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特開2022-187356車両制御装置、車両制御プログラム及び車両制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187356
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御プログラム及び車両制御システム
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/20 20160101AFI20221212BHJP
   B60W 10/00 20060101ALI20221212BHJP
   B60W 20/12 20160101ALI20221212BHJP
【FI】
B60W20/20
B60W10/00 900
B60W20/12 ZHV
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095350
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 大樹
(72)【発明者】
【氏名】影浦 義之
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 真典
(72)【発明者】
【氏名】坂柳 佳宏
(72)【発明者】
【氏名】森田 泰毅
【テーマコード(参考)】
3D202
【Fターム(参考)】
3D202BB00
3D202CC01
3D202CC13
3D202CC33
3D202CC36
3D202DD00
3D202DD50
(57)【要約】
【課題】内燃機関による駆動から、モータによる駆動に切り替えを行う際の車両のスリップを抑制することができる車両制御装置、車両制御プログラム及び車両制御システムを提供すること。
【解決手段】本開示に係る車両制御制置は、内燃機関及びモータを備える車両の駆動態様の切り替えを制御する車両制御装置であって、車両の走行がモータの動力による走行に制限された仮想的境界によって設定されるジオフェンシングゾーンのゾーン外からゾーン内へ移動する経路において、当該ジオフェンシングゾーンの境界の路面がスリップする可能性が高い路面である場合に、当該ジオフェンシングゾーンのゾーン外の、当該車両がスリップする可能性が低い状態において車両の駆動態様を、モータによる駆動に切り替えさせるプロセッサ、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関及びモータを備える車両の駆動態様の切り替えを制御する車両制御装置であって、
前記車両の走行が前記モータの動力による走行に制限された仮想的境界によって設定されるジオフェンシングゾーンのゾーン外からゾーン内へ移動する経路において、当該ジオフェンシングゾーンの境界の路面がスリップする可能性が高い路面である場合に、当該ジオフェンシングゾーンのゾーン外の、当該車両がスリップする可能性が低い状態において前記車両の駆動態様を、前記モータによる駆動に切り替えさせるプロセッサ、
を備える車両制御装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
当該ジオフェンシングゾーンのゾーン外の位置であって、スリップする可能性が低い位置において前記車両の駆動態様を、前記モータによる駆動に切り替えさせる、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
スリップする可能性が低い位置のうち、前記ジオフェンシングゾーンに最も近いゾーン外の位置において前記車両の駆動態様を、前記モータによる駆動に切り替えさせる、
請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
当該ジオフェンシングゾーンのゾーン外の位置において当該車両が停止中の場合に、前記車両の駆動態様を、前記モータによる駆動に切り替えさせる、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記車両において走行経路が設定され、当該走行経路において前記ジオフェンシングゾーンを通過する場合に、当該車両における前記モータによる駆動への切替位置を、当該車両がスリップする可能性が低い状態となる位置に制御する、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
設定された走行経路と、取得した路面情報とに基づいて走行経路上の路面がスリップする可能性が高いか否かを判断する、
請求項5に記載の車両制御装置。
【請求項7】
前記路面情報は、
降水量、ワイパー作動量及び道路線形のうちの少なくとも一つに基づいて生成される、
請求項6に記載の車両制御装置。
【請求項8】
内燃機関及びモータを備える車両の駆動態様の切り替えを制御する車両制御装置のプロセッサに、
前記車両の走行が前記モータの動力による走行に制限された仮想的境界によって設定されるジオフェンシングゾーンのゾーン外からゾーン内へ移動する経路において、当該ジオフェンシングゾーンの境界の路面がスリップする可能性が高い路面である場合に、当該ジオフェンシングゾーンのゾーン外の、当該車両がスリップする可能性が低い状態において前記車両の駆動態様を、前記モータによる駆動に切り替えさせる、
ことを実行させる車両制御プログラム。
【請求項9】
当該ジオフェンシングゾーンのゾーン外の位置であって、スリップする可能性が低い位置において前記車両の駆動態様を、前記モータによる駆動に切り替えさせる、
ことを実行させる請求項8に記載の車両制御プログラム。
【請求項10】
スリップする可能性が低い位置のうち、前記ジオフェンシングゾーンに最も近いゾーン外の位置において前記車両の駆動態様を、前記モータによる駆動に切り替えさせる、
ことを実行させる請求項9に記載の車両制御プログラム。
【請求項11】
当該ジオフェンシングゾーンのゾーン外の位置において当該車両が停止中の場合に、前記車両の駆動態様を、前記モータによる駆動に切り替えさせる、
ことを実行させる請求項8に記載の車両制御プログラム。
【請求項12】
前記車両において走行経路が設定され、当該走行経路において前記ジオフェンシングゾーンを通過する場合に、当該車両における前記モータによる駆動への切替位置を、当該車両がスリップする可能性が低い状態となる位置に制御する、
ことを実行させる請求項8に記載の車両制御プログラム。
【請求項13】
設定された走行経路と、取得した路面情報とに基づいて走行経路上の路面がスリップする可能性が高いか否かを判断する、
ことを実行させる請求項12に記載の車両制御プログラム。
【請求項14】
内燃機関及びモータを備える車両と、
前記車両の走行が前記モータの動力による走行に制限された仮想的境界によって設定されるジオフェンシングゾーンのゾーン外からゾーン内へ移動する経路において、当該ジオフェンシングゾーンの境界の路面がスリップする可能性が高い路面である場合に、当該ジオフェンシングゾーンのゾーン外の、当該車両がスリップする可能性が低い状態において前記車両の駆動態様を、前記モータによる駆動に切り替えさせるプロセッサを備える制御装置と、
を備える車両制御システム。
【請求項15】
前記プロセッサは、
当該ジオフェンシングゾーンのゾーン外の位置であって、スリップする可能性が低い位置において前記車両の駆動態様を、前記モータによる駆動に切り替えさせる、
請求項14に記載の車両制御システム。
【請求項16】
前記プロセッサは、
スリップする可能性が低い位置のうち、前記ジオフェンシングゾーンに最も近いゾーン外の位置において前記車両の駆動態様を、前記モータによる駆動に切り替えさせる、
請求項15に記載の車両制御システム。
【請求項17】
前記プロセッサは、
当該ジオフェンシングゾーンのゾーン外の位置において当該車両が停止中の場合に、前記車両の駆動態様を、前記モータによる駆動に切り替えさせる、
請求項14に記載の車両制御システム。
【請求項18】
前記プロセッサは、
前記車両において走行経路が設定され、当該走行経路において前記ジオフェンシングゾーンを通過する場合に、当該車両における前記モータによる駆動への切替位置を、当該車両がスリップする可能性が低い状態となる位置に制御する、
請求項14に記載の車両制御システム。
【請求項19】
前記プロセッサは、
設定された走行経路と、取得した路面情報とに基づいて走行経路上の路面がスリップする可能性が高いか否かを判断する、
請求項18に記載の車両制御システム。
【請求項20】
前記路面情報は、
降水量、ワイパー作動量及び道路線形のうちの少なくとも一つに基づいて生成される、
請求項19に記載の車両制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両制御装置、車両制御プログラム及び車両制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、排ガス影響を抑制するため、大気汚染防止強化地域において、車両の内燃機関を停止させ、バッテリによるモータの動力によって走行させることが記載されている。このように、環境への悪影響を抑制するため、走行の動力をバッテリのみに制限するジオフェンシングゾーンを設定することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-75210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ジオフェンシングゾーンの境界では、例えばゾーン外からゾーン内に移動する際に、内燃機関による駆動から、モータによる駆動に切り替えられる。この際、雨天時等、路面がスリップしやすい状態である場合に駆動態様を切り替えると、車両がスリップしてしまうおそれがあった。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、内燃機関による駆動から、モータによる駆動に切り替えを行う際の車両のスリップを抑制することができる車両制御装置、車両制御プログラム及び車両制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る車両制御装置は、内燃機関及びモータを備える車両の駆動態様の切り替えを制御する車両制御装置であって、前記車両の走行が前記モータの動力による走行に制限された仮想的境界によって設定されるジオフェンシングゾーンのゾーン外からゾーン内へ移動する経路において、当該ジオフェンシングゾーンの境界の路面がスリップする可能性が高い路面である場合に、当該ジオフェンシングゾーンのゾーン外の、当該車両がスリップする可能性が低い状態において前記車両の駆動態様を、前記モータによる駆動に切り替えさせるプロセッサ、を備える。
【0007】
また、本開示に係る車両制御プログラムは、内燃機関及びモータを備える車両の駆動態様の切り替えを制御する車両制御装置のプロセッサに、前記車両の走行が前記モータの動力による走行に制限された仮想的境界によって設定されるジオフェンシングゾーンのゾーン外からゾーン内へ移動する経路において、当該ジオフェンシングゾーンの境界の路面がスリップする可能性が高い路面である場合に、当該ジオフェンシングゾーンのゾーン外の、当該車両がスリップする可能性が低い状態において前記車両の駆動態様を、前記モータによる駆動に切り替えさせる、ことを実行させる。
【0008】
また、本開示に係る車両制御システムは、内燃機関及びモータを備える車両と、前記車両の走行が前記モータの動力による走行に制限された仮想的境界によって設定されるジオフェンシングゾーンのゾーン外からゾーン内へ移動する経路において、当該ジオフェンシングゾーンの境界の路面がスリップする可能性が高い路面である場合に、当該ジオフェンシングゾーンのゾーン外の、当該車両がスリップする可能性が低い状態において前記車両の駆動態様を、前記モータによる駆動に切り替えさせるプロセッサを備える制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、内燃機関による駆動から、モータによる駆動に切り替えを行う際の車両のスリップを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態1に係る制御システムを模式的に示す図である。
図2図2は、実施の形態1に係る災害情報サーバの構成を説明するためのブロック図である。
図3図3は、実施の形態1に係る車両の構成を説明するためのブロック図である。
図4図4は、ジオフェンシングゾーンについて説明するための図である。
図5図5は、実施の形態1に係る車両制御の処理の一例を示すシーケンス図である。
図6図6は、実施の形態2に係る制御システムを模式的に示す図である。
図7図7は、実施の形態2に係る制御システムの構成を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一又は対応する部分には同一の符号を付す。また、本開示は以下に説明する実施形態によって限定されるものではない。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る制御システムを模式的に示す図である。図2は、実施の形態1に係る気象情報サーバの構成を説明するためのブロック図である。図3は、実施の形態1に係る車両の構成を説明するためのブロック図である。実施の形態1に係る制御システム1は、路面情報サーバ2と、車両3と、ゾーン設定情報サーバ4とを含んで構成されている。路面情報サーバ2は、例えば気象庁や、気象業務を行う事業者などが公開する気象情報を取得し、出力するサーバである。車両3は、例えばプラグインハイブリッド車両やレンジエクステンダー車両など、モータの動力のみでも走行が可能(EV走行が可能)な車両である。また、この車両3は、外部電源からの電力を充電可能かつ外部に電力を供給可能な車両である。
【0013】
路面情報サーバ2、車両3、ゾーン設定情報サーバ4は、ネットワークNWを介して情報通信が可能である。ネットワークNWは、例えばインターネット回線網等から構成される。路面情報サーバ2は、複数の車両3との間で情報を送受信できる。
【0014】
路面情報サーバ2は、気象情報受信部21と、路面情報作成部22と、路面情報送信部23と、を備える。
【0015】
気象情報受信部21は、気象に関する気象情報を受信する。気象情報は、地域ごとの天気、雨雲の動きや、その予測を含む。
【0016】
路面情報作成部22は、例えば、気象情報に基づいて路面情報を作成する。路面情報は、例えば、地域ごとの、路面の状態を示す情報であって、路面の位置ごとにスリップの可能性の高低を示す情報を含む。本実施の形態1において、スリップの可能性は「高い」及び「低い」の二つであるものとして説明するが、三つ以上の高低を示す値で示してもよい。路面のスリップの可能性は、降水量、降雪量から路面が濡れているか否かに基づいて判定することができる。このほか、車両3のワイパー作動量と、この車両3の位置情報とに基づいて路面が濡れているか否かを判定することができる。また、急カーブ等の道路線形や過去のスリップ情報を参照して、スリップしやすい路面であるか否かを判定してもよいし、これらの情報を組み合わせて判定することもできる。
【0017】
路面情報送信部23は、作成された路面情報を発信する。路面情報送信部23はネットワークNWを介して、該当する地域の車両3に路面情報を送信する。また、路面情報送信部23は、路面情報が最新の情報に更新されるたびに最新の路面情報を発信する。
【0018】
車両3は、走行用のモータ11と、エンジン12と、バッテリ13と、充電器14と、車両側コネクタ15と、インバータ16とを備えた電動車両である。
【0019】
モータ11は走行用の動力源である。また、エンジン12はモータ11を回転させることができる。つまり、モータ11はエンジン12の動力により発電を行うことが可能である。エンジン12によりモータ11で発電を行う場合には、モータ11で発電した電力をバッテリ13に充電することができる。このモータ11はインバータ16を介してバッテリ13と電気的に接続されている。
【0020】
この車両3は、バッテリ13に外部からの電力を充電する充電器14と車両側コネクタ15とを備えたプラグインハイブリッド車両である。
【0021】
バッテリ13は、モータ11に供給するための電力を蓄えるとともに、外部電源から供給された電力を蓄える蓄電装置である。このバッテリ13は充電器14を介して車両側コネクタ15と通電可能に接続される。充電器14は外部からの電力をバッテリ13に充電する。例えば充電器14には各種のリレー部が含まれる。充電器14のリレー部を開放することにより、バッテリ13と車両側コネクタ15との間を電気的に切断することができる。外部の電力をバッテリ13に充電する際に、充電器14のリレー部が閉じて、バッテリ13と車両側コネクタ15とが電気的に接続される。車両側コネクタ15は、充電スタンドの充電コネクタなど、外部側コネクタと接続可能である。
【0022】
また、車両3は、GPS(Global Positioning System)受信部31と、通信部32と、制御部33と、HMI(Human Machine Interface)34と、パワートレーン35と、記憶部36とを備える。
【0023】
GPS受信部31は、GPS衛星からの電波(信号)を受信する。
【0024】
通信部32は、ゾーン設定情報サーバ4との間で情報を送受信する。この通信部32はゾーン設定情報サーバ4から送信された制御指示を受信する。また、通信部32は、車両3の現在位置を示す位置情報を路面情報サーバ2に送信する。
【0025】
制御部33は、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアを有するプロセッサ、およびRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶部を備えている。制御部33は、位置情報取得部33aと、切替制御部33bと、エンジン制御部33cと、HMI制御部33dとを有する。
【0026】
位置情報取得部33aは、GPS受信部31により受信した信号に基づいて、現在の位置情報を取得する。
【0027】
切替制御部33bは、路面情報と、ジオフェンシングゾーンとに基づいて、エンジン12及びモータ11を併用して走行するHVモードと、モータ11のみによって走行するEVモードとの切替タイミングを制御する。
【0028】
エンジン制御部33cは、エンジン12を制御する。例えばエンジン12の駆動禁止指示を受信した場合、エンジン制御部33cはエンジン12の駆動を禁止する禁止制御を実行する。また、エンジン12の駆動許可指示を受信した場合には、エンジン制御部33cはエンジン12の駆動を許可する許可制御を実行する。
【0029】
HMI制御部33dは、HMI34を制御する。
HMI34は、例えばカーナビ装置により構成されている。このHMI34は、運転者に情報を報知する報知部として機能するとともに、運転者からの操作を受け付ける操作部としても機能する車載装置である。HMI34からは、HMI制御部33dの制御のもと、エンジン12の駆動が許可または禁止された制御状態であることや、エンジン12の駆動が禁止された制御状態であることなどの情報が報知される。
【0030】
パワートレーン制御部33eは、パワートレーン35を制御する。
パワートレーン35は、モータ11やエンジン12から出力された動力を駆動輪に伝達する動力伝達装置である。このパワートレーン35には自動変速機などが含まれる。そのため、パワートレーン制御部33eは自動変速機の変速段を制御する変速制御を実行する。
【0031】
記憶部36は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体を用いて構成され、各種プログラム及び各種データが書き込み及び読み出し可能に格納されている。この記録媒体としては、ハードディスクや半導体メモリ、光ディスク、フラッシュメモリ、磁気ディスク等の記憶媒体、及びこれらの記憶媒体のドライブ装置を有して構成される。記憶部36には、制御部33が車両3の各部の作動を統括的に制御するために必要なオペレーティングシステム(OS)や各種アプリケーションのプログラムが格納されている。
【0032】
また、制御部33は、インバータ16を制御することによりモータ11を制御する。
インバータ16は制御部33によりスイッチング制御される。さらに、充電器14のリレー部は制御部33により開閉制御される。つまり、制御部33は、外部からの電力をバッテリ13に充電する充電制御を実行するとともに、バッテリ13に蓄えられた電力を外部に供給する放電制御を実行する。また、制御部33は車両3に関する各種の制御を実行する。
【0033】
ゾーン設定情報サーバ4は、ジオフェンシングゾーンの設定情報を出力する。設定情報は、ジオフェンシングゾーンが設定されている地域の情報が、地図情報や座標情報として設定されている。
【0034】
ここで、ジオフェンシングと呼ばれる仮想的な柵(仮想的境界)が所定の区域(ジオフェンシングゾーン)に設定される。ジオフェンシングゾーンは、例えば都市部の市街地など、特定の区域を対象にして設定される。ジオフェンシングゾーン内では、当該ジオフェンシングゾーンに位置する車両3を対象にして特定の車両制御を実行させる。この車両制御には、モータのみで走行(EV走行)を行うようにエンジン駆動を禁止する駆動制御が含まれる。図4は、ジオフェンシングゾーンについて説明するための図である。例えば、図4に示すジオフェンシングゾーンRG内に位置する車両3には、エンジン12の駆動禁止指示が送信される。
【0035】
ここで、図5を参照して、各車両3の制御部33で実行される、HV/EV切替制御について説明する。なお、図5に示す制御は、例えば、ナビゲーションシステムによって経路が設定された場合に、制御部33により繰り返し実行される。図5は、実施の形態1に係る車両制御の処理の一例を示すシーケンス図である。図5は、ジオフェンシングゾーンのゾーン外からゾーン内に入る経路が設定されているものとして説明する。
【0036】
制御部33は、HMI34が設定した走行経路と、ゾーン設定情報サーバ4から取得したジオフェンシングゾーンの位置情報とに基づいて、経路上にジオフェンシングゾーンを含むか否かを判断する(ステップS101)。制御部33は、経路上にジオフェンシングゾーンを含まない場合(ステップS101:No)、当該HV/EV切替制御を終了する。制御部33は、経路上にジオフェンシングゾーンを含む場合(ステップS101:Yes)、ステップS102に移行する。
【0037】
ステップS102において、切替制御部33bは、ジオフェンシングゾーン境界の路面のスリップの可能性が高いか否かを判断する。切替制御部33bは、路面情報と、ジオフェンシングゾーンとに基づいて、ジオフェンシングゾーンのゾーン内と、ゾーン外との境界、特に、走行経路が通過する境界を含む境界近傍領域がスリップの可能性が高いか否かを判断する。切替制御部33bは、ジオフェンシングゾーン境界の路面のスリップの可能性は低いと判断した場合(ステップS102:No)、ステップS106に移行する。これに対し、切替制御部33bは、ジオフェンシングゾーン境界の路面のスリップの可能性が高いと判断した場合(ステップS102:Yes)、ステップS103に移行する。
【0038】
ステップS103において、切替制御部33bは、HVモードとEVモードとを切り替える位置(HV/EV切替位置)を設定する。切替制御部33bは、路面情報に基づいて、例えば、経路上において路面のスリップの可能性が低い位置であって、最もジオフェンシングゾーンに近い位置を、HV/EV切替位置に設定する。なお、HV/EV切替位置は、地図上の位置に限らず、交差点等の車両3が停止したタイミングとしてもよい。
【0039】
そして、制御部33は、車両3が、ステップS103で設定されたHV/EV切替位置に到達したか否かを判断する(ステップS104)。制御部33は、位置情報取得部33aが取得した位置情報を参照して、HV/EV切替位置に到達したか否かを判断する。制御部33は、HV/EV切替位置に到達していないと判断した場合(ステップS104:No)、HV/EV切替位置の到達確認を繰り返す。これに対し、制御部33は、HV/EV切替位置に到達していると判断した場合(ステップS104:Yes)、ステップS105に移行する。
【0040】
ステップS105において、切替制御部33bは、HV/EV切替位置において、HVモードからEVモードに切り替える。この切替処理によって、ジオフェンシングゾーンのゾーン外であって、当該ジオフェンシングゾーンに最も近い、路面のスリップの可能性が低い位置においてHV/EV切替処理が実行される。
【0041】
また、ステップS106において、切替制御部33bは、通常のHV/EV切替を行う。ここでは、ジオフェンシングゾーンのゾーン内と、ゾーン外との境界において、HVモードからEVモードに切り替える処理が実行される。
【0042】
以上説明した実施の形態1では、ジオフェンシングゾーンのゾーン外からゾーン内へのHV/EV切替において、路面のスリップの可能性が高い場合にはゾーン外の路面のスリップの可能性が低い位置でHV/EV切替を行う。本実施の形態1によれば、路面が濡れていない位置でHV/EV切替が実行されるため、内燃機関(エンジン12)による駆動から、モータ(モータ11)による駆動に切り替えを行う際の、トルクの変化によって生じる車両のスリップを抑制することができる。
【0043】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。図6は、実施の形態2に係る制御システムを模式的に示す図である。図7は、実施の形態2に係る制御システムの構成を説明するためのブロック図である。実施の形態2に係る制御システム1Aは、実施の形態1に係る制御システム1の構成に対し、車両3に代えて車両3Aを備え、車両管理サーバ5をさらに備える。以下、実施の形態1とは異なる部分(車両3A及び車両管理サーバ5の構成及び処理内容)について説明する。
【0044】
制御システム1Aは、路面情報サーバ2と、車両3Aと、ゾーン設定情報サーバ4と、車両管理サーバ5とを含んで構成されている。車両3Aは、車両3の構成に対し、切替制御部33bを有しない制御部33Aを備えた構成となる。
【0045】
車両管理サーバ5は、車両管理センタに設置されたサーバである。車両管理センタは、複数の車両3Aについて、車両3Aの位置情報をリアルタイムで監視する。
【0046】
路面情報サーバ2と車両管理サーバ5とはネットワークNWを介して情報通信が可能である。ネットワークNWは、例えばインターネット回線網等から構成される。また、車両3と車両管理サーバ5とはネットワークNWを介した無線通信が可能である。
【0047】
車両管理サーバ5は、位置情報受信部51と、路面情報受信部52と、記憶部53と、制御部54と、指示送信部55と、を備える。
【0048】
位置情報受信部51は、車両3から送信された現在の位置情報を受信する。車両管理サーバ5は、複数の車両3から送信された車両3の位置情報を位置情報受信部51により受信可能である。
【0049】
路面情報受信部52は、路面情報サーバ2から送信された被災地情報を受信する。この路面情報受信部52はネットワークNWを介して路面情報送信部23と通信可能である。
【0050】
記憶部53は、車両3を管理するための各種情報を格納する。例えば、記憶部53には、ジオフェンシングゾーンが設定された区域に関する情報が格納されている。このジオフェンシング情報は予め格納された情報である。また、記憶部53は、位置情報データベース53aを有する。
【0051】
位置情報データベース53aは、車両3Aの位置情報を格納する。位置情報受信部51により受信された位置情報に基づいて、複数の車両3Aに関する位置情報がリアルタイムで位置情報データベース53aに格納される。つまり、位置情報データベース53aに格納された位置情報は、随時、最新の位置情報に更新される。
【0052】
制御部54は、CPU等のハードウェアを有するプロセッサを備えている。また、制御部54は、切替制御部54aを有する。
【0053】
制御部54は、ジオフェンシングゾーン内に位置する車両3Aを特定する。例えば、制御部54は、記憶部36に格納されたジオフェンシング情報と、位置情報データベース53aに格納された位置情報とに基づいて、ジオフェンシングゾーン内に位置する車両3を特定する。制御部54は、特定した車両3Aを対象として特定の車両制御(制御プログラム)を実行させる。
【0054】
指示送信部55は、車両3Aに向けて、特定の車両制御を実行させるための制御指示を送信する。例えば対象車両に向けた制御指示として、ジオフェンシングゾーン内においてエンジン12の駆動を禁止する指示(エンジン駆動禁止指示)や、ジオフェンシングゾーン外においてエンジン12の駆動を許可する指示(エンジン駆動許可指示)、HV/EV切替の制御等が挙げられる。
【0055】
実施の形態3では、車両管理サーバ5が路面情報サーバ2から路面情報を取得し、切替制御部54aが、ジオフェンシングゾーン内外に位置する車両3に対し、HV/EV切替のタイミング制御を行う。具体的には、切替制御部54aが、図5に示す処理を車両3Aごとに実行し、各車両3に対してHV/EV切替指示を出力する。
【0056】
以上説明した実施の形態2では、ジオフェンシングゾーンのゾーン外からゾーン内へのHV/EV切替において、路面のスリップの可能性が高い場合にはゾーン外の路面のスリップの可能性が低い位置でHV/EV切替を行う。本実施の形態2によれば、路面が濡れていない位置でHV/EV切替が実行されるため、内燃機関(エンジン12)による駆動から、モータ(モータ11)による駆動に切り替えを行う際の、トルクの変化によって生じる車両のスリップを抑制することができる。
【0057】
また、実施の形態2では、複数の車両3Aに対し、切替制御部54aがHV/EV切替制御の指示を一括して行うため、各車両3AがHV/EV切替制御のための処理を実行する必要がない。このため、車両3Aの処理負担を軽減し、車両3Aのバッテリ13の低下を抑制することができる。
【0058】
なお、以上説明した実施の形態において、例えば、路面情報サーバ2は、インターネット上の投稿サイト等に投稿された情報や、自治体など公的機関が発信した情報に基づいて、気象情報を検出することができる。例えば、インターネット上の投稿サイト等に投稿された情報を用いる場合、路面情報サーバ2はネットワークNWを介して情報を検出する。具体的には、インターネット上のSNS(Social Networking Service)に投稿された単語や、ある日に多くツイート(登録商標)された単語に基づいて、降雨を示す情報を検知する構成としてもよい。
【0059】
また、HMI34は、カーナビ装置に限定されず、運転者の視覚や聴覚や知覚によって情報を伝えることが可能な報知部として機能する装置であればよい。例えば、HMI34は、音声による報知が可能なオーディオなどの音声機器や、車両3の運転席に振動を発生される装置などであってもよい。
【0060】
(記録媒体)
一実施形態において、制御システムによる処理方法を実行可能なプログラムを、コンピュータその他の機械又は装置(以下、コンピュータなど、という)が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、当該コンピュータ等が給電制御システムの各装置の制御部として機能する。ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データ又はプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、又は化学的作用によって蓄積し、コンピュータなどから読み取ることができる非一時的な記録媒体をいう。このような記録媒体のうちのコンピュータなどから取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R/W、DVD(Digital Versatile Disk)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、DAT(Digital Audio Tape)、磁気テープ、フラッシュメモリ等のメモリカード等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスク、ROM等がある。さらに、SSDは、コンピュータなどから取り外し可能な記録媒体としても、コンピュータ等に固定された記録媒体としても利用可能である。
【0061】
(その他の実施形態)
また、一実施形態による制御システムにおいては、「部」は、「回路」等に読み替えることができる。例えば、通信部は、通信回路に読み替えることができる。
【0062】
また、一実施形態による制御システムの各装置に実行させるプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。
【0063】
さらなる効果、変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。本開示のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付のクレーム及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 制御システム
2 路面情報サーバ
3、3A 車両
4 ゾーン設定情報サーバ
5 車両管理サーバ
11 モータ
12 エンジン
13 バッテリ
14 充電器
15 車両側コネクタ
16 インバータ
21 気象情報受信部
22 路面情報作成部
23 路面情報送信部
31 GPS受信部
32 通信部
33、54 制御部
33a 位置情報取得部
33b、54a 切替制御部
33c エンジン制御部
33d HMI制御部
33e パワートレーン制御部
34 HMI
35 パワートレーン
36、53 記憶部
51 位置情報受信部
52 路面情報受信部
NW ネットワーク
図1
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図3
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図5
図6
図7