(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187275
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】ハンドドライヤー
(51)【国際特許分類】
A47K 10/48 20060101AFI20221212BHJP
A61L 9/20 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
A47K10/48 Z
A61L9/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095224
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】511116432
【氏名又は名称】株式会社バンブーケミカル研究所
(71)【出願人】
【識別番号】512189451
【氏名又は名称】株式会社岡部機械工業
(74)【代理人】
【識別番号】100199451
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 隆滋
(72)【発明者】
【氏名】鶴羽 正幸
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA07
4C180DD03
4C180HH05
4C180HH19
4C180LL20
4C180MM01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】菌やウイルスが付着しているかも知れない手に付いた水を床や洗面台の上に落とす問題と、移動しなければ手に付いた水を除去できないという煩わしさを解消しつつも、菌やウイルスの除去、殺菌および拡散防止効果のあるハンドドライヤーを提供する。
【解決手段】殺菌用LED付きハンドドライヤーは、本体1と、送風ノズル4と、送風発生器3と、制御部16と、手洗用液体ノズル20と、水ノズル21と、シャッター22とから構成される。さらに、送風ノズル4が設けられた空気吹き出し開口部と手を挿入する手挿入口14と排気及び排水のための水空気排出管13とが設けられた排気排水開口部を有する手挿入空間2と、送風ノズル4から送風される空気を貯蔵する空気タンク大8と、手挿入空間2から排出される空気を殺菌するための深紫外LED7aと、手挿入空間2と空気タンク大8に接続され、空気の循環構造を形成する循環用管19とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、送風ノズルと、送風発生器と、駆動源としての電源供給部と、制御部とから構成されるハンドドライヤーにおいて、
排気口及び排水口を有する手挿入空間と、
前記手挿入空間に手を挿入するための開口部と、
前記手挿入空間に手洗用液体を送出するノズルと、
前記手挿入空間に水を送出するノズルを有し、
前記送風ノズルから送出された風が前記手挿入空間に流入する、ハンドドライヤー。
【請求項2】
ウイルスや菌を殺菌するLEDを内部に配置した空気タンクを有し、
前記送風ノズルから送出される空気は、前記空気タンクから供給され、
前記排気口と前記空気タンクが接続されて、閉ループの循環構造が形成される、請求項1に記載のハンドドライヤー。
【請求項3】
前記LEDは、深紫外線を発するLEDである、請求項2に記載のハンドドライヤー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドドライヤーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ハンドドライヤーは手に付いた水を除去して乾燥させる機能をもつのみの機器であり、新型コロナウイルス等の感染には、何も効果を発揮せず、むしろ手に付いたウイルス菌を、開放状態の空間で手に空気を吹き付けることで、周辺の広い範囲に菌をまき散らす問題が発生することで、安心して使用することが出来ない課題が含まれている。また、消毒、殺菌機能をもつハンドドライヤーは使われる場合もあるが、新型コロナウイルスなどの強い感染力のある対象のウイルスに対しては、十分に効果を発揮していないのが実情である。また、この場合でも、開放状態のまま空気を手に吹き付けているため、上記と同じく周辺の広い範囲に菌をまき散らす問題が残る。また、従来の一般的なハンドドライヤーは、手を洗うための水道水が出る蛇口や石鹸液が置かれている場所が、通常は4~5歩程度離れた場所にあり、石鹸液や水道水で手を洗った後にハンドドライヤーに移動するまで、まだ菌やウイルスが付着しているかも知れない手に付いた水を床や洗面台の上に落とす問題があるのと、移動しなければ手に付いた水を除去できないという煩わしさがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-193708号公報
【特許文献2】特開2018-187233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、UVAのような長波長の紫外線を出射するUV-LED”を用いた場合であっても、OHラジカルの強い酸化力を利用したセルフクリーニング機構により、より確実に接水表面の殺菌・洗浄を行うことができる水取扱い物品を提供する。紫外線透過性部材の後方に配置した上記UV-LED等の紫外線光源から紫外線を出射して前記光触媒含有層を励起し、その露出表面上にOHラジカルを発生させて洗浄殺菌をおこなうようにする。この場合、手洗いの水を除去して乾燥する際に使用するのではなく、水に手を付けての殺菌となり、結局は乾燥する時の殺菌ではない。また、特許文献2の場合、光触媒を使用することなく、OHラジカルの強い酸化力を利用したセルフクリーニング機構により接水表面の殺菌・洗浄を行うことができる水取扱い物品を提供する。この場合は、特定の領域の裏面から紫外線を照射して、透過紫外線を前記両領域に付着した前記菌洗浄液に照射するようにする。とあるが、上記同様に手の乾燥の際の殺菌ではないので、乾燥の時の菌が付着するという問題もある。
また、上記の特許文献1、及び特許文献2とも、機器の中には、手洗いの機能は付帯しておらず、手に付いた水を取り除く機能は含まれておらず、また、特許文献2では接水表面の殺菌・洗浄を行う機能しか含んでいない。
【0005】
本発明の目的は、このようなことに鑑みてなされたものであり、菌やウイルスが付着しているかも知れない手に付いた水を床や洗面台の上に落とす問題があるのと、移動しなければ手に付いた水を除去できないという煩わしさを解消しつつも、菌やウイルスの除去、殺菌および拡散防止効果のあるハンドドライヤーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的は、本体部と、送風ノズルと、送風発生器と、駆動源としての電源供給部と、制御部とから構成されるハンドドライヤーにおいて、
排気口及び排水口を有する手挿入空間と、
前記手挿入空間に手を挿入するための開口部と、
前記手挿入空間に石鹸液を送出するノズルと、
前記手挿入空間に水を送出するノズルを有し、
前記送風ノズルから送出された風が前記手挿入空間に流入する、ハンドドライヤー、
によって達成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、機器内で、石鹸液と水による手洗いの後、殺菌用LEDで殺菌された空気を手に当てて手に付いた水を除去、乾燥させることができるため、菌やウイルスの除去、殺菌および拡散防止効果のあるハンドドライヤーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態による殺菌用LED付きハンドドライヤーの側面の断面図である。
【
図2】本発明の実施形態による殺菌用LED付きハンドドライヤーの正面図である。
【
図3】本発明の実施形態による殺菌用LED付きハンドドライヤーの機能を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下
図1~
図3を用いて、本発明の実施形態による殺菌用LED付きハンドドライヤーを説明する。尚、以下の全ての図面においては、理解を容易にする為、各構成要素の寸法や比率などは、適宜、異ならせて図示している。
【0010】
実施例として、手の接近を光電センサー18が検出して、シャッター22が自動で開き、手挿入空間2内に手が挿入される。次に手洗用液体ノズル20から一定量だけ石鹸液が噴出し、手に当たって手同士をこすり合せて手に付いた菌や汚れを落とし、所定時間のタイマー設定後の次に水ノズル21から一定量の水が噴出して手に付いた石鹸の泡を濯いだ後に、自動的に次の工程である手に付いた水を除去する工程に移る。なお、手洗用液体ノズル20は、不図示の石鹸液タンクに接続される。水ノズル21は、不図示の開閉切替バルブと水道管に接続される。石鹸水は、石鹸水タンクから不図示のモーターを用いて供給される構成であるが、水道管の水圧を利用して不図示の開閉切替バルブを介して供給される場合があってもよい。
石鹸液及び水が送出された後に、空気タンク大8の中の空気をタンクの内部に取り付けられた深紫外LED7aで殺菌された空気タンク内の空気を、送風駆動部3によって空気タンク小9に空気が圧送される。更に送風ノズル4までの配管5経路の間に、内部に同じく取り付けられた深紫外LED7bで殺菌された空気が溜まる空気タンク小9をもち、このタンクを通過した殺菌された空気が送風ノズル4から密閉された手挿入空間2内で噴出し、この手挿入空間2に手挿入口14から入れられた手洗い後の水の付着した手に空気が勢いよく当たって、手に着いた水を吹き落とし、下部の水、空気排出口13から出て、水は水処理部6に貯められて、この水処理部6にも深紫外LED7cが取り付けられて水が殺菌される。また一方、排出した菌が混入している可能性のある空気は、循環用管19から空気タンク大8まで接続されて戻される。その配管の途中で手動バルブ12で流量の調節ができるようにしている。手が手挿入空間2から退去したことを光電センサー18が検出して、手挿入口14に設けられたシャッター22が自動で閉じる。この手挿入空間2内の使用済みの空気を再度空気タンク大8まで設定時間内で循環することにより、深紫外LED7a、7bで殺菌されて、この循環を毎回繰り返すことで、空気の殺菌効果を益々高めることができると同時に、菌の混入の可能性のある空気を外部に出さないことで安全である。更に、新鮮な空気も一定の比率で空気タンク大8に空気取入れ口10から、フィルター11を通過して流入させることができるようになっている。または、手挿入空間2内にも深紫外LED7dを取り付けているが、手が挿入されている時は直接手に殺菌用LEDを照射すると皮膚等への安全性が保証できないため、手が挿入口から退去した後に、挿入口のシャッターが閉じて機器内部の循環経路で、手挿入空間のLEDを含む全てのLEDが照射して、設定時間内に空気の殺菌の度合いを高めることができる。尚、その他の機能として、手挿入口14のすぐ内側には、手挿入空間2内の空気を手と手挿入口14の間にできる隙間からの外部への空気の流出を防止するためのエアーカーテン15を設けている。また、前述の通り、手が手挿入口14に接近すると光電センサー18の光軸を接近した手が遮ることで、シャッター22が自動で開き、手が挿入されると手が挿入されたことを検出し、本ハンドドライヤー機器は起動状態となり、殺菌と循環の動作を開始するようになっている。さらに、安心して使用できるように手挿入空間に挿入された手が目視できるように正面に透明窓17が設けられている。
【0011】
図1~
図3に示すように、本実施形態は、本体1と、手挿入空間2と、送風駆動部3と、送風ノズル4と、前記送風駆動部と送風ノズルの間を接続する配管5と,水切りされた水を集めて処理する水処理部6と、空気タンク大8と空気タンク小9と上記水処理部6に配置された深紫外LED7a、7b、7cと、空気取入れ口10,とフィルター11と、手動バルブ12と、水空気排出管13,と手挿入口14,エアーカーテン15と、制御部16,と透明窓17と、光電センサー18と、循環用管19、駆動源の電源(不図示)、石鹸水ノズル20、石鹸液タンク(不図示)、水ノズル21、シャッター22とを有している。実施事例では、深紫外線LED7d(不図示)が手挿入空間2の中に取り付けられる場合もある。また、深紫外LED7a、7b、7cには、ピーク波長が250nm~350nmのLEDを用いるのが好適である。
【0012】
また、手に当たって回収された空気と水のうち、空気は再度、空気タンクに戻されて、空気タンクの中で、深紫外LEDによって殺菌されて、循環させることで殺菌の度合いが増す効果があると同時に、菌を含んだ空気を外に出さず、拡散させない効果もある。また、水処理部に一旦蓄えられて深紫外LEDによって十分に殺菌された水は、安全な状態になって排水路に流される。これは、現在、公共施設やホテル棟のトイレで取り付けられているハンドドライヤーのほとんどが、開放の空間で手に空気を吹き付けることで、手についた菌を周辺の広い範囲に飛散させる問題があり、使用が停止されている問題の解決につながる発明である。
本実施形態による発明は、本機器の中で液体石鹸及び、水道水等で手洗い後の手に付いた水を除去する機能をもつハンドドライヤーに関するもので、従来のハンドドライヤーの手を乾かすのみの機能に加えて、同一機器内で、液体石鹸ノズルと水が出るノズルによる手洗いの機能と、ウイルス菌等の感染力の強い菌に対して殺菌効果を有する殺菌機能を有する機器に関するものである。
なお、石鹸液タンク(不図示)には、石鹸液に代えて、次亜塩素酸ナトリウム、エタノール、イソプロパノール、グルタラール、フタラール、ホルマリン、ポビドンヨード、ヨードチンキ、フェノール、ベンザルコニウム塩化物、ベンゼトニウム塩化物、アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩、クロルヘキシジングルコン酸塩、過酢酸、オキシドール、アクリノール水和物等の手洗用液体を用いてもよい。また、上述の実施形態において、水ノズルを有さないで、手洗用液体ノズル20から上記手洗用液体が噴霧される場合があってもよい。
本実施形態による発明は、上述の問題を一挙に解決できる機器として発明されたものである。即ち、同一機器内に、石鹸液による手洗いと、水による濯ぎ、及び新型コロナウイルスも殺菌が可能な機能を有するLEDによって殺菌された空気を手に当てて乾かす三つの機能を同一機器内で実現することで、感染力の強い菌に対しても、機器の周辺に菌を撒き散らすことなく安全に手洗い、と手の乾燥ができ、また、場所の移動の必要が無く楽である。本実施形態の手洗い機能付きハンドドライヤーは、一般の公共施設などの他に、特に病院や、介護施設や、食品会社などで使用される。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明は産業上では日常生活において、家庭内、公共施設、学校、ホテルなど巾広くトイレ付近に設置されて、本機器の中で石鹸液と水で手洗いをし、手洗いの後の手の水を除去しながらウイルスの菌を死滅させることができるハンドドライヤーとして利用できる。
【符号の説明】
【0014】
1 本体
2 手挿入空間
3 送風駆動部
4 送風ノズル
5 配管
6 水処理部
7a、7b、7c ,7d 深紫外LED
8 空気タンク大
9 空気タンク小
10 空気取入れ口
11 フィルター
12 手動バルブ
13 水空気排出管
14 手挿入口
15 エアーカーテン
16 制御部
17 透明窓
18 光電センサー
19 循環用管
20 手洗用液体ノズル
21 水ノズル
22 シャッター