(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187379
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】排水処理装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/28 20060101AFI20221212BHJP
C02F 1/78 20060101ALI20221212BHJP
C02F 1/461 20060101ALI20221212BHJP
B01J 20/34 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
C02F1/28 D
C02F1/78
C02F1/461 Z
B01J20/34 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095386
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】399049981
【氏名又は名称】株式会社オメガ
(72)【発明者】
【氏名】中村 信一
【テーマコード(参考)】
4D050
4D061
4D624
4G066
【Fターム(参考)】
4D050AA13
4D050AB07
4D050AB11
4D050BB02
4D050BD02
4D050CA06
4D050CA10
4D061DA08
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4D061FA16
4D624AA04
4D624AB02
4D624AB04
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4D624BC01
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4D624CA01
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4D624DA01
4D624DA07
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4D624DB24
4G066AA04D
4G066AA05B
4G066AA72C
4G066BA09
4G066CA14
4G066DA08
4G066GA06
(57)【要約】
【課題】活性炭の再生をより効率的に行うことができる排水処理装置を提供しようとするもの。
【解決手段】活性炭浄化槽を有する排水処理機構1と活性炭を再生する活性炭再生機構2とを具備し、前記活性炭浄化槽は活性炭流動床3と活性炭固定床4とを有し、再生する活性炭を活性炭流動床3と活性炭固定床4から取り出すことができるようにした。前記活性炭再生機構2の排気ガスを排水処理機構1に送るようにした。前記活性炭を活性炭流動床3から活性炭固定床4を経由して活性炭再生機構2へと移動させるようにした。前記排水処理機構1と電解機構Eとの間で排水を循環させるようにした。記電解機構Eでオゾン水を電気分解するようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性炭浄化槽を有する排水処理機構(1)と活性炭を再生する活性炭再生機構(2)とを具備し、前記活性炭浄化槽は活性炭流動床(3)と活性炭固定床(4)とを有し、再生する活性炭を活性炭流動床(3)と活性炭固定床(4)から取り出すことができるようにしたことを特徴とする排水処理装置。
【請求項2】
前記活性炭再生機構(2)の排気ガスを排水処理機構(1)に送るようにした請求項1記載の排水処理装置。
【請求項3】
前記活性炭を活性炭流動床(3)から活性炭固定床(4)を経由して活性炭再生機構(2)へと移動させるようにした請求項1又は2記載の排水処理装置。
【請求項4】
前記排水処理機構(1)と電解機構(E)との間で排水(W)を循環させるようにした請求項1乃至3のいずれかに記載の排水処理装置。
【請求項5】
前記電解機構(E)でオゾン水を電気分解するようにした請求項3記載の排水処理装置。
【請求項6】
前記活性炭浄化槽と活性炭再生機構(2)との間に活性炭の補充機構(6)を設けるようにした請求項1乃至5のいずれかに記載の排水処理装置。
【請求項7】
前記活性炭をポーラスな骨材に活性炭粉をコーティングしたものとするようにした請求項1乃至6のいずれかに記載の排水処理装置。
【請求項8】
前記活性炭浄化槽の下方に中間槽(7)を設けるようにした請求項1乃至7のいずれかに記載の排水処理装置。
【請求項9】
前記活性炭浄化槽に処理後の清浄排水の一部を戻す帰還経路(FB)を有するようにした請求項1乃至8のいずれかに記載の排水処理装置。
【請求項10】
前記排水処理機構(1)に不要物の熱分解機構(8)の排気ガスを送るようにした請求項1乃至9のいずれかに記載の排水処理装置。
【請求項11】
前記熱分解機構(8)で不要物として医療廃棄物・感染性廃棄物を処理するようにした請求項10記載の排水処理装置。
【請求項12】
前記不要物の熱分解生成物の二次利用を図るようにした請求項10又は11記載の排水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、活性炭を再生しつつ使用することができる排水処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりも効率良く分解することが出来る排水処理機構に関する提案があった(特許文献1)。
すなわち、この排水処理機構は、排水中の汚れ物質を吸着する活性炭吸着槽と槽内流動機構とを有し、前記活性炭吸着槽に電解水を供給すると共に、前記活性炭吸着槽内で槽内流動機構により排水と活性炭とを流動させるようにしたものである。
そして、槽内が流動することにより一定の場所に停滞する部位が減少して電解水の洗浄作用を万遍なく活性炭に及ぼすことが出来るので、従来よりも効率良く吸着物を洗浄再生することができる、というものである。
これに対し、吸着剤の再生をより効率的に行いたいという要望があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこでこの発明は、活性炭の再生をより効率的に行うことができる排水処理装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するためこの発明では次のような技術的手段を講じている。
(1)この発明の排水処理装置は、活性炭浄化槽を有する排水処理機構と活性炭を再生する活性炭再生機構とを具備し、前記活性炭浄化槽は活性炭流動床と活性炭固定床とを有し、再生する活性炭を活性炭流動床と活性炭固定床から取り出すことができるようにしたことを特徴とする。
この排水処理機構は、活性炭浄化槽を有する排水処理機構と活性炭を再生する活性炭再生機構とを具備するので、活性炭再生機構で活性炭を再生しつつ活性炭浄化槽で排水を浄化していくことが出来る。
【0006】
また、前記活性炭浄化槽は活性炭流動床と活性炭固定床とを有するので、活性炭流動床で汚れ成分をあらかた乃至おおまかに取ることができ、活性炭固定床で汚れ成分を綿密に取ることが出来る。また、活性炭流動床の下方に活性炭が沈降して溜ることにより、この領域が固定床に近い状態で機能することがある。
そして、再生する活性炭を活性炭流動床と活性炭固定床から取り出すことができるようにしたので、活性炭の汚れの状況に応じてそれぞれから別個に取り出して活性炭再生機構で再生することが出来る。そして、排水の汚れ成分を流動床で吸着する量と、固定床で濾過吸着する量とから、取り出す割合を設定することができ、活性炭の再生を効率的に行うことが出来る。
【0007】
ここで、前記排水として、工場排水(化学工場排水廃液、食品加工工場)、塗装廃水、切削油排水などを例示することができ、また内水面養殖池の池水、海水魚の陸上養殖場などの浄化をすることも出来る。
排水(排水、廃水、廃液、排液)の汚れ成分として、工場その他の有機系廃液のCOD成分、TOC成分、廃プラスチック類その他の物質の熱分解炭化後や燃焼後の排気ガス、養殖池の餌などの有機残渣等を例示することが出来る。
排水は、活性炭浄化槽の活性炭流動床から活性炭固定床を介し、その下の中間槽からポンプPで引き出して、最終 放流したり再利用したりすることが出来る。また、これらの間で循環させて浄化していくことも出来る。活性炭流動床は、エアレーターによって内部をよく攪拌することが出来る。
活性炭浄化槽の活性炭流動床と活性炭固定床は、それぞれ複数個を設置してもよい。活性炭流動床と活性炭固定床はこの順番で浄化することが好ましいが、複数個を設置した場合は、部分的に逆の順番として浄化することも出来る。
排水処理機構の活性炭浄化槽の表層からの揮発成分は、ガスフィルター等によって浄化して大気へと解放することも出来る。
【0008】
活性炭再生機構では、活性炭を約600~900℃に昇温して賦活再生することが出来る。例えば、活性炭浄化槽から取り出した活性炭を活性炭再生機構の下方に供給し、スパイラルコンベア(モータM駆動)で回転させつつ加熱しながら上昇させていき、上方から取り出して次のスパイラルコンベア(モータM駆動)によって排水処理機構の活性炭浄化槽へと戻すことが出来る。
前記活性炭再生機構の熱源として、電熱蒸気発生機構で900℃の水蒸気を生成させたり、熱風発生機構でLNGガスバーナー(外周に水冷ジャケット)等により1,000℃の熱風を発生させたりすることが出来る。
【0009】
(2)前記活性炭再生機構の排気ガスを排水処理機構に送るようにしてもよい。
このように、活性炭再生機構の排気ガスを排水処理機構に送るようにすると、(排水中の汚れ成分と一緒に)活性炭の賦活再生時の排気ガスを浄化することが出来る。これにより、排水処理機構を活性炭再生機構のスクラバー槽として機能させることが出来る。
活性炭再生機構の排気ガスは、賦活再生後の活性炭と共に排水処理機構に送ることが出来る。また、活性炭再生機構の熱源からの排気も、排水処理機構に送って浄化することが出来る。
【0010】
(3)前記活性炭を活性炭流動床から活性炭固定床を経由して活性炭再生機構へと移動させるようにしてもよい。
このように、活性炭を活性炭流動床から活性炭固定床を経由して活性炭再生機構へと移動させるようにすると、活性炭流動床である程度吸着した活性炭に対し、活性炭固定床でさらに吸着させてその後 活性炭再生機構へと送ることが出来る。
【0011】
こうすると、活性炭流動床の槽内の汚れ成分の濃度(COD、TOCなど)の関係であまり吸着していない活性炭を、活性炭固定床に移送して更に累積吸着させてから、活性炭再生機構において再生することが出来る。
一方、活性炭流動床の槽内の汚れ成分の濃度(CODなど)が高く、はやくに多く吸着した活性炭を、そのまま(活性炭固定床ではなく)活性炭再生機構に移送して再生することが出来る。
【0012】
(4)前記排水処理機構と電解機構との間で排水を循環させるようにしてもよい。
このように、排水処理機構と電解機構との間で排水を循環させるようにすると、排水に電解水(電解次亜塩素酸 HClO)の酸化分解作用を及ぼして浄化していくことが出来る。ここで、電解促進剤として食塩水(NaCl)や次亜塩素酸ソーダ水(NaClO)などを添加することが出来る。
【0013】
(5)前記電解機構でオゾン水を電気分解するようにしてもよい。
このように、電解機構にオゾンを(加圧下で)注入して電気分解するようにすると、オゾン水をより活性化して排水に酸化分解作用を及ぼし浄化していくことが出来る。
すなわち、オゾナイザーから供給されたオゾン(O3、酸化還元電位 2.07V)を電解機構で電気分解すると、酸素(O2、酸化還元電位 1.23V)と酸素ラジカル(・O、酸化還元電位 2.42V)とに分裂してより大きな酸化力を発揮することとなる。
【0014】
(6)前記活性炭浄化槽と活性炭再生機構との間に活性炭の補充機構を設けるようにしてもよい。
このように、活性炭浄化槽と活性炭再生機構との間に活性炭の補充機構を設けるようにすると、経時的にバラけたりして目減りし減少していく活性炭を補充していくことが出来る。
例えば、活性炭浄化槽(活性炭流動床、活性炭固定床)から引き出した活性炭に対し、活性炭の補充機構において粘着剤と活性炭粉とを付着させて、活性炭再生機構へと送るようにすることが出来る。活性炭粉(吸着材紛)の原料は適宜に注入して補給していく。これにより、活性炭を常に新炭に近い状態として吸着量を担保することが出来る。
粘着剤としてコールタール等を使用することができ、電熱ヒーターで200℃程度に加熱して溶解させておく(冷えたら固化する)。そして、スパイラルコンベア(モータM駆動)で回転させつつ、活性炭浄化槽側から活性炭再生機構側へと移送していくことが出来る。
【0015】
(7)前記活性炭をポーラスな骨材に活性炭粉をコーティングしたものとするようにしてもよい。
このように、活性炭をポーラスな骨材に(前記コールタールなどのような粘着剤を介して)活性炭粉をコーティングしたものとすると、排水は骨材の芯に相当する領域までは浸透しないので、既存の活性炭素材よりも含水率が少ないものとなり、加熱する際に含水分に対する潜熱を減少させることが出来る。
前記ポーラスな骨材としてセラミック材などを例示することが出来る。
【0016】
(8)前記活性炭浄化槽の下方に中間槽を設けるようにしてもよい。
このように、活性炭浄化槽の下方に中間槽を設けるようにすると、上方の活性炭流動床を原水槽として中間槽を処理水槽として機能せしめ、各槽を形成するタンクを上下方向に連設することにより、設置現場において省スペースなものとすることが出来る。また、タンクを上下方向に連設することにより、配管工事等を簡略化することが出来る。
【0017】
(9)前記活性炭浄化槽に処理後の清浄排水の一部を戻す帰還経路を有するようにしてもよい。
このように、活性炭浄化槽に処理後の清浄排水の一部を戻す帰還経路を有するようにすると、汚れ度合いの低い処理後の清浄排水の一部を活性炭浄化槽(活性炭流動床や活性炭固定床)へとフィードバックすることにより、活性炭浄化槽の汚れ度合いを低減した状態で処理することが出来る。
【0018】
(10)前記排水処理機構に不要物の熱分解機構の排気ガスを送るようにしてもよい。
このように、排水処理機構に不要物として例えば廃プラスチック類等の熱分解機構の排気ガスを送るようにすると、前記排気ガスを(排水と一緒に)排水処理機構で浄化しつつ廃プラスチック類の炭化物を得ることが出来る。
【0019】
排水処理機構の排気ガス中に(仮に)二酸化炭素(CO2)ガスが含まれる場合、これを排水処理機構(スクラバー槽として機能)の水中に吸収させることができるので、カーボンニュートラル・脱地球温暖化に資することができ、また他に有害ガス成分が含有されていたとしても、排水処理機構での処理後に大気解放する際にはきれいでクリーンな気体とすることが出来る(公害要因は排出しない)。
熱分解機構の熱源として、熱風発生機構でLNGガスバーナー等により1,000℃の熱風を発生させることが出来る。そして、熱分解機構では、不要物たる廃プラスチック類(ウレタンフォームなど)をホッパーに受け入れて、次いでプレスローラで圧縮し、断熱シャッターを介して炉内へと投入することが出来る。
【0020】
(11)前記熱分解機構(8)で不要物として医療廃棄物・感染性廃棄物を処理するようにしてもよい。
前記医療廃棄物・感染性廃棄物(ウイルスや菌類が付着)として、腸や胃などの手術後の人体の一部、血液・体液等が付着した医師・看護師の手術着・着衣(特別管理廃棄物)、脱脂綿、おしめ、患者が使用して汗や唾液などが付着したマットレス(布と木材等)などを例示できる。
【0021】
このように熱分解機構で医療廃棄物、感染性廃棄物を処理するようにすると、熱分解機構での処理により環境安全性を担保(ウイルス、雑菌などの熱分解)して処理することが出来る。
また、排水処理機構の排気ガス中に(仮に)二酸化炭素(CO2)ガスが含まれる場合、これを排水処理機構(スクラバー槽として機能)の水中に吸収させることができるので、カーボンニュートラル・脱地球温暖化に資することができ、また有害ガス成分が含有されていたとしても、排水処理機構での処理後に大気解放する際にはきれいでクリーンな気体とすることが出来る(公害要因は排出しない)。
【0022】
(12)前記不要物の熱分解生成物の二次利用を図るようにしてもよい。
不要物たる廃プラスチック類としてPETを熱分解したら、約10~15重量%の炭化物(炭化後に水冷)と約85~90重量%(残余)の炭化水素ガス(ルーツブロワーポンプLBPで引出す)とが得られた。
そして、不要物の熱分解生成物の二次利用を図るようにすると、熱分解後の炭化物を活性炭(有用物)などとして活用することができ、また熱分解ガス成分である炭化水素ガスをLNGガス等と一緒に燃焼させることにより、バックアップ熱源として有効利用することが出来る。
【0023】
これにより、廃プラスチック類を産業廃棄物として焼却処理(熱分解ではなく燃焼)することによって二酸化炭素(CO2)ガスを大気中に放出したり、焼却後の汚泥(燃え殻)を排出したりして環境問題を悪化させることへの対策とすることが出来る。
また、不要物としてコーヒー豆滓、焼酎製造時の原料の絞り滓などの食品滓、豚糞、鶏糞、牛糞などの家畜糞を熱分解機構で炭化物にし、ボードなどに成形して二次利用を図ることが出来る。
さらに、不要物として血液が付着したマットレスなどの粗大物は粉砕し、熱分解機構で炭化物にし、ボードなどに成形して二次利用を図ることが出来る。
【発明の効果】
【0024】
この発明は上述のような構成であり、次の効果を有する。
活性炭の汚れの状況に応じて活性炭再生機構で再生することができるので、活性炭の再生をより効率的に行うことができる排水処理装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】この発明の排水処理装置の実施形態1を説明するシステム・フロー図。
【
図2】この発明の排水処理装置の実施形態2を説明するシステム・フロー図。
【
図3】この発明の排水処理装置の実施形態3を説明するシステム・フロー図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
〔実施形態1〕
図1に示すように、この実施形態の排水処理装置は、活性炭浄化槽を有する排水処理機構1と活性炭を再生する活性炭再生機構2とを具備し、前記活性炭浄化槽は活性炭流動床3と活性炭固定床4とを有し、再生する活性炭を活性炭流動床3と活性炭固定床4から取り出すことができるようにした。
【0027】
前記排水として、工場排水、塗装廃水、切削油排水を処理した。排水の汚れ成分として、工場の有機系廃液のCOD成分、TOC成分、廃プラスチック類その他の物質の熱分解炭化後や燃焼後の排気ガスがあった。
排水処理機構1は3棟を設けており、それぞれに活性炭再生機構2を備えるようにした。排水Wが供給されてくる1棟目は、上側の活性炭流動床3と下側の活性炭固定床4とを有する。2棟目は上側の活性炭固定床4と下側の活性炭固定床4とを有する。3棟目は1つの活性炭固定床4を有する。
各排水処理機構1の活性炭浄化槽の表層からの揮発成分は、ガスフィルターによって浄化して大気へと解放するようにした。
【0028】
1棟目の排水処理機構1に供給され排水Wは、活性炭浄化槽の活性炭流動床3から活性炭固定床4を介し、その下の中間槽からポンプPで引き出して、2棟目の排水処理機構1に供給するようにした。活性炭流動床3は、エアレーターによって内部をよく攪拌するようにした。
次いで、2棟目の排水処理機構1では、活性炭浄化槽の活性炭固定床4から活性炭固定床4を介し、その下の中間槽からポンプPで引き出して、3棟目の排水処理機構1に供給するようにした。
そして、3棟目の排水処理機構1では、活性炭浄化槽の活性炭固定床4を介し、その下の中間槽からポンプPで引き出して、最終 放流するようにした。3棟目の活性炭浄化槽は、処理後の清浄排水の一部を戻す帰還経路FBを有するようにした。
【0029】
3棟ある各活性炭再生機構2では、活性炭を約900℃に昇温して賦活再生するようにした。すなわち、活性炭浄化槽から取り出した活性炭を活性炭再生機構2の下方に供給し、スパイラルコンベア(モータM駆動)で回転させつつ加熱しながら上昇させていき、上方から取り出して次のスパイラルコンベア(モータM駆動)によって排水処理機構1の活性炭浄化槽へと戻すようにした。
前記活性炭再生機構2の熱源として、熱風発生機構5でLNGガスバーナー(外周に水冷ジャケット)により1,000℃の熱風を発生させるようにした。この熱風を、3棟のそれぞれの活性炭再生機構2に供給するようにした。水冷ジャケットは、地下水を補充して冷却するようにした。
【0030】
前記各活性炭再生機構2の排気ガスを排水処理機構1に送るようにした。活性炭再生機構2の排気ガスは、賦活再生後の活性炭と共に排水処理機構1に送るようにした。また、活性炭再生機構2の熱源からの排気も、排水処理機構1に送って浄化するようにした。
このように、活性炭再生機構2の排気ガスを排水処理機構1に送るようにしたので、排水中の汚れ成分と一緒に活性炭の賦活再生時の排気ガスを浄化することが出来た。これにより、排水処理機構1を活性炭再生機構2のスクラバー槽として機能させることが出来た。
【0031】
1棟目の排水処理機構1では、前記活性炭を活性炭流動床3から活性炭固定床4を経由して活性炭再生機構2へと移動させるようにした。
すなわち、活性炭流動床3の槽内の汚れ成分の濃度(COD、TOCなど)の関係であまり吸着していない活性炭を、活性炭固定床4に移送して更に累積吸着させてから、活性炭再生機構2において再生するようにした。
このように、活性炭を活性炭流動床3から活性炭固定床4を経由して活性炭再生機構2へと移動させるようにしたので、活性炭流動床3である程度吸着した活性炭に対し、活性炭固定床4でさらに吸着させてその後 活性炭再生機構2へと送ることが出来た。
なお、活性炭流動床3の槽内の汚れ成分の濃度(CODなど)が高く、はやくに多く吸着した活性炭を、そのまま活性炭固定床4ではなく活性炭再生機構2に移送して再生することが出来る。
【0032】
3棟の排水処理機構1とそれぞれの電解機構Eとの間で排水を循環させるようにした。このように、排水処理機構1と電解機構Eとの間で排水を循環させるようにしたので、排水に電解水(電解次亜塩素酸 HClO)の酸化分解作用を及ぼして浄化していくことが出来た。電解促進剤として、食塩水(NaCl)や次亜塩素酸ソーダ水(NaClO)などを添加するようにした。
【0033】
1棟目の排水処理機構1の電解機構Eにオゾンを加圧下で注入して電気分解するようにした。オゾナイザーOから供給されたオゾン(O3、酸化還元電位 2.07V)を電解機構Eで電気分解すると、酸素(O2、酸化還元電位 1.23V)と酸素ラジカル(・O、酸化還元電位 2.42V)とに分裂してより大きな酸化力を発揮することとなる。
このように、電解機構Eでオゾン水を電気分解するようにしたので、オゾンをより活性化して排水に酸化分解作用を及ぼし浄化していくことが出来た。
【0034】
3棟の活性炭浄化槽と活性炭再生機構2との間に活性炭の補充機構6を設けるようにした。すなわち、活性炭浄化槽(活性炭流動床3、活性炭固定床4)から引き出した活性炭に対し、活性炭の補充機構6において粘着剤と活性炭粉とを付着させて、活性炭再生機構2へと送るようにすることが出来た。活性炭粉(吸着材紛)の原料は適宜に注入して補給していく。これにより、活性炭を常に新炭に近い状態として吸着量を担保することが出来た。
【0035】
粘着剤としてコールタールを使用し、電熱ヒーターで200℃程度に加熱して溶解させておいた(冷えたら固化する)。そして、スパイラルコンベア(モータM駆動)で回転させつつ、活性炭浄化槽側から活性炭再生機構2側へと移送していくようにした。
このように、活性炭浄化槽と活性炭再生機構2との間に活性炭の補充機構6を設けるようにしたので、経時的にバラけたりして目減りし減少していく活性炭を補充していくことが出来た。
【0036】
3棟の活性炭浄化槽の下方に中間槽7を設けるようにした。このように、活性炭浄化槽の下方に中間槽7を設けるようにしたので、上方の活性炭流動床3を原水槽として中間槽7を処理水槽として機能せしめ、各槽を形成するタンクを上下方向に連設することにより、設置現場において省スペースなものとすることが出来た。また、タンクを上下方向に連設することにより、配管工事等を簡略化することが出来た。
【0037】
3棟目の活性炭浄化槽に処理後の清浄排水の一部を戻す帰還経路FBを有するようにした。このように、活性炭浄化槽に処理後の清浄排水の一部を戻す帰還経路を有するようにしたので、汚れ度合いの低い処理後の清浄排水の一部を活性炭浄化槽(活性炭固定床4)へとフィードバックすることにより、活性炭浄化槽の汚れ度合いを低減した状態で処理することが出来た。
【0038】
次に、この実施形態の排水処理装置の使用状態を説明する。
この排水処理機構1は、活性炭浄化槽を有する排水処理機構1と活性炭を再生する活性炭再生機構2とを具備するので、活性炭再生機構2で活性炭を再生しつつ活性炭浄化槽で排水を浄化していくことが出来た。
また、前記活性炭浄化槽は活性炭流動床3と活性炭固定床4とを有するので、活性炭流動床3で汚れ成分をあらかた乃至おおまかに取ることができ、活性炭固定床4で汚れ成分を綿密に取ることが出来た。また、活性炭流動床3の下方に活性炭が沈降して溜ることにより、この領域が固定床に近い状態で機能することがあった。
【0039】
そして、再生する活性炭を活性炭流動床3と活性炭固定床4から取り出すことができるようにしたので、活性炭の汚れの状況に応じてそれぞれから別個に取り出して活性炭再生機構2で再生することができ、活性炭の再生をより効率的に行うことが出来た。
さらに、排水の汚れ成分を流動床で吸着する量と、固定床で濾過吸着する量とから、取り出す割合を設定することができ、活性炭の再生を効率的に行うことが出来た。
【0040】
〔実施例〕
菓子製造会社の乳製品工場の冷菓製造ラインのCIP洗浄排水についての処理を行った。
活性炭流動床に2Lの排水を入れ、ここに活性炭250gを貯留し38分 バッチ式で吸着処理を行った。続いて、活性炭固定床(1番目)に活性炭300gを貯留して、排水を31cc/分の流量で流すことにより濾過吸着処理を行った。引き続き、同様に活性炭固定床 (2番目)、(3番目)にそれぞれ活性炭300gづつ貯留して、排水を31cc/分の流量で流すことにより濾過吸着処理を行った。
【0041】
<実験データ1>
原水の排水TOC 285ppmに対し、流動床後はTOC 104ppmに、固定床(1番目)後はTOC 46ppmに、固定床(2番目)後はTOC 29ppmに、固定床(3番目)後はTOC 23ppmにまで低減した。
<実験データ2>
原水の排水TOC 296ppmに対し、流動床後はTOC 95ppmに、固定床(1番目)後はTOC 49ppmに、固定床(2番目)後はTOC 27ppmに、固定床(3番目)後はTOC 18ppmにまで低減した。
<実験データ3>
原水の排水TOC 292ppmに対し、流動床後はTOC 113ppmに、固定床(1番目)後はTOC 46ppmに、固定床(2番目)後はTOC 25ppmに、固定床(3番目)後はTOC 18ppmにまで低減した。
〔実施形態2〕
【0042】
実施形態1との相違点を中心に説明する。
図2に示すように、この実施形態の排水処理装置は、活性炭浄化槽を有する排水処理機構1と活性炭を再生する活性炭再生機構2とを具備し、前記活性炭浄化槽は活性炭流動床3と活性炭固定床4とを有し、再生する活性炭を活性炭流動床3と活性炭固定床4から取り出すことができるようにした。
1棟目の排水処理機構1に供給され排水Wは、活性炭浄化槽の活性炭流動床3から活性炭固定床4を介し、その下の中間槽からポンプPで引き出して、2棟目の排水処理機構1に供給するようにした。活性炭流動床3は、エアレーターによって内部をよく攪拌するようにした。
次いで、2棟目の排水処理機構1では、活性炭浄化槽の活性炭固定床4から活性炭固定床4を介し、その下の中間槽からポンプPで引き出して、3棟目の排水処理機構1に供給するようにした。
そして、3棟目の排水処理機構1では、活性炭浄化槽の活性炭固定床4を介し、その下の中間槽からポンプPで引き出して、最終処理水とした。3棟目の活性炭浄化槽は、処理後の清浄排水の一部を戻す帰還経路FBを有するようにした。
前記最終処理水は、UF膜濾過装置に通し、さらにRO膜濾過装置に通してより清浄化して再利用するようにした。
【0043】
〔実施例〕
菓子製造会社の乳製品工場の冷菓製造ラインのCIP洗浄排水についての処理を行った。活性炭流動床に2Lの排水を入れ、ここに活性炭250gを貯留し38分 バッチ式で吸着処理を行った。続いて、活性炭固定床(1番目)に活性炭300gを貯留して、排水を31cc/分の流量で流すことにより濾過吸着処理を行った。引き続き、同様に活性炭固定床 (2番目)、(3番目)にそれぞれ活性炭300gづつ貯留して、排水を31cc/分の流量で流すことにより濾過吸着処理を行った。
【0044】
原水の排水TOC 292ppmに対し、流動床後はTOC 113ppmに、固定床(1番目)後はTOC 46ppmに、固定床(2番目)後はTOC 25ppmに、固定床(3番目)後はTOC 18ppmにまで低減した。
そして、この水をフィードバック処理(FB)してTOC5ppmまで低減した後、UF膜濾過装置とRO膜濾過装置に通すとTOC2ppm未満にまで低減した。
【0045】
〔実施形態3〕
図3に示すように、この実施形態の排水処理装置は、活性炭浄化槽を有する排水処理機構1と活性炭を再生する活性炭再生機構2とを具備し、前記活性炭浄化槽は活性炭流動床3と活性炭固定床4とを有し、再生する活性炭を活性炭流動床3と活性炭固定床4から取り出すことができるようにした。
そして、排水Wを供給する排水処理機構1に、不要物たる廃プラスチック類等の熱分解機構8の排気ガスを送るようにした。この熱分解機構8(900℃に加熱)では、廃プラスチック類(ウレタンフォーム)をホッパーに受け入れて、次いでプレスローラで圧縮し、断熱シャッターを介して炉内へと投入するようにした。前記熱分解機構8の熱源として、熱風発生機構5でLNGガスバーナーにより1,000℃の熱風を発生させるようにした。
【0046】
廃プラスチック類としてPETを用いて熱分解したところ、約10~15重量%の炭化物と約85~90重量%(残余)の炭化水素ガスとが得られた。この炭化物(炭化後に水冷した)、炭化水素ガス(ルーツブロワーポンプLBPで引き出した)を、熱分解機構8の熱源として利用した。
そして、排水処理機構1に廃プラスチック類等の熱分解機構8の排気ガスを送るようにしたので、前記排気ガスを排水処理機構1で浄化しつつ廃プラスチック類の炭化物を得ることが出来た。
【0047】
このようにすると、排水処理機構1において、排水Wと熱分解機構8の排気ガスとを一緒に浄化処理することができ、また仮に排気ガス中に二酸化炭素が含まれている場合も、これを排水処理機構1に吸収させて大気中への拡散を回避することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0048】
活性炭の再生をより効率的に行うことができることによって、種々の排水処理装置の用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 排水処理機構
2 活性炭再生機構
3 活性炭流動床
4 活性炭固定床
6 補充機構
7 中間槽
8 熱分解機構
E 電解機構
FB 帰還経路
W 排水