(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187245
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】貨幣取扱装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/25 20190101AFI20221212BHJP
G07D 11/34 20190101ALI20221212BHJP
【FI】
G07D11/25
G07D11/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095169
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】内山 弘之
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA08
3E141BA06
3E141CA04
3E141CA05
3E141FA01
3E141FB01
3E141FC01
3E141FC03
3E141FG01
3E141FJ05
(57)【要約】
【課題】発行世代が異なる貨幣の取り扱いにおいてユーザの利便性をより向上させることが可能な、新規かつ改良された貨幣取扱装置を提供する。
【解決手段】ユーザからの貨幣の投入を受け付ける投入部と、前記貨幣を搬送する搬送部と、前記投入部に投入された貨幣の発行世代を鑑別する鑑別部と、釣銭用として出金可能な貨幣を収納する第1の貨幣収納部と、売上金としての前記貨幣を収納する第2の貨幣収納部と、前記鑑別部により、前記発行世代が最新世代から所定数以上前である旧貨幣と鑑別された貨幣を前記第2の貨幣収納部に収納させ、前記旧貨幣でないと鑑別された貨幣を前記第1の貨幣収納部に収納させる制御部と、を備える、貨幣取扱装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザからの貨幣の投入を受け付ける投入部と、
前記貨幣を搬送する搬送部と、
前記投入部に投入された貨幣の発行世代を鑑別する鑑別部と、
釣銭用として出金可能な貨幣を収納する第1の貨幣収納部と、
売上金としての前記貨幣を収納する第2の貨幣収納部と、
前記鑑別部により、前記発行世代が最新世代から所定数以上前である旧貨幣と鑑別された貨幣を前記第2の貨幣収納部に収納させ、前記旧貨幣でないと鑑別された貨幣を前記第1の貨幣収納部に収納させる制御部と、
を備える、貨幣取扱装置。
【請求項2】
前記売上金の金額を記憶する記憶部、
を更に備え、
前記制御部は、
前記売上金の回収処理において、前記第2の貨幣収納部に収納されている貨幣の総額が前記記憶部に記憶されている売上金の金額を超えている場合に、前記第2の貨幣収納部に収納されている貨幣の総額と、前記記憶部に記憶されている売上金の金額との差額に応じた金額の貨幣を前記第2の貨幣収納部から繰り出す、
請求項1に記載の貨幣取扱装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記回収処理において、前記差額に応じた金額の貨幣を前記第2の貨幣収納部から前記投入部へ搬送させる、
請求項2に記載の貨幣取扱装置。
【請求項4】
所定の枚数以下の貨幣を一時的に保留可能な貨幣保留部、
を更に備え、
前記制御部は、
前記回収処理において、前記差額に応じた金額に相当する貨幣の枚数が前記所定の枚数以下である場合に、前記差額に応じた金額の貨幣を前記第2の貨幣収納部から前記貨幣保留部へ搬送させる、
請求項2に記載の貨幣取扱装置。
【請求項5】
前記制御部は、
ユーザにより前記第2の貨幣収納部が交換された後に、前記差額に応じた金額の貨幣を当該第2の貨幣収納部に収納させる、
請求項2から請求項4までのうちいずれか一項に記載の貨幣取扱装置。
【請求項6】
前記鑑別部は、
前記投入部に投入された貨幣が正常であるか否かを鑑別し、
前記制御部は、
前記鑑別部により正常であると鑑別された貨幣を前記第1の貨幣収納部または前記第2の貨幣収納部に収納させる、
請求項1から請求項5までのうちいずれか一項に記載の貨幣取扱装置。
【請求項7】
前記所定数は、ユーザによる設定変更が可能である、
請求項1から請求項6までのうちいずれか一項に記載の貨幣取扱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小売店やスーパーマーケットなどの流通施設および商業施設、また、銀行などの金融施設において、現金の出金取引および入金取引を行う貨幣取扱装置が設置されている。貨幣取扱装置は、出金取引では、例えば操作者が金種ごとに指定した枚数の現金を出金用の現金収納部から出金する。出金取引で出金された現金は、レジまたは窓口などで釣銭準備金として使用される。入金取引では、レジまたは窓口などから持ち運ばれた現金が貨幣取扱装置に入金され、当該現金が上記出金用の現金収納部に収納される。また、貨幣取扱装置は、売上処理取引で、確定した売上金額に相当する現金である売上金を、出金用の現金収納部から回収用の現金収納部に移動させる。
【0003】
また、近年では、貨幣の改刷に伴い、発行世代が異なる貨幣(新貨幣、旧貨幣)に対応可能な貨幣取扱装置の開発が進められている。例えば、特許文献1では、貨幣取扱装置に投入された紙幣が新紙幣または旧紙幣のいずれであるかを認識し、新紙幣であると認識された紙幣をスタッカに搬送し、旧紙幣であると認識された紙幣を回収庫に搬送する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載した技術では、3世代以上の貨幣が市場で流通した際に、発行世代が最も新しい貨幣を除く貨幣が一律に旧紙幣として取扱われるため、旧紙幣の取扱いに関し、施設やユーザによって異なり得る要望に対応することが困難である。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、発行世代が異なる貨幣の取り扱いにおいてユーザの利便性をより向上させることが可能な、新規かつ改良された貨幣取扱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、ユーザからの貨幣の投入を受け付ける投入部と、前記貨幣を搬送する搬送部と、前記投入部に投入された貨幣の発行世代を鑑別する鑑別部と、釣銭用として出金可能な貨幣を収納する第1の貨幣収納部と、売上金としての前記貨幣を収納する第2の貨幣収納部と、前記鑑別部により、前記発行世代が最新世代から所定数以上前である旧貨幣と鑑別された貨幣を前記第2の貨幣収納部に収納させ、前記旧貨幣でないと鑑別された貨幣を前記第1の貨幣収納部に収納させる制御部と、を備える、貨幣取扱装置が提供される。
【0008】
前記売上金の金額を記憶する記憶部、を更に備え、前記制御部は、前記売上金の回収処理において、前記第2の貨幣収納部に収納されている貨幣の総額が前記記憶部に記憶されている売上金の金額を超えている場合に、前記第2の貨幣収納部に収納されている貨幣の総額と、前記記憶部に記憶されている売上金の金額との差額に応じた金額の貨幣を前記第2の貨幣収納部から繰り出してもよい。
【0009】
前記制御部は、前記回収処理において、前記差額に応じた金額の貨幣を前記第2の貨幣収納部から前記投入部へ搬送させてもよい。
【0010】
所定の枚数以下の貨幣を一時的に保留可能な貨幣保留部、を更に備え、前記制御部は、前記回収処理において、前記差額に応じた金額に相当する貨幣の枚数が前記所定の枚数以下である場合に、前記差額に応じた金額の貨幣を前記第2の貨幣収納部から前記貨幣保留部へ搬送させてもよい。
【0011】
前記制御部は、ユーザにより前記第2の貨幣収納部が交換された後に、前記差額に応じた金額の貨幣を当該第2の貨幣収納部に収納させてもよい。
【0012】
前記鑑別部は、前記投入部に投入された貨幣が正常であるか否かを鑑別し、前記制御部は、前記鑑別部により正常であると鑑別された貨幣を前記第1の貨幣収納部または前記第2の貨幣収納部に収納させてもよい。
【0013】
前記所定数は、ユーザによる設定変更が可能であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明によれば、発行世代が異なる貨幣の取り扱いにおいてユーザの利便性をより向上させることが可能な、新規かつ改良された貨幣取扱装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態による貨幣取扱装置1の構成を示す説明図である。
【
図2】本発明の実施形態による紙幣処理ユニットの構成を示す説明図である。
【
図3】貨幣取扱装置の入金に係る動作処理の参考例を説明するための説明図である。
【
図4】貨幣取扱装置からの売上金の回収に係る動作処理の参考例を説明するための説明図である。
【
図5】本実施形態に係る貨幣取扱装置1の入金に係る動作処理例を説明するための説明図である。
【
図6】回収カセット113に優先的に搬送させる旧紙幣を設定する表示画面の一例を説明するための説明図である。
【
図7】本実施形態に係る貨幣取扱装置1からの売上金の回収に係る動作処理例を説明するための説明図である。
【
図8】本実施形態に係る貨幣取扱装置1からの売上金の回収に係る動作処理の変形例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0017】
<<1.貨幣取扱装置の概要>>
本発明の実施形態は、小売店やスーパーマーケットなどの流通施設および商業施設、また、銀行などの金融施設に設置される貨幣取扱装置に適用される。本実施形態による貨幣取扱装置は、例えば、レジで用いられる釣銭準備金として紙幣および硬貨を出金する出金取引、およびレジから回収された紙幣および硬貨を入金する入金取引などを実行可能である。以下、このような本発明の実施形態による貨幣取扱装置の構成および動作について順次詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態による貨幣取扱装置1の構成を示す説明図である。
図1に示したように、本実施形態による貨幣取扱装置1は、紙幣投入口101と、紙幣一時保留部103と、紙幣鑑別部105と、万券カセット107と、五千券カセット109と、千券カセット111と、回収カセット113と、リジェクトカセット115と、硬貨投入口117と、硬貨鑑別部119と、硬貨一時保留部121と、硬貨返却部123と、出金ホッパ125と、硬貨回収一時庫126と、硬貨回収庫127と、硬貨出金箱129と、カードリーダ部131と、操作表示部133と、制御部150と、記憶部160と、を備える。
【0019】
紙幣投入口101、紙幣一時保留部103、紙幣鑑別部105、万券カセット107、五千券カセット109、千券カセット111、回収カセット113およびリジェクトカセット115は、紙幣を搬送させる図示しない紙幣搬送部によって繋がれている。同様に、硬貨投入口117、硬貨鑑別部119、硬貨一時保留部121、硬貨返却部123、出金ホッパ125、硬貨回収一時庫126、硬貨回収庫127および硬貨出金箱129は、硬貨を搬送させる図示しない硬貨搬送部によって繋がれている。以下、紙幣搬送部および硬貨搬送部を単に搬送部と総称する場合もある。
【0020】
ここで、
図2を参照して、貨幣取扱装置1における紙幣処理ユニットについて説明する。紙幣処理ユニットは、貨幣取扱装置1において紙幣を処理するユニットであり、貨幣取扱装置1が備える構成のうち、紙幣投入口101、紙幣一時保留部103、紙幣鑑別部105、万券カセット107、五千券カセット109、千券カセット111、回収カセット113およびリジェクトカセット115を含む。
【0021】
図2は、本発明の実施形態による紙幣処理ユニットの構成を示す説明図である。紙幣投入口101は、投入部の一例であり、貨幣取扱装置1に入金される紙幣が投入される投入口である。また、紙幣投入口101は、紙幣の放出口でもあり、入金取引の取り消しにより返却される紙幣、出金される紙幣、および入金取引の紙幣計数時において紙幣鑑別部105により正常ではないとしてリジェクトされた紙幣が紙幣投入口101から取り出される。
【0022】
紙幣一時保留部103は、入金取引の紙幣計数時において紙幣鑑別部105により正常であると判断された紙幣を一時的に集積する貨幣保留部である。
【0023】
紙幣鑑別部105は、紙幣投入口101に投入された紙幣の発行世代を各種センサによって鑑別する。また、紙幣鑑別部105は、紙幣投入口101に投入された紙幣が正常な紙幣であるか否かを各種センサによって鑑別する。
【0024】
万券カセット107、五千券カセット109、および千券カセット111は、それぞれ万券、五千券、および千券の紙幣を金種別に収納する第1の貨幣収納部である。具体的には、万券カセット107、五千券カセット109、および千券カセット111(各紙幣カセット)には、バラ状態の各種紙幣が収納される。
【0025】
また、各紙幣カセットには、入金取引において、紙幣鑑別部105で発行世代が最新世代から所定数以上前である旧貨幣でないと鑑別された正常な紙幣が収納される。さらに、出金取引時には、釣銭準備金として用いられる金種の紙幣が各紙幣カセットから出金される。
【0026】
回収カセット113は、売上金としての貨幣を収納するための第2の貨幣収納部である。回収カセット113には、入金取引において紙幣鑑別部105で発行世代が最新世代から所定数以上前である旧貨幣と鑑別された正常な紙幣が収納される。また、締め取引時または売上回収取引時に、売上金額不足分(売上金額-回収カセット収納金額)が生じた際に、各紙幣カセットから当該売上金額不足分に応じた金額が回収カセット113へ搬送される。
【0027】
リジェクトカセット115には、紙幣鑑別部105によって正常な紙幣ではないと鑑別された紙幣、すなわちリジェクトされた紙幣が集積される。具体的には、リジェクトカセット115には、入金取引時に紙幣一時保留部103から各紙幣カセットに紙幣を搬送する過程で紙幣鑑別部105によってリジェクトされた紙幣、各紙幣カセットから出金を行う過程で紙幣鑑別部105によってリジェクトされた紙幣、締め取引時または売上回収取引時に各紙幣カセットから回収カセット113に紙幣を搬送する過程で紙幣鑑別部105によってリジェクトされた紙幣などが集積される。
【0028】
以上、本発明の実施形態による紙幣処理ユニットの構成を説明した。再び
図1を参照し、貨幣取扱装置1の構成について説明する。
【0029】
硬貨投入口117は、硬貨が投入される投入口である。
【0030】
硬貨鑑別部119は、硬貨投入口117に投入された硬貨の発行世代を鑑別する。また硬貨鑑別部119は、硬貨投入口117に投入された硬貨が正常な硬貨であるか否かを各種センサによって鑑別する。硬貨一時保留部121は、入金取引の硬貨計数時において硬貨鑑別部119により正常と判断された硬貨を一時的に集積する貨幣保留部である。
【0031】
硬貨返却部123は、硬貨の放出口であり、硬貨投入口117に投入された硬貨の計数が行われた後、入金取引の取り消しがなされた硬貨が硬貨返却部123から返却される。また、出金ホッパ125は出金用の硬貨を収納する第1の貨幣収納部である。出金取引では出金ホッパ125から各種硬貨が釣銭準備金として出金され、入金取引では投入された各金種の硬貨が出金ホッパ125に収納される。
【0032】
硬貨回収一時庫126は、売上回収取引において出金ホッパ125から硬貨回収庫127へ売上金を搬送させる際に一時的に硬貨を集積する貨幣保留部である。
【0033】
硬貨回収庫127は、売上金を収納するための第2の貨幣収納部である。硬貨回収庫127は、売上回収取引において出金ホッパ125から搬送される売上金を収納する。硬貨出金箱129は、出金取引時に硬貨を出金するための硬貨出金口である。
【0034】
カードリーダ部131は、レジカードやIDカード等に書き込まれた情報を読み取る。レジカードやIDカード等に書き込まれる情報として、例えば、カードを利用するユーザを識別するための情報、および許可されている取引の種類を示す情報が挙げられる。このカードリーダ部131から読取られる情報が事前に記憶部160に登録されている情報と一致する場合、制御部150はユーザによる貨幣取扱装置1の利用を許可する。なお、貨幣取扱装置1は、カードリーダ部131に加えて、あるいはカードリーダ部131に代えて、指紋認識を行う指紋認識部、または暗証番号の入力を受け付ける暗証番号入力部を有してもよい。
【0035】
操作表示部133は、ユーザによる操作を受け付ける操作部としての機能、および各種画面を表示する表示部としての機能を包含する。表示部としての機能は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置により実現される。また、操作部としての機能は例えばタッチパネルにより実現される。なお、表示部および操作部の機能は分離して構成されてもよい。
【0036】
制御部150は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)、CPUが使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)などで構成される。
【0037】
この制御部150は、貨幣取扱装置1の動作全般を制御する。例えば、制御部150は、各紙幣カセット、回収カセット113、出金ホッパ125および硬貨回収庫127などに収納されている貨幣の枚数や売上金の金額を記憶部160に記憶させる管理部としての機能を包含する。また、制御部150は、各取引において搬送部による現金の搬送を制御する。また、制御部150は、レジカードやIDカードによる認証が終了すると、ユーザが所望の取引を選択するための取引選択画面として機能するメニュー画面を操作表示部133に表示させ、メニュー画面においてユーザにより選択された取引の実行を制御する。
【0038】
<<2.背景>>
従来、貨幣取扱装置は、新旧2世代の紙幣を取り扱う仕様であった。このような2世代の紙幣を取り扱う運用方針は、当該貨幣取扱装置を利用する施設、市場またはユーザによって異なる場合があった。なお、以下の説明では、貨幣を紙幣とした例を主に説明するが、本発明は貨幣が硬貨である場合においても適用可能である。
【0039】
(金融施設)
例えば、銀行などの金融施設では、旧紙幣の入金を受付けるが、出金などで顧客へ紙幣を渡す場合は、旧紙幣では渡さずに新紙幣を渡す運用方針であった。そのため、金融施設で利用される貨幣取扱装置は、旧紙幣の入金は受け付けるが、旧紙幣は出金させない仕組みを設けていた。より具体的には、金融施設で利用される貨幣取扱装置は、旧紙幣が入金された際に、リジェクト庫や旧紙幣を回収するための回収庫に旧紙幣を収納していた。
【0040】
(流通施設・商業施設)
一方、スーパーマーケットなどの流通施設または商業施設では、発行世代の新旧に関わらず紙幣を取扱う運用方針であった。したがって、流通施設や商業施設で利用される貨幣取扱装置は、旧紙幣と新紙幣の区別をせずに入金処理および出金処理が行われていた。
【0041】
<2.1.課題の整理>
日本銀行券の2024年度改刷に伴い、3世代の紙幣が市場に流通することになる。この場合、発行世代が最も新しい新紙幣においては、施設、市場およびユーザに関わらず従前通りの運用方針の適用が想定される。一方、旧紙幣においては、2世代の旧紙幣が市場に流通することが想定され、各施設、各市場または各ユーザは、従前の運用方針から変更を希望する可能性がある。以下、発行世代が最も新しい紙幣を「新券」とし、新券から1世代前を「E券」、新券から2世代前の紙幣を「D券」と表現する場合がある。
【0042】
例えば、旧紙幣の取扱いにおいては、従前の運用方針以外に、D券およびE券のいずれにおいても入金については受け付け、E券は出金させるが、D券は出金させない、といった運用方針をユーザが希望する可能性がある。
【0043】
ここで、
図3および
図4を参照し、上述した運用方針を想定した貨幣取扱装置の動作処理の参考例を説明する。
【0044】
<2.2.貨幣取扱装置の動作処理の参考例>>
(入金処理)
図3は、貨幣取扱装置の入金に係る動作処理の参考例を説明するための説明図である。まず、貨幣取扱装置は、ユーザにより紙幣が投入される(S101)。
【0045】
次に、紙幣鑑別部は、紙幣の計数および正常な紙幣であるか否かの鑑別をする(S105)。
【0046】
そして、制御部は、紙幣鑑別部により正常な紙幣であると鑑別された紙幣を一時保留部に搬送する(S109)。この時、制御部は、紙幣鑑別部により正常な紙幣ではないと鑑別された紙幣を紙幣投入口に搬送し、ユーザに返却する。
【0047】
ユーザにより入金が確定されると、制御部は、一時保留部から紙幣を繰り出し、搬送部を制御して紙幣鑑別部に搬送させる(S113)。
【0048】
そして、制御部は、紙幣鑑別部により鑑別された紙幣の発行世代に基づいて、一時保留部から繰り出された紙幣がD券であるか否かを判定する(S117)。繰り出された紙幣がD券であった場合、処理はS121に進められ(S117/Yes)、D券でなかった場合、処理はS133に進められる(S117/No)。
【0049】
一時保留部から繰り出された紙幣がD券でなかった場合(S117/No)、制御部は、搬送部を制御して、当該紙幣を金種別に各紙幣カセットへ搬送する(S133)。
【0050】
一時保留部から繰り出された紙幣がD券であった場合(S117/Yes)、制御部は、当該D券の金額が、記憶部に記憶された売上金額と回収カセットに収納済みの紙幣の金額との差額である回収カセット未収納売上金額を超えているか否を判定する(S121)。一時保留部から繰り出されたD券の金額が回収カセット未収納売上金額を超えていると判定された際に、処理はS129に進められ(S121/Yes)、回収カセット未収納売上金額以下であると判定された際に、処理はS125に進められる(S121/No)。
【0051】
一時保留部から繰り出されたD券の金額が回収カセット未収納売上金額を超えていると判定された場合(S121/Yes)、制御部は、搬送部を制御して当該D券をリジェクトカセットへ搬送させ、収納させる(S129)。
【0052】
一時保留部から繰り出されたD券の金額が回収カセット未収納売上金額以下であると判定された場合(S121/No)、制御部は、搬送部を制御して当該D券を回収カセットへ搬送させ、収納させる(S125)。
【0053】
そして、制御部は、紙幣一時保留部に紙幣が残っているか否かを判定する(S137)。紙幣が残っている場合、処理はS113に進められ(S137/Yes)、紙幣が残っていない場合(S137/No)、制御部は処理を終了する。
【0054】
以上、貨幣取扱装置の入金処理に係る動作処理の参考例を説明した。続いて、
図4を参照し、貨幣取扱装置の回収処理に係る動作処理の参考例を説明する。
【0055】
(回収処理)
図4は、貨幣取扱装置からの売上金の回収に係る動作処理の参考例を説明するための説明図である。まず、貨幣取扱装置は、ユーザからの売上の回収処理に係る操作に応じて、記憶部に記憶された売上金額と回収カセットに収納済みの紙幣の金額との差額に応じた金額分の紙幣を各紙幣カセットから回収カセットに搬送する(S201)。
【0056】
制御部は、各紙幣カセットから回収カセットに紙幣を搬送させると、ユーザに対して回収カセットの抜き取りを誘導する案内画面を操作表示部に表示させる。そして、案内画面を確認したユーザにより回収カセットが抜き取られ、その後、空の回収カセットが装着される(S205)。
【0057】
続いて、制御部は、ユーザに対してリジェクトカセットに収納されている紙幣の抜き取りを誘導する案内画面を操作表示部に表示させる。この案内画面を確認したユーザによりリジェクトカセットに収納されている紙幣が抜き取られ、その後、リジェクトカセットが再度装着される(S209)。
【0058】
そして、リジェクトカセットから抜き取られた紙幣(D券)については、ユーザにより計数され、同額分のE券もしくは新券の紙幣への交換(両替)が行われる。そして、交換(両替)された紙幣がユーザにより紙幣投入口に投入されると、制御部は、投入された紙幣を各紙幣カセットに収納する補充処理を行う(S213)。補充処理が完了すると、制御部は回収処理を終了する。
【0059】
(回収処理の課題)
以上説明した貨幣取扱装置からの売上金の回収に係る動作処理の参考例では、売上金の回収に係る担当者であるユーザに手作業による負担が生じ得る。
【0060】
例えば、S209では、ユーザは、リジェクトカセットを抜取り、リジェクトカセットに収納されている紙幣を計数する必要がある。
【0061】
また、S213では、リジェクトカセットに収納されているD券を、新券やE券に手作業で両替する必要が生じる。更に、ユーザは、両替した紙幣を、再び貨幣取扱装置に補充する作業を要する。
【0062】
さらに、入金処理において旧紙幣であるD券が入金された際、当該D券の金額が回収カセット未収納売上金額を超えている時には回収カセットには収納されず、リジェクトカセットに収納するため、売上金として回収することも釣銭として使用することもできない現金が発生し、貨幣取扱装置における現金の運用効率が悪化する可能性がある。
【0063】
そこで、本発明は、上述したようなユーザの手作業による負担を低減し、ユーザの利便性をより向上させると共に現金の運用効率を向上させることが可能である。
図5~
図7を参照し、本実施形態に係る貨幣取扱装置1による上述した運用方針を想定した動作処理の具体例を説明する。
【0064】
<<3.本実施形態に係る貨幣取扱装置1の動作処理例>>
(入金処理)
本実施形態に係る制御部150は、発行世代が最新世代から所定数以上前である旧紙幣(例えば、D券)と紙幣鑑別部105により鑑別された正常な紙幣を回収カセット113に収納させ、発行世代が最新世代から所定数以上前である旧紙幣でないと鑑別された正常な紙幣(例えば、新券およびE券)を各紙幣カセットに収納させる。
【0065】
図5は、本実施形態に係る貨幣取扱装置1の入金に係る動作処理例を説明するための説明図である。S101~S117の処理は、
図3を参照して説明した処理と同じため、
図5では説明を省略する。
【0066】
紙幣一時保留部103から繰り出された紙幣がD券であった場合(S117/Yes)、制御部150は、上述した参考例のように回収カセット未収納売上金額との比較による判定は行わず、当該紙幣(D券)を回収カセット113に収納可能であれば、回収カセット113に搬送させ、収納させる(S301)。ここで、制御部150は、回収カセット113における紙幣の最大収納可能枚数から、記憶部160に記憶している回収カセット113の現在の紙幣収納枚数の差分に基づいて収納可否を判断してもよいし、それ以外の方法により収納可否を判断してもよい。
【0067】
紙幣一時保留部103から繰り出された紙幣がD券以外であった場合(S117/No)、制御部150は、当該紙幣(新券またはE券)を各紙幣カセットへ搬送し、金種別に収納する(S305)。なお、紙幣一時保留部103から繰り出された紙幣が紙幣鑑別部105によりリジェクトと判定された紙幣であった場合は、制御部150は、当該紙幣をリジェクトカセット115に収納する。
【0068】
そして、制御部150は、紙幣一時保留部103に紙幣が残っているか否かを判定する(S131)。紙幣が残っている場合、処理はS113に進められ(S131/Yes)、紙幣が残っていない場合(S131/No)、制御部150は、今回の入金処理の結果に基づいて記憶部160で記憶している売上金額を更新し、入金処理を終了する。
【0069】
以上、本実施形態に係る貨幣取扱装置1の入金に係る動作処理例を説明した。
【0070】
また、上述した例では、入金処理において回収カセット113に搬送させる紙幣を、D券のみである一例を説明したが、本実施形態は係る例に限定されない。例えば、釣銭として用いない金種の紙幣(例えば一万円券)についても回収カセット113に収納するようにしてもよく、回収カセット113に優先的に搬送させる紙幣の設定は、ユーザにより変更可能であってもよい。
【0071】
図6は、回収カセット113に優先的に搬送させる旧紙幣の情報を設定する表示画面の一例を説明するための説明図である。本実施形態に係る制御部150は、
図6に示すような優先的に回収カセット113に搬送させる旧紙幣の情報を設定するための表示画面Dを操作表示部133に表示させてもよい。なお、
図6に示す、「売上カセット」は回収カセット113であり、「D号券」はD券であり、「E号券」はE券である。このように、各種表示情報は、利用者が認識しやすい言葉に置き換えて表示されてもよい。
【0072】
例えば、ユーザが操作表示部133により「1.D号券」を選択した場合、回収カセット113に優先的に搬送される紙幣はD券のみとして設定される。
【0073】
また、ユーザが操作表示部133により「2.D号券、E号券」を選択した場合、回収カセット113に優先的に搬送される紙幣はD券およびE券として設定される。
【0074】
また、ユーザが操作表示部133により「3.なし」を選択した場合、回収カセット113に優先的に搬送される紙幣はないものとして設定される。この場合、紙幣の新旧に関わらず、入金処理で投入された正常な紙幣については各紙幣カセットに搬送される。
【0075】
これにより、本実施形態に係る貨幣取扱装置1は、施設、市場またはユーザによって異なり得る新旧紙幣の運用方針に関する要望を反映することが可能である。
【0076】
図6では、優先的に搬送させる旧紙幣を設定する表示画面の一例を説明したが、優先的に搬送させる紙幣として、紙幣の金種の設定も可能であってもよい。例えば、ユーザが操作表示部133により「1.D号券」を選択し、更に「千円札」を選択した場合、回収カセット113に優先的に搬送される貨幣はD券かつ千円札のみとして設定される。なお、金種の設定は複数金種を設定できるようにしてもよい。
【0077】
続いて、
図7を参照し、本実施形態に係る貨幣取扱装置1からの売上金の回収に係る動作処理例を説明する。
【0078】
(回収処理)
図7は、本実施形態に係る貨幣取扱装置1からの売上金の回収に係る動作処理例を説明するための説明図である。まず、ユーザから売上金の回収処理に係る操作が行われた際に、制御部150は、記憶部160から、回収カセット113の収納金額、および売上金額を読み出し、双方の金額を比較することにより、回収カセット113の収納金額が売上金額を超えているか否かを判定する。(S401)。回収カセット113の収納金額が売上金額を超えている場合、処理はS405に進められ(S401/Yes)、回収カセット113の収納金額が売上金額以下であった場合、処理はS407に進められる。
【0079】
回収カセット113の収納金額が売上金額を超えている場合(S401/Yes)、制御部150は、売上金額超過分(回収カセット収納金額-売上金額)に応じた紙幣を、回収カセット113から繰り出して紙幣投入口101に搬送させる(S405)。この際、回収カセット113から繰り出された紙幣は紙幣鑑別部105により鑑別、計数され、その結果が記憶部160に記憶される。
【0080】
回収カセット113の収納金額が売上金額以下であった場合(S401/No)、制御部150は、回収カセット113の収納金額と売上金額が一致するか否かを判定する(S407)。回収カセット113の収納金額と売上金額が一致する場合(S407/Yes)、処理はS413に進められ、回収カセット113の収納金額が売上金額未満である場合(S407/No)、処理はS409に進められる。
【0081】
回収カセット113の収納金額が売上金額未満である場合(S407/No)、制御部150は、売上金額不足分(売上金額-回収カセット収納金額)に応じた紙幣を、各紙幣カセットから繰り出して回収カセット113に搬送させる(S409)。
【0082】
そして、制御部150は、回収カセット113に売上金額不足分に応じた紙幣を搬送させると、ユーザに対して回収カセット113の抜き取りを誘導する案内画面を操作表示部133に表示させる。そして、案内画面を確認したユーザにより回収カセット113が抜き取られ、その後、空の回収カセット113が装着される(S413)。
【0083】
そして、制御部150は、S401において回収カセット113の収納金額が売上金額を超えていたか否か、すなわち、回収カセット113から紙幣投入口101に売上金額超過分の紙幣が搬送されたか否かを判別する(S417)。回収カセット113の収納金額が売上金額を超えていた場合、処理はS421に進められ(S417/Yes)、回収カセット113の収納金額が売上金額以下であった場合、本実施形態に係る貨幣取扱装置1は、回収処理を終了する(S417/No)。
【0084】
回収カセット113の収納金額が売上金額を超えていた場合(S417/Yes)、S405により売上金額超過分として紙幣投入口101に搬送された紙幣がユーザにより取り出され、再度紙幣投入口101に投入される。紙幣投入口101に投入された売上金額超過分の紙幣は紙幣鑑別部105により鑑別、計数され、正常な紙幣は回収カセット113に収納される。そして、制御部150は、S405において回収カセット113から紙幣投入口101に搬送された紙幣と、紙幣投入口101から再度投入された紙幣の金種及び枚数が一致することを確認すると、制御部150は回収カセット113への戻し入れを完了させ(S421)、本実施形態に係る貨幣取扱装置1は、回収処理を終了する。
【0085】
以上、本実施形態に係る貨幣取扱装置1の回収に係る動作処理例を説明した。なお、本実施形態に係る貨幣取扱装置1の回収に係る動作処理は係る例に限定されない。
【0086】
例えば、
図7において説明した動作処理例では、回収カセット113の収納金額が売上金額を超えていた場合、売上金額超過分の紙幣を紙幣投入口101に払い出し(S405)、ユーザが一時的に管理する。そして、回収カセット113が回収されて空の回収カセット113が装着された後に、紙幣投入口101に払い出した売上金額超過分の紙幣をユーザに再度戻し入れさせる(S421)必要がある。
【0087】
ここで、回収カセット113の収納金額が売上金額を超えていた場合における、ユーザの負担を削減し得る方法の一例として、本実施形態に係る貨幣取扱装置1からの売上金の回収に係る動作処理の変形例を説明する。
【0088】
<<4.変形例>>
図8は、本実施形態に係る貨幣取扱装置1からの売上金の回収に係る動作処理の変形例を説明するための説明図である。S401、S407およびS409の処理は、
図7を参照して説明した処理と同じため、
図8では説明を省略する。
【0089】
回収カセット113の収納金額が売上金額を超えていた場合(S401/Yes)、制御部150は、記憶部160に記憶されている売上金額超過分に相当する紙幣枚数が紙幣一時保留部103の容量を超えているか否かを判定する(S501)。売上金額超過分に相当する紙幣枚数が紙幣一時保留部103の容量を超えている場合、処理はS505に進められ(S501/Yes)、売上金額超過分に相当する紙幣枚数が紙幣一時保留部103の容量以下であった場合、処理はS509に進められる(S501/No)。
【0090】
売上金額超過分に相当する紙幣枚数が紙幣一時保留部103の容量を超えている場合(S501/Yes)、制御部150は、売上金額超過分に相当する紙幣を回収カセット113から繰り出して紙幣投入口101に搬送させる(S505)。
【0091】
紙幣枚数が紙幣一時保留部103の容量以下であった場合(S501/No)、制御部150は、売上金額超過分に相当する紙幣を回収カセット113から繰り出して紙幣一時保留部103に搬送させる(S509)。
【0092】
制御部150は、紙幣投入口101または紙幣一時保留部103に紙幣を搬送させると、ユーザに対して回収カセット113の抜き取りを誘導する案内画面を操作表示部133に表示させる。そして、案内画面を確認したユーザにより回収カセット113が抜き取られると共に、空の回収カセット113が装着される(S513)。
【0093】
続いて、制御部150は、S401において回収カセット113の収納金額が売上金額を超えていたか否か、すなわち、回収カセット113から紙幣投入口101もしくは紙幣一時保留部103に売上金額超過分の紙幣が搬送されたか否かを判別する(S517)。回収カセット113の収納金額が売上金額を超えていた場合、処理はS521に進められ(S517/Yes)、回収カセット113の収納金額が売上金額以下であった場合、本実施形態に係る貨幣取扱装置1は、処理を終了する(S517/No)。
【0094】
回収カセット113の収納金額が売上金額を超えていた場合(S517/Yes)、制御部150は、S509の処理において売上金額超過分に相当する紙幣が紙幣一時保留部103に搬送されたか否かを判定する(S521)。売上金額超過分に相当する紙幣が紙幣一時保留部103に搬送された場合、処理はS525に進められ(S521/Yes)、売上金額超過分に相当する紙幣が紙幣一時保留部103に搬送されていない(すなわち、当該紙幣は紙幣投入口101に払い出された)場合、処理はS529に進められる(S521/No)。
【0095】
売上金額超過分に相当する紙幣が紙幣一時保留部103に搬送された場合(S521/Yes)、制御部150は、S509において回収カセット113から搬送された売上金額超過分に相当する紙幣を、紙幣一時保留部103から回収カセット113に搬送して戻し入れる(S525)。戻し入れが完了すると、制御部150は回収処理を終了する。
【0096】
紙幣が紙幣一時保留部103に搬送されていない場合(S521/No)、S505により売上金額超過分として紙幣投入口101に搬送された紙幣がユーザにより取り出され、再度紙幣投入口101に投入される。紙幣投入口101に投入された売上金額超過分の紙幣は紙幣鑑別部105により鑑別、計数され、正常な紙幣は回収カセット113に収納される。そして、制御部150は、S505において回収カセット113から紙幣投入口101に搬送された紙幣と、紙幣投入口101から再度投入された紙幣の金種及び枚数が一致することを確認すると、制御部150は回収カセット113への戻し入れを完了させ(S525)、貨幣取扱装置1は回収処理を終了する。
【0097】
以上、本実施形態に係る貨幣取扱装置1の動作処理例を説明した。続いて、本実施形態の作用効果を説明する。
【0098】
<<5.本実施形態の作用効果>>
以上説明した本実施形態によれば、多様な作用効果が得られる。例えば、本実施形態に係る貨幣取扱装置1は、発行世代が最新世代から所定数以上前である旧貨幣(例えば、D券)を回収カセット113に収納させることにより、ユーザは当該旧貨幣と、その他貨幣(例えばE券、新券)の仕分け作業などが不要となり、貨幣の取り扱いに係る運用効率を向上し得る。
【0099】
また、売上金の回収処理において、回収カセット113の収納金額が売上金額を超えている場合に、売上金額超過分に相当する紙幣枚数が紙幣一時保留部103の容量以下であれば、制御部150は、売上金額超過分に相当する紙幣を回収カセット113から繰り出して紙幣一時保留部103に搬送させ、回収カセット113がユーザにより交換された後、紙幣一時保留部103から繰り出した紙幣を回収カセット113に戻し入れる。これにより、ユーザの手を介さずに売上金額超過分に相当する紙幣を回収カセット113に戻し入れることが可能になり、ユーザの負担をより低減し得る。また、ユーザの手を介すことにより生じ得る、例えば違算の発生や不正を防止し得る。
【0100】
<<6.補足>>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0101】
例えば、本実施形態に係る貨幣取扱装置1の動作の処理におけるステップは、必ずしも説明図として記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、貨幣取扱装置1の動作の処理における各ステップは、説明図として記載した順序と異なる順序で処理されてもよく、並列的に処理されてもよい。
【0102】
また、本実施形態に係る制御部150は、発行世代が最新世代から所定数以上前である旧紙幣として鑑別されていないその他紙幣(例えば、新券やE券など)を回収カセット113に収納させてもよい。
【0103】
また、例えば、いずれかの紙幣カセットがフル(満杯)状態もしくはニアフル状態となると、その紙幣カセットにはそれ以上紙幣を収納することができないため、このような場合には回収カセット113にその他紙幣を収納するような運用方針の適用も想定される。
【0104】
このような運用方針を適用した場合、回収カセット113において新旧の紙幣を混在して収納することが想定される。このような運用方針において売上の回収を行う場合の処理を説明する。
【0105】
制御部150は、回収カセット113の収納金額が売上金額を超えていた場合、売上金額超過分(収納金額-売上金額)に応じた紙幣を回収カセット113から紙幣鑑別部105へ搬送する。回収カセット113から繰り出された紙幣を紙幣鑑別部105により、発行世代が最新世代から所定数以上前である旧紙幣であるか否かを鑑別し、発行世代が最新世代から所定数以上前である旧紙幣であった場合は紙幣投入口101へ、発行世代が最新世代から所定数以上前でないその他紙幣であった場合は紙幣一時保留部103へ搬送させる。
【0106】
そして、制御部150は、ユーザにより回収カセット113が交換された後、紙幣投入口101へ搬送された旧紙幣を回収カセット113に収納させる。その後、制御部150は、紙幣一時保留部103に収納されたその他紙幣について、各紙幣カセットに収納可能であれば各紙幣カセットに収納させ、引き続き紙幣カセットがフル(満杯)状態もしくはニアフル状態により収納することが出来ない場合は回収カセット113に収納させる。
【0107】
このようにすることで、例えばその他紙幣(新券やE券など)が投入される量が多く、旧紙幣(D券)の投入が少ないことで各紙幣カセットの収納容量が残り少なくなった状況においても、回収カセット113を利用することにより、各紙幣カセットが満杯となることにより貨幣取扱装置1の運用が停止してしまう可能性を低減し得る。
【0108】
また、例えば、発行世代が最新世代から所定数以上前である旧紙幣(例えば、D券)が多く投入される可能性がある。旧紙幣が多く投入されることで回収カセット113がフル(満杯)状態もしくはニアフル状態となると、回収カセット113はそれ以上の旧紙幣を収納することができなくなる。このような場合、各紙幣カセットに旧紙幣を収納する運用方針の適用も想定される。
【0109】
このような運用方針を適用した場合、各紙幣カセットは新旧の紙幣を混在して収納することが想定される。このような運用方針において入金及び出金を行う場合の処理を説明する。
【0110】
入金処理において、制御部150は、紙幣一時保留部103から繰り出された紙幣がD券であった場合、当該紙幣(D券)を回収カセット113に収納可能であれば、回収カセット113に搬送させ、収納させる。一方、当該紙幣を回収カセット113に収納することができない(例えば回収カセット113がフル状態である)場合、制御部150は、当該紙幣の金種と対応する紙幣カセットに収納可能であるか否かを判断する。そして、制御部150は、当該紙幣の金種と対応する紙幣カセットに収納可能である場合、当該紙幣の金種と対応する紙幣カセットに当該紙幣を収納させる。これにより、当該紙幣を収納した紙幣カセットは新旧の紙幣が混在した状態となる。
【0111】
続いて、紙幣カセットに新旧の紙幣が混在して収納された状態で、各紙幣カセットから釣銭準備金としての紙幣を紙幣投入口101へ払い出す出金処理について説明する。
【0112】
出金処理において、制御部150は、ユーザから出金の指示を受け付けると、各紙幣カセットから出金用の紙幣を繰り出して紙幣投入口101へ搬送させる。その際に、紙幣鑑別部105は、各紙幣カセットから繰り出した紙幣の発行世代が最新世代から所定数以上前である旧紙幣であるか否かを鑑別する。そして、制御部150は、各紙幣カセットから繰り出した紙幣の発行世代が最新世代から所定数以上前である旧紙幣であった場合、当該紙幣を紙幣一時保留部103へ搬送させ、発行世代が最新世代から所定数以上前でないその他紙幣であった場合、当該その他紙幣を紙幣投入口101へ搬送させる。
【0113】
そして、制御部150は、各紙幣カセットから釣銭準備金としての紙幣を紙幣投入口101へ払い出し終えると、紙幣一時保留部103に搬送した旧紙幣を繰り出して、回収カセット113に収納可能であれば回収カセット113に収納させ、回収カセット113に収納することができない場合は、繰り出し元の紙幣カセットに戻し入れる。
【0114】
このようにすることで、例えば、入金処理において旧紙幣が投入されることが多く、回収カセット113がフル状態となってしまった状況においても、各紙幣カセットを利用することにより、回収カセットがフル状態となってしまうことにより貨幣取扱装置1の運用が停止してしまう可能性を低減し得る。
【0115】
また、各紙幣カセットに旧紙幣を混在して収納させた後で、ユーザにより回収カセット113の交換が行われていれば、出金処理の際に各紙幣カセットから繰り出した旧紙幣を回収カセット113に収納することができるため、新旧の紙幣が混在した紙幣カセットから旧紙幣を抜き取るなどといったユーザの手作業による負担を軽減し得る。
【0116】
また、紙幣投入口101にシャッタが設けられている場合、制御部150は、回収カセット113から売上金額超過分(収納金額-売上金額)に応じた紙幣を紙幣投入口101に搬送した時点ではシャッタを開放せずに閉鎖した状態で、回収カセット113の交換を促す案内画面を操作表示部133に表示させてもよい。この場合、ユーザによって回収カセット113が交換されたことを検知すると、制御部150は紙幣投入口101のシャッタを開放すると共に、ユーザに対して売上金額超過分の紙幣の再投入を促す案内画面を操作表示部133に表示させてもよい。
【0117】
なお、回収カセット113の交換は、例えばユニットを引き出して回収カセットが取り外され、空の回収カセット113が装着されたことをスイッチやセンサなどで検知するようにしてもよい。または、制御部150は、操作表示部133の表示画面に回収カセット113の交換を確認するボタンを表示し、ユーザが当該ボタンを押下したことを以て回収カセット113の交換がされたとして判断してもよい。また、ユーザに対して差額分の紙幣の再投入を促す案内画面は、例えば「払い出された貨幣の総額が増減しないように注意して管理して下さい」といった注意喚起を含む表示画面であってもよい。
【0118】
また、本明細書では、発行世代が異なる貨幣として3世代の貨幣(新券、E券、D券)を主に説明したが、本発明は係る例に限定されない。例えば、本発明に係る発行世代の数は、2世代であってもよいし、4世代以上であってもよい。
【0119】
また、貨幣取扱装置1に内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアに、上述した貨幣取扱装置1の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、当該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。
【符号の説明】
【0120】
1 貨幣取扱装置
101 紙幣投入口
103 紙幣一時保留部
105 紙幣鑑別部
107 万券カセット
109 五千券カセット
111 千券カセット
113 回収カセット
115 リジェクトカセット
117 硬貨投入口
119 硬貨鑑別部
121 硬貨一時保留部
123 硬貨返却部
125 出金ホッパ
126 硬貨回収一時庫
127 硬貨回収庫
129 硬貨出金箱
131 カードリーダ部
133 操作表示部
150 制御部
160 記憶部