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特開2022-187350アンテナ回路基板及びフレキシブルプリント配線板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187350
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】アンテナ回路基板及びフレキシブルプリント配線板
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/00 20060101AFI20221212BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20221212BHJP
   H05K 1/16 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
H01F17/00 E
H05K1/02 A
H05K1/16 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095339
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】住吉 康彰
(72)【発明者】
【氏名】保坂 真樹
【テーマコード(参考)】
4E351
5E070
5E338
【Fターム(参考)】
4E351AA04
4E351AA16
4E351BB09
4E351DD04
4E351DD05
4E351DD06
4E351DD29
4E351GG20
5E070AA01
5E070BA01
5E070CB02
5E070CB14
5E338AA01
5E338AA03
5E338AA12
5E338AA16
5E338BB56
5E338BB75
5E338CD17
5E338EE24
(57)【要約】
【課題】薄型化が可能なアンテナ回路基板を提供する。
【解決手段】アンテナ回路基板100は、フレキシブルプリント配線板1と、フレキシブルプリント配線板1に実装された電子部品2と、を備え、フレキシブルプリント配線板は、基材10と、基材の片側の主面に形成された配線パターン20と、を備え、基材は、電子部品が配置された最下層11と、電子部品が内部に位置する第1の開口14a,14bを有すると共に、基材が第1の折り畳み線Lに沿って折り畳まれて最下層の上方に配置された第1及び第2の中間層12a,12bと、基材が第2の折り畳み線Lに沿って折り畳まれて第1及び第2の中間層の上方に配置された最上層13と、を含み、配線パターンは、最下層に配置された第1の接続部21と、第1の接続部21と対向するように最上層に配置されている第2の接続部24と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルプリント配線板と、
前記フレキシブルプリント配線板に実装された電子部品と、を備え、
前記フレキシブルプリント配線板は、
基材と、
前記基材の片側の主面に形成された配線パターンと、を備え、
前記フレキシブルプリント配線板は、第1及び第2の折り畳み線で折り畳まれており、
前記基材は、
前記電子部品が配置された最下層と、
平面視において前記電子部品が内部に位置する第1の開口を有すると共に、前記基材が前記第1の折り畳み線に沿って折り畳まれていることにより前記最下層の上方に配置された少なくとも1つの中間層と、
前記基材が前記第2の折り畳み線に沿って折り畳まれていることにより前記中間層の上方に配置された最上層と、を含み、
前記配線パターンは、
前記最下層に配置された第1の接続部と、
前記最下層に配置されていると共に、前記電子部品が接続された部品接続部と、
前記第1の接続部及び前記部品接続部に電気的に接続されたアンテナ回路と、
前記アンテナ回路に接続されていると共に、前記第1の接続部と対向するように前記最上層に配置されている第2の接続部と、を含み、
前記アンテナ回路は、
前記第1の接続部及び前記部品接続部に電気的に接続されていると共に、前記部品接続部及び前記第1の接続部の外側に位置するように前記最下層に配置された第1のループ要素と、
前記第1の開口の外側に位置するように前記中間層に配置された第2のループ要素と、
前記第2の接続部に接続されていると共に、前記第2の接続部の外側に位置するように前記最上層に配置された第3のループ要素と、を含み、
前記第2のループ要素は、前記第1のループ要素と前記第3のループ要素とを接続しているアンテナ回路基板。
【請求項2】
請求項1に記載のアンテナ回路基板であって、
前記最上層は、前記第1の開口を覆うことで、前記第1の開口を閉じている蓋部を構成しているアンテナ回路基板。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のアンテナ回路基板であって、
前記基材は、前記第1及び第2の折り畳み線上に形成された第2の開口を有しているアンテナ回路基板。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のアンテナ回路基板であって、
前記アンテナ回路基板は、前記第1及び第2の接続部の間に介在し、前記第1及び第2の接続部を電気的に接続する接続部材をさらに備えるアンテナ回路基板。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のアンテナ回路基板であって、
前記最上層は、前記第2の接続部に対応する位置に前記第2の接続部を外部に露出する貫通孔を有するアンテナ回路基板。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のアンテナ回路基板であって、
前記アンテナ回路基板は、
前記最下層と前記中間層との間に介在し、前記最下層と前記中間層とを接着する枠状の第1の粘着層と、
前記中間層と前記最上層との間に介在し、前記中間層と前記最上層とを接着する枠状の枠状の第2の粘着層と、をさらに備えるアンテナ回路基板。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のアンテナ回路基板であって、
前記基材は、複数の前記中間層を含み、
前記複数の中間層は、
前記第1の折り畳み線を介して前記最下層に接続されている第1の中間層と、
前記第2の折り畳み線を介して前記最上層に接続されている第2の中間層と、を含み、
前記第1及び第2の中間層は、第3の折り畳み線を介して相互に接続されており、
前記基材が前記第3の折り畳み線に沿って折り畳まれていることにより、前記第1の中間層の上方に前記第2の中間層が配置されているアンテナ回路基板。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に記載のアンテナ回路基板であって、
前記基材は、複数の前記中間層を含み、
前記複数の中間層は、
前記第1の折り畳み線を介して前記最下層に接続されている第1の中間層と、
前記第2の折り畳み線を介して前記最上層に接続されている第2の中間層と、
複数の第3の中間層と、を含み、
前記複数の第3の中間層のうち一層は、第4の折り畳み線を介して前記第1の中間層に接続されており、
前記複数の第3の中間層のうち他の一層は、第5の折り畳み線を介して前記第2の中間層に接続されており、
前記複数の第3の中間層同士は、第6の折り畳み線を介して互いに接続されており、
前記基材が前記第4~第6の折り畳み線に沿って折り畳まれていることにより、前記第1の中間層の上方に前記第2の中間層が配置されていると共に、前記第1の中間層と前記第2の中間層との間に前記複数の第3の中間層が介在しているアンテナ回路基板。
【請求項9】
配線パターンと、
前記配線パターンが片側の主面に形成された基材と、を備え、
前記基材は、
第1の領域と、
第1の開口を有すると共に、前記基材を第1の折り畳み線に沿って折り畳んだ場合に、前記第1の領域の上方に配置される少なくとも1つの第2の領域と、
前記基材を第2の折り畳み線に沿って折り畳んだ場合に、前記第2の領域の上方に配置される第3の領域と、を有し、
前記配線パターンは、
前記第1の領域に配置された第1の接続部と、
前記第1の領域に配置されていると共に、電子部品が接続される部品接続部と、
前記第1の接続部及び前記部品接続部に電気的に接続されるアンテナ回路と、
前記アンテナ回路に接続されていると共に、前記第3の領域に配置されている第2の接続部と、を有し、
前記アンテナ回路は、
前記第1の接続部及び前記部品接続部に電気的に接続されると共に、前記部品接続部及び前記第1の接続部の外側に位置するように前記第1の領域に配置された第1のループ要素と、
前記第1の開口の外側に位置するように前記第2の領域に配置された第2のループ要素と、
前記第2の接続部に接続されていると共に、前記第2の接続部の外側に位置するように前記第3の領域に配置された第3のループ要素と、を有しており、
前記第2のループ要素は、前記第1のループ要素と前記第3のループ要素とを接続しており、
前記第1の開口は、前記基材を前記第1及び第2の折り畳み線に沿って折り畳んだ場合に、平面視において前記部品接続部が前記第1の開口の内側に位置するように、前記第2の領域に配置されているフレキシブルプリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ回路基板及びフレキシブルプリント配線板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コイル基板は、絶縁層上に形成された複数のシングルコイルと、絶縁層を貫通する貫通孔の内部に埋設された複数の導体柱と、を備える1枚のフレキシブル基板を折り畳むことで形成される(例えば、特許文献1参照)。このコイル基板では、最上の絶縁層の表面に、外部の電子部品と接続するための電極が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-47621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のコイル基板に電子部品を実装して回路基板を作製する場合、コイル基板の最上の絶縁層の表面に形成された電極に電子部品を接続することで、コイル基板の外部から電子部品を実装する。このため、電子部品の厚みとコイル基板との厚みの合計が回路基板の厚みとなり、回路基板の厚みが大きくなってしまう、という問題がある。
【0005】
本発明の目的は、薄型化が可能なアンテナ回路基板、及び、フレキシブルプリント配線板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明に係るアンテナ回路基板は、フレキシブルプリント配線板と、前記フレキシブルプリント配線板に実装された電子部品と、を備え、前記フレキシブルプリント配線板は、基材と、前記基材の片側の主面に形成された配線パターンと、を備え、前記フレキシブルプリント配線板は、第1及び第2の折り畳み線で折り畳まれており、前記基材は、前記電子部品が配置された最下層と、平面視において前記電子部品が内部に位置する第1の開口を有すると共に、前記基材が前記第1の折り畳み線に沿って折り畳まれていることにより前記最下層の上方に配置された少なくとも1つの中間層と、前記基材が前記第2の折り畳み線に沿って折り畳まれていることにより前記中間層の上方に配置された最上層と、を含み、前記配線パターンは、前記最下層に配置された第1の接続部と、前記最下層に配置されていると共に、前記電子部品が接続された部品接続部と、前記第1の接続部及び前記部品接続部に電気的に接続されたアンテナ回路と、前記アンテナ回路に接続されていると共に、前記第1の接続部と対向するように前記最上層に配置されている第2の接続部と、を含み、前記アンテナ回路は、前記第1の接続部及び前記部品接続部に電気的に接続されていると共に、前記部品接続部及び前記第1の接続部の外側に位置するように前記最下層に配置された第1のループ要素と、前記第1の開口の外側に位置するように前記中間層に配置された第2のループ要素と、前記第2の接続部に接続されていると共に、前記第2の接続部の外側に位置するように前記最上層に配置された第3のループ要素と、を含み、前記第2のループ要素は、前記第1のループ要素と前記第3のループ要素とを接続しているアンテナ回路基板である。
【0007】
[2]上記発明において、前記最上層は、前記第1の開口を覆うことで、前記第1の開口を閉じている蓋部を構成していてもよい。
【0008】
[3]上記発明において、前記基材は、前記第1及び第2の折り畳み線上に形成された第2の開口を有していてもよい。
【0009】
[4]上記発明において、前記アンテナ回路基板は、前記第1及び第2の接続部の間に介在し、前記第1及び第2の接続部を電気的に接続する接続部材をさらに備えていてもよい。
【0010】
[5]上記発明において、前記最上層は、前記第2の接続部に対応する位置に前記第2の接続部を外部に露出する貫通孔を有していてもよい。
【0011】
[6]上記発明において、前記アンテナ回路基板は、前記最下層と前記中間層との間に介在し、前記最下層と前記中間層とを接着する枠状の第1の粘着層と、前記中間層と前記最上層との間に介在し、前記中間層と前記最上層とを接着する枠状の枠状の第2の粘着層と、をさらに備えていてもよい。
【0012】
[7]上記発明において、前記基材は、複数の前記中間層を含み、前記複数の中間層は、前記第1の折り畳み線を介して前記最下層に接続されている第1の中間層と、前記第2の折り畳み線を介して前記最上層に接続されている第2の中間層と、を含み、前記第1及び第2の中間層は、第3の折り畳み線を介して相互に接続されており、前記基材が前記第3の折り畳み線に沿って折り畳まれていることにより、前記第1の中間層の上方に前記第2の中間層が配置されていてもよい。
【0013】
[8]上記発明において、前記基材は、複数の前記中間層を含み、前記複数の中間層は、前記第1の折り畳み線を介して前記最下層に接続されている第1の中間層と、前記第2の折り畳み線を介して前記最上層に接続されている第2の中間層と、複数の第3の中間層と、を含み、前記複数の第3の中間層のうち一層は、第4の折り畳み線を介して前記第1の中間層に接続されており、前記複数の第3の中間層のうち他の一層は、第5の折り畳み線を介して前記第2の中間層に接続されており、前記複数の第3の中間層同士は、第6の折り畳み線を介して互いに接続されており、前記基材が前記第4~第6の折り畳み線に沿って折り畳まれていることにより、前記第1の中間層の上方に前記第2の中間層が配置されていると共に、前記第1の中間層と前記第2の中間層との間に前記複数の第3の中間層が介在していてもよい。
【0014】
[9]本発明に係るフレキシブルプリント配線板は、配線パターンと、前記配線パターンが片側の主面に形成された基材と、を備え、前記基材は、第1の領域と、第1の開口を有すると共に、前記基材を第1の折り畳み線に沿って折り畳んだ場合に、前記第1の領域の上方に配置される少なくとも1つの第2の領域と、前記基材を第2の折り畳み線に沿って折り畳んだ場合に、前記第2の領域の上方に配置される第3の領域と、を有し、前記配線パターンは、前記第1の領域に配置された第1の接続部と、前記第1の領域に配置されていると共に、電子部品が接続される部品接続部と、前記第1の接続部及び前記部品接続部に電気的に接続されるアンテナ回路と、前記アンテナ回路に接続されていると共に、前記第3の領域に配置されている第2の接続部と、を有し、前記アンテナ回路は、前記第1の接続部及び前記部品接続部に電気的に接続されると共に、前記部品接続部及び前記第1の接続部の外側に位置するように前記第1の領域に配置された第1のループ要素と、前記第1の開口の外側に位置するように前記第2の領域に配置された第2のループ要素と、前記第2の接続部に接続されていると共に、前記第2の接続部の外側に位置するように前記第3の領域に配置された第3のループ要素と、を有しており、前記第2のループ要素は、前記第1のループ要素と前記第3のループ要素とを接続しており、前記第1の開口は、前記基材を前記第1及び第2の折り畳み線に沿って折り畳んだ場合に、平面視において前記部品接続部が前記第1の開口の内側に位置するように、前記第2の領域に配置されているフレキシブルプリント配線板である。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るアンテナ回路基板であれば、電子部品が中間層の第1の開口の内側に位置するため、アンテナ回路基板を薄型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施形態におけるアンテナ回路基板の一例を示す展開図である。
図2図2は、本発明の実施形態におけるアンテナ回路基板を折り畳んでいる様子を示す斜視図である。
図3図3は、本発明の実施形態におけるアンテナ回路基板を上方から見た斜視図である。
図4図4は、図3のIV-IV線に沿った端面図である。
図5図5は、図3のV-V線に沿った断面図である。
図6図6は、本発明の実施形態におけるアンテナ回路基板の第1の変形例を示す展開図である。
図7図7は、本発明の実施形態におけるアンテナ回路基板の第2の変形例を示す展開図である。
図8図8は、本発明の実施形態におけるアンテナ回路基板の第3の変形例を示す展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本実施形態におけるアンテナ回路基板の一例を示す展開図であり、図2は、本実施形態におけるアンテナ回路基板を折り畳んでいる様子を示す斜視図であり、図3は、本実施形態におけるアンテナ回路基板の一例を示す平面図である。また、図4は、図3のIV-IV線に沿った端面図であり、図5は、図3のV-V線に沿った断面図である。なお、配線パターン20の理解を容易にするために、図1及び図2には絶縁層30を図示しておらず、粘着層3は一点鎖線で示している。
【0019】
本実施形態のアンテナ回路基板100は、例えば、NFC(Near field communication)に用いられるNFCタグである。このアンテナ回路基板100は、図1図5に示すように、第1~第3の折り畳み線L~Lに沿って折り畳まれたフレキシブルプリント配線板1と、フレキシブルプリント配線板1に実装された電子部品2と、折り畳まれたフレキシブルプリント配線板1の層間を接着する複数の粘着層3と、フレキシブルプリント配線板1の第1の接続部21と第2の接続部24とを接続する接続部材4と、を備えている。なお、アンテナ回路基板100の用途は、NFCタグに限定されない。
【0020】
図1及び図2に示すように、フレキシブルプリント配線板1は、基材10と、基材10の第1の主面10aに形成された配線パターン20と、配線パターン20を覆う絶縁層30と、を備えている。
【0021】
本実施形態の基材10は、L字型の平面形状を有すると共に、可撓性を有する樹脂フィルムである。この基材10は、樹脂材料等の電気絶縁性を有する材料から構成されている。特に限定されないが、この基材10を構成する材料としては、例えば、ポリイミド(PI)、液晶ポリマ(LCP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、及び、アラミド等を例示することができる。
【0022】
図1及び図2に示すように、基材10は、第1の領域Rと、複数(本例では2つ)の第2の領域R2a,R2bと、第3の領域Rと、を含んでいる。第1の領域Rは、第1の折り畳み線Lを介して第2の領域R2aに接続されている。この第2の領域R2aは、第3の折り畳み線Lを介して第2の領域R2bと接続されている。この第2の領域R2bは、第2の折り畳み線Lを介して第3の領域Rと接続されている。
【0023】
第1の領域Rは、矩形の平面形状を有している。この第1の領域Rは、図2を参照しながら後述するように、基材10を第1~第3の折り畳み線L~Lに沿って折り畳んだ場合に、アンテナ回路基板100の最下に位置する最下層11を構成する領域である。図4に示すように、この最下層11を構成する第1の領域Rに、後述する配線パターン20の部品接続部22を介して電子部品2が実装される。
【0024】
図1に示すように、第1の領域Rに、矩形の枠状の平面形状を有する第2の領域R2aが隣接している。この第2の領域R2aは、図2に示すように第1の折り畳み線Lに沿って基材10を谷折りした場合(図1において、第1の折り畳み線Lを中心として、紙面手前側に第1及び第2の領域R,Rを引くことによりフレキシブルプリント配線板1を折り畳んだ場合)に、図4及び図5に示すように、最下層11の上方に位置する第1の中間層12aを構成する領域である。第1の折り畳み線Lに沿って基材10を谷折りした場合、第1の中間層12aの第1の主面10aが、最下層11の第1の主面10aと対向する。
【0025】
この第2の領域R2aは、矩形の第1の開口14aを有している。第1の開口14aは、基材10を厚さ方向に貫通している。なお、第1の開口14aの平面形状は矩形に限定されず、矩形以外の多角形や、円等であってもよい。この第1の開口14aは、第1の折り畳み線Lに沿って基材10を谷折りした場合に、図3に示すように、平面視において、電子部品2及び配線パターン20の第1の接続部21が第1の開口14aの内側に位置するように配置されている。
【0026】
図1に示すように、第2の領域R2aに、第2の領域R2aと略同一の枠状の平面形状を有する第2の領域R2bが隣接している。この第2の領域R2bは、図2に示すように、第3の折り畳み線Lに沿って基材10を山折りした場合(図1において、第3の折り畳み線Lを中心として、紙面奥側に第2の領域R2a,R2bを押すことによりフレキシブルプリント配線板1を折り畳んだ場合)に、図4及び図5に示すように、第1の中間層12aの上方に位置する第2の中間層12bを構成する領域である。また、図2に示すように、第3の折り畳み線Lに沿って基材10を山折りした場合、第1及び第2の中間層12a,12bの第2の主面10b同士が相互に対向する。なお、本実施形態では、第2の領域R2a,R2bは互いに同一の平面形状を有しているが、異なる平面形状を有していてもよい。
【0027】
この第2の領域R2bも、第1の開口14aと同一の矩形の平面形状を有する第1の開口14bを有している。この第1の開口14bは、基材10を厚さ方向に貫通している。なお、本実施形態では、第1の開口14a,14bは互いに同一の平面形状を有しているが、異なる平面形状を有していてもよい。また、第1の開口14bの平面形状も矩形に限定されず、矩形以外の多角形や、円等であってもよい。
【0028】
この第1の開口14bは、第3の折り畳み線Lに沿って基材10を山折りした場合に、第1の開口14aと重なる位置に配置されている。また、図3に示すように、第1の開口14bも、第1の開口14aと同様に、第1及び第3の折り畳み線L,Lに沿って基材10を折り畳んだ場合に、平面視において、電子部品2及び第1の接続部21が第1の開口14bの内側に位置するように配置されている。
【0029】
図1に示すように、第2の領域R2bに、矩形の平面形状を有する第3の領域Rが隣接している。この第3の領域Rは、図2に示すように、第2の折り畳み線Lに沿って基材10を谷折りした場合(図1において、第2の折り畳み線Lを中心として、紙面手前側に第2の領域R2bと第3の領域Rを引くことによりフレキシブルプリント配線板1を折り畳んだ場合)に、図4及び図5に示すように、第2の中間層12bの上方に位置する最上層13を構成する領域である。また、第2の折り畳み線Lに沿って基材10を谷折りした場合、第2の中間層12bの第1の主面10aと最上層13の第1の主面10aとが相互に対向する。
【0030】
この最上層13は、図3図5に示すように、アンテナ回路基板100の蓋部を構成している。すなわち、この最上層13は、第1の開口14a,14bを上方から覆うことで、第1の開口14a,14bを閉じており、第1の開口14a,14bを外部から遮蔽している。このように、最上層13が、第1の開口14a,14bを外部から遮蔽する蓋部を構成していることにより、第1の開口14a,14bの内部に位置する電子部品2を保護することができる。
【0031】
また、図1に示すように、第3の領域Rは、貫通孔17を有している。この貫通孔17は、第3の領域Rにおいて、第2の接続部24に対応する位置に配置されている。すなわち、本実施形態では、貫通孔17は、平面視において、第2の接続部24と重なる位置に配置されており、貫通孔17の基材の厚さ方向における一端は、第2の接続部24によって閉じられている。これにより、図3に示すように、第2の接続部24の一部が、最上層13の貫通孔17を介して、アンテナ回路基板100の外部に露出している。最上層13が、こうした貫通孔17を有していることにより、配線パターン20及び電子部品2の導通状態を確認するテスタのプローブを、当該貫通孔17を介して第2の接続部24に接触させることができ、配線パターン20及び電子部品2の導通状態を容易に確認できる。
【0032】
図1に示すように、基材10は、第1~第3の折り畳み線L~L上に、複数の第2の開口15を有している。第2の開口15は、基材10を厚さ方向に貫通している。また、この第2の開口は、その長手方向が第1~第3の折り畳み線L~Lに沿った長円(半円同士を一対の直線で接続した形状)の平面形状を有している。こうした第2の開口15を基材10に設けることで、第1~第3の折り畳み線L~Lに沿って基材10を折り畳みやすくなる。
【0033】
図1及び図2に示すように、基材10の第1の主面10aに、配線パターン20が形成されている。配線パターン20は、第1の主面10aと反対側の第2の主面10bには形成されておらず、第1の主面10aのみに形成されている。この配線パターン20は、金属又はカーボン等の導電性材料から構成されている。この配線パターン20を構成する金属としては、例えば、銅、銀、金を例示することができる。
【0034】
基材10に配線パターン20を形成する方法としては、特に限定されないが、サブトラクティブ法やセミアディティブ法等の方法を例示することができる。或いは、導電性粒子を含む導電性ペーストを基材10上に印刷し、当該導電性ペーストを硬化させることにより、配線パターン20を形成してもよい。
【0035】
配線パターン20は、第1の接続部21と、部品接続部22と、アンテナ回路23と、第2の接続部24と、を備えている。
【0036】
第1の接続部21は、配線パターン20の一方の端部であり、第1の領域Rに配置されている。この第1の接続部21は、図3及び図4に示すように、第1~第3の折り畳み線L~Lに沿って基材10を折り畳んだ場合に、平面視において、第1の開口14a,14bの内側に位置するように配置されている。また、第1の接続部21は、この第1~第3の折り畳み線L~Lに沿って基材10を折り畳んだ場合に、第2の接続部24と対向する位置に配置されている。第1の接続部21は、接続部材4を介して第2の接続部24と電気的に接続される。
【0037】
図1に示すように、第1の接続部21に、部品接続部22が接続されている。この部品接続部22は、電子部品2が実装される部分であり、電子部品2を第1の領域Rに配置するために、部品接続部22も第1の領域Rに配置されている。この部品接続部22は、図3及び図4に示すように、第1~第3の折り畳み線L~Lに沿って基材10を折り畳んだ場合に、平面視において、第1の開口14a,14bの内側に位置するように配置されており、これにより、電子部品2も第1の開口14a,14bの内側に位置する。
【0038】
図1に示すように、本実施形態の部品接続部22は、一対の第1及び第2の端子部22a,22bを含んでいる。第1の端子部22aは、第1の接続部21と接続されている。第2の端子部22bは、第1の接続部21と直接接続しておらず、第1の端子部22aから離れて配置されている。この第1及び第2の端子部22a,22bには、半田或いは導電性接着剤等を介して、電子部品2の端子がそれぞれ接続される。従って、第1及び第2の端子部22a,22bは、電子部品2を介して電気的に接続されている。なお、本実施形態では部品接続部22の理解を容易にするために、第1及び第2の端子部22a,22bをそれぞれ1個のみ図示しているがこれに限定されない。電子部品2の端子の数に合わせて、第1及び第2の端子部22a,22bはいずれも複数個配置されていてもよい。
【0039】
部品接続部22に、アンテナ回路23が接続されている。アンテナ回路23は、外部からの電磁波を受信するためのループアンテナである。このアンテナ回路23は、受信した電磁波による電磁誘導を利用して誘導電流を発生させ、発生した誘導電流を電子部品2に供給する。
【0040】
このアンテナ回路23は、第1の領域Rに配置された第1のループ要素231と、第2の領域R2a,R2bにそれぞれ配置された複数の第2のループ要素232a,232bと、第3の領域Rに配置された第3のループ要素233と、を有している。それぞれのループ要素231~233は、図2に示すように第1~第3の折り畳み線L~Lに沿って基材10を折り畳んだ場合に形成される後述のコイルの一部を構成する要素である。これらのループ要素231~233は、電気的に直列に接続されており、図2に示すように第1~第3の折り畳み線L~Lに沿って基材10を折り畳んだ場合に、一つのコイル(ループアンテナ)を形成する。
【0041】
図1に示すように、第1のループ要素231は、部品接続部22の第2の端子部22bに接続されている。この第1のループ要素231は、第1の領域Rの外周部に配置されており、当該外周部に沿って延在する矩形の環状の平面形状を有している。この第1のループ要素231は、第1の接続部21、部品接続部22、及び、電子部品2の外側に配置されており、第1の接続部21、部品接続部22、及び、電子部品2を囲んでいる。
【0042】
この第1のループ要素231は、図4及び図5に示すように、第1~第3の折り畳み線L~Lに沿って基材10を折り畳んだ場合に、第2~第3のループ要素232a~233よりも下側に位置しており、第1~第3のループ要素231~233の中で最も下の位置に配置される。
【0043】
図1に示すように、この第1のループ要素231に、第2のループ要素232aが接続されている。この第2のループ要素232aは、第2の領域R2aに配置されており、第1の開口14aの縁に沿ったコの字状(略U字状)の平面形状を有している。この第2のループ要素232aは、図4及び図5に示すように、第1~第3の折り畳み線L~Lに沿って基材10を折り畳んだ場合に、第1のループ要素231と第2のループ要素232bの間に介在する。
【0044】
図1に示すように、第2のループ要素232aに、第2のループ要素232bが接続されている。この第2のループ要素232bは、第2の領域R2bに配置されており、第1の開口14bの縁に沿ったコの字状の平面形状を有している。この第2のループ要素232bは、図4及び図5に示すように、第1~第3の折り畳み線L~Lに沿って基材10を折り畳んだ場合に、第3のループ要素233と第2のループ要素232aの間に介在する。
【0045】
第2のループ要素232bに、第3のループ要素233が接続されている。すなわち、第3のループ要素233は、複数の第2のループ要素232a,232bにより第1のループ要素231と電気的に接続されている。
【0046】
この第3のループ要素233は、第3の領域Rの外周部に配置されており、当該外周部に沿って延在する矩形の環状の平面形状を有している。この第3のループ要素233は、第2の接続部24の外側に位置し、第2の接続部を囲んでいる。
【0047】
第3のループ要素233は、図4及び図5に示すように、第1~第3の折り畳み線L~Lに沿って基材10を折り畳んだ場合に、第1~第2のループ要素231~232bよりも上側に位置しており、第1~第3のループ要素231~233の中で最も上の位置に配置される。
【0048】
上記のような第1~第3のループ要素231~233は、図4に示すように、第1~第3の折り畳み線L~Lに沿って基材10を折り畳んだ場合に、平面視において、相互に重なると共に、相互に実質的に同軸状に位置するように配置されている。このとき、第1~第3のループ要素231~233は、一本の配線からなる矩形の螺旋状のコイルを形成しており、第1~第3のループ要素231~233における誘導電流の流れる向きが全て同一方向となっている。
【0049】
図1に示すように、このアンテナ回路23の第3のループ要素233に、第2の接続部24が接続されている。第2の接続部24は、配線パターン20の他方の端部であり、第3の領域Rにおいて、第3のループ要素233の内側に配置されている。この第2の接続部24は、図3及び図4に示すように、第1~第3の折り畳み線L~Lに沿って基材10を折り畳んだ場合に、平面視において、第1の開口14a,14bの内側に位置するように配置されている。
【0050】
また、図4に示すように、第2の接続部24は、この第1~第3の折り畳み線L~Lに沿って基材10を折り畳んだ場合に、第1の接続部21の上方から第1の接続部21と対向するように配置されている。この第2の接続部24は、上述の通り、接続部材4を介して第1の接続部21と電気的に接続される。
【0051】
絶縁層30は、配線パターン20を保護するための樹脂層である。絶縁層30は、基材10の第1の開口14a,14bと、第2の開口15と、配線パターン20の第1及び第2の接続部21,24と、部品接続部22と、を除く部分を覆うように基材10の第1の主面10a上に形成されている。この絶縁層30は、樹脂材料等の電気絶縁性を有する材料から構成されている。具体的には、絶縁層30としてカバーレイフィルムを用いてもよいし、或いは、液状のソルダレジストインクを印刷することで絶縁層30を形成してもよい。
【0052】
以上のようなフレキシブルプリント配線板1に電子部品2を実装した後に、当該フレキシブルプリント配線板1を折り畳むことによって、アンテナ回路基板100は形成されている。
【0053】
フレキシブルプリント配線板1に実装される電子部品2は、メモリや制御回路等を含むICチップである。この電子部品2を、半田或いは導電性接着剤等によって、部品接続部22に実装する。なお、最下層11において、電子部品2の近傍に、共振周波数調整用のコンデンサ、抵抗、及び、インダクタ等の他の電子部品がさらに実装されていてもよい。また、最下層11における第1の接続部21、部品接続部22の端子部22a,22b、及び、アンテナ回路23の第1のループ要素231の電気的な接続関係は、特に上記に限定されない。
【0054】
次に、第2の領域R2a,R2bに形成された絶縁層30上と、第2の領域R2aの第2の主面10b上と、に枠状に粘着材料を塗布することで、複数の粘着層3を形成する。この粘着層を構成する粘着材料としては、接着剤等を用いることができる。接着剤としては、熱硬化性接着剤、又は、熱可塑性接着剤等を用いることができる。より具体的には、接着剤として、アクリル樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、ポリエステル樹脂系接着剤等を用いることができる。
【0055】
次に、フレキシブルプリント配線板1を、図2に示すように第1の折り畳み線Lに沿って谷折りすることで、第1の領域Rの上方に第2の領域R2aを配置する。そして、第2の領域R2aの第1の主面10aに対応するように絶縁層30上に形成された粘着層3により、第1の領域Rと第2の領域R2aの第1の主面10a上の絶縁層30同士を接着する。これにより、図4及び図5に示すように、最下層11と、最下層11の上方に配置された第1の中間層12aが形成される。
【0056】
次に、フレキシブルプリント配線板1を、図2に示すように第2の折り畳み線Lに沿って山折りすることで、第2の領域R2aの上方に第2の領域R2bを配置する。そして、第2の領域R2aの第2の主面10bに形成された粘着層3により、第2の領域R2a,R2bの第2の主面10b同士を接着する。これにより、図4及び図5に示すように、第1の中間層12aの上方に第2の中間層12bが形成される。
【0057】
次に、フレキシブルプリント配線板1を、図2に示すように第3の折り畳み線Lに沿って谷折りすることで、第2の領域R2bの上方に第3の領域Rを配置する。これにより、図4に示すように、配線パターン20の第1及び第2の接続部21,24が対向する。
【0058】
次に、このように対向した第1及び第2の接続部21,24を、接続部材4によって電気的に接続する。この接続部材4としては、半田或いは導電性接着剤等を用いることができる。最後に、第2の領域R2bの第1の主面10aに対応するように絶縁層30上に形成された粘着層3により、第2の領域R2bと第3の領域Rの第1の主面10a上の絶縁層30同士を接着する。これにより、図4及び図5に示すように、第2の中間層12bの上方に、蓋部を構成する最上層13が形成される。
【0059】
このようにして組み立てられたアンテナ回路基板100を、NFCタグとして用いる場合には、相手方のリーダライタ端末にアンテナ回路基板100を近づけることで、当該リーダライタ端末からの電磁波をアンテナ回路23が受信する。電磁波を受信したアンテナ回路23は、誘導電流をICチップに供給する。これにより、ICチップが駆動して、非接触でアンテナ回路基板100とリーダライタ端末との間で情報を授受する。
【0060】
以上のようなアンテナ回路基板100では、最下層11に実装された電子部品2が、最下層11と最上層13との間に介在する第1及び第2の中間層12a,12bの第1の開口14a,14bの内部に位置している。即ち、電子部品2がアンテナ回路基板100に内蔵されているため、折り畳まれたフレキシブルプリント配線板の上面に電子部品を実装する場合と比較して、アンテナ回路基板100を薄型化することが可能となる。
【0061】
また、基材の貫通孔に埋設された複数の導体柱によって配線パターンの層間接続を行う場合には、この導体柱により配線パターンの層間接続部分に凹凸が生じてしまうことがある。このような凹凸が生じると、配線パターンにおける抵抗のばらつきや層間で生じる相互インダクタンスのばらつきが大きくなってしまう。これに対して、本実施形態では、配線パターン20全体を基材10の片側の第1の主面10aのみに形成していると共に、この配線パターン20を折り畳んで積層することにより、層間接続を行っている。このため、配線パターン20の厚みや配線パターン20間の層間距離を制御し易く、配線パターンにおける抵抗のばらつきや層間で生じる相互インダクタンスのばらつきを低減することができる。
【0062】
また、本実施形態におけるアンテナ回路基板100では、最下層11と最上層13に加えて、最下層11と最上層13の間に介在する第1及び第2の中間層12a,12bにも、アンテナ回路23が形成されている。このように、アンテナ回路23が第1及び第2の中間層12a,12bにも形成されていることにより、アンテナ回路23のコイルの巻き数を増やすことができるため、コイルのインダクタンスを大きくすることができる。その結果、アンテナ回路基板100を薄型化しつつ、アンテナ回路基板100の通信距離を長くすることができる。
【0063】
なお、本実施形態では、2層の中間層にループ要素を形成することによりコイルの巻き数を増やしているが、ループ要素を形成する中間層の数はこれに限定されない。例えば、この中間層の数は、以下の第1の変形例及び第2の変形例に示すように、3層以上であってもよい。
【0064】
図6は、本実施形態におけるアンテナ回路基板の第1の変形例を示す展開図である。この第1の変形例におけるアンテナ回路基板100Bは、第1及び第2の中間層12a,12bに加えて、第1及び第2の中間層12a,12b間に介在する複数(本例では2層)の第3の中間層12c,12dを、備えている。すなわち、第1の変形例のフレキシブルプリント基板1Bは、第2の領域R2a,R2b間に介在する複数の第4の領域R4a,R4bをさらに備えている。そして、第4の領域R4a,R4bには、第2のループ要素232c、232dがそれぞれ配置されている。
【0065】
第4の領域R4aは、第2の領域R2aと略同一の枠状の平面形状を有しており、第4の折り畳み線Lを介して第2の領域R2aに接続されている。この第4の領域R4aは、第4の折り畳み線Lに沿って基材10Bを山折りした場合に、第1の中間層12aの上方に配置される第3の中間層12cを構成する領域である。また、この第4の領域R4aには、第1の開口14cが形成されている。
【0066】
第4の領域R4aには、アンテナ回路23Bの第2のループ要素232cが配置されている。この第2のループ要素232cは、第1の開口14cの縁に沿ったコの字状の平面形状を有していると共に、第2のループ要素232aと接続されている。
【0067】
第4の領域R4bも、第2の領域R2aと略同一の枠状の平面形状を有している。第4の領域4bは、第2の領域R2bと第4の領域R4aとの間に介在している。すなわち、第4の領域4bは、第5の折り畳み線Lを介して第2の領域R2bに接続されていると共に、第6の折り畳み線Lを介して第4の領域R4aに接続されている。
【0068】
この第4の領域4bは、第5の折り畳み線Lに沿って基材10Bを山折りした場合に第2の中間層12bの下方に配置されると共に、第6の折り畳み線Lに沿って基材10Bを谷折りした場合に第3の中間層12cの上方に配置される第3の中間層12dを構成する領域である。すなわち、第3の中間層12dは、第2の中間層12bと第3の中間層12cの間に介在する。また、この第4の領域4bには、第1の開口14dが形成されている。
【0069】
第4の領域4bには、アンテナ回路23Bの第2のループ要素232dが配置されている。この第2のループ要素232dは、第1の開口14dの縁に沿ったコの字状の平面形状を有している。また、第2のループ要素232dは、第2のループ要素232bと接続されていると共に、第2のループ要素232cと接続されている。
【0070】
図7は、本実施形態におけるアンテナ回路基板の第2の変形例を示す展開図である。この第2の変形例におけるアンテナ回路基板100Cは、第1の変形例における第3の中間層12c,12dの間に、第3の中間層12e,12fをさらに備えている。すなわち、第2の変形例のフレキシブルプリント基板1Cは、第4の領域R4a,R4b間に介在する複数の第4の領域R4c,R4dをさらに備えている。そして、第4の領域R4c,R4dには、第2のループ要素232e,232fがそれぞれ配置されている。
【0071】
第4の領域R4cは、第2の領域R2aと略同一の枠状の平面形状を有しており、第6の折り畳み線L6aを介して第4の領域R4aに接続されている。この第4の領域R4cは、第6の折り畳み線L6aに沿って基材10Cを山折りした場合に、第3の中間層12cの上方に配置される第3の中間層12eを構成する領域である。また、この第4の領域R4cには、第1の開口14eが形成されている。
【0072】
第4の領域R4cには、アンテナ回路23Cの第2のループ要素232eが配置されている。この第2のループ要素232eは、第1の開口14eの縁に沿ったコの字状の平面形状を有していると共に、第2のループ要素232cと接続されている。
【0073】
第4の領域R4dは、第2の領域R2aと略同一の枠状の平面形状を有している。第4の領域R4dは、第4の領域R4cと第4の領域R4bとの間に介在している。すなわち、第4の領域R4dは、第6の折り畳み線L6bを介して第4の領域R4cに接続されていると共に、第6の折り畳み線L6cを介して第4の領域R4bに接続されている。
【0074】
この第4の領域R4dは、第6の折り畳み線L6bに沿って基材10Cを山折りした場合に第3の中間層12eの上方に配置されると共に、第6の折り畳み線L6cに沿って基材10Cを谷折りした場合に第3の中間層12dの下方に配置される第3の中間層12fを構成する領域である。また、この第4の領域R4dには、第1の開口14fが形成されている。
【0075】
第4の領域R4dには、アンテナ回路23Cの第2のループ要素232fが配置されている。この第2のループ要素232fは、第1の開口14fの縁に沿ったコの字状の平面形状を有している。また、第2のループ要素232fは、第2のループ要素232eと接続されていると共に、第2のループ要素232dと接続されている。
【0076】
上記の第1及び第2の変形例に示すアンテナ回路基板100B,100Cでは、第3の中間層12c~12fをさらに設けることにより、アンテナ回路23B,23Cのコイルの巻き数を増やすことができるため、通信距離をより長くすることができる。
【0077】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。従って、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0078】
例えば、上記実施形態では、フレキシブルプリント配線板の中間層を構成する第2の領域は、最下層を構成する第1の領域と最上層を構成する第3の領域との間に介在しているが、これに限定されない。すなわち、以下の第3の変形例に示すように、第1の領域と第3の領域が互いに隣接し、第2の領域が第1の領域と第3の領域の少なくとも一方に隣接していてもよい。
【0079】
図8は、本実施形態におけるアンテナ回路基板の第3の変形例を示す展開図である。この第3の変形例のアンテナ回路基板100Dでは、基材10Dの第1の領域Rに、第7~第9の折り畳み線L~Lを介して第2の領域R2a,R2b及び第3の領域Rが接続されている。
【0080】
また、第2の領域R2aに形成された第2のループ要素232gは、第1の開口14aの縁に沿った矩形の環状の平面形状を有しており、第1のループ要素231に接続されている。一方で、第2の領域R2bに形成されたループ要素232hは、第1の開口14bの縁に沿ったコの字状の平面形状を有しており、第2のループ要素232gと第3のループ要素233との間を接続している。
【0081】
なお、第3の変形例では、第1の領域Rに、第2の領域R2a,R2b及び第3の領域Rが接続されているがこれに限定されない。第3の変形例の第1の領域Rの位置と、第3の領域Rの位置を入れ替えることで、第3の領域Rに第2の領域R2a,R2b及び第1の領域Rが接続されていてもよい。
【0082】
また、上述の実施形態では、最上層13が折り畳まれたアンテナ回路基板100の蓋部を構成しているが、特にこれに限定されず、最上層13に開口が形成されていてもよい。この場合、最上層13の当該開口に電子部品が入り込んでいてもよい。
【0083】
また、上述の実施形態では、最下層11において第1のループ要素231が一重の環状形状を有しているが、特にこれに限定されず、第1のループ要素231が多重の環状形状を有していてもよい。同様に、上述の実施形態では、最上層13において第3のループ要素233が一重の環状形状を有しているが、特にこれに限定されず、第3のループ要素233が多重の環状形状を有していてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1~1D…フレキシブルプリント配線板
10~10D…基材
10a,10b…第1及び第2の主面
11…最下層
12a~12f…第1~第3の中間層
13…最上層(蓋部)
14~15…第1及び第2の開口
16…貫通孔
~R…第1~第4の領域
~L…第1~第6の折り畳み線
20…配線パターン
21…第1の接続部
22…部品接続部
22a,22b…第1及び第2の端子部
23~23D…アンテナ回路
231~233…第1~第3のループ要素
24…第2の接続部
30…絶縁層
2…電子部品
3…粘着層
4…接続部材
100…アンテナ回路基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8