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特開2022-187257充電制御装置、充電制御プログラム及び充電制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187257
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】充電制御装置、充電制御プログラム及び充電制御システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20221212BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20221212BHJP
【FI】
H02J7/00 B
H02J7/00 P
B60L3/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095189
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 大樹
(72)【発明者】
【氏名】影浦 義之
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 真典
(72)【発明者】
【氏名】坂柳 佳宏
(72)【発明者】
【氏名】森田 泰毅
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA08
5G503DA04
5G503FA06
5G503GD03
5G503GD06
5H125AA01
5H125AC08
5H125AC24
5H125AC25
5H125BC21
5H125BE02
5H125CA18
5H125EE61
(57)【要約】
【課題】自然環境によって電力消費量が増大しても、電欠を抑制することができる充電制御装置、充電制御プログラム及び充電制御システムを提供すること。
【解決手段】本開示に係る充電制御制置は、車両の走行が前記蓄電装置から供給される電力に制限された仮想的境界によって設定されるジオフェンシングゾーンのうち、災害情報に基づいて設定される充電対象ジオフェンシングゾーンに応じて、車両に対し、蓄電装置への充電において設定される制限値を緩和するプロセッサ、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置を備える車両の充電を制御する充電制御装置であって、
前記車両の走行が前記蓄電装置から供給される電力に制限された仮想的境界によって設定されるジオフェンシングゾーンのうち、災害情報に基づいて設定される充電制御ジオフェンシングゾーンに応じて、前記車両に対し、前記蓄電装置への充電において設定される制限値を緩和するプロセッサ、
を備える充電制御装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記蓄電装置への充電量又は充電速度の少なくとも一方を制御する、
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記充電制御ジオフェンシングゾーン内に位置する車両に対し、当該車両の充電量を、災害が未発生時に設定される充電量よりも増大させる、
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記充電制御ジオフェンシングゾーン内に位置する車両において満充電となるまでの予測充電量が、災害が未発生時に設定される通常発電によって充足されない場合、充電とは異なる機能の抑制又は停止によって充電に係るリミット緩和する、
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記充電制御ジオフェンシングゾーン内において停電が発生するリスクが高い場合、当該充電制御ジオフェンシングゾーン内に位置する車両に対し、前記蓄電装置への充電量及び充電速度を増大させる、
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
停電後に復電した場合に、前記蓄電装置への充電速度を低下させる、
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項7】
蓄電装置を備える車両の充電を制御する充電制御装置のプロセッサに、
前記車両の走行が前記蓄電装置から供給される電力に制限された仮想的境界によって設定されるジオフェンシングゾーンのうち、災害情報に基づいて設定される充電制御ジオフェンシングゾーンに応じて、前記車両に対し、前記蓄電装置への充電において設定される制限値を緩和する、
ことを実行させる充電制御プログラム。
【請求項8】
前記蓄電装置への充電量又は充電速度の少なくとも一方を制御する、
ことを実行させる請求項7に記載の充電制御プログラム。
【請求項9】
前記充電制御ジオフェンシングゾーン内に位置する車両に対し、当該車両の充電量を、災害が未発生時に設定される充電量よりも増大させる、
ことを実行させる請求項7に記載の充電制御プログラム。
【請求項10】
前記充電制御ジオフェンシングゾーン内に位置する車両において満充電となるまでの予測充電量が、災害が未発生時に設定される通常発電によって充足されない場合、充電とは異なる機能の抑制又は停止によって充電に係るリミット緩和する、
ことを実行させる請求項7に記載の充電制御プログラム。
【請求項11】
前記充電制御ジオフェンシングゾーン内において停電が発生するリスクが高い場合、当該充電制御ジオフェンシングゾーン内に位置する車両に対し、前記蓄電装置への充電量及び充電速度を増大させる、
ことを実行させる請求項7に記載の充電制御プログラム。
【請求項12】
停電後に復電した場合に、前記蓄電装置への充電速度を低下させる、
ことを実行させる請求項7に記載の充電制御プログラム。
【請求項13】
蓄電装置を備える車両と、
前記蓄電装置へ電力を供給する給電装置と、
前記車両の走行が前記蓄電装置から供給される電力に制限された仮想的境界によって設定されるジオフェンシングゾーンのうち、災害情報に基づいて設定される充電制御ジオフェンシングゾーンに応じて、前記車両に対し、前記蓄電装置への充電において設定される制限値を緩和するプロセッサを備える制御装置と、
を備える充電制御システム。
【請求項14】
前記プロセッサは、
前記蓄電装置への充電量又は充電速度の少なくとも一方を制御する、
請求項13に記載の充電制御システム。
【請求項15】
前記プロセッサは、
前記充電制御ジオフェンシングゾーン内に位置する車両に対し、当該車両の充電量を、災害が未発生時に設定される充電量よりも増大させる、
請求項13に記載の充電制御システム。
【請求項16】
前記プロセッサは、
前記充電制御ジオフェンシングゾーン内に位置する車両において満充電となるまでの予測充電量が、災害が未発生時に設定される通常発電によって充足されない場合、充電とは異なる機能の抑制又は停止によって充電に係るリミット緩和する、
請求項13に記載の充電制御システム。
【請求項17】
前記プロセッサは、
前記充電制御ジオフェンシングゾーン内において停電が発生するリスクが高い場合、当該充電制御ジオフェンシングゾーン内に位置する車両に対し、前記蓄電装置への充電量及び充電速度を増大させる、
請求項13に記載の充電制御システム。
【請求項18】
前記プロセッサは、
停電後に復電した場合に、前記蓄電装置への充電速度を低下させる、
請求項13に記載の充電制御システム。
【請求項19】
前記給電装置は、前記車両が走行する走行レーンに設けられる、
請求項13に記載の充電制御システム。
【請求項20】
前記給電装置は、据置型であり、接触又は非接触によって前記車両へ電力を供給する、
請求項13に記載の充電制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、充電制御装置、充電制御プログラム及び充電制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、排ガス影響を抑制するため、大気汚染防止強化地域において、車両の内燃機関を停止させ、バッテリによって走行させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-75210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、台風接近時、猛暑、大雪、大雨等の自然環境の変化によって、走行抵抗が増大したり、ワイパーや冷暖房の稼働が増大したりして、車両の電力消費量が増大する。その結果、電欠の可能性が高くなる。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、自然環境によって電力消費量が増大しても、電欠を抑制することができる充電制御装置、充電制御プログラム及び充電制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る充電制御装置は、前記車両の走行が前記蓄電装置から供給される電力に制限された仮想的境界によって設定されるジオフェンシングゾーンのうち、災害情報に基づいて設定される充電制御ジオフェンシングゾーンに応じて、前記車両に対し、前記蓄電装置への充電において設定される制限値を緩和するプロセッサ、を備える。
【0007】
また、本開示に係る充電制御プログラムは、蓄電装置を備える車両の充電を制御する充電制御装置のプロセッサに、前記車両の走行が前記蓄電装置から供給される電力に制限された仮想的境界によって設定されるジオフェンシングゾーンのうち、災害情報に基づいて設定される充電制御ジオフェンシングゾーンに応じて、前記車両に対し、前記蓄電装置への充電において設定される制限値を緩和する、ことを実行させる。
【0008】
また、本開示に係る充電制御システムは、蓄電装置を備える車両と、前記蓄電装置へ電力を供給する給電装置と、前記車両の走行が前記蓄電装置から供給される電力に制限された仮想的境界によって設定されるジオフェンシングゾーンのうち、災害情報に基づいて設定される充電制御ジオフェンシングゾーンに応じて、前記車両に対し、前記蓄電装置への充電において設定される制限値を緩和するプロセッサを備える制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、災害が予測される際に、自然環境によって電力消費量が増大しても、電欠を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態1に係る情報処理システムを模式的に示す図である。
図2図2は、実施の形態1に係る災害情報サーバの構成を説明するためのブロック図である。
図3図3は、実施の形態1に係る車両の構成を説明するためのブロック図である。
図4図4は、実施の形態1に係る充電制御の処理の一例を説明するための図(その1)である。
図5図5は、実施の形態1に係る充電制御の処理の一例を説明するための図(その2)である。
図6図6は、実施の形態1に係る充電制御の処理の一例を示すシーケンス図である。
図7図7は、実施の形態2に係る情報処理システムを模式的に示す図である。
図8図8は、実施の形態2に係る充電制御の処理の一例を示すシーケンス図である。
図9図9は、実施の形態2の変形例に係る充電制御の処理の一例を示すシーケンス図である。
図10図10は、実施の形態3に係る情報処理システムを模式的に示す図である。
図11図11は、実施の形態3に係る情報処理システムの構成を説明するためのブロック図である。
図12図12は、実施の形態4に係る充電制御の処理の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一又は対応する部分には同一の符号を付す。また、本開示は以下に説明する実施形態によって限定されるものではない。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る情報処理システムを模式的に示す図である。図2は、実施の形態1に係る災害情報サーバの構成を説明するためのブロック図である。図3は、実施の形態1に係る車両の構成を説明するためのブロック図である。実施の形態1に係る情報処理システム1は、災害情報サーバ2と、車両3と、給電装置4とを含んで構成されている。災害情報サーバ2は、災害情報センタなどに設置されたサーバである。災害情報センタは、災害が発生した際に災害に関する情報を発信する。車両3は、例えばプラグインハイブリッド車両やレンジエクステンダー車両など、モータの動力のみでも走行が可能(EV走行が可能)な車両である。また、この車両3は、外部電源からの電力を充電可能かつ外部に電力を供給可能な車両である。
【0013】
災害情報サーバ2と車両3とはネットワークNWを介して情報通信が可能である。ネットワークNWは、例えばインターネット回線網等から構成される。災害情報サーバ2は、複数の車両3との間で情報を送受信できる。
【0014】
災害情報サーバ2は、災害情報受信部21と、被災地情報作成部22と、被災地情報送信部23と、を備える。
【0015】
災害情報受信部21は、災害が発生したことを示す災害情報を受信する。災害は、自然現象や人為的な原因によって所定エリアで被害が生じた事態をいう。災害情報として、台風情報、地震情報、大雨情報、洪水情報、津波情報、噴火情報、火災情報、山火事情報、停電情報などが挙げられる。台風発生時を例にすると、災害情報受信部21は、台風の規模や、台風の進路に関する災害情報を受信する。さらに、災害情報受信部21は、災害発生の第一報に関する情報を受信した後、災害の規模(例えば更新された台風の大きさや進路)など新たに判明した情報を続報として引き続き受信する。
【0016】
被災地情報作成部22は、災害情報に基づいて被災地情報を作成する。被災地情報は、今後災害に警戒が必要なエリアや、災害が発生したエリアを示すエリア情報と、予測を含む災害の規模を示す情報とを含む。台風発生時を例にすると、被災地情報作成部22は、現在の暴風域、及び今後の進路やその進路における台風の規模を含む範囲を被災地に設定した被災地情報を作成する。この被災地に設定される範囲は、都道府県単位や市町村単位や地域単位など、所定エリアの設定が可能である。また、被災地情報作成部22は、受信した続報に基づいて、被災地情報を逐次、最新の情報に更新する。
【0017】
被災地情報送信部23は、作成された被災地情報を発信する。被災地情報送信部23はネットワークNWを介して、該当する地域の車両3に被災地情報を送信する。また、被災地情報送信部23は、被災地情報が最新の情報に更新されるたびに最新の被災地情報を発信する。
【0018】
車両3は、走行用のモータ11と、エンジン12と、バッテリ13と、充電器14と、車両側コネクタ15と、給電処理部16と、インバータ17とを備えた電動車両である。
【0019】
モータ11は走行用の動力源である。また、エンジン12はモータ11を回転させることができる。つまり、モータ11はエンジン12の動力により発電を行うことが可能である。エンジン12によりモータ11で発電を行う場合には、モータ11で発電した電力をバッテリ13に充電することができる。このモータ11はインバータ17を介してバッテリ13と電気的に接続されている。
【0020】
この車両3は、バッテリ13に外部からの電力を充電する充電器14と車両側コネクタ15とを備えたプラグインハイブリッド車両である。
【0021】
バッテリ13は、モータ11に供給するための電力を蓄えるとともに、外部電源から供給された電力を蓄える蓄電装置である。このバッテリ13は充電器14を介して車両側コネクタ15又は給電処理部16と通電可能に接続される。充電器14は外部からの電力をバッテリ13に充電する。例えば充電器14には各種のリレー部が含まれる。充電器14のリレー部を開放することにより、バッテリ13と車両側コネクタ15との間を電気的に切断することができる。外部の電力をバッテリ13に充電する際に、充電器14のリレー部が閉じて、バッテリ13と車両側コネクタ15とが電気的に接続される。車両側コネクタ15は、充電スタンドの充電コネクタなど、外部側コネクタと接続可能である。
【0022】
また、給電処理部16は、コイルと、整流回路とを備える。ここで、給電装置4は、例えば、車両3へ給電させるための磁束を発生する。給電装置4は、車両3が走行するレーンにおいて、所定の間隔で複数個設けられる。給電装置4が発生した磁束によって給電処理部16が備えるコイルに誘導電流(交流電流)が流れ、整流回路において交流電流が直流電流に変換され、この直流電流がバッテリ13に供給される。このように、車両3と給電装置4との間において非接触充電が実施される。
【0023】
また、車両3は、GPS(Global Positioning System)受信部31と、通信部32と、制御部33と、HMI(Human Machine Interface)34と、パワートレーン35と、記憶部36とを備える。
【0024】
GPS受信部31は、GPS衛星からの電波(信号)を受信する。
【0025】
通信部32は、災害情報サーバ2との間で情報を送受信する。この通信部32は災害情報サーバ2から送信された制御指示を受信する。また、通信部32は、車両3の現在位置を示す位置情報を災害情報サーバ2に送信する。
【0026】
制御部33は、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアを有するプロセッサ、およびRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶部を備えている。制御部33は、位置情報取得部33aと、充電制御部33bと、エンジン制御部33cと、HMI制御部33dとを有する。
【0027】
位置情報取得部33aは、GPS受信部31により受信した信号に基づいて、現在の位置情報を取得する。
【0028】
充電制御部33bは、災害情報を受信した場合に、バッテリ13への充電を制御する。充電制御部33bは、通信部32により災害情報を受信した場合、例えば充電に寄与するパラメータを変更する。
【0029】
エンジン制御部33cは、エンジン12を制御する。例えばエンジン12の駆動禁止指示を受信した場合、エンジン制御部33cはエンジン12の駆動を禁止する禁止制御を実行する。また、エンジン12の駆動許可指示を受信した場合には、エンジン制御部33cはエンジン12の駆動を許可する許可制御を実行する。
【0030】
HMI制御部33dは、HMI34を制御する。
HMI34は、例えばカーナビ装置により構成されている。このHMI34は、運転者に情報を報知する報知部として機能するとともに、運転者からの操作を受け付ける操作部としても機能する車載装置である。HMI34からは、HMI制御部33dの制御のもと、エンジン12の駆動が許可または禁止された制御状態であることや、エンジン12の駆動が禁止された制御状態であることなどの情報が報知される。
【0031】
パワートレーン制御部33eは、パワートレーン35を制御する。
パワートレーン35は、モータ11やエンジン12から出力された動力を駆動輪に伝達する動力伝達装置である。このパワートレーン35には自動変速機などが含まれる。そのため、パワートレーン制御部33eは自動変速機の変速段を制御する変速制御を実行する。
【0032】
記憶部36は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体を用いて構成され、各種プログラム及び各種データが書き込み及び読み出し可能に格納されている。この記録媒体としては、ハードディスクや半導体メモリ、光ディスク、フラッシュメモリ、磁気ディスク等の記憶媒体、及びこれらの記憶媒体のドライブ装置を有して構成される。記憶部36には、制御部33が車両3の各部の作動を統括的に制御するために必要なオペレーティングシステム(OS)や各種アプリケーションのプログラムが格納されている。
【0033】
また、制御部33は、インバータ17を制御することによりモータ11を制御する。
インバータ17は制御部33によりスイッチング制御される。さらに、充電器14のリレー部は制御部33により開閉制御される。つまり、制御部33は、外部からの電力をバッテリ13に充電する充電制御を実行するとともに、バッテリ13に蓄えられた電力を外部に供給する放電制御を実行する。また、制御部33は車両3に関する各種の制御を実行する。
【0034】
ここで、ジオフェンシングと呼ばれる仮想的な柵(仮想的境界)が所定の区域(ジオフェンシングゾーン)に設定される。ジオフェンシングゾーンは、例えば都市部の市街地など、特定の区域を対象にして設定される。ジオフェンシングゾーン内では、当該ジオフェンシングゾーンに位置する車両3を対象にして特定の車両制御を実行させる。この車両制御には、モータのみで走行(EV走行)を行うようにエンジン駆動を禁止する駆動制御が含まれる。
【0035】
図4及び図5は、実施の形態1に係る充電制御の処理の一例を説明するための図である。例えば台風が発生した場合、災害情報サーバ2は、台風の進路上に位置し、当該台風による災害が懸念されるエリアを示す災害情報を取得する。災害情報サーバ2は、例えば、図4に示すように、台風が到達し得る範囲を示す予報円D1~D3を含む災害情報を取得する。
【0036】
災害情報サーバ2は、災害情報に基づくエリアが、設定されているジオフェンシングゾーンと重複するか否かを判断する。例えば、ジオフェンシングゾーンが複数設定されている場合に、災害情報に基づくエリアが、該複数のジオフェンシングゾーンのうちのいずれかと重複するか否かを判断する。ジオフェンシングゾーン内において災害が発生又は予測される場合、災害時に車両3の消費電力が増大する可能性が高い。このため、災害情報サーバ2は、災害情報に基づくエリアとジオフェンシングゾーンとが重複する場合、当該ジオフェンシングゾーン内に位置する車両3を対象に、充電量を増大した充電を行うよう指示を送信する。災害情報サーバ2は、例えば、図5に示すように、台風の予報円がジオフェンシングゾーンRGと重複する場合、ジオフェンシングゾーンRG内に位置する車両3に充電指示を送信する。
【0037】
ここで、図6を参照して、各車両3の制御部33で実行される制御について説明する。なお、図6に示す制御は、制御部33により繰り返し実行される。図6は、実施の形態1に係る充電制御の処理の一例を示すシーケンス図である。
【0038】
制御部33は、災害情報サーバ2から充電指示を受信すると、自身の車両3が、災害情報サーバ2によって充電制御が指示されているジオフェンシングゾーン(以下、「充電制御ジオフェンシングゾーン」ということもある)内に位置しているか否かを判断する(ステップS101)。制御部33は、位置情報取得部33aが取得した位置情報と、設定されているジオフェンシングゾーンとを比較して、車両3がジオフェンシングゾーン内に位置しているか否かを判断するとともに、そのジオフェンシングゾーンが充電制御対象であるか否かを判断する。制御部33は、車両3が充電制御ジオフェンシングゾーン外に位置している場合(ステップS101:No)、ステップS106に移行する。これに対し、制御部33は、車両3が充電制御ジオフェンシングゾーン内に位置している場合(ステップS101:Yes)、ステップS102に移行する。
【0039】
ステップS102において、制御部33は、目標充電量を、災害時用に設定された充電量(災害時充電量)に設定する。本実施の形態1において、充電量は、この災害時充電量又は通常時充電量が設定される。災害時充電量は、通常時充電量と比して、充電量が大きい。制御部33は、例えば、電圧範囲の上限値を大きくする。
【0040】
そして、制御部33は、現残量及び満充電容量をもとに、予測充電量を算出する(ステップS103)。
【0041】
制御部33は、予測充電量が、通常発電によって目標充電量まで充足できるか否かを判断する(ステップS104)。制御部33は、通常発電の発電特性に基づいて、通常発電によって目標充電量を充足できると判断した場合(ステップS104:Yes)、ステップS107に移行する。これに対し、制御部33は、通常発電では目標充電量を充足できないと判断した場合(ステップS104:No)、ステップS105に移行する。
【0042】
制御部33は、充電に寄与する設定のうち、充電の信頼性とは無関係の設定を緩和又は解除するリミット緩和制御を行う(ステップS105)。リミット制御では、例えば、ノイズや振動を抑制するために流す電流値を低減させたり、その機能自体の動作を停止させたりして、消費電力を抑え、充電特性(例えば容量に対する電流の割合)を向上させる。リミット制御において緩和される設定は、消費電力を抑えることができ、かつ機能の抑制及び停止によって充電特性を低減させない機能の設定であれば適用できる。例えば、ノイズや振動を抑制する機能のほか、走行に関わらない機能の停止や使用制限(100V給電の停止、エアコンの設定可能室温を通常よりも狭くする等)、通常の走行モードに対して使用電力が増大する機能(ドライバビリティ機能)の利用制限等の、充電量増加に向けてボトルネックとなる機能や、充電量増加を妨げる機能の停止や制限を行ってもよい。
【0043】
また、ステップS106において、制御部33は、目標充電量を、通常時用に設定された充電量(通常時充電量)に設定する。
【0044】
ステップS107において、制御部33は、通常の発電特性による通常発電制御を実施する。通常発電では、災害時発電と比して、電流が小さく、満容量に達するまでに時間を要する。
【0045】
以上説明した実施の形態1では、台風等の災害が予測される状況に応じて設定された充電制御ジオフェンシングゾーンにおいて、車両3が備えるバッテリ13の充電量を増大させ、さらに、必要な充電量に応じて充電特性を向上させる制御を行う。本実施の形態1によれば、災害が懸念されるジオフェンシングゾーンにおいて、事前にバッテリの残容量を満充電又は満充電に近い状態となるように制御されるため、自然環境によって電力消費量が増大しても、電欠を抑制することができる。
【0046】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。図7は、実施の形態2に係る情報処理システムを模式的に示す図である。実施の形態2に係る情報処理システム1Aは、実施の形態1に係る情報処理システム1の構成に対し、給電装置4に代えて給電装置5を備える。以下、実施の形態1とは異なる部分(給電装置5の構成及び処理内容)について説明する。
【0047】
給電装置5は、有線給電部51及び無線給電部52を有する。有線給電部51は、車両30に接続するコネクタを有する。有線給電部51は、車両側コネクタ15に接続した状態で、当該車両3に給電信号を送信する。無線給電部52は、給電装置4と同様に、車両3へ給電させるための磁束を発生する。
給電装置5は、据置型の装置であって、当該給電装置5の近傍に位置する車両3への給電が可能である。
【0048】
実施の形態2においても、実施の形態1と同様の充電制御を行うことができる。実施の形態2では、充電制御ジオフェンシングゾーン内の車両3において、充電特性が変更され、ジオフェンシングゾーン内の給電装置5は、接続する車両3に対して給電処理を実施する。
【0049】
ここで、図8を参照して、各車両3の制御部33で実行される制御について説明する。なお、図8に示す制御は、制御部33により繰り返し実行される。図8は、実施の形態2に係る充電制御の処理の一例を示すシーケンス図である。
【0050】
制御部33は、災害情報サーバ2から充電指示を受信すると、自身の車両3が充電制御ジオフェンシングゾーン内に位置しているか否かを判断する(ステップS201)。制御部33は、ステップS101と同様にして、車両3が充電制御ジオフェンシングゾーン内に位置しているか否かを判断する。制御部33は、車両3が充電制御ジオフェンシングゾーン外に位置している場合(ステップS201:No)、ステップS205に移行する。これに対し、制御部33は、車両3が充電制御ジオフェンシングゾーン内に位置している場合(ステップS201:Yes)、ステップS202に移行する。
【0051】
ステップS202において、制御部33は、災害リスクとして、停電のリスクが高いか否かを判断する。制御部33は、災害情報を参照して、停電のリスクが高いと判断した場合(ステップS202:Yes)、ステップS203に移行する。これに対し、制御部33は、災害情報を参照して、停電のリスクが低いと判断した場合(ステップS202:No)、ステップS204に移行する。災害リスクは、停電のほか、雷、大雨、大雪、台風、地震等の予見できるものが扱える。また、災害リスクとして、発令されている注意報や警報を活用して予測してもよい。
【0052】
ステップS203において、制御部33は、充電量及び充電速度を増大させる。制御部33は、充電容量(上限に対する割合)を増大させるとともに、ブレーカが落ちない範囲で充電速度(電圧)を上げる。
【0053】
ステップS204において、制御部33は、充電量のみを増大させる。
【0054】
ステップS205において、制御部33は、通常の発電特性による通常発電制御を実施する。
【0055】
以上説明した実施の形態2では、給電装置5は、据置型の場合であっても、実施の形態1と同様に、台風等の災害が予測される状況に応じて設定された充電制御ジオフェンシングゾーンにおいて、車両3が備えるバッテリ13の充電量を増大させ、さらに、必要な充電量に応じて充電特性を向上させる制御を行う。本実施の形態2によれば、災害が懸念されるジオフェンシングゾーンにおいて、事前にバッテリの残容量を満充電又は満充電に近い状態となるように制御されるため、自然環境によって電力消費量が増大しても、電欠を抑制することができる。
【0056】
また、実施の形態2では、災害のリスクに応じて充電特性を変化させる。例えば、図8で説明したように、災害リスクのうち、充電の可否に大きく関わる停電のリスクが高い場合、充電速度を上げて、充電に要する時間を短縮させる。これにより、災害に応じて電欠を確実に抑制することができる。
【0057】
なお、実施の形態2では、給電装置5が有線給電部51及び無線給電部52を有する例について説明したが、少なくとも一方を備える構成であれば適用可能である。
【0058】
(実施の形態2の変形例)
次に、実施の形態2の変形例について説明する。変形例に係る情報処理システムは、実施の形態2に係る情報処理システム1Aと同様であるため説明を省略する。
【0059】
図9は、実施の形態2の変形例に係る充電制御の処理の一例を示すシーケンス図である。図9は、停電の発生の有無によって充電制御を変更する流れを示す。なお、停電が発生していない状況においては、図8に示す処理が実行される。
【0060】
制御部33は、災害情報サーバ2から充電指示を受信すると、自身の車両3が充電制御ジオフェンシングゾーン内に位置しているか否かを判断する(ステップS301)。制御部33は、ステップS101と同様にして、車両3が充電制御ジオフェンシングゾーン内に位置しているか否かを判断する。制御部33は、車両3が充電制御ジオフェンシングゾーン外に位置している場合(ステップS301:No)、ステップS304に移行する。これに対し、制御部33は、車両3が充電制御ジオフェンシングゾーン内に位置している場合(ステップS301:Yes)、ステップS302に移行する。
【0061】
ステップS302において、制御部33は、停電による復電後か否かを判断する。制御部33は、例えば、災害情報サーバ2や、電力会社のサーバから停電に関する情報を取得し、復電時刻と現在時刻とを比較する。制御部33は、復電後からの経過時間が、予め設定された経過時間(閾値)未満である場合、復電後であると判断し(ステップS302:Yes)、ステップS303に移行する。これに対し、制御部33は、復電後からの経過時間が、予め設定された経過時間以上である場合、復電から十分に時間が経過し、復電後として扱わないと判断し(ステップS302:No)、ステップS304に移行する。
【0062】
ステップS303において、制御部33は、充電速度を抑制させる。制御部33は、例えば電圧を低下させて充電速度を低下させる。
【0063】
ステップS304において、制御部33は、通常の発電特性による通常発電制御を実施する。
【0064】
以上説明した変形例では、給電装置5は、据置型の場合であっても、実施の形態1と同様に、台風等の災害が予測される状況に応じて設定された充電制御ジオフェンシングゾーンにおいて、車両3が備えるバッテリ13の充電量を増大させ、さらに、必要な充電量に応じて充電特性を向上させる制御を行う。本実施の形態2によれば、災害が懸念されるジオフェンシングゾーンにおいて、事前にバッテリの残容量を満充電又は満充電に近い状態となるように制御されるため、自然環境によって電力消費量が増大しても、電欠を抑制することができる。
【0065】
また、変形例では、復電からの経過時間に応じて充電速度を低下させる制御を行うため、復電直後、複数の車両3において一斉に充電が開始された際に、供給される電力が不安定になったり、再度停電が発生したりすることが抑制される。
【0066】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。図10は、実施の形態3に係る情報処理システムを模式的に示す図である。図11は、実施の形態3に係る情報処理システムの構成を説明するためのブロック図である。実施の形態3に係る情報処理システム1Bは、実施の形態1に係る情報処理システム1の構成に対し、車両3に代えて車両3Aを備え、車両管理サーバ6をさらに備える。以下、実施の形態1とは異なる部分(車両3A及び車両管理サーバ6の構成及び処理内容)について説明する。
【0067】
情報処理システム1Bは、災害情報サーバ2と、車両3Aと、給電装置4と、車両管理サーバ6とを含んで構成されている。車両3Aは、車両3の構成に対し、充電制御部33bを有しない制御部33Aを備えた構成となる。
【0068】
車両管理サーバ6は、車両管理センタに設置されたサーバである。車両管理センタは、複数の車両3Aについて、車両3Aの位置情報をリアルタイムで監視する。
【0069】
災害情報サーバ2と車両管理サーバ6とはネットワークNWを介して情報通信が可能である。ネットワークNWは、例えばインターネット回線網等から構成される。また、車両3と車両管理サーバ6とはネットワークNWを介した無線通信が可能である。
【0070】
車両管理サーバ6は、位置情報受信部61と、被災地情報受信部62と、記憶部63と、制御部64と、指示送信部65と、を備える。
【0071】
位置情報受信部61は、車両3Aから送信された現在の位置情報を受信する。車両管理サーバ6は、複数の車両3Aから送信された車両3の位置情報を位置情報受信部61により受信可能である。
【0072】
被災地情報受信部62は、災害情報サーバ2から送信された被災地情報を受信する。この被災地情報受信部62はネットワークNWを介して被災地情報送信部23と通信可能である。
【0073】
記憶部63は、車両3Aを管理するための各種情報を格納する。例えば、記憶部63には、ジオフェンシングゾーンが設定された区域に関する情報が格納されている。このジオフェンシング情報は予め格納された情報である。また、記憶部63は、位置情報データベース63aを有する。
【0074】
位置情報データベース63aは、車両3Aの位置情報を格納する。位置情報受信部61により受信された位置情報に基づいて、複数の車両3Aに関する位置情報がリアルタイムで位置情報データベース63aに格納される。つまり、位置情報データベース63aに格納された位置情報は、随時、最新の位置情報に更新される。
【0075】
制御部64は、CPU等のハードウェアを有するプロセッサを備えている。また、制御部64は、充電制御部64aを有する。
【0076】
制御部64は、ジオフェンシングゾーン内に位置する車両3Aを特定する。例えば、制御部64は、記憶部36に格納されたジオフェンシング情報と、位置情報データベース63aに格納された位置情報とに基づいて、ジオフェンシングゾーン内に位置する車両3Aを特定する。制御部64は、特定した車両3Aを対象として特定の車両制御(制御プログラム)を実行させる。
【0077】
指示送信部65は、車両3Aに向けて、特定の車両制御を実行させるための制御指示を送信する。例えば対象車両に向けた制御指示として、ジオフェンシングゾーン内においてエンジン12の駆動を禁止する指示(エンジン駆動禁止指示)や、ジオフェンシングゾーン外においてエンジン12の駆動を許可する指示(エンジン駆動許可指示)、バッテリの充電設定の制御等が挙げられる。
【0078】
実施の形態3では、車両管理サーバ6が災害情報サーバ2から災害情報を取得し、充電制御部64aが、ジオフェンシングゾーン内に位置する車両3Aに対し、充電制御を行う。具体的には、充電制御部64aが、図6に示すステップS102~S105、S107の処理を実行し、各車両3Aに対して充電指示を出力する。
【0079】
以上説明した実施の形態3では、実施の形態1と同様に、台風等の災害が予測される状況に応じて設定された充電制御ジオフェンシングゾーンにおいて、車両3Aが備えるバッテリ13の充電量を増大させ、さらに、必要な充電量に応じて充電特性を向上させる制御を行う。本実施の形態3によれば、災害が懸念されるジオフェンシングゾーンにおいて、事前にバッテリの残容量を満充電又は満充電に近い状態となるように制御されるため、自然環境によって電力消費量が増大しても、電欠を抑制することができる。
【0080】
また、実施の形態3では、ジオフェンシングゾーン内に位置する車両3Aに対し、充電制御部64aが充電制御の指示を一括して行うため、各車両3Aが充電制御のための処理を実行する必要がない。このため、車両3Aの処理負担を軽減し、車両3のバッテリ13の低下を抑制することができる。
【0081】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について説明する。実施の形態4に係る情報処理システムは、実施の形態1に係る情報処理システム1と同様であるため説明を省略する。なお、実施の形態4では、ジオフェンシングゾーンではエンジン駆動が禁止されるものとして説明する。
【0082】
図12を参照して、車両の制御部33で実行される制御について説明する。なお、図12に示す制御は、制御部33により繰り返し実行される。図12は、実施の形態4に係る充電制御の処理の一例を示すシーケンス図である。
【0083】
制御部33は、災害情報サーバ2から充電指示を受信すると、自身の車両3が充電制御ジオフェンシングゾーン内に位置しているか否かを判断する(ステップS401)。制御部33は、図4のステップS101と同様にして、車両3が充電制御ジオフェンシングゾーン内に位置しているか否かを判断する。制御部33は、車両3が充電制御ジオフェンシングゾーン外に位置している場合(ステップS401:No)、ステップS406に移行する。これに対し、制御部33は、車両3が充電制御ジオフェンシングゾーン内に位置している場合(ステップS401:Yes)、ステップS402に移行する。
【0084】
ステップS402~S406は、図4のステップS102~S106と同様である。なお、ステップS404では、制御部33は、通常発電によって目標充電量を充足できると判断した場合(ステップS404:Yes)、ステップS409に移行する。
【0085】
ステップS407において、制御部33は、車両3が、ジオフェンシングゾーン付近に位置しているか否かを判断する。制御部33は、位置情報取得部33aが取得した位置情報と、設定されている充電制御ジオフェンシングゾーンとの間の距離が、予め設定している距離未満であれば、車両3が充電制御ジオフェンシングゾーン付近に位置していると判断し(ステップS407:Yes)、ステップS408に移行する。これに対し、制御部33は、位置情報取得部33aが取得した位置情報と、設定されている充電制御ジオフェンシングゾーンとの間の距離が、予め設定している距離以上であれば、車両3が充電制御ジオフェンシングゾーン付近に位置していないと判断し(ステップS407:No)、ステップS409に移行する。
【0086】
ステップS408において、制御部33は、エンジン12の駆動量を増大して、エンジンの回転数を大きくし、その駆動に応じて生成される発電量電力を大きくすることによって、バッテリへの充電量を増大させる。
【0087】
ステップS409において、制御部33は、通常の発電特性による通常発電制御を実施する。
【0088】
以上説明した実施の形態4では、実施の形態1と同様に、台風等の災害が予測される状況に応じて設定された充電制御ジオフェンシングゾーンにおいて、車両3が備えるバッテリ13の充電量を増大させ、さらに、必要な充電量に応じて充電特性を向上させる制御を行う。本実施の形態1によれば、災害が懸念されるジオフェンシングゾーンにおいて、事前にバッテリの残容量を満充電又は満充電に近い状態となるように制御されるため、自然環境によって電力消費量が増大しても、電欠を抑制することができる。
【0089】
また、実施の形態4では、ジオフェンシングゾーン外であっても、ジオフェンシングゾーンの近くに位置している場合に、エンジン駆動を増大させてその発電量を大きくしてジオフェンシングゾーンに入る前までにバッテリ13の残容量を増やすことができる。
【0090】
なお、以上説明した実施の形態において、例えば、災害情報サーバ2は、インターネット上の投稿サイト等に投稿された情報や、自治体など公的機関が発信した情報に基づいて、所定エリアで災害が発生したことを示す情報を検出することができる。例えば、インターネット上の投稿サイト等に投稿された情報を用いる場合、災害情報サーバ2はネットワークNWを介して情報を検出する。具体的には、インターネット上のSNS(Social Networking Service)に投稿された単語や、ある日に多くツイート(登録商標)された単語に基づいて、災害が発生したことを示す情報を検知する構成としてもよい。さらに、災害情報サーバ2は、インターネット上で検出した情報を用いて、ジオフェンシングゾーンの少なくとも一部が災害の発生したエリアに含まれるか否かを判定する。そして、ジオフェンシングゾーンの少なくとも一部が災害の発生したエリアに含まれる場合には、災害情報サーバ2は、災害の発生したエリアに含まれるジオフェンシングゾーン内に位置する車両3を特定する。
【0091】
また、HMI34は、カーナビ装置に限定されず、運転者の視覚や聴覚や知覚によって情報を伝えることが可能な報知部として機能する装置であればよい。例えば、HMI34は、音声による報知が可能なオーディオなどの音声機器や、車両3の運転席に振動を発生される装置などであってもよい。
【0092】
また、例えば実施の形態1では、充電制御ジオフェンシングゾーンにおいて、充電量を増大させた後、リミット緩和制御又は通常発電制御を行う例について説明したが、充電量の増大、及びリミット緩和制御のうちの一方のみを実施するようにしてもよい。例えば、図6のステップS102からS105を実行する流れにおいて、ステップS102及びステップS105のいずれか一方のみを行うようにしてもよい。
【0093】
(記録媒体)
一実施形態において、情報処理システムによる処理方法を実行可能なプログラムを、コンピュータその他の機械又は装置(以下、コンピュータなど、という)が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、当該コンピュータ等が給電制御システムの各装置の制御部として機能する。ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データ又はプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、又は化学的作用によって蓄積し、コンピュータなどから読み取ることができる非一時的な記録媒体をいう。このような記録媒体のうちのコンピュータなどから取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R/W、DVD(Digital Versatile Disk)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、DAT(Digital Audio Tape)、磁気テープ、フラッシュメモリ等のメモリカード等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスク、ROM等がある。さらに、SSDは、コンピュータなどから取り外し可能な記録媒体としても、コンピュータ等に固定された記録媒体としても利用可能である。
【0094】
(その他の実施形態)
また、一実施形態による制御システムにおいては、「部」は、「回路」等に読み替えることができる。例えば、通信部は、通信回路に読み替えることができる。
【0095】
また、一実施形態による制御システムの各装置に実行させるプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。
【0096】
さらなる効果、変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。本開示のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付のクレーム及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0097】
1 情報処理システム
2 災害情報サーバ
3、3A 車両
4、5 給電装置
6 車両管理サーバ
11 モータ
12 エンジン
13 バッテリ
14 充電器
15 車両側コネクタ
16 給電処理部
17 インバータ
21 災害情報受信部
22 被災地情報作成部
23 被災地情報送信部
31 GPS受信部
32 通信部
33、64 制御部
33a 位置情報取得部
33b、64a 充電制御部
33c エンジン制御部
33d HMI制御部
33e パワートレーン制御部
34 HMI
35 パワートレーン
36、63 記憶部
61 位置情報受信部
62 被災地情報受信部
NW ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12