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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187363
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】トレイ
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/481 20060101AFI20221212BHJP
【FI】
B65D5/481 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095358
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】夏川 準司
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB20
3E060BC02
3E060CC02
3E060CC17
3E060CC44
3E060DA23
3E060EA12
(57)【要約】
【課題】内部に仕切りを容易に形成して安定させることができるトレイを提供する。
【解決手段】トレイ1であって、底板10の縁部に第一折れ線L1を介して連設された前後左右の壁体20を備えている。壁体20から底板10に亘って開口部50が形成され、開口部50の壁体20側の領域51は、仕切り板61によって塞がれ、開口部50の底板10側の領域52は、折り返し板62によって塞がれている。仕切り板61と折り返し板62とは、第一折れ線L1に連続している第二折れ線L2を介して連設されている。仕切り板61は、上下方向に延びている第三折れ線L3を介して開口部50の縁部に連設されている。折り返し板62は、第三折れ線L3の下端部から延びている第四折れ線L4を介して開口部50の縁部に連設されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と、
前記底板の縁部に第一折れ線を介して連設され、前記底板に対して立ち上げられた前後左右の壁体と、を備え、
前記壁体から前記底板に亘って開口部が形成され、
前記開口部の前記壁体側の領域は、仕切り板によって塞がれ、
前記開口部の前記底板側の領域は、折り返し板によって塞がれており、
前記仕切り板と前記折り返し板とは、前記第一折れ線に連続している第二折れ線を介して連設され、
前記仕切り板は、上下方向に延びている第三折れ線を介して前記開口部の縁部に連設され、
前記折り返し板は、前記第三折れ線の下端部から延びている第四折れ線を介して前記開口部の縁部に連設されていることを特徴とするトレイ。
【請求項2】
請求項1に記載のトレイであって、
前記第四折れ線は、前記第二折れ線に対して45度の角度で傾斜していることを特徴とするトレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレイに関する。
【背景技術】
【0002】
イチゴなどの青果物を詰めた容器を収容するための段ボール製のトレイとしては、底板と、底板に連設された前後左右の壁体と、壁体の内面側に突出した仕切り片と、を備えているものがある(例えば、特許文献1参照)。この構成では、仕切り片によってトレイ内の容器を安定させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-93689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来のトレイでは、壁体の上部の一部を内側に折り曲げることで仕切り片を形成しているため、仕切り片が壁体側に戻り易いという問題がある。
【0005】
本発明は、前記した問題を解決し、内部に仕切りを容易に形成して安定させることができるトレイを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、トレイであって、底板と、前記底板の縁部に第一折れ線を介して連設され、前記底板に対して立ち上げられた前後左右の壁体と、を備えている。前記壁体から前記底板に亘って開口部が形成され、前記開口部の前記壁体側の領域は、仕切り板によって塞がれ、前記開口部の前記底板側の領域は、折り返し板によって塞がれている。前記仕切り板と前記折り返し板とは、前記第一折れ線に連続している第二折れ線を介して連設されている。前記仕切り板は、上下方向に延びている第三折れ線を介して前記開口部の縁部に連設されている。前記折り返し板は、前記第三折れ線の下端部から延びている第四折れ線を介して前記開口部の縁部に連設されている。
【0007】
本発明のトレイの内部に仕切りを形成するときには、仕切り板および折り返し板を外側から内側に押し込むと、折り返し板は、第四折れ線において底板に対して折り返されて底板の上面に重なる。また、仕切り板は、第三折れ線において壁体に対して折り曲げられて壁体の内側に突出し、底板の上面に立ち上げられる。
【0008】
このように、本発明のトレイでは、仕切り板および折り返し板を外側から内側に押し込むことで、内部に仕切りを容易に形成できる。また、トレイの内部に突出させた仕切り板の下縁部は、底板の上面に折り重ねられた折り返し板に連設されているため、仕切り板が戻り難いとともに、仕切り板を安定させることができる。
【0009】
前記トレイにおいて、前記第四折れ線を前記第二折れ線に対して45度の角度で傾斜させた場合には、折り返し板を第四折れ線において底板に対して折り返して底板の上面に重ねたときに、仕切り板が壁体の内面に対して垂直に配置される。
【発明の効果】
【0010】
本発明のトレイは、仕切り板および折り返し板を外側から内側に押し込むことで、内部に仕切り板を容易に形成して安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係るトレイを前方左上から見た斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るトレイのブランクシートを示した図である。
図3】本発明の実施形態に係るトレイにおいて仕切りの形成する前の状態を示した部分斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係るトレイにおいて仕切りを形成した状態を示した部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
以下の説明において、前後左右方向とは、本実施形態のトレイを説明する上で便宜上設定したものであり、トレイの構成や使用状態を限定するものではない。
【0013】
本実施形態のトレイ1は、図1に示すように、四角形の底板10と、底板10に立ち上げられた前後の第一壁体20,20および左右の第二壁体30,30と、第一壁体20の上縁部に連設され、第一壁体20の内面側に折り返された内壁40と、を備えている。
【0014】
トレイ1は、図2に示すように、段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートSを各折れ線において山折りまたは谷折りすることで形成される。図2に示すブランクシートSは内面側が見えるように配置されている。
ブランクシートSの折れ線は、ブランクシートSの表面を線状に押し込んで形成された罫線(押罫)である。なお、罫線に断続的な切れ込みを形成してもよい。このようにすると、罫線においてブランクシートSを折り曲げ易くなる。
また、シートの表面のみを切断したハーフカットの切れ込みやシートを貫通した切れ込みを断続して線状に形成することで折れ線を構成してもよい。
【0015】
前後の第一壁体20,20は、図1に示すように、底板10の前後の縁部にそれぞれ折れ線を介して連設されており、底板10の前後の縁部から上方に向けて延びている。前後の第一壁体20,20は、四角形の同じ形状に形成されており(図2参照)、底板10に対して垂直に形成されている。
【0016】
第一壁体20の上縁部には、前後二本の折れ線を介して内壁40が連設されている。内壁40は、四角形に形成されている(図2参照)。内壁40は、第一壁体20の内面側に折り返されている。内壁40の下縁部は、底板10の上面に接している。
【0017】
左右の第二壁体30,30は、底板10の左右の縁部にそれぞれ第一折れ線L1,L1を介して連設されており、底板10の左右の縁部から上方に向けて延びている。左右の第二壁体30,30は、略四角形の同じ形状に形成されており(図2参照)、底板10に対して垂直に形成されている。
【0018】
第二壁体30の前後の縁部には、前後のフラップ31,31が折れ線を介して連設されている。フラップ31は、第二壁体30に対して内側に折り曲げられており、第一壁体20と内壁40との間に挟み込まれている。このフラップ31によって第一壁体20と第二壁体30とが連結されている。
【0019】
右側の第二壁体30および底板10の前後方向の中央部には、開口部50が形成されている。開口部50は、第二壁体30から底板10に亘って形成されている。つまり、開口部50の第二壁体30側の第一領域51と、開口部50の底板10側の第二領域52とが、第二壁体30と底板10との角部を介して連続している。
【0020】
開口部50の第一領域51は、図4に示すように、四角形に形成されており、第二壁体30の下縁部から略半分の高さまで形成されている。
【0021】
開口部50の第二領域52は、底板10の右縁部から内側に窪んでいる。開口部50の第二領域52は、後端部から前端部に向かうに連れて左右方向の幅が大きくなり、前縁部が円弧状に湾曲している扇形に形成されている(図2参照)。
【0022】
開口部50の第一領域51は、図3に示すように、仕切り板61によって塞がれている。仕切り板61の上縁部および前縁部は、スリットを介して第一領域51の内縁部に連設されている。すなわち、仕切り板61の上縁部および前縁部は、第二壁体30から切り離されている。
仕切り板61の後縁部は、上下方向に延びている第三折れ線L3を介して、開口部50の第一領域51の後縁部に連設されている。
第三折れ線L3の上端部から第二壁体30に切り込まれた切れ込みL10が形成されている。切れ込みL10は、後方に向けて突出するように円弧状に湾曲している。
【0023】
開口部50の第二領域52は、折り返し板62によって塞がれている。折り返し板62の前縁部は、スリットを介して第二領域52の前縁部に連設されている。すなわち、折り返し板62の前縁部は、底板10から切り離されている。
折り返し板62の右縁部は、第二折れ線L2を介して仕切り板61の下縁部に連設されている。第二折れ線L2は、第一折れ線L1に連続している直線である。仕切り板61と折り返し板62とは、垂直に連設されている。
【0024】
折り返し板62の左縁部は、第四折れ線L4を介して第二領域52の左縁部に連設されている。第四折れ線L4は、第三折れ線L3の下端部から左斜め前方に向けて延びている。また、第四折れ線L4は、第二折れ線L2に対して45度の角度で傾斜している(図2参照)。
【0025】
本実施形態のトレイ1では、図1に示すように、前記した右側の開口部50と同様に、左側の開口部50が形成されている。左側の開口部50は、左側の第二壁体30から底板10に亘って形成されている。
図2に示すように、左側の開口部50も仕切り板61および折り返し板62によって塞がれている。左側の開口部50、仕切り板61および折り返し板62と、右側の開口部50、仕切り板61および折り返し板62とは、底板10の中央部を基準点として点対称に形成されている。
【0026】
次に、本実施形態のトレイ1に仕切りを組み立てる手順について説明する。
本実施形態のトレイ1では、図1に示すように、左右の開口部50,50、仕切り板61,61および折り返し板62,62が点対称に形成されている。したがって、以下の説明では、右側の仕切りを組み立てる手順について説明し、左側の仕切りを組み立てる手順については省略する。
【0027】
図2に示すブランクシートSの状態から、図3に示すように、トレイ1を組み立てた状態では、開口部50は仕切り板61および折り返し板62によって塞がれている。この状態では、仕切り板61および折り返し板62が、内側から見て第二折れ線L2において谷折りに折り曲げられている。
【0028】
仕切り板61および折り返し板62を外側から内側に押し込むと、図4に示すように、仕切り板61および折り返し板62は、内側から見て第二折れ線L2において山折りとなるように折り返される。
【0029】
これにより、折り返し板62は、第四折れ線L4において底板10に対して上側に折り返され、折り返し板62が底板10の上面に重なる。第四折れ線L4は、第一折れ線L1に対して45度の角度で傾斜しているため、折り返し板62を底板10の上面に重ねると、第二折れ線L2は、第二壁体30の下縁部(第一折れ線L1)に対して垂直に配置される。
【0030】
また、仕切り板61は、第三折れ線L3において第二壁体30に対して内側に折り曲げられ、仕切り板61が第二壁体30の内側に突出する。仕切り板61の下縁部は、第二折れ線L2を介して折り返し板62に連設されているため、仕切り板61は、第二壁体30の内面に対して垂直に折り曲げられた状態となる。
【0031】
このようにして、図1に示すように、左右の仕切り板61,61および左右の折り返し板62,62を外側から内側に押し込んで、左右の仕切り板61,61を底板10の上面に立ち上げることで、トレイ1の内部に仕切りを形成できる。
【0032】
以上のようなトレイ1では、図4に示すように、仕切り板61および折り返し板62を外側から内側に押し込むことで、内部に仕切りを容易に形成できる。また、トレイ1の内部に突出させた仕切り板61の下縁部は、底板10の上面に折り重ねられた折り返し板62に連設されているため、仕切り板61が戻り難いとともに、仕切り板61を安定させることができる。
【0033】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
本実施形態のトレイ1では、図1に示すように、左右二箇所に仕切り板61,61が配置されているが、仕切り板61の数や形状は限定されるものではなく、内容物の数や形状に応じて適宜に設定される。
【0034】
本実施形態のトレイ1では、図2に示すように、第四折れ線L4が第二折れ線L2に対して45度の角度で傾斜しているが、その傾斜角度は限定されるものではない。例えば、仕切り板61が第二壁体30の内面に対して斜めに配置されるように、第二折れ線L2に対する第四折れ線L4の傾斜角度を設定してもよい。
【0035】
本実施形態のトレイ1は段ボール製であるが、各種公知の板紙によってトレイを形成してもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 トレイ
10 底板
20 第一壁体
30 第二壁体
31 フラップ
40 内壁
50 開口部
51 第一領域
52 第二領域
61 仕切り板
62 折り返し板
S ブランクシート
図1
図2
図3
図4