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特開2022-187292事業継続に関する調査システム、事業継続に関する調査装置、事業継続に関する調査方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187292
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】事業継続に関する調査システム、事業継続に関する調査装置、事業継続に関する調査方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20221212BHJP
   G06Q 10/00 20120101ALI20221212BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095250
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】591280197
【氏名又は名称】株式会社構造計画研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100175064
【弁理士】
【氏名又は名称】相澤 聡
(72)【発明者】
【氏名】橋本 光史
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA01
5L049CC20
(57)【要約】
【課題】取引先における事業継続に関する取組状況を迅速かつ的確に把握することが可能な、事業継続に関する調査システム、事業継続に関する調査装置、事業継続に関する調査方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】企業が、複数の取引先から事業継続に関する取組状況を聞き取るための調査システム1は、調査サーバ20と、複数の取引先端末30とを有する。調査サーバ20は、複数の取引先端末30から事業継続に関する設問に対する回答の入力を受け付けるアンケート実行部204と、回答に基づく評価値を算出するアンケート分析部206と、複数の取引先の中における特定の取引先の位置付けを、評価値に基づいて表示したダッシュボードを生成し、ダッシュボードを特定の取引先の取引先端末に対し提供するダッシュボード生成部208と、を有する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
企業が、複数の取引先から事業継続に関する取組状況を聞き取るための調査システムであって、
調査サーバと、複数の取引先端末とを有し、
前記調査サーバは、
複数の前記取引先端末から事業継続に関する設問に対する回答の入力を受け付けるアンケート実行部と、
前記回答に基づく評価値を算出するアンケート分析部と、
複数の前記取引先の中における特定の前記取引先の位置付けを、前記評価値に基づいて表示したダッシュボードを生成し、前記ダッシュボードを特定の前記取引先の前記取引先端末に対し提供するダッシュボード生成部と、を有する
事業継続に関する調査システム。
【請求項2】
企業端末をさらに有し、
前記ダッシュボード生成部は、複数の前記取引先の前記評価値を比較可能に表示したダッシュボードを生成し、前記ダッシュボードを前記企業端末に対して提供する
請求項1記載の事業継続に関する調査システム。
【請求項3】
前記アンケート実行部は、所定のタイミングで、アンケートへの回答を求める通知を前記取引先端末に対し送信する
請求項1記載の事業継続に関する調査システム。
【請求項4】
企業が、複数の取引先から事業継続に関する取組状況を聞き取るための調査装置であって、
前記調査装置は、
複数の取引先端末から事業継続に関する設問に対する回答の入力を受け付けるアンケート実行部と、
前記回答に基づく評価値を算出するアンケート分析部と、
複数の前記取引先の中における特定の前記取引先の位置付けを、前記評価値に基づいて表示したダッシュボードを生成し、前記ダッシュボードを特定の前記取引先の前記取引先端末に対し提供するダッシュボード生成部と、を有する
事業継続に関する調査装置。
【請求項5】
前記ダッシュボード生成部は、複数の前記取引先の前記評価値を比較可能に表示したダッシュボードを生成し、前記ダッシュボードを企業端末に対して提供する
請求項4記載の事業継続に関する調査装置。
【請求項6】
前記アンケート実行部は、所定のタイミングで、アンケートへの回答を求める通知を前記取引先端末に対し送信する
請求項4記載の事業継続に関する調査装置。
【請求項7】
企業が、複数の取引先から事業継続に関する取組状況を聞き取るための調査方法であって、
調査サーバが、
複数の取引先端末から事業継続に関する設問に対する回答の入力を受け付けるアンケート実行ステップと、
前記回答に基づく評価値を算出するアンケート分析ステップと、
複数の前記取引先の中における特定の前記取引先の位置付けを、前記評価値に基づいて表示したダッシュボードを生成し、前記ダッシュボードを特定の前記取引先の前記取引先端末に対し提供するダッシュボード生成ステップと、を有する
事業継続に関する調査方法。
【請求項8】
前記ダッシュボード生成ステップでは、複数の前記取引先の前記評価値を比較可能に表示したダッシュボードを生成し、前記ダッシュボードを企業端末に対して提供する
請求項7記載の事業継続に関する調査方法。
【請求項9】
前記アンケート実行ステップでは、所定のタイミングで、アンケートへの回答を求める通知を前記取引先端末に対し送信する
請求項7記載の事業継続に関する調査方法。
【請求項10】
請求項7乃至9記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事業継続に関する調査システム、事業継続に関する調査装置、事業継続に関する調査方法及びプログラムに関し、特に取引先における事業継続に関する取組状況を迅速かつ的確に把握する手法に関する。
【背景技術】
【0002】
災害や事故等のインシデントが発生した際にも企業が事業を継続し、損失を最小にとどめるための取り組みが広く実施されるようになっている。企業は、インシデントに備えて事業継続計画(BCP:business continuity plan)を策定し、これを確実に導入、運用、改善するためのマネジメント(BCM: business continuity management)を日頃から実行することが推奨されている。
【0003】
ところで、近年は原材料の供給から最終製品(又はサービス)の提供に至るまでの個々の業務プロセスを複数の企業が担う、いわゆるサプライチェーンの働きにより、価値ある製品又はサービスの提供が可能となっていることが少なくない。企業がサプライチェーンをインシデントに対して強靭化するためには、仕入先等の取引先(以下、単に取引先という)のBCMに関する取組状況を常に正確に把握し、事業継続のボトルネックとなりうる要因を、取引先と連携して迅速に取り除くことが必要不可欠である。
【0004】
この点、特許文献1乃至4には、地震等の災害や事故等に伴う企業の事業中断リスクを算定するにあたっては、サプライチェーンを構成する取引先の事業中断リスクを考慮すべきである旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-053977号公報
【特許文献2】特開2010-165233号公報
【特許文献3】特開2011-081707号公報
【特許文献4】特開2014-115745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、企業は、取引先において様々な変化点(取引先が定期又は不定期に実行する、事業継続に影響を与えうる各種施策のことをいう。例えば生産ラインの増強、被災後の補強工事などがこれに含まれる)が発生する毎に、それを速やかに把握することが理想である。
【0007】
しかしながら、現実には年1回程度の頻度で変化点を把握することが限界である。現在、企業が取引先における事業継続に関する取組状況を把握するための手法としては、取引先に対してアンケート形式の調査票を年1回程度送付し、その回答を踏まえて取引先と共に対策を協議するという形をとることが一般的である。しかしながら、このような作業は膨大な工数、手間、時間がかかる。
【0008】
また、事業継続に対する取組みが十分な効果を上げるためには、企業と取引先とが足並みを揃え、サプライチェーン全体を最適化することが理想である。
【0009】
しかしながら、現実には、企業がある災害を想定した取組みを行なっていても、取引先がその災害を想定した取組みを行なっていない場合もある。このような齟齬を的確に把握するための技術的手段は、現在のところ提供されていない。
【0010】
さらに、取引先が自身の取組みのレベルがどの程度であるかを客観視し、不足している点について自発的な対策を行うよう促すためには、アンケートの回答を定量的に評価したうえで取引先にフィードバックする仕組みを構築することが有効である。
【0011】
本発明はこのような問題の解決を意識したものであり、取引先における事業継続に関する取組状況を迅速かつ的確に把握することが可能な、事業継続に関する調査システム、事業継続に関する調査装置、事業継続に関する調査方法及びプログラムを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一実施の形態によれば、事業継続に関する調査システムは、企業が、複数の取引先から事業継続に関する取組状況を聞き取るための調査システムであって、調査サーバと、複数の取引先端末とを有し、前記調査サーバは、複数の前記取引先端末から事業継続に関する設問に対する回答の入力を受け付けるアンケート実行部と、前記回答に基づく評価値を算出するアンケート分析部と、複数の前記取引先の中における特定の前記取引先の位置付けを、前記評価値に基づいて表示したダッシュボードを生成し、前記ダッシュボードを特定の前記取引先の前記取引先端末に対し提供するダッシュボード生成部と、を有する。
一実施の形態によれば、事業継続に関する調査システムは、企業端末をさらに有し、前記ダッシュボード生成部は、複数の前記取引先の前記評価値を比較可能に表示したダッシュボードを生成し、前記ダッシュボードを前記企業端末に対して提供する。
一実施の形態によれば、事業継続に関する調査システムにおいて、前記アンケート実行部は、所定のタイミングで、アンケートへの回答を求める通知を前記取引先端末に対し送信する。
一実施の形態によれば、事業継続に関する調査装置は、企業が、複数の取引先から事業継続に関する取組状況を聞き取るための調査装置であって、前記調査装置は、複数の取引先端末から事業継続に関する設問に対する回答の入力を受け付けるアンケート実行部と、前記回答に基づく評価値を算出するアンケート分析部と、複数の前記取引先の中における特定の前記取引先の位置付けを、前記評価値に基づいて表示したダッシュボードを生成し、前記ダッシュボードを特定の前記取引先の前記取引先端末に対し提供するダッシュボード生成部と、を有する。
一実施の形態によれば、事業継続に関する調査装置において、前記ダッシュボード生成部は、複数の前記取引先の前記評価値を比較可能に表示したダッシュボードを生成し、前記ダッシュボードを企業端末に対して提供する。
一実施の形態によれば、事業継続に関する調査装置において、前記アンケート実行部は、所定のタイミングで、アンケートへの回答を求める通知を前記取引先端末に対し送信する。
一実施の形態によれば、事業継続に関する調査方法は、企業が、複数の取引先から事業継続に関する取組状況を聞き取るための調査方法であって、調査サーバが、複数の取引先端末から事業継続に関する設問に対する回答の入力を受け付けるアンケート実行ステップと、前記回答に基づく評価値を算出するアンケート分析ステップと、複数の前記取引先の中における特定の前記取引先の位置付けを、前記評価値に基づいて表示したダッシュボードを生成し、前記ダッシュボードを特定の前記取引先の前記取引先端末に対し提供するダッシュボード生成ステップと、を有する。
一実施の形態によれば、事業継続に関する調査方法において、前記ダッシュボード生成ステップでは、複数の前記取引先の前記評価値を比較可能に表示したダッシュボードを生成し、前記ダッシュボードを企業端末に対して提供する
一実施の形態によれば、事業継続に関する調査方法において、前記アンケート実行ステップでは、所定のタイミングで、アンケートへの回答を求める通知を前記取引先端末に対し送信する。
一実施の形態によれば、プログラムは、上記方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、取引先における事業継続に関する取組状況を迅速かつ的確に把握することが可能な、事業継続に関する調査システム、事業継続に関する調査装置、事業継続に関する調査方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】事業継続に関する調査システム1のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2】調査サーバ20の機能構成を示すブロック図である。
図3A】アンケート実行部204が表示するアンケート実行画面の一例である。
図3B】アンケート実行部204が表示するアンケート実行画面の一例である。
図3C】アンケート実行部204が表示するアンケート実行画面の一例である。
図4】ダッシュボード生成部208が表示するダッシュボード表示画面の一例である。
図5】ダッシュボード生成部208が表示するダッシュボード表示画面の一例である。
図6】事業継続に関する調査システム1の動作の一例を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
【0016】
<システム構成>
図1は、事業継続に関する調査システム1(以下、単に調査システム1という)のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0017】
調査システム1は、企業が使用する企業端末10、調査サーバ20、企業の1以上の取引先がそれぞれ使用する1以上の取引先端末30を含む。企業端末10、調査サーバ20、取引先端末30はいずれも典型的にはパーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、スマートフォン又はタブレットコンピュータ等の情報処理装置である。あるいは、クラウドコンピューティング等を利用して実現される情報処理環境であっても良い。企業端末10と調査サーバ20、調査サーバ20と取引先端末30はそれぞれ通信ネットワーク等により相互に接続される。
【0018】
図2は、調査サーバ20の機能構成を示すブロック図である。
【0019】
調査サーバ20は、ユーザ記憶部201、ユーザ制御部202、アンケート設問記憶部203、アンケート実行部204、アンケート回答記憶部205、アンケート分析部206、アンケート分析結果記憶部207、ダッシュボード生成部208、報告書生成部209、対策提案部210を有する。
【0020】
ユーザ記憶部201は、調査システム1のユーザである企業及び取引先に関する各種情報を記憶するデータベースである。ユーザ情報には、例えば企業又は取引先のID、名称、1以上の拠点住所、連絡先(メールアドレス等)等の情報が含まれる。取引先のユーザ情報には属性(例えば業種等)を含めることもできる。ユーザ情報は、典型的には企業端末10又は取引先端末30が、ユーザ記憶部201に登録することができる。
【0021】
ユーザ制御部202は、ユーザ記憶部201に基づいて、企業端末10及び取引先端末30から調査サーバ20へのログイン制御及びログイン後のセッション管理等を行う。
【0022】
アンケート設問記憶部203は、アンケート設問情報、すなわちアンケートの設問及び回答形式(選択形式又は自由記述形式の別、選択形式の場合の選択肢の内容等)等を記憶するデータベースである。アンケート設問情報は、典型的には企業端末10から入力することができる。
【0023】
アンケート実行部204は、アンケート設問記憶部203からアンケート設問情報を読み出し、ログイン済みの取引先端末30に対し設問を提示し、回答を入力するためのインタフェース(例えば自由記述のためのテキストボックス、選択肢を選ぶためのボタンやリスト等)を提供する。アンケート実行部204は、取引先端末30による回答の入力を受け付け、回答と取引先IDとを紐づけてアンケート回答記憶部205に格納する。
【0024】
アンケート回答記憶部205は、取引先端末30から入力された回答を記憶するデータベースである。
【0025】
アンケート分析部206は、アンケート回答記憶部205に蓄積された回答を読み出し、分析を行う。例えば、アンケート分析部206は、取引先が入力した回答をそれぞれ所定の基準に従って点数化する。具体的には、設問1については選択肢aを選んだら1点、選択肢bを選んだら0点、設問2については選択肢cを選んだら0点、選択肢dを選んだら1点・・・などと予め配点を設定しておくことができる。自由記述欄においては、例えば所定のキーワードが含まれていれば加点するなどの処理により点数を算出できる。
【0026】
また、アンケート分析部206は、当該点数を所定の評価式に投入して取引先の評価値を算出することができる。一例として、設問1から設問5までの合計点数を「体制」の観点における評価値、設問6から設問10までの合計点数を「影響度評価」の観点における評価値、設問11から設問15までの合計点数を「被害想定」の観点における評価値、設問16から設問20までの合計点数を「対策」の観点における評価値、設問21から設問25までの合計点数を「維持管理」の観点における評価値などと算出できる。さらに、「体制」「影響度評価」「被害想定」「対策」「維持管理」の評価値を所定の評価式に投入することで、「取組スコア」を総合的な評価値として算出できる。
【0027】
アンケート分析部206は、回答に基づいて算出された点数や評価値等の分析結果を、取引先IDと紐づけてアンケート分析結果記憶部207に格納する。
【0028】
アンケート分析結果記憶部207は、取引先が入力した回答の分析結果を記憶するデータベースである。
【0029】
ダッシュボード生成部208は、アンケート回答記憶部205に格納された取引先の回答、又はアンケート分析結果記憶部207に格納された分析結果を読み出し、これらを使用してダッシュボードを生成し、当該取引先が使用する取引先端末30に提供する。すなわちダッシュボードを画面に表示させる。ダッシュボード生成部208は、企業端末10にもダッシュボードを表示させても良い。ダッシュボードは、例えば回答や分析結果をグラフや表などの形に可視化して表現したコンテンツを含む画面である。
【0030】
報告書生成部209は、アンケート回答記憶部205に格納された取引先の回答、又はアンケート分析結果記憶部207に格納された分析結果を読み出し、これらを使用して報告書を生成し、企業端末10に対して報告書を提供する。すなわち報告書の画面表示やダウンロード等を許可する。報告書は、例えば回答や分析結果をグラフや表などの形に可視化して表現したコンテンツを含む画面や文書ファイル等である。
【0031】
対策提案部210は、取引先に対して事業継続に関する提案を提供する。すなわち画面表示等により提案を閲覧させる。例えば、対策提案部210は、企業端末10による特定の取引先に対する提案の入力を受け付け、図示しない記憶領域に入力内容と取引先IDとを紐付けて格納する。対策提案部210は、当該取引先が使用する取引先端末30に対し、例えばダッシュボードへの表示や電子メールの送信等の手段により提案を通知する。
【0032】
加えて/又は、対策提案部210は、アンケート回答記憶部205やアンケート分析結果記憶部207に特定の取引先IDに紐づけて格納されている情報を読み出し、当該情報を加工して特定の取引先に対する提案を自動生成し、提供しても良い。提案の自動生成を行う対策提案部210は、例えばアンケートの回答又は評価結果(すなわち特定の質問に対するユーザの回答、回答に基づいて算出された点数又は評価値)に対応する提案内容を予め保持しておくことができる。具体的には、ある設問に対する回答がaであれば提案A、回答がbであれば提案Bを提示し、ユーザの一連の回答に基づく評価値が30以下であれば提案P1、30から60であれば提案P2、60を超えたら提案P3をさらに提示するといったルールを、図示しない記憶領域にあらかじめ記憶しておく。そして、アンケート回答記憶部205やアンケート分析結果記憶部207から読み出した回答や評価値に上記ルールを適用し、取引先に提示すべき提案を決定する。対策提案部210は、当該取引先が使用する取引先端末30に対し、例えばダッシュボードへの表示や電子メールの送信等の手段により提案を通知する。
【0033】
<システムの動作>
図6は、調査システム1の一動作例を示すチャートである。
【0034】
ステップS1:
企業側の担当者は、企業端末10を使用して、調査サーバ20のユーザ記憶部201にユーザ情報を登録する(サインアップ)。
その後、企業側の担当者は、登録済みのユーザ情報を使用し、企業端末10から調査サーバ20にログインする。調査サーバ20のユーザ制御部202がログイン制御及びセッション管理を担う。
【0035】
ステップS2:
企業側の担当者は、企業端末10を使用して、アンケート設問情報(設問及び回答形式)を入力する。入力されたアンケート設問情報は、アンケート設問記憶部203に格納される。
【0036】
アンケート設問情報は、複数のパターンを用意しておくこともできる。例えば、取引先の属性(例えば業種や地域等)に応じて異なる設問を用意しても良い。また、月1回の定例アンケート用の設問、災害発生時の被災状況伺い用の設問など、シチュエーションやタイミングに応じて異なる設問を用意することもできる。
【0037】
ステップS3:
企業側の担当者は、企業端末10を使用して、1以上の取引先の取引先端末30に対しアンケートへの回答を求める依頼を送信する。依頼の送信は、例えば電子メールや、調査サーバ20を介したプッシュ通知等により行われる。
【0038】
加えて/又は、調査サーバ20のアンケート実行部204が、所定のタイミングで、1以上の取引先の取引先端末30に対しアンケートへの回答を求める依頼を自動的に送信しても良い。例えば、アンケート実行部204は、地震等の災害の発生を検知したとき、アンケート回答依頼を自動的に送信できる。この際、取引先の被災状況などを聞き取ることにより、企業は災害によるサプライチェーンへの影響を迅速に評価することが可能となる。また、任意の頻度(月に1回など)で定期的にアンケート回答依頼を送信しても良い。これにより、取引先に生じた変化点を捉えるまでのタイムラグを抑制することができる。
【0039】
加えて/又は、取引先側の担当者が、任意のタイミングで回答の入力を行っても良い。例えば、取引先において製造ラインの増強を行なったなど何らかの変化点が生じたときに、取引先は自ら回答の入力を開始できる。これにより、取引先に生じた変化点を企業はほぼリアルタイムで捉えることができる。
【0040】
ステップS4:
アンケート回答依頼を受け取った取引先側の担当者は、取引先端末30を使用して、調査サーバ20のユーザ記憶部201にユーザ情報を登録する(サインアップ)。
その後、取引先側の担当者は、登録済みのユーザ情報を使用し、取引先端末30から調査サーバ20にログインする。調査サーバ20のユーザ制御部202がログイン制御及びセッション管理を担う。
【0041】
ステップS5:
取引先側の担当者は、取引先端末30を使用して、アンケートの設問を閲覧し、回答を入力する。調査サーバ20のアンケート実行部204が、アンケート設問記憶部203からアンケート設問情報を取得して取引先端末30に表示させる。取引先端末30から入力された回答は、アンケート回答記憶部205に格納される。
【0042】
図3A乃至図3Cは、アンケート実行部204が取引先端末30向けに生成する画面の一例である。この例では、「Q」で示された設問に対する回答を、ボタン(回答が記述された長方形のボタンや、選択肢が記述されたチェックボックス又はラジオボタン)を選択することにより入力することができる。選択されたボタンは、背景色が変化したり、チェックマークが表示されたりすることにより視覚的に区別可能に表示されている。幾つかの設問では、テキストを自由に入力可能なボックスが設けられている。
【0043】
なお、設問が複数パターン用意されている場合には、アンケート実行部204は、アンケート設問記憶部203から適切なアンケート設問情報を取得して取引先端末30に提示する。例えば、取引先の属性別に設問が用意されている場合は、ログインしている取引先の属性に対応した設問を提示する。また、定期的なアンケート依頼においては定期アンケート用の設問を、災害発生時のアンケート依頼においては被災状況伺い用の設問を提示する。
【0044】
ステップS6:
アンケート分析部206は、アンケート回答記憶部205に蓄積された回答を読み出して分析し、分析結果をアンケート分析結果記憶部207に格納する。
【0045】
ステップS7:
ダッシュボード生成部208は、アンケート回答記憶部205に格納された取引先の回答、又はアンケート分析結果記憶部207に格納された分析結果を読み出し、これらを使用してダッシュボードを生成し、当該取引先が使用する取引先端末30に表示させる。
【0046】
図4は、取引先端末30が表示するダッシュボード画面の一例である。
【0047】
表401の「取組レベル」欄では、取引先Aによる回答に基づき、「体制」「影響度評価」「被害想定」「対策」「維持管理」の観点で算出された評価値と、総合評価である「取組スコア」が表示されている。
【0048】
表402の「ハザード」「地形」欄では、取引先Aが有する1以上の拠点それぞれについて、災害に関してどのような潜在的危険が存在するかが表示されている。例えば、「近くの断層」欄には当該拠点の近くにある地震の原因となりうる断層名と想定震度が表示される。「南海トラフ」欄には当該拠点における南海トラフ地震発生時の想定震度が表示される。「津波浸水」欄には当該拠点における津波による予想浸水深が表示される。「洪水浸水」欄には当該拠点における洪水による予想浸水深が表示される。「地形」「標高」「低位地帯」欄には、当該拠点の地形分類、標高、低位地帯に該当するか否かが表示される。これらの情報は、公的機関が公開しているハザードマップ等から取得可能である。
【0049】
右下には地図403が表示されている。これは表402の「ハザード」「地形」欄においても表示した、取引先の拠点周囲における潜在的危険を色分け等により可視化したものである。
【0050】
表404の「ハザードと対策状況」欄では、取引先Aの1以上の拠点において想定されている潜在的危険に対して、取引先Aが現時点でどのような対策を講じているかが表示されている。
【0051】
表404の「近くの断層」欄には、取引先Aのいずれかの拠点において想定される最大震度の地震の原因となりうる断層名と、その断層による想定震度が表示される。「南海トラフ」欄には、取引先Aのいずれかの拠点において南海トラフ地震発生時に想定される最大震度が表示される。例えば、取引先Aが静岡県(拠点1)と愛知県(拠点2)にそれぞれ拠点をもっているとする。各拠点近くの断層名及び南海トラフ地震の想定震度は、表402においては次のように表示されているとする。
・拠点1 「近くの断層」:見延断層(震度5強) 「南海トラフ」:震度5強
・拠点2 「近くの断層」:猿投-高浜断層(震度6弱) 「南海トラフ」:震度5弱
この場合、表404の「近くの断層」欄には、これらのうち想定震度の最も大きい断層である猿投-高浜断層(震度6弱)が表示される。同様に「南海トラフ」欄には、これらのうち最も大きい想定震度である震度5強が表示される。
【0052】
表404の「施設の耐震化」「設備備品の落下・転倒防止」欄には、これらの項目に関する現時点での対策状況の評価値が、例えば「8割以上実施」「5割以上実施」「5割未満実施」「ほぼ実施せず」等の形式で表示されている。ここで、例えば「施設の耐震化」が「5割以上」であるとは、取引先Aのある拠点内に施設が100棟あるとき50棟以上は耐震化していることを示す指標である。この事実はアンケート調査により取得できる。例えば、図3「事前の対策」欄では「貴社事業所の施設のうち耐震化している施設は何割程度でしょうか」といった意図の質問を提示し、回答として、「8割以上実施」「5割以上実施」「5割未満実施」「未回答」等を選択させている。ダッシュボード生成部208は、選択された回答に応じ「ハザードと対策状況」欄に表示する評価値を決定する。評価値に応じて文字や背景色を変更したり、注意喚起のためのアイコンを表示したりしても良い。例えば、「5割以上実施」は黄、「5割未満実施」は橙、「ほぼ実施せず」は赤の背景色を使用することにより、地震の危険度が高い拠点を有している取引先において、さらなる対策が求められる項目を段階的かつ一目瞭然に強調することができる。
【0053】
表404の「津波浸水」「洪水浸水」欄には、取引先Aのいずれかの拠点において想定される、津波及び洪水による最大予想浸水深が表示される。
【0054】
表404の「施設の浸水防止」「設備の浸水防止」「備品・在庫品の高所保管」欄には、これらの項目に関する現時点での対策状況の評価値が、例えば「8割以上実施」「5割以上実施」「5割未満実施」「ほぼ実施せず」等の形式で表示されている。といった項目の評価値が、例えば「8割以上実施」「5割以上実施」「5割未満実施」「ほぼ実施せず」等の形式で表示されている。ここで、例えば「施設の浸水防止」が「5割以上」であるとは、ある拠点内に施設が100棟あるとき50棟以上において止水板配備等の浸水対策が行われていることを示す指標である。この事実はアンケート調査により取得できる。例えば、図3「事前の対策」欄では「貴社事業所の施設のうち浸水防止対策をしている施設は何割程度でしょうか」といった意図の質問を提示し、回答として、「8割以上実施」「5割以上実施」「5割未満実施」「未回答」等を選択させている。ダッシュボード生成部208は、選択された回答に応じ「ハザードと対策状況」欄に表示する評価値を決定する。評価値に応じて文字や背景色を変更したり、注意喚起のためのアイコンを表示したりしても良い。例えば、「5割以上実施」は黄、「5割未満実施」は橙、「ほぼ実施せず」は赤の背景色を使用することにより、浸水の危険度が高い拠点を有している取引先において、さらなる対策が求められる項目を段階的かつ一目瞭然に強調することができる。
【0055】
グラフ405は、企業の複数の取引先における取組スコアの分布を示すグラフである。この例では、取引先Aの取組スコアが、取引先全体においてどこに位置するかを矢印によって表示している。
【0056】
チャート406は、取引先Aにおける評価値の変化を示している。前回のアンケート時の評価値が破線、今回の評価値が実線で示されている。
【0057】
これらに加えて、ダッシュボードにはBCP対策等に関する商材(製品やサービス)の広告を表示しても良い。特に、取組レベルの評価値が低い観点があったり、ハザードが確認されている拠点がある取引先に対しては、当該観点の強化やハザード対策を目的とした商材を紹介することができる。
【0058】
ダッシュボード生成部208は、1以上の取引先の回答や分析結果を集約したダッシュボードを生成し、企業端末10に表示する機能を提供することもできる。図5は、企業端末10が表示するダッシュボード画面の一例である。図4の取引先向けダッシュボードとの違いは、複数の取引先に関する情報が集約されている点にある。これにより、BCP対策について支援が必要な取引先を抽出することができる。例えば、「ハザードと対策状況」欄においては、評価値が基準よりも低い項目(着色して表示されいる)を有する取引先を容易に特定することができる。また「取組レベル」欄においては、取組スコアや他の評価値を昇順又は降順にソートすることができるので、取組スコアや他の評価値が相対的に低い取引先を容易に特定することができる。
【0059】
ステップS8:
報告書生成部209は、アンケート回答記憶部205に格納された取引先の回答、又はアンケート分析結果記憶部207に格納された分析結果を読み出し、これらを使用して報告書を生成し、企業端末10に表示又はダウンロードさせる。
【0060】
報告書のコンテンツはダッシュボードと略同様で良いが、報告書では印刷を前提とした表現上の差異を設けることができる。例えば、取引先の数が多い場合、ダッシュボードでは5行(5社)程度のみ表示しそれを超える分はスクロールバーによる表示を行う。一方、報告書では全ての取引先が一覧できるように製表し印刷可能なコンテンツを生成する。
【0061】
ステップS9:
企業側の担当者は、企業端末10を使用して、取引先に対する提案を入力する。加えて/又は、調査サーバ20の対策提案部210が、アンケート回答記憶部205やアンケート分析結果記憶部207から取引先の回答や分析結果を読み出して、取引先に対する提案を自動生成しても良い。作成された提案は、取引先端末30に送信される。提案の内容としては、例えば耐震化が5割に満たない取引先に対しては、耐震化施策を案内したウェブサイトへの誘導リンクを表示したり、耐震化支援を行う事業者の連絡先を表示したりすることが考えられる。
【0062】
本実施の形態によれば、企業の要請により、加えて/又は災害発生等を契機として自動的に、加えて/又は取引先における変化点の発生等のイベントに応じて、取引先における事業継続に関する取組状況についてのアンケート回答依頼が取引先に送信される。これにより、企業は取引先における事業継続に関する取組状況等を適切なタイミングで把握することができる。
【0063】
本実施の形態によれば、取引先によるアンケートの回答が所定の基準に従って評価され、評価結果を含むダッシュボードが取引先向けに生成される。これにより、取引先は自社の取組状況についての客観的評価を得ることができる。例えば、企業が期待しているものの、取引先においては想定できていない取組みを明確化できる。また、企業の他の取引先の中において、自社の取組みのレベルがどの程度であるかを客観視することができる。
本実施の形態によれば、複数の取引先の評価結果を含むダッシュボードが企業向けに生成される。これにより、企業はBCP対策について支援が必要な取引先を抽出することができる。
【0064】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜変更しうる。例えば、上述の実施の形態では1以上の取引先におけるBCP対策状況を把握する目的で調査システム1を利用する例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば1以上の拠点を有する企業において自社のBCP対策状況を把握する目的で調査システム1を利用することもできる。また、企業や自治体等において、研修や防災訓練等の目的で利用することもできる。
【0065】
本発明の情報処理はハードウェアにより実現されても良く、CPUがコンピュータプログラムを実行することにより実現されても良い。コンピュータプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)又は一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によりコンピュータに供給され得る。
【符号の説明】
【0066】
1 調査システム
10 企業端末
20 調査サーバ
30 取引先端末
201 ユーザ記憶部
202 ユーザ制御部
203 アンケート設問記憶部
204 アンケート実行部
205 アンケート回答記憶部
206 アンケート分析部
207 アンケート分析結果記憶部
208 ダッシュボード生成部
209 報告書生成部
210 対策提案部

図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6