(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187230
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
H01F 30/10 20060101AFI20221212BHJP
H01F 27/32 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
H01F30/10 D
H01F30/10 M
H01F30/10 A
H01F30/10 H
H01F27/32 140
H01F30/10 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095141
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】西坂 健二
【テーマコード(参考)】
5E044
【Fターム(参考)】
5E044CA04
5E044CA10
(57)【要約】
【課題】製造を容易にすることができる電源装置を得ることを目的とする。
【解決手段】電源装置に備えられているトランス1では、トランス1の複数の接続電極30のそれぞれを多層プリント基板本体11の第2側面11bに形成している。そして、複数の接続電極30のそれぞれは、一対の外側絶縁層16の側面を避けて形成されている。従って、最外層である一対の外側絶縁層16上に複数の接続電極30を形成する必要がない。これにより、電源装置の製造を容易にすることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスを備え、
前記トランスは、コア用貫通穴が形成された多層プリント基板と、前記多層プリント基板に設けられたコアと、を備え、
前記多層プリント基板は、多層プリント基板本体と、前記多層プリント基板本体に設けられた複数の接続電極と、前記コア用貫通穴が前記多層プリント基板を貫通する方向における前記多層プリント基板本体の一対の端面を覆っている一対の外側絶縁層と、
を有し、
前記多層プリント基板本体は、支持部と、前記支持部に設けられた一次コイル及び二次コイルと、を有し、
前記支持部は、少なくとも1つの支持層を有しており、
前記一次コイルは、少なくとも1つの一次回路層を有しており、
前記二次コイルは、少なくとも1つの二次回路層を有しており、
前記多層プリント基板本体では、前記支持層、前記一次回路層、及び前記二次回路層を含む複数の層が積層されており、
前記多層プリント基板本体には、前記一次コイルが接続された一次電極と、前記二次コイルが接続された二次電極とが前記複数の接続電極として設けられており、
前記複数の接続電極のそれぞれは、前記一対の外側絶縁層の側面を避けて前記多層プリント基板本体の側面に設けられている、
電源装置。
【請求項2】
前記一次コイルは、前記多層プリント基板本体の前記一対の端面のうち一方の端面を形成する前記一次回路層を有しており、
前記二次コイルは、前記多層プリント基板本体の前記一対の端面のうち他方の端面を形成する前記二次回路層を有している、
請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記支持部は、第1回路基板と第2回路基板と第1絶縁層とを複数の前記支持層として有しており、
前記一次コイルは、複数の前記一次回路層としての一次第1回路層、及び一次第2回路層と、前記第1回路基板を貫通する複数の一次接続導体と、を有しており、
前記二次コイルは、複数の前記二次回路層としての二次第1回路層、及び二次第2回路層と、前記第2回路基板を貫通する複数の二次接続導体と、を有しており、
前記第1絶縁層は、前記第1回路基板と前記第2回路基板との間に配置されており、
前記一次第1回路層は、一方の前記外側絶縁層と前記第1回路基板との間に配置されており、
前記一次第2回路層は、前記第1回路基板と前記第1絶縁層との間に配置されており、
前記二次第1回路層は、前記第1絶縁層と前記第2回路基板との間に配置されており、
前記二次第2回路層は、前記第2回路基板と他方の前記外側絶縁層との間に配置されており、
前記一次第1回路層と前記一次第2回路層とは、前記複数の一次接続導体を介して互いに電気的に接続されており、
前記二次第1回路層と前記二次第2回路層とは、前記複数の二次接続導体を介して互いに電気的に接続されている、
請求項1または請求項2に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トランスを備えた電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電源装置に備えられる積層された一次巻線回路と二次巻線回路とを備えているトランスにおいて、トランスの上面に電極を備えた構成が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電源装置では、トランスの最外層に銅箔である配線層を用意し、その配線層にエッチングを施し接続用の端子となる電極のみを残す必要がある。従って、トランスの最外層の配線層を製造する手間がかかることで、電源装置の製造においても手間がかかってしまうという問題があった。
【0005】
本開示は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、製造を容易にすることができる電源装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る電源装置は、トランスを備え、トランスは、コア用貫通穴が形成された多層プリント基板と、多層プリント基板に設けられたコアと、を備え、多層プリント基板は、多層プリント基板本体と、多層プリント基板本体に設けられた複数の接続電極と、コア用貫通穴が多層プリント基板を貫通する方向における多層プリント基板本体の一対の端面を覆っている一対の外側絶縁層と、を有し、多層プリント基板本体は、支持部と、支持部に設けられた一次コイル及び二次コイルと、を有し、支持部は、少なくとも1つの支持層を有しており、一次コイルは、少なくとも1つの一次回路層を有しており、二次コイルは、少なくとも1つの二次回路層を有しており、多層プリント基板本体では、支持層、一次回路層、及び二次回路層を含む複数の層が積層されており、多層プリント基板本体には、一次コイルが接続された一次電極と、二次コイルが接続された二次電極とが複数の接続電極として設けられており、複数の接続電極のそれぞれは、一対の外側絶縁層の側面を避けて多層プリント基板本体の側面に設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る電源装置によれば、製造を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1によるトランスを示す斜視図である。
【
図2】実施の形態1によるトランスを示す上面図である。
【
図4】
図1の多層プリント基板を示す斜視図である。
【
図5】
図2のトランスのV-V断面を示す断面図である。
【
図6】
図5のトランスのVI-VI断面を示す断面図である。
【
図7】
図5のトランスのVII-VII断面を示す断面図である。
【
図8】
図5のトランスのVIII-VIII断面を示す断面図である。
【
図9】
図5のトランスのIX-IX断面を示す断面図である。
【
図10】実施の形態1の電源装置を示す概略図である。
【
図12】実施の形態1による電源装置の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1によるトランス1を示す概略図である。
図2は、実施の形態1によるトランス1を示す上面図である。トランス1は、電源装置に備えられる。トランス1は、多層プリント基板10と、多層プリント基板10に設けられたコア20と、を備えている。多層プリント基板10は、多層プリント基板本体11と、一対の外側絶縁層16と、多層プリント基板本体11に設けられた複数の接続電極30と、を有している。多層プリント基板10は、FR-4を代表するガラスエポキシ基板である。しかし、これに限られたものではない。多層プリント基板10は、セラミック基板であってもよい。
【0010】
多層プリント基板本体11は、直方体形状となっている。多層プリント基板本体11は、対向する一対の端面と、対向する一対の第1側面11aと、対向する一対の第2側面11bと、を有している。一対の第1側面11aと、一対の第2側面11bとは、多層プリント基板本体11の4つの側面を構成している。一対の外側絶縁層16のそれぞれは、多層プリント基板本体11の対向する一対の端面のそれぞれを覆うように配置されている。
【0011】
複数の接続電極30のそれぞれは、多層プリント基板本体11の第2側面11bに設けられている。複数の接続電極30のそれぞれは、一対の外側絶縁層16の側面には設けられていない。即ち、複数の接続電極30のそれぞれは、一対の外側絶縁層16の側面を避けて設けられている。また、複数の接続電極30のそれぞれは、多層プリント基板本体11の対向する一対の端面には設けられていない。
【0012】
多層プリント基板10には、一対の外側絶縁層16と多層プリント基板本体11とを貫通するコア用貫通穴10aが形成されている。一対の外側絶縁層16における表面は、コア用貫通穴10aの軸心に直交している。従って、一対の外側絶縁層16のそれぞれが覆っている多層プリント基板本体11の一対の端面のそれぞれには、コア用貫通穴10aが開口している。また、複数の接続電極30のそれぞれは、多層プリント基板10の対向する一対の端面には設けられていない。すなわち、複数の接続電極30のそれぞれは、一対の外側絶縁層16のそれぞれの表面には設けられていない。
【0013】
コア用貫通穴10aの軸心に沿った方向は、多層プリント基板10の厚さ方向に等しい。従って、コア用貫通穴10aの軸心に沿った方向は、各外側絶縁層16の厚さ方向、及び多層プリント基板本体11の厚さ方向に等しい。また、多層プリント基板10の側面は、コア用貫通穴10aの軸心の方向に平行な面とする。さらに、一対の外側絶縁層16のそれぞれの側面、多層プリント基板本体11の一対の第1側面11a、及び一対の第2側面11bは、コア用貫通穴10aの軸心の方向に平行な面とする。
【0014】
図3は、
図1のコア20を示す分解図である。コア20は磁性体である。コア20は、軟磁性材料で構成されている。軟磁性材料としては、Mn-Zn系またはNi-Zn系のフェライトコア材が使用される。
【0015】
コア20は、一対のコア部材21を有している。一対のコア部材21のそれぞれは、同一形状である。一対のコア部材21のそれぞれは、板部22と一対の外足部23と中足部24とを有している。一対の外足部23のそれぞれは、板部22の両端部に固定されている。中足部24は、一対の外足部23の間の位置において板部22に固定されている。すなわち、コア部材21は、E型の形状をしている。
【0016】
一対のコア部材21のそれぞれは、
図1及び
図2に示すように多層プリント基板10を挟み込むように配置される。コア20は、多層プリント基板10を囲むように配置されている。
【0017】
一対のコア部材21のそれぞれの外足部23及び中足部24は、
図3に示すように互いに対向するように配置されている。一対のコア部材21のそれぞれの中足部24は、コア用貫通穴10aに挿入されている。一対のコア部材21のそれぞれの一対の外足部23は、多層プリント基板本体11の一対の第1側面11aに対向するように配置されている。一対の第1側面11aには、複数の接続電極30が形成されていない。
【0018】
図4は、
図1の多層プリント基板10を示す斜視図である。
図5は、
図2のトランス1のV-V断面を示す断面図である。
【0019】
多層プリント基板本体11は、支持部40と、支持部40に設けられた一次コイル50及び二次コイル52と、を有している。支持部40は、第1回路基板42と第2回路基板43と第1絶縁層44とを3つの支持層41として有している。
【0020】
一次コイル50は、2つの一次回路層51と複数の一次接続導体51cとを有している。一次第1回路層51aと一次第2回路層51bとは、2つ一次回路層51として一次コイル50に含まれる。二次コイル52は、2つの二次回路層53と複数の二次接続導体53cとを有している。二次第1回路層53aと二次第2回路層53bとは、2つの二次回路層53として二次コイル52に含まれる。
【0021】
多層プリント基板本体11では、3つの支持層41、2つの一次回路層51、及び2つの二次回路層53が積層されている。3つの支持層41、2つの一次回路層51、及び2つの二次回路層53のそれぞれは、それぞれの厚さ方向に積層されている。3つの支持層41、2つの一次回路層51、及び2つの二次回路層53のそれぞれの厚さ方向は、コア用貫通穴10aの軸心に沿った方向に等しい。
【0022】
一次第1回路層51aと一次第2回路層51bと二次第1回路層53aと二次第2回路層53bとは、コア用貫通穴10aを避けるように配置されている。
【0023】
第1絶縁層44は、第1回路基板42と第2回路基板43との間に配置されている。一次第1回路層51aは、一方の外側絶縁層16と第1回路基板42との間に配置されている。一次第2回路層51bは、第1回路基板42と第1絶縁層44との間に配置されている。二次第1回路層53aは、第1絶縁層44と第2回路基板43との間に配置されている。二次第2回路層53bは、第2回路基板43と他方の外側絶縁層16との間に配置されている。
【0024】
即ち、一次コイル50は、多層プリント基板本体11の一対の端面のうち一方の端面を形成する一次回路層51を有している。二次コイル52は、多層プリント基板本体11の一対の端面のうち他方の端面を形成する二次回路層53を有している。プリント基板を構成する要素は、絶縁材と銅箔とである。絶縁材の両面に銅箔をはり合わせたものを多層プリント基板10のコア材という。第1回路基板42に一次第1回路層51aと一次第2回路層51bとをはり合わせたものが多層プリント基板10のコア材に相当する。第2回路基板43に二次第1回路層53aと二次第2回路層53bとをはり合わせたものが多層プリント基板10のコア材に相当する。
【0025】
第1回路基板42には、複数の第1配線貫通穴42aが形成されている。複数の第1配線貫通穴42aのそれぞれには、一次接続導体51cが配置されている。各一次接続導体51cは、第1回路基板42を貫通して配置されている。各一次接続導体51cは、導電材料で構成されている。
【0026】
複数の一次接続導体51cによって第1回路基板42の一対の表面に形成された一次第1回路層51aと一次第2回路層51bとを電気的に接続することができる。一次第1回路層51aと一次第2回路層51bとは、複数の一次接続導体51cを介して互いに電気的に接続されている。
【0027】
第2回路基板43には、複数の第2配線貫通穴43aが形成されている。複数の第2配線貫通穴43aのそれぞれには、二次接続導体53cが配置されている。各二次接続導体53cは、第2回路基板43を貫通して配置されている。各二次接続導体53cは、導電材料で構成されている。
【0028】
複数の二次接続導体53cによって第2回路基板43の一対の表面に形成された二次第1回路層53aと二次第2回路層53bとを電気的に接続することができる。二次第1回路層53aと二次第2回路層53bとは、複数の二次接続導体53cを介して互いに電気的に接続されている。
【0029】
図6は、
図5のトランス1のVI-VI断面を示す断面図である。
図7は、
図5のトランス1のVII-VII断面を示す断面図である。第1回路基板42の一方の面には、一次第1回路層51aが形成されている。第1回路基板42の他方の面には、一次第2回路層51bが形成されている。一次第1回路層51a及び一次第2回路層51bの回路によって一次コイルが構成されている。
【0030】
多層プリント基板本体11には、一次コイル50が接続された3つの一次電極31と、二次コイル52が接続された3つの二次電極32とが6つの接続電極30として設けられている。3つの一次電極31として、第1接続電極31a、第2接続電極31b、及び第3接続電極31cとが多層プリント基板本体11に設けられている。3つの二次電極32として、第4接続電極32a、第5接続電極32b、及び第6接続電極32cとが多層プリント基板本体11に設けられている。
【0031】
多層プリント基板本体11の一対の第2側面11bのうち一方の第2側面11bには、第1接続電極31a、第2接続電極31b、及び第3接続電極31cとが設けられている。多層プリント基板本体11の一対の第2側面11bのうち他方の第2側面11bには、第4接続電極32a、第5接続電極32b、及び第6接続電極32cとが設けられている。
【0032】
一次第1回路層51aでは、第1配線61と第2配線62とがそれぞれコイル状に形成されている。第1配線61の一方の端部を第1配線第1端部61aとし、第1配線61の他方の端部を第1配線第2端部61bとする。第2配線62の一方の端部を第2配線第1端部62aとし、第2配線62の他方の端部を第2配線第2端部62bとする。
【0033】
一次第2回路層51bでは、第3配線63と第4配線64とがコイル状に形成されている。第3配線63の一方の端部を第3配線第1端部63aとし、第3配線63の他方の端部を第3配線第2端部63bとする。第4配線64の一方の端部を第4配線第1端部64aとし、第4配線64の他方の端部を第4配線第2端部64bとする。
【0034】
第1配線第1端部61aは、第1接続電極31aに接続されている。第2配線第1端部62aは、第2接続電極31bに接続されている。第3配線第1端部63aは、第2接続電極31bに接続されている。第4配線第1端部64aは、第3接続電極31cに接続されている。
【0035】
第1配線第2端部61bは、いずれかの一次接続導体51cを介して、第3配線第2端部63bに電気的に接続されている。第2配線第2端部62bは、いずれかの一次接続導体51cを介して、第4配線第2端部64bに電気的に接続されている。
【0036】
図8は、
図5のトランス1のVIII-VIII断面を示す断面図である。
図9は、
図5のトランス1のIX-IX断面を示す断面図である。第2回路基板43の一方の面には、二次第1回路層53aが形成されている。第2回路基板43の他方の面には、二次第2回路層53bが形成されている。二次第1回路層53a及び二次第2回路層53bの回路によって二次コイルが構成されている。
【0037】
二次第1回路層53aでは、第5配線65と第6配線66とがコイル状に形成されている。第5配線65の一方の端部を第5配線第1端部65aとし、第5配線65の他方の端部を第5配線第2端部65bとする。第6配線66の一方の端部を第6配線第1端部66aとし、第6配線66の他方の端部を第6配線第2端部66bとする。
【0038】
二次第2回路層53bでは、第7配線67と第8配線68とがコイル状に形成されている。第7配線67の一方の端部を第7配線第1端部67aとし、第7配線67の他方の端部を第7配線第2端部67bとする。第8配線68の一方の端部を第8配線第1端部68aとし、第8配線68の他方の端部を第8配線第2端部68bとする。
【0039】
第5配線第1端部65aは、第4接続電極32aに接続されている。第6配線第1端部66aは、第5接続電極32bに接続されている。第7配線第1端部67aは、第5接続電極32bに接続されている。第8配線第1端部68aは、第6接続電極32cに接続されている。
【0040】
第5配線第2端部65bは、いずれかの二次接続導体53cを介して、第7配線第2端部67bに電気的に接続されている。第6配線第2端部66bは、いずれかの二次接続導体53cを介して、第8配線第2端部68bに電気的に接続されている。
【0041】
図10は、実施の形態1の電源装置100を示す概略図である。
図11は、
図10のトランス1を示す側面図である。電源装置100は、トランス1と、制御部101と、スイッチング素子102と、整流回路103と、図示しないその他の電気回路要素とから構成されている。電源装置100を構成するトランス1と、制御部101と、スイッチング素子102と、整流回路103と、電気回路要素とのそれぞれは、実装基板110に実装されている。トランス1と、制御部101と、スイッチング素子102と、整流回路103と、電気回路要素とは、それぞれ電気的に接続されている。
【0042】
実装基板110上には、トランス1と実装基板110上の回路とを接続するための複数の基板上電極111が形成されている。複数の接続電極30のそれぞれは、対応する複数の基板上電極111と接続されている。接続には、はんだ112が用いられている。
【0043】
次に、実施の形態1による電源装置100の製造方法を説明する。
図12は、実施の形態1による電源装置100の製造方法を示すフローチャートである。
【0044】
<回路基板準備工程>
ステップS1として、回路基板準備工程が実施される。回路基板準備工程は、回路層が形成された回路基板を準備する工程である。
【0045】
回路基板準備工程では、複数の第1回路基板42として区画されている複数の領域が存在する第1配列基板と複数の第2回路基板43として区画されている複数の領域が存在する第2配列基板とを準備する。第1配列基板の複数の第1回路基板42として区画されている複数の領域のそれぞれに、複数の第1配線貫通穴42a、一次第1回路層51a、一次第2回路層51b、及び複数の一次接続導体51cを形成する。第2配列基板の複数の第2回路基板43として区画されている複数の領域のそれぞれに、複数の第2配線貫通穴43a、二次第1回路層53a、二次第2回路層53b、及び複数の二次接続導体53cを形成する。
【0046】
<第1中間部材形成工程>
ステップS2として、第1中間部材形成工程が実施される。ステップS2の第1中間部材形成工程は、ステップS1における回路基板準備工程の後で実施される。第1中間部材形成工程は、複数の支持層41が積層された第1中間部材を得る工程である。
【0047】
第1配列基板、プリプレグ材、及び第2配列基板をそれぞれの厚さ方向に積層する。積層する順番は、第1配列基板、プリプレグ材、及び第2配列基板の順である。第1配列基板、プリプレグ材、及び第2配列基板を加熱しながら加圧する。これにより、プリプレグ材が絶縁層となり、複数の多層プリント基板本体11が連続して形成されている第1中間部材を得ることができる。
【0048】
<接続電極形成工程>
ステップS3として、接続電極形成工程が実施される。ステップS3の接続電極形成工程は、ステップS2の第1中間部材形成工程の後で実施される。接続電極形成工程は、第1中間部材の多層プリント基板本体11の第2側面11bとなる面に複数の接続電極30を形成する工程である。
【0049】
第1中間部材の各多層プリント基板本体11の一方の第2側面11bに3つの一次電極31を形成する。各多層プリント基板本体11の他方の第2側面11bに3つの二次電極32を形成する。これにより、各一次電極31のそれぞれに対して、各一次コイル50の対応する回路層の配線が接続される。また、各二次電極32のそれぞれに対して、各二次コイル52の対応する回路層の配線が接続される。複数の接続電極30の形成方法は、周知の形成方法を採用することができる。例えば、めっきによって複数の接続電極30を形成することができる。
【0050】
<外側絶縁層形成工程>
ステップS4として、外側絶縁層形成工程が実施される。ステップS4の外側絶縁層形成工程は、ステップS3の接続電極形成工程の後で実施される。外側絶縁層形成工程は、第1中間部材の一対の端面のそれぞれに、一対の外側絶縁層16となる絶縁層を配置する工程である。
【0051】
第1中間部材の各一次第1回路層51a及び各二次第2回路層53bが露出しているそれぞれの端面に、プリプレグ材を積層する。プリプレグ材が積層された第1中間部材を、加熱しながら加圧する。これにより、第2中間部材が形成される。プリプレグ材は、外側絶縁層16となる。
【0052】
<切り出し工程>
ステップS5として、切り出し工程が実施される。ステップS5の切り出し工程は、ステップS4の外側絶縁層形成工程の後に実施される。切り出し工程は、単一のトランス1を切り出し工具によって切り出す工程である。
【0053】
切り出し工具によって、第2中間部材から多層プリント基板10を切り出す。また、多層プリント基板10のコア用貫通穴10aを形成する。なお、切り出し工程において個々の多層プリント基板10を切り出す際に、複数の接続電極30は、切り出し工具によって削られる可能性がある。これに対応するために、複数の接続電極30を厚めに形成しておいてもよい。切り出し工具は特に限定するものではないが、例えばルーターを用いることができる。
【0054】
<トランス組み立て工程>
ステップS6として、組み立て工程が実施される。ステップS6の組み立て工程は、ステップS5の切り出し工程の後に実施される。組立工程は、トランス1として部品を組み立てる工程である。
【0055】
一対のコア部材21を準備する。準備された一対のコア部材21を多層プリント基板10に対して取り付ける。これにて、トランス1を得ることができる。なお、一対のコア部材21のそれぞれは、接着剤で互いに固定されてもよい。また、一対のコア部材21のそれぞれが配置された状態で、薄い板金で固定されてもよい。
【0056】
<実装工程>
ステップS7として、実装工程が実施される。ステップS7の実装工程は、ステップS6のトランス組み立て工程の後に実施される。実装工程は、電源装置100としてそれぞれの部品を基板に実装する工程である。
【0057】
トランス1と、制御部101と、スイッチング素子102と、整流回路103と、その他の電気回路要素とを実装基板110に実装する。これにより、電源装置100を得ることができる。トランス1の実装基板110への実装方法は、特に限定するものではない。例えば、リフロー方法によって実装基板110へのトランス1の実装が可能である。
【0058】
実施の形態1による電源装置100によれば、電源装置100に備えられているトランス1の複数の接続電極30のそれぞれは、一対の外側絶縁層16の側面を避けて多層プリント基板本体11の側面に設けられている。従って、最外層である一対の外側絶縁層16上に複数の接続電極30を形成する必要がない。これにより、トランス1の製造を容易にすることができる。また、製造コストの低減化を図ることができる。また、電極層をなくすことができる。これにより、製造コストの低減化を図ることができる。従って、電源装置100の製造を容易にすることができる。また、製造コストの低減化を図ることができる。さらに、トランス1の表裏面に電極がないため、トランス1の小型化が可能であるため、電源装置100の小型化も可能である。また、トランス1の側面に接続電極30を設けているため、リフロー方法によって実装基板への実装が可能である。これにより、安価な実装装置を用いることができ、電源装置100の製造コストの低減化を図ることができる。
【0059】
実施の形態1による電源装置100によれば、電源装置100に備えられているトランス1の多層プリント基板10は、コア用貫通穴10aが多層プリント基板10を貫通する方向における多層プリント基板本体11の一対の端面を覆っている一対の外側絶縁層16を有している。また、一次コイル50は、多層プリント基板本体11の一対の端面のうち一方の端面を形成する一次回路層51を有している。さらに、二次コイル52は、多層プリント基板本体11の一対の端面のうち他方の端面を形成する二次回路層53を有している。従って、一次回路層51及び二次回路層53を外側絶縁層16で覆うことでトランス1における絶縁ができる。これにより、トランス1の製造を容易にすることができる。また、製造コストの低減化を図ることができる。従って、電源装置100の製造を容易にすることができる。また、製造コストの低減化を図ることができる。
【0060】
実施の形態1による電源装置100によれば、電源装置100に備えられているトランス1の第1絶縁層44は、第1回路基板42と第2回路基板43との間に配置されている。一次第1回路層51aは、一方の外側絶縁層16と第1回路基板42との間に配置されている。一次第2回路層51bは、第1回路基板42と第1絶縁層44との間に配置されている。二次第1回路層53aは、第1絶縁層44と第2回路基板43との間に配置されている。二次第2回路層53bは、第2回路基板43と他方の外側絶縁層16との間に配置されている。従って、一対の電極層をなくして4層の回路層によってトランス1を製造することができる。これにより、トランス1の製造を容易にすることができる。また、製造コストの低減化を図ることができる。従って、電源装置100の製造を容易にすることができる。また、製造コストの低減化を図ることができる。
【0061】
実施の形態1による電源装置100によれば、電源装置100に備えられているトランス1の一次コイル50は、複数の一次回路層51としての一次第1回路層51a、及び一次第2回路層51bと、第1回路基板42を貫通する複数の一次接続導体51cと、を有している。二次コイル52は、複数の二次回路層53としての二次第1回路層53a、及び二次第2回路層53bと、第2回路基板43を貫通する複数の二次接続導体53cと、を有している。一次第1回路層51aと一次第2回路層51bとは、複数の一次接続導体51cを介して互いに電気的に接続されている。二次第1回路層53aと二次第2回路層53bとは、複数の二次接続導体53cを介して互いに電気的に接続されている。従って、1枚の回路基板の表面と裏面とに回路層を形成することができる。これにより、コイルの集積率の向上を図ることができる。従って、電源装置100の小型化を図ることができる。
【0062】
なお、実施の形態1では、多層プリント基板10は、直方体形状である。しかし、これに限られたものではない。多層プリント基板10の形状は、特定されるものではない。例えば、多層プリント基板10の形状を円柱状の形状としてもよい。
【0063】
また、実施の形態1では、複数の接続電極30は、多層プリント基板本体11の一対の第2側面11bに形成されている。しかし、これに限られたものではない。例えば、複数の接続電極30を多層プリント基板本体11の一対の第1側面11aに形成してもよい。
【0064】
また、実施の形態1では、多層プリント基板本体11は、第1回路基板42と第2回路基板43と第1絶縁層44とを3つの支持層41として有している。しかし、これに限られたものではない。支持層41の数は適宜設定することができる。従って、多層プリント基板本体11は、支持部40として少なくとも1つの支持層41を有していればよい。
【0065】
また、実施の形態1では、一次コイル50は、一次第1回路層51aと一次第2回路層51bとを2つ一次回路層51として有している。また、二次コイル52は、二次第1回路層53aと二次第2回路層53bとを2つの二次回路層53として有している。しかし、これに限られたものではない。一次コイル50が有する一次回路層51の数は、適宜設定することができる。また、二次コイル52が有する二次回路層53の数は、適宜設定することができる。従って、一次コイル50は、少なくとも1つの一次回路層51を有していればよい。また、二次コイル52は、少なくとも1つの二次回路層53を有していればよい。更に、多層プリント基板本体11では、支持層41、一次回路層51、及び二次回路層53を含む複数の層が積層されいてもよい。
【0066】
また、実施の形態1では、多層プリント基板本体11には、6つの接続電極30が設けられている。また、6つの接続電極30とは、一次コイル50が接続された3つの一次電極31と、二次コイル52が接続された3つの二次電極32とである。しかし、これに限られたものではない。一次電極31及び二次電極32の数は、適宜設定してもよい。従って、多層プリント基板本体11には、一次コイル50が接続された一次電極31と、二次コイル52が接続された二次電極32とが複数の接続電極30として設けられていればよい。
【0067】
また、実施の形態1では、一対のコア部材21のそれぞれは、同一形状である。すなわち、コア20は、E型のコア部材21同士が互いに組み合わされている。しかし、これに限られたものではない。例えば、I型のコア部材とE型のコア部材とを組み合わせてコア20を形成してもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 トランス、10 多層プリント基板、10a コア用貫通穴、11 多層プリント基板本体、11a 第1側面、11b 第2側面、16 外側絶縁層、20 コア、21 コア部材、22 板部、23 外足部、24 中足部、30 接続電極、31 一次電極、31a 第1接続電極、31b 第2接続電極、31c 第3接続電極、32 二次電極、32a 第4接続電極、32b 第5接続電極、32c 第6接続電極、40 支持部、41 支持層、42 第1回路基板、42a 第1配線貫通穴、43 第2回路基板、43a 第2配線貫通穴、44 第1絶縁層、50 一次コイル、51 一次回路層、51a 一次第1回路層、51b 一次第2回路層、51c 一次接続導体、52 二次コイル、53 二次回路層、53a 二次第1回路層、53b 二次第2回路層、53c 二次接続導体、61 第1配線、61a 第1配線第1端部、61b 第1配線第2端部、62 第2配線、62a 第2配線第1端部、62b 第2配線第2端部、63 第3配線、63a 第3配線第1端部、63b 第3配線第2端部、64 第4配線、64a 第4配線第1端部、64b 第4配線第2端部、65 第5配線、65a 第5配線第1端部、65b 第5配線第2端部、66 第6配線、66a 第6配線第1端部、66b 第6配線第2端部、67 第7配線、67a 第7配線第1端部、67b 第7配線第2端部、68 第8配線、68a 第8配線第1端部、68b 第8配線第2端部、100 電源装置、101 制御部、102 スイッチング素子、103 整流回路、110 実装基板、111 基板上電極、112 はんだ。