(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187376
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】宅配システム、移動体、宅配方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20120101AFI20221212BHJP
【FI】
G06Q10/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095381
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大槻 将久
(72)【発明者】
【氏名】李 海妍
(72)【発明者】
【氏名】岩本 国大
(72)【発明者】
【氏名】糸澤 祐太
(72)【発明者】
【氏名】古村 博隆
(72)【発明者】
【氏名】高木 裕太郎
(72)【発明者】
【氏名】大石 耕太
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
5L049CC51
(57)【要約】 (修正有)
【課題】住居へ物品を宅配する場合に、住人の状態に基づいて、配送の開始及び配送の完遂を行うことが可能な宅配システム、移動体及び宅配方法を提供する。
【解決手段】宅配システム10は、自律走行又は遠隔操作により住居まで移動して物品の配送を行う移動体100と、住居3に配置された一又は複数のセンサ類310と、センサの検出情報を取得する処理と、検出情報に基づいて在宅状況を含む住居の住人の状態を監視する監視処理と、住人の状態を確認し、少なくとも住人が在宅中であることを条件として、移動体に配送の開始を指示する配送開始処理と、移動体が住居に到着した後、住人の状態を確認し、住人が応対可能な状態であることを条件として、配送の完遂を指示する配送完遂処理とを実行するサーバ200と、を具備する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
住居へ物品を宅配する宅配システムであって、
自律走行又は遠隔操作により前記住居まで移動して前記物品の配送を行う移動体と、
前記住居に配置された一又は複数のセンサと、
情報処理装置と、
を含み、
前記情報処理装置は、
前記センサの検出情報を取得する処理と、
前記検出情報に基づいて、在宅状況を含む前記住居の住人の状態を監視する監視処理と、
前記住人の状態を確認し、少なくとも前記住人が在宅中であることを条件として、前記移動体に前記配送の開始を指示する配送開始処理と、
前記移動体が前記住居に到着後、前記住人の状態を確認し、前記住人が応対可能な状態であることを条件として、前記配送の完遂を指示する配送完遂処理と、
を実行する
ことを特徴とする宅配システム。
【請求項2】
請求項1に記載の宅配システムであって、
前記情報処理装置は、
前記情報処理装置に対する入力により設定され、取得する前記検出情報を定める情報取得設定を記憶し、
前記情報取得設定に従って前記検出情報を取得する
ことを特徴とする宅配システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の宅配システムであって、
前記物品に受取人の指定がある場合、
前記情報処理装置が前記監視処理において監視する前記住人の状態は、前記受取人の状態である
ことを特徴とする宅配システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の宅配システムであって、
前記情報処理装置は、
前記住人がしばらく応対可能でない前記住人の状態の類型である第1類型と、
前記住人が直ちに応対可能でない前記住人の状態の類型である第2類型と、
を記憶し、
前記配送開始処理において、
前記住人が在宅中であって、かつ前記住人の状態が前記第1類型のいずれにも該当しないとき、前記移動体に前記配送の開始を指示し、
前記配送完遂処理において、
前記住人が在宅中であって、かつ前記住人の状態が前記第1類型及び前記第2類型のいずれにも該当しないとき、前記移動体に前記配送の完遂を指示する
ことを特徴とする宅配システム。
【請求項5】
請求項4に記載の宅配システムであって、
前記第1類型又は前記第2類型は、前記情報処理装置に対する入力により変更される
ことを特徴とする宅配システム。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の宅配システムであって、
前記情報処理装置は、
前記配送開始処理又は前記配送完遂処理において、前記配送の開始又は前記配送の完遂の指示が所定期間行われない場合、前記第1類型又は前記第2類型の範囲を一時的に縮小する
ことを特徴とする宅配システム。
【請求項7】
自律走行又は遠隔操作により住居へ物品を宅配する移動体であって、
前記移動体を制御する情報処理装置を備え、
前記情報処理装置は、
前記住居に配置された一又は複数のセンサから検出情報を取得する処理と、
前記検出情報に基づいて、在宅状況を含む前記住居の住人の状態を監視する監視処理と、
前記住人の状態を確認し、少なくとも前記住人が在宅中であることを条件として、前記移動体による配送を開始する配送開始処理と、
前記移動体が前記住居に到着後、前記住人の状態を確認し、前記住人が応対可能な状態であることを条件として、前記移動体による前記配送を完遂する配送完遂処理と、
を実行する
ことを特徴とする移動体。
【請求項8】
請求項7に記載の移動体であって、
前記情報処理装置は、
前記移動体に対する入力により設定され、取得する前記検出情報を定める情報取得設定を記憶し、
前記情報取得設定に従って前記検出情報を取得する
ことを特徴とする移動体。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の移動体であって、
前記物品に受取人の指定がある場合、
前記情報処理装置が前記監視処理において監視する前記住人の状態は、前記受取人の状態である
ことを特徴とする移動体。
【請求項10】
請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の移動体であって、
前記情報処理装置は、
前記住人がしばらく応対可能でない前記住人の状態の類型である第1類型と、
前記住人が直ちに応対可能でない前記住人の状態の類型である第2類型と、
を記憶し、
前記配送開始処理において、
前記住人が在宅中であって、かつ前記住人の状態が前記第1類型のいずれにも該当しないとき、前記移動体による前記配送を開始し、
前記配送完遂処理において、
前記住人が在宅中であって、かつ前記住人の状態が前記第1類型及び前記第2類型のいずれにも該当しないとき、前記移動体による前記配送を完遂する
ことを特徴とする移動体。
【請求項11】
請求項10に記載の移動体であって、
前記第1類型又は前記第2類型は、前記移動体に対する入力により変更される
ことを特徴とする移動体。
【請求項12】
請求項10又は請求項11に記載の移動体であって、
前記情報処理装置は、
前記配送開始処理又は前記配送完遂処理において、前記配送の開始又は前記配送の完遂が所定期間行われない場合、前記第1類型又は前記第2類型の範囲を一時的に縮小する
ことを特徴とする移動体。
【請求項13】
自律走行又は遠隔操作により走行する移動体を用いて住居へ物品を宅配する宅配方法であって、
前記住居に配置されるセンサの検出情報に基づいて、在宅状況を含む前記住居の住人の状態を監視する監視ステップと、
前記住人の状態を確認し、少なくとも前記住人が在宅中であることを条件として、前記移動体に配送の開始を指示する配送開始ステップと、
前記移動体を自律走行又は遠隔操作により前記住居まで移動させるステップと、
前記移動体が前記住居に到着後、前記住人の状態を確認し、前記住人が応対可能な状態であることを条件として、前記移動体に前記配送の完遂を指示する配送完遂ステップと、
を含むことを特徴とする宅配方法。
【請求項14】
請求項13に記載の宅配方法であって、
前記物品に受取人の指定がある場合、
前記監視ステップにおいて監視する前記住人の状態は、前記受取人の状態である
ことを特徴とする宅配方法。
【請求項15】
請求項13又は請求項14に記載の宅配方法であって、
第1類型は、前記住人がしばらく応対可能でない前記住人の状態の類型であり、
第2類型は、前記住人が直ちに応対可能でない前記住人の状態の類型であり、
前記配送開始ステップにおいて、
前記住人が在宅中であって、かつ前記住人の状態が前記第1類型のいずれにも該当しないとき、前記移動体に前記配送の開始を指示し、
前記配送完遂ステップにおいて、
前記住人が在宅中であって、かつ前記住人の状態が前記第1類型及び前記第2類型のいずれにも該当しないとき、前記移動体に前記配送の完遂を指示する
ことを特徴とする宅配方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、住居へ物品を宅配する宅配システムに関する。また、本開示は、自律走行又は遠隔操作により住居へ物品を宅配する移動体に関する。さらに、本開示は、自律走行又は遠隔操作により走行する移動体を用いて住居へ物品を宅配する宅配方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、荷物の配送を行う場合に、自律走行型ロボットが配送先となる家の周囲状況の解析データや、配送実績データ等に基づいて各家の在宅確率を算出し、算出した確率に応じた配送処理や配送ルート決定を行うことで、効率的な荷物の配送を実現する情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理方法、並びにプログラムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、配送先となる住居の住人の在宅確率を算出する技術が開示されている。しかしながら、物品の宅配する場合、たとえ配送先の住居の住人が在宅していたとしても、住人の状態によっては、住人が物品の受け取りをすることができない、あるいは煩わしさを感じる虞がある。
【0005】
本開示は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、住居へ物品を宅配する場合に、住人の状態に基づいて、配送の開始及び配送の完遂を行うことが可能な宅配システム、移動体、及び宅配方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の開示に係る宅配システムは、自律走行又は遠隔操作により住居まで移動して物品の配送を行う移動体と、住居に配置された一又は複数のセンサと、情報処理装置と、を含んでいる。情報処理装置は、センサの検出情報を取得する処理と、検出情報に基づいて在宅状況を含む住居の住人の状態を監視する監視処理と、住人の状態を確認し、少なくとも住人が在宅中であることを条件として、移動体に配送の開始を指示する配送開始処理と、移動体が住居に到着した後、住人の状態を確認し、住人が応対可能な状態であることを条件として、配送の完遂を指示する配送完遂処理と、を実行する。
【0007】
第2の開示に係る宅配システムは、第1の開示に係る宅配システムに対して、さらに以下の特徴を含んでいる。
情報処理装置は、情報処理に対する入力により設定され、取得する検出情報を定める情報取得設定を記憶し、情報取得設定に従って検出情報を取得する。
【0008】
第3の開示に係る宅配システムは、第1又は第2の開示に係る宅配システムに対して、さらに以下の特徴を含んでいる。
物品に受取人の指定がある場合、情報処理装置が監視処理において監視する住人の状態は、受取人の状態である。
【0009】
第4の開示に係る宅配システムは、第1乃至第3の開示のいずれか1つの開示に係る宅配システムに対して、さらに以下の特徴を含んでいる。
情報処理装置は、住人がしばらく応対可能でない住人の状態の類型である第1類型と、住人が直ちに応対可能でない住人の状態の類型である第2類型と、を記憶する。そして、情報処理装置は、配送開始処理において、住人が在宅中であって、かつ住人の状態が第1類型のいずれにも該当しないとき、移動体に配送の開始を指示する。また、配送完遂処理において、住人が在宅中であって、かつ住人の状態が第1類型及び第2類型のいずれにも該当しないとき、移動体に配送の完遂を指示する。
【0010】
第5の開示に係る宅配システムは、第4の開示に係る宅配システムに対して、さらに以下の特徴を含んでいる。
第1類型又は第2類型は、情報処理装置に対する入力により変更される。
【0011】
第6の開示に係る宅配システムは、第4又は第5の開示に係る宅配システムに対して、さらに以下の特徴を含んでいる。
情報処理装置は、配送開始処理又は配送完遂処理において、配送の開始又は配送の完遂の指示が所定期間行われない場合、第1類型又は第2類型の範囲を一時的に縮小する。
【0012】
第7の開示に係る移動体は、自律走行又は遠隔操作により住居へ物品を宅配する移動体であって、移動体を制御する情報処理装置を備えている。情報処理装置は、住居に配置された一又は複数のセンサから検出情報を取得する処理と、検出情報に基づいて、在宅状況を含む住居の住人の状態を監視する監視処理と、住人の状態を確認し、少なくとも住人が在宅中であることを条件として、移動体による配送を開始する配送開始処理と、移動体が住居に到着後、住人の状態を確認し、住人が応対可能な状態であることを条件として、移動体による配送を完遂する配送完遂処理と、を実行する。
【0013】
第8の開示に係る移動体は、第7の開示に係る移動体に対して、さらに以下の特徴を含んでいる。
情報処理装置は、移動体に対する入力により設定され、取得する検出情報を定める情報取得設定を記憶し、情報取得設定に従って検出情報を取得する。
【0014】
第9の開示に係る移動体は、第7又は第8の開示に係る移動体に対して、さらに以下の特徴を含んでいる。
物品に受取人の指定がある場合、情報処理装置が監視処理において監視する住人の状態は、受取人の状態である。
【0015】
第10の開示に係る移動体は、第7乃至第9の開示のいずれか1つの開示に係る移動体に対して、さらに以下の特徴を含んでいる。
情報処理装置は、住人がしばらく応対可能でない住人の状態の類型である第1類型と、住人が直ちに応対可能でない住人の状態の類型である第2類型と、を記憶する。そして、情報処理装置は、配送開始処理において、住人が在宅中であって、かつ住人の状態が第1類型のいずれにも該当しないとき、移動体による配送を開始する。また、配送完遂処理において、住人が在宅中であって、かつ住人の状態が第1類型及び第2類型のいずれにも該当しないとき、移動体による配送を完遂する。
【0016】
第11の開示に係る移動体は、第10の開示に係る移動体に対して、さらに以下の特徴を含んでいる。
第1類型又は第2類型は、移動体に対する入力により変更される。
【0017】
第12の開示に係る移動体は、第10又第11の開示に係る移動体に対して、さらに以下の特徴を含んでいる。
情報処理装置は、配送開始処理又は配送完遂処理において、配送の開始又は配送の完遂が所定期間行われない場合、第1類型又は第2類型の範囲を一時的に縮小する。
【0018】
第13の開示に係る宅配方法は、自律走行又は遠隔操作により走行する移動体を用いて住居へ物品を宅配する宅配方法である。この宅配方法は、住居に配置されるセンサの検出情報に基づいて、在宅状況を含む住居の住人の状態を監視する監視ステップと、住人の状態を確認し、少なくとも住人が在宅中であることを条件として、移動体に配送の開始を指示する配送開始ステップと、移動体を自律走行又は遠隔操作により住居まで移動させるステップと、移動体が住居に到着後、住人の状態を確認し、住人が応対可能な状態であることを条件として、移動体に配送の完遂を指示する配送完遂ステップと、を含んでいる。
【0019】
第14の開示に係る宅配方法は、第13の開示に係る宅配方法に対して、さらに以下の特徴を含んでいる。
物品に受取人の指定がある場合、監視ステップにおいて監視する住人の状態は、受取人の状態である。
【0020】
第15の開示に係る宅配方法は、第13又は第14の開示に係る宅配方法に対して、さらに以下の特徴を含んでいる。
配送開始ステップにおいて、住人が在宅中であって、かつ住人の状態が第1類型のいずれにも該当しないとき、移動体に配送の開始を指示する。また、配送完遂ステップにおいて、住人が在宅中であって、かつ住人の状態が第1類型及び第2類型のいずれにも該当しないとき、移動体に配送の完遂を指示する。ここで、第1類型は、住人がしばらく応対可能でない住人の状態の類型であり、第2類型は、住人が直ちに応対可能でない住人の状態の類型である。
【発明の効果】
【0021】
本開示に係る宅配システム、移動体、及び宅配方法によれば、配送先の住居の住人の状態に基づいて、配送の開始及び配送の完遂が行われる。これにより、移動体による物品の受け渡しが行われる場合に、住人が物品の受け取りをすることができない状態となることを低減し、また住人が物品の受け取りに対して煩わしさを感じることを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1実施形態に係る宅配システムにより提供される宅配サービスの概要を説明するための概念図であり、物品の配送を開始する場合を示している。
【
図2】第1実施形態に係る宅配システムにより提供される宅配サービスの概要を説明するための概念図であり、物品の配送を完遂する場合を示している。
【
図3】住居に備える各センサ、及び住人の状態の例を示す概念図である。
【
図4】第1実施形態に係る宅配システムの構成を示すブロック図である。
【
図5】サーバが実行する処理を示すブロック図である。
【
図6】第1実施形態に係る宅配システムにより実現される宅配方法を示すフローチャートである。
【
図7】情報取得設定について説明するための概念図である。
【
図8】第1実施形態の変形例1に係る宅配システム10の構成を示すブロック図である。
【
図9】第2実施形態に係る宅配システム10の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。ただし、以下に示す実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲などの数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数が特定される場合を除いて、その言及した数に、本開示に係る思想が限定されるものではない。また、以下に示す実施の形態において説明する構成等は、特に明示した場合や原理的に明らかにそれに特定される場合を除いて、本開示に係る思想に必ずしも必須のものではない。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を附しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0024】
1.第1実施形態
1-1.宅配サービス
図1及び
図2は、第1実施形態に係る宅配システム10により提供される宅配サービスの概要を説明するための概念図である。宅配システム10は、自律走行又は遠隔操作により走行する移動体100と、サーバ200と、住居3に配置されるセンサ類310と、を含んでいる。宅配システム10により提供される宅配サービスでは、移動体100が自律走行又は遠隔操作により移動することで宅配の対象となる物品の配送が行われる。
図1及び
図2では、物品2を住居3に宅配する場合を示している。ここで、
図1は、宅配システム10により物品2の配送を開始する場合を示しており、
図2は、宅配システム10による物品2の配送を完遂する場合を示している。
【0025】
移動体100は、例えば、物品を収納することが可能な部分を備える車両である。サーバ200は、移動体100と互いに情報を伝達することができるように、またセンサ類310に含まれる各センサの検出情報を取得することができるように構成されている。
【0026】
移動体100が遠隔操作により走行する場合、移動体100は、通信により操作情報を取得し、操作情報に従って走行する。例えば、移動体100は、サーバ200から操作情報を取得する。移動体100が操作情報を取得するための構成は、適当な公知技術を採用して良い。さらに、移動体100は、一部の機能について、遠隔に位置するオペレータのマニュアル操作を受け付けるように構成されていても良い。
【0027】
まず、
図1を参照して、宅配システム10による物品2の配送の開始について説明する。移動体100は、サーバ200から配送の開始が指示されるまでは配送を開始しない。典型的には、移動体100は、所定の待機場所で待機する。待機場所は、例えば、複数の移動体100が駐車するために設けられた所定の場所や、移動体100を所有する人物が指定する所定の場所等である。あるいは、物品2が存するあるいは提供される積載場所1の付近で待機しても良い。積載場所1は、典型的には、周辺の住居への宅配が予定されている複数の物品が集荷及び保管されている集荷場所である。ただし、宅配商品を提供している場所等であっても良い。
【0028】
詳細は後述するが、センサ類310に含まれる各センサは、住居3の住人4の動作、住居内の位置、生体情報、住居3の設備の使用状況、又は住居内の映像といった住居3の住居内の状況を検出する。そして、サーバ200は、センサ類310から検出情報を取得し、検出情報に基づいて直接的又は間接的に住人4がどのような状態であるか監視する。住人4の状態は、例えば、住人4が就寝中であること、住人4が電話をしていること、住人4が入浴中であること、等である。ここで、住人4の状態には、少なくとも住人4が住居3に在宅中であるか否か(在宅状況)が含まれる。
【0029】
サーバ200は、住人4の状態を確認し、少なくとも住人4が在宅中であることを条件として、移動体100に配送の開始を指示する。ここで、サーバ200は、さらに、住人4の状態がしばらく応対可能でない所定の状態でないことを条件としても良い。
【0030】
移動体100は、サーバ200から配送の開始が指示されると、物品2を積載し、物品2の配送を開始する。ここで、物品2の積載は、移動体100が備える機能(例えば、ロボットアーム)により行われても良いし、人手により行われても良い。あるいは、配送を開始する前にあらかじめ移動体100に積載されていても良い。配送の開始により、移動体100は、自律走行又は遠隔操作により住居3に向かって移動する。
【0031】
次に、
図2を参照して、宅配システム10による物品2の配送の完遂について説明する。移動体100は、住居3に到着後、サーバ200から配送の完遂が指示されるまでは配送を完遂しない。典型的には、移動体100は、住居3の付近で待機する。
【0032】
サーバ200は、移動体100が住居3に到着後、住人4の状態を確認し、住人4が応対可能な状態であることを条件として、移動体100に配送の完遂を指示する。
【0033】
移動体100は、サーバ200から配送の完遂が指示されると、住人4を呼び出し、物品2を住人4に受け渡す。ここで、住人4の呼び出しは、例えば、通信ネットワークを介した住居3に備える端末あるいは住人4が所有する端末(スマートフォン等の汎用端末に所定のアプリケーションがインストールされたものであっても良い)への通知により行う。この場合、移動体100は、上記の端末に直接通知しても良いし、サーバ200に通知を指示し、サーバ200が上記の端末に通知しても良い。また、住人4への物品2の受け渡しは、移動体100に備える機能(例えば、ロボットアーム)により行われても良いし、住人4が能動的に行っても良い。
【0034】
移動体100は、物品2を住人4に受け渡した後、自律走行又は遠隔操作により所定の場所まで移動し、物品2の配送を完遂する。典型的には、所定の待機場所まで移動して他の宅配に係る配送の開始の指示があるまで待機する。
【0035】
なお、サーバ200は、移動体100が物品2を配送中において、住人4の状態を確認し、住人4が在宅中でない、あるいはしばらく応対可能でない所定の状態であるとしたときは、移動体100に配送の中止を指示しても良い。そして、移動体100は、配送の中止の指示に従って、配送を中止しても良い。この場合、例えば、移動体100は、典型的には、所定の待機場所まで移動して再度配送の開始の指示があるまで待機する。あるいは、他の宅配に係る配送の開始の指示があるまで待機する。
【0036】
1-2.住人の状態の監視
前述したように、住居3には、住居内の状況を検出するセンサ類310が備えられる。また、サーバ200は、センサ類310から検出情報を取得し、検出情報に基づいて住居3の住人4の状態を監視する。
【0037】
図3は、センサ類310に含まれる各センサ311、及び住人4の状態の例を示す概念図である。
図3では、住居3に備えられる各センサ311それぞれを区別するために符号に記号(a、b、c、・・・)を附している。また、住人4それぞれを区別するために符号に記号(a、b、c、・・・)を附している。さらに、住居3の一部の部屋に符号を与えている(3a、3b、3c、・・・)。
【0038】
センサ311aは、周囲の環境を検出するセンサである。センサ311aは、例えば、カメラ、LiDAR(Light Detection And Ranging)等である。センサ311aが出力する検出情報は、例えば、撮像範囲の画像情報、検出範囲の点群情報等である。さらに、センサ311aは、センサ311aにおいて実行する処理(画像解析や点群解析等)により、撮像範囲又は検出範囲にある物体の情報(種別、形状、動作等)を検出情報として出力しても良い。特に、撮像範囲又は検出範囲に含まれる住人4の情報を検出情報として出力しても良い。
【0039】
センサ311bは、周囲に位置する所定のユーザ端末5を検知するセンサである。センサ311bは、例えば、アクセスポイント、赤外線ビーコン等である。ユーザ端末5は、典型的には、住人4が所有する端末(スマートフォン等)である。センサ311bが出力する検出情報は、例えば、周囲にユーザ端末5が位置しているか否かの情報、ユーザ端末5の住居内の位置の情報等である。
【0040】
センサ311cは、電波を発信し電波の反射状態や減衰状態を検出して出力するセンサである。センサ311cは、例えば、無線通信のための電波を発信する装置である。この場合、センサ311cは、無線通信により情報の送受信を行う装置として機能していても良い。センサ311cは、さらに、センサ311cにおいて実行する処理(受信電波の解析等)により、周囲の物体の情報を検出情報として出力しても良い。
【0041】
センサ311dは、生体情報を検出し出力するセンサである。センサ311dは、例えば、装着した利用者の生体情報を検出することが可能なウェアラブルデバイスである。センサ311dが出力する検出情報は、例えば、住人4の体温、心拍数、脈拍数、血圧、姿勢、移動状態等の情報である。
【0042】
センサ311eは、枕の使用状況を検出し出力するセンサである。センサ311eは、例えば、枕に配置された圧力センサ、圧力スイッチ等である。センサ311eが出力する検出情報は、例えば、枕が使用されているか否かの情報、枕にかかっている圧力の情報等である。
【0043】
センサ311fは、ドアの状態を検出し出力するセンサである。センサ311fは、例えば、ドアスイッチである。センサ311fが出力する検出情報は、例えば、ドアの開閉状態である。
【0044】
センサ311gは、浴槽の状態を検出し出力するセンサである。センサ311gは、例えば、水位センサ、温度センサ等である。センサ311gが出力する検出情報は、例えば、浴槽の湯量、お湯の温度等の情報である。
【0045】
センサ311hは、部屋の照明の状態を検出し出力するセンサである。センサ311hは、例えば、照度センサ等である。あるいは照明と通信し照明の状態(オンオフ、明るさの設定等)の情報を取得する装置であっても良い。センサ311hが出力する検出情報は、例えば、照明のオンオフ状態、照明の明るさ等の情報である。
【0046】
センサ311iは、コンロの状態を検出し出力するセンサである。センサ311iは、例えば、温度センサ、炎検知センサ、流量センサ、ガス圧センサ、電流センサ等である。センサ311iが出力する検出情報は、例えば、コンロのオンオフ状態、火力等の情報である。
【0047】
センサ311jは、水栓の状態を検出し出力するセンサである。センサ311jは、例えば、流量センサ、水圧センサ等である。センサ311jが出力する検出情報は、例えば、水栓のオンオフ状態、流量等の情報である。
【0048】
センサ311kは、テレビの状態を検出し出力するセンサである。センサ311kは、例えば、電流センサ等である。あるいはテレビと通信しテレビの状態(オンオフ、選局の設定等)の情報を取得する装置であっても良い。センサ311kが出力する検出情報は、例えば、テレビのオンオフ状態、選局等の情報である。
【0049】
以上説明したように、住居内の状況を検出するセンサ類310は、多様なセンサ311が含んでいて良い。なお、前述したセンサ311とは異なるセンサを含んでいても良い。例えば、人感センサ、住居3に備えられる窓の状態を検出するセンサ、住居3の電力使用量、水道使用量、又はガス使用量を検出するセンサ、住居3の複数の設備(空調設備、冷蔵庫、電子レンジ、掃除機等)と通信しそれぞれの設備の状態の情報を取得するセンサ等を含んでいても良い。また、同種の複数のセンサ311が住居3の複数の場所にそれぞれ配置されていても良い。
【0050】
サーバ200は、前述したような各センサ311の検出情報を取得し、直接的又は間接的に住人4がどのような状態であるかを監視する。ここで、サーバ200は、各センサ311から取得する検出情報を時系列データとして記憶し、時系列データから住人4の状態を推測しても良い。以下、サーバ200による住人4の状態の監視の例について説明する。
【0051】
一つの例は、
図3に示す住人4aについてである。サーバ200は、センサ311i及びセンサ311jから取得する検出情報及びその時系列データに基づいて、一定期間の間に部屋3aのキッチンのコンロと水栓が頻繁に使用されていること、またセンサ311cから取得する検出情報に基づいて、部屋3aに住人4aが位置していること、を認識する。そして、サーバ200は、住人4aは部屋3aにおいて料理をしている状態であると判断する。
【0052】
次の一つの例は、
図3に示す住人4bについてである。サーバ200は、センサ311gから取得する検出情報及び時系列データに基づいて、浴槽の湯量の変化から入浴が行われていること、またセンサ311hから取得する検出情報に基づいて、部屋3bの照明がオン状態であること、を認識する。そして、サーバ200は、住人4bは部屋3bにおいて入浴している状態であると判断する。
【0053】
次の一つの例は、
図3に示す住人4cについてである。サーバ200は、センサ311bから取得する検出情報に基づいて、住人4cが所有するユーザ端末5が部屋3cに位置していること、またセンサ311kから取得する検出情報及び時系列データに基づいて、テレビがオン状態であり習慣的に視聴されている番組を映す選局がされていること、を認識する。そして、サーバ200は、住人4cは部屋3cにおいてテレビを視聴している状態であると判断する。
【0054】
次の一つの例は、
図3に示す住人4dについてである。サーバ200は、センサ311aから取得する検出情報に基づいて、部屋3dに住人4dが位置していること、またセンサ311eから取得する検出情報に基づいて、部屋3dに配置されたベッドの枕が使用されていること、さらにセンサ311dから取得する検出情報に基づいて、住人4dが横になっており安静な状態であること、を認識する。そして、サーバ200は、住人4dは部屋3dにおいて就寝中の状態であると判断する。
【0055】
その他、サーバ200は、センサ311fから取得するドアの開閉状態の検出情報及び時系列データや人感センサ等の情報から、住人4が在宅中であるか否かを判断するといったことが例示される。なお、サーバ200は、前述した内容とは異なる情報、アルゴリズムにより、より多様な住人4の状態を判断しても良い。例えば、住人4がトイレに入っている状態であること、住人4が食事中の状態であること等を判断しても良い。また、サーバ200は、住人4の状態を判断するに当たり、時間、気温、天気等の普遍的な情報を利用しても良い。
【0056】
1-3.宅配システムの構成
図4は、第1実施形態に係る宅配システム10の構成を示すブロック図である。以下、宅配システム10の構成について説明する。
【0057】
センサ類310は、前述したように、住居3の住居内の状況を検出するセンサ311の類である。センサ類310に含まれる各センサ311の検出情報は、通信装置320に伝達される。
【0058】
通信装置320は、通信ネットワーク6に接続し、情報の送受信を行う装置である。通信ネットワーク6は、典型的には、インターネットである。通信装置320は、典型的には、センサ類310に含まれる各センサ311と無線通信により情報を取得し、インターネットに接続して情報の送受信を行う端末である。通信装置320は、センサ類310から検出情報を取得し、通信ネットワーク6を介して、サーバ200に検出情報を送信する。
【0059】
サーバ200は、メモリ210と、プロセッサ220と、を備えるコンピュータ(情報処理装置)である。サーバ200は、通信ネットワーク6上に構成される。ただし、仮想的に構成されていても良い。メモリ210は、プロセッサ220で実行可能なプログラムと、サーバ200が取得する情報やプログラムに係る種々の情報を含むデータを記憶する。ここで、メモリ210は、データとして、取得する情報の一定期間の時系列データを記憶しても良い。プロセッサ220は、メモリ210からプログラムを読み出し、メモリ210から読み出すデータの情報に基づいて、プログラムに従う処理を実行する。
【0060】
サーバ200が実行する処理、より詳しくは、プログラムに従ってプロセッサが実行する処理には、住人4の状態を監視する処理(監視処理)と、移動体100に配送の開始を指示する処理(配送開始処理)と、移動体100に配送の完遂を指示する処理(配送完遂処理)と、が含まれる。これらの処理の詳細については後述する。
【0061】
また、メモリ210は、住人4がしばらく応対可能でない住人4の状態の類型である第1類型と、住人4が直ちに応対可能でない住人4の状態の類型である第2類型と、を記憶する。表1にメモリ210が記憶する第1類型及び第2類型の例を示す。第1類型及び第2類型は、プログラムの一部あるいはデータとして記憶される。
【0062】
【0063】
サーバ200は、通信ネットワーク6を介して、移動体100から配送情報を取得する。ここで、配送情報とは、配送先、配送の状況(配送の開始を待機中、配送中、配送の完遂を待機中等)等の情報である。また、サーバ200は、通信ネットワーク6を介して、配送先となる住居3に備えるセンサ類310から検出情報を取得する。そして、サーバ200は、検出情報に基づいて住人4の状態を監視する。さらに、配送の状況に応じて住人4の状態を確認して、移動体100に配送の開始、配送の完遂、又は配送の中止を指示する指示情報を生成し、指示情報を移動体100に送信する。
【0064】
移動体100は、走行環境検出センサ110と、通信装置120と、制御装置130と、アクチュエータ類140と、を備えている。
【0065】
走行環境検出センサ110は、移動体100の走行環境情報を検出し出力するセンサの類である。走行環境検出センサ110は、移動体100の走行状態(速度、加速度、ヨーレート等)を検出する車輪速センサ、Gセンサ、ジャイロセンサ等や、移動体100の周囲の環境(走行路、歩行者、障害物等)を検出するカメラ、ミリ波レーダー、LiDAR等が例示される。走行環境検出センサ110が出力する走行環境情報は制御装置130に伝達される。
【0066】
通信装置120は、通信ネットワーク6に接続し、移動体100の外部の装置と情報(通信情報)の送受信を行う装置である。通信装置120は、典型的には、基地局を介してインターネットに接続し、無線通信により情報の送受信を行う端末である。通信装置120は、典型的には、住居3に備えられる。通信装置120が受信する通信情報には、少なくともサーバ200が送信する指示情報が含まれる。また、通信装置120が送信する通信情報には、配送情報が含まれる。
【0067】
通信装置120が受信する通信情報は、制御装置130に伝達される。制御装置130に伝達される通信情報には、少なくともサーバ200が送信する指示情報が含まれる。
【0068】
ただし、通信装置120が受信し制御装置130に伝達される通信情報は、その他の情報を含んでいても良い。例えば、移動体100の周囲の地図情報や交通情報を含んでいても良い。
【0069】
制御装置130は、取得する情報に基づいて、移動体100の制御に係る種々の処理を実行し、制御信号を出力する。制御装置130は、典型的には、メモリと、プロセッサと、を含むコンピュータ(情報処理装置)である。制御装置130が出力する制御信号は、アクチュエータ類140に伝達される。
【0070】
制御装置130が実行する処理には、移動体100の自律走行に係る処理が含まれる。自律走行に係る処理は、典型的には、目的地(例えば、配送先の住居3)までの走行計画を設定し、走行環境情報及び地図情報に基づいて走行経路を生成する。そして、走行経路に沿って移動体100が走行するように加速、制動、操舵に係る制御信号を生成する。
【0071】
また、制御装置130は、移動体100が宅配サービスに係る物品2の配送を行う場合において、通信装置120から伝達される指示情報に従って配送の開始、配送の完遂、又は配送の中止を行うように自律走行やその他の動作(物品2の積載や物品2の受け渡し等)に係る処理を実行し、制御信号を生成する。そして、制御装置130は、配送情報を通信情報として通信装置120に伝達する。
【0072】
なお、制御装置130は、複数のコンピュータにより構成される系であっても良い。
【0073】
アクチュエータ類140は、制御装置130から取得する制御信号に従って動作するアクチュエータの類である。アクチュエータ類140に含まれるアクチュエータは、例えば、駆動輪を駆動するアクチュエータ、ブレーキ機構を駆動するアクチュエータ、転舵機構を駆動するアクチュエータ、ロボットアームを駆動するアクチュエータ等である。アクチュエータ類140に含まれる種々のアクチュエータが制御信号に従って動作することにより、制御装置130による移動体100の種々の制御が実現される。
【0074】
サーバ200は、移動体100から取得する配送情報から、配送先となる住居3が特定されたことを以って、住居3に備えるセンサ類310の検出情報を取得し、住居3の住人4の状態を監視するように処理が行われても良い。
【0075】
また、住居3に備える各センサ311又は通信装置320が有するメモリ、あるいは別途備えられるメモリに、一定期間の各センサ311の検出情報の時系列データが記憶されていても良い。そして、サーバ200が住居3の住人4の状態を監視する処理を実行する場合に、センサ類310の検出情報及びメモリに記憶する時系列データがサーバ200に伝達されるように構成されていても良い。
【0076】
1-4.サーバが実行する処理
図5は、サーバ200が実行する処理を示すブロック図である。サーバ200が実行する処理は、監視処理部221と、配送開始処理部222と、配送完遂処理部223と、により構成される。なお、これらは、プログラムの部分として実現されていて良い。あるいは、複数のコンピュータにより実現されていても良い。この場合、サーバ200は、複数のコンピュータにより構成される系を示す。
【0077】
監視処理部221は、検出情報に基づいて、住人4の状態がどのような状態であるのかを監視し、住人4の状態を出力する。監視処理部221は、配送情報から配送先となる住居3が特定されたことを以って処理を開始しても良い。ただし、所定の住居3に対して処理を継続していても良い。住人4の状態がどのような状態であるかの判断は前述した例のとおりである。監視処理部221が出力する住人4の状態は、配送開始処理部222及び配送完遂処理部223に伝達される。
【0078】
配送開始処理部222は、監視処理部221から取得する住人4の状態を確認し、移動体100に配送の開始を指示する指示情報を出力する。配送開始処理部222は、配送情報から移動体100が配送の開始を待機しているとしたときに処理を開始する。そして、配送開始処理部222は、メモリ210から第1類型を読み出し、監視処理部221から取得する住人4の状態が、在宅中であって、かつ第1類型のいずれにも該当しないとき、配送の開始を指示する指示情報を出力する。
【0079】
なお、住居3に複数の住人4がいる場合、いずれかの住人4が第1類型のいずれにも該当しないとき配送の開始を指示する指示情報を出力するとして良い。
【0080】
配送完遂処理部223は、監視処理部221から取得する住人4の状態を確認し、移動体100に配送の完遂、又は配送の中止を指示する指示情報を出力する。配送完遂処理部223は、移動体100が配送を開始した後に処理を開始し、配送中において処理を実行する。そして、配送情報から移動体100が配送先の住居3に到着し配送の完遂を待機しているとしたときは、配送完遂処理部223は、メモリ210から第1類型及び第2類型を読み出し、監視処理部221から取得する住人4の状態が、在宅中であって、かつ第1類型及び第2類型のいずれにも該当しないとき、配送の完遂を指示する指示情報を出力する。一方で、配送中において、配送完遂処理部223は、メモリ210から第1類型を読みだし、監視処理部221から取得する住人4の状態が、在宅中でない、又は第1類型のいずれかに該当したときは、配送の中止を指示する指示情報を出力する。
【0081】
なお、住居3に複数の住人4がいる場合、いずれかの住人4が第1類型及び第2類型のいずれにも該当しないとき、配送の完遂を指示する指示情報を出力するとして良い。一方で、すべての住人4が、在宅中でない、又は第1類型のいずれかに該当したときは、配送の中止を指示する指示情報を出力するとして良い。
【0082】
住人4の状態の情報は、それぞれの状態に対応したそれぞれの状態を表す特定のデータとして伝達されて良い。例えば、「入浴している」、「就寝中である」、「電話をしている」という住人4の状態をそれぞれ、st1、st2、st3、という文字データにそれぞれ対応させて情報が伝達されても良い。第1類型及び第2類型としてメモリ210が記憶する住人4の状態についても同様であって良い。
【0083】
1-5.宅配方法
以下、第1実施形態に係る宅配システム10により実現される宅配方法について説明する。
図6は、第1実施形態に係る宅配システム10により実現される宅配方法を示すフローチャートである。
図6に示すフローチャートは、典型的には、移動体100が配送の対象となる物品2の配送情報をサーバ200に送信したときに開始する。
【0084】
ステップS100(監視ステップ)において、サーバ200は、物品2の配送先の住居3について監視処理を実行し、住居3の住人4の状態を監視する。
【0085】
ステップS100の後、サーバ200は、配送開始処理を実行し、住人4の状態を確認して(ステップS110)配送を開始するか否かを判断する(ステップS111)。つまり、住人4の状態が、在宅中であって、かつ第1類型のいずれにも該当しないかどうかを判断する。配送を開始すると判断する場合(ステップS111;Yes)、ステップS120に進む。配送を開始しないと判断する場合(ステップS111;No)、所定時間経過後に再度住人4の状態を確認して(ステップS110)配送を開始するか否かを判断する(ステップS111)。
【0086】
ステップS120(配送開始ステップ)において、サーバ200は、移動体100に配送の開始を指示する。ステップS120の後、ステップS130に進む。
【0087】
ステップS130において、移動体100は、サーバ200から配送の開始の指示を受信して、自律走行又は遠隔操作により配送先の住居3まで移動を開始する(配送を開始する)。そして、移動体100は、配送先の住居3に到着した後、配送の完遂の指示を待機する(ステップS140)。
【0088】
ここでステップS130の後、サーバ200は、配送完遂処理を実行し、住人4の状態を確認して配送を中止するか否かを所定の周期毎に判断する。つまり、住人4の状態が、在宅中でない、又は第1類型のいずれかに該当するかどうかを所定の周期毎に判断する。そして、配送を中止すると判断する場合、サーバ200は、移動体100に配送の中止を指示する。この場合、
図6に示すフローチャートのプロセスは中断され、移動体100が配送の中止に係る処理を完了したことを以ってプロセスは終了する。あるいは、サーバ200は、再度配送開始処理を実行し、住人4の状態を確認して配送を開始するか否かを判断する(ステップS110)。
【0089】
ステップS140の後、サーバ200は、配送完遂処理の実行により、住人4の状態を確認して(ステップS150)配送を完遂するか否かを判断する(ステップS151)。つまり、住人4の状態が、在宅中であって、かつ第1類型及び第2類型のいずれにも該当しないかどうかを判断する。配送を完遂すると判断する場合(ステップS151;Yes)、ステップS160に進む。配送を完遂しないと判断する場合(ステップS151;No)所定時間経過後に再度住人4の状態を確認して(ステップS150)配送を完遂するか否かを判断する(ステップS151)。
【0090】
ステップS160(配送完遂ステップ)において、サーバ200は、移動体100に配送の完遂を指示する。ステップS160の後、ステップS170に進む。
【0091】
ステップS170において、移動体100は、サーバ200から配送の完遂の指示を受信して、配送の完遂に係る処理を実行する。ステップS170の後、プロセスは終了する。
【0092】
1-6.効果
以上説明したように、第1実施形態に係る宅配システム10、及び宅配方法によれば、配送先の住居3の住人4の状態に基づいて、配送の開始及び配送の完遂の指示を行うことができる。これにより、移動体100による物品2の受け渡しが行われる場合に、住人4が物品2の受け取りをすることができない状態となることを低減し、また住人4が物品2の受け取りに対して煩わしさを感じることを低減することができる。
【0093】
また、前述した内容において、一つの物品2を所定の住居3に宅配する場合において宅配システム10が適用される場合について説明したが、宅配システム10は、複数の物品を複数の異なる住居に宅配する場合(例えば、集合住宅の集荷場所から集合住宅の各部屋に物品を宅配する場合)においても好適に適用されて良い。
【0094】
例えば、サーバ200は、複数の住居それぞれの住人の状態を監視し、複数の住居のうち配送を開始すると判断するいくつかの住居に対する複数の物品について、移動体100に配送の開始を指示する。移動体100は、配送の開始が指示された複数の物品を積載し、配送を開始する。そして、移動体100がいずれかの住居に到着したとき、サーバ200は到着先の住居の住人の状態を確認し、配送の完遂を指示する。移動体100は、配送の完遂の指示を受けると、到着先の住居の住人に物品の受け渡しを行う。その後、宅配する物品が残っていない場合は、移動体100は、待機場所に戻る等により配送を終了する。一方で、宅配する物品が残っている場合は、移動体100は、その物品の配送先となる住居まで移動して住居に到着後配送の完遂の指示を待機し、サーバ200は、配送の完遂について同様の処理を繰り返す。
【0095】
さらに、宅配システム10は、複数の移動体100を含んでいても良い。この場合、例えば、サーバ200は、移動体100それぞれが配送する物品2の配送先となる住居3それぞれに対して並列に監視処理を実行し、また並列に配送開始処理及び配送完遂処理を実行する。
【0096】
1-7.変形例
第1実施形態に係る宅配システム10は、以下のように変形した態様を採用しても良い。以下、前述した内容において既に説明した事項については適宜省略する。
【0097】
1―7-1.変形例1
サーバ200は、センサ類310から取得する検出情報を定める情報取得設定を記憶し、情報取得設定に基づいてセンサ類310から検出情報を取得しても良い。また、情報取得設定は、サーバ200に対する入力により設定されても良い。
【0098】
図7は、情報取得設定211の例について説明するための概念図である。
図7に示す例では、住人4は、所有するユーザ端末5を介して、サーバ200に対して設定情報を送信する。ユーザ端末5は、典型的には、所定のアプリケーションをインストールした汎用装置(スマートフォン等)である。ただし、サーバ200に対して設定情報を送信する専用の端末であっても良い。設定情報は、センサ類310に含まれる各センサ311による検出を許可するか否かについての設定を示す情報である。
図7に示す例では、設定情報は、「照明の状態の検出」と「テレビの状態の検出」は許可するが、「ドアの状態の検出」は許可しないとする設定を示している。
【0099】
サーバ200のメモリ210は情報取得設定211を記憶する。そして、サーバ200は、設定情報を入力として、設定情報に従い情報取得設定211を設定する。つまり、
図7に示す例では、サーバ200は、照明の状態を検出するセンサ311hとテレビの状態を検出するセンサ311kから検出情報を取得するが、ドアの状態を検出するセンサ311fからは検出情報を取得しない。
【0100】
なお、設定情報は、センサ類310に含まれる各センサ311それぞれに対して個別の設定を示す情報でなくても良い。つまり、センサ類310に含まれる各センサ311が、特定の基準により分類され、設定情報は、分類毎の設定を示す情報であっても良い。例えば、検出情報に対する個人情報のレベルによって各センサ311を分類し、設定情報は、分類毎の設定を示す情報であっても良い。
【0101】
図8は、第1実施形態の変形例1に係る宅配システム10の構成を示すブロック図である。
図8に示すように、ユーザ端末5は、通信ネットワーク6に接続し、通信ネットワーク6を介してサーバ200に対して設定情報を送信する。そして、サーバ200は、通信ネットワーク6を介してユーザ端末5から設定情報を受信し、設定情報に従ってメモリ210に記憶する情報取得設定211を設定する。
【0102】
このように変形した態様を採用することで、住人4は、自身が知られたくないと考える検出情報をサーバ200が取得することを制限することができ、プライバシーを保護することができる。
【0103】
1-7-2.変形例2
物品2に受取人の指定がある場合、サーバ200は、監視処理において、受取人の状態を監視し、受取人の状態を確認して、配送の開始及び配送の完遂を指示しても良い。つまり、受取人でない住人4の状態は、配送開始処理及び配送完遂処理において考慮しないこととしても良い。
【0104】
例えば、サーバ200は、移動体100から受信する物品情報から、物品2に受取人の指定があるか否かを判断する。そして、サーバ200は、監視処理を実行し、配送先の住居3の住人4のうち、受取人の状態に限って監視をする。
【0105】
ここで、住人4のうち、特定の住人4が受取人であることは、例えば、カメラが撮像した画像情報の画像解析、住人4が装着するウェアラブルデバイスの認証情報、住人4が所有するユーザ端末5の端末情報等により判断することができる。
【0106】
このように変形した態様を採用することで、物品2の受け渡しを行おうとしたにもかかわらず、受取人が応対可能な状態でないといった事態を低減することができる。
【0107】
1-7-3.変形例3
第1類型及び第2類型は、サーバ200に対する入力により変更されても良い。変形例3に係る宅配システム10の構成は、
図8に示す変形例1に係る宅配システム10の構成と同等であって良い。ただし、メモリ210は、第1類型及び第2類型を記憶する。つまり、住人4は、所有するユーザ端末5を介して、サーバ200に対して設定情報を送信し、サーバ200は、設定情報を入力として、設定情報に従いメモリ210に記憶する第1類型又は第2類型を変更する。ここで、設定情報は、第1類型又は第2類型とする住人4の状態の設定を示す情報である。
【0108】
このように変形した態様を採用することで、住人4は、受取可能でないとする状態を任意に設定することができ、宅配システム10の利便性を向上させることができる。
【0109】
1-7-4.変形例4
サーバ200は、配送開始処理又は配送完遂処理において、配送の開始又は配送の完遂の指示が所定期間行われない場合、メモリ210に記憶する第1類型又は第2類型の範囲を一時的に縮小しても良い。ここで、所定期間は、プログラムにあらかじめ与えられていて良い。
【0110】
例えば、第1類型が表1に示す住人4の状態であるとき、配送開始処理において配送の開始の指示が所定期間行われない場合、サーバ200は、第1類型のうち、「デスクで勉強又は執務をしている」という住人4の状態を第1類型から外すように第1類型の範囲を縮小する。つまり、住人4の状態が「デスクで勉強又は執務をしている」であっても、配送開始処理において配送の開始が指示されることとなる。あるいは、「デスクで勉強又は執務をしている」を「デスクで執務をしている」とするように第1類型の範囲を縮小しても良い。同様に、第2類型の範囲を縮小しても良い。
【0111】
第1類型又は第2類型の範囲の縮小は、段階的に行われても良い。例えば、配送開始処理において、第1の所定期間が経過したとき、「デスクで勉強又は執務をしている」を「デスクで執務をしている」とするように第1類型の範囲を縮小し、第1の所定期間が経過後さらに第2の所定期間が経過したとき、「デスクで執務をしている」を第1類型から外すように第1類型の範囲を縮小しても良い。
【0112】
なお、物品2の宅配が完了した後は、サーバ200は、第1類型又は第2類型の範囲の一時的な縮小を解除して良い。
【0113】
このように変形した態様を採用することで、配送の開始又は配送の完遂を指示する条件を緩和することができ、配送の開始又は配送の完遂の指示が一向に行われないという事態を低減することができる。
【0114】
2.第2実施形態
以下、第2実施形態について説明する。ただし、前述した内容において既に説明した事項については適宜省略する。
【0115】
第1実施形態に係る宅配システム10では、サーバ200が、住人4の状態を監視し、移動体100に配送の開始及び配送の完遂の指示を行うのに対し、第2実施形態に係る宅配システムでは、移動体100が、住人4の状態を監視し、また配送の開始及び配送の完遂を判断する。
【0116】
2-1.構成
図9は、第2実施形態に係る宅配システム20の構成を示すブロック図である。
図9に示すように、第2実施形態に係る宅配システム20は、第1実施形態に係る宅配システム10に対して、サーバ200を含んでいてない。
【0117】
宅配システム20において、通信装置320は、センサ類310から検出情報を取得し、通信ネットワーク6を介して、移動体100に検出情報を送信する。
【0118】
宅配システム20において、通信装置120が受信する通信情報には、少なくとも通信装置320が送信する検出情報が含まれる。また制御装置130に伝達される通信情報には、少なくとも通信装置320が送信する検出情報が含まれる。
【0119】
宅配システム20において、制御装置130のメモリは、第1類型及び第2類型を記憶し、制御装置130が実行する処理には、監視処理と、配送開始処理と、配送完遂処理と、が含まれる。これらの処理は、第1実施形態に係る宅配システム10において、サーバ200が実行する処理(
図5において説明した処理)と同等であって良い。ただし、配送開始処理部222及び配送完遂処理部223の出力は、制御信号である。ここで、監視処理部221、配送開始処理部222、及び配送完遂処理部223は、制御装置130が実行する処理のプログラムの部分として実現されても良いし、制御装置130を構成する複数のコンピュータにより実現されても良い。
【0120】
つまり、宅配システム20においては、制御装置130は、監視処理の実行により、配送先の住居3の住人4の状態を監視する。そして、制御装置130は、配送開始処理又は配送完遂処理の実行により、住人4の状態を確認して配送の開始又は配送の完遂を判断し、移動体100が配送の開始又は配送の完遂を行うように制御信号を出力する。
【0121】
2-2.宅配方法
第2実施形態に係る宅配システム20においては、移動体100により、第1実施形態に係る宅配システム10と同等の宅配方法(
図6において説明した宅配方法)が実現される。ただし、
図6において説明した内容について、サーバ200が実行する処理は、宅配システム20において制御装置130が実行する。また、移動体100の配送の開始又は配送の完遂は、制御装置130から出力する制御信号により実現される。
【0122】
2-3.効果
第2実施形態に係る移動体100、及び宅配方法によっても、第1実施形態に係る宅配システム10と同等の効果を奏することができる。
【0123】
2-4.変形例
第2実施形態に係る移動体100は、以下のように変形した態様を採用しても良い。以下、前述した内容において既に説明した事項については適宜省略する。
【0124】
2-4-1.変形例1
制御装置130は、センサ類310から取得する検出情報を定める情報取得設定を記憶し、情報取得設定に基づいてセンサ類310から検出情報を取得しても良い。また、情報取得設定は、移動体100に対する入力により設定されても良い。
【0125】
このように変形した態様を採用することで、住人4は、自身が知られたくないと考える検出情報を制御装置130が取得することを制限することができ、プライバシーを保護することができる。
【0126】
2-4-2.変形例2
物品2に受取人の指定がある場合、制御装置130は、監視処理において、受取人の状態を監視し、受取人の状態を確認して、移動体100の配送の開始及び配送の完遂を行っても良い。つまり、受取人でない住人4の状態は、配送開始処理及び配送完遂処理において考慮しないこととしても良い。
【0127】
このように変形した態様を採用することで、物品2の受け渡しを行おうとしたにもかかわらず、受取人が応対可能な状態でないといった事態を低減することができる。
【0128】
2―4-3.変形例3
第1類型又は第2類型は、移動体100に対する入力により変更されても良い。
【0129】
このように変形した態様を採用することで、住人4は、受取可能でないとする状態を任意に設定することができ、宅配システム10の利便性を向上させることができる。
【0130】
2-4-4.変形例4
制御装置130は、配送開始処理又は配送完遂処理において、移動体100の配送の開始又は配送の完遂が所定期間行われない場合、メモリに記憶する第1類型又は第2類型の範囲を一時的に縮小しても良い。
【0131】
このように変形した態様を採用することで、配送の開始又は配送の完遂を指示する条件を緩和することができ、配送の開始又は配送の完遂の指示が一向に行われないという事態を低減することができる。
【符号の説明】
【0132】
2 物品
3 住居
4 住人
10,20 宅配システム
100 移動体
130 制御装置
200 サーバ
221 監視処理部
222 配送開始処理部
223 配送完遂処理部
310 センサ類
311 センサ