(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187269
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】自然体験ツアー運営管理方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/14 20120101AFI20221212BHJP
【FI】
G06Q50/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095211
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】521245636
【氏名又は名称】佐藤 智之
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 智之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 安男
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC26
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ツアーに関して蓄積された情報を当事者同士が効率的に共有できるとともに、年齢、経験、身体条件を問わずに全ての人々が夫々の形で自然体験ツアーに参加でき、ひいては、自然環境保護に資する自然体験ツアー運営管理方法及びシステムを提供する。
【解決手段】海洋体験ツアー運営管理システムにおいて、管理サーバ20は、参加情報を取得する取得部30と、サポータからの支援情報を取得する支援情報取得部31と、支援受けアクアリストと独立アクアリストとに分類するアクアリスト分類部26と、支援を受けアクアリストに関してはサポータとのマッチングを行なって海洋体験ツアーを協働して達成するサポータ・アクアリストペアを決定するペア決定部27と、海洋体験ツアーに関する返礼映像をサポータに提供する旨の条件を支援受けアクアリストに対して付与する条件付与部28と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信手段を通じてやりとりされる自然体験ツアーに関するツアー情報を所定のアルゴリズムにしたがってコンピュータにより処理することによって自然体験ツアーを運営管理する自然体験ツアー運営管理方法において、
前記ツアー情報の一部として前記自然体験ツアーに関するツアー企画情報を提供するべくそれに関連するツアー企画情報データを情報拡散媒体に出力するステップと、
前記情報拡散媒体が拡散する前記ツアー企画情報に基づいて前記自然体験ツアーに参加しようとする参加者から参加情報を取得するステップと、
前記参加情報に関連する参加情報データを前記情報拡散媒体に出力するとともに、前記情報拡散媒体が拡散する前記参加情報に基づいて前記参加者の参加費用を支援しようとするサポータから支援情報を取得するステップと、
前記参加者から取得される前記参加情報に基づき、前記参加者を、支援を受けて前記自然体験ツアーに参加する支援受け参加者と、支援を受けずに前記自然体験ツアーに参加する独立参加者とに分類するステップと、
前記支援情報と前記参加情報とに基づいて前記サポータと前記支援受け参加者とをマッチングさせて、前記自然体験ツアーを協働して達成するサポータ・参加者ペアを決定するステップと、
決定された前記サポータ・参加者ペアに対応する前記サポータおよび前記支援受け参加者に対してそれぞれペアが成立した旨の通知を出力するとともに、前記自然体験ツアーに関する返礼映像を前記サポータに提供する旨の条件を前記支援受け参加者に対して付与するステップと、
決定された前記サポータ・参加者ペアに関し、前記自然体験ツアーの実行時および/または完了後、前記支援受け参加者により提供される返礼映像をデジタルデータとして対応する前記サポータに対して出力するステップと、
前記支援受け参加者により提供される返礼映像、前記独立参加者が随意的に提供する前記自然体験ツアーの映像、および、これらに付随する付随情報を含むツアー結果に関連する結果情報をフィードバックするべく結果情報データを前記情報拡散媒体に出力するステップと、
を含むことを特徴とする自然体験ツアー運営管理方法。
【請求項2】
前記自然体験ツアーが海洋体験ツアーであり、前記参加者がアクアリストであることを特徴とする請求項1に記載の自然体験ツアー運営管理方法。
【請求項3】
前記情報拡散媒体に出力される前記ツアー企画情報は、過去の自然体験ツアーに関連して前記情報拡散媒体が拡散する過去拡散情報、および/または、過去の自然体験ツアーに関連して前記サポータおよび前記参加者が提供する過去提供情報に基づいて形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の自然体験ツアー運営管理方法。
【請求項4】
前記過去拡散情報および前記過去提供情報が自然環境情報に関連することを特徴とする請求項3に記載の自然体験ツアー運営管理方法。
【請求項5】
自然体験ツアーに関する前記ツアー情報の一部は、テキストデータ、アニメーションデータ、および、ゲームアプリケーションデータのうちのいずれか1つまたはそれらの任意の組み合わせとして構成されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の自然体験ツアー運営管理方法。
【請求項6】
前記ツアー情報の一部が自然体験物語を構成し、その物語に沿って前記ツアー企画情報が形成されることを特徴とする請求項5に記載の自然体験ツアー運営管理方法。
【請求項7】
前記返礼映像は、録画映像、ライブ映像、および、サポータのアバターを伴うアバーター付き映像のうちのいずれか1つまたはそれらの任意の組み合わせとして構成されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の自然体験ツアー運営管理方法。
【請求項8】
前記サポータおよび/または前記参加者が前記情報拡散媒体の一部を構成することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の自然体験ツアー運営管理方法。
【請求項9】
前記自然体験ツアーが自然環境保護活動に関連付けられることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の自然体験ツアー運営管理方法。
【請求項10】
通信手段を通じてやりとりされる自然体験ツアーに関するツアー情報を所定のアルゴリズムにしたがってコンピュータにより処理することによって自然体験ツアーを運営管理する自然体験ツアー運営管理システムにおいて、
前記ツアー情報の一部として前記自然体験ツアーに関するツアー企画情報を提供するべくそれに関連するツアー企画情報データを情報拡散媒体に出力するツアー企画情報出力部と、
前記情報拡散媒体が拡散する前記ツアー企画情報に基づいて前記自然体験ツアーに参加しようとする参加者から参加情報を取得する参加情報取得部と、
前記参加情報に関連する参加情報データを前記情報拡散媒体に出力する参加情報データ出力部と、
前記情報拡散媒体が拡散する前記参加情報に基づいて前記参加者の参加費用を支援しようとするサポータから支援情報を取得する支援情報取得部と、
前記参加者から取得される前記参加情報に基づき、前記参加者を、支援を受けて前記自然体験ツアーに参加する支援受け参加者と、支援を受けずに前記自然体験ツアーに参加する独立参加者とに分類する参加者分類部と、
前記支援情報と前記参加情報とに基づいて前記サポータと前記支援受け参加者とをマッチングさせて、前記自然体験ツアーを協働して達成するサポータ・参加者ペアを決定するペア決定部と、
決定された前記サポータ・参加者ペアに対応する前記サポータおよび前記支援受け参加者に対してそれぞれペアが成立した旨の通知を出力する通知出力部と、
前記自然体験ツアーに関する返礼映像を前記サポータに提供する旨の条件を前記支援受け参加者に対して付与する条件付与部と、
決定された前記サポータ・参加者ペアに関し、前記自然体験ツアーの実行時および/または完了後、前記支援受け参加者により提供される返礼映像をデジタルデータとして対応する前記サポータに対して出力する返礼映像出力部と、
前記支援受け参加者により提供される返礼映像、前記独立参加者が随意的に提供する前記自然体験ツアーの映像、および、これらに付随する付随情報を含むツアー結果に関連する結果情報をフィードバックするべく結果情報データを前記情報拡散媒体に出力するフィードバック出力部と、
を備えることを特徴とする自然体験ツアー運営管理システム。
【請求項11】
前記自然体験ツアーが海洋体験ツアーであり、前記参加者がアクアリストであることを特徴とする請求項10に記載の自然体験ツアー運営管理システム。
【請求項12】
前記情報拡散媒体に出力される前記ツアー企画情報は、過去の自然体験ツアーに関連して前記情報拡散媒体が拡散する過去拡散情報、および/または、過去の自然体験ツアーに関連して前記サポータおよび前記参加者が提供する過去提供情報に基づいて形成されることを特徴とする請求項10または11に記載の自然体験ツアー運営管理システム。
【請求項13】
前記過去拡散情報および前記過去提供情報が自然環境情報に関連することを特徴とする請求項12に記載の自然体験ツアー運営管理システム。
【請求項14】
自然体験ツアーに関する前記ツアー情報の一部は、テキストデータ、アニメーションデータ、および、ゲームアプリケーションデータのうちのいずれか1つまたはそれらの任意の組み合わせとして構成されることを特徴とする請求項10から13のいずれか一項に記載の自然体験ツアー運営管理システム。
【請求項15】
前記ツアー情報の一部が自然体験物語を構成し、その物語に沿って前記ツアー企画情報が形成されることを特徴とする請求項14に記載の自然体験ツアー運営管理システム。
【請求項16】
前記返礼映像は、録画映像、ライブ映像、および、サポータのアバターを伴うアバーター付き映像のうちのいずれか1つまたはそれらの任意の組み合わせとして構成されることを特徴とする請求項10から15のいずれか一項に記載の自然体験ツアー運営管理システム。
【請求項17】
前記サポータおよび/または前記参加者が前記情報拡散媒体の一部を構成することを特徴とする請求項10から16のいずれか一項に記載の自然体験ツアー運営管理システム。
【請求項18】
前記自然体験ツアーが自然環境保護活動に関連付けられることを特徴とする請求項10から17のいずれか一項に記載の自然体験ツアー運営管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海や山などの自然を体験する自然体験ツアー、例えば海洋体験ツアー、とりわけ、海洋環境保護などの自然環境保護および自然環境再生を目的としたツアーを運営管理するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ユーザの関心や興味にマッチングするツアーに関するツアー情報をネットワークを介して提供するツアー情報提供システムは様々な形態のものが知られている(例えば特許文献1参照)が、このようなシステムに伴うツアーの提供は、一般に、観光業者が集客活動を行なって参加者が来店またはアクセスするという一方向/一回型の集客モデル形式にとどまっているのが現状である。
【0003】
また、近年、SDGs(Sustainable Development Goals;持続可能な開発目標)への関心の高まりに伴い、ツアーと地球環境保護とを結びつける試みもなされつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一方向/一回型の従来の集客モデル形式では、ツアーに関して蓄積された情報を顧客や第三者が効率的に共有し難く、したがって、ツアー情報を循環させて新規市場および顧客を創造拡大することも難しい。
【0006】
また、ツアーの種類によっては、そのツアーに参加できる者が限られる場合がある。とりわけ登山体験ツアーや海洋体験ツアーなどの自然体験ツアーにあっては、一定以上の経験や身体的負担を伴うことから、年齢、経験年数、身体などの条件により全ての人々がツアーに参加できるわけではない。
【0007】
また、自然体験ツアーは、近年、地球環境保護と結びつけられて企画される場合も多く、SDGsの実現にも合致し易いが、多くの資金(参加費用)を要する場合もあり、情報の不十分な拡散により地球環境保護に関して十分な効果が得られていない場合もある。これは、資金が工面できずにツアー参加を断念する者が存在することも一因であると考えられる。
【0008】
また、SDGsに集約される地球環境(海洋環境)の保護および回復は、我々に残された10年間の猶予期間を提唱する「グローバルコモンズ・地球共有資産管理」の概念の誕生から、必ずしも十分な枠組みではないということが周知され始めている。したがって、この目前に迫る地球の危機を迎えた今、地球環境(海洋環境など)の保護および回復を早急に推し進める必要があり、そのためには、環境情報発信のコミュニティの創出、および、この環境情報発信コミュニティとSDGs参加企業との連動が不可欠であり、SDGsに繋がる価値あるライフスタイルおよび企業風土を生み出す体験を提供することが重要になってくる。このことから、自然環境保護活動へ参加するツーリズムの構築、並びに、新たな旅行概念および旅行形態の構築が求められてきている。
【0009】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、ツアーに関して蓄積された情報を当事者同士が効率的に共有できるとともに、年齢、経験、身体条件を問わずに全ての人々がそれぞれの形で自然体験ツアーに参加でき、ひいては、自然環境保護に資することができる自然体験ツアー運営管理方法およびシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明は、通信手段を通じてやりとりされる自然体験ツアーに関するツアー情報を所定のアルゴリズムにしたがってコンピュータにより処理することによって自然体験ツアーを運営管理する自然体験ツアー運営管理方法において、
前記ツアー情報の一部として前記自然体験ツアーに関するツアー企画情報を提供するべくそれに関連するツアー企画情報データを情報拡散媒体に出力するステップと、
前記情報拡散媒体が拡散する前記ツアー企画情報に基づいて前記自然体験ツアーに参加しようとする参加者から参加情報を取得するステップと、
前記参加情報に関連する参加情報データを前記情報拡散媒体に出力するとともに、前記情報拡散媒体が拡散する前記参加情報に基づいて前記参加者の参加費用を支援しようとするサポータから支援情報を取得するステップと、
前記参加者から取得される前記参加情報に基づき、前記参加者を、支援を受けて前記自然体験ツアーに参加する支援受け参加者と、支援を受けずに前記自然体験ツアーに参加する独立参加者とに分類するステップと、
前記支援情報と前記参加情報とに基づいて前記サポータと前記支援受け参加者とをマッチングさせて、前記自然体験ツアーを協働して達成するサポータ・参加者ペアを決定するステップと、
決定された前記サポータ・参加者ペアに対応する前記サポータおよび前記支援受け参加者に対してそれぞれペアが成立した旨の通知を出力するとともに、前記自然体験ツアーに関する返礼映像を前記サポータに提供する旨の条件を前記支援受け参加者に対して付与するステップと、
決定された前記サポータ・参加者ペアに関し、前記自然体験ツアーの実行時および/または完了後、前記支援受け参加者により提供される返礼映像をデジタルデータとして対応する前記サポータに対して出力するステップと、
前記支援受け参加者により提供される返礼映像、前記独立参加者が随意的に提供する前記自然体験ツアーの映像、および、これらに付随する付随情報を含むツアー結果に関連する結果情報をフィードバックするべく結果情報データを前記情報拡散媒体に出力するステップと、
を含むことを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、情報拡散媒体を通じてツアー企画情報を広く拡散し、自然体験ツアーに参加しようとする参加者からの参加情報と、その参加情報に基づいて参加者の参加費用を支援しようとするサポータからの支援情報とを取得するとともに、参加者を支援受け参加者と独立参加者とに分類して、支援受け参加者に関しては、サポータとのマッチングを行なって自然体験ツアーを協働して達成するサポータ・参加者ペアを決定し、自然体験ツアーに関する返礼映像をサポータに提供する旨の条件を支援受け参加者に対して付与するようにしているため、参加者は、資金不足によりツアー参加断念を強いられずに済む一方で、サポータは、資金的支援をしつつ返礼画像を取得して参加者の自然体験ツアーを疑似的に体験できるようになる。したがって、年齢、経験、身体条件を問わずに全ての人々がそれぞれの形で自然体験ツアーに参加することが可能になり、ひいては、自然環境(海洋環境などの地球環境)の保護および回復に関する活動も促進することができるようになり、SDGsの実現に寄与することもできる。
【0012】
また、上記構成によれば、支援受け参加者により提供される返礼映像、独立参加者が随意的に提供する自然体験ツアーの映像、および、これらに付随する付随情報を含むツアー結果に関連する結果情報が情報拡散媒体にフィードバックされるようになっているため、ツアーに関して蓄積された情報を当事者および第三者が効率的に共有でき、したがって、環境情報発信のコミュニティを創出できるとともに、この環境情報発信コミュニティとSDGs参加企業との連動も可能になる。また、これにより、ツアー情報を循環させて新規市場および顧客を創造拡大することができ(新たなツーリズム市場を創出して、様々な新事業の開発が可能となり)、寄付サポータの醸成も可能になるとともに、結果情報として自然環境情報がフィードバックされることより、情報拡散媒体を通じて一般社会におけるSDGs文化が醸成されるようにもなる。これは、SDGsに繋がる価値あるライフスタイルおよび企業風土を生み出す体験の提供、自然環境保護活動へ参加するツーリズムの構築、ドネーションツーリズムという新たな旅行形態および旅行概念の構築にも寄与し得る。
また、上記構成では、特に、自然体験ツアーに関するツアー情報の一部が、テキストデータ、アニメーションデータ、および、ゲームアプリケーションデータのうちのいずれか1つまたはそれらの任意の組み合わせとして構成されるとともに、そのツアー情報の一部が自然体験物語を構成する場合、その物語に沿ってツアー企画情報が形成されることが好ましい。これによれば、例えば、出版物およびデジタル機能を利用して事前に自然環境保護の物語(例えば、観光地巡りのための物語やゲーム)を読んだ人々(事前に書籍やウェブサイトを通じて「海洋環境を守る物語」を読んでそれに賛同する人々など)により、自然環境保護を目的とした文化空間が創出され、その概念の下に催行されるリアルとデジタルのツアーを多角的に運営管理できるとともに、事前に物語を書籍やメディアで体験した人々がその物語に沿って展開されていく自然体験ツアーに参加できるという、新たな概念の旅を創出できるようになる。
【0013】
なお、上記構成において、「自然体験ツアー」とは、海や山などの自然を体験するツアーを意味し、例えば、海洋体験ツアー、登山体験ツアーなどを挙げることができる。また、そのような自然体験ツアーは、単に娯楽のみを目時とするツアー、環境保護など所定のテーマを伴うツアー、専門家が行なう各種専門活動を主眼としたツアーなど、ありとあらゆるツアーを含み、その目的や形式は問わない。また、そのような自然体験ツアーに参加しようとする参加者は、特にその形態が限定されず、例えば、登山家やアクアリストなどを挙げることができる。「アクアリスト」とは、海洋で活動できる全ての人を指し、例えば、一例として、水族館の飼育者やトレーナ、アクアショップの職員、趣味としてアクアリウムを楽しむ人、ダイバー、その他の海洋業界に従事している人などを挙げることができる。また、「サポータ」とは、参加者のツアー参加活動に共感してツアー参加資金を提供できる全ての人、企業、団体などを指し、その形態を問わない。また、「ツアー情報」(ツアー関連情報ともいう)とは、「ツアー企画情報」「参加情報」「支援情報」「映像」の情報などを含めて自然体験ツアーに関連する全ての情報を指す広い概念である。また、「情報拡散媒体」とは、Twitter(ツイッター)、Facebook(フェイスブック)、Line(ライン)やInstagram(インスタグラム)などのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)はもとより、一般社会の任意の構成要素(公衆、企業、事業体など)、水族館市場(国内外)、エシカル消費市場、SDGs参加企業、一般観光市場、海洋観光市場、ダイビング市場、新価値創造市場、出版社、その他、通信手段に接続するサーバ、データベースなど、情報を拡散し得るありとあらゆるものを指し、その形態を問わない。なお、サポータおよび/または参加者が情報拡散媒体の一部を構成しても構わない。
【0014】
また、本発明は、前述した特徴を有する自然体験ツアー運営管理システムも提供する。このようなシステムを用いて前述した自然体験ツアー運営管理方法を自動的にまたは半自動的に実現することができる。すなわち、自然体験ツアーに関する情報を得たいユーザは、例えばPC(コンピュータ)や携帯電話などの利用端末を利用し、インターネット等の通信網を介して所定のウェブページにアクセスして、自然体験ツアーに関するありとあらゆる情報を入手できるとともに、そのような情報を提供することもできる。また、それらの情報はデータベースに蓄積され、また、サーバが、そのような情報を管理して、前述した自然体験ツアー運営管理方法を実行するプログラムを実行してもよい。そのようなプログラムは図示しないメモリまたはデータベースに記憶されてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ツアーに関して蓄積された情報を当事者同士が効率的に共有できるとともに、年齢、経験、身体条件を問わずに全ての人々がそれぞれの形で自然体験ツアーに参加でき、ひいては、自然環境保護に資することができる自然体験ツアー運営管理方法およびシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る海洋体験ツアー管理システムの概念図である。
【
図2】
図1の海洋体験ツアー管理システムのサーバ構成の詳細を示すブロック図である。
【
図3】
図1の海洋体験ツアー管理システムにより実行される海洋体験ツアー管理処理(海洋体験ツアー管理方法)のフローチャートである。
【
図4】サーバを構成するプラットフォーム、情報拡散媒体を構成するSNS拡散循環型マーケット、サポータ、および、アクアリスト同士の間の情報(データ)のやりとりの一例を示す概念的な関係図である。
【
図5】本発明の海洋体験ツアー管理方法およびシステムの概念を示す第1の例図である。
【
図6】本発明の海洋体験ツアー管理方法およびシステムの概念を示す第2の例図である。
【
図7】本発明の海洋体験ツアー管理方法およびシステムの概念を示す第3の例図である。
【
図8】本発明の海洋体験ツアー管理方法およびシステムの概念を示す第4の例図である。
【
図9】本発明の海洋体験ツアー管理方法およびシステムの概念を示す第5の例図である。
【
図10】本発明の海洋体験ツアー管理方法およびシステムの概念を示す第6の例図である。
【
図11】本発明の海洋体験ツアー管理方法およびシステムの概念を示す第7の例図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明するが、本実施の形態は、国連の提唱する持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)に貢献する。
図1には、通信手段10を通じてやりとりされる自然体験ツアーの一例としての海洋体験ツアーに関するツアー情報を所定のアルゴリズムにしたがってコンピュータにより処理することによって海洋体験ツアーを運営管理する(海洋体験ツアー運営管理方法を実行する)海洋体験ツアー運営管理システム1の一例が示される。この海洋体験ツアー運営管理システム1は、データ(ツアー関連情報や映像など)を入出力するためのアクアリスト(参加者の一例)用の端末2Aと、データ(ツアー関連情報や映像など)を入出力するためのサポータ用の端末2Bと、情報拡散媒体の一例としてのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)サーバ4と、通信手段10を介して端末2A,2BおよびSNSサーバ4にデータ通信可能に接続される管理サーバ20とを少なくとも有する。なお、
図1では、端末2A,2Bがサポータ用およびアクアリスト用として1つずつ示されているが、このシステム1に接続する端末2A,2Bが無数に存在し得ることは言うまでもない。また、その場合、サポータおよび/またはアクアリストの少なくとも一部がSNSサーバ4とは別個の他の情報拡散媒体を構成しても構わない。あるいは、そのような情報拡散媒体を構成するサポータおよび/またはアクアリストがSNSサーバ4に取って代わってもよい。また、システムという形態ではなく、海洋体験ツアー運営管理方法を実行するためのコンピュータプログラムまたは該プログラムが格納されたコンピュータプログラムプロダクト(記録媒体)として存在していてもよい。
【0018】
この場合、通信手段10は、端末2A,2B、SNSサーバ4、および、管理サーバ20同士の間で情報のやり取りを行なうものであり、有線通信、無線通信のいずれであってもよい。そのような通信手段10としては、例えば、有線ケーブルを用いた回線、有線電話回線、携帯電話回線、WiFi回線などが挙げられる。また、端末2A,2Bとしては、例えば、パーソナルコンピュータやスマートフォン、タブレット端末等を利用することができる。
【0019】
図2には、管理サーバ20の概念的な構成がブロック図で示される。図示のように、管理サーバ20は、端末2A,2Bからのデータが入力される入力部21と、入力部21に入力されるデータに基づいて所定のアルゴリズムを用いたコンピュータによる処理によって海洋体験ツアーを管理するエンジン23と、エンジン23で得られたデータを端末2A,2Bおよび/またはSNSサーバ4に出力するための出力部22と、海洋体験ツアーに関連する各種データを記憶するデータベース36とを備える。なお、エンジン23は、全体の統括制御および複雑な演算処理を行なうCPUと、膨大な単純計算を並列に分散処理するGPUとから構成されてもよく、或いは、人工知能(AI)を伴ってもよい。
【0020】
エンジン23は、各種データを取得するデータ取得部25と、アクアリスト分類部(参加者分類部)26と、ペア決定部27と、条件付与部28と、各種データを出力するデータ出力部29とを備える演算処理部24を少なくとも含む。
【0021】
データ出力部29を構成するツアー企画情報出力部33は、ツアー情報の一部として海洋体験ツアーに関するツアー企画情報を提供するべくそれに関連するツアー企画情報データを出力部22を介して情報拡散媒体であるSNSサーバ4に出力するようになっている。また、データ取得部25を構成する参加情報取得部30は、SNSサーバ4が拡散するツアー企画情報に基づいて海洋体験ツアーに参加しようとするアクアリストから参加情報を入力部21を介して取得するようになっている。また、データ出力部29を構成する参加情報データ出力部34は、参加情報に関連する参加情報データを出力部22を介してSNSサーバ4に出力するようになっている。また、データ取得部25を構成する支援情報取得部31は、SNSサーバ4が拡散する参加情報に基づいてアクアリストの参加費用を支援しようとするサポータから支援情報を入力部21を介して取得するようになっている。
【0022】
また、アクアリスト分類部26は、アクアリストから取得される参加情報に基づき、アクアリストを、支援を受けて海洋体験ツアーに参加する支援受けアクアリスト(支援受け参加者)と、支援を受けずに海洋体験ツアーに参加する独立アクアリスト(独立参加者)とに分類するようになっている。また、ペア決定部27は、支援情報と参加情報とに基づいてサポータと支援受けアクアリストとをマッチングさせて、海洋体験ツアーを協働して達成するサポータ・アクアリストペア(サポータ・参加者ペア)を決定するようになっている。また、データ出力部29を構成する通知出力部37は、決定されたサポータ・アクアリストペアに対応するサポータおよび支援受けアクアリストに対してそれぞれペアが成立した旨の通知を出力部22を介して出力するようになっている。条件付与部28は、海洋体験ツアーに関する返礼映像をサポータに提供する旨の条件を支援受けアクアリストに対して付与するようになっている。条件付与部28により条件が付与された支援受けアクアリストおよび対応するサポータに関連する情報は、その後の返礼映像の管理のために使用される。
【0023】
また、データ取得部25を構成する返礼映像取得部32は、海洋体験ツアーの実行時および/または完了後、支援受けアクアリストから入力部21を介して返礼映像を取得するようになっている。また、データ出力部29を構成する返礼映像出力部35は、海洋体験ツアーの実行時および/または完了後、返礼映像取得部32により取得された返礼映像をデジタルデータとして対応するサポータに対して出力部22を介して出力するようになっている。また、データ出力部29を構成するフィードバック出力部37は、支援受けアクアリストにより(例えば入力部21を介して)提供される返礼映像、独立アクアリストが随意的に(例えば入力部21を介して)提供する海洋体験ツアーの映像、および、これらに付随する付随情報を含むツアー結果に関連する結果情報をフィードバックするべく結果情報データを出力部22を介してSNSサーバ4に出力するようになっている。
【0024】
なお、エンジン23は、本実施の形態では、このように、データ取得部25、アクアリスト分類部26、ペア決定部27、条件付与部28、データ出力部29を個別に有するが、これらの構成要素の少なくとも一部または全部を統合する機能部から構成されてもよく、要は、これらのそれぞれの構成要素の機能が確保されてさえいれば、どのような形態で存在していても構わない。
【0025】
次に、
図3のフローチャートを参照しながら、エンジン23で行なわれる処理について説明する。
まず初めに、エンジン23は、ツアー情報の一部として海洋体験ツアーに関するツアー企画情報を提供するべくそれに関連するツアー企画情報データをツアー企画情報出力部33を介してSNSサーバ4に出力する(ステップS1)。この場合、SNSサーバ4に出力されるツアー企画情報は、過去の海洋体験ツアーに関連してSNSサーバ4が拡散する過去拡散情報、および/または、過去の海洋体験ツアーに関連してサポータおよびアクアリストが提供する過去提供情報に基づいて形成されてもよく、また、その場合、過去拡散情報および過去提供情報が海洋環境情報(自然環境情報)に関連していてもよい。また、海洋体験ツアーに関するツアー情報の一部は、テキストデータ、アニメーションデータ、および、ゲームアプリケーションデータのうちのいずれか1つまたはそれらの任意の組み合わせとして構成されてもよく、そのツアー情報の一部が海洋体験物語(自然体験物語)を構成していてもよい。また、その場合、その物語に沿ってツアー企画情報が形成されてもよい。さらに、海洋体験ツアーが海洋環境保護活動に関連付けられてもよい。
【0026】
その後、エンジン23は、SNSサーバ4が拡散するツアー企画情報に基づいて海洋体験ツアーに参加しようとするアクアリストから参加情報取得部30によって参加情報が取得されたか否かを判断し(ステップS2)、参加情報が取得された場合には、その参加情報に関連する参加情報データを参加情報データ出力部34を介してSNSサーバ4に出力する(ステップS3)。その後、エンジン23は、SNSサーバ4が拡散する参加情報に基づいてアクアリストの参加費用を支援しようとするサポータから支援情報取得部31によって支援情報が取得されたか否かを判断し(ステップS4)、支援情報が取得された場合には、アクアリスト分類部26によって、アクアリストから取得される参加情報に基づき、アクアリストを、支援を受けて海洋体験ツアーに参加する支援受けアクアリストと、支援を受けずに海洋体験ツアーに参加する独立アクアリストとに分類する(ステップS5)とともに、ペア決定部27によって、支援情報と参加情報とに基づいてサポータと支援受けアクアリストとをマッチングさせて、海洋体験ツアーを協働して達成するサポータ・アクアリストペアを決定する(ステップS6)。
【0027】
続いて、エンジン23は、ペア決定部27によって決定されたサポータ・アクアリストペアに対応するサポータおよび支援受けアクアリストに対してそれぞれペアが成立した旨の通知を通知出力部37を介して出力するとともに、海洋体験ツアーに関する返礼映像をサポータに提供する旨の条件を条件付与部28により支援受けアクアリストに対して付与する(ステップS7)。その後、エンジン23は、海洋体験ツアーが実行中または終了済みかどうかを判断し(ステップS8)、実行中または終了済みである場合には、支援受けアクアリストから返礼映像が返礼映像取得部32により取得されたか否かを判断する(ステップS9)。返礼映像取得部32により返礼映像が取得された場合、エンジン23は、返礼映像出力部35を介してその返礼映像をデジタルデータとして対応するサポータ(サポータ用の端末2B)に対して出力する(ステップS10)。なお、返礼映像は、録画映像、ライブ映像、および、サポータのアバターを伴うアバター付き映像のうちのいずれか1つまたはそれらの任意の組み合わせとして構成されてもよい。また、エンジン23は、その後、適時に、支援受けアクアリストにより提供される返礼映像、独立アクアリストが随意的に提供する海洋体験ツアーの映像、および、これらに付随する付随情報を含むツアー結果に関連する結果情報をフィードバックするべく結果情報データをフィードバック出力部36を介してSNSサーバ4に出力する(ステップS11)。
【0028】
図4には、以上の構成の海洋体験ツアー運営管理システム1に基づく、管理サーバ20を構成するプラットフォーム、情報拡散媒体を構成するSNS拡散循環型マーケット、サポータ、および、アクアリスト同士の間の情報(データ)のやりとりの一例が概念的に示されている。プラットフォームはSNS拡散循環型マーケットと共に「共感と連帯による市場拡大再生産システム」を構成し、SDGs集客アプリ、Facebook・SNS、海旅ファンディングを介して海洋体験ツアーに関連する情報を提供・拡散する。また、プラットフォームは、そのウェブサイトにおいて、海洋体験ツアーの物語を出版物(漫画・絵本)、サイト内電子書籍、物語ゲームなどを通して提供する。特に、出版物はSNS拡散循環型マーケットにおいても配布され、また、サイト内電子書籍および物語ゲームにはSNS拡散循環型マーケットを介してアクセスできる(
図4中に矢印で示されるデータbの流れを参照)。サイトでの物語体験は、サポータである「物語の旅/情報拡散媒体」においても行なえる。ここでは、「物語の旅/情報拡散媒体」が、「物語の旅ポータルサイト空間」と、「国際デジタル水族館&ラボ」とを含む。「物語の旅ポータルサイト空間」は、世界の海洋環境調査情報、海洋体験ツアー&環境情報、および、アクアリスト&サポータ情報を保有し、また、「国際デジタル水族館&ラボ」は、世界の水族館ネットワークおよび世界の天然の海/水族館から構成される。また、「物語の旅/情報拡散媒体」と、サポータとアクアリストとが構成する「産業/大学&研究所/環境庁&自治体」(グローバルコモンズ/地球共有資産管理を担う)と、アクアリストを構成するSDGs参加企業群(および/または、スチュワードシップ;海洋環境の管理を担う群)との間では、これらが保有する情報同士のやりとりがなされ(
図4中に矢印で示されるデータfの流れを参照)、情報の循環Cが形成される。
【0029】
また、プラットフォームは、海のアカデミアとして、水惑星である地球の不思議の世界に関する情報、アクアリストの海情報、アクアリストの活動情報、サポータの情報などを供給する。これらの情報は、SNS拡散循環型マーケットを通じた「地球の海を学ぶ」、「守りたい海を探す」、「アクアリストの選定」、「サポータに関する疑問」などの情報検索に寄与するとともに、支援サポータ(寄付サポータ)の登録、ひいては、サポータの支援を受ける支援受けアクアリスト(寄付受アクアリスト、例えばダイバー)の発掘や、アクアリストによる映像データの提供も促し得る(
図4中に矢印で示されるデータaの流れを参照)。なお、ダイバーなどの支援受けアクアリスト(寄付受アクアリスト)と、アクアリストを構成するSDGs参加企業群(および/または、スチュワードシップ;海洋環境の管理を担う群)と、「国際デジタル水族館&ラボ」との間でも、これらが保有する情報同士のやりとりがなされ(
図4中に矢印で示されるデータgの流れを参照)、情報の循環Bが形成される。
ここで、情報の循環Bは、情報の循環Cと相互作用し合う。すなわち、アクアリストの活動を「物語の旅/情報拡散媒体」で集約し、その海洋環境情報を「産学官」と共有し、それが「SDGs企業」などのスチュワードシップに活かされて情報の循環Cが機能し、それがまた情報の循環Bにも影響する。
【0030】
また、プラットフォームは、映像マネージメントを行ない、支援受けアクアリスト(寄付受アクアリスト)から提供されるアクアリスト映像を取得してそれを対応する支援サポータ(寄付者)に供給する。また、これは、寄付サポータの登録も促す(
図4中に矢印で示されるデータcの流れを参照)。さらに、プラットフォームは、その映像マネージメントにおいて、独立アクアリスト(例えばダイバー)から提供されるアクアリスト映像も取得し、それをSNS拡散循環型マーケットを通じて例えば「24時間世界の海動画配信」によって拡散する。これは、サポータによる新規事業開発を促進させる(
図4中に矢印で示されるデータdの流れを参照)。また、支援受けアクアリストおよび独立アクアリストから提供される映像は、情報発信コミュニティを構築するSNS拡散循環型マーケットを通じて拡散されるとともに、プラットフォームとSNS拡散循環型マーケットとが構成する「共感と連帯による市場拡大再生産システム」を通じて「書籍配布」、「サイトでの物語体験」、および、「サイトでのゲーム」の実行に寄与し、それにより、情報の循環Aを形成する(
図4中に矢印で示されるデータeの流れを参照)。
【0031】
図4に示される情報の流れは、海洋環境保護ツーリズムという「物語で体験するエコ旅」の創出と、その実現手法を特徴としており、海洋環境保護ツーリズムへの手法としては、以下を挙げることができる。
1.環境保護活動およびその支援事業をSNSでフィードバックし、市場の循環および潜在市場を喚起する市場拡大スパイラルの構築。
2.市場拡大再生産型ファンディングによる同ツアーへの寄付サポータ群の醸成、および、環境保護情報発信コミュニティの創出。
3.環境保護情報発信コミュニティによるSNS&動画配信、並びに、同事業活動およびドネーション/寄付ツーリズム市場への情報発信。
4.ドネーションツーリズム(寄付サポータによる同体験ツアー参加者への寄付)という海洋ツアー体験費支援型ツーリズム構築。
5.寄付サポータに対するツアー参加者/アクアリストの協力により実現するサポータのアバター&バーチャル海洋体験。
(WEB・アプリ・SNS・クラウドファンディングを有機的に連携させることにより、これ迄にない市場拡大の連鎖システムが完成)。
これらの手法は、ユーザインタフェースおよびユーザエクスペリエンスとの協働を伴う「物語の旅/情報拡散媒体」によって推進されて、以下の5つの特徴を伴う「物語で体験する海洋環境保護ツーリズム」が実現される。
1.SDGs豊かな海を再生する「海の物語ツーリズム」を通して、人類が連帯して心を海に注ぐ社会的ムーブメントの創出。
2.海を守る物語/教育/ゲームを展開エンジンとする、海洋環境保護活動へ直接的/間接的に参加するメカニズムの構築。
3.海洋環境教育に資するツーリズムとして、寄付サポータ群と海洋体験アクアリスト群との連携連帯意識の醸成を計る。
4.海洋環境保護に特化した各種コンテンツの発信の場として、創造的エコツーリズムのコミュニティと教育空間を創出。
5.地球温暖化対策を目指し、ブルーカーボンオフセット等のCO
2排出権取引に資する社会的システムの構築。
なお、「国際デジタル水族館」は、SNSおよびFacebook、海旅クラウドファンド、SDGs集客用アプリ、海の動画投稿サイト、海の見守り隊ブログ、海物語サイトゲーム、マリンアカデミアを実行・推進する。
【0032】
図5は、前述した
図4の情報の流れを、マーケット(SDGsグローバルコモンズ:人生の価値の発見)を中心としたコンテンツ(海の物語ツーリズム;国際デジタル水族館&ラボ、物語体験型オプショナルツァー、物語体験型海洋環境保護活動)とエクスペリエンス(異なる三つの体験コース;海洋体験ツアー/アクアリスト、デジタル海洋体験/サポータ、水族館・サイトでゲーム/一般)と、ジェネレーション(市場拡大再生産システム;集客アプリ&Webの連携、Facebook 等のSNSへの拡散、海旅クラウドファンディング)との間の関係から見た概念図を示す。
なお、SDGsグローバルコモンズ(
図4参照)の実現は以下に基づく。
1.物語ツーリズムによる「人生の価値の発見」の実現は、グローバルコモンズの〈物語→体験→再生産〉の循環によりなされる。
2.「共感と連帯による市場拡大再生産システム」は、物語ツーリズムの国際展開における循環(
図4に示される情報の循環A)による。
3.「海洋環境管理」は、アクアリスト・海洋体験者/マリンアカデミア・教育事業/SDGs参加企業の循環(
図4に示される情報の循環B)による。
4.「地球資源管理」は、アクアリストによる海洋環境情報を受ける「産学官」と、スチュワードシップとの循環(
図4に示される情報の循環C)による。
【0033】
図6は、総合的・共感性の地球観を示す。私達人間と水の惑星・地球の自然との関係性は、古の東洋において人は、自然に対する親しみと畏敬の念を抱いており、自然は我々人間の心を受け入れるかのようにそこには人と自然とが調和する世界があった。一方、西欧文明において自然とは征服し資源を収奪する対象であり、産業革命以降の世界的な工業化は人と自然との対話と調和を忘れさせ、現在私達は、地球の危機を迎え後戻りできない臨界点を目前にしている。私達は今、この地球の自然の持つ復元力に力を与えるために、人類の心・精神を自然に注ぐことをテーマとした“統合的で共感性のある思想と最新の科学”により自然との新たな関係性を紡ぎだし、そしてこの事業が“心を変えれば世界が変わる希望の泉”となり得る。新たなSDGsの方向性は、コンサートのように「観客・音楽・演奏者」が三位一体となって生まれるハーモニーの創出にあると考えられる。
1.自然復元力・創発・・・地球の自然界には元々環境を復元する能力が備わっているが、産業革命以降の全地球規模の工業化により、近未来において復元力を超える後戻りできない臨界点に達する。構成要素の相互作用による生まれる新たな自然界の復元性を発現させる「創発」という概念の下での自然復元力は、人の心と海との相互作用によって生まれる(物語ツーリズム)。
2.心を自然界に注ぐ・・・地球の生命圏を司る海洋は、まるで意識を持ったかのような巨大な一つの生命体の様に感じられる。この星の全ての命を司る海洋に我々の共感の心を注ぐとは、
図6中の1の海を守る物語 に導かれる新たな人の心をもって、
図6中の3の海の守り人となる「アクアリスト」への共感性により、個人あるいは団体として海洋環境保護活動を経済的に支援する(サポータ)。
3.環境保護活動・・・実際に海浜や海中で海洋環境保護活動を行なう海の守り人「アクアリスト」は、
図6中の1の海を守る物語に沿った形で、
図6中の2のサポータの支援により保護活動を行なう。この自然界での活動は静止画や動画によって撮影され、
図6中の1,2の対象者に提供される。この映像による3者間の共感性が新たなフィードバックとして、新たな創発を生むこととなる(アクアリスト)。
【0034】
図7は、本発明の海洋体験ツアー運営管理方法およびシステムの概念を別の観点から見た例図である。
海の物語の展開は、出版物やアニメで広くパブリックに行なわれるが、それを補完するために「デジタルマーケティングサイト」および「アナログの全国水族館」との連携を通して行なわれ、それをアプリにて集約し、サポータ(環境活動支援/ツアー代寄付者)およびアクアリスト(ツアー参加者)の募集を行なう。
サポータのデジタルの海旅に関しては、年齢・経験・身体条件などから全ての人々がリアルな海旅に参加できるわけではない。そこで、ここでは、同じ物語の旅に対しデジタル版も用意され、全ての人々がそれぞれの形で“海を守る冒険の旅”に参加できるようになっている。サポータによるデジタル旅には「アバター」を用意し、リアル旅行者/アクアリストにはそのアバターが同行し、アクアリストと共に海の環境の動画撮影を行なう。
アクアリストのリアルな海旅に関して、世界の海において実際に海洋体験を行なうアクアリストには、全額自費で海洋体験ツアーに参加する独立アクアリストと、サポータからの寄付金をツアー代の一部として利用する支援受けアクアリストの2通りがあり、共に共通の体験メニューがあるが、支援受けアクアリストの場合は、サポータへの返礼としてのアバター付き海中動画撮影を行なう。
地球上の全ての生命のシステムを維持している母なる海を、デジタルおよびリアルで体験することにより獲得する“体験智”が、サポータとアクアリストの心の世界を拡げることになる(生命の海/地球システムの再生)。
【0035】
図8は、本発明の海洋体験ツアー運営管理方法およびシステムの概念を別の観点から見た他の例図である。
この図は、物語ツーリズム・プラットフォーム事業展開を示している。SDGsを指向する海の物語ツーリズムは、「倫理的消費者/サポータ」と「海洋体験者/アクアリスト」を「命の海を守る」をテーマにした物語で結びつけることにより“海を守る文化的コミュニティ”を創出する。海の守り人としての活動を、文化面と経済面で支えるのが「サポータ」であり、一方、実際の海洋体験を通して具体的に海の環境を再生するのが「アクアリスト」という構成になる。
(事業の展開要素)
・SDGs物語ツーリズム&ゲーム:展開エンジンとして高価値のファンタジックな物語を創案(一般用/参加者用)
・映像&アバターによる展開方法:アクアリストは寄付に対し、サポータ・アバターによるツアー映像を提供。
・リアル旅とデジタル旅を結ぶDX:5Gデジタル技術により、実際の旅の動画をVRやARにデジタル変換し配信。
・アルゴリズム機能を持つアプリ:物語サイト~水族館~天然の海を結ぶアプリはデジタルマーケティングにて展開。
・サポータとクラウドファンディング事業:社会的ムーブメントを起こすサポータ創出はクラウドファンディングで行う。
【0036】
図9は、本発明の海洋体験ツアー運営管理方法およびシステムの概念を別の観点から見た他の例図である。
この図は、物語ツーリズム・ビジネスフレームワーク/アルゴリズム型アプリの展開を示している。AAI統轄事業、AAI運営事業、ツアー主催者は、管理サーバ20を構成するプラットフォームの動作下に置かれる。
AAI統括事業は、「物語旅行企画」を一般消費市場に提供すると共に、その事業権を AAI に供給する。また、AAI運営事業は、アクアリスト・ツアー主催者に対し使用機材の販売・貸与およびツアー催行権を貸与する。AAI運営事業は、AAIクラウドファンド事業を管理し、一般社会からの寄付サポータ募集事業を統括する。AAIクラウドファンドは、サポータの維持発展のためにAAI海MAPを運営し、ファンド事業の基盤を整備する。サポータからの寄付金は、AAI管理の下で、ツアー主催者またはツアー参加者に提供/預託される。ツアー参加者は、寄付金を受けてツアー料金の「無償/減額」されて、アクアリスト・ツアーを体験する。ツアー参加者は、寄付金への返礼として、サポータ・アバターによる体験動画を無償で受け取る。
【0037】
図10は、本発明の海洋体験ツアー運営管理方法およびシステムの概念を別の観点から見た他の例図である。
この図は、展開エンジンとして高価値のファンタジックな物語を創案することを示している(SDGs物語ツーリズム&ゲーム)。物語ツーリズムの基盤となる「海を守る物語」は、大規模にEC/倫理的消費行動を喚起することが前提である。物語のコンセプトは、科学と神話を繋ぐ、我々の無限の想像力を開花させる、希望と驚きに満ちたものである。物語の原案・原作はAAIにて行なわれ、超短編小説編、漫画偏および、後にゲーム展開可能な仕立てとする。作品の展開は、サイト・出版社、IT企業、全国水族館、アプリを通し一般消費市場に広がることを目指す。旅行商品としての販売は、専用サイト、旅行会社、ツアー主催者、水族館その他にて行なわれる。
【0038】
図11は、本発明の海洋体験ツアー運営管理方法およびシステムの概念を別の観点から見た他の例図である。
この図は、アクアリストがサポータの寄付に対してツアー映像を返礼として提供することを示す(映像&アバターによる展開方法)。
A)映像事業展開は、ツアー参加者が動画撮影し、それを動画サイト等にアップして国際的に拡散をはかる。
B)海中環境の動画撮影は、開発中の器材によるが、アートでSDGsに繋がるものへと加工用ソフトを用意。
B)サポータには個別のアバターを用意し、アクアリストはサポータのアバターを画像にマージさせる。
B)アクアリストは、AAIを通してアバター付きの動画を寄付金の返礼として提供する。
ここでは、リアル旅とデジタル旅を結ぶDXを展開する(5Gデジタル技術により実際の旅の動画をVR/ARにデジタル変換し配信)
1.アクアリストは、リアルの海洋体験を動画に収め、AAIに送ると共に自身でも動画サイトに投稿できる。
2.AAI運営部は、アクアリストより受け取った海中映像をサポータ向けに編集し、サポータに送る。
3.サポータは、自分のアバター付き動画をサイトに投稿し且つ、無料でAAIの24時間動画配信を受信する。
4.動画配信事業は、国際展開される物語ツーリズムの海の映像を、リアルタイムの24時間配信をめざす。
【0039】
このように、本発明によれば、地球環境や経済を取り巻く様々な問題により世界中の観光産業が壊滅的な打撃を受けるような場合でも、観光産業の枠組みを変えて、すなわち、パラダイムシフトをさせることにより、観光産業を回復させることができるようになる。また、本発明によれば、これまでの空疎な観光旅行や海洋体験を、旅人の「人生に価値観の軸を提供」する思想背景の旅に変えることができ、したがって、物語およびサイトを読む日常と、リアルの旅を行なう非日常とを繋いで、その両方の体験から幸福感情への到達をもたらすことができる。
【0040】
以上、本発明の様々な実施形態を示してきたが、本発明は、前述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。例えば、前述した実施形態では、自然体験ツアーの一例として海洋体験ツアーを例にとって説明したが、自然体験ツアーは海洋体験ツアーに限らない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、前述した実施の形態の一部または全部を組み合わせてもよく、あるいは、前述した実施の形態のうちの1つから構成の一部が省かれてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 海洋体験ツアー運営管理システム(自然体験ツアー運営管理システム)
4 SNSサーバ(情報拡散媒体)
23 エンジン
26 アクアリスト分類部(参加者分類部)
27 ペア決定部
28 条件付与部
30 参加情報取得部
31 支援情報取得部
32 返礼映像取得部
33 ツアー企画情報出力部
34 参加情報データ出力部
35 返礼映像出力部
36 フィードバック出力部
37 通知出力部