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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187384
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/40 20060101AFI20221212BHJP
   B60N 2/68 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
A47C7/40
B60N2/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095396
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】和田 仁明
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084EC01
3B087DB02
(57)【要約】
【課題】サイドフレームに対して良好なバネ性能で取り付けられる板状の受圧部材を備えた車両用シートを提供する。
【解決手段】本発明は、シートフレームFを備える乗物用シートSであって、シートフレームFは、シートフレームFの左右に配置され、所定の延出方向に延出する一対のサイドフレーム11,11と、一対のサイドフレーム11,11間を橋渡して配置される板状の受圧部材15と、を備える。受圧部材15は、一対のサイドフレーム11,11に弾性部材17により固定されており、弾性部材17は、一対のサイドフレーム11,11の一方に取り付けられる第1弾性部材17aと、一対のサイドフレーム11,11の他方に取り付けられる第2弾性部材17bと、から構成されている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートフレームを備える乗物用シートであって、
前記シートフレームは、
前記シートフレームの左右に配置され、所定の延出方向に延出する一対のサイドフレームと、
前記一対のサイドフレーム間を橋渡して配置される板状の受圧部材と、を備え、
前記受圧部材は、前記一対のサイドフレームに弾性部材により固定されており、
前記弾性部材は、前記一対のサイドフレームの一方に取り付けられる第1弾性部材と、前記一対のサイドフレームの他方に取り付けられる第2弾性部材と、から構成されていることを特徴とする乗物用シート。
【請求項2】
前記弾性部材は板状のバネ部材であることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項3】
前記受圧部材は、本体部と、該本体部の側部から張り出す張り出し部と、を有し、
前記弾性部材は、前記張り出し部に接続していることを特徴とする請求項1又は2に記載の乗物用シート。
【請求項4】
前記張り出し部は、前記受圧部材の側部において前記延出方向の一端側に位置する第1張り出し部と、前記受圧部材の他端側に位置する第2張り出し部と、から構成されていることを特徴とする請求項3に記載の乗物用シート。
【請求項5】
前記第1張り出し部の前記延出方向の長さは、前記第2張り出し部の前記延出方向の長さよりも長く形成されていることを特徴とする請求項4に記載の乗物用シート。
【請求項6】
前記受圧部材には、前記第1張り出し部と前記第2張り出し部との間において、前記受圧部材の側部からシート幅方向に突出する突出部が設けられていることを特徴とする請求項4又は5に記載の乗物用シート。
【請求項7】
前記突出部は、着座者側に向かって傾斜するように形成されていることを特徴とする請求項6に記載の乗物用シート。
【請求項8】
前記受圧部材の前記本体部は、前記張り出し部より着座者側に配置されることを特徴とする請求項3から7のいずれか一項に記載の乗物用シート。
【請求項9】
前記一対のサイドフレームの間には、前記一対のサイドフレームを接続する接続部材が設けられており、
前記受圧部材の前記延出方向の一端は、前記接続部材と重なるように配置されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の乗物用シート。
【請求項10】
前記シートフレームに載置されるパッド部材と、
前記パッド部材を被覆する表皮材と、を備えることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乗物用シートに係り、特に、シートフレームに受圧部材を備えた乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用シートは、シートクッション、シートバック、ヘッドレストを備えており、シートバック及びシートクッションにはそれぞれの骨格を成すシートフレームが設けられる。シートフレームには乗員からの荷重を受ける受圧部材が設けられており、従来の車両用シートでは、ワイヤ及び樹脂により構成された受圧部材がシートフレームに溶接により取り付けられていた。また、近年では、シートバックの着座感を維持しつつ、より薄くするために板状に形成された受圧部材が用いられるようになった。例えば特許文献1に、板状に形成された樹脂製の受圧部材(特許文献1ではバックバネ本体部と称される)を架け渡して左右一対のサイドフレームを覆い、バックバネ支持部により結合させたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-35904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構造では、受圧部材がサイドフレームに対して強固に固定されるため、変形量が不足し受圧部材のバネ性能が低下する虞があった。
【0005】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、サイドフレーム対して良好なバネ性能で取り付けられる板状の受圧部材を備えた車両用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、本発明の乗物用シートによれば、シートフレームを備える乗物用シートであって、前記シートフレームは、前記シートフレームの左右に配置され、所定の延出方向に延出する一対のサイドフレームと、前記一対のサイドフレーム間を橋渡して配置される板状の受圧部材と、を備え、前記受圧部材は、前記一対のサイドフレームに弾性部材により固定されており、前記弾性部材は、前記一対のサイドフレームの一方に取り付けられる第1弾性部材と、前記一対のサイドフレームの他方に取り付けられる第2弾性部材と、から構成されていることにより解決される。
【0007】
板状の受圧部材が、別個の弾性部材により一対のサイドフレームに取り付けられる。そのため、低コストで良好なバネ性能で取り付けられる板状の受圧部材を備えた車両用シートを提供することがきる。
また、弾性部材は、一対のサイドフレームの一方に取り付けられる第1弾性部材と、他方に取り付けられる第2弾性部材とから構成されているため、バランス良く受圧部材を支持することができる。
【0008】
上記の乗物用シートによれば、前記弾性部材は板状のバネ部材であるとよい。
弾性部材を板状のバネ部材とすることにより、バネ性能が向上する。
【0009】
上記の乗物用シートによれば、前記受圧部材は、本体部と、該本体部の側部から張り出す張り出し部と、を有し、前記弾性部材は、前記張り出し部に接続しているとよい。
弾性部材が、受圧部材の張り出し部と接続されるため、よりバネ性能が向上する。
【0010】
上記の乗物用シートによれば、前記張り出し部は、前記受圧部材の側部において前記延出方向の一端側に位置する第1張り出し部と、前記受圧部材の他端側に位置する第2張り出し部と、から構成されているとよい。
張り出し部材が、受圧部材の側部において延出方向の一端側に位置する第1張り出し部材と他端側に位置する第2張り出し部とから構成されていることにより、バネ性能が向上するようになる。
【0011】
上記の乗物用シートによれば、前記第1張り出し部の前記延出方向の長さは、前記第2張り出し部の前記延出方向の長さよりも長く形成されているとよい。
第1張り出し部の延出方向の長さを第2張り出し部の延出方向の長さよりも長く形成することにより、バネ性能を適切に調整することができる。
【0012】
上記の乗物用シートによれば、前記受圧部材には、前記第1張り出し部と前記第2張り出し部との間において、前記受圧部材の側部からシート幅方向に突出する突出部が設けられているとよい。
受圧部材の側部からシート幅方向に突出する突出部を設けることで、受圧部材が乗員を支持する面積が広がり、着座時におけるフィーリング性が向上する。
【0013】
上記の乗物用シートによれば、前記突出部は、前記乗物用シートの着座面側に向かって傾斜するように形成されているとよい。
突出部が着座面側に向かって傾斜するように形成されることで、着座した乗員の幅方向に移動を抑制するように保持することができ、着座時におけるフィーリング性がより向上する。
【0014】
上記の乗物用シートによれば、前記受圧部材の前記本体部は、前記張り出し部より前記乗物用シートの着座面側に配置されるとよい。
受圧部材の本体部が張り出し部より着座面側に配置されることで、受圧部材による乗員の支持力が向上し、着座時におけるフィーリング性が良くなる。
【0015】
上記の乗物用シートによれば、前記一対のサイドフレームの間には、前記一対のサイドフレームを接続する接続部材が設けられており、前記受圧部材の前記延出方向の一端は、前記接続部材と重なるように配置されているとよい。
前記受圧部材の一端が、サイドフレームを接続する接続部材と重なるように配置されることで、受圧部材の一端が接続部材により支持され、受圧部材が乗員を支持する支持性が向上する。
【0016】
また、上記の乗物用シートによれば、前記シートフレームに載置されるパッド部材と、前記パッド部材を被覆する表皮材と、を備えるとよい。
シートフレームにパッド部材及び表皮材を備えることで、着座者に対して良好な着座感を与えることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の乗物用シートによれば、受圧部材が、別個の弾性部材によりサイドフレームに取り付けられているので、受圧部材が弾性部材と一体になっている場合よりも低コストで製造でき、且つ良好なバネ性能を得ることが可能になる。
また、弾性部材は、一対のサイドフレームの一方に取り付けられる第1弾性部材と、他方に取り付けられる第2弾性部材とから構成されているため、バランス良く受圧部材を支持することができる。
また、弾性部材を板状のバネ部材とすることにより、バネ性能が向上する。
また、弾性部材が、受圧部材の張り出し部と接続されるため、よりバネ性能が向上する。
また、張り出し部材が、受圧部材の側部において延出方向の一端側に位置する第1張り出し部材と他端側に位置する第2張り出し部とから構成されていることにより、バネ性能が向上するようになる。
また、第1張り出し部の延出方向の長さを第2張り出し部の延出方向の長さよりも長く形成することにより、バネ性能を適切に調整することができる。
また、受圧部材の側部からシート幅方向に突出する突出部を設けることで、受圧部材が乗員を支持する面積が広がり、着座時におけるフィーリング性が向上する。
また、突出部が着座面側に向かって傾斜するように形成されることで、着座した乗員の幅方向に移動を抑制するように保持することができ、着座時におけるフィーリング性がより向上する。
また、受圧部材の本体部が張り出し部より着座面側に配置されることで、受圧部材による乗員の支持力が向上し、着座時におけるフィーリング性が良くなる。
また、前記受圧部材の一端が、サイドフレームを接続する接続部材と重なるように配置されることで、受圧部材の一端が接続部材により支持され、受圧部材が乗員を支持する支持性が向上する。
また、シートフレームにパッド部材及び表皮材を備えることで、着座者に対して良好な着座感を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用シートの外観を示す、斜め前方から見た斜視図である。
図2】車両用シートのシートフレームを示す、斜め前方から見た斜視図である。
図3】シートバックフレームを後方から見た図である。
図4】シートバックフレームを前方から見た図である。
図5A図4のA-A線に沿った端面図である。
図5B図4のB-B線に沿った端面図である。
図5C図4のC-C線に沿った端面図である。
図5D図4のD-D線に沿った端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係る乗物用シートの構成について図面を参照しながら説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
また、以下の説明中、シート構成部品の材質、形状及び大きさに関する内容は、あくまでも具体例の一つに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0020】
なお、以下では、乗物用シートの一例として車両に搭載される車両用シートを挙げ、その構成例について説明することとする。
【0021】
また、以下の説明中、「前後方向」とは、車両用シートの前後方向であり、車両走行時の進行方向と一致する方向である。また、「シート幅方向」とは、車両用シートの横幅方向であり、車両用シートに着座した乗員から見た左右方向と一致する方向である。また、「上下方向」とは、車両用シートの上下方向であり、車両が水平面を走行しているときには鉛直方向と一致する方向である。また、単に「外側」という場合は、車両用シート単体の中心から外側に向かう方向において外側に近い方を指し、「内側」という場合は車両用シート単体の外側から中心に向かう方向において中心に近い方を意味する。
【0022】
なお、以下に説明する車両用シート各部の形状、位置及び姿勢等については、特に断る場合を除き、車両用シートが後述する着座状態にあるケースを想定して説明することとする。
【0023】
<車両用シートS>
本実施形態に係る車両用シート(以下、車両用シートS)の基本構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、車両用シートSの斜視図であり、図1中車両用シートSの一部については、図示の都合上、表皮材Tやパッド部材Pを外した構成にて図示している。
【0024】
車両用シートSは、車体フロアの上に載置され、車両の乗員が着座するシートである。本実施形態において、車両用シートSは、車両の前席に相当するフロントシートとして利用される。ただし、これに限定されるものではなく、車両用シートSは、後部座席のシートとしても利用可能であり、また、前後方向に三列のシートを備える車両において二列目のミドルシートや三列目のリアシートとしても利用可能である。
【0025】
車両用シートSは、図1に示すように、着座者の背部を支える背もたれ部分となるシートバック1、着座者の臀部を支える着座部分となるシートクッション2、及び、シートバック1の上部に配され、着座者の頭部を支えるヘッドレスト3を主な構成要素とする。シートバック1とシートクッション2とはリクライニング機構7(図2参照)を挟み込むように連結されている。リクライニング機構7により、シートバック1は、シートクッション2に対して回動可能となっており、その傾斜角度が調整可能になっている。
【0026】
<シートフレームF>
車両用シートSの中には、図2に示すように、シートフレームFが設けられており、シートフレームFは、シートバック1の骨格を形成するシートバックフレーム10と、シートクッション2の骨格を形成するシートクッションフレーム20とから構成される。
以下では、まず、シートクッションフレーム20等、シートバックフレーム10以外の構成について説明し、シートバックフレーム10の詳細についてはそれらの後に説明する。
【0027】
<シートクッションフレーム20>
シートクッションフレーム20は方形枠状に形成され、その左右の側部には一対のクッションサイドフレーム21が設けられている。また、一対のクッションサイドフレーム21,21を前側で接続する前側接続フレーム22と、後側で接続する後側接続フレーム23とを有する。車両用シートSの前後にある前側接続フレーム22及び後側接続フレーム23は丸パイプにより構成されている。また、後側接続フレーム23の更に前方にはクッションパンフレーム24が設けられている。
【0028】
<ヘッドレスト3及びヘッドレストフレーム30>
ヘッドレスト3は、着座者の頭部を支えるよう、シートバック1の上部に取り付けられる。ヘッドレスト3の内部には、ヘッドレスト3の骨格を形成するヘッドレストフレーム30が設けられており、ヘッドレストフレーム30の左右両端には、ヘッドレスト3の下部から垂下する2つのヘッドレストステー31(ヘッドレストピラーとも呼ばれる)が設けられる。ヘッドレストステー31が、後述するシートバックフレーム10のアッパーフレーム12に取り付けられたヘッドレストガイド14に挿通されることにより、ヘッドレスト3がシートバックフレーム10に取り付けられる。
【0029】
<パッド部材P及び表皮材T>
シートバックフレーム10、シートクッションフレーム20及びヘッドレストフレーム30の外側には、パッド部材P及び表皮材T(クッションカバー)が設けられることで、シートバック1、シートクッション2及びヘッドレスト3が構成される。パッド部材Pは、例えばウレタン発泡材を用いて、発泡成型により成型されたウレタン基材であり、表皮材Tは、例えばクロス、合成皮革又は本革等からなる。
【0030】
<スライドレール4>
また、車両用シートSの下部には、図2に示すようにスライドレール4が設置されている。このスライドレール4により、車両用シートSは、前後方向にスライド移動可能な状態で車体フロアに取り付けられる。
【0031】
スライドレール4は、前後方向に沿って車両用シートSをスライド移動させるための機器であり、公知の構造(一般的なスライドレール機構の構造)となっている。スライドレール4は、車体フロア上に固定されるロアレール4a、及びロアレール4aに対してスライド移動可能なアッパーレール4bを有する。車体に固定されたロアレール4aに対してアッパーレール4bが摺動可能となっている。
【0032】
<リクライニング機構7>
シートバック1の下端部とシートクッション2の後端部との間にはリクライニング機構7が設けられている。より詳細には、リクライニング機構7は、シートバック1のシートバックフレーム10と、シートクッション2のシートクッションフレーム20と、を連結している。リクライニング機構7は、シートクッション2(シートクッションフレーム20)に対するシートバック1(シートバックフレーム10)の角度を調節可能にしている。リクライニング機構7により、シートバック1を所定の角度でロックして傾斜した状態を維持することができる。また、そのロックを解除することによりシートバック1を前方又は後方に倒伏したりすることができる。
【0033】
以下、本実施形態の車両用シートSが備えるシートバックフレーム10について、図2図5Dを用いて説明する。図2はシートフレームの斜視図、図3はシートバックフレーム10を後方からみた図、図4はシートバックフレームを前方からみた図である。また、図5Aは、図4のA-A線に沿った端面図であり、受圧部材15の第1張り出し部16a及び弾性部材17との接続状態を示す図である。図5Bは、図4のB-B線に沿った端面図で、受圧部材15の突出部15cの形状を示す図である。図5Cは、図4のC-C線に沿った端面図であり、受圧部材15の第2張り出し部16b及び弾性部材17との接続状態を示す図である。図5Dは、図4のD-D線に沿った端面図で、受圧部材15の突出部15dの形状を示す図である。
【0034】
<シートバックフレーム10>
図2に示すように、シートバックフレーム10は全体として方形枠状に形成されており、シートバックフレーム10は、左右に配置される一対のバックサイドフレーム11,11と、アッパーフレーム12と、ロアフレーム13とを備える。アッパーフレーム12は、一対のバックサイドフレーム11,11の間に配置され、一対のバックサイドフレーム11,11の上端を接続する接続部材である。ロアフレーム13は、一対のバックサイドフレーム11,11の間に配置され、一対のバックサイドフレーム11,11の下端を接続する接続部材である。
アッパーフレーム12には、ヘッドレスト3のヘッドレストステー31が挿通されるヘッドレストガイド14が設けられている。ヘッドレストガイド14は、ヘッドレスト3の保持強度を維持し、がたつきを抑制するために強度の高い金属製の部材として形成される。なお、ヘッドレストガイド14は金属製に限らず樹脂製であってもよい。
【0035】
<バックサイドフレーム11>
一対のバックサイドフレーム11,11は、上述したようにシートバックフレーム10の左右に配置され、基本的に左右対称の構成とされた部材である。一対のバックサイドフレーム11,11は、シート上下方向(所定の延出方向、より詳しくは図2の矢印A方向)に延出して設けられている。一対のバックサイドフレーム11,11それぞれのシート前後方向の幅が、シート上方側からシート下方に向かうに従って拡幅するように形成されている。シート前方側の周縁部とシート後方側の周縁部がシート前方側に凸となるよう曲線状に形成されている。一対のバックサイドフレーム11,11それぞれのシート後方側の周縁部には、シート幅方向内側に延出する後壁部11aが形成されていて、後述する受圧部材15は後壁部11aに取り付けられる。
【0036】
<受圧部材15>
本実施形態の要部を構成する受圧部材15の構成の一例について詳細に説明する。図2図4に示すように、シートバックフレーム10には、一対のバックサイドフレーム11,11の間を橋渡して、受圧部材15が設けられている。受圧部材15は、金属製の板状部材であり、矩形に形成された本体部15aと、本体部15aの両側にある側部15bからシート幅方向に向けて張り出す張り出し部16と、側部15bからシート幅方向に突出する一対の突出部15c,15cと、を備えている。また、側部15bにおける下方端部にも、シート幅方向に突出する一対の突出部15d,15dが設けられている。
【0037】
受圧部材15は、一対のバックサイドフレーム11,11と、弾性部材17を介して固定されている。より詳しく述べると、受圧部材15は、一対のバックサイドフレーム11,11の一方(右側)に取り付けられる第1弾性部材17aと、他方(左側)に取り付けられる第2弾性部材17bとにより、両側から固定されている。第1弾性部材17aは、一方(右側)のバックサイドフレーム11に接続されていて、他方(左側)のバックサイドフレーム11には接続していない。また、第2弾性部材17bは、他方(左側)のバックサイドフレーム11に接続されているが、一方(右側)バックサイドフレーム11には接続されていない。受圧部材15と弾性部材17とが別個であるため、受圧部材15と弾性部材17とが一体になっている場合とくらべて低コストで作製することができる。また、受圧部材15が別個の弾性部材17により両側からバックサイドフレーム11,11に固定されているため、良好なバネ性能を有するようになる。
【0038】
また、弾性部材17は図2から図4に示すように、板状に形成された金属製の板バネ部材であり、シート前後方向に撓むようバックサイドフレーム11の後壁部11aに取り付けられる。第1弾性部材17aは上下方向に間隔を開けて配置された2つの板バネ部材から構成されていて、それぞれが独立して受圧部材15に取り付けられる。図4に示すように、板バネ部材のバックサイドフレーム11の上下方向における長さは、それらが接続する受圧部材15の張り出し部16の長さ(L1,L2)に合わせて設定されている。
また、第2弾性部材17bも上下方向に間隔を開けて配置された2つの板バネ部材から構成され、それぞれが独立して受圧部材15に取り付けられる。第2弾性部材17bを構成する2つの板バネ部材の上下方向の長さも接続する張り出し部16の長さ(L1,L2)に合わせて設定されている。
【0039】
受圧部材15と弾性部材17との接続、及び、バックサイドフレーム11と弾性部材17との接続は、リベット18又はボルト等を用いた機械的な固定方法が用いられる。これらの部材の接続は接着剤を用いて取り付けられてもよい。
【0040】
受圧部材15と弾性部材17との接続、及び、バックサイドフレーム11と弾性部材17との接続は溶接により固定することも可能であるが、バネ性能や強度等を考慮するとリベット18等を用いて機械的に固定するのが望ましい。
なお、弾性部材17は板バネに限定されず、ワイヤ等から形成された線状のバネ部材であってもよい。
【0041】
受圧部材15の形状について、より詳細に説明する。受圧部材15は、上述のように本体部15aの側部から張り出す張り出し部16を有しており、弾性部材17は、張り出し部16と接続している。張り出し部16は、上下方向(延出方向A)のうち上側(一端側)に位置する第1張り出し部16aと、下側(他端側)に位置する第2張り出し部16bと、から構成されている。
【0042】
また、本実施形態では、第1張り出し部16aの上下方向の長さL1を、第2張り出し部16bの上下方向の長さL2よりも長くすることにより、受圧部材15を支持するバネ性能を調整している(図4参照)。張り出し部16を上下方向で分割すると共に、第1張り出し部16aの上下方向の長さL1と、第2張り出し部16bの長さL2を変更することにより、張り出し部16と接続する弾性部材17のバネ性能、例えば撓の量が調整可能となる。そのため、受圧部材15のバネ性能が向上し、着座時のフィーリング性を良くすることができる。
【0043】
また、上述したように、第1張り出し部16aと、第2張り出し部16bとの間に、側部15bから幅方向(左右方向)に突出した一対の突出部15c,15cが設けられている。一対の突出部15c,15cは、着座者の背中から受圧部材15に荷重がかかったときに着座者の背中を支持する部分である。図5Bに示すように、着座者の背中に合うように一対の突出部15c,15cは、本体部15aの側部15bから先端部分が、着座者に近付くように、すなわち、着座者が凭れる背凭れ面に近付くように傾斜している。言い換えれば、一対の突出部15c,15cは前方に向かうに従って、一方の突出部15cから他方の突出部15cまでの距離が広がるように傾斜している。また、第2張り出し部16bの下側に、側部15bから幅方向に突出した一対の突出部15d,15dが設けられている。一対の突出部15d,15dも一対の突出部15c,15cと同様に、先端部が着座者側に近付くように傾斜している。本体部15aから突出する突出部15c、15dがこのように傾斜することで、着座者からの荷重を受け止める範囲が広がるため、着座時のフィーリング性が向上するようになる。
【0044】
また、図5A及び図5Cに示すように、受圧部材15の本体部15aは、張り出し部16a,16bよりもシート前側、すなわち背凭れ面に近付くよう配置されている。張り出し部の端部と、受圧部材15の側部との間に傾斜部を設けることにより調整されており、荷重を受けることが可能な位置となっている。受圧部材15の位置を、張り出し部16により調整して背凭れ面により近づくよう配置することで、着座時のフィーリング性が向上する。
【0045】
本実施形態において、受圧部材15の下方端部(延出方向の一端の一例)は、シート前方から見てロアフレーム13(接続部材)と重なるように配置されている。受圧部材15の下方端部をロアフレーム13と重なるように配置することにより、例えば衝突時において強い荷重を受けた場合、ロアフレーム13により受圧部材15を支持することができる。このように配置することで、弾性部材17とロアフレーム13とが協働することにより受圧部材15の支持性が向上するようになる。なお、本実施形態では受圧部材15の下方端部がロアフレーム13と前方から見て重なるように配置されているが、これは一例であり、受圧部材15の上方端部が、アッパーフレーム12とシート前方から見て重なるように配置されてもよい。また、受圧部材15の上方端部がアッパーフレーム12と重なり、下方端部がロアフレーム13と重なるよう配置されてもよい。
【0046】
本発明の一実施形態として、シートバックフレーム10の一対のバックサイドフレーム11,11の間に橋渡して設けられる受圧部材15について説明した。これは一例であり、受圧部材は、シートクッションフレーム20を構成する一対のクッションサイドフレーム21,21に橋渡して設けられてもよい。
【0047】
シートクッションフレーム20に設けられる場合、受圧部材は、着座者の臀部から荷重を受けるようになり、左右に配置された一対のクッションサイドフレーム21,21に取り付けられた第1弾性部材、第2弾性部材により固定される。
また、一対のクッションサイドフレーム21,21に取り付けられる場合、所定の延出方向は前後方向となり、受圧部材は、前後方向の前側に位置する第1張り出し部と、後側に位置する第2張り出し部とを備えることとなる。
また、受圧部材は、受圧部材の前端が一対のクッションサイドフレーム21,21を接続する前側接続フレーム22と上面視で重なるように配置される。受圧部材の後端が上面視で後側接続フレーム23と重なるように配置されてもよい。
【0048】
以上、図を用いて本発明の実施形態である車両用シートについて説明した。なお、本発明は、自動車・鉄道など車輪を有する地上走行用乗物に搭載される車両用シートに限定されるものではなく、例えば、地上以外を移動する航空機や船舶などに搭載されるシートにも適用され得る。
【符号の説明】
【0049】
S 車両用シート(乗物用シート)
F シートフレーム
T 表皮材
P パッド部材
1 シートバック
2 シートクッション
3 ヘッドレスト
4 スライドレール
4a ロアレール
4b アッパーレール
7 リクライニング機構
10 シートバックフレーム
11 バックサイドフレーム(サイドフレーム)
12 アッパーフレーム(接続部材)
13 ロアフレーム(接続部材)
14 ヘッドレストガイド
15 受圧部材
15a 本体部
15b 側部
15c、15d 突出部
16 張り出し部
16a 第1張り出し部
16b 第2張り出し部
17 弾性部材
17a 第1弾性部材
17b 第2弾性部材
18 リベット
20 シートクッションフレーム
21 クッションサイドフレーム(サイドフレーム)
22 前側接続フレーム(接続部材)
23 後側接続フレーム(接続部材)
24 クッションパンフレーム(パンフレーム)
30 ヘッドレストフレーム
31 ヘッドレストステー
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D