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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187389
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】ビード供給装置
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/48 20060101AFI20221212BHJP
【FI】
B29D30/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095402
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福井 早紀
(72)【発明者】
【氏名】大牟田 拓也
【テーマコード(参考)】
4F215
【Fターム(参考)】
4F215AH20
4F215VA12
4F215VD12
4F215VM05
4F215VM08
(57)【要約】
【課題】ビードとスペーサとの付着が低減されるビード供給装置の提供。
【解決手段】ビード供給装置2は、タイヤ用ビード4とスペーサ6とを貫通する竿10と、スペーサ6に押し当てられる押さえ具14と、押さえ具14がスペーサ6に押し当てられている状態で竿10を揺動する揺動装置12とを備える。好ましくは、押さえ具14は、スペーサ6が当接する外周面14Aに雄ネジが形成された棒状形状を備える。好ましくは、ビード供給装置2は、受け具18を備える。この受け具18は、ベース面36Aと、ベース面36Aから突出し竿10の軸方向に間隔を空けて並ぶ複数の突起38とを備える。ビード供給装置2では、突起38がビード4の内周面を支持する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ用ビードとスペーサとを貫通する竿と、
前記スペーサに押し当てられる押さえ具と、
前記押さえ具が前記スペーサに押し当てられている状態で前記竿を揺動する揺動装置とを備える、ビード供給装置。
【請求項2】
前記スペーサに当接する前記押さえ具の当接面に、凹凸が形成されている、請求項1に記載のビード供給装置。
【請求項3】
前記押さえ具が、前記スペーサが当接する外周面に雄ネジが形成された棒状形状を備える、請求項2に記載のビード供給装置。
【請求項4】
ベース面と、前記ベース面から突出し前記竿の軸方向に間隔を空けて並ぶ複数の突起とを備え、前記突起で前記ビードの内周面を支持する、受け具
を更に備える、請求項1から3のいずれかに記載のビード供給装置。
【請求項5】
前記突起が、棒状形状を備え、
基部と、前記基部より細い先端部とを備える、請求項4に記載のビード供給装置。
【請求項6】
前記先端部と前記先端部に隣接する他の先端部との間隔が5mm以下である、請求項5に記載のビード供給装置。
【請求項7】
前記基部と前記基部に隣接する他の基部との間隔が2mm以上である、請求項5又は6に記載のビード供給装置。
【請求項8】
(A)タイヤ用ビードとスペーサとに竿を貫通させ、前記竿で前記ビードと前記スペーサとを支持する工程
及び
(B)前記スペーサに押さえ具を押し付けつつ、前記竿を揺動させる工程
を含む、タイヤの製造方法。
【請求項9】
(C)ベース面と、前記ベース面から突出し前記竿の軸方向に間隔を空けて並ぶ複数の突起とを備える受け具で、前記突起を前記ビードの内周面に当接させ、前記ビードを支持する工程
を更に含む、請求項8に記載のタイヤの製造方法。
【請求項10】
前記工程(C)において、基部と前記基部より細い先端部とを備える棒状形状の前記突起を、前記ビードの内周面に当接させる、請求項9に記載のタイヤの製造方法。
【請求項11】
前記工程(C)において、前記先端部と前記先端部に隣接する他の先端部との間隔が前記ビードの厚さより小さく、前記スペーサの厚さより大きい、前記受け具で、前記ビードを支持する、請求項10に記載のタイヤの製造方法。
【請求項12】
前記工程(C)において、前記基部と前記基部に隣接する他の基部との間隔が前記スペーサの厚さより大きい、前記受け具で、前記ビードを支持する、請求項11に記載のタイヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ用ビード供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの製造では、リング状のビードが準備される。このビードは、ビード供給装置にストックされる。このビードを含む多数の部材が組み合わされ、ローカバーが形成される。このローカバーが加圧及び加熱されて、ローカバーからタイヤが得られる。
【0003】
このビードは未加硫ゴムを含み、ストックされたビードは互いに付着し易い。この付着を防止するため、ビード間にスペーサが挟まれてストックされる。しかしながら、ビードはスペーサにも付着する。この付着によってビードをスペーサから剥がす作業が生じる。
【0004】
自動でビードをスペーサから剥がすために、ビード剥がし装置が用いられる。ビード剥がし装置が備える竿をビードとスペーサとに貫通させ、ビードとスペーサとが支持される。このビードとスペーサとを揺動させて、ビードがスペーサから剥がされる。この様なビード剥がし装置が、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-82423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このビード剥がし装置の揺動でも、ビードがスペーサから剥がれないことがある。この様な場合、作業者が手作業で、ビードをスペーサから剥がす必要がある。このビードとスペーサとの付着は、設備停止を招来する。この付着は、作業者の手作業を生じさせる。この付着は、タイヤの生産性を低下させる。この生産性の観点から、このビード剥がし装置でも、更なる改良が求められている。
【0007】
本発明の目的は、ビードがスペーサから剥がれ易いビード供給装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るビード供給装置は、タイヤ用ビードとスペーサとを貫通する竿と、前記スペーサに押し当てられる押さえ具と、前記押さえ具が前記スペーサに押し当てられている状態で前記竿を揺動する揺動装置とを備える。
【0009】
好ましくは、前記スペーサに当接する前記押さえ具の当接面に、凹凸が形成されている。
【0010】
好ましくは、前記押さえ具は、前記スペーサが当接する外周面に雄ネジが形成された棒状形状を備える。
【0011】
好ましくは、このビード供給装置は、受け具を備える。この受け具は、ベース面と、前記ベース面から突出し前記竿の軸方向に間隔を空けて並ぶ複数の突起とを備える。このビード供給装置では、前記突起が前記ビードの内周面を支持する。
【0012】
好ましくは、前記突起は、棒状形状を備える。この突起は、基部と、前記基部より細い先端部とを備える。
【0013】
好ましくは、前記先端部と前記先端部に隣接する他の先端部との間隔は、5mm以下である。
【0014】
好ましくは、前記基部と前記基部に隣接する他の基部との間隔は、2mm以上である。
【0015】
本発明に係るタイヤの製造方法は、
(A)タイヤ用ビードとスペーサとに竿を貫通させ、前記竿で前記ビードと前記スペーサとを支持する工程
及び
(B)前記スペーサに押さえ具を押し付けつつ、前記竿を揺動させる工程
を含む。
【0016】
好ましくは、この製造方法は、
(C)ベース面と、前記ベース面から突出し前記竿の軸方向に間隔を空けて並ぶ複数の突起とを備える受け具で、前記突起を前記ビードの内周面に当接させ、前記ビードを支持する工程
を更に含む。
【0017】
好ましくは、前記工程(C)において、基部と前記基部より細い先端部とを備える棒状形状の前記突起が、前記ビードの内周面に当接する。
【0018】
好ましくは、前記工程(C)において、前記先端部と前記先端部に隣接する他の先端部との間隔が前記ビードの厚さより小さく前記スペーサの厚さより大きい、前記受け具で、前記ビードを支持する。
【0019】
好ましくは、前記工程(C)において、前記基部と前記基部に隣接する他の基部との間隔が前記スペーサの厚さより大きい、前記受け具で、前記ビードを支持する。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るビード供給装置では、揺動装置は、押さえ具がスペーサに押し当てられている状態で竿を揺動する。このビード供給装置は、ビードがスペーサから剥がれ易い。このビード供給装置は、タイヤの生産性の向上に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るビード供給装置が示された側面図である。
図2図2(A)は図1のビード供給装置の一部の平面図であり、図2(B)は図1のビード供給装置の一部の正面図である。
図3図3は、図1のビード供給装置の受け具が示された斜視図である。
図4図4は、図3の受け具の側面図である。
図5図5(A)は図1のビード供給装置の使用状態が示された説明図であり、図5(B)は図1のビード供給装置の他の使用状態が示された説明図である。
図6図6図1のビード供給装置の受け具の使用状態が示された説明図である。
図7図7図1のビード供給装置の受け具の他の使用状態が示された説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0023】
図1図2(A)及び図2(B)には、ビード供給装置2と共に、複数のビード4及び複数のスペーサ6が示されている。このビード供給装置2は、架台8と、一対の竿10(10A、10B)と、揺動装置12と、一対の押さえ具14を含む押さえ装置16と、受け具18を含むビード受け装置20とを備える。一対の竿10が、ビード4とスペーサ6とを貫通して、ビード4及びスペーサ6を支持している。図1の左右方向がビード供給装置2の前後方向であり、紙面に垂直な方向がビード供給装置2の左右方向である。
【0024】
タイヤの製造では、ビード4と他のゴム部材とが組み合わされて、ローカバーが形成される。このローカバーが加圧及び加熱され、ローカバーからタイヤが得られる。ビード4は、リング状の形状を備える。ビード4は、巻回されたワイヤと未加硫ゴムとを含む。
【0025】
それぞれのスペーサ6は、並べられるビード4の間に配置されて、ビード4同士の付着を防止する。スペーサ6はリング状の板形状を備える。スペーサ6の外径は、ビード4のそれより大きい。スペーサ6の貫通孔の中心はスペーサ6の中央からずれている。スペーサ6の材料は特に限定されないが、例えば、軽量で丈夫な樹脂である。
【0026】
ビード供給装置2は、一対の竿10としての、竿10A及び竿10Bを備える。竿10A及び竿10Bのそれぞれは、前後方向に平行に伸びる棒状形状を備える。竿10A及び竿10Bの断面形状は特に限定されないが、例えば円形である。竿10A及び10Bは揺動装置12に取り付けられている。一対の竿10は例示であって、竿10の数は1本でもよく、3本以上でもよく、特に限定されない。
【0027】
揺動装置12は、架台8に取り付けられている。揺動装置12は、前後揺動装置22及び回動揺動装置24を備える。前後揺動装置22は、一対の竿10(竿10A及び竿10B)を前後方向に移動させる機能を備える。回動揺動装置24は、駆動機24Aと、駆動機24Aから伸びる回動軸24Bと、回動軸24Bに取り付けられたアーム24Cとを備える。この駆動機24A及び回動軸24Bによって、アーム24Cは回動可能である。このアーム24Cに、竿10Aが取り付けられている。回動揺動装置24は、竿10Aを回動させる機能を備える。
【0028】
揺動装置12は、竿10Aと竿10Bとを揺動させる機能を備える。揺動装置12は、竿10A及び竿10Bを前後方向に移動させ、竿10Aを回動させる機能を備える。この揺動のための移動方向は例示であって、本発明における移動方向はこれに限定されない。この移動方向は、前後方向、左右方向及び上下方向のそれぞれ一方向のみであってもよいし、2以上の方向の複合であってもよい。この揺動装置12では、竿10Aと竿10Bとが揺動するが、いずれか一方だけが揺動してもよい。
【0029】
押さえ装置16は、架台8に取り付けられている。押さえ具14は、前述の一対の押さえ具14の他に、左右移動装置26、上下移動装置28及び支持30を備える。この押さえ装置16では、左右移動装置26によって、上下移動装置28が左右に移動可能である。支持30は、上下移動装置28によって上下に移動可能である。一対の押さえ具14は、支持30に取り付けられている。一対の押さえ具14は、左右方向及び上下方向に移動可能である。左右移動装置26及び上下移動装置28は、特に限定されないが、例えば流体シリンダが用いられる。
【0030】
それぞれの押さえ具14は、当接面としての外周面14Aを備える棒状の形状を備える。外周面14Aには、凹凸としての雄ネジが形成されている。この押さえ装置16では、押さえ具14として、いわゆる全ネジボルトが用いられているが、これに限定されない。
【0031】
ビード受け装置20は、受け具18の他に、前後移動台32及び上下移動装置34を備える。前後移動台32は、架台8に対して前後方向に移動可能である。上下移動装置34は前後移動台32に取り付けられている。受け具18は、上下移動装置34によって、上下方向に移動可能である。受け具18は、前後方向及び上下方向に移動可能である。前後移動台32の駆動機は、特に限定されないが例えば流体シリンダが用いられる。上下移動装置34の駆動機は、特に限定されないが、例えば流体シリンダが用いられる。
【0032】
図3に示される様に、受け具18は、基体36及び複数の突起38を備える。複数の突起38は、基体36のベース面36Aから突出して前後方向に間隔を空けて並んでいる。それぞれの突起38は、基部38A、テーパ部38B及び先端部38Cを備える。先端部38Cは、基部38Aより細い。テーパ部38Bは基部38Aから先端部38Cに向かって先細りにされている。
【0033】
図4の両矢印D1は、隣接する基部38Aの間隔を表す。この間隔D1は、前後方向において、隣接する基部38Aの間の最短距離として測定される。両矢印D2は、隣接する先端部38Cの間隔を表す。この間隔D2は、前後方向において、隣接する先端部38Cの間の最短距離として測定される。
【0034】
図5(A)には、ビード供給装置2の使用状態が示されている。一対の竿10が、ビード4とスペーサ6とを貫通している。一対の竿10にビード4の内周面4Aとスペーサ6の内周面6Aとが当接している。一対の竿10は、ビード4及びスペーサ6を支持している。一対の押さえ具14が、スペーサ6の縁に押し付けられている。スペーサ6は、押さえ具14によって、一対の竿10に押し付けられている。
【0035】
図5(B)には、ビード供給装置2の他の使用状態が示されている。図5(A)の使用状態に対して、竿10Aが回動して下方に位置している。ビード4及びスペーサ6が、竿10Aの位置に対応して、下方に位置している。図5(A)の使用状態に対して、一対の押さえ具14が右側に位置している。スペーサ6が、押さえ具14によって、図5(A)の使用状態に対して位置ずれしている。図5(B)のビード供給装置2における、その他の使用状態は、図5(A)のそれらと同様である。
【0036】
図6には、受け具18の使用状態が示されている。この受け具18は、ビード4及びスペーサ6を支持している。ビード4は、その内周面4Aを受け具18の突起38に支持されている。スペーサ6は、その内周面6Aを基体36のベース面36Aに支持されている。図6の両矢印Tbは、ビード4の厚さを表している。両矢印Tsは、スペーサ6の厚さを表している。
【0037】
このビード4の厚さTbは、スペーサ6の厚さTsより大きい。受け具18では、突起38の基部38Aの間隔D1は、スペーサ6の厚さTsより大きい。先端部38Cの間隔D2は、ビード4の厚さTbより小さく、スペーサ6の厚さTsより大きい。
【0038】
図7には、受け具18が支持する複数のスペーサ6が示されている。3枚のスペーサ6は、前後方向対して傾斜している。1枚のスペーサ6は、変形して反っている。更に他の1枚のスペーサ6は、前後方向を軸方向にしている。それぞれのスペーサ6は、突起38の基部38Aの間に位置して、ベース面36Aに当接している。
【0039】
このビード供給装置2を用いたタイヤの製造方法が説明される。
【0040】
ワイヤと未加硫ゴムとからリング状のビード4が形成される(STEP1)。このビード4と別に準備されたスペーサ6とに一対の竿10が通され、貫通する(STEP2)。この工程(STEP2)では、図1に示される様に、ビード4とスペーサ6とが前後方向に交互に並べられる。図1の使用状態では、図2(B)に示される様に、複数のビード4と複数のスペーサ6とは、一対の竿10に支持される。
【0041】
一対の竿10に支持されたスペーサ6の縁に、上下移動装置28が一対の押さえ具14を押し付ける(STEP3)。スペーサ6が、一対の竿10に向かって押し付けられる。この工程(STEP3)では、ビード供給装置2は、図2(B)の使用状態から、図5(A)の使用状態にされる。
【0042】
スペーサ6に一対の押さえ具14が押し付けられつつ、一対の竿10が揺動させられる(STEP4)。工程(STEP4)では、前後揺動装置22が、一対の竿10を前後方向に揺動させる。回動揺動装置24が、竿10Aを回動させる。この様にして、揺動装置12がビード4及びスペーサ6を揺動させる。このビード供給装置2では、更に、左右移動装置26が、一対の押さえ具14を左右に移動させる。押さえ具14がスペーサ6を一対の竿10に押し付けつつ左右に位置ずれさせる。工程(STEP4)では、ビード供給装置2の使用状態は、図5(A)の使用状態と図5(B)の使用状態と含む複数の使用状態にされる。
【0043】
揺動されたビード4とスペーサ6とに受け具18が通される(STEP5)。この工程(STEP5)では、前後移動台32が受け具18をビード4及びスペーサ6に向かって移動させる。工程(STEP5)では、ビード4の内周面4A及びスペーサ6の内周面6Aの内側に受け具18が位置させられる。
【0044】
工程(STEP5)の後に、上下移動装置34が、受け具18を上方に移動させる。受け具18が、ビード4を支持する(STEP6)。この工程(STEP6)では、受け具18がビード4及びスペーサ6に当接させられる。突起38がビード4の内周面4Aに当接する。基体36のベース面36Aがスペーサ6の内周面6Aに当接する。この工程(STEP6)では、受け具18は、図6の使用状態にされる。図7に示される様に、それぞれのスペーサ6は、前後方向において、突起38の基部38Aの間に位置する。
【0045】
受け具18が支持するビード4が1枚ずつ取り出される(SETP7)。取り出されたビード4と他のゴム部材とが組み合わされてローカバーが形成される(STEP8)。このローカバーが加圧及び加熱され、ローカバーからタイヤが得られる(STEP9)。
【0046】
このビード供給装置2では、押さえ具14がスペーサ6に押し当てられている状態で、揺動装置12が一対の竿10を揺動する。このビード供給装置2では、押さえ具14は、揺動する一対の竿10にスペーサ6を常に押し当てている。これにより、スペーサ6が一対の竿10から離れることが抑制される。スペーサ6が一対の竿10から離れないので、このスペーサ6を間にして隣接するビード4同士が付着することが防止される。
【0047】
また、押さえ具14は、ビード4を押し当てられることなく、スペーサ6に押し当てられる。この押さえ具14によって、スペーサ6がビード4に付着したまま揺動することが抑制される。このビード供給装置2では、ビード4がスペーサ6から剥がれ易い。このビード供給装置2は、特に、ビード4に比べて軽量なスペーサ6からビード4を剥がす場合に適している。
【0048】
このビード供給装置2では、押さえ具14として、いわゆる全ネジボルトが用いられている。この押さえ具14では、スペーサ6が滑り難い。この押さえ具14は確実にスペーサ6を一対の竿10に押し付ける。この観点から、この押さえ具14は、スペーサ6が当接する外周面14Aに雄ネジが形成された棒状形状を備えることが好ましい。
【0049】
なお、このビード供給装置2では、押さえ具14は、スペーサ6を一対の竿10に押し付けられればよく、外周面14Aに雄ネジが形成された棒状形状を備えるものに限定されない。一方で、スペーサ6が滑り難くする観点から、押さえ具14は、スペーサ6に当接する当接面に、凹凸が形成されていることが好ましい。
【0050】
このビード供給装置2は、ベース面36Aと複数の突起38とを備える受け具18を備える。受け具18は、突起38でビード4の内周面4Aを支持し、突起38の間のベース面36Aでスペーサ6を支持する。これにより、更に、ビード4がスペーサ6から剥がれ易い。この観点から、このビード供給装置2は受け具18を備えることが好ましい。
【0051】
ビード供給装置2では、突起38は棒状形状を備えるがこれに限定されない。受け具18は、突起38でビード4の内周面4Aを支持し、突起38の間にスペーサ6を位置させる様に構成されていればよい。
【0052】
図7に示される様に、スペーサ6は、前後方向対して傾斜することがある。また、スペーサ6は変形して反りが生じることもある。このビード供給装置2は、突起38は棒状形状を備える。これにより、傾斜したスペーサ6や反りが生じたスペーサ6でも、突起38の間に収まり易い。この受け具18は、ビード4がスペーサ6から剥がれ易い。この観点から、この突起38は、棒状形状を備えることが好ましい。
【0053】
突起38は、基部38Aと基部38Aより細い先端部38Cを備えることで、スペーサ6が突起38の間に収まり易く、且つ耐久性にも優れる。この観点から、突起38は、基部38Aと基部38Aより細い先端部38Cを備えることが好ましく、更に基部38Aから先端部38Cに向かって先細りのテーパ部38Bを備えることが好ましい。
【0054】
突起38の先端部38Cの間隔D2が大きい受け具18では、先端部38Cの間にビード4が挟まる。これを防止する観点から、この間隔D2は、ビード4の厚さTbより小さいことが好ましい。この観点から、一般的なタイヤの製造では、間隔D2は、好ましくは5mm以下であり、更に好ましくは4mm以下である。一方で、この間隔D2が大きい受け具18は、スペーサ6が突起38の間に収まり易い。この観点から、間隔D2は、好ましくは2mm以上であり、更に好ましくは3mm以上である。
【0055】
突起38の基部38Aの間隔D1が大きい受け具18では、スペーサ6が基部38Aの間に収まり易い。この観点から、この間隔D1は、スペーサ6の厚さTsより大きいことが好ましい。スペーサ6の厚さTsは、耐久性を満たす範囲で薄い方が好ましい。一般的なタイヤの製造では、この厚さTsは2mmより小さい。従って、間隔D1は、好ましくは、2mm以上である。
【0056】
また、このタイヤの製造方法では、工程(STEP4)でビード4及びスペーサ6が揺動され、その揺動の完了後に、工程(STEP6)で、受け具18でビード4が支持されたが、これに限定されない。ビード4及びスペーサ6が揺動している状態で、受け具18でビード4が支持されてもよい。
【0057】
このビード供給装置2では、揺動装置12はビード4及びスペーサ6を揺動できればよく、前後揺動装置22及び回動揺動装置24を備えるものに限定されない。揺動装置12は、更に、左右揺動装置及び上下揺動装置を備えてよい。また、揺動装置12は、前後揺動装置22、回動揺動装置24、左右揺動装置及び上下揺動装置のいずれか1つ、又はいずれか複数の組み合わせであってよい。
【0058】
このビード供給装置2では、押さえ装置16は、揺動するスペーサ6を一対の竿10に押しつけられればよい。この観点から、押さえ装置16は、左右移動装置26を備えずに、上下移動装置28だけを備えていてもよい。
【実施例0059】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0060】
[実施例1]
図1に示されたビード供給装置を用いて、タイヤが製造された。このビード受け装置では、受け具の突起が丸棒状の形状を備え、基部の直径は7mmであり、先端部の直径は5mmであった。
【0061】
[比較例]
押さえ装置を備えず、受け具の突起が板状の形状を備えるビード供給装置を用いて、タイヤが製造された。この突起の厚さは、基部から先端部まで一定であり、間隔D1及び間隔D2は、いずれも3mmであった。その他の構成は、実施例1と同様にされた。
【0062】
[実施例2-3]
突起の形状、間隔D1及び間隔D2が表1に示される通りにされた他は、実施例1と同様にされて、タイヤが製造された。
【0063】
[評価]
タイヤの製造において、ビードを剥がす手作業時間が測定された。その評価結果が表の作業の項目に指数で表されている。製造されたタイヤに関し、ビードの付着に起因する不良率が算出された。その評価結果が表の不良率の項目に指数で表されている。ビードの付着に起因する設備停止時間が測定された。その評価結果が表の設備停止の項目に指数で表されている。これらの指数は、いずれも、比較例の数値を100として表されている。この指数は、小さいほど、得られた数値が小さく、好ましい。
【0064】
【表1】
【0065】
表1に示されるように、実施例の製造方法では、比較例の製造方法に比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上説明された方法は、タイヤの製造方法に広く適用されうる。
【符号の説明】
【0067】
2・・・ビード供給装置
4・・・ビード
6・・・スペーサ
10・・・竿
12・・・揺動装置
14・・・押さえ具
18・・・受け具
36・・・基体
36A・・・ベース面
38・・・突起
38A・・・基部
38C・・・先端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7