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  • 特開-車両サイドドア構造 図1
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  • 特開-車両サイドドア構造 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187247
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】車両サイドドア構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/04 20060101AFI20221212BHJP
   E05D 15/10 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
B60J5/04 B
B60J5/04 Z
E05D15/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095174
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】小柳出 康雄
【テーマコード(参考)】
2E034
【Fターム(参考)】
2E034FA01
2E034GA08
2E034GB15
(57)【要約】
【課題】サイドドアと車体とを連結するリンク部材の剛性を向上させる。
【解決手段】車両サイドドア構造のリンク部材20は、上側アーム部21及び下側アーム部23が設けられ、リンク部材20の一方端には、上側アーム部21及び下側アーム部23を繋ぐように上下方向に延びるドア側連結部27が設けられ、リンク部材20の他方端には、上側アーム部21及び下側アーム部23を繋ぐように上下方向に延びるボディ側連結部25が設けられ、ボディ側連結部25は、他方端から一方端に向かって膨らむように湾曲している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リンク部材により車体側部に連結され、前記車体側部に設けられたドア開口部を開閉するサイドドアを有し、前記リンク部材の車両前後方向における一方端が前記サイドドアを回動可能に連結され、他方端が車体側部に回動可能に連結されている、車両サイドドア構造において、
前記リンク部材の上部には、車両前後方向に延びる上側アーム部が設けられ、前記リンク部材の下部には、車両前後方向に延びる下側アーム部が設けられており、
前記リンク部材の前記一方端には、前記上側アーム部及び前記下側アーム部を繋ぐように車両上下方向に延びるドア側連結部が設けられ、
前記リンク部材の前記他方端には、前記上側アーム部及び前記下側アーム部を繋ぐように車両上下方向に延びるボディ側連結部が設けられ、
前記ボディ側連結部は、前記他方端から前記一方端に向かって膨らむように湾曲していることを特徴とする、車両サイドドア構造。
【請求項2】
前記上側アーム部には、車両下方に膨らむ上側湾曲部が設けられ、前記下側アーム部には、車両上方に膨らむ下側湾曲部が設けられていることをする、請求項1に記載の車両サイドドア構造。
【請求項3】
前記上側湾曲部の下端及び前記下側湾曲部の上端は、前記ボディ側連結部よりも前記一方端に近い側に配置されていることを特徴とする、請求項2に記載の車両サイドドア構造。
【請求項4】
前記ボディ側連結部と前記上側アーム部とにより形成されるボディ側上角部、及び、前記ボディ側連結部と前記下側アーム部とにより形成されるボディ側下角部のそれぞれには、車幅方向に面する板状のボディ側補助部が設けられていることを特徴とする請求項1なし請求項3のいずれか一項に記載の車両サイドドア構造。
【請求項5】
前記ドア側連結部と前記上側アーム部とにより形成されるドア側上角部、及び、前記ドア側連結部と前記下側アーム部とにより形成されるドア側下角部のそれぞれには、車幅方向に面する板状のドア側補助部が設けられ、該ドア側補助部における前記ボディ側連結部を臨む周縁には、円弧が形成されていることを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の車両サイドドア構造。
【請求項6】
前記上側アーム部及び前記下側アーム部は、U字形の横断面形状を有していることを特徴とする、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の車両サイドドア構造。
【請求項7】
前記ボディ側連結部及び前記ドア側連結部は、U字形の横断面形状を有していることを特徴とする、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の車両サイドドア構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両サイドドア構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体側部に設けられたドア開口部を開閉可能に、車体側部に取り付けられたサイドドアには、例えば、特許文献1に開示されているように、サイドドアが車幅方向外側に平行に迫り出し、前後方向に移動することによって開閉する構造が知られている。このようなサイドドア構造は、車体から離間して空中を滑らかに平行移動することから、グライドスライディングドアまたはスライドドアと呼ばれる。
【0003】
特許文献1に開示されているスイングスライドドアを支持するユニットは、車体側部の後乗降口近傍に固定されたベース部材を備え、ベース部材に、平行リンクとドア摺動機構とドア荷重支持アームと開閉駆動機構とが設けられている。平行リンクは、前アーム及び後アームを有し、一方の端部がベース部材に連結され、他方の端部がドアに連結されており、ドアの移動軌跡に沿って揺動するドアの各位置を位置決めする機能を備えている。また、ドア荷重支持アームは、一方の端部が、車体側のベース部材に連結され、他方の端部がドアに連結され、ドアの荷重を支持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-137142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記例のような構造では、ドア荷重支持アームと、平行リンクを構成する前アーム及び後アームとが、回動方向に平行に配置される状態のとき、ドア荷重を支持している軸支部(ベース部材)に応力が集中してしまうため、剛性を向上させる必要がある。しかし、軸支部の剛性を向上させると、車体重量が増加することにある。
【0006】
さらに、例えば形状を複雑にすることにより、剛性を向上させようとする場合、塗装精度が低下する可能性があり、品質の確保が困難になる可能性がある。そのため、上記例のような構造では、サイドドアの支持剛性を向上させようとする上で、改善の余地があった。
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、サイドドアと車体とを連結するリンク部材の剛性を向上させることが可能な車両サイドドア構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る車両サイドドア構造は、リンク部材により車体側部に連結され、前記車体側部に設けられたドア開口部を開閉するサイドドアを有し、前記リンク部材の車両前後方向における一方端が前記サイドドアを回動可能に連結され、他方端が車体側部に回動可能に連結されている。当該車両サイドドア構造において、前記リンク部材の上部には、車両前後方向に延びる上側アーム部が設けられ、前記リンク部材の下部には、車両前後方向に延びる下側アーム部が設けられており、前記リンク部材の前記一方端には、前記上側アーム部及び前記下側アーム部を繋ぐように車両上下方向に延びるドア側連結部が設けられ、前記リンク部材の前記他方端には、前記上側アーム部及び前記下側アーム部を繋ぐように車両上下方向に延びるボディ側連結部が設けられ、前記ボディ側連結部は、前記他方端から前記一方端に向かって膨らむように湾曲している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、サイドドアと車体とを連結するリンク部材の剛性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る車両サイドドア構造の一実施形態を車両内側から見た斜視図である。
図2図1のリンク部材等を拡大し、車両内側から見た正面図である。
図3図2のA-A矢視断面図である。
図4図2のB-B矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る車両の車両サイドドア構造の一実施形態について、図面(図1図4)を参照しながら説明する。なお、図において、矢印Fr方向は車両前後方向における前方を示す。実施形態の説明における「前部(前端)及び後部(後端)」は、車両前後方向における前部及び後部に対応する。また、矢印Inは、車両内側(車幅方向内側)を示し、矢印Outは、車両外側(車幅方向外側)を示している。
【0012】
本実施形態のサイドドア10は、車体側部のドア開口部1を開閉するサイドドア10であって、サイドドア10が車幅方向外側に平行に迫り出し、前後方向に移動することによって開閉する、スイングスライドタイプのサイドドア10である。本実施形態のサイドドア10が取り付けられる車体側部は、センタピラー2、クォータピラー3、クォータパネル4及びホイルハウスパネル5等を有している。
【0013】
センタピラー2は、ドア開口部1の前部に配置され、車両上下方向に延びている。クォータピラー3は、ドア開口部1の後部に配置され、車両上下方向に延びている。クォータパネル4は、クォータピラー3の車両後方側に配置されるパネル材である。ホイルハウスパネル5は、クォータパネル4及びクォータピラー3の下部に設けられ、車両内側に向かうに従い車両下方に湾曲し、フロア部に接続されている。ホイルハウスパネル5の前部は、ドア開口部1の後部における下部に配置されている。
【0014】
また、クォータピラー3の下端は、ホイルハウスパネル5の下部よりも車両内側に配置されている。すなわち、クォータピラー3の車両上下方向の中間部はホイルハウスパネル5の上部に車幅方向視で重なる位置に配置され、当該中間部よりも車両下方側のクォータピラー3は、ホイルハウスパネル5の湾曲形状に対応するように車両下方に向かうに従い、車両内側に湾曲し、フロア部に接続されている。また、クォータピラー3よりも車両前方側に位置するホイルハウスパネル5の車両室内側面には、補強部材18が、設けられている。すなわち、この例では、ドア開口部1の後部は、クォータピラー3、補強部材18及びホイルハウスパネル5によって構成されている。
【0015】
補強部材18の上面は、ホイルハウスパネル5の上部且つ車幅方向内側部を、車両上方側から覆うように車両上方に凸となる湾曲形状を有している。また、補強部材18の下部に設けられたフランジ18dは、ホイルハウスパネル5にスポット溶接等により接合されている。さらに、補強部材18の後部に設けられたフランジ18a,18bは、車幅方向視でホイルハウスパネル5に重なって配置されているクォータピラー3の内壁面及び前壁面のそれぞれに、スポット溶接等により接合されている。
【0016】
本実施形態のサイドドア10は、ドアアウタパネルと、該ドアアウタパネルの車両内側に接合されるドアインナパネル11と、を備えている。ドアインナパネル11には、開口が設けられ、該開口の上部には、ベルトライン部11aが設けられている。また、ドアインナパネル11には、開口の上部と下部とを繋ぐように車両上下方向に延びる縦部材15が設けられている。当該縦部材15の上部は、開口の上部を構成するベルトライン部11aに接合され、縦部材15の下部は、インナパネルの下部に接合されている。縦部材15の車両上下方向の中間部には、後述するドア側取付部材30が接合されている。
【0017】
本実施形態の車両サイドドア構造は、図1に示すように、サイドドア10と車体とを連結するリンク部材20と、車体側取付部材40と、ドア側取付部材30と、を有している。以下、各部材について説明する。
【0018】
先ず、車体側取付部材40について説明する。車体側取付部材40の本体の後壁は、車両後方を臨み車両上下方向に延びている。また、後壁は、クォータピラー3の前壁面に接合されるため、当該前壁面の形状に対応するように湾曲している。本体の前部における上部及び下部は、車両前方に突出しており、この突出している部分には、リンク部材20を支持する上側アーム支持部41a及び下側アーム支持部41bが設けられている。また、本体の中央には、開口が設けられており、開口内には、車両前後方向に延びるリブ46が複数設けられている。この例では、3個のリブ46が、車両上下方向に互いに間隔を空けて配置されている。
【0019】
後壁の上部には、図1に示すように、クォータピラー3に接合される上側接合部42が設けられている。この例では、上側接合部42は、クォータピラー3の前壁面にボルト等により接合されてもよいし、スポット溶接等により接合されてもよい。上側接合部42の車幅方向内側端には、車両後方に突出する上側フランジ43が設けられている。当該上側フランジ43は、クォータピラー3に接合される部分であり、図2に示すように、車両上下方向に延びており、上下に並ぶ2つのボルト孔43bが形成されている。ボルト孔43bの周辺は、補強のためのビード43bが設けられている。この例では、上側フランジ43は、クォータピラー3の内側面にボルトにより締結されている。
【0020】
なお、上側接合部42よりも下方に位置する後壁に、クォータピラー3の後壁面に接合される中間接合部を設けてもよい。中間接合部についても、クォータピラー3の前壁面にボルト等により接合されてもよいし、スポット溶接等により接合されてもよい。
【0021】
また、後壁の下部は、車両下方に向かうに従い車両前方に傾斜している。この傾斜する後壁は、補強部材18の上面に当接可能に形成されている。傾斜面の下端よりも車両前方側には、車両後方を臨み車両後方に延びる下側接合部44が設けられ、該下側接合部44の車幅方向内側端には、車両下方に突出する下側フランジ45が設けられている。下側接合部44及び下側フランジ45は、補強部材18の上面に接合されている。この例では、補強部材18の上面に設けられた座部(図示せず)に、下側接合部44及び下側フランジ45がボルト等により締結されている。なお、下側接合部44及び下側フランジ45は、補強部材18にスポット溶接等により接合されてもよい。
【0022】
上側アーム支持部41aは、車体側取付部の本体の前側の上部における突出している部分から、車両前方にさらに突出し、車両上下方向に延びている。上側アーム支持部41aの内部には、車両上下方向に延びる回動軸(図示せず)が回動可能に挿入されている。当該回動軸は、上側アーム支持部41aの上端から車両上方に突出しおり、この突出した部分には、後述するリンク部材20の上側連結部21cが回動可能に連結され、上側アーム支持部41aは、上側連結部21cを支持している。
【0023】
また、下側アーム支持部41bは、下側フランジ45の前端よりも車両上方側の部分から車両前方に突出し車両上下方向に延びている。下側アーム支持部41bは、上側アーム支持部41aと同様に、回動軸が挿入され、下側アーム支持部41bの上端から回動軸が突出している。この突出した部分には、後述するリンク部材20の下側連結部23cが回動可能に連結され、下側アーム支持部41bは、下側連結部23cを支持している。また、この例では、上側アーム支持部41aと下側アーム支持部41bの根本の部分を補強するために、上下に延びる補強板47が設けられている。
【0024】
続いて、ドア側取付部材30について説明する。ドア側取付部材30は、車両上下方向に延びる板状で、サイドドア10の縦部材15に接合されている。この例では、ドア側取付部材30の上部及び下部には、ボルト孔が設けられ、サイドドア10の縦部材15の車両上下方向中間部にボルトにより締結されている。
【0025】
ドア側取付部材30には、上側取付部31a及び下側取付部31bが設けられている。上側取付部31a及び下側取付部31bは、車両上下方向に互いに間隔を空けて配置されている。上側取付部31a及び下側取付部31bは、回動軸が挿入されており、回動軸を介在してリンク部材20に連結されている。リンク部材20との連結は後で説明する。また、ドア側取付部材30には、上端から下端に向かって、ビード30aが設けられている。ビード30aは、上側取付部31a及び下側取付部31bに対応する位置に設けられており、当該ビード30aを設けることにより、荷重が集中する部分を補強している。
【0026】
続いて、リンク部材20について説明する。リンク部材20の一方端は、サイドドア10を回動可能に連結され、他方端は車体側部に回動可能に連結されている。本実施形態では、リンク部材20の一方端は、ドア側取付部材30を介して、サイドドア10を回動可能に支持し、他方端は、車体側部に回動可能に支持されている。本実施形態のリンク部材20は、上側アーム部21と、下側アーム部23と、ドア側連結部27と、ボディ側連結部25とを有し、これらによって、全体で四角形の枠型を構成している。さらに、リンク部材20は、ドア側上補助部28cと、ドア側下補助部28dと、ボディ側上補助部28aと、ボディ側下補助部28bと、を有している。以下、各部について説明する。この例のリンク部材20は、鋳型を用いた鋳造により形成されている部材であり、上記各部は、一体的に形成されている。
【0027】
上側アーム部21は、リンク部材20の上部に設けられ、車両前後方向に延び、上側アーム部21の前部には、上側ドア支持部21dが設けられている。上側ドア支持部21dは、車両上下方向に延びる部分で、車両上下方向に延びる回動軸(図示せず)が挿入されている。該回動軸は、上側ドア支持部21dの上端から車両上方に突出しており、この突出した部分は、ドア側取付部材30の上側取付部31aに挿入されている。これにより、上側ドア支持部21dは、ドア側取付部材30の上側取付部31aを、回動軸回りを回動可能な状態で、支持している。
【0028】
また、上側アーム部21の後部には、上側連結部21cが設けられている。上側連結部21cは、車両上下方向に延びる部分で、車両上下方向に延びる回動軸が挿入可能である。上側連結部21cは、車体側取付部材40の上側アーム支持部41aの上端から突出する回動軸が挿入されている。上側連結部21cは、回動軸を介して回動可能な状態で、上側アーム支持部41aに支持されている。
【0029】
下側アーム部23は、リンク部材20の下部に設けられ、車両前後方向に延びており、上側アーム部21と同様に、下側アーム部23の前部には、下側ドア支持部23dが設けられている。下側ドア支持部23dは、上側ドア支持部21dと同様に、車両上下方向に延びる部分で、車両上下方向に延びる回動軸(図示せず)が挿入されている。該回動軸は、下側ドア支持部23dの上端から車両上方に突出しており、この突出した部分は、ドア側取付部材30の下側取付部31bに挿入されている。これにより、下側ドア支持部23dは、ドア側取付部材30の下側取付部31bを、回動軸回りを回動可能な状態で、支持している。
【0030】
また、下側アーム部23の後部には、上側アーム部21と同様に、車両上下方向に延びる下側連結部23cが設けられている。下側連結部23cには、車体側取付部材40の下側アーム支持部41bの上端から突出する回動軸が挿入されている。下側連結部23cは、回動軸を介して回動可能な状態で、下側アーム支持部41bに支持されている。
【0031】
ドア側連結部27は、リンク部材20の前部(車両前後方向における一方端)に設けられ、上側アーム部21及び下側アーム部23を繋ぐように車両上下方向に延びている。この例では、ドア側連結部27は、上側ドア支持部21d及び下側ドア支持部23dよりも、やや車両後方側に配置されている。
【0032】
ボディ側連結部25は、リンク部材20の後部(車両前後方向における他方端)に設けられ、上側アーム部21及び下側アーム部23を繋ぐように車両上下方向に延びている。ボディ側連結部25は、後端(他方端)から車両前方に向かって凸状に膨らむように湾曲している。この例では、車両前方に膨らむ円弧形状をなしている。この例では、ボディ側連結部25は、上側連結部21c及び下側連結部23cを繋ぐように車両前方に湾曲する弓形状に形成されている。
【0033】
上記のように構成することで、上側アーム部21及び下側アーム部23の上側ドア支持部21d及び下側ドア支持部23dには、サイドドア10による荷重が車両下方に入力される。このとき、上側ドア支持部21dに、圧縮応力が集中して発生し、下側アーム部23の下側連結部23cには、引っ張り応力が発生する。その際に、ドア側連結部27は、上側アーム部21及び下側アーム部23を連結しているため、荷重を伝達し、応力が上側アーム部21の上側ドア支持部21dに収集することを抑制することができる。
【0034】
さらに、下側アーム部23の下側連結部23cには、ドア側(この例では車両前方側)に湾曲したボディ側連結部25により、下側アーム部23の下側連結部23c及びこれを支持する下側アーム支持部41b(いわゆる付根付近)に、応力が集中することを抑制することが可能となる。詳細には、下側アーム部23には、下側ドア支持部23dに車両下側に向けた荷重が入力され、下側アーム部23のボディ側(この例では下側アーム部23の後部)がドア側からボディ側に向けた斜め下側方向へ向けた荷重が入力される。ここで湾曲したボディ側連結部25はドア側連結部27に向かって凸となるように湾曲するため、下側アーム部23に入力された荷重は湾曲方向で支持されやすくなり、湾曲形状に沿って上側アーム部21に効果的に分散される。
【0035】
また、本実施形態では、上側アーム部21には、車両下方に膨らむ上側湾曲部21aが設けられ、下側アーム部23には、車両上方に膨らむ下側湾曲部23aが設けられている。上側湾曲部21aは、主として、上側アーム部21の後部に設けられ、後端(他方端)に近づくに従い車両上方に膨らむように曲がる。上側アーム部21の前部は、車両前後方向に水平に延びている。
【0036】
この例では、上側湾曲部21aは、上側アーム部21の車両前後方向の所定位置から、上側連結部21cに向かうに従い車両上方に湾曲している。また、上側湾曲部21aにおけるドア側連結部27に近い側の端部は、ボディ側連結部25よりも上側アーム部21の前端(一方端)に近い側に配置されている。すなわち、上側湾曲部21aが上方に湾曲し始める所定位置(上側湾曲部21aの下端)は、ボディ側連結部25の前端よりも車両前方側に配置されている。なお、ボディ側連結部25の前端は、ボディ側連結部25の車両上下方向のほぼ中央に配置されている。
【0037】
下側湾曲部23aは、下側アーム部23の車両前後方向の所定位置を頂部とし、頂部から下側連結部23cに(車両後方に)向かうに従い車両下方に傾斜し、且つ、頂部から下側支持部に(車両前方に)向かうに従い車両下方に湾曲している。この例では、頂部(下側湾曲部23aの上端)は、ボディ側連結部25の前端より車両前方側に配置されている。また、下側アーム部23の前端は、後端よりも車両下方に配置されている。
【0038】
上側アーム部21及び下側アーム部23にそれぞれ上側湾曲部21a及び下側湾曲部23aを設けて、湾曲したボディ側連結部25に沿った形状が形成されることにより、上側アーム部21の上側連結部21c及び下側アーム部23の下側連結部23cの剛性が向上する。つまり、上側アーム部21は、上側湾曲部21aに沿って荷重が入力され、この荷重が上側湾曲部21aに沿ってボディ側連結部25にも分散される。また、下側アーム部23にも下側湾曲部23aに沿って荷重が入力され、該荷重がボディ側連結部25に分散される。これにより、上側アーム部21及び下側アーム部23のみに荷重が集中することを防ぐことが可能となる。
【0039】
リンク部材20(上側アーム部21及び下側アーム部23)は、ボディ側となる後部に比べ、ドア側となる前部が車両下方側に配置される。これにより、サイドドア10を上側アーム部21で車体側に引っ張る方向に支持することも可能となる。
【0040】
続いて、ボディ側上補助部28a及びボディ側下補助部28bについて説明する。ボディ側上補助部28aは、ボディ側連結部25と上側アーム部21とにより形成されるボディ側上角部29aに設けられている。ボディ側上補助部28aは、車幅方向に面する板状である。また、ボディ側上補助部28aは、上側湾曲部21aと、ボディ側連結部25の上部に位置する湾曲形状との間を繋ぐ板状であり、ボディ上側補助部の前端は、円弧が形成されている。すなわち、ボディ側上補助部28aの前端は、枠型の開口20aの円弧状の縁を形成している。
【0041】
ボディ側下補助部28bは、ボディ側連結部25と下側アーム部23とにより形成されるボディ側下角部29bに設けられている。ボディ側下補助部28bは、ボディ側上補助部28aと同様に、車幅方向に面し、下側湾曲部23aとボディ側連結部25の下部に位置する湾曲形状との間を繋ぐ板状であり、ボディ側下補助部28bの前端は、枠型の開口20aの円弧状の縁を形成している。
【0042】
これにより、ボディ側上角部29a及びボディ側下角部29bの剛性が向上し、上側アーム部21及び下側アーム部23に荷重が入力されても、上側アーム部21及び下側アーム部23の形状が変形することを抑制することが可能となり、荷重の分散を促進することができる。
【0043】
続いて、ドア側上補助部28c及びドア側下補助部28dについて説明する。ドア側上補助部28cは、ドア側連結部27と上側アーム部21とにより形成されるドア側上角部29cに設けられている。ドア側上補助部28cは、車幅方向に面する板状である。また、ドア側上補助部28cにおけるボディ側連結部25を臨む周縁には、円弧が形成されている。すなわち、ドア側上補助部28cの後端は、枠型の開口20aの円弧状の縁を形成している。
【0044】
ドア側下補助部28dは、ドア側連結部27と、下側アーム部23の後部の下側湾曲部23aにより形成されるドア側下角部29dに設けられている。ドア側下補助部28dは、車幅方向に面する板状である。また、ドア側下補助部28dにおけるボディ側連結部25を臨む周縁には、円弧が形成されている。すなわち、ドア側下補助部28dの後端は、枠型の開口20aの円弧状の縁を形成している。本実施形態のリンク部材20の枠型の開口20aは、上記補助部29a~29dが形成されることにより、角部がR面取りされている略長方形状をなしている。
【0045】
これにより、ドア側上角部29c及びドア側下角部29dの剛性が向上し、上側アーム部21及び下側アーム部23に荷重が入力されても、上側アーム部21及び下側アーム部23の形状が変形することを抑制することが可能となり、荷重の分散を促進することができる。さらに、本実施形態では、ボディ側上補助部28a及びボディ側下補助部28bの縁部、並びに、ドア側上補助部28c及びドア側下補助部28dの縁部に円弧を形成しているため、上側アーム部21及び下側アーム部23に入力された荷重の分散効果を、高めることができる。
【0046】
また、本実施形態では、図3に示すように、上側アーム部21及び下側アーム部23は、U字形の横断面形状を有している。この例では、車両内側に開口するU字形状をなしている。これにより、車両上下方向の荷重に対する剛性を向上させることが可能となり、さらに、アーム部の表面積を減少させる効果があるため、塗装性の向上を図ることができる。
【0047】
また、本実施形態では、図4に示すように、ボディ側連結部25及びドア側連結部27は、U字形の横断面形状を有している。この例では、車両内側に開口するU字形状をなしている。これにより、アーム部と同様に、剛性を向上させ、合わせて表面積を減少させる効果があるため、塗装性の向上を図ることができる。
【0048】
本実施形態の説明は、本発明を説明するための例示であって、特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。また、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【0049】
本実施形態では、枠型のリンク部材20の角部を補強するために、枠型の開口20aの四隅の内側に補助部28a~28bが設けられている。例えば、図2に示すように、ボディ側連結部25の後部の上部に外側補助部28e等を設けてもよい。なお、外側補助部28eがボディ側連結部25に渡って板状に連結されると、所望の荷重伝達経路を有さない恐れがあるため、図2に示した外側補助部28e程度が好ましい。
【符号の説明】
【0050】
1 ドア開口部
2 センタピラー
3 クォータピラー
4 クォータパネル
5 ホイルハウスパネル
10 サイドドア
11 ドアインナパネル
11a ベルトライン部
15 縦部材
18 補強部材
20 リンク部材
20a 枠型の開口
21 上側アーム部
21a 上側湾曲部
21c 上側連結部
21d 上側ドア支持部
23 下側アーム部
23a 下側湾曲部
23c 下側連結部
23d 下側ドア支持部
25 ボディ側連結部
27 ドア側連結部
28a ボディ側上補助部
28b ボディ側下補助部
28c ドア側上補助部
28d ドア側下補助部
28e 外側補助部
29a ボディ側上角部
29b ボディ側下角部
29c ドア側上角部
29d ドア側下角部
30 ドア側取付部材
30a ビード
31a 上側取付部
31b 下側取付部
40 車体側取付部材
41a 上側アーム支持部
41b 下側アーム支持部
42 上側接合部
43 上側フランジ
43a ボルト孔
43b ビード
44 下側接合部
45 下側フランジ
46 リブ
47 補強板
図1
図2
図3
図4