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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187231
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/00 20060101AFI20221212BHJP
   B65D 30/10 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
B65D33/00 A
B65D30/10 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095142
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 友香
(72)【発明者】
【氏名】鹿窪 珠季
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AA01
3E064AA13
3E064BA30
3E064BA36
3E064BA55
3E064BB03
3E064BC13
3E064BC18
3E064EA30
3E064HA06
3E064HB05
3E064HH04
3E064HN11
(57)【要約】
【課題】内容物を取り出した後に、物品収納と異なる楽しみ方が可能な包装袋を提供する。
【解決手段】前部10と、前部に連なる後部とを有し、上方に開口を有する包装袋1において、前部は、下部に、複数の窓を含む窓部22と、窓の周囲に形成されて窓部よりも低い可視光線透過率を有する低透過率部21とを有する。後部のうち、包装袋の正面視において窓部および低透過率部の少なくとも一部と重なる部位に、窓部から入射した光を反射する投影領域が形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前部と、前記前部に連なる後部とを有し、上方に開口を有する包装袋であって、
前記前部は、下部に、複数の窓を含む窓部と、前記窓の周囲に形成されて前記窓部よりも低い可視光線透過率を有する低透過率部とを有し、
前記後部のうち、前記包装袋の正面視において前記窓部および前記低透過率部の少なくとも一部と重なる部位に、前記窓部から入射した光を反射する投影領域が形成されている、
包装袋。
【請求項2】
前記投影領域が金属光沢を有する、
請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記前部および前記後部が樹脂フィルムで形成され、
前記低透過率部および前記投影領域が印刷により形成されている、
請求項1に記載の包装袋。
【請求項4】
前記低透過率部の可視光線透過率が30%以下である、
請求項1に記載の包装袋。
【請求項5】
前記窓部の可視光線透過率が80%以上である、
請求項1に記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
食品を含む各種物品が、樹脂フィルムを用いた包装袋に収容されて流通している。
包装袋を構成する樹脂フィルムには、透明なもの、絵柄等の印刷層が形成された不透明なもの、アルミ蒸着膜を有して不透明かつガスバリア性を発揮するものなど、多くの種類が知られている。
【0003】
特許文献1には、化粧面を有する前側シート部の一部を透明に形成し残量確認窓とすることが記載されている。これにより、包装袋を基本的に不透明としつつ、内部の確認もできるように構成できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3185323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
食品等においては、期間限定や季節限定のラインナップを設けることにより販売促進を図ることがある。
その際、包装袋にも購買意欲を高める仕掛けが備えられていると促進効果をさらに向上できるが、特許文献1に記載の残量確認窓には、内部を確認する、内容物の種別を表示する以外の特段の機能はなく、このような効果は期待できない。
【0006】
本発明は、内容物を取り出した後に、物品収納と異なる楽しみ方が可能な包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前部と、前部に連なる後部とを有し、上方に開口を有する包装袋である。
前部は、下部に、複数の窓を含む窓部と、窓の周囲に形成されて窓部よりも低い可視光線透過率を有する低透過率部とを有する。
後部のうち、包装袋の正面視において窓部および低透過率部の少なくとも一部と重なる部位に、窓部から入射した光を反射する投影領域が形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る包装袋は、内容物を取り出した後に、物品収納と異なる楽しみ方を有している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る包装袋を示す正面図である。
図2】同包装袋の後部を示す図である。
図3】同包装袋の使用時の動作を示す図である。
図4】同包装袋の他の使用時の動作を示す図である。
図5】同包装袋の他の使用時の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態について、図1から図5を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る包装袋1を示す正面図である。包装袋1は、樹脂フィルムで構成されており、上方に開口を有する。包装袋1は、内部に対象物品を収容した後に開口が封止されて流通される。
【0011】
包装袋1は、前部10と、後部40とを有する。前部10と後部40とが別々の樹脂フィルムで形成されてもよいし、1枚の樹脂フィルムを折り曲げることにより前部10および後部40が形成されてもよい。
樹脂フィルムとしては、例えば基材フィルムとシーラント層とからなる積層体が使用できる。
【0012】
基材フィルムの材質は特に制限なく、延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)やポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、延伸ポリアミドフィルム(ONy)等の各種樹脂製のものを使用できる。
基材フィルムには、酸素や水蒸気の透過を低減させるためのガスバリア層として、透明な無機化合物蒸着層やガスバリア性に優れた透明バリアコート層を設けてもよい。また、後述する窓部22の部分を除いて金属蒸着層を設けることもできる。
【0013】
シーラント層は、包装袋に一般的に用いられる低密度ポリエチレンフィルム(LDPE)や無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)、線状低密度ポリエチレンフィルム(L-LDPE)が使用できる。
【0014】
基材フィルムとシーラント層との接合には、接着剤を用いたドライラミネーションやノンソルベントラミネーションなど、公知の各種方法を使用できる。収納される対象物品が食品である場合は、ノンソルベントラミネーションが好ましい。
また、低密度ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂を基材フィルム上に押し出しコートしてシーラント層を形成してもよい。
樹脂フィルムの具体例としては、以下の構成が例示できる。
・OPP(10~40μm)/ノンソルベント接着剤/CPP(10~40μm)
・PET(12~25μm)/ドライラミネート接着剤/L-LDPE(40~80μm)
【0015】
包装袋1を形成するための樹脂フィルムの接合方法としては、シーラント層を用いた熱融着が簡便である。
【0016】
前部10は、上側の第一領域11と、下側の第二領域20とを有する。第二領域は、包装袋1の下端付近まで連続しており、下端に達していてもよい。
【0017】
前部10において、包装袋1の内面を構成する後側の面(後面)には、前部に図柄や文字等を付与するための印刷層が形成されている。
第一領域11における印刷層の態様には特に制限はなく、収納される対象物品の写真や絵、商品名等の所望の表示を設定できる。印刷層は、第一領域11に対応する後面の全体に設けられても、一部のみに設けられてもよいが、後述する楽しみ方の観点からは全体に設けられることが好ましい。
【0018】
第二領域20は、印刷層が施された低透過率部21と、印刷層が形成されない窓部22とを有する。本発明における窓部は、単独では内部を視認する機能を十分発揮しない程度に小さな窓を多数含んで構成されており、各窓の周囲に低透過率部が位置している。本実施形態において、窓部22は、複数の窓が全体として雪降る夜の街並みを表示するように構成されているが、これは一例であり、所望の図柄を表示するように構成できる。
低透過率部21を形成する印刷層は、例えば金色/白色/金色のインキを用いてこの順に、窓部となる部位を除いて印刷することにより形成することができる。
低透過率部21と窓部22とは、可視光線の透過率が大きく異なっており、窓部22の可視光線透過率は、低透過率部21に比して著しく高い。一例において、JIS K 7375に準拠して測定した低透過率部21の可視光線透過率は30%以下であり、窓部22の可視光線透過率は80%以上である。
【0019】
図2は、後部40の正面図である。包装袋1のもう一方の内面を構成する前側の面(前面)には印刷層が形成されている。これにより、後部40は概ね全体が不透明に構成されている。
後部40に形成された印刷層により、下端から一定の領域は、投影領域41とされている。投影領域の印刷層は、一例において、可視光線透過率の低い全面印刷である。投影領域の色彩は暗色系が好ましく、金属光沢を有してもよい。
投影領域以外の印刷層の態様に特に制限はなく、投影領域と同様であってもよいし、対象物品に関する各種表示等を含んで異なっていてもよい。
【0020】
投影領域41は、包装袋1の正面視において、第一領域11の80%以上と重なるようにその寸法や形状が設定される。理想的には、投影領域41は第一領域11全体と重なることが好ましく、第一領域11より投影領域41が広くてもよい。
【0021】
上記のように構成された本実施形態の包装袋1の使用時の動作について説明する。
開封後、対象物品を消費する等により空になった包装袋1を、開口が開き、前部10と後部40とがある程度離間した状態にする。
【0022】
前部10を室内の光源に向けた状態で使用者が包装袋1の中を覗き込むと、光源からの光が窓部22から包装袋1内に入射する一方で、低透過率部21ではその多くが遮断されて包装袋1内に入射しない。このコントラストにより、窓部22が光って見える。
さらに、窓部22から入射した光の一部は、投影領域41に反射され窓部22に対応する形状でぼんやりと光る。その結果、使用者は、図3に示すように、前部10と後部40との境界を水平線として、あたかも窓部22により示される上側の光景が水面に映し出されているようなパノラマを楽しむことができる。
【0023】
包装袋1の他の使用方法を図4に示す。包装袋1を暗い部屋に持っていき、前部10を壁に向けた状態で包装袋1内にスマートフォンや電球等の光源を入れて光らせると、図4に示すように、窓部22に対応した光る図柄を壁面に投影できる。指向性のある光源を包装袋1内で回転させると、投影される図柄を壁面上で動かすこともできる。
【0024】
包装袋1のさらに他の使用方法を図5に示す。包装袋1から第二領域20を切り取り、左右の端部を接合して筒状にする。これを光源の周囲を囲むように配置すると、第二領域20を簡易なランタンシェードとすることができる。この際、図5に示すように、切り取る第2領域の上縁部分を波状にするなどして、おしゃれな形状のランタンシェードとしてもよい。図5には、スマートフォンSpのサーチライトを光源として使用している例を示している。
第二領域20をランタンシェードとする使用法は、低透過率部21が低いながらも一定の可視光線透過率を有する場合に好適に行える。一例として、低透過率部の可視光線透過率が15%以上あることが好ましい。ただし、低透過率部の可視光線透過率が高すぎると、図3に示した使用法における見え方が悪化する可能性があるため、留意する。
【0025】
以上説明したように、本実施形態の包装袋1は、対象物品を収納するという本来の役目を終えた後も、様々な態様で使用者およびその周りの人を楽しませることができる。したがって、これらの楽しみ方を案内することにより、消費者の購買意欲を高め、対象物品の販促効果を向上させることに寄与できる。
【0026】
本発明の一実施形態について説明したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせなども含まれる。以下にいくつか変更を例示するが、これらはすべてではなく、それ以外の変更も可能である。これらの変更が2以上適宜組み合わされてもよい。
【0027】
・窓部は、低透過率部に対して十分大きい可視光線透過率を有していれば、必ずしも無色透明である必要はなく、有色透明であってもよい。窓部を有色透明とする方法としては、透明な着色インキによる印刷層を設ける方法や、基材フィルムやシーラント層に透明性を損なわない範囲で着色剤を添加する方法等を例示できる。
さらに、窓部の各窓において、色彩の有無や種類が異なっていてもよい。
【0028】
・本発明に係る包装袋の外形には特に制限はなく、開口を再密閉可能にするチャックを有するものや、側面にマチを有するガセット袋等であってもよいが、上述したパノラマを好適にする観点からは、スタンディングパウチ等のように、前部と後部の間に底フィルムを挟むものでないことが好ましい。
【0029】
・前部および後部に形成される印刷層は、包装袋の外面となる側に設けられてもよい。ただし、上述の実施形態のように内面となる側に設けた方が、使用者が印刷層に触れることがないため好ましい。
【符号の説明】
【0030】
1 包装袋
10 前部
21 低透過率部
22 窓部
40 後部
41 投影領域
図1
図2
図3
図4
図5