(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187354
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】フライヤー
(51)【国際特許分類】
A47J 37/12 20060101AFI20221212BHJP
【FI】
A47J37/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095347
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】雉本 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 雄大
(72)【発明者】
【氏名】木内 直樹
【テーマコード(参考)】
4B059
【Fターム(参考)】
4B059AA01
4B059AE02
4B059AE13
4B059AE14
4B059BA06
(57)【要約】
【課題】テールパイプ上に網体を載置しても、テールパイプと網体との点接触を回避して応力集中によるテールパイプの損傷を防止する。
【解決手段】フライヤー1において、網体20は、外枠21と、縦棒23及び横棒22とを含む。縦棒23は、平面視で直管部15A,15Cとオーバーラップする位置で、且つ左右方向に所定間隔をおいて横棒22の上下に配置される縦棒23U及び縦棒23Dと、縦棒23Uと縦棒23Dとの間に配置されて直管部15A,15Cとオーバーラップする縦棒23M
1,23M
2とを有する。縦棒23M
1,23M
2は、上側部分27a,27bと下側部分28a,28bと接続部分29a~29cとを有し、直管部15A,15Cへの載置状態では、縦棒23M
1,23M
2の上側部分27a,27b又は下側部分28a,28bが直管部15A,15Cに線接触して網体20を支持する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理油を収容する油槽と、
前記油槽内に設けられ、調理油を加熱するパルス燃焼器と、を有し、
前記パルス燃焼器は、燃焼室と、前記燃焼室に接続されて燃焼排気が通過する蛇行状のテールパイプとを有し、前記テールパイプは、前記油槽内を前後方向に延びて互いに平行な複数の直管部を最上位置に備え、
前記油槽内で前記複数の直管部上に、網体が載置されるフライヤーであって、
前記網体は、前記油槽内部の水平断面形状に合わせて形成される外枠と、
前記外枠内で前後方向に延びる縦棒と、
前記外枠内で左右方向に延びる横棒と、を含み、
前記縦棒は、少なくとも平面視で前記直管部とオーバーラップする位置で、且つ左右方向に所定間隔をおいて前記横棒の上下に配置される第1の縦棒及び第2の縦棒と、左右方向で前記第1の縦棒と前記第2の縦棒との間に配置されて平面視で前記直管部とオーバーラップする第3の縦棒とを有し、
前記第3の縦棒は、前記横棒の上下何れか一方側に位置する第1直線部分と、前記横棒の上下他方側に位置する第2直線部分と、前記横棒と干渉しない位置で前記第1直線部分と前記第2直線部分とを接続する接続部分とを有し、前記直管部への載置状態では、前記網体の表裏何れの場合も、前記第3の縦棒の前記第1直線部分又は前記第2直線部分が前記直管部に線接触して前記網体を支持することを特徴とするフライヤー。
【請求項2】
前記複数の直管部は、平面視で左右に少なくとも2本配置され、前記第3の縦棒は、前記網体を左右方向の中心を通る上下方向の仮想軸を中心に回転させて前後逆に載置しても、前記直管部に線接触する回転対称に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のフライヤー。
【請求項3】
前記横棒は、前記網体の前後方向の中心部を挟んで少なくとも前後に2本配置され、
前記第3の縦棒の前記第1直線部分と前記第2直線部分とは、前記前後の横棒の間にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のフライヤー。
【請求項4】
前記第3の縦棒は、前記網体を左右方向の中心を通る前後方向の対称軸を中心に回転させて上下逆に載置しても、前記直管部に線接触する左右対称に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のフライヤー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、調理油を油槽内で加熱し、当該油槽に被調理物を投入して加熱調理する業務用のフライヤーに関する。
【背景技術】
【0002】
フライヤーは、調理油を収容する油槽内に、加熱手段となるパルス燃焼器を設けている。このパルス燃焼器は、例えば特許文献1に開示されるように、燃料ガスと燃焼用空気との混合気が燃焼する燃焼室と、燃焼室に接続され、燃焼排気が通過するテールパイプとを備えたものが知られている。このテールパイプは、油槽内を前後方向に延びる複数の直管部と、直管部の端部同士を前後互い違いに繋ぐU字状の曲管部とからなる1本の蛇行状に形成されている。複数の直管部は、油槽内で同じ高さで平行に配設されて、最上位置で網体が支持可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テールパイプに載置される網体は、左右方向に延びる複数の横棒と、前後方向に延びる複数の縦棒とを溶接して形成されている。この網体により、被調理物が収容されたバスケットが油槽内に投入された際、バスケットがテールパイプに接触することが防止される。
しかし、網体の横棒が下側にあると、横棒とテールパイプの最上位置とが点接触するため、バスケットを投入した際の衝撃が点接触部分に集中し、テールパイプが凹んだり破損したりするおそれがある。
【0005】
そこで、本開示は、テールパイプ上に網体を載置しても、テールパイプと網体との点接触を回避して応力集中によるテールパイプの損傷を防止することができるフライヤーを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示は、調理油を収容する油槽と、
前記油槽内に設けられ、調理油を加熱するパルス燃焼器と、を有し、
前記パルス燃焼器は、燃焼室と、前記燃焼室に接続されて燃焼排気が通過する蛇行状のテールパイプとを有し、前記テールパイプは、前記油槽内を前後方向に延びて互いに平行な複数の直管部を最上位置に備え、
前記油槽内で前記複数の直管部上に、網体が載置されるフライヤーであって、
前記網体は、前記油槽内部の水平断面形状に合わせて形成される外枠と、
前記外枠内で前後方向に延びる縦棒と、
前記外枠内で左右方向に延びる横棒と、を含み、
前記縦棒は、少なくとも平面視で前記直管部とオーバーラップする位置で、且つ左右方向に所定間隔をおいて前記横棒の上下に配置される第1の縦棒及び第2の縦棒と、左右方向で前記第1の縦棒と前記第2の縦棒との間に配置されて平面視で前記直管部とオーバーラップする第3の縦棒とを有し、
前記第3の縦棒は、前記横棒の上下何れか一方側に位置する第1直線部分と、前記横棒の上下他方側に位置する第2直線部分と、前記横棒と干渉しない位置で前記第1直線部分と前記第2直線部分とを接続する接続部分とを有し、前記直管部への載置状態では、前記網体の表裏何れの場合も、前記第3の縦棒の前記第1直線部分又は前記第2直線部分が前記直管部に線接触して前記網体を支持することを特徴とする。
本開示の別の態様は、上記構成において、前記複数の直管部は、平面視で左右に少なくとも2本配置され、前記第3の縦棒は、前記網体を左右方向の中心を通る上下方向の仮想軸を中心に回転させて前後逆に載置しても、前記直管部に線接触する回転対称に配置されていることを特徴とする。
本開示の別の態様は、上記構成において、前記横棒は、前記網体の前後方向の中心部を挟んで少なくとも前後に2本配置され、
前記第3の縦棒の前記第1直線部分と前記第2直線部分とは、前記前後の横棒の間にそれぞれ配置されていることを特徴とする。
本開示の別の態様は、上記構成において、前記第3の縦棒は、前記網体を左右方向の中心を通る前後方向の対称軸を中心に回転させて上下逆に載置しても、前記直管部に線接触する左右対称に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、テールパイプ上に網体を載置した状態では、第3の縦棒の第1直線部分又は第2直線部分が直管部に線接触する。このとき網体が左右にずれることがあっても、第3の縦棒の左右で下側に位置している第1の縦棒又は第2の縦棒の何れかが直管部に線接触して網体を支持する。このため、横棒が直管部に点接触することを防止できる。よって、テールパイプに加わる応力を分散させてテールパイプの変形や破損を防止することができる。
本開示の別の態様によれば、上記効果に加えて、複数の直管部は、平面視で左右に少なくとも2本配置され、第3の縦棒は、網体を左右方向の中心を通る上下方向の仮想軸を中心に回転させて前後逆に載置しても、直管部に線接触する回転対称に配置されているので、網体の前後の向きを逆にしても横棒が直管部に点接触することを防止できる。
本開示の別の態様によれば、上記効果に加えて、横棒は、網体の前後方向の中心部を挟んで前後に2本配置され、第3の縦棒の第1直線部分と第2直線部分とは、前後の横棒の間にそれぞれ配置されているので、テールパイプ上に載置した状態での網体の姿勢を安定させることができ、がたつきにくくなる。
本開示の別の態様によれば、上記効果に加えて、第3の縦棒は、網体を左右方向の中心を通る前後方向の対称軸を中心に回転させて上下逆に載置しても、直管部に線接触する左右対称に配置されているので、網体の表裏を逆に載置しても、横棒が直管部に点接触することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図8】網体の説明図で、(A)は正面、(B)は平面、(C)は側面をそれぞれ示す。
【
図9】網体を上下逆に載置した
図6相当の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、フライヤーの一例を示す斜視図である。
図2はフライヤーの側面図、
図3は平面図である。
図4は、
図3の油槽部分の拡大図である。
図5は、
図4のA-A線断面図である。
フライヤー1は、フレーム3に図示しない外板を取り付けてなる四角箱状の器体2を有する。器体2内の上部には、左右一対の油槽4,4が設けられている。器体2の下面には、複数のキャスタ5,5・・が設けられている。
フライヤー1の構成は、各油槽4に対して左右略同じであるため、特に言及する場合を除いて主に左側の油槽4について説明する。
油槽4は、後述するパルス燃焼器12,12が設置される底部6と、その上側の調理部7と、その上側の拡開部8とを有している。油槽4内には、油槽4内を左右の分割油槽4a,4aに2分割する仕切板9が前後方向に設けられている。各分割油槽4aにパルス燃焼器12がそれぞれ配置されている。
【0010】
調理部7は、底部6の上側に形成され、上下方向に開口面積が変化しない角筒状となっている。拡開部8は、調理部7の上側に位置し、調理部7の上端から上方へ行くに従って前後左右へ拡開するテーパ状に形成されている。底部6と調理部7及び拡開部8とは、それぞれ仕切板9によって左右に分割されている。各分割油槽4aの調理部7には、油面温度センサ10がそれぞれ設けられている。パルス燃焼器12の後方で各分割油槽4a内には、調理用温度センサ11がそれぞれ設けられている。
【0011】
各分割油槽4a内の底部6には、パルス燃焼器12がそれぞれ設けられている。各パルス燃焼器12は、燃焼室13とテールパイプ14とをそれぞれ備えている。
油槽4内のパルス燃焼器12,12は、仕切板9を中心とした鏡面対称に配置されている。各テールパイプ14の一端は、燃焼室13の左右外側の側面に接続されている。分割油槽4a内でテールパイプ14は、
図6にも示すように、4本の直管部15A~15Dと、直管部15A~15Dの前後端同士を互い違いに連結する複数の曲管部16,16・・とを備えた1本の蛇行形状となっている。蛇行形状となったテールパイプ14の他端は、油槽4の正面側外部に引き出されている。
直管部15A~15Dのうち、上流側(燃焼室13側)の3本の直管部15A~15Cは、互いに平行に前後方向へ配設されている。最下流の1本の直管部15Dは、前方へ斜め下向きに配設されて油槽4の外部へ繋がっている。
3本の直管部15A~15Cのうち、油槽4の外側内面に近い直管部15Aと、仕切板9に近い直管部15Cとは、分割油槽4a内の最上位置に配置されている。
【0012】
各分割油槽4a内でパルス燃焼器12の上側には、網体20が設けられている。網体20は、調理部7内でテールパイプ14上に載置されている。網体20は、調理部7の水平断面形状に略合致する平面視縦長四角形状となっている。
網体20は、
図4~
図8に示すように、外形を形成する外枠21と、外枠21内で左右方向に延びる2本の横棒22,22と、外枠21内で前後方向に延びる複数の縦棒23,23・・とを有する。何れも線材で形成されて交差部分が溶接されることで一体化されている。
外枠21は、前後辺部24,24と、左右辺部25,25とを有している。前後辺部24,24には、左右両端を除く中央部分が互いの対向側へ凹む凹部26,26が形成されている。
横棒22,22は、外枠21の内側に配設されて、左右両端が左右辺部25,25と溶接されている。よって、横棒22,22は、上下高さが外枠21と同じ高さとなっている。
【0013】
縦棒23は、外枠21及び横棒22,22を挟んで上下に4本ずつ配置される直線状のものと、外枠21及び横棒22,22の上下へ交互に突出する2本の屈曲形状のものとが配設されている。各縦棒23は、前後両端が外枠21と、中間部が横棒22,22とそれぞれ溶接されている。以下、上側の縦棒23を下側と区別する際は、23Uと表記し、下側の縦棒23を上側と区別する際は、23Dと表記し、屈曲形状の縦棒23を上下と区別する際は、23Mと表記する。
下側の縦棒23Dは、平面視で、網体20の左右方向の中心を通る前後方向の対称軸A1を中心に左右対称となるように左右に2本ずつ配置されている。上側の縦棒23Uも、対称軸A1を中心に左右対称となるように左右に2本ずつ配置されている。但し、上下の縦棒23D及び縦棒23Uは、平面視で横棒22を挟んで左右にずれるように交互に配置されている。
2本の縦棒23M,23Mは、左右両外で左右に並ぶ縦棒23Dと縦棒23Uとの間にそれぞれ配置されている。なお、縦棒23Mを左右で区別する際は、左側を23M1,右側を23M2と表記する。各縦棒23Mは、外枠21及び横棒22の上側に位置する複数の上側部分27a、27bと、外枠21及び横棒22の下側に位置する複数の下側部分28a、28bとが交互に形成されて、接続部分29a~29cで接続されている。
【0014】
左側の縦棒23M1は、後側の前後辺部24の凹部26に後端が溶接される上側部分27aを有している。上側部分27aは、後側の横棒22よりも前方に延び、横棒22,22の間では、前下がり傾斜する接続部分29aを介して前後に短い下側部分28aと繋がっている。下側部分28aは、前上り傾斜する接続部分29bを介して上側部分27bと繋がっている。上側部分27bは、前側の横棒22よりも前方に延び、横棒22の前側では、前下がり傾斜する接続部分29cを介して下側部分28bと繋がっている。下側部分28bの前端は、前側の前後辺部24の凹部26に溶接されている。
右側の縦棒23M2は、左側の縦棒23M1に対し、対称軸A1上で前後方向の中心Oを通る上下方向の仮想軸A2を中心とした回転対称となるように形成されている。すなわち、前側の前後辺部24の凹部26に前端が溶接される上側部分27aを有している。上側部分27aは、前側の横棒22よりも後方に延び、横棒22,22の間では、後下がり傾斜する接続部分29aを介して前後に短い下側部分28aと繋がっている。下側部分28aは、後上り傾斜する接続部分29bを介して上側部分27bと繋がっている。上側部分27bは、後側の横棒22よりも後方に延び、横棒22の後側では、後下がり傾斜する接続部分29cを介して下側部分28bと繋がっている。下側部分28bの後端は、後側の前後辺部24の凹部26に溶接されている。
【0015】
この状態で縦棒23M
1,23M
2は、
図6に示すように、それぞれ平面視で直管部15A,15Cと上下方向でオーバーラップしている。
よって、網体20をテールパイプ14上へ載置した状態では、外枠21の前側の凹部26が、燃焼室13の上面に当接し、後側の凹部26が、調理用温度センサ11の上面に当接する。そして、縦棒23M
1,23M
2の各下側部分28a,28bが直管部15A,15Cの表面に近接或いは線接触して網体20を水平に支持する。各下側部分28a,28bの配置は、仮想軸A2を中心とした回転対称であるから、網体20は、前後の向きにかかわらず、常に各下側部分28a,28bが直管部15A,15Cに近接或いは線接触することになる。
そして、網体20を、平面視で中心Oを通る左右方向の仮想軸A3を中心に反転させて表裏を逆にしてテールパイプ14に載置すると、前述と同様に外枠21の前後の凹部26,26が燃焼室13及び調理用温度センサ11の上面に当接する。そして、
図9に示すように、縦棒23M
1,23M
2の各上側部分27a,27bが直管部15B,15Dの表面に近接或いは線接触して網体20を水平に支持する。この近接或いは線接触も、裏返した網体20を仮想軸A2を中心として前後逆に回転させても変わらない。
【0016】
一方、
図1,2に示すように、油槽4の正面側外部には、エアチャンバ30が設けられている。エアチャンバ30内には、燃焼室13,13と連通する図示しない混合室が設けられている。混合室には、ガス電磁弁32を備えたガス導管31が接続されて、燃料ガスが供給される。
また、混合室には、給気管33が接続されている。給気管33は、器体2の後側底部に設けられたファン34に接続されて、燃焼用空気が供給される。
油槽4の外部へ引き出されたテールパイプ14,14は、エアチャンバ30内で左右一対の排気管35,35に接続されている。排気管35,35は、エアチャンバ30から引き出されて器体2の後部へ引き回された後、油槽4の後方で上向きに延びて、燃焼排気を排出可能となっている。排気管35,35における上向きの下流端部には、円筒形のマフラー36,36がそれぞれ設けられている。マフラー36,36の上部は、排気管カバー37に上方から覆われて、排気管35,35の上端を排気アダプタ38内に突出させている。
【0017】
右側の油槽4の下方には、一斗缶置き台45が設けられている。一斗缶置き台45は、器体2の下部で前方へ引き出し可能に設けられている。一斗缶置き台45には、足し油タンクとなる一斗缶46が設けられて、図示しない保温ヒータによって一斗缶46を保温可能となっている。一斗缶46には、一斗缶蓋47が被せられて、一斗缶蓋47に設けた足し油パイプ48が一斗缶46内に差し込まれている。足し油パイプ48の上端は、足し油ポンプ49の吸込側に接続されている。足し油ポンプ49の吐出側には、足し油管50が接続されている。足し油管50は、分割油槽4aごとに分岐して、各分割油槽4aの拡開部8の前壁に設けた足し油口51に、足し油電磁弁52を介してそれぞれ接続されている。
【0018】
器体2の底部で左側の油槽4の下方には、底部にフィルタを備えたフィルタリングタンク55が設けられている。フィルタリングタンク55の上方には、各分割油槽4aの底部に設けた排油管56(
図3,
図4)とそれぞれ接続される集合管57が左右方向に設けられている。集合管57の下流端がフィルタリングタンク55に接続されて、集合管57を介して各分割油槽4a内の調理油をフィルタリングタンク55に排出可能となっている。各排油管56には、常閉弁である排油バルブ(図示略)がそれぞれ設けられている。各排油バルブは、正面側に設けた排油レバー58の手動操作で開弁することができる。
器体2の下部には、フィルタリングポンプ60が設けられている。フィルタリングポンプ60の吸込側は、フィルタリングタンク55の底部に吸込管61を介して接続されている。フィルタリングポンプ60の吐出側は、各分割油槽4aごとに分岐した分岐管62となっている。各分岐管62は、分割油槽4aの後面下部にそれぞれ接続されている。各分岐管62には、常閉弁である給油バルブ63が設けられている。給油バルブ63は、正面側に設けた図示しない給油レバーの手動操作で開弁することができる。
【0019】
器体2の正面上部には、フライコントローラ65が設けられている。フライコントローラ65は、操作パネル66を備えている。操作パネル66では、所定の調理モード及びメンテナンスメニューの設定等が可能となっている。
器体2の下部には、バーナコントローラ67が設けられている。バーナコントローラ67には、各センサ等の検出信号が入力される。バーナコントローラ67は、フライコントローラ65からの指示に従い、パルス燃焼器12、ファン34、各ポンプ、保温ヒータ、各電磁弁を制御して被調理物の調理や調理油のフィルタリング等を行う。
【0020】
以上の如く構成されたフライヤー1では、被調理物を調理する場合、分割油槽4aに調理部7の上端まで調理油を貯留する。この状態で、ユーザが操作パネル66の運転スイッチをONする。すると、バーナコントローラ67は、燃焼室13内で混合ガスを断続的に燃焼させてパルス燃焼器12をON/OFF動作させる。すなわち、燃焼室13内で混合ガスに点火して燃焼室13内で爆発燃焼させ、その燃焼に伴う燃焼室13内の圧力上昇によって燃焼排気をテールパイプ14へ強制的に排出する。そして、その燃焼排気の排出により負圧となる燃焼室13内に燃料ガスと燃焼用空気とを吸入する。このON/OFF動作が繰り返されることで、分割油槽4aに貯留された調理油が加熱される。
【0021】
バーナコントローラ67は、調理用温度センサ11から得られる検出温度を監視する。検出温度が所定の調理温度(例えば180~182℃)に到達すると、フライコントローラ65は、操作パネル66に調理OKの表示を出力する等して報知する。この報知がなされたら、調理者は定格量の被調理物を入れたバスケットを分割油槽4aに投入する。
投入されたバスケットは、網体20上に支持される。このとき、バスケットを投入する勢いが強いと、網体20に当接した際の衝撃で網体20が下方へたわみ、縦棒23M1,23M2の下側部分28a,28bが直管部15A,15Cに当接する。しかし、下側部分28a,28bは直管部15A,15Cに線接触しているため、応力が分散されてテールパイプ14の損傷が防止される。これは、網体20の前後の向きを変えても、表裏を逆にしても同じである。
また、網体20が左右にずれることがあっても、縦棒23M1,23M2に隣接する縦棒23Dが直管部15A,15Cに当接するため、線接触する縦棒23Dによっても網体20は支持可能となる。これは、網体20を上下逆にしても同様で、縦棒23M1,23M2に隣接する縦棒23Uが直管部15A,15Cに当接する。
【0022】
そして、操作パネル66の操作で調理モードを選択し、調理開始ボタンを押し操作すると、バーナコントローラ67は、定格量に対応して予め設定された調理時間とパルス燃焼器12の熱量とで被調理物の加熱調理を行う。タイムアップしたら、フライコントローラ65は、アラームを鳴らして調理終了を報知する。
このとき、パルス燃焼器12から発生する燃焼排気は、排気管35,35を通って油槽4の後側に移動し、マフラー36,36を介して排気アダプタ38内に排出され、排気アダプタ38から前方へ排出される。
なお、調理中、足し油電磁弁52は閉弁している。よって、被調理物を分割油槽4aに投入した際に油面が足し油口51に達することがあっても、足し油管50側へ逆流することはない。
【0023】
一方、バーナコントローラ67は、運転中は、一斗缶置き台45に設けた図示しないタンク温度センサから得られる検出温度を監視する。そして、一斗缶46で所定の保温温度が維持されるように保温ヒータをON/OFF制御する。
油面温度センサ10によって調理油の減少を検知するか、或いは所定の調理回数に達するかすると、バーナコントローラ67は、足し油ポンプ49を駆動させて該当する分割油槽4aの足し油電磁弁52を開弁させる。
すると、一斗缶46内で液化された調理油が、足し油パイプ48から吸い込まれ、足し油ポンプ49から足し油管50を介して足し油口51まで流れる。よって、調理油は、足し油口51の出口から、拡開部8の前壁の上面を伝って分割油槽4a内に供給されることになる。
【0024】
このように、上記形態のフライヤー1において、分割油槽4a内で直管部15A,15C上に載置される網体20は、分割油槽4a内部の水平断面形状に合わせて形成される外枠21と、外枠21内で前後方向に延びる縦棒23と、外枠21内で左右方向に延びる横棒22と、を含む。また、縦棒23は、平面視で直管部15A,15Cとオーバーラップする位置で、且つ左右方向に所定間隔をおいて横棒22の上下に配置される縦棒23U(第1の縦棒)及び縦棒23D(第2の縦棒)と、左右方向で縦棒23Uと縦棒23Dとの間に配置されて平面視で直管部15A,15Cとオーバーラップする縦棒23M,23M(第3の縦棒)とを有する。そして、縦棒23M,23Mは、横棒22の上側に位置する上側部分27a,27b(第1直線部分)と、横棒22の下側に位置する下側部分28a,28b(第2直線部分)と、横棒22と干渉しない位置で上側部分27a,27bと下側部分28a,28bとを接続する接続部分29a~29cとを有し、直管部15A,15Cへの載置状態では、網体20の表裏何れの場合も、縦棒23M,23Mの上側部分27a,27b又は下側部分28a,28bが直管部15A,15Cに線接触して網体20を支持する。
【0025】
この構成によれば、テールパイプ14上に網体20を載置した状態では、縦棒23Mの上側部分27a,27b又は下側部分28a,28bが直管部15A,15Cに線接触する。このとき網体20が左右にずれることがあっても、縦棒23Mの左右で下側に位置している縦棒23U又は23Dの何れかが直管部15A,15Cに線接触して網体20を支持する。このため、横棒22が直管部15A,15Cに点接触することを防止できる。よって、テールパイプ14に加わる応力を分散させてテールパイプ14の変形や破損を防止することができる。
【0026】
直管部15A,15Cは、平面視で左右に2本配置され、縦棒23M,23Mは、網体20を左右方向の中心を通る上下方向の仮想軸A2を中心に回転させて前後逆に載置しても、直管部15A,15Cに線接触する回転対称に配置されている。よって、網体20の前後の向きを逆にしても横棒22が直管部15A,15Cに点接触することを防止できる。
横棒22,22は、網体20の前後方向の中心部を挟んで前後に2本配置され、縦棒23Mの上側部分27a,27bと下側部分28aとは、前後の横棒22,22の間にそれぞれ配置されている。よって、テールパイプ14上に載置した状態での網体20の姿勢を安定させることができ、がたつきにくくなる。
縦棒23M,23Mは、網体20を左右方向の中心を通る前後方向の対称軸A1を中心に回転させて上下逆に載置しても、直管部15A,15Cに線接触する左右対称に配置されている。よって、網体20の表裏を逆に載置しても、横棒22が直管部15A,15Cに点接触することを防止できる。
【0027】
以下、本開示の変更例を説明する。
網体の形状、横棒と縦棒との数及び配置は上記形態に限定されない。特に縦棒の数及び配置は、テールパイプの直管部の位置に合わせて適宜変更可能である。よって、縦棒は、回転対称や左右対称に配置されなくてもよい。
中縦棒は、1つの直管部に複数当接するようにしてもよい。
中縦棒の上側部分及び下側部分の長さ及び数は、上記形態に限らず変更可能である。接続部分は、傾斜状でなく曲線状としたり、上下方向に形成したりしてもよい。
上記形態では、外枠の前後を燃焼室と調理用温度センサとに載置させると共に、縦棒を直管部上に載置することで網体を支持しているが、燃焼室及び調理用温度センサへの載置をなくして網体を直管部のみに載置するようにしてもよい。
フライヤーにおいて、テールパイプの形状は上記形態に限定されない。直管部は、最上位置に3本以上あってもよい。
上記形態では、2つの油槽が並設されて仕切板で分割されるフライヤーを例示しているが、本開示は、1つの油槽や3つ以上の油槽が並設されて仕切板で分割されるフライヤーであっても適用可能である。また、本開示は、仕切板がなく油槽が分割されないフライヤーであっても適用可能である。この場合、網体は、油槽全体を覆う幅広形状となる。
本開示は、圧力フライヤーであっても適用可能である。
【符号の説明】
【0028】
1・・フライヤー、2・・器体、3・・フレーム、4・・油槽、4a・・分割油槽、7・・調理部、8・・拡開部、9・・仕切板、12・・パルス燃焼器、13・・燃焼室、14・・テールパイプ、15A~15D・・直管部、16・・曲管部、20・・網体、21・・外枠、22・・横棒、23(23U,23D、23M)・・縦棒、24・・前後辺部、25・・左右辺部、26・・凹部、27a,27b・・上側部分、28a,28b・・下側部分、29a~29c・・接続部分、65・・フライコントローラ、66・・操作パネル、67・・バーナコントローラ、A1・・対称軸、A2,A3・・仮想軸。