正後機内温度に対してプラス側の補正を行って、新たな補正後機内温度を得る。
【0042】
記憶部8に予め記憶されている一定時間T1及び補正値αは、事前に実験等を行って決定された値である。例えば、一定時間T1が5分、補正値αが+1度である。この場合、補正部74が得る補正後機内温度は、5分ごとに+1度上昇する。
【0043】
ステップS19において、補正部74は、ステップS18で得た補正後機内温度と、上限値とを比較する。例えば、補正部74は、機外温度を機外温度検出部5から取得し、取得した機外温度に予め定められた値(例えば、10度)を加算した値を、上限値として用いる。補正後機内温度が上限値未満である場合(ステップS19;Yes)、補正部74の処理はステップS21へ進む。補正後機内温度が上限値以上である場合(ステップS19;No)、補正部74の処理はステップS20へ進む。
【0044】
ステップS20において、補正部74は、上限値を補正後機内温度とする。
【0045】
ステップS21において、補正部74は、最新の補正後機内温度を記憶部8に記憶する。
【0046】
ステップS22において、停止時間計測部73は、画像形成部16が連続して停止している停止時間が、一定時間T2を経過したか否かを判定し、判定結果を補正部74へ通知する。一定時間T2は、記憶部8に予め記憶されている。停止時間が一定時間T2を経過した場合(ステップS22;Yes)、補正部74の処理はステップS23へ進む。停止時間が一定時間T2未満である場合(ステップS22;No)、停止時間計測部73はステップS16の処理を繰り返す。
【0047】
1回目の一定時間T2経過後のステップS23において、補正部74は、ステップS14又はステップS15で予測部71から通知された機内温度に対してマイナス側の補正を行って補正後機内温度を得る。具体的には、補正部74は、記憶部8に予め記憶されている補正値βを、機内温度に加算して、補正後機内温度を得る。
【0048】
2回目以降の一定時間T2経過後のステップS23において、補正部74は、記憶部8に記憶されている最新の補正後機内温度に対してマイナス側の補正を行って、新たな補正後機内温度を得る。
【0049】
記憶部8に予め記憶されている一定時間T2及び補正値βは、事前に実験等を行って決定された値である。例えば、一定時間T2が10分、補正値βが-1度である。この場合、補正部74が得る補正後機内温度は、10分ごとに-1度低下する。
【0050】
ステップS24において、補正部74は、ステップS23で得た補正後機内温度と、下限値とを比較する。例えば、補正部74は、機外温度を機外温度検出部5から取得し、取得した機外温度を下限値として用いる。補正後機内温度が下限値より大きい場合(ステップS24;Yes)、補正部74の処理はステップS26へ進む。補正後機内温度が下限値以下である場合(ステップS24;No)、補正部74の処理はステップS25へ進む。
【0051】
なお、上限値と同様、下限値も、機外温度に予め定められた値を加算した値であってもよい。また、上限値及び下限値に用いる機外温度は、機外温度検出部5から複数回取得した複数の機外温度を用いて算出された機外温度(例えば、平均値)等であってもよい。
【0052】
ステップS25において、補正部74は、下限値を補正後機内温度とする。
【0053】
ステップS26において、補正部74は、最新の補正後機内温度を記憶部8に記憶する。
【0054】
以上、図1図3を参照して説明したように、画像形成装置100は、画像形成部16と、定着部20と、筐体4と、機外温度検出部5と、定着温度検出部6と、予測部71とを備える。画像形成部16は、トナー像を形成する。定着部20は、用紙Pにトナー像を定着させる。筐体4には、画像形成部16及び定着部20が収容されている。機外温度検出部5は、筐体4が設置されている環境の温度を検出する。定着温度検出部6は、定着部20の温度を検出する。予測部71は、主電源がオンになったときに機外温度検出部5が検出する機外温度及び定着部20が検出する定着温度を用いて、筐体4内部の機内温度を予測する。画像形成装置100は、昇温プロファイルを予め保有する必要がなく、且つ、昇温プロファイルの補正及び補正後の昇温プロファイルを用いた機内温度の予測を行う必要もないため、少ないハードウェアリソースで機内温度を予測することができる。また、画像形成装置100は、機内温度を検出する専用のセンサーを使用せずに機内温度を予測することができるため、コスト削減につながる。
【0055】
画像形成装置100は、動作時間計測部72と、補正部74とを備える。動作時間計測部72は、画像形成部16が連続して動作している動作時間を計測する。補正部74は、動作時間計測部72が計測する動作時間が一定時間T1を経過する都度、機内温度に対してプラス側への補正を行う。画像形成装置100は、昇温プロファイルを予め保有する必要がなく、且つ、昇温プロファイルの補正及び補正後の昇温プロファイルを用いた機内温度の予測を行う必要もないため、少ないハードウェアリソースで機内温度を予測することができる。また、画像形成装置100は、機内温度を検出する専用のセンサーを使用せずに機内温度を予測することができるため、コスト削減につながる。
【0056】
画像形成装置100は、停止時間計測部73を備える。停止時間計測部73は、画像形成部16が連続して停止している停止時間を計測する。補正部74は、停止時間計測部73が計測する停止時間が一定時間T2を経過する都度、機内温度に対してマイナス側への補正を行う。画像形成装置100は、上記と同様に、少ないハードウェアリソースで機内温度を予測することができる。また、画像形成装置100は、機内温度を検出する専用のセンサーを使用せずに機内温度を予測することができるため、コスト削減につながる。
【0057】
補正部74は、補正後の機内温度が予め定められた上限値になるまで、機内温度の補正を行う。よって、画像形成装置100は、ある温度に向かって収束する傾向がある機内温度を、少ないハードウェアリソースで予測することができる。
【0058】
補正部74は、補正後の機内温度が予め定められた下限値になるまで、機内温度の補正を行う。よって、画像形成装置100は、ある温度に向かって収束する傾向がある機内温度を、少ないハードウェアリソースで予測することができる。
【0059】
予測部71は、機外温度が定着温度以上である場合、機外温度を機内温度とする。よって、画像形成装置100は、主電源オン時の機内温度を、少ないハードウェアリソースで予測することができる。
【0060】
画像形成装置100は、記憶部8を備える。記憶部8は、補正部74が補正した機内温度を前回値として記憶する。補正部74は、機外温度が定着温度未満である場合、記憶部8に記憶されている前回値を機内温度とする。よって、画像形成装置100は、主電源オン時の機内温度を、少ないハードウェアリソースで予測することができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について、図面(図1図3)を参照しながら説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。上記の実施形態において画像形成装置100は画像形成ユニット1、画像読取ユニット2、及び原稿搬送ユニット3を備える構成であったが、画像形成装置100は少なくとも画像形成ユニット1を備える構成であればよい。
【0062】
なお、図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示している。したがって、図示された各構成要素の厚み、長さ等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、家庭用、業務用を問わず、様々な画像形成装置に適用できる。
【符号の説明】
【0064】
1 画像形成ユニット
2 画像読取ユニット
3 原稿搬送ユニット
4 筐体
5 機外温度検出部
6 定着温度検出部
7 制御部
8 記憶部
10 給送部
12 搬送部
14 トナー供給部
16 画像形成部
18 転写部
20 定着部
22 排出部
71 予測部
72 動作時間計測部
73 停止時間計測部
74 補正部
100 画像形成装置
P 用紙
R 原稿
TCc、TCm、TCy、TCk トナーコンテナ
図1
図2
図3