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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187234
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】電気化学セル用電解質膜
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/1016 20160101AFI20221212BHJP
   B32B 7/12 20060101ALI20221212BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20221212BHJP
   H01M 8/0289 20160101ALI20221212BHJP
   H01B 1/06 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
H01M8/1016
B32B7/12
B32B27/30 D
H01M8/0289
H01B1/06 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095145
(22)【出願日】2021-06-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山中 菜緒
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 真司
(72)【発明者】
【氏名】大森 誠
【テーマコード(参考)】
4F100
5G301
5H126
【Fターム(参考)】
4F100AD00A
4F100AD00C
4F100AH05B
4F100AH06B
4F100AK01A
4F100AK01C
4F100AK17A
4F100AK17C
4F100BA03
4F100BA06
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100CA30A
4F100CA30C
4F100CB00B
4F100EJ17
4F100EJ42
4F100YY00B
5G301CD01
5G301CE01
5H126AA03
5H126BB08
5H126GG12
5H126GG19
5H126JJ03
(57)【要約】
【課題】強度を高めた電気化学セル用電解質膜を提供する。
【解決手段】電気化学セル用電解質膜は、第1電解質層と、第2電解質層と、結着層と、を備える。第1電解質層は、第1イオン伝導体及び第1支持体を有する。第2電解質層は、第2イオン伝導体及び第2支持体を有する。結着層は、シラン化合物を含む。結着層は、第1電解質層と第2電解質層との間に配置され、第1イオン伝導体と第2イオン伝導体とを結着する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1イオン伝導体及び第1支持体を有する第1電解質層と、
第2イオン伝導体及び第2支持体を有する第2電解質層と、
シラン化合物を含み、前記第1電解質層と前記第2電解質層との間に配置され、前記第1イオン伝導体と前記第2イオン伝導体とを結着する結着層と、
を備える、電気化学セル用電解質膜。
【請求項2】
前記第1イオン伝導体及び前記第2イオン伝導体は、セラミックスによって構成される、
請求項1に記載の電気化学セル用電解質膜。
【請求項3】
前記第1イオン伝導体及び前記第2イオン伝導体は、プロトン伝導性である、
請求項1又は請求項2に記載の電気化学セル用電解質膜。
【請求項4】
前記シラン化合物は、シランカップリング剤である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の電気化学セル用電解質膜。
【請求項5】
前記シランカップリング剤は、パーフルオロアルキル基を有し、
前記第1支持体及び前記第2支持体は、フッ素樹脂である、
請求項4に記載の電気化学セル用電解質膜。
【請求項6】
前記結着層の膜厚は、500nm以下である、
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の電気化学セル用電解質膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学セル用電解質膜に関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学セルは、一般的に、電解質膜と、一対の電極とを有している。電解質膜は、一対の電極間に配置されている。特許文献1には、シリカ微粒子等によって構成されたイオン伝導体と、樹脂によって構成された支持体と、を複合化させた電解質膜が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-23185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の電解質膜において、強度が十分でない場合がある。
【0005】
本発明は、強度を高めた電気化学セル用電解質膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電気化学セル用電解質膜は、第1電解質層と、第2電解質層と、結着層と、を備える。第1電解質層は、第1イオン伝導体及び第1支持体を有する。2電解質層は、第2イオン伝導体及び第2支持体を有する。結着層は、シラン化合物を含む。結着層は、第1電解質層と第2電解質層との間に配置され、第1イオン伝導体と第2イオン伝導体とを結着する。
【0007】
この構成によれば、第1電解質層と第2電解質層との間に結着層が存在し、第1電解質層に含まれる第1イオン伝導体と、第2電解質層に含まれる第2イオン伝導体と、がシロキサン結合を形成した結着層を介して結合している。これにより、電気化学セル用電解質膜の強度が高まる。
【0008】
好ましくは、第1イオン伝導体及び第2イオン伝導体は、セラミックスによって構成される。この場合、セラミックスはシラン化合物と親和性が高いため、イオン伝導体とシラン化合物との密着性が高まる。つまり、第1電解質層とシラン化合物との密着性、及び、第2電解質層とシラン化合物との密着性が高まる。その結果、電気化学セル用電解質膜の強度がさらに高まる。
【0009】
好ましくは、第1イオン伝導体及び第2イオン伝導体は、プロトン伝導性である。
【0010】
好ましくは、シラン化合物は、シランカップリング剤である。
【0011】
好ましくは、シランカップリング剤は、パーフルオロアルキル基を有する。第1支持体及び第2支持体は、フッ素樹脂である。この場合、シランカップリング剤のパーフルオロアルキル基と、第1電解質層及び第2電解質層の支持体であるフッ素樹脂のフッ素と、が相互作用することにより、第1電解質層とシランカップリング剤との密着性、及び、第2電解質層とシランカップリング剤との密着性がさらに高まる。その結果、電気化学セル用電解質膜の強度がさらに高まる。
【0012】
好ましくは、結着層の膜厚は、500nm以下である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、強度を高めた電気化学セル用電解質膜を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る電気化学セル用電解質膜を用いた直接メタノール形燃料電池の構成の一例を示す模式図である。
図2】実施形態に係る電気化学セル用電解質膜の断面の模式図である。
図3】本実施形態による電気化学セル用電解質膜の断面の一部を拡大した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施形態に係る電気化学セル用電解質膜(以下、単に電解質膜ともいう)110を含む直接メタノール形燃料電池(DMFC)100について図面を参照しつつ説明する。
【0016】
[DMFC100]
図1に示すように、DMFC100は、プロトンをキャリアとする燃料電池の一種である。DMFC100は、上記の電解質膜110、アノード120、及び、カソード130を備える。電解質膜110は、アノード120及びカソード130の間に配置される。DMFC100は、燃料供給部121及び酸化剤供給部122をさらに有する。
【0017】
DMFC100は、下記の電気化学反応式に基づいて、比較的低温(例えば、50~250℃)で発電することが好ましい。下記の電気化学反応式では、燃料としてメタノールが用いられている。
【0018】
・アノード120:CH3OH+H2O→CO2+6H++6e-
・カソード130:6H++3/2O2+6e-→3H2
・ 全体 :CH3OH+3/2O2→CO2+2H2
【0019】
燃料供給部121は、DMFC100の作動中、メタノール(CH3OH)を含む燃料を後述するアノード120に供給する。燃料に含まれるメタノールは、気相状態、液相状態、気相及び液相の混合状態のいずれであってもよい。燃料供給部121は、供給管21a、供給空間21b及び排出管21cを有する。供給管21aから導入される燃料は、供給空間21bにおいてアノード120に供給される。アノード120において消費されなかった燃料とアノード120において発生する二酸化炭素(CO2)及び水(H2O)は、排出管21cから外部に排出される。
【0020】
酸化剤供給部122は、カソード130に酸素(O2)を含む酸化剤を供給する。酸化剤としては、空気を用いるのが好ましく、空気は加湿されていることがより好ましい。酸化剤供給部122は、供給管22a、供給空間22b及び排出管22cを有する。供給管22aから導入される酸化剤は、供給空間22bにおいてカソード130に供給される。カソード130において消費されなかった酸化剤は、排出管22cから外部に排出される。
【0021】
[アノード120]
アノード120は、一般に燃料極と呼ばれる陰極である。DMFC100の発電中、アノード120には、メタノールを含む燃料が燃料供給部121から供給される。アノード120は、内部にメタノールを拡散可能な多孔質体である。アノード120の気孔率は特に制限されない。アノード120の厚みは特に制限されないが、例えば10~500μmとすることができる。
【0022】
アノード120は、公知のアノード触媒を含むものであればよく、特に限定されない。アノード触媒の例としては、Pt、Ni、Co、Fe、Ru、Sn、及びPd等の金属触媒が挙げられる。金属触媒は、カーボン等の担体に担持されるのが好ましいが、金属触媒の金属原子を中心金属とする有機金属錯体の形態としてもよく、この有機金属錯体を担体として担持されていてもよい。また、アノード触媒の表面には多孔質材料等で構成された拡散層を配置してもよい。アノード120の好ましい例としては、ニッケル、コバルト、銀、白金担持カーボン(Pt/C)、白金ルテニウム担持カーボン(PtRu/C)、パラジウム担持カーボン(Pd/C)、ロジウム担持カーボン(Rh/C)、ニッケル担持カーボン(Ni/C)、銅担持カーボン(Cu/C)、及び銀担持カーボン(Ag/C)が挙げられる。
【0023】
アノード120の作製方法は特に限定されないが、例えば、アノード触媒及び所望により担体をバインダと混合してペースト状混合物を調製し、このペースト状混合物を電解質膜110のアノード側表面に塗布することにより形成することができる。
【0024】
[カソード130]
カソード130は、一般に空気極と呼ばれる陽極である。DMFC100の発電中、カソード130には、酸素(O2)を含む酸化剤が酸化剤供給部122から供給される。カソード130は、内部に酸化剤を拡散可能な多孔質体である。カソード130の気孔率は特に制限されない。カソード130の厚みは特に制限されないが、例えば10~200μmとすることができる。
【0025】
カソード130は、公知の空気極触媒を含むものであればよく、特に限定されない。カソード触媒の例としては、白金族元素(Ru、Rh、Pd、Ir、Pt)、鉄族元素(Fe、Co、Ni)等の第8~10族元素(IUPAC形式での周期表において第8~10族に属する元素)、Cu、Ag、Au等の第11族元素(IUPAC形式での周期表において第11族に属する元素)、ロジウムフタロシアニン、テトラフェニルポルフィリン、Coサレン、Niサレン(サレン=N,N’-ビス(サリチリデン)エチレンジアミン)、銀硝酸塩、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。カソード130における触媒の担持量は特に限定されないが、好ましくは0.05~10mg/cm2、より好ましくは、0.05~5mg/cm2である。カソード触媒はカーボンに担持させるのが好ましい。カソード130の好ましい例としては、白金担持カーボン(Pt/C)、白金コバルト担持カーボン(PtCo/C)、パラジウム担持カーボン(Pd/C)、ロジウム担持カーボン(Rh/C)、ニッケル担持カーボン(Ni/C)、銅担持カーボン(Cu/C)、及び銀担持カーボン(Ag/C)が挙げられる。
【0026】
カソード130の作製方法は特に限定されないが、例えば、空気極触媒及び所望により担体をバインダと混合してペースト状混合物を調製し、このペースト状混合物を電解質膜110のカソード側表面に塗布することにより形成することができる。
【0027】
[電解質膜110]
電解質膜110は、膜状、層状、或いは、シート状に形成される。電解質膜110の厚みは特に制限されないが、例えば5~100μmである。
【0028】
図2に示すように、電解質膜110は、第1電解質層111と、第2電解質層112と、結着層113と、を備える。
【0029】
図3に示すように、第1電解質層111は、第1イオン伝導体111Aと、第1支持体111Bと、を含む。第2電解質層112は、第2イオン伝導体112Aと、第2支持体112Bと、を含む。第1電解質層111と第2電解質層112とは、同じ構成である。
つまり、第1イオン伝導体111Aと第2イオン伝導体112Aとは同様の構成であり、第1支持体111Bと第2支持体112Bとは同様の構成である。したがって、以下は、第1電解質層111のみについて説明する。なお、第2電解質層112においては、以下の第1電解質層111についての説明、及び、第1電解質層111の製造方法についての説明のうち、第1イオン伝導体111Aを第2イオン伝導体112Aと読み替え、第1支持体111Bを第2支持体112Bと読み替える。
【0030】
[第1イオン伝導体111A]
第1イオン伝導体111Aは、第1支持体111B中に分散されている。第1イオン伝導体111Aは、第1支持体111Bによって支持される。第1イオン伝導体111Aは、プロトン伝導性である。DMFC100の発電中、第1電解質層111は、主に第1イオン伝導体111Aによって、アノード120からカソード130側にプロトンイオン(H+)を伝導する。
【0031】
第1イオン伝導体111Aのプロトン伝導率は特に制限されないが、0.1mS/cm以上が好ましく、より好ましくは0.5mS/cm以上、さらに好ましくは1.0mS/cm以上である。第1イオン伝導体111Aのプロトン伝導率は、高いほど好ましく、その上限値は特に制限されないが、例えば10mS/cmである。
【0032】
第1イオン伝導体111Aは、セラミックスによって構成される。第1イオン伝導体111Aとしては、プロトン伝導性を有する周知の親水性のセラミック材料を用いることができる。このようなセラミック材料は例えば、プロトン伝導性を有する金属酸化物水和物などを用いることができる。このような金属酸化物水和物としては、酸化ジルコニウム水和物、一水和アルミニウム酸化物(ベーマイト)、酸化タングステン水和物、酸化スズ水和物、ニオブをドープした酸化タングステン、酸化ケイ素水和物、酸化リン酸水和物、ジルコニウムをドープした酸化ケイ素水和物、タングストリン酸、モリブドリン酸などである。
【0033】
第1電解質層111における第1イオン伝導体111Aの含有量は、30~70体積%とすることができる。なお、第1電解質層111は、実質的に第1イオン伝導体111A、及び、第1支持体111Bのみによって構成されており、その他の物質は無視できる程度である。
【0034】
第1イオン伝導体111Aの含有量は、電解質膜110の断面をSEM(走査電子顕微鏡)で観察して、SEM画像上において樹脂より輝度が高く表示される第1イオン伝導体111Aの面積率を画像解析にて算出することによって得られる。
【0035】
第1イオン伝導体111Aを構成するセラミックス粒子の平均粒径は、円相当径で0.5~5.0μmとすることができる。第1イオン伝導体111Aを構成するセラミックス粒子の比表面積は、1~200m2/cm3とすることができる。
【0036】
第1イオン伝導体111Aの平均粒径は、電解質膜110の断面をSEM又はTEM(透過型電子顕微鏡)で観察して、観察画像上において無作為に選択した20個の第1イオン伝導体111Aの円相当径を算術平均することによって得られる。円相当径は、第1イオン伝導体111Aの各々の粒子の面積を求め、求めた面積から計算する。
【0037】
第1イオン伝導体111Aの比表面積は、第1イオン伝導体111Aの平均粒径から平均表面積及び平均体積を算出して、平均表面積を平均体積で割ることによって算出される。
【0038】
第1イオン伝導体111Aは、表面にシランカップリング剤に結合するための反応基(以下、カップリング用官能基という)を有する。カップリング用官能基は、ヒドロキシ基(OH)である。しかしながら、シランカップリング剤と反応できる官能基であれば、特にこれに限定されない。シランカップリング剤と反応できる官能基は、ヒドロキシ基(OH)を有する官能基であれば、ヒドロキシ基(OH)に限定されない。ヒドロキシ基(OH)を有する官能基は例えば、カルボキシ基(COOH)、スルホン酸基(SO3H)、エポキシ基などである。ここで、エポキシ基とは、3員環の環状エーテル構造を含む基をいう。
【0039】
[第1支持体111B]
第1支持体111Bは、第1イオン伝導体111Aを支持する。詳細には、第1支持体111Bが第1イオン伝導体111Aを支持することによって、第1電解質層111の形状を維持している。
【0040】
第1支持体111Bは、有機高分子である。第1支持体111Bは、プロトン伝導性を有しない樹脂によって構成される。つまり、第1支持体111Bは、絶縁性である。例えば、第1支持体111Bは、絶縁性を有する周知の樹脂によって構成されている。詳細には、第1支持体111Bのイオン伝導率は、0.01mS/cm以下である。
【0041】
第1支持体111Bは、疎水性の特性を有するフッ素樹脂である。第1支持体111Bを構成する材料は例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)又はその誘導体、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリオキシエチレン(POE)又はその誘導体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアクリル酸又はその誘導体、ポリイミド又はその誘導体、ポリエーテルエーテルケトン又はその誘導体、ポリエーテルスルホン又はその誘導体、ポリオレフィン、ポリエチレン、セルロース、特に、カルボキシメチルセルロース又はセルロース繊維など、コポリマー、特に、PVDF-HFP(ヘキサフルオロプロピレン)又はPVDF-POEなどである。好ましくは、第1支持体111Bは、PVDFである。
【0042】
[第1電解質層111の製造方法]
次に、第1電解質層111の製造方法について説明する。
【0043】
第1イオン伝導体111Aと、第1支持体111Bと、の混合物を用いて第1電解質層111を成膜する。第1電解質層111の成膜方法は特に限られないが、例えば、以下に説明する単純分散法を用いることができる。
【0044】
まず、第1支持体111Bとする有機高分子を溶媒に溶解させることによってワニスを調製する。溶媒は、有機高分子を溶解可能で、膜化後に蒸発させられるものであればよい。溶媒としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、あるいはエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジクロロメタン、トリクロロエタン等のハロゲン系溶媒、i-プロピルアルコール、t-ブチルアルコール等のアルコールを用いることができる。
【0045】
次に、調製したワニスに第1イオン伝導体111Aを混合することによって混合物を調製する。ワニス、第1イオン伝導体111Aの混合方法としては、例えば、スターラ法、ボールミル法、ジェットミル法、ナノミル法、超音波などを用いることができる。
【0046】
次に、ワニス、及び、第1イオン伝導体111Aの混合物を基板上に膜化した後、溶媒を蒸発させることによって第1電解質層111を作製する。基板は、膜化後に第1電解質層111を剥がすことができるものであればよく、例えば、ガラス板、ポリテトラフルオロエチレンシート、ポリイミドシートなどを用いることができる。混合物の膜化方法としては、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、スクリーン印刷法などを用いることができる。
【0047】
[結着層113]
結着層113は、第1電解質層111と第2電解質層112との間に挟まれて配置されている。結着層113は、第1電解質層111と第2電解質層112との間において、第1電解質層111と第2電解質層112とを結着する。
【0048】
結着層113は、縮合したシラン化合物を含む。結着層113は、シラン化合物を加熱することにより形成された層である。シラン化合物とは、ケイ素原子を含んだ有機化合物である。シラン化合物とは、例えば、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等の各種シラン系化合物から選択される1種又は2種以上である。シラン化合物は、シランカップリング剤であってもよい。この場合、結着層113は、シランカップリング剤を加熱することにより形成された層である。結着層113は、縮合したシランカップリング剤によって構成された層であってもよい。
【0049】
シランカップリング剤とは、分子中に加水分解性基とそれ以外の原子団とを有する化合物である。シランカップリング剤の一般式は以下の通りである。
【化1】
【0050】
(RO)nは、加水分解性基である。加水分解性基とは、珪素原子に直結し、加水分解反応及び/又は縮合反応によってシロキサン結合を生じ得る置換基をいう。加水分解性基としては、例えば、ヒドロキシ基(OH)、又は、加水分解でヒドロキシ基(OH)を生成するハロゲン基(Clなど)、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。加水分解性基が炭素原子を有する場合、その炭素数は6以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましい。特に、炭素数4以下のアルコキシ基又は炭素数4以下のアルケニルオキシ基が好ましい。さらに、炭素数2以下のアルコキシ基又は炭素数4以下のアルケニルオキシ基が好ましい。
【0051】
R’は任意の基である。R’は、ROと同じでもよい。R’は例えば、水素原子、アルコキシ基又はアルキル基である。
【0052】
Xは、有機反応性基である。有機反応性基は、疎水性である。
【0053】
有機反応性基としては,ビニル基,エポキシ基(脂環式エポキシ基,グリシジル基),メタクリル基,アクリル基,スチリル基,アミノ基,ジアミノ基,メルカプト基,ウレイド基,イソシアネート基等が挙げられる。
【0054】
シランカップリング剤としては、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、等が挙げられる。この中でも反応性の点から、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート系シランカップリング剤が好ましい。シランカップリング剤は、2種類以上のシランカップリング剤を混合して用いてもよい。
【0055】
第1電解質層111と第2電解質層112との間にシランカップリング剤を配置して、貼り合わせると、第1電解質層111とシランカップリング剤との界面において、第1イオン伝導体111Aのカップリング用官能基に、シランカップリング剤が有する加水分解性基が結合、又は、反応する。これにより、シランカップリング剤の原子団が、カップリング用官能基を介して、第1イオン伝導体111Aの表面に担持される。同様に、第2電解質層112とシランカップリング剤との界面において、第2イオン伝導体112Aのカップリング用官能基に、シランカップリング剤が有する加水分解性基が反応、又は、結合する。これにより、シランカップリング剤の原子団が、カップリング用官能基を介して、第2イオン伝導体112Aの表面に担持される。
【0056】
カップリング用官能基と、シランカップリング剤が有する官能基と、が反応する際の種類は、特に限定されるものではないが、ヒドロキシ基(OH)間の脱水縮合反応や、エステル化反応などである。
【0057】
上記の第1電解質層111とシランカップリング剤との反応、及び、第2電解質層112とシランカップリング剤との反応と同時に、シランカップリング剤の分子同士の縮合である自己縮合が起き、シロキサン結合が生じる。自己縮合とは、次のような反応である。シランカップリング剤を加熱すると、シランカップリング剤が、加水分解によりモノマーである有機トリシラノールに変化する。有機トリシラノールの一部は互いに縮合してシロキサン結合を形成する。シロキサン結合を介して、第1電解質層111と第2電解質層112とが結合する。この結合により、電解質膜110の強度が高まる。
【0058】
本実施形態においては、第1電解質層111と第2電解質層112とは同質である。具体的には、第1電解質層111と第2電解質層112とは、同じ構成を有する。そのため、第1電解質層111とシランカップリング剤との結合、及び、第2電解質層112とシランカップリング剤との結合、の両方の結合の強さが同程度である。これにより、結合の強さが偏らないため、電解質膜110の強度が高まる。
【0059】
第1イオン伝導体111Aがセラミックスによって構成される場合、第1イオン伝導体111Aとシランカップリング剤との親和性が高くなる。具体的には、以下のとおりである。シランカップリング剤は、その分子構造に起因して、第1電解質層111の表層の分子間に入り込みやすい。入り込んだシランカップリング剤が第1イオン伝導体111Aのカップリング用官能基と反応、又は、結合するため、結着層113と第1電解質層111との結合が強くなる。結着層113と第2電解質層112との結合についても同様である。その結果、電解質膜110の強度がさらに高まる。
【0060】
また、第1電解質層111と第2電解質層112とを貼り合わせる前のシランカップリング剤においては、自己縮合していないモノマーと、自己縮合しているオリゴマーと、が共存していることが好ましい。
【0061】
自己縮合していないモノマーのシランカップリング剤が存在していれば、メタノールの透過を抑制することができる。この理由は次のとおりである。モノマーのシランカップリング剤が存在している場合、シランカップリング剤は、モノマーの状態で、第1電解質層111と第2電解質層112との間でシロキサン結合を行う。モノマーのシランカップリング剤は、電解質膜内部のセラミックスとポリマー間の空隙に入り込み、両者の密着性を向上させる。これにより、メタノールの透過を抑制することができる。
【0062】
一方で、自己縮合しているオリゴマーのシランカップリング剤が存在していれば、シランカップリング剤の余分なシラノール基の数を低減させることができる。余分なシラノール基を低減させることで、シランカップリング剤と第1電解質層111及び第2電解質層112表面の水酸基との反応性を低下させる。そのため、第1電解質層111及び第2電解質層112表面に水酸基が残存する。第1電解質層111及び第2電解質層112表面に水酸基が残存しており、面方向に均一にシランカップリング剤の層が形成されている状態で、第1電解質層111及び第2電解質層112を貼り合わせる。これにより、残存した水酸基と、水酸基に付随する配位水によってプロトン伝導パスが確保される。
【0063】
以上のとおり、第1電解質層111と第2電解質層112とを貼り合わせる前のシランカップリング剤において、自己縮合していないモノマーと、自己縮合しているオリゴマーと、を共存させることで、電解質膜110の伝導率を損なうことなくメタノールの透過を抑制することができる。
【0064】
シランカップリング剤の有機反応性基は、パーフルオロアルキル基を有してもよい。有機反応性基がパーフルオロアルキル基を有していれば、シランカップリング剤と第1支持体111Bとの親和性がさらに高まる。これにより、第1電解質層111と、第2電解質層112と、の密着性がさらに高まり、電解質膜110の強度がさらに高まる。パーフルオロアルキル基としては、トリフルオロプロピル基、デカフルオロプロピル基等が挙げられる。
【0065】
結着層113の膜厚は、500nm以下である。結着層113の膜厚が500nm以下であれば、結着層113において電解質膜として必要な伝導度を維持しつつ、また強度を保持することができる。結着層113の膜厚は、好ましくは300nm以下であり、さらに好ましくは200nm以下であり、特に好ましくは100nm以下である。結着層113の膜厚は、好ましくは1nm以上であり、さらに好ましくは5nm以上であり、さらに好ましくは10nm以上である。
【0066】
結着層113は、電解質膜110の断面をTEM(透過型電子顕微鏡)で観察して得られるTEM画像上において、第1電解質層111及び第2電解質層112よりも輝度が高く表示されることにより、存在を確認することができる。結着層113を輝度の違いで確認することができない場合は、EDX(エネルギー分散型X線分光法)を用いて、Siが濃化している層として特定する。また、結着層113の膜厚は、TEM画像上において結着層113の膜厚を画像解析にて算出することによって得られる。
【0067】
[電解質膜110の製造方法]
次に、電解質膜110の製造方法について説明する。電解質膜110の製造方法は、塗布工程と、積層・貼り合わせ工程と、を備える。
【0068】
[塗布工程]
塗布工程では、第1電解質層111に、シランカップリング剤を塗布して塗膜を形成する。
【0069】
第1電解質層111にシランカップリング剤を塗布する方法は特に限定されない。ただし、第1電解質層111の一方の面にのみシランカップリング剤を塗布し、第1電解質層111の他方の面にはシランカップリング剤を塗布しない方法が好ましい。この場合、結着層113をアノード120又はカソード130から離して配置することができる。これにより、結着層113がイオン伝導を阻害しにくいため、イオン伝導性を低下させない。
【0070】
第1電解質層111にシランカップリング剤を塗布する方法は例えば、カーテンコーティング法、スプレーコーティング法、バーコーティング法、ロッドコーティング法、ロールコーティング法、ダイコーティング法等を挙げることができる。
【0071】
シランカップリング剤の塗布厚みは特に限定されない。シランカップリング剤の塗布厚みは例えば、貼り合わせ後の結着層113の厚みが500nm以下になるように設定する。
【0072】
第1電解質層111に接着剤を塗布して塗膜を形成した後は速やかに加熱乾燥させる。これにより、第1電解質層111と第2電解質層112とを貼り合わせる前のシランカップリング剤において、自己縮合していないモノマーと、自己縮合しているオリゴマーと、を共存させることができる。その結果、電解質膜110の伝導率を損なうことなくメタノールの透過を抑制することができる。
【0073】
[積層・貼り合わせ工程]
積層・貼り合わせ工程では、シランカップリング剤の塗膜上に、第2電解質層112を積層し、第1電解質層111と第2電解質層112とを貼り合わせる。貼り合わせの方法は特に限定されないが、例えば、ラミネータ、ロールプレス又は1軸プレス等を用いて、貼り合わせる。貼り合わせの条件は特に限定されないが、例えば、80~130℃で、1~30分である。好ましくは、貼り合わせは、荷重をかけて行う。
【0074】
[実施形態の変形例]
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲で種々の変形又は変更が可能である。
【0075】
(変形例1)
上記実施形態では、第1イオン伝導体111A及び第2イオン伝導体112Aは、セラミックスであったが、特にこれに限定されない。第1イオン伝導体111A及び第2イオン伝導体112Aは例えば、セラミックス以外の金属酸化物、カーボンクラスター、無定形炭素微粒子などであってもよい。第1イオン伝導体111A及び第2イオン伝導体112Aが金属酸化物である場合、第1イオン伝導体111A及び第2イオン伝導体112Aは、Si、Ti、Sn、Zr及びWのうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0076】
第1イオン伝導体111A及び第2イオン伝導体112Aは、TiO2(チタニア)、SnO2(二酸化スズ)、SnO(酸化スズ)、ZrO2(ジルコニア)、ZrSiO4(ジルコン)、Zr(WO42(タングステン酸ジルコニウム)、WO3(酸化タングステン)、Al2(WO43(タングステン酸アルミニウム)などであることが挙げられるが、これに限られない。第1イオン伝導体111A及び第2イオン伝導体112Aは、異なる金属酸化物を2種以上含んでもよい。
【0077】
(変形例2)
上記実施形態では、第1イオン伝導体111A及び第2イオン伝導体112Aは、プロトン伝導性であったが、特にこれに限定されない。第1イオン伝導体111A及び第2イオン伝導体112Aは、水酸化物イオン伝導性でもよい。
【0078】
(変形例3)
上記実施形態では、第1イオン伝導体111Aと第2イオン伝導体112Aとは同様の構成であったが、特にこれに限定されない。第1イオン伝導体111Aと第2イオン伝導体112Aとは別の構成であってもよい。
【実施例0079】
以下において本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は以下に説明する実施例には限定されない。
【0080】
[電解質膜110の作製]
以下のようにして、試験番号1~14に係る電解質膜110を作製した。
【0081】
まず、表1に示す第1イオン伝導体111Aを準備した。表1において、金属酸化物はSiO、金属酸化物1はTiO2、金属酸化物2はAlOOH、層状複水酸化物はNi-Al LDHであった。
【0082】
【表1】
【0083】
次に、表1に示す絶縁性の第1支持体111B1.8gをN-メチル-2-ピロリドンに溶解させることによってワニスを調製した。
【0084】
次に、調製したワニスに表1に示す第1イオン伝導体111A4.5gをスターラ法で混合することによって混合物を調製した。
【0085】
そして、調製した混合物をドクターブレード法で剥離フィルム上に膜化した後、乾燥処理(80℃、1時間)を施すことによってN-メチル-2-ピロリドンを蒸発させた。これによって、第1電解質層111が完成した。
【0086】
第2電解質層112も、第1イオン伝導体111A及び第1支持体111Bの構成を含め、第1電解質層111と同様に作製した。
【0087】
第1電解質層111に、シランカップリング剤、又は、その他の結着材をスプレーコーティング法(試験番号1~9、12及び14)、又は、浸漬(試験番号13)により塗布した。シランカップリング剤、及び、その他の結着材の種類、塗布量及び塗布位置は表1に示すとおりであった。試験番号10及び11には、シランカップリング剤及びその他の結着材を塗布しなかった。
【0088】
試験番号1~9、13及び14において、シランカップリング剤の塗膜上に、第2電解質層112を積層し、ラミネータを用いて膜を貼り合わせた。貼り合わせの条件は、120℃で1分であった。以上の工程により、電解質膜110が完成した。電解質膜110の膜厚は、いずれも40μmであった。
【0089】
なお、試験番号10は、シランカップリング剤及び結着材を用いなかったが、第1電解質層111及び第2電解質層112を上記の条件で加熱しながら貼り合わせた。これにより第1電解質層111及び第2電解質層112の表面のPVDFが溶融し、第1電解質層111及び第2電解質層112が貼り合わされた。試験番号11及び12については、貼り合わせを行わない電解質膜110とした。つまり、試験番号11及び12は、第1電解質層111のみからなる電解質膜110とした。試験番号10~12の電解質膜110の膜厚は、いずれも40μmであった。
【0090】
[電解質膜110の強度の測定]
電解質膜110の強度を、以下のとおり評価した。JISZ1707の試験方法に準拠して、Φ10mmの穴が空いた板に電解質膜110をはさみ、Φ0.5mmの針で穴の真ん中を突き刺して割れたときの最大破断荷重を測定した。
【0091】
(試験結果)
表1に示すように、試験番号1~9、13及び14では、第1電解質層111と第2電解質層112との間に結着層113が存在した。そのため、電解質膜110の強度が高かった。
【0092】
試験番号3~9、13及び14では、試験番号1及び2よりも電解質膜110の強度が高かった。結着層113の膜厚が5nm以上であったためと考えられる。試験番号1で強度が低めであったのは、結着層113の膜厚が不均一であったため、部分的に結着層113の厚みが5nm未満となる部分があったためであると考えられる。
【0093】
試験番号4~9及び13では、試験番号3よりも電解質膜110の強度が高かった。結着層113の膜厚が10nm以上であったためと考えられる。
【0094】
試験番号4~9及び13では、試験番号14よりも電解質膜110の強度が高かった。第1電解質層111と第2電解質層112とが、同じ構成であったためと考えられる。
【0095】
一方、試験番号10及び11では、シラン化合物を含む結着層113を備えなかった。そのため、電解質膜110の強度が低かった。
【0096】
試験番号12では、結着層113が第1電解質層111と第2電解質層112との間ではなく、電解質膜110の両側の表面のみに存在した。そのため、電解質膜110の強度が低かった。
【符号の説明】
【0097】
110 電解質膜
111 第1電解質層
111A 第1イオン伝導体
111B 第1支持体
112 第2電解質層
112A 第2イオン伝導体
112B 第2支持体
113 結着層
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2021-12-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1支持体、及び、前記第1支持体中に分散されている第1イオン伝導体を有する第1電解質層と、
第2支持体、及び、前記第2支持体中に分散されている第2イオン伝導体を有する第2電解質層と、
シランカップリング剤を含み、前記第1電解質層と前記第2電解質層との間に配置され、前記第1イオン伝導体と前記第2イオン伝導体とを結着する結着層と、
を備え、
前記第1イオン伝導体及び前記第2イオン伝導体は、セラミックスによって構成され、
前記結着層の膜厚は、500nm以下である、
電気化学セル用電解質膜。
【請求項2】
前記第1イオン伝導体及び前記第2イオン伝導体は、プロトン伝導性である、
請求項1に記載の電気化学セル用電解質膜。
【請求項3】
前記シランカップリング剤は、パーフルオロアルキル基を有し、
前記第1支持体及び前記第2支持体は、フッ素樹脂である、
請求項1又は請求項2に記載の電気化学セル用電解質膜。
【請求項4】
前記結着層は、前記電気化学セル用電解質膜の面方向に延びており、
前記結着層におけるSi含有量は、前記第1電解質層及び前記第2電解質層におけるSi含有量よりも高い、
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の電気化学セル用電解質膜。
【請求項5】
前記結着層は、前記第1支持体及び前記第2支持体を構成する元素を含有しない、
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の電気化学セル用電解質膜。