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特開2022-187258情報処理装置、情報処理システムおよびXR酔いに関する情報処理方法
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  • 特開-情報処理装置、情報処理システムおよびXR酔いに関する情報処理方法 図1
  • 特開-情報処理装置、情報処理システムおよびXR酔いに関する情報処理方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187258
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システムおよびXR酔いに関する情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20221212BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
G06F3/01 510
G01C21/26 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095191
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大築 ともえ
(72)【発明者】
【氏名】塩津 真一
(72)【発明者】
【氏名】勝野 雅之
(72)【発明者】
【氏名】原田 晴夫
【テーマコード(参考)】
2F129
5E555
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129CC15
2F129CC19
2F129EE52
2F129EE67
2F129FF11
2F129FF17
2F129FF18
2F129FF20
2F129FF32
2F129FF58
2F129FF71
2F129FF75
2F129GG17
2F129HH15
5E555AA48
5E555AA71
5E555BA08
5E555BA23
5E555BB08
5E555BB23
5E555BC04
5E555BE06
5E555BE17
5E555CA41
5E555CA42
5E555CA44
5E555CB67
5E555CB69
5E555CC01
5E555DA08
5E555DA09
5E555DB05
5E555DC09
5E555DC14
5E555DD08
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】ユーザにXRコンテンツの酔いやすさに応じた行動を取らせること。
【解決手段】実施形態に係る情報処理装置は、収集部と、解析部と、提供部とを備える。収集部は、車両内でのXRコンテンツの再生時の状況に関する状況データを収集する。解析部は、状況データに基づいてXR酔いに関する状況を解析する。提供部は、外部端末装置に対し、解析部の解析結果に基づくXR酔いに関する情報を提供する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内でのXRコンテンツの再生時の状況に関する状況データを収集する収集部と、
前記状況データに基づいてXR酔いに関する状況を解析する解析部と、
外部端末装置に対し、前記解析部の解析結果に基づく前記XR酔いに関する情報を提供する提供部と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記提供部は、
前記XRコンテンツごとの酔いやすさ、前記車両の車種ごとの酔いやすさ、および、前記車両の経路ごとの酔いやすさのうちの少なくともいずれかを含む前記XR酔いに関する情報を提供する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記提供部は、
ランキング形式で前記XR酔いに関する情報を提供する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記提供部は、
ユーザの酔いやすさのレベルと、前記XR酔いに関する情報に含まれる少なくとも1つの項目が示す酔いやすさのレベルとの比較に基づき、前記項目についてユーザを評価する評価情報を提供する
ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記XR酔いに関する情報は、前記XRコンテンツの再生時における前記XR酔いの度合いを示すレベル値を含み、
前記提供部は、
前記XRコンテンツの再生装置に対し、前記レベル値に応じた前記XRコンテンツの再生制御を実行させる
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記提供部は、
前記レベル値の推移に応じてユーザの体調を診断する診断情報を提供する
ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記提供部は、
ユーザにより指定された所望の要素に応じて、前記車両を含む推奨設備に関する情報を提供する
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項8】
車両に搭載される車載装置と、端末装置と、サーバ装置とを備え、
前記車載装置は、
車両内でのXRコンテンツの再生時の状況に関する状況データを取得する取得部を有し、
前記サーバ装置は、
前記車載装置から前記状況データを収集する収集部と、
前記状況データに基づいてXR酔いに関する状況を解析する解析部と、
前記端末装置に対し、前記解析部の解析結果に基づく前記XR酔いに関する情報を提供する提供部と、を有し
前記端末装置は、
前記サーバ装置から提供された前記XR酔いに関する情報を受信し、出力する出力部を有する
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項9】
車両内でのXRコンテンツの再生時の状況に関する状況データを収集する収集工程と、
前記状況データにおけるユーザの酔い状況と、前記XRコンテンツの再生環境状況の関係を解析する解析工程と
を含むことを特徴とするXR酔いに関する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、情報処理装置、情報処理システムおよびXR酔いに関する情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、HMD(Head Mounted Display)等を用いてユーザに対し、VR(Virtual Reality)やAR(Augmented Reality)、MR(Mixed Reality)といった仮想空間体験を含むデジタルコンテンツ、いわゆるXR(Cross Reality)コンテンツを提供する技術が知られている。XRは、VR、AR、MRのほか、SR(Substitutional Reality)、AV(Audio/Visual)等を含むすべての仮想空間技術をまとめた表現である。
【0003】
また、かかる技術において、たとえば車両等の移動体に搭載され、かかる移動体をモーション・プラットフォームとして利用可能なXRシステムも提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-102401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術は、ユーザにXRコンテンツの酔いやすさに応じた行動を取らせるうえで、さらなる改善の余地がある。
【0006】
たとえば、XRコンテンツの提供を受けるユーザには、乗り物酔いに似た「XR酔い」が起こりうることが知られている。XR酔いは、映像とユーザの体の動きとのズレといった原因等により生じうる動揺病の一つである。特に、車両に搭載されるXRシステムの場合、ユーザの体の動きに車両の動きが加わるため、映像とのズレがより複雑化し、XR酔いが発生しやすい傾向にある。さらに、通常の乗り物酔い症状も加わるため、より複雑化した酔い症状が発生しやすくなる。
【0007】
この点、XRコンテンツの酔いやすさをユーザが予め知ることができれば、ユーザはかかる酔いやすさに応じた行動を取ることができるが、上述した従来技術を用いた場合、ユーザはこうした情報を知ることはできない。
【0008】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、ユーザにXRコンテンツの酔いやすさに応じた行動を取らせることができる情報処理装置、情報処理システムおよびXR酔いに関する情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の一態様に係る情報処理装置は、収集部と、解析部と、提供部とを備える。前記収集部は、車両内でのXRコンテンツの再生時の状況に関する状況データを収集する。前記解析部は、前記状況データに基づいてXR酔いに関する状況を解析する。前記提供部は、外部端末装置に対し、前記解析部の解析結果に基づく前記XR酔いに関する情報を提供する。
【発明の効果】
【0010】
実施形態の一態様によれば、ユーザにXRコンテンツの酔いやすさに応じた行動を取らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る情報処理システムの概略構成を示す図である。
図2図2は、XR酔いの説明図である。
図3図3は、実施形態に係る情報処理方法の概要説明図である。
図4図4は、実施形態に係る車載装置の構成例を示すブロック図である。
図5図5は、XRコンテンツ情報の一例を示す図である。
図6図6は、ユーザ情報の一例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係るユーザ端末の構成例を示すブロック図である。
図8図8は、実施形態に係るサーバ装置の構成例を示すブロック図である。
図9図9は、収集データ情報の一例を示す図である。
図10図10は、解析データ情報の一例を示す図である。
図11図11は、サーバ装置から提供される提供情報の具体例を示す図(その1)である。
図12図12は、サーバ装置から提供される提供情報の具体例を示す図(その2)である。
図13図13は、サーバ装置から提供される提供情報の具体例を示す図(その3)である。
図14図14は、サーバ装置から提供される提供情報の具体例を示す図(その4)である。
図15図15は、提供情報の変形例を示す図(その1)である。
図16図16は、提供情報の変形例を示す図(その2)である。
図17図17は、提供情報の変形例を示す図(その3)である。
図18図18は、再生制御処理の変形例を示す図(その1)である。
図19図19は、再生制御処理の変形例を示す図(その2)である。
図20図20は、再生制御処理の変形例を示す図(その3)である。
図21図21は、実施形態に係るサーバ装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する情報処理装置、情報処理システムおよびXR酔いに関する情報処理方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
また、以下では、実施形態に係る情報処理システム1が、車両に搭載される車載システムである場合を例に挙げて説明する。また、以下では、実施形態に係る情報処理システム1は、ユーザに対し、仮想空間体験を含むデジタルコンテンツとしてXRコンテンツを提供するVRシステムであるものとする。また、以下では、「XR酔いに関する情報処理方法」を単に「情報処理方法」と記載する。
【0014】
また、以下では、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を同一の符号の後にハイフン付きの異なる数字を付して区別する場合がある。たとえば、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成を、必要に応じて車載装置10-1および車載装置10-2のように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。たとえば、車載装置10-1および車載装置10-2を特に区別する必要がない場合には、単に車載装置10と称する。
【0015】
まず、実施形態に係る情報処理方法の概要について、図1図3を用いて説明する。図1は、実施形態に係る情報処理システム1の概略構成を示す図である。また、図2は、XR酔いの説明図である。また、図3は、実施形態に係る情報処理方法の概要説明図である。
【0016】
図1に示すように、実施形態に係る情報処理システム1は、HMD3と、車載装置10とを含む。
【0017】
HMD3は、ユーザUに対し、車載装置10から提供されるXRコンテンツを提示し、ユーザにVR体験を享受させるための情報処理端末である。HMD3は、ユーザUの頭部に装着されて利用されるウェアラブルコンピュータ(wearable computer)であり、図1の例ではゴーグル型である。なお、HMD3は眼鏡型であってもよいし、帽子型であってもよい。
【0018】
HMD3は、表示部3aと、スピーカ3bと、センサ部3cとを備える。表示部3aは、ユーザUの眼前に配置されるように設けられ、車載装置10から提供されるXRコンテンツに含まれる映像を表示する。
【0019】
なお、図1の例では、表示部3aは、ユーザUの左右それぞれの眼前に1つずつ設けられている例を示しているが、1つだけであってもよい。また、表示部3aは、視界を完全に覆う非透過型であってもよいし、ビデオ透過型や光学透過型であってもよい。本実施形態では、非透過型であるものとする。
【0020】
スピーカ3bは、たとえば図1に示すようにヘッドフォン型に設けられ、ユーザUの耳に装着される。スピーカ3bは、車載装置10から提供されるXRコンテンツに含まれる音声を出力する。
【0021】
センサ部3cは、ユーザUの内外の状況の変化を検知するデバイスであって、たとえばカメラやモーションセンサ等を含む。
【0022】
車載装置10は、車両に搭載されるたとえばコンピュータであり、有線または無線でHMD3と接続され、HMD3に対し、XRコンテンツを提供する。また、車載装置10は、センサ部3cによって検知された状況の変化を随時取得し、かかる状況の変化をXRコンテンツに反映させる。
【0023】
たとえば、車載装置10は、センサ部3cによって検知されたユーザUの頭部や視線の変化に応じて、XRコンテンツの仮想空間における視界の向きを変化させることが可能である。
【0024】
ところで、このようなHMD3を用いたXRコンテンツの提供にあたっては、ユーザUに、乗り物酔いに似た「XR酔い」が起こりうることが知られている。
【0025】
図2に示すように、XR酔いは、映像とユーザUの体の動きとのズレといった原因等により生じうる。また、車両に搭載されるVRシステムの場合、ユーザの体の動きにさらに周囲環境の変化等による車両の動きが加わるため、映像とのズレがより複雑化し、XR酔いが発生しやすい傾向にある。
【0026】
この点、XRコンテンツの酔いやすさをユーザUが予め知ることができれば、ユーザUはかかる酔いやすさに応じた行動を取ることができるが、既存技術を用いた場合、ユーザUはこうした情報を知ることはできない。
【0027】
そこで、実施形態に係る情報処理方法は、車両V内でのXRコンテンツの再生時の状況に関する状況データを収集し、かかる状況データにおけるユーザの酔い状況と、XRコンテンツの再生環境状況の関係を解析することとした。詳細には、実施形態に係る情報処理方法は、車両Vに搭載される車載装置10からXRコンテンツの再生時の状況に関する状況データを収集し、収集した状況データに基づいてXR酔いに関する状況を解析し、車載装置10を含む端末装置に対し、解析結果に基づくXR酔いに関する情報を提供することとした。
【0028】
具体的に、図3に示すように、情報処理システム1は、1以上の車載装置10と、これに接続されるHMD3とを含む。また、情報処理システム1は、1以上のユーザ端末50と、サーバ装置100とをさらに含む。
【0029】
ユーザ端末50は、たとえばスマートフォンやタブレット、パーソナルコンピュータといった、ユーザUが利用する端末装置である。サーバ装置100は、車載装置10からの情報を収集して解析する装置であり、たとえばネットワークNを介したクラウドサービスを提供するクラウドサーバとして構成される。
【0030】
ネットワークNは、たとえばインターネットや携帯電話回線網などを含む通信網であり、車載装置10、ユーザ端末50およびサーバ装置100は、かかるネットワークNを介して相互に通信可能に設けられる。
【0031】
このような情報処理システム1において、実施形態に係る情報処理方法では、サーバ装置100は、車両VにおけるXRコンテンツ再生時の状況データを随時収集し(ステップS1)、蓄積する。
【0032】
XRコンテンツ再生時の状況データには、日時や、天候や、位置情報や、XRコンテンツの種別や、車種や、ユーザUに関するユーザ情報や、車両Vに搭載された各種センサのセンサデータなどが含まれる。
【0033】
そして、サーバ装置100は、車載装置10から収集した状況データを随時解析する(ステップS2)。かかるステップS2の解析処理では、サーバ装置100は、たとえばXR酔いに関する状況を推定する。
【0034】
サーバ装置100は、たとえばセンサデータに含まれるユーザUからの申告に基づいてXR酔いに関する状況を推定する。また、サーバ装置100は、たとえばセンサデータからユーザUの身体的状況の変化を検知することによってXR酔いに関する状況を推定する。
【0035】
また、サーバ装置100は、たとえば再生されたXRコンテンツの種別や映像の状況、音声の状況といった、XRコンテンツの使用状況に基づいてXR酔いに関する状況を推定する。
【0036】
また、サーバ装置100は、たとえば道路状況や車両Vの状況、操作状況といった、車両Vの走行状況に基づいてXR酔いに関する状況を推定する。また、サーバ装置100は、たとえばユーザUごとの酔いやすさ等を示す各種のパラメータ等を含むユーザ情報に基づいてXR酔いに関する状況を推定する。
【0037】
なお、サーバ装置100は、かかるXR酔いに関する状況の推定においては、たとえば機械学習のアルゴリズムを用いて生成された推定モデルを用いることができる。かかる推定モデルは、実際のXR酔いに関する状況の推定結果に基づいて適宜強化学習される。強化学習の結果、たとえばXR酔いに関する状況を推定するための判定閾値等が適宜更新される。
【0038】
また、サーバ装置100は、推定するXR酔いに関する状況として、たとえばユーザUのXR酔いの度合いを示すレベル値である「酔いレベル」や、XR酔いの原因となった各種要素の原因指数などを算出する。
【0039】
また、サーバ装置100は、ステップS2の解析処理において、推定したXR酔いに関する状況の推定結果を随時集計し、統計情報化する。したがって、サーバ装置100には、少なくともXRコンテンツの酔いやすさを含む、XR酔いに関する情報の統計情報がデータベース化される。
【0040】
一方、ユーザ端末50や車載装置10といった端末装置からは、専用アプリなどを介し、サーバ装置100に対して、XR酔いに関する情報の提供を任意に要求することができる。
【0041】
そして、サーバ装置100は、かかる要求を受けた場合に、ステップS2の解析処理における解析結果に基づき、端末装置からの要求に応じてXR酔いに関する情報を提供する(ステップS3)。
【0042】
サーバ装置100は、かかる情報の提供を、たとえばユーザUが見たいコンテンツに対して、酔いにくい車種ランキングや、酔いにくい経路ランキングといった各種のランキング形式で提供することができる。ユーザUは、かかるサーバ装置100からの提供情報により、分かりやすくXR酔いに関する情報を把握することができ、これに応じた行動を取ることが可能となる。
【0043】
ランキング形式等によるサーバ装置100からの提供情報の具体例については、図11以降を用いた説明で後述する。
【0044】
このように、実施形態に係る情報処理方法は、車両Vに搭載される車載装置10からXRコンテンツの再生時の状況に関する状況データを収集し、収集した状況データに基づいてXR酔いに関する状況を解析し、車載装置10を含む端末装置に対し、解析結果に基づくXR酔いに関する情報を提供する。
【0045】
したがって、実施形態に係る情報処理方法によれば、ユーザUにXRコンテンツの酔いやすさに応じた行動を取らせることができる。以下、実施形態に係る情報処理方法を適用した情報処理システム1の構成例について、より具体的に説明する。
【0046】
図4は、実施形態に係る車載装置10の構成例を示すブロック図である。なお、図4および後に示す図7,8では、実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0047】
換言すれば、図4図7および図8に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0048】
また、図4図7および図8を用いた説明では、既に説明済みの構成要素については、説明を簡略するか、省略する場合がある。
【0049】
図4に示すように、実施形態に係る車載装置10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを備える。また、車載装置10は、CAN(Controller Area Network)等の有線ネットワークや無線を介し、あるいは直接に、HMD3と、センサ部5と、入力部7と、出力部9とが接続される。
【0050】
HMD3については図1を用いて説明済みのため、ここでの説明は省略する。センサ部5は、車両Vに搭載される各種のセンサ群であって、たとえばマイクや、カメラや、加速度センサや、舵角センサや、バイタルセンサ等を含む。
【0051】
マイクは、ユーザUの発話など、車室内で発せられる音声を集音する。カメラは、車両Vに搭載されるフロントカメラ、リアカメラ、サイドカメラ、室内カメラ等であって、車両Vの内外を撮影する。室内カメラは、たとえばユーザUの状態を撮影する。
【0052】
加速度センサは、車両Vに加わる加速度や車速を測定する。舵角センサは、車両Vの舵角を測定する。
【0053】
バイタルセンサは、ユーザUの身体的状況を検知するセンサであって、たとえばユーザUに装着され、ユーザUの心拍や脳波、血中酸素濃度、発汗等のバイタルデータを測定する。なお、センサ部5には無論、これまで説明した以外の各種のセンサが適宜含まれてもよい。
【0054】
入力部7は、ユーザUの操作等の入力を受け付ける入力デバイスである。出力部9は、後述する提供情報処理部13eから出力される画像情報や音声情報の出力デバイスであって、ディスプレイやスピーカ等を含む。なお、出力部9は、タッチパネルディスプレイを用いて実現され、入力部7と一体に構成されてもよい。
【0055】
通信部11は、たとえば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部11は、インターネットや携帯電話回線網等のネットワークNと無線で接続され、ネットワークNを介して、ユーザ端末50やサーバ装置100との間で情報の送受信を行う。
【0056】
記憶部12は、たとえば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部12は、図4の例では、XRコンテンツDB(Data Base)12aと、車両情報12bと、ユーザ情報12cと、ナビ情報12dとを記憶する。
【0057】
XRコンテンツDB12aは、HMD3へ提供されるXRコンテンツに関するXRコンテンツ情報が格納されたデータベースである。図5は、XRコンテンツ情報の一例を示す図である。
【0058】
図5に示すように、XRコンテンツ情報は、たとえば「コンテンツID」項目と、「種別」項目と、「推奨耐性レベル」項目と、「コンテンツデータ」項目とを含む。
【0059】
「コンテンツID」項目は、各XRコンテンツの識別子が格納される。「種別」項目は、たとえば「コメディ」、「アクション」、「ホラー」といった各XRコンテンツの種別が格納される。「推奨耐性レベル」項目は、たとえば該当のXRコンテンツにおいて推奨される、XR酔いに対する耐性レベルが格納される。耐性レベルは、XR酔いのしにくさを示すレベル値であり、たとえば値が大きいほどXR酔いに強いことを指す。かかる耐性レベルは、後述するようにユーザUごとに設定されている。
【0060】
図4の説明に戻る。車両情報12bは、車両Vに関する主に静的な情報であって、たとえば車種や年式等を含む。ユーザ情報12cは、ユーザUに関する情報である。図6は、ユーザ情報12cの一例を示す図である。
【0061】
図6に示すように、ユーザ情報12cは、たとえば「ユーザID」項目と、「年齢」項目と、「性別」項目と、「耐性レベル」項目と、「履歴情報」項目とを含む。
【0062】
「ユーザID」項目は、ユーザUの識別子が格納される。「年齢」項目は、ユーザUの年齢が格納される。「性別」項目は、ユーザUの性別が格納される。「耐性レベル」項目は、ユーザUに設定された、前述のXR酔いに対する耐性レベルが格納される。かかる耐性レベルは、たとえばユーザUがXRコンテンツの視聴を重ねるごとに随時更新される。「履歴情報」項目は、過去のユーザUのXRコンテンツの視聴に関する履歴などが格納される。
【0063】
なお、図5に示したXRコンテンツの「推奨耐性レベル」と、図6のユーザUの「耐性レベル」との相対的関係について補足しておくと、「推奨耐性レベル」は、数字が大きいほど酔いやすいコンテンツということになる。つまり、ユーザUの「耐性レベル」がかかる「推奨耐性レベル」以上でないと、ユーザUは酔ってしまう可能性が高いということになる。
【0064】
一方、ユーザUの「酔い耐性レベル」は、数字が大きいほどユーザUは酔いにくいということになる。つまり、ユーザUの「耐性レベル」よりもXRコンテンツの「推奨耐性レベル」が低い場合は、ユーザUは当該コンテンツでは酔わない可能性が高いということになる。
【0065】
さらに補足すると、ユーザUの「耐性レベル」が「推奨耐性レベル」より大きく、その差が大きいほど、より酔いにくい、言い換えれば他の要因が大きくなっても酔わない可能性が高いということになる。逆に、差が小さいと、他の要因が少し変動しただけで酔ってしまう可能性が高くなる。一方、ユーザUの「耐性レベル」が「推奨耐性レベル」より小さく、その差が大きいほど、酔いの程度は酷くなる可能性が高い。逆に、差が小さいと、軽い酔いで済みやすいということになる。
【0066】
なお、ユーザUの酔いやすさは、これらのパラメータ以外に、道路状態(たとえば山道等は酔いやすい)等もあり、これらパラメータから各種の条件(たとえば、設定される経路情報等)で、将来の酔い状態を推定することとなる。
【0067】
図4の説明に戻る。ナビ情報12dは、車両Vのカーナビゲーションに関する情報であり、地図情報や、設定中の経路情報、過去のカーナビゲーション実績などが含まれる。
【0068】
制御部13は、コントローラ(controller)であり、たとえば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、記憶部12に記憶されている図示略の各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部13は、たとえば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現することができる。
【0069】
制御部13は、再生制御部13aと、取得部13bと、アップロード部13cと、要求部13dと、提供情報処理部13eとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0070】
再生制御部13aは、XRコンテンツDB12aに格納されたXRコンテンツをHMD3に対し提供し、再生するための再生制御を実行する。また、再生制御部13aは、上述したHMD3のセンサ部3cやセンサ部5によって検知され、後述する取得部13bによって取得される各種の状況の変化をXRコンテンツに反映させる。
【0071】
取得部13bは、HMD3のセンサ部3cやセンサ部5のセンシングデータを随時取得する。また、取得部13bは、再生制御部12aから、再生中であるXRコンテンツの種別や映像の状況、音声の状況といったXRコンテンツの使用状況を随時取得する。また、取得部13bは、車両情報12b、ユーザ情報12cおよびナビ情報12dを適宜取得する。また、取得部13bは、取得した各種のデータのうち、XRコンテンツ再生時の状況を示す状況データをアップロード部13cへ出力する。
【0072】
アップロード部13cは、通信部11を介し、取得部13bから受け取ったXRコンテンツ再生時の状況データをサーバ装置100へ向けてアップロードする。
【0073】
要求部13dは、任意に、入力部7を介したユーザUからのXR酔いに関する情報提供要求を受け付け、通信部11を介し、サーバ装置100へ向けて送信する。
【0074】
提供情報処理部13eは、通信部11を介し、前述の情報提供要求に応じてサーバ装置100から提供される提供情報を取得する。また、提供情報処理部13eは、取得した提供情報に含まれる画像情報および音声情報を出力部9に出力させる。
【0075】
また、提供情報処理部13eは、取得した提供情報に含まれる再生制御情報に基づくXRコンテンツの再生制御を再生制御部13aに実行させる。かかる再生制御の内容については、図18図20を用いた説明で変形例として後述する。
【0076】
次に、図7は、実施形態に係るユーザ端末50の構成例を示すブロック図である。なお、ユーザ端末50は、車載装置10が有する機能の一部を実行する端末装置であるため、説明を適宜簡略する。
【0077】
図7に示すように、実施形態に係るユーザ端末50は、入力部51と、出力部52と、通信部53と、記憶部54と、制御部55とを備える。
【0078】
入力部51は、車載装置10の入力部7に相当する。出力部52は、車載装置10の出力部9に相当する。
【0079】
通信部53は、車載装置10の通信部11に相当する。通信部53は、通信部11と同様に、たとえばNIC等によって実現される。通信部53は、上述したネットワークNを介して、サーバ装置100や車載装置10との間で情報の送受信を行う。
【0080】
記憶部54は、車載装置10の記憶部12と同様に、たとえば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部54は、図7の例では、ユーザ情報54aを記憶する。ユーザ情報54aは、車載装置10のユーザ情報12cに相当する。
【0081】
制御部55は、車載装置10の制御部13と同様に、コントローラであり、たとえば、CPUやMPU等によって、記憶部54に記憶されている図示略の各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部55は、たとえば、ASICやFPGA等の集積回路により実現することができる。
【0082】
制御部55は、要求部55aと、提供情報処理部55bとを有する。要求部55aは、車載装置10の要求部13dに相当する機能や作用を実現または実行する。提供情報処理部55bは、車載装置10の提供情報処理部13eの一部に相当する機能や作用を実現または実行する。
【0083】
具体的には、提供情報処理部55bは、通信部53を介し、ユーザUの情報提供要求に応じてサーバ装置100から提供される提供情報を取得する。また、提供情報処理部55bは、取得した提供情報に含まれる画像情報および音声情報を出力部52に出力させる。
【0084】
次に、図8は、実施形態に係るサーバ装置100の構成例を示すブロック図である。図8に示すように、サーバ装置100は、通信部101と、記憶部102と、制御部103とを備える。
【0085】
通信部101は、上述した通信部11や通信部53と同様に、たとえばNIC等によって実現される。通信部101は、上述したネットワークNと有線または無線で接続され、ネットワークNを介して、車載装置10やユーザ端末50との間で情報の送受信を行う。
【0086】
記憶部102は、上述した記憶部12や記憶部54と同様に、たとえば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部102は、図8の例では、収集データDB102aと、解析データDB102bとを記憶する。
【0087】
収集データDB102aは、後述する収集部103aによって各車載装置10から収集された、XRコンテンツ再生時の状況に関する状況データを含む収集データ情報が蓄積される。図9は、収集データ情報の一例を示す図である。
【0088】
図9に示すように、収集データ情報は、たとえば「データID」項目と、「日時」項目と、「天候」項目と、「位置情報」項目と、「コンテンツ」項目と、「車種」項目と、「ユーザ情報」項目と、「ナビ情報」項目と、「センサデータ」項目とを含む。
【0089】
「データID」項目は、収集された各データの識別子が格納される。「日時」項目は、収集された各データの採取日時が格納される。「天候」項目は、収集された各データの採取時の天候が格納される。
【0090】
「位置情報」項目は、収集された各データの採取時の位置情報が格納される。「コンテンツ」項目は、収集された各データの採取時に再生中のXRコンテンツの種別といったメタデータが格納される。「車種」項目は、収集された各データを採取した車種が格納される。
【0091】
「ユーザ情報」項目は、収集された各データに該当するユーザUに関する情報、具体的には上述したユーザ情報12cに相当する情報が格納される。「ナビ情報」項目は、収集された各データの採取時における車両Vのナビ情報、具体的には上述したナビ情報12dにおいてXRコンテンツ再生時に設定中の情報が格納される。
【0092】
「センサデータ」項目は、収集された各データの採取時に各車両Vにおいて取得されたセンサ部5のセンサデータが格納される。
【0093】
なお、図9では、基本的に各項目に瞬時値が格納される例を示しているが、現実的には、データ(データIDの単位)は、道路区間(道路のリンク)や、所定距離、所定時間ごとに統計処理等を経て、道路区間等での特徴を示す代表値的なデータであってもよい。その場合、各項目には、各項目の特性により、たとえば道路区間ごとの平均値や中間値、大部分を占めて再生されたコンテンツのメタデータ等が格納され、そのような各データに基づいてシステムが動作することとなる。
【0094】
図8の説明に戻る。解析データDB102bは、後述する解析部103bによって解析された収集データDB102aの各収集データ情報の解析結果を含む解析データ情報が蓄積される。図10は、解析データ情報の一例を示す図である。
【0095】
図10に示すように、解析データ情報は、たとえば「データID」項目と、「酔いレベル」項目と、「原因指数」項目と、「原因区間」項目とを含む。「データID」項目は、収集データ情報の「データID」に相当する。
【0096】
「酔いレベル」項目は、該当するデータIDのデータについて解析部103bにより算出された酔いレベルが格納される。「原因指数」項目は、たとえば算出された酔いレベルに対して原因となった各要素の原因指数、言い換えれば重み値が格納される。「原因区間」項目は、たとえば算出された酔いレベルに対して原因となった区間が格納される。
【0097】
図8の説明に戻る。制御部103は、上述した制御部13や制御部55と同様に、コントローラであり、たとえば、CPUやMPU等によって、記憶部102に記憶されている図示略の各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部103は、たとえば、ASICやFPGA等の集積回路により実現することができる。
【0098】
制御部103は、収集部103aと、解析部103bと、生成部103cと、提供部103dとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0099】
収集部103aは、通信部101を介し、各車載装置10からアップロードされるXRコンテンツ再生時の状況データを収集し、収集データ情報として収集データDB102aへ蓄積する。
【0100】
解析部103bは、収集データDB102aへ蓄積された収集データ情報に基づいて上述したステップS2の解析処理を実行し、解析結果を解析データ情報として解析データDB102bへ蓄積する。
【0101】
生成部103cは、通信部101を介し、車載装置10やユーザ端末50といった端末装置からXR酔いに関する情報の情報提供要求を受け付けた場合に、解析データDB102bの各解析データ情報に基づいて提供情報を生成し、提供部103dへ出力する。
【0102】
提供部103dは、通信部101を介し、生成部103cによって生成された提供情報を情報提供要求の送信元である端末装置へ向けて提供する。
【0103】
次に、端末装置からの情報提供要求に応じ、サーバ装置100から提供される提供情報の具体例について、図11図14を用いて説明する。図11図14は、サーバ装置100から提供される提供情報の具体例を示す図(その1)~(その4)である。
【0104】
まず、ユーザUが、レンタカーやシェアリングカーを車両Vとして利用したい場面を想定する。かかる場合に、図11に示すように、たとえばユーザUがユーザ端末50から専用のアプリ画面等を介して、車両Vを利用する道中に視聴したいXRコンテンツを選択したものとする。
【0105】
すると、サーバ装置100は、同図に示すように、たとえば選択したXRコンテンツでXR酔いを起こしにくい車種のランキングを提供情報として提供する。また、サーバ装置100は、かかるランキングとあわせてレンタカー事業者やカーシェアリング事業者などの事業者装置と連携する「詳細」ボタンや「借りる」ボタンなどを配置することができる。
【0106】
「詳細」ボタンは、ユーザUがタップすると、たとえばユーザ端末50を該当する車種の詳細情報画面へ遷移させることができる。また、「借りる」ボタンは、ユーザUがタップすると、たとえばユーザ端末50を該当する車種のレンタル手続き画面へ遷移させることができる。
【0107】
次に、ユーザUが、車両Vを実際に利用するに際し、道中において視聴するXRコンテンツを車載装置10から選択したい場面を想定する。かかる場合に、図12に示すように、たとえばユーザUが車載装置10から視聴したいXRコンテンツと目的地とを指定したものとする。
【0108】
すると、サーバ装置100は、同図に示すように、たとえば選択したXRコンテンツでXR酔いを起こしにくい目的地までの経路のランキングを提供情報として提供する。また、サーバ装置100は、かかるランキングとあわせて経路ごとの「詳細」ボタンや「選択」ボタンなどを配置する。ここで、同図に示すように、ユーザUが「県道△×号線経由」の経路の「詳細」ボタンをタップしたものとする。
【0109】
すると、図13に示すように、サーバ装置100は、該当する経路の詳細情報画面へと出力部9を遷移させる。同図に示すように、かかる詳細情報画面には、現在地から目的地までの経路と、たとえばかかる経路における「酔いエリア」が表示される。
【0110】
酔いエリアは、統計上、ユーザUが酔いやすいエリアであり、解析部103bの解析処理によって前述の解析データ情報が集約され、決定される。また、かかる酔いエリアには、同図に示すように、該当の酔いエリアに関するメモを紐付けておくことができる。
【0111】
同図に示すように、酔いエリアに関するメモは、各ユーザUから投稿される該当の酔いエリアに関する共有情報である。ユーザUは、かかるメモをタップなどしてその内容を確認することにより、該当の酔いエリアにおけるXR酔いへの対処の仕方やコツなどを把握することができる。
【0112】
なお、図13では、出力部9においてメモを確認する場合を例示しているが、HMD3でのXRコンテンツの再生中に、HMD3の表示部3aに対し、該当の酔いエリアを通過する前や通過中のタイミングでかかるメモを仮想空間内のオブジェクトとして表示させてもよい。
【0113】
また、図12と同様の場面において、道中で視聴したいXRコンテンツが決まっておらず、たとえば図14に示すように、ユーザUが車載装置10から目的地のみを指定したものとする。
【0114】
すると、サーバ装置100は、同図に示すように、たとえば指定した目的地までXRコンテンツを視聴する場合に、酔いにくいコンテンツのランキングを提供情報として提供する。また、サーバ装置100は、かかるランキングとあわせてコンテンツ事業者などの事業者装置と連携する「詳細」ボタンや、「視聴」ボタン、「購入」ボタンなどを配置することができる。
【0115】
「詳細」ボタンは、ユーザUがタップすると、たとえば出力部9を該当するコンテンツの詳細情報画面へ遷移させることができる。また、「視聴」ボタンは、ユーザUがタップすると、該当のXRコンテンツの再生を開始することができる。また、「購入」ボタンは、ユーザUがタップすると、出力部9を該当のXRコンテンツの購入手続き画面へ遷移させることができる。
【0116】
なお、サーバ装置100から提供される提供情報には、この他にもいくつかの変形例を挙げることができる。図15図17は、提供情報の変形例を示す図(その1)~(その3)である。
【0117】
図15に示すように、サーバ装置100は、車載装置10やHMD3に対し、たとえばユーザU自身の前述の耐性レベルに関する情報を提供情報として提供することができる。
【0118】
かかる耐性レベルに関する情報は、たとえば図示略の耐性レベル確認画面などを通じてユーザUが情報提供要求をサーバ装置100に送信することで、提供することができる。また、ユーザUの耐性レベルに応じ、同図に示すように、ユーザUにおすすめのXRコンテンツを提案するようにしてもよい。
【0119】
このとき、たとえば推奨耐性レベルがユーザUの耐性レベルより高いXRコンテンツをおすすめし、同図に示すように、挑戦の可否を受け付けるようにすると、XRコンテンツの視聴に関するゲーム性を高めることができる。また、図示は略しているが、推奨耐性レベルがユーザUの耐性レベル以下のXRコンテンツを、ユーザUが酔いを恐れずに安心して視聴できるおすすめのXRコンテンツとして提案するようにしてもよい。すなわち、提供部103dは、ユーザUの酔いやすさのレベルと、XR酔いに関する情報に含まれる少なくとも1つの項目が示す酔いやすさのレベルとの比較に基づき、上記項目についてユーザUを評価する評価情報、たとえば耐性レベルに関する情報を提供する。
【0120】
また、耐性レベルだけでなく、道路状態等の他のパラメータの値も考慮して、XRコンテンツを提案するようにしてもよい。また、適宜(たとえばリアルタイムに)、ユーザUの耐性レベルの更新を行い、提供情報として提供するようにしてもよい。
【0121】
また、同図に示すように、ユーザUが酔わずに視聴できれば耐性レベルを上げられたり、ポイントを獲得できたりすることで、さらにゲーム性を高めることができる。なお、獲得したポイントは、たとえばコンテンツ事業者と連携して、ポイントに応じ、該当のXRコンテンツの関連商品との引き換えなどを可能にすることで、やはりゲーム性を高めることができる。
【0122】
また、サーバ装置100は、同図に示したおすすめのXRコンテンツに替えて、図16に示すように、たとえば耐性レベルの向上トレーニングに関する情報などを提供情報として提供してもよい。
【0123】
かかる場合、同図に示すように、たとえばいくつかのXRコンテンツと、それぞれの推奨耐性レベル、ユーザUの前々回や前回の視聴結果などを提示し、挑戦を受け付ける「挑戦」ボタンなどを配置することによって、ユーザUの耐性レベルの向上トレーニングをコンテンとして提供することができる。これにより、ユーザUは、ゲーム感覚で楽しみつつ、XRコンテンツの視聴を通してXR酔いに対する耐性も鍛えることが可能となる。
【0124】
また、サーバ装置100は、同図に示した耐性レベルの向上トレーニングに関する情報に替えて、図17に示すように、たとえば耐性診断結果などを提供情報として提供してもよい。
【0125】
かかる場合、同図に示すように、サーバ装置100は、たとえばユーザUが自身の耐性レベルに応じ今回視聴したXRコンテンツと、その推奨耐性レベル、ユーザUの前々回や前回、今回の視聴結果などを提示する。
【0126】
そして、同図に示すように、サーバ装置100は、前々回~今回までの視聴結果に応じた診断結果情報をあわせて提供する。たとえば同図には、耐性レベル3のユーザUが、自身の耐性レベルに応じた推奨耐性レベル3のXRコンテンツを視聴した結果、前々回、前回は酔わなかったにも関わらず、今回は酔ってしまった例を示している。
【0127】
そして、サーバ装置100は、かかる結果に応じて、「前回より耐性レベルが低下しています。体に異常はありませんか?」といった診断結果情報をあわせて提供した例を示している。かかる場合、サーバ装置100は、XRコンテンツの視聴を通じてユーザUの体調を診断する一種の診断装置として機能することとなる。なお、かかる場合、たとえば診断結果に応じて、医療救急機関等と連携するようにしてもよい。
【0128】
ところで、これまでは、主にユーザUからの情報提供要求に応じてサーバ装置100が情報提供を行う場合を例に挙げたが、解析部103bの解析結果に応じ、サーバ装置100から能動的に情報提供を行うようにしてもよい。また、かかる情報提供に対し、XRコンテンツの再生制御を連動させるようにしてもよい。
【0129】
図18図20は、再生制御処理の変形例を示す図(その1)~(その3)である。図18に示すように、解析部103bが随時あるユーザUの酔いレベルを算出し、時点T1において所定の閾値を超えたものとする。
【0130】
かかる場合、サーバ装置100は、時点T1において、たとえばHMD3に対し、同図に示すように酔いレベルが上昇していること、また、XRコンテンツの再生の中断をすすめること、などを示す情報提供を行う。なお、同図では、ユーザUに中断の可否を問う例を挙げているが、たとえば何秒後かに強制的に再生を中断させるようにしてもよい。
【0131】
ここで、同図に示した時点T1よりも後の時点T2において、図19に示すようにXRコンテンツの再生が中断されたものとする。そして、たとえばユーザUの酔いレベルが低下したため、XRコンテンツの再生を再開することになったものとする。
【0132】
すると、サーバ装置100は、図19に示すように、車載装置10に対し、たとえば時点T1よりも前の時点T0に対応する再生位置からXRコンテンツの再生を再開させる。そして、中断前の操作や映像を再現して、時点T2以降の新しいシーンへ繋げさせる。また、同図に示すように、かかる新しいシーンに入る前には、たとえばカウントダウン表示を行うようにしてもよい。これにより、XRコンテンツの再開にあたり、ユーザUに対し、中断前の内容を把握させ、新しいシーンへスムーズに入り込みやすくさせることができる。
【0133】
また、図18に示したのと同様であるが、図20に示すように、解析部103bが随時あるユーザUの酔いレベルを算出し、時点T1において所定の閾値を超えたものとする。
【0134】
かかる場合、同図に示すように、サーバ装置100は、車載装置10に対し、たとえば時点T1からXRコンテンツの再生速度を低下させる再生制御を行わせる。かかる再生速度の低下は、ユーザUがXRコンテンツから受ける刺激を軽減させるものであり、低下量は、たとえば車両Vの速度に応じたものとなる。
【0135】
なお、再生速度に限らず、映像の明度や色味などを低下させるようにしてもよい。また、同図に示すように、これらを低下させる再生制御は、前述の刺激を軽減する意味において徐々に行われることが好ましい。
【0136】
次に、実施形態に係るサーバ装置100が実行する処理手順について、図21を用いて説明する。図21は、実施形態に係るサーバ装置100が実行する処理手順を示すフローチャートである。なお、図21に示す処理手順は、随時繰り返される。
【0137】
図21に示すように、まず収集部103aが、各車載装置10から、XRコンテンツ再生時の状況に関する状況データを収集する(ステップS101)。そして、解析部103bが、収集された状況データに基づいてユーザUのXR酔いに関する状況を解析する(ステップS102)。
【0138】
そして、提供部103dが、車載装置10およびユーザ端末50に対し、解析部103bの解析結果に基づくXR酔いに関する情報を提供し(ステップS103)、処理を終了する。
【0139】
上述してきたように、実施形態に係るサーバ装置100(「情報処理装置」の一例に相当)は、収集部103aと、解析部103bと、提供部103dとを備える。収集部103aは、車両V内でのXRコンテンツの再生時の状況に関する状況データを収集する。解析部103bは、状況データに基づいてXR酔いに関する状況を解析する。たとえば、解析部103bは、収集した膨大な情報を、深層学習AI(Artificial Intelligence)等の人工知能等を用いて層別解析を行い、各項目(コンテンツ、車種、ユーザ、道路区間等)ごとの酔いに対する影響度(ユーザUの酔い耐性レベル等)を算出する。なお、各項目をグループ化(たとえば、コンテンツはジャンルごとにグループ化)して、グループごとの影響度(ユーザUの酔い耐性レベル等)を算出してもよい。提供部103dは、HMD3、車載装置10およびユーザ端末50を含む外部端末装置に対し、解析部103bの解析結果に基づくXR酔いに関する情報を提供する。
【0140】
したがって、実施形態に係るサーバ装置100によれば、ユーザUにXRコンテンツの酔いやすさに応じた行動を取らせることができる。
【0141】
また、提供部103dは、XRコンテンツごとの酔いやすさ、車両Vの車種ごとの酔いやすさ、および、車両Vの経路ごとの酔いやすさのうちの少なくともいずれかを含むXR酔いに関する情報を提供する。
【0142】
したがって、実施形態に係るサーバ装置100によれば、ユーザUは、少なくともXRコンテンツ、車種、経路のXR酔いに関する情報の提供を受けることができる。
【0143】
また、提供部103dは、ランキング形式でXR酔いに関する情報を提供する。
【0144】
したがって、実施形態に係るサーバ装置100によれば、ユーザUは、ランキング形式での分かりやすい形でXR酔いに関する情報の提供を受けることができる。
【0145】
また、提供部103dは、ユーザUの酔いやすさのレベルと、XR酔いに関する情報に含まれる少なくとも1つの項目が示す酔いやすさのレベルとの比較に基づき、上記項目についてユーザUを評価する評価情報を提供する。
【0146】
したがって、実施形態に係るサーバ装置100によれば、ユーザUは、たとえば自身の耐性レベル、および、かかる自身の耐性レベルに対して推奨耐性レベルの高い/低いおすすめのXRコンテンツ等を把握することができる。また、これに応じて、推奨耐性レベルの高いXRコンテンツに挑戦したり、安心して視聴できるXRコンテンツを選択したりすることができる。
【0147】
また、XR酔いに関する情報は、XRコンテンツの再生時における酔いレベル(「XR酔いの度合いを示すレベル値」の一例に相当)を含み、提供部103dは、車載装置10(「XRコンテンツの再生装置」の一例に相当)に対し、酔いレベルに応じたXRコンテンツの再生制御を実行させる。
【0148】
したがって、実施形態に係るサーバ装置100によれば、酔いレベルに応じて、たとえばXR酔いが解消されるようにXRコンテンツの再生制御を行うことができる。
【0149】
また、提供部103dは、酔いレベルの推移に応じてユーザUの体調を診断する診断情報を提供する。
【0150】
したがって、実施形態に係るサーバ装置100によれば、ユーザUの体調を診断する診断装置としての機能を提供することができる。
【0151】
なお、上述した実施形態では、XRコンテンツに応じた車種などを情報提供する例を挙げたが、XRコンテンツに適した設備などを情報提供するようにしてもよい。たとえば、ユーザの所望するXRコンテンツがバーチャルジェットコースターやフライトシミュレータといったゲームコンテンツなどの場合、かかるコンテンツに適したシートやシートベルトを備える車種の他に、車両以外の専用装置などに関する情報を提供してもよい。
【0152】
すなわち、提供部103dは、ユーザUにより指定された所望の要素に応じて、車両Vを含む推奨設備に関する情報を提供する。
【0153】
したがって、実施形態に係るサーバ装置100によれば、ユーザUは、たとえばユーザUが所望する条件に応じた最適な設備を探すことができる。
【0154】
また、上述した実施形態では、HMD3と車載装置10とが分離した構成である場合を例に挙げたが、これに限られるものではなく、HMD3と車載装置10とが一体である構成であってもよい。
【0155】
また、上述した実施形態では、ユーザUに対し、車載装置10から提供されるXRコンテンツを提示する提示デバイスとしてHMD3を例に挙げたが、提示デバイスはこれに限られるものではなく、たとえば骨伝導スピーカを含むものであってもよいし、ボディソニックのように振動を提示する振動提示デバイスを含むものであってもよい。
【0156】
また、提示デバイスは、ウェアラブルコンピュータに限らず、たとえば車両Vのフロントウィンドウやサイドウィンドウ等をディスプレイで構成し、かかるディスプレイに対し映像出力を行ってもよい。また、音声出力は、車載スピーカに対し行ってもよい。車載スピーカは通常、前後左右を含む多方向に複数個を適宜配置可能であるので、3D再生には好適である。
【0157】
また、車両Vに搭載される機器や車両Vに乗車中のユーザUが携帯する機器だけでなく、各家庭に設けられたコンピュータ等への情報提供等も利用価値がある。たとえば、家庭で事前に目的地への経路を検討する場合には、家庭用のコンピュータやタブレット等へ本実施形態に係る情報提供を行うことで、利便性を高めることができる。
【0158】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0159】
1 情報処理システム
3 HMD
10 車載装置
11 通信部
12 記憶部
12a XRコンテンツDB
12b 車両情報
12c ユーザ情報
12d ナビ情報
13 制御部
13a 再生制御部
13b 取得部
13c アップロード部
13d 要求部
13e 提供情報処理部
50 ユーザ端末
100 サーバ装置
101 通信部
102 記憶部
102a 収集データDB
102b 解析データDB
103 制御部
103a 収集部
103b 解析部
103c 生成部
103d 提供部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21