(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187299
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】温度記録装置、及び弁シートリークの判定方法
(51)【国際特許分類】
G01M 3/02 20060101AFI20221212BHJP
F16K 37/00 20060101ALI20221212BHJP
G01N 25/72 20060101ALI20221212BHJP
G01K 1/022 20210101ALI20221212BHJP
G01K 1/14 20210101ALI20221212BHJP
【FI】
G01M3/02 J
F16K37/00 G
G01N25/72 D
G01K1/022
G01K1/14 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095268
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(74)【代理人】
【識別番号】100125151
【弁理士】
【氏名又は名称】新畠 弘之
(72)【発明者】
【氏名】神戸 孝治
【テーマコード(参考)】
2F056
2G040
2G067
3H065
【Fターム(参考)】
2F056CE10
2F056CL12
2G040AA07
2G040AB12
2G040BA15
2G040CA02
2G040DA02
2G040DA15
2G040GA01
2G040HA16
2G067AA37
2G067BB23
2G067DD08
2G067EE04
2G067EE11
3H065AA03
3H065BA02
3H065BA07
3H065BC02
3H065CA01
(57)【要約】
【課題】より簡易な構成により弁シートリークの判定が可能な弁シートリーク判定装置、及び方法を提供する。
【解決手段】本実施形態に係る温度記録装置は、弁の下流側に接続される配管における外側に配置され、前記配管に関する温度を検知する検知部と、検知部が検知した温度に関する情報を記録する記録部と、を備える温度記録装置であって、検知部は、配管の外側に配置される熱伝導部と、熱伝導部の内面側と外面側に配置される複数の温度センサと、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁の下流側に接続される配管における外側に配置され、前記配管に関する温度を検知する検知部と、
前記検知部が検知した温度に関する情報を記録する記録部と、
を備える温度記録装置であって、
前記検知部は、
前記配管の外側に配置される熱伝導部と、
前記熱伝導部の内面側と外面側に配置される複数の温度センサと、
を有する、温度記録装置。
【請求項2】
前記配管は保温材無し配管、及び保温材有り配管の少なくとも一方であり、
前記複数の温度センサは、前記配管と直交する同一面における所定の点から外側に伸びる径上に対応させて配置される、請求項1に記載の温度記録装置。
【請求項3】
前記熱伝導部は、均一な熱伝導率を有し、所定の中心軸に対する内円面と外円面を有する中空の円柱体であり、前記内円面に複数の温度センサが配置され、前記内円面に配置される前記複数の温度センサに対応する複数の温度センサが前記外円面に配置される、請求項1又は2に記載の温度記録装置。
【請求項4】
前記前記熱伝導部を包含する断熱シート部を更に備える、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の温度記録装置。
【請求項5】
前記複数の温度センサと、前記熱伝導部と、前記断熱シート部を前記配管のいずれかに着脱可能に取り付ける着脱部を更に備える、請求項4に記載の温度記録装置。
【請求項6】
前記記録部は、
前記複数の温度センサが出力する信号に基づく温度データを記録する記憶部を有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の温度記録装置。
【請求項7】
前記記録部は、
前記熱伝導部の内面に配置される前記温度センサと、外面側に配置される前記温度センサとの温度差を演算する演算処理部を、更に有する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の温度記録装置。
【請求項8】
前記記録部は、
前記温度差に関する情報を含む画像を表示部に表示させる表示制御部を更に有する、請求項7に記載の温度記録装置。
【請求項9】
前記記録部は、
前記温度差に基づき、前記弁の弁シートにおける液体の漏れがあるか否かを判定する判定部を更に有する、請求項7又は8に記載の温度記録装置。
【請求項10】
配管と直交する同一面における所定の点から外側に伸びる径上に熱伝導部を介して配置される複数の温度センサを用いた弁シートリークの判定方法であって、
前記配管に対して前記熱伝導部の内面側に配置される前記温度センサと、前記配管に対して前記熱伝導部の外面側に配置される前記温度センサとの温度差を演算する工程と、
前記温度差に基づき、前記配管における上流側の弁の弁シートにおける液体の漏れがあるか否かを判定する工程と、
を備える、弁シートリークの判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、温度記録装置、及び弁シートリークの判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、原子力発電プラント、火力発電プラント、化学プラントおよび石油精製プラントなどの各種プラントには多数の弁が、それぞれの機能要求を満足するように多様な形式で設置されている。弁機能には流体を隔離する主目的があり、適切に隔離するため弁シートが設置されている。
【0003】
しかしながら、弁シートに異物の混入やシート面の傷等により、流体を隔離することができず弁漏洩(以下、弁シートリーク)が発生する場合がある。この事象が発生すると、プラント起動停止時に必要なプラント手順を遂行することができなかったり、プラント運転中に必要な流体を確保することができずプラント性能に影響を与えたり、また系統隔離ができないためプラントの保守修理に影響したり、プラントの安全運転に影響を与えたりしてしまう。このため、弁シートリークの波及範囲は広くなる恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の弁シートリークの検知は、上流側の配管及び下流側の配管の音声情報を比較することが必要であり、処理が複雑化してしまったり、外部環境の影響を受けやすくなったりする恐れがある。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、より簡易な構成により弁シートリークの判定が可能な弁シートリーク判定装置、及び弁シートリークの判定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係る温度記録装置は、弁の下流側に接続される配管における外側に配置され、前記配管に関する温度を検知する検知部と、検知部が検知した温度に関する情報を記録する記録部と、を備える温度記録装置であって、検知部は、配管の外側に配置される熱伝導部と、熱伝導部の内面側と外面側に配置される複数の温度センサと、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本実施形態によれば、より簡易な構成により弁シートリークの判定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4】画像処理部が生成した温度差の時系列画像の一例を示す図。
【
図5】画像処理部が生成した温度分布画像の一例を示す図。
【
図6】保温材が無い場合の温度記録装置の構成例を示す図。
【
図7】温度記録装置の処理例を示すフローチャート。
【
図9】第2実施形態に係る温度記録装置の構成例を示す図。
【
図11】複数の検知部を配置した場合の時系列画像の一例を示す図。
【
図12】複数の検知部を配置した場合の温度分布画像の一例を示す図。
【
図13】第2実施形態に係る温度記録装置の処理例を示すフローチャート。
【
図14】第3実施形態に係る表示制御部の構成を示すブロック図。
【
図15】第3実施形態に係る温度記録装置の処理例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る温度記録装置、及び弁シートリークの判定方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。また、本実施形態で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号又は類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、温度記録装置100の構成例を示す図である。第1実施形態の温度記録装置100は、原子力発電プラント、火力発電プラントまたは化学プラント等のプラントの配管系に設けられている。
図1に示すように、弁1は、流体の流動方向の上流側に位置する第1配管2と第2配管3との間に設けられている。また、第1配管2と第2配管3とは保温材4に内包されている。第1配管2と第2配管3には、例えば50度以上の温水が流れている。
【0012】
弁1は、中空の弁箱1aを有しており、弁箱1aは、弁体1bによって上流側と下流側の2つの部屋に区切られている。また、弁体1bは、弁箱1aに対して進退する弁棒の先端に設けられている。弁シート1cは、弁体1bと弁座1dとの間に配置されており、弁体1bと弁座1dとを密着させることで、第1配管2から第2配管3に向かう流体を仕切る(遮断する)。弁1は、例えば、仕切弁、流量調整弁または玉型弁などであってもよい。
【0013】
図1に示すように、温度記録装置100は、検知部50と、記録部80とを備える。
図2は、検知部50の構成例を示す図である。
図1及び
図2に示すように、検知部50は、例えばアタッチメント型の着脱可能な検知器であり、複数の温度センサ6と、熱伝導部7と、断熱シート部8と、着脱部9とを備える。
【0014】
温度センサ6は、シート型の温度センサである。例えば、シート状のフィルム表面に複数の温度センサ6が配列されている。シート型の温度センサ6は、熱伝導部7の内径側と、外径側に配置される。また、内径側の複数の温度センサ6は第2配管3と直交する同一面内の内径側の第1円周上に配置され、外径側の複数の温度センサ6は第2配管3と直交する同一面内の外径側の第2円周上に配置される。さらにまた、第1円周上温度センサ6と第2円周上の温度センサ6とは、それぞれ対応しており、第2配管3と直交する同一円面における中心点から外側に伸びる径2r上に配置される。なお、
図2では、温度T1、T2、T3、T4の勾配は、温度分布を模式的に示している。すなわち、
図2では中心軸2mに沿って上側が高温であり、下側が低温である。
【0015】
熱伝導部7は、所定の中心軸2mに対する内円面と外円面を有する中空の円柱体であり、内円面に複数の温度センサ6が配置され、内円面に配置される複数の温度センサ6に対応する複数の温度センサ6が外円面に配置される。例えば、熱伝導部7の内径側に例えば7個の温度センサ6が配置され、外径側に例えば7個の温度センサ6が配置される。
【0016】
このような配置により、下流側の第2配管3の周囲の温度分布を第2配管3の中心軸2mからの径を変えて測定することが可能となる。すなわち、第2配管3と直交する同一面内の内径側の第1円周上の温度T1、T2および外径側の第2円周上の温度T3、T4を温度分布として検出することができる。また、第2配管3と直交する同一円面における中心軸2mから外側に伸びる径2r上の温度分布T5からT6を複数の径に対して測定可能となる。
【0017】
熱伝導部7は、例えば銅などであり、均一な熱伝導率を有する熱伝導材で構成される。断熱シート部8は、例えば、アルミ発泡ポリエチレンで構成される。検知部50は、熱伝導部7の外表面側に断熱シート部8を配置しており、検知部50から外部へ流出する熱量を遮断した状態で保持することができる。これにより、外環境の影響を抑制可能となる。
【0018】
着脱部9は、下流側の第2配管3における保温材4に、複数の温度センサ6が配置された熱伝導部7と、断熱シート部8を配置した後に、保温材4に着脱可能に固定する。この着脱部9により、保温材4を撤去せずに第2配管3の配管表面の温度を計測することが可能となる。このため、検出個所を制限することはなく任意の箇所に対して検知部50の設置をすることが可能となる。これにより、プラントの運転状態によらず、作業の安全が確保されている条件下で、検知部50の設置することができる。
【0019】
このように、着脱部9により、検知部50を水平配管のみならず鉛直配管にもより簡易に配置可能となる。これにより、水平配管、及び鉛直配管における円周上および半径方向上の温度分布を検出することが可能となる。すなわち、配管内の温度差がある状態での同一面内の内径側の円周上の第1温度分布と、外形側の円周上の第2温度分布、それらの半径方向に沿った温度差、或いは温度分布を計測することができる。
【0020】
記録部80は、第1表示部80aと、第2表示部80bと、操作部80cと、入力端子85と、表示制御部90とを備える。なお、記録部80は、データローダと称する場合もある。第1表示部80aは、例えば液晶モニタであり、複数の温度センサ6から取得した温度データに関する情報を例えば時系列データとして表示する。
【0021】
第2表示部80bは、例えば液晶モニタであり、複数の温度センサ6から取得した温度データに関する情報を第1表示部80aと異なる表示形態で表示する。入力端子85は、複数の温度センサ6が計測した温度情報を含む温度検知信号が入力される。操作部80cは、操作入力部で、例えば複数の押圧ボタンが配置されており、各種の操作信号を表示制御部90に入力する。
【0022】
図3は、表示制御部90の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、表示制御部90は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含んで構成され、クロック900と、AD変換部902と、記憶部904と、演算処理部906と、画像処理部908と、表示制御部910とを有する。すなわち、この表示制御部90は、CPUが記憶部904に記憶される各種プログラムを実行することで、ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて実現されるコンピュータで構成される。
【0023】
クロック900は、例えば発振回路であり、クロック信号を生成する。AD変換部902は、入力端子85(
図1参照)を介して入力された複数の温度センサ6が計測した温度検知信号をデジタル温度信号に変換する。このAD変換部902は、複数のデジタル温度信号をクロック信号に従い、時系列に記憶部904に記憶させる。
【0024】
記憶部904は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子等により実現される。記憶部904は、デジタル温度信号を含む各種の情報を記憶する。
【0025】
演算処理部906は、記憶部904に記憶される複数のデジタル温度信号に各種の演算処理を行うことが可能である。例えば、差分処理、ノイズ低減処理、平均値演算などをおこなうことが可能である。より詳細には、演算処理部906は、温度差(T5-T6)(
図2参照)として対応する温度センサ6の差分値を演算する。また、演算処理部906は、温度差(T5-T6)(
図2参照)として各対応する温度センサ6の差分値の平均値を演算してもよい。
【0026】
温度差(T5-T6)は、第2配管3内を流れる液体の容量と温度が高くなるほど、高くなる。このため、温度差(T5-T6)を測定することにより、第2配管3からの放熱量に相関する値をより簡易に取得できる。これにより、第2配管3からの放熱量が大きければ、弁シート1cからのリークがあることがわかり、少なければ弁シート1cからのリークがないことが分かる。このように、温度差(T5-T6)を測定する少なくとも2つの温度センサ6を配置することにより、弁シート1cからのリークの有無の情報を得ることが可能となる。
【0027】
画像処理部908は、記憶部904に記憶される複数のデジタル温度信号に関する情報を画像として、表示制御部910を介して第1表示部80a、及び第2表示部80bに表示する。
【0028】
図4は、画像処理部908が生成した温度差の時系列画像の一例を示す図である。横軸は時間を示し、縦軸は、演算処理部906が演算した温度差(T5-T6)(
図2参照)の平均値を示す。
【0029】
例えば、画像処理部908は、
図4で示す画像を第1表示部80aに表示制御部910を介して表示する。このような時系列画像を表示することにより、弁の閉状態における温度状態を時系列に観察できる。例えば、操作部80cを介して入力された時間情報により、過去にさかのぼり、温度状態を時系列に観察可能である。このため、弁の閉状態における温度状態を過去の情報と比較することも可能となる。これにより、観察者は、このような温度の時系列情報を観察することにより、弁シート1cからの漏れの有無をより容易に把握することが可能となる。より具体的には、弁シート1cからの漏れがある場合(T12の区間)には、温水の漏れがあるために、弁シート1cからの漏れがない場合(T10の区間)よりも温度差がより大きくなる。
【0030】
図5は、画像処理部908が生成した温度分布画像の一例を示す図である。横軸は温度センサ6の位置を示し、縦軸は、各温度センサ6の測定温度を示す。例えば、画像処理部908は、
図5で示す画像を第2表示部80bに表示制御部910を介して表示する。このような温度分布画像を表示することにより、弁の開閉状態又は開状態における温度分布状態を観察できる。例えば、操作部80cを介して入力された時間情報により、過去にさかのぼり、温度分布状態を時系列に観察することも可能である。これにより、観察者は、このような温度分布画像を観察することにより、弁シート1cからの漏れの有無をより容易に把握することが可能となる。また、
図4で示す画像と、
図5で示す画像を並べて表示することにより、弁シート1cからの漏れの有無をより詳細に把握可能となる。
【0031】
表示制御部910は、画像処理部908が生成した画像(
図4、
図5等)を第1表示部80a、及び第2表示部80bの少なくとも一方に表示させる制御を行う。
【0032】
図6は、保温材4が無い場合の温度記録装置100の構成例を示す図である。
図6に示すように、検知部50aの着脱部9は、保温材4が無い場合の下流側の第2配管3に、複数の温度センサ6が配置された熱伝導部7と、断熱シート部8を配置した後に、保温材4に、着脱可能に固定する。この着脱部9により、保温材4の無い第2配管3の配管表面の温度を計測することが可能となる。これにより、保温材4が無い下流側の第2配管3の周囲の温度分布を第2配管3の中心部からの径を変えて測定することが可能となる。
【0033】
図7は、温度記録装置100の処理例を示すフローチャートである。
図7に示すように、先ず、AD変換部902は、入力端子85(
図1参照)を介して入力された複数の温度センサ6が計測した度検知信号をデジタル温度信号に変換し(ステップS100)、記憶部904に時系列に記憶させる(ステップS102)。
【0034】
次に、画像処理部908は、記憶部904に記憶される複数のデジタル温度信号に関する情報を示す画像を生成する(ステップS104)。続けて、表示制御部910は、画像処理部908が生成した画像を第1表示部80a、及び第2表示部80bの少なくとも一方に表示させる制御を行う(ステップS106)。
【0035】
次に、画像処理部908は、操作部80cを介して時間を示す情報信号が入力されているか否かを判定する(ステップS108)。画像処理部908は、時間を示す情報信号が入力されていると判定する場合(ステップS108のy)、ステップS104からの処理を、入力された時間に対応するデジタル温度信号の情報を用いて繰り返す。これにより、入力された時間に対応する温度状態を観察可能となる。
【0036】
一方で、時間を示す情報信号が入力されていないと判定する場合(ステップS108のn)、表示制御部910は、測定を終了するか否かを判定し(ステップS110)、終了しないと判定する場合(ステップS110のn)、ステップS100からの処理繰り返す。一方で、終了すると判定する場合(ステップS110のy)、全体処理を終了する。
【0037】
以上説明したように、本実施形態によれば、検知部50が下流側の第2配管3の周囲の温度分布を検知し、表示制御部910が温度分布に関する情報を第1表示部80a、及び第2表示部80bに表示することとした。これにより、温度分布に関する情報を時系列に観察することが可能となり、弁シート1cからの漏れの有無をより簡易に把握可能となる。
【0038】
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態の変形例に係る温度記録装置100は、検知部50の着脱部9側に外径側の温度センサ6を配置することで、第1実施形態に係る温度記録装置100と相違する。以下では、第1実施形態に係る温度記録装置100と相違する点を説明する。
【0039】
図8は、着脱部9の構成例を示す図である。
図8に示すように、着脱部9は、内面が円形をした複数の押し圧部10と固定部11とを有する。また、熱伝導部7、及び断熱シート部8は、例えば均等に4分割された分割材7a、8aにより構成される。熱伝導部7には、着脱部9側の温度センサ6の位置に対応させ、開口部が設けられている。
【0040】
固定部11は長さ調整が可能であり、長さ調整後に固定される。これにより、例えば第2配管3に、分割材7a、8aを仮配置し、着脱部9で第2配管3側に押圧固定する。このように、固定部11の長さ調整により、より簡易に検知部50を水平配管のみならず鉛直配管にも着脱可能に配置可能となる。
(第2実施形態)
第2実施形態に係る温度記録装置100は、複数の検知部50b、cを下流側の第2配管3に配置することで、第1実施形態に係る温度記録装置100と相違する。以下では、第1実施形態に係る温度記録装置100と相違する点を説明する。
【0041】
図9は、第2実施形態に係る温度記録装置100の構成例を示す図である。
図9に示すように、第2実施形態に係る温度記録装置100は、複数の検知部50b、50cを下流側の第2配管3に配置することで、第1実施形態に係る温度記録装置100と相違するこれにより、下流側の第2配管3の周囲の温度分布を第2配管3の中心部からの径を変えて、複数の箇所で測定することが可能となる。
【0042】
図10は、保温材4が無い場合の第2実施形態に係る温度記録装置100の構成例を示す図である。
図10に示すように、検知部50aの着脱部9は、保温材4が無い場合の下流側の第2配管3に、複数の検知部50d、50eを下流側の保温材4が無い第2配管3に配置することで、第1実施形態に係る温度記録装置100と相違する。これにより、保温材4が無い下流側の第2配管3の周囲の温度分布を第2配管3の中心部からの径を変えて、複数の箇所で測定することが可能となる。
【0043】
図11は、複数の検知部50b、cを下流側の第2配管3に配置した場合に、画像処理部908が生成した時系列画像の一例を示す図である。画像800aは、検知部50bの検知信号に基づき、画像処理部908が生成した時系列画像である。横軸は時間を示し、縦軸は、演算処理部906が、上流側の検知部50dの複数のデジタル温度信号に基づき演算した時系列な温度差を示す。
【0044】
画像802aは、検知部50cの検知信号に基づき、画像処理部908が生成した時系列画像である。横軸は時間を示し、縦軸は、演算処理部906が、上流側の検知部50dの複数のデジタル温度信号に基づき演算した時系列な温度差を示す。このように、2箇所の温度差を時系列に並べて観察することが可能となる。これにより、第2配管3の長さ方向の温度変化の情報も得ることができ、弁シート1cからの漏れの有無をより詳細に把握可能となる。
【0045】
図11は、複数の検知部50b、cを下流側の第2配管3に配置した場合に、画像処理部908が生成した温度分布画像の一例を示す図である。画像800bは、検知部50bの検知信号に基づき、像処理部908が生成した温度分布画像である。横軸は温度センサ6の位置を示し、縦軸は、各温度センサ6の測定温度を示す。
【0046】
画像802bは、検知部50cの検知信号に基づき、像処理部908が生成した温度分布画像である。横軸は温度センサ6の位置を示し、縦軸は、各温度センサ6の測定温度を示す。このように、2箇所の温度分布画像に並べて観察することが可能となる。これにより、第2配管3の長さ方向における温度分布の変化情報も得ることができ、弁シート1cからの漏れの有無をより詳細に把握可能となる。
【0047】
表示制御部910は、画像処理部908が生成した
図11、12等の画像を第1表示部80a、及び第2表示部80bの少なくとも一方に表示させる制御を行う。
【0048】
図13は、第2実施形態に係る温度記録装置100の処理例を示すフローチャートである。ここでは、
図11に示すように、表示制御部910は、入力端子85(
図1参照)へのデータ入力数に基づき、検知部50b、cの配置数を取得する(ステップS200)。
【0049】
次に、画像処理部908は、記憶部904に記憶される検知部50b、cのデジタル温度信号の情報を示す画像(
図11、
図12参照)を生成する(ステップS202)。続けて、表示制御部910は、画像処理部908が生成した画像を第1表示部80a、及び第2表示部80bの少なくとも一方に表示させる制御を行う(ステップS204)。
【0050】
次に、画像処理部908は、操作部80cを介して時間を示す情報信号が入力されているか否かを判定する(ステップS206)。画像処理部908は、時間を示す情報信号が入力されていると判定する場合(ステップS206のy)、ステップS202からの処理を、入力された時間に対応するデジタル温度信号の情報を用いて繰り返す。これにより、入力された時間に対応する温度状態を観察可能となる。
【0051】
一方で、時間を示す情報信号が入力されていないと判定する場合(ステップS206のn)、表示制御部910は、(ステップS110)(
図7参照)と同等の処理を行い、全体処理を終了する。
【0052】
以上説明したように、本実施形態によれば、複数の検知部50b、cが下流側の第2配管3における複数箇所の周囲の温度分布を検知し、表示制御部910が複数箇所の温度分布に関する情報を第1表示部80a、及び第2表示部80bに表示することとした。第2配管3の長さ方向における温度分布の変化情報も得ることができ、弁シート1cからの漏れの有無をより詳細に把握可能となる。
【0053】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る温度記録装置100は、弁シート1cからの液体のリークを判定する判定部を更に有する点で、第1実施形態に係る温度記録装置100と相違する。以下では、第2実施形態に係る温度記録装置100と相違する点を説明する。
【0054】
図14は、第3実施形態に係る表示制御部90の構成を示すブロック図である。
図14に示すように、第3実施形態に係る表示制御部90は、判定部912を更に有する。判定部912には、複数の検知部50b、cのいずれかの情報に基づき、弁シート1cからの液体のリークの有無を判定する。
【0055】
より具体的には、演算処理部906は検知部50b、cの内面及び外面の温度差(T5-T6)(
図2参照)と熱伝導部7の熱伝導率を用いて、検知部50に流入する熱量に相関する熱量Hを算出する。そして、判定部912は、演算処理部906が演算した熱量Hが所定の閾値を超える場合に、弁シート1cからの液体のリークがあると判定する。
【0056】
演算処理部906は、温度差(T5-T6)として各対応する温度センサ6の差分値の平均値を演算する。この場合、検知部50b、cの一方に対して平均値を演算してもよい。或いは検知部50b、cの双方のデータの平均値を演算してもよい。検知部50b、cの双方のデータの平均値を用いる場合には、第2配管3の長さ方向の温度変換の情報もリーク有無の判定に含ませることが可能となる。また、演算処理部906は、平均値の他に中央値などの他の統計量を用いて熱量Hを算出してもよい。
【0057】
検知部50b、cに流入する熱量は、第2配管3の内部から外部へ流出する熱量と等価となる。このため、弁1の上流側の第1配管2(
図1参照)の流体が遮断された状態において、つまり弁シート1cのリークが無い状態と弁シート1nリークが有る状態では、下流側の第2配管3における検知部50b、cに流入する熱量に差が生じる。このことより、熱量Hの値に基づき弁シート1cのリークの有無を判定することが可能となる。
【0058】
図15は、第3実施形態に係る温度記録装置100の処理例を示すフローチャートである。ここでは、
図15に示すように、演算処理部906は検知部50b、cの内面及び外面の温度差(T5-T6)と熱伝導部7の熱伝導率を用いて、検知部50に流入する熱量に相関する熱量Hを算出する(ステップS300)。判定部912は、演算処理部906が演算した熱量Hに基づき、リークがあるか否かを判定する(ステップS302)。熱量Hが所定値以上である場合にリーク有りと判定し(ステップS302のy)、判定部912は、表示制御部910を介して、第1表示部80a、及び第2表示部80bの少なくとも一方に、リークを示す情報を表示させる。
【0059】
一方で、熱量Hが所定未満である場合にリーク有りと判定し(ステップS302のn)、表示制御部910は、(ステップS110)(
図7参照)と同等の処理を行い、全体処理を終了する。
【0060】
以上説明したように、本実施形態によれば、演算処理部906は検知部50b、cの内面及び外面の温度差(T5-T6)と熱伝導部7の熱伝導率を用いて、検知部50に流入する熱量に相関する熱量Hを算出し、判定部912は、熱量Hが所定値を越える場合に、弁シート1cにリークがあると判定する。弁シート1cにリークがある場合と無い場合とで、熱量Hが異なるので、より安定して弁シート1cのリークの有無を判定可能となる。
【0061】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置、方法及びプログラムは、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置、方法及びプログラムの形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0062】
1:弁、1c:弁シート、1d:弁座、2:第1配管、3:第2配管、4:保温材、6:温度センサ、7:熱伝導部、8:断熱シート部、9:着脱部、50、50a、50b、50c、50d、50e:検知部、80:記録部、80a:第1表示部、80b:第2表示部、90:表示制御部、100:温度記録装置、904:記憶部、906:演算処理部。