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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187262
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】施工管理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20221212BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095199
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521247696
【氏名又は名称】ティスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 圭二
(72)【発明者】
【氏名】小野 豊
(72)【発明者】
【氏名】柳本 貴司
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆之
(72)【発明者】
【氏名】久家 哲治
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】簡便に施工管理可能な施工管理装置を提供する。
【解決手段】施工管理システム1000は、カメラ50と、施工管理装置100とを備え、施工管理装置100は、制御部110に、管理対象物(例えばスリーブ等)を含むように設備工事現場を撮像した画像と、前記設備工事現場の設計図面とを、前記画像中の前記管理対象物と、撮像した前記管理対象物に対応する前記設計図面上での設置予定位置とを対応させるように、表示装置に重畳表示する重畳表示部113を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象物を含むように設備工事現場を撮像した画像と、前記設備工事現場の設計図面とを、前記画像中の前記管理対象物と、撮像した前記管理対象物に対応する前記設計図面上での設置予定位置とを対応させるように、表示装置に重畳表示する重畳表示部を備える
ことを特徴とする施工管理装置。
【請求項2】
前記管理対象物は、前記設備工事現場での前記管理対象物の設置予定位置に付された墨出し位置、及び、前記設備工事現場で実際に設置された管理対象物を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の施工管理装置。
【請求項3】
前記重畳表示部は、更に、前記画像に基づき決定した前記設備工事現場での前記管理対象物の位置と、前記設計図面での前記設置予定位置とを、前記表示装置に文字情報として表示する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の施工管理装置。
【請求項4】
前記画像に基づき決定した前記設備工事現場での前記管理対象物の位置と、前記設計図面での前記設置予定位置とのずれを計算する計算部を備える
ことを特徴とする請求項3に記載の施工管理装置。
【請求項5】
前記計算部により計算された前記ずれが、許容範囲を表す所定範囲内にあるか否かを判断する判断部を備え、
前記重畳表示部は、更に、前記判断部による判断結果を前記表示装置に表示する
ことを特徴とする請求項4に記載の施工管理装置。
【請求項6】
前記重畳表示部は、前記計算部による計算結果に基づいて前記画像の対象範囲を前記設計図面から抽出し、前記設計図面に合わせて重ね合わせ調整を行う
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の施工管理装置。
【請求項7】
前記設計図面に含まれる文字情報のうちの少なくとも前記管理対象物に関する文字情報を前記設計図面から抽出する抽出部を備え、
前記重畳表示部は、更に、
抽出した前記文字情報のうち紐づけるべき特定種類の文字情報が1つであれば、前記表示装置に重畳表示された前記管理対象物に紐づけて前記文字情報を前記表示装置に表示するとともに、
抽出した前記文字情報のうち紐づけるべき特定種類の文字情報が2つ以上であれば、前記表示装置に重畳表示された複数の前記管理対象物のうちのどの前記管理対象物に紐づけるかを使用者に選択させる選択画面を前記表示装置に表示する
ことを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の施工管理装置。
【請求項8】
前記重畳表示部は、設備工事の計画段階での前記設計図面と、前記計画段階での前記設計図面の作成後に追加された設計図面と、を切り替えて前記表示装置に重畳する
ことを特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載の施工管理装置。
【請求項9】
前記表示装置に表示された情報の一部の表示又は非表示を切り替える表示切替部を備える
ことを特徴とする請求項1~8の何れか1項に記載の施工管理装置。
【請求項10】
電子黒板を作成する電子黒板作成部を備え、
前記重畳表示部は、前記電子黒板作成部により作成された前記電子黒板を前記表示装置に表示する
ことを特徴とする請求項1~9の何れか1項に記載の施工管理装置。
【請求項11】
前記電子黒板と、前記電子黒板に対応する撮像時の前記画像と、前記設計図面の全体における前記画像に対応する位置と、を関連付けたデータベースを作成するデータベース作成部を備える
ことを特徴とする請求項10に記載の施工管理装置。
【請求項12】
前記画像での複数の前記管理対象物の配置パターン及び前記管理対象物が持つ属性情報の認識により、前記画像中での前記管理対象物の位置を認識する認識部を備える
ことを特徴とする請求項1~11の何れか1項に記載の施工管理装置。
【請求項13】
コンピュータを、管理対象物を含むように設備工事現場を撮像した画像と、前記設備工事現場の設計図面とを、前記画像中の前記管理対象物と、撮像した前記管理対象物に対応する前記設計図面上での設置予定位置とを対応させるように、表示装置に重畳表示する重畳表示部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、施工管理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「施工対象の施工を管理する施工管理システムであって、前記施工対象の仕様に関する仕様データを記憶している仕様データ記憶部と、実空間における前記施工の状況に関する実施工データを記憶している実施工データ記憶部と、前記仕様データ及び前記実施工データに基づいて、前記施工の進捗状況を表す進捗データを生成するデータ生成部と、前記進捗データを出力するデータ出力部と、を備える施工管理システム」が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-140257号公報(請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
設備工事現場では、管理対象物(例えばスリーブ等)が設計図面通りに設置されたか否かが管理される。管理は、例えばカメラを用い、管理対象物を含むように設備工事現場を撮像することで行われる。撮像により得られた画像は、記録用の例えば帳票としてそれぞれ管理される。しかし、特許文献1に記載の技術では、管理対象物を含む画像の取り扱いについて記載されていない。特許文献1に記載の技術では、記録された画像を都度選択して確認するため、施工管理に手間がかかる。
本開示が解決しようとする課題は、簡便に施工管理可能な施工管理装置及びプログラムの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の施工管理装置は、管理対象物を含むように設備工事現場を撮像した画像と、前記設備工事現場の設計図面とを、前記画像中の前記管理対象物と、撮像した前記管理対象物に対応する前記設計図面上での設置予定位置とを対応させるように、表示装置に重畳表示する重畳表示部を備える。その他の解決手段は発明を実施するための形態において後記する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、簡便に施工管理可能な施工管理装置及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の施工管理装置を備える施工管理システムの機能ブロック図である。
図2】表示装置に表示される電子黒板である。
図3】表示装置に表示される設計図面である。
図4】表示装置に表示される画像上での墨出し位置を示す図である。
図5】設置予定位置を含む設計図面と、墨出し位置を含む画像と、を表示装置に重畳表示した図である。
図6】設置予定位置を含む設計図面と、墨出し位置を含む画像と、実際に設置された管理対象物を含む画像と、を表示装置に重畳表示した図である。
図7】施工結果に関するデータベースを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本開示を実施するための形態(実施形態と称する)を説明する。以下の一の実施形態の説明の中で、適宜、一の実施形態に適用可能な別の実施形態の説明も行う。本開示は以下の一の実施形態に限られず、異なる実施形態同士を組み合わせたり、本開示の効果を著しく損なわない範囲で任意に変形したりできる。また、同じ部材については同じ符号を付すものとし、重複する説明は省略する。更に、同じ機能を有するものは同じ名称を付すものとする。図示の内容は、あくまで模式的なものであり、図示の都合上、本開示の効果を著しく損なわない範囲で実際の構成から変更したり、図面間で一部の部材の図示を省略したり変形したりすることがある。
【0009】
図1は、本開示の施工管理装置100を備える施工管理システム1000の機能ブロック図である。施工管理システム1000は、カメラ50と、施工管理装置100とを備える。カメラ50は、撮像部57と保存部58と通信部59とを備える。撮像部57での撮像により得られた設備工事現場S(図4)の画像204,207(図6)は、保存部58及び通信部59を通じて施工管理装置100に送信される。
【0010】
施工管理装置100は、通信部101と、画像入力部102と、入力部103と、記録部104と、印刷部105と、制御部110と、表示装置120とを備える。通信部101は、通信部59との間で通信するものである。画像入力部102は、保存部58から画像204,207を入力されるものである。入力部103は例えばキーボード、マウス、マイク、I/F(InterFace)(いずれも不図示)等であり、外部からの入力を受け付けるものである。設計図面201(図3)は、入力部103を通じて入力される。記録部104は、制御部110での処理結果を記録するものである。印刷部105は、制御部110での処理結果(例えば帳票等)を印刷するものである。表示装置120は、表示部121とタッチパネル122とを備える。
【0011】
施工管理装置100は、制御部110に、電子黒板作成部111と、認識部112と、重畳表示部113と、抽出部114と、計算部115と、判断部116と、表示切替部117と、DB作成部118とを備える。
【0012】
電子黒板作成部111は、電子黒板200(図2)を作成するものである。重畳表示部113は、電子黒板作成部111により作成された電子黒板200を表示装置120に表示する。これにより、詳細は後記する重畳表示時に電子黒板200を一緒に表示でき、電子黒板200に入力された情報を参照しながら重畳表示を確認できる。
【0013】
図2は、表示装置120に表示される電子黒板200である。電子黒板200は、例えば、工事名称、検査日、工事種別、検査内容、検査範囲(場所)、検査範囲(管理対象物)、施工者、工事業者、立合者、担当者等の情報を入力可能に構成される。入力は、例えば、設備工事現場S(図4)において使用者が入力部103又はタッチパネル122(いずれも図1)を介し、行うことができる。入力は、例えば入力部103の一例であるマイク(不図示)を使用した音声により行ってもよい。なお、入力可能な情報の種類、電子黒板200のレイアウト等は、図示の例に限定されず、使用者(例えば担当者)が任意に決定できる。また、これらは、検査用途に応じて、複数のテンプレートを作成して利用してもよい。
【0014】
図3は、表示装置120に表示される設計図面201である。設計図面201には、管理対象物15(図6)の設置予定位置16が図示される。図示はしないが、設置予定位置16毎に、通り芯BI,BH,B08,B09からの距離が設計図面201上に示される。これにより、管理対象物10毎の位置座標を特定できる。設計図面201は、例えば、BIMデータ、CADデータ、PDFデータ等である。詳細は後記するが、使用者による例えばタッチパネル122用いた選択により、例えば設計図面201のみを単独で表示装置120に表示できる。
【0015】
図3には、更に、設計図面201における破線枠202で囲った領域が、紙面右側に示す設計図面201の全体におけるどの部分に相当するのかを示す画面203も示される。これにより、設計図面201の全体においてどの部分を拡大して示しているのかを把握し易くできる。
【0016】
図1に戻って、認識部112は、カメラ50により撮像された画像204での複数の管理対象物10の配置パターン及び管理対象物10が持つ属性情報の認識により、画像204中での管理対象物10の位置を認識するものである。これにより、得られた画像204において管理対象物10の位置を認識できる。なお、ここでいう属性情報は画像204に基づき決定されるものであり、後記する特定種類の文字情報は、設計図面201から抽出されるものである。
【0017】
図4は、表示装置120に表示される画像204上での墨出し位置12を示す図である。管理対象物10は、例えば、設備工事現場Sでの管理対象物15(例えばスリーブ等)の設置予定位置16(図3)に付された墨出し位置12、及び、設備工事現場Sで実際に設置された管理対象物15を含む。これにより、墨出し位置12と管理対象物15との設置位置を表示装置120を用いて比較できる。
【0018】
図示のように、管理対象物10(図6)が設備工事現場Sに多数(図示の例では管理対象物S1~S7の7つ)配置される場合がある。この場合、画像204中の管理対象物10が設計図面201(図3)における何れの管理対象物10に対応するのがわからないことがある。そこで、認識部112により、複数の管理対象物10の集合体である管理対象物群11の配置パターン及び管理対象物10が持つ属性情報を手掛かりとし、設計図面201での対応する管理対象物群11を認識する。これにより、管理対象物10の位置を容易に特定できる。なお、ここでいう属性情報は、画像204に基づき決定可能な情報であり、例えばスリーブならば直径、高さ等の形状又は大きさの少なくとも一方、ボックス形状であれば幅、奥行き、高さ等の形状又は大きさの少なくとも一方である。また、墨出し位置12に関する属性情報であれば、例えば墨出し時に表示される文字、墨出し位置12に設置される管理対象物15の直径、高さ等の形状又は大きさの少なくとも一方である。墨出し位置12の場合、例えば、墨出し位置12に付した目印17(後記)に基づき、形状又は大きさの少なくとも一方を決定できる。
【0019】
墨出しは、例えば管理対象物15の中心(基準点の一例)が交点になるように配置した二本の線分の直交により行われる。そして、詳細は後記するが、画像204での設備工事現場Sでの墨出し位置12の配置パターン及び管理対象物10が持つ上記の属性情報に基づくことで、設計図面201での対応する位置を認識できる。
【0020】
墨出し位置12を認識し易くするため、墨出し位置12に配置される管理対象物15の形状及び大きさを画像204で認識するために、管理対象物15の形状(例えばリング形状の例えば赤い丸、四角、L型の表示等)及び大きさを模した目印17を墨出し位置12に付した状態で、撮像できる。これにより、詳細は後記するが、墨出し位置12(図4)と、設置予定位置16(図3)とのずれを計算できる。図4に示す画像204は、一例として目印17を付した状態での撮像により得られたため、管理対象物15の形状及び大きさを模した目印17が含まれる。目印17は、任意の記号、QRコード(登録商標)等の二次元コードでもよい。この場合、設置される管理対象物15の形状及び大きさが二次元コードに記録されてもよい。また、設置される管理対象物15の形状及び大きさと二次元コードとを関連付けたデータベース(不図示。例えば認識部112が有する)を用いて、撮像した二次元コードに基づき、管理対象物15の形状及び大きさを決定してもよい。目印17は、管理対象物15に付されてもよい。
【0021】
なお、墨出し位置12と、設計図面201(図3)での設置予定位置16(図3)との対応関係を認識部112で認識することでも、設計図面201に基づき、墨出し位置12(図6)に実際に設置される管理対象物15の形状及び大きさ等を把握できる。
【0022】
図4には、カメラ50(図1)を用いて得られた画像204と、電子黒板200と、表205,206とが図示される。電子黒板200には、図示は省略するが、設備工事現場Sにおいて使用者が入力した情報が表示される。表205,206は、抽出部114(図1)によって抽出された情報が表示される。図示の例では、上段の表205には、設計図面201(図3)における墨出し位置12毎の通り芯B08からの距離が表示される。下段の表206には、設計図面201(図3)における墨出し位置12毎の通り芯BIからの距離が表示される。他にも、表205,206には、個々の墨出し位置12に付した通し番号等のID(計測番号)が表示される。
【0023】
画像204は、例えば単一画角による1枚撮像、異なる画角で複数回撮像、又は、カメラ50(図1)としてステレオカメラを用いた撮像により得ることができる。画像204は、実際に撮像して得られた画像のオルソ変換(正斜変換)により処理されたオルソ画像であることが好ましい。これにより、オルソ画像と設計図面201(図3)とを重畳表示したときに、管理対象物10同士を比較し易くできる。本明細書では、画像204としてオルソ画像を例示するが、カメラ50を用いて撮像された画像に基づくものであれば、オルソ画像に限定されない。また、カメラ50に使用されるレンズ(不図示)としては、例えば魚眼(パノラマ)レンズ、広角レンズ、一般画角レンズ等を使用できるが、これらに限定されない。
【0024】
カメラ50による撮像時、管理対象物10のほかに基準尺209を含むように設備工事現場Sを撮像することが好ましい。即ち、画像204は、管理対象物10及び基準尺209を含むことが好ましい。これにより、画像204での管理対象物10の座標位置、大きさ、形状等を容易に把握できる。基準尺209としては、例えば、長さ既知の所定長さを有するロッドを使用できる。
【0025】
図1に戻って、重畳表示部113は、管理対象物10(図4図6)を含むように設備工事現場Sを撮像した画像204,207(図4図6)と、設備工事現場Sの設計図面201(図3)とを表示装置120に重畳表示するものである。重畳表示は、画像204,207中の管理対象物10と、撮像した管理対象物10に対応する設計図面201上での設置予定位置16(図6)とを対応させるように行われる。重畳表示部113を備えることで、設計図面201上での設置予定位置16と、設備工事現場Sでの管理対象物10の実際の設置位置とを表示装置120において直感的に比較でき、簡便に施工管理できる。
【0026】
重畳表示部113は、設備工事の計画段階での設計図面201と、計画段階での設計図面201の作成後に追加された設計図面(不図示の例えば修正図面、具体的には例えば最新図面)と、を切り替えて表示装置120に重畳する。これにより、設備工事現場Sの施工前である計画段階で作成された設計図面201が設備工事の経過で変更(修正)された場合に、何が変わったのかを表示装置120上で容易に比較できる。例えば修正図面等の設計図面(不図示)の追加は、例えば入力部103を通じて実行できる。
【0027】
抽出部114は、設計図面201に含まれる文字情報のうちの少なくとも管理対象物10に関する文字情報を設計図面201から抽出するものである。管理対象物10に関する文字情報は、例えば、管理対象物10の識別番号、管理対象物10の形状、管理対象物10の大きさ、通り芯BI,BH,B08,B09(図3)からの距離等である。抽出は、設計図面201のファイル形式に応じて任意の方法で行うことができ、例えばCADデータの場合、xmlデータへの変換により文字情報を抽出できる。
【0028】
上記の重畳表示部113は、更に、抽出部114により抽出した文字情報のうち紐づけるべき特定種類(例えば管理対象物10の形状)の文字情報が1つであれば、表示装置120に重畳表示された管理対象物10に紐づけて文字情報を表示装置120に表示する。一方で、重畳表示部113は、抽出部114により抽出した文字情報のうち紐づけるべき特定種類の文字情報が2つ以上であれば、表示装置120に重畳表示された複数の管理対象物10のうちのどの管理対象物10に紐づけるかを使用者に選択させる選択画面(不図示)を表示装置120に表示する。これにより、管理対象物10に関する文字情報の紐づけ(割り当て)の誤りを抑制できる。
【0029】
計算部115は、例えばオルソ画像等の画像204(図4)に基づき決定した設備工事現場S(図4)での管理対象物10(図4)の位置と、設計図面201(図3)での設置予定位置16とのずれを計算するものである。これにより、後記する判断部116による判断が可能になる。また、重畳表示による直感的な比較に加えて、数値に基づいた客観的な比較又は管理基準を設定すれば管理値を逸脱した管理対象物10の選別又は抽出を簡便に行うことができる。
【0030】
設備工事現場Sでの管理対象物10(図4)の位置は、画像204での基準尺209(図4)を指標として、例えば任意の基準線(例えば通り芯B08,BI)からの距離として決定できる。また、設計図面201(図3)での設置予定位置16は、例えば設計図面201に含まれる文字情報に基づき決定でき、具体的には例えば表205,206(図4)に例示するように決定できる。
【0031】
図5は、設置予定位置16を含む設計図面201と、墨出し位置12を含む画像204と、を表示装置120に重畳表示した図である。図5では、墨出し位置12は実線で示され、設置予定位置16は破線で示される。
【0032】
重畳表示は、上記のように重畳表示部113(図1)により自動で行われ、例えば計算部115(図1)による計算結果に基づいて行うことができる。即ち、重畳表示部113は、計算部115による計算結果に基づいて画像204の対象範囲を設計図面201から抽出し、設計図面201に合わせて重ね合わせ調整を行う。これにより、使用者の手を煩わせずに重畳できる。
【0033】
具体的には、重畳表示部113は、例えば、計算された各ずれが例えば最も小さくなるように、画像204の拡大倍率、縮小倍率、回転量又は移動量の少なくとも1つである変形パラメータを算出する。仮に、全ての墨出し位置12が設計図面201の通りに配置された場合、ずれは0である。また、重畳表示部113は、例えば、画像204中の基準尺209(図4)の長さを設計図面201の縮尺に合わせたり、画像204と設計図面201とで通り芯BI,BH,B08,B09(図3)が一致したりするように、変形パラメータを算出してもよい。そして、重畳表示部113は、算出した変形パラメータに基づき画像204を変形し、図5のように、設計図面201に重畳表示する。
【0034】
図1に戻って、重畳表示部113(図1)は、更に、画像204(図4)に基づき決定した設備工事現場Sでの管理対象物10の位置と、設計図面201(図3)での設置予定位置16とを、表示装置120に文字情報(例えば数字)として表示する。これにより、管理対象物10の位置及び設置予定位置16を、文字として把握できる。
【0035】
表示される文字情報は、例えば、表205,206(図4)に示す墨出座標及び施工座標である。上記のように、重畳表示部113は、所定時に、表示装置120に重畳表示された複数の管理対象物10のうちのどの管理対象物10に紐づけるかを使用者に選択させる選択画面(不図示)を表示する。使用者が、文字情報と紐づける管理対象物10を選択することで、例えば表205,206における墨出し位置12の座標を示す「墨出座標」の項目が、管理対象物10毎に自動的に入力される。これとともに、計算部115により計算されたずれである「差1」が、管理対象物10毎に、表205,206に自動的に入力される。
【0036】
判断部116は、計算部115により計算されたずれが、許容範囲を表す所定範囲内にあるか否かを判断するものである。そして、上記の重畳表示部113は、更に、判断部116による判断結果を表示装置120に表示する。これにより、客観的な指標である所定範囲内にあるかに基づいて墨出し位置12の位置の正確性を把握でき、客観的に判断できる。
【0037】
図6は、設置予定位置16を含む設計図面201と、墨出し位置12を含む画像204と、実際に設置された管理対象物15を含む画像207と、を表示装置120に重畳表示した図である。図6では、墨出し位置12は実線で示され、設置予定位置16は破線で示され、実際に設置された管理対象物15は二点鎖線で示される。
【0038】
画像207は、設置された管理対象物10を含む設備工事現場Sの撮像により得られる。撮像は、墨出し位置12(図4)に代えて実際に設置した管理対象物15を含むこと以外は画像204の撮像と同様にできる。また、表示装置120への画像207の表示も、画像204(図4)と同様にして行われる。
【0039】
例えば認識部112(図1)は、画像207での複数の管理対象物15の配置パターンの認識により、画像207中での管理対象物15の位置を認識する。これにより、得られた画像207において管理対象物15の位置を認識できる。また、施工(管理)時の管理対象物10が持つ属性情報のうち同一のものが複数ある場合、例えばスリーブが群をなさず単体で独立して存在する場合、同じサイズ、同じ配置となる場合等の各場合には、人が介在して予め撮像を行う範囲を特定したり、複数の候補を抽出の上、人が選択して特定したりできる。
【0040】
重畳表示部113(図1)は、図6に示すように、管理対象物15を含むように設備工事現場Sを撮像した画像207と、設備工事現場Sの設計図面201とを、画像207中の管理対象物15と、撮像した管理対象物15に対応する設計図面201上での設置予定位置16とを対応させるように、表示装置120(図1)に重畳表示する。これにより、設計図面201上での設置予定位置16と、設備工事現場Sでの管理対象物15の実際の設置位置とを表示装置120において直感的に比較でき、簡便に施工管理できる。
【0041】
重畳表示部113は、更に、画像207に基づき決定した設備工事現場Sでの管理対象物15の位置と、設計図面201での設置予定位置16とを、表示装置120に文字情報(例えば数字)として表示する。これにより、管理対象物15及び設置予定位置16の位置を、文字として把握できる。
【0042】
重畳表示部113は、更に、抽出部114によって抽出した文字情報のうち紐づけるべき特定種類の文字情報が1つであれば、表示装置120に重畳表示された管理対象物15に紐づけて文字情報を表示装置120に表示する。また、重畳表示部113は、抽出部114によって抽出した文字情報のうち紐づけるべき特定種類の文字情報が2つ以上であれば、表示装置120に重畳表示された複数の管理対象物15のうちのどの管理対象物15に紐づけるかを使用者に選択させる選択画面(不図示)を表示装置120に表示する。これにより、管理対象物15に関する文字情報の紐づけ(割り当て)の誤りを抑制できる。
【0043】
重畳表示部113は、計算部115による計算結果に基づいて画像207(図6)の対象範囲を設計図面201から抽出し、設計図面201に合わせて重ね合わせ調整を行う。これにより、設備工事現場Sの施工前である計画段階で作成された設計図面201が設備工事の経過で変更(修正)された場合に、何が変わったのかを表示装置120上で容易に比較できる。例えば修正図面等の設計図面(不図示)の追加は、例えば入力部103を通じて実行できる。
【0044】
計算部115(図1)は、画像207に基づき決定した設備工事現場Sでの管理対象物15の位置と、設計図面201での設置予定位置16とのずれである「差2」を計算する。これにより、重畳表示による直感的な比較に加えて、数値に基づき客観的にも比較できる。
【0045】
判断部116(図1)は、計算部115により計算されたずれである「差2」が、許容範囲を表す所定範囲内にあるか否かを判断する。これにより、客観的な指標である所定範囲内にあるかに基づいて管理対象物15の位置の正確性を把握でき、客観的に判断できる。
【0046】
上記の重畳表示部113(図1)は、更に、判断部116(図1)による判断結果を表示装置120に表示する。これにより、使用者が判断結果の項目を参照することで設計図面201の通りに施工されたか否かを把握でき、把握を容易に行うことができる。
【0047】
図示の例では、重畳表示部113は、所定条件を満たしたときに、表205,206での判定として「適合」を表示する。所定条件は、墨出し位置12の位置座標と設計図面201の設置予定位置16との位置のずれ(図6に示す「差1」)が上記所定範囲内であり、かつ、実際の管理対象物15の位置座標と設計図面201の設置予定位置16との位置のずれ(図6に示す「差2」)が上記所定範囲内である場合である。
【0048】
図1に戻って、表示切替部117は、表示装置120に表示された情報の一部の表示又は非表示を切り替えるものである。これにより、施工管理装置100により得られた情報の一部を所望により抜き出して表示装置120に表示でき、管理対象物10の施工を管理し易くできる。また、使用者及び設備工事現場Sでの工事段階によっては、施工管理に使用される情報が異なり得る。具体的には例えば、作業員におけるヒューマンエラーの確認、管理者(専門工事業者、建設会社等)における自主管理、監理者における監理業務及びそれぞれの報告業務等が挙げられる。そこで、表示切替部117を備えることで、施工管理における各段階と使用者に応じて、必要な情報を抜き出して表示できる。
【0049】
表示又は非表示を切り替える情報は、例えば上記図2図6及び後記の図7に示した図又は項目のうちの少なくとも一方における一部の情報であり、具体的には例えば表205,206(図3図6)に示した項目の一部である。
【0050】
DB作成部118は、電子黒板200(図7)と、電子黒板200に対応する撮像時の画像204,207(図6)と、設計図面201(図6)の全体における画像204,207に対応する位置とを関連付けたデータベース208(図7)を作成するものである。これにより、既に施工又は計測済みの部位と、未施工の部位とを容易に把握できる。
【0051】
図7は、施工結果に関するデータベース208を示した図である。図7の紙面左側には、図2において入力された情報を含む電子黒板200が図示される。図7の紙面右側には、設計図面201の全体のうち、施工結果である画像204,207を表示する位置を示した画面203が図示される。画面203において、破線枠202で囲った領域は、画像204,207に対応する設計図面201での位置を示す。使用者は、例えばタッチパネル122(図1)の操作による画面遷移により、破線枠202で囲った領域における施工結果(例えば図6に示す画面)を表示装置120に表示できる。
【0052】
施工が進むにつれて、同一の設計図面201内の設置予定位置16(図3)に管理対象物10(図4。施工対象)が実際に施工され管理される。今回の施工管理装置100は、同一の設計図面201のデータに実施済みの施工管理記録が追加、上書きされたものを利用する仕組みを有する。このため、同一フロアのどの範囲の管理対象物10が既に施工され管理されているかが一目でわかり、数百から数万に及ぶ管理対象物10に対して、施工忘れ及び管理記録の未作成を簡便に抑制できる。
【0053】
図1に戻って、施工管理装置100は何れも図示はしないが、例えばCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、記憶媒体等を備えて構成される。記憶媒体は、例えばROM(Read Only Memory)、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hrd Disk Drive)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等である。記憶媒体に格納されている所定の制御プログラム(施工管理装置100をコンピュータに実現させるためのプログラム)が例えばRAMに展開され、例えばCPUによって実行されることにより、施工管理装置100が具現化される。
【0054】
即ち、制御プログラムを実行すると、コンピュータが、電子黒板作成部111、認識部112、重畳表示部113、抽出部114、計算部115、判断部116、表示切替部117、DB作成部118等として機能する。従って、制御プログラムは、コンピュータを、少なくとも、管理対象物10(図4図6)を含むように設備工事現場Sを撮像した画像204,207(図4図6)と、設備工事現場Sの設計図面201(図3)とを、表示装置120に重畳表示する重畳表示部113として機能させるためのプログラムである。制御プログラムによる重畳表示は、画像204,207中の管理対象物10と、撮像した管理対象物10に対応する設計図面201上での設置予定位置16(図6)とを対応させるように行われる。
【0055】
施工管理装置100によれば、計画段階で作成された設計図面201(図3)と、施工結果を示す画像204,207(図6)とを重ね合わせて確認できるため、施工の間違いを低減できる。また、施工管理装置100による表205,206の作成により、手入力による手間及び入力の誤りを抑制できる。
【0056】
また、各施工段階での施工結果(例えば墨出し段階、実際の設置後等)を計画段階である設計図面201に重ねて表示可能なため、簡便に施工管理できる。更に、設計図面201と画像204,207と表205,206とを関連付けて記録し、例えば重ねて表示することで、データベース208(図8)を作成できる。また、データベース208を帳票として出力でき、別途記録用の帳票を作成する作業を削減できる。更に、電子黒板200(図7)を作成することで、設備工事現場Sでの作業時間、事務所(不図示)での検証時間、帳票化及び報告書作成時間の各時間を短縮及び省力化できるとともに、これらへの誤入力を抑制できる。
【符号の説明】
【0057】
10 管理対象物
100 施工管理装置
1000 施工管理システム
101 通信部
102画像入力部
103 入力部
104 記録部
105 印刷部
11 管理対象物群
110 制御部
111 電子黒板作成部
112 認識部
113 重畳表示部
114 抽出部
115 計算部
116 判断部
117 表示切替部
118 DB作成部
12 墨出し位置
120 表示装置
121 表示部
122 タッチパネル
15 管理対象物
16 設置予定位置
17 目印
200 電子黒板
201 設計図面
202 破線枠
203 画面
204,207 画像
208 データベース
209 基準尺
50 カメラ
57 撮像部
58 保存部
59 通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7