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  • 特開-便器装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187394
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】便器装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 11/02 20060101AFI20221212BHJP
【FI】
E03D11/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095411
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松尾 隆史
(72)【発明者】
【氏名】嵐 謙次郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健太
(72)【発明者】
【氏名】杉園 達馬
(72)【発明者】
【氏名】和田 晃輝
(72)【発明者】
【氏名】嶋澤 祐子
【テーマコード(参考)】
2D039
【Fターム(参考)】
2D039AA02
2D039AD04
(57)【要約】
【課題】便器装置への電力供給が停止する電力供給停止時において、水の使用量を抑えつつ、ボウル部を綺麗に洗浄することができる便器装置を提供することを目的とする。
【解決手段】便器装置1は、ボウル部2と、ボウル部2内に溜まった溜め水24を排出する排出管22と、排出管22に接続された変形可能な可動トラップ4と、可動トラップ4の下流端41を上方位置と下方位置に移動させる駆動力を発生するモーター6と、を備える。便器装置1は、停電時等において便器装置1への電力供給が停止する電力供給停止時に、可動トラップ4の下流端41を上方位置と下方位置との間の中間位置に移動させるように構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボウル部と、
前記ボウル部内に溜まった溜め水を排出する排出管と、
前記排出管に接続された変形可能な可動トラップと、
前記可動トラップの下流端を上方位置と下方位置に移動させる駆動力を発生するモーターと、を備え、
便器装置への電力供給が停止する電力供給停止時に、前記可動トラップの下流端を前記上方位置と前記下方位置との間の中間位置に移動させるように構成されている、
便器装置。
【請求項2】
前記モーターを制御する制御部と、
前記電力供給停止時に前記モーターと前記制御部のそれぞれに電力供給する蓄電部と、を備え、
前記制御部は、前記電力供給停止時に前記蓄電部の電力を用いて前記モーターを駆動して前記可動トラップの下流端を中間位置に移動させる、
請求項1に記載の便器装置。
【請求項3】
前記蓄電部は、コンデンサー、蓄電池又は乾電池を含む、
請求項2に記載の便器装置。
【請求項4】
前記可動トラップの下流端が前記中間位置に位置した状態で、前記ボウル部の前記溜め水の水面は、前記排出管の上端から上方で、かつ、前記排出管の上端から上方に30mmの高さよりも下方に位置する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の便器装置。
【請求項5】
前記可動トラップを覆うトラップケースを更に備え、
前記可動トラップの下流端が前記中間位置に位置する状態で、前記可動トラップの下流端と前記トラップケースとの間に20mm以上の隙間が形成される、
請求項1から4のいずれか一項に記載の便器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、可動トラップを備える便器装置が記載されている。可動トラップは、一端が便器鉢の排水口部に接続され、他端が開放端とされている。可動トラップの他端である下流端は、モーターで発生した駆動力によって上下に移動する。これにより、便器装置は、ボウル部内に溜め水が溜められた溜め水状態と、ボウル部内の水が可動トラップを介して排出される排水状態とに切り替えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-098485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記便器装置は、例えば、停電時等において便器装置への電力供給が停止した状態では、モーターによって可動トラップを駆動することができない。この場合、使用者は、例えば、バケツ等に入れた水をボウル部内に注ぎ込むことで、ボウル部内の溜め水と共に汚物等(例えば、大便、小便、トイレットペーパー等)を排出する。しかし、ボウル部内の汚物等をボウル部内に残らないように排水するためには、少なくともボウル部内に溜めた水の全てを入れ替えられるぐらいの量の水をボウル部内に注ぎ込む必要があり、水の使用量を抑えることが難しい。
【0005】
本開示は、便器装置への電力供給が停止した状態において水の使用量を抑えつつ、ボウル部を綺麗に洗浄することができる便器装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る便器装置は、ボウル部と、前記ボウル部に溜まった溜め水を排出する排出管と、前記排出管に接続された変形可能な可動トラップと、前記可動トラップの下流端を上方位置と下方位置に移動させる駆動力を発生するモーターと、を備える。前記便器装置は、前記便器装置への電力供給が停止する電力供給停止時に、前記可動トラップの下流端を前記上方位置と前記下方位置との間の中間位置に移動させるように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示の便器装置は、便器装置への電力供給が停止した状態において、可動トラップの下流端を中間位置に移動させることによって、ボウル部内に注ぎ込む水量を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示に係る一実施形態の便器装置において可動トラップの下流端が上方位置にあるときを示す概略的な側断面図である。
図2図2は、同上の便器装置において可動トラップの下流端が下方位置にあるときを示す概略的な側断面図である。
図3図3は、同上の便器装置において可動トラップの下流端が中間位置にあるときを示す概略的な側断面図である。
図4図4は、同上の便器装置において配電系統の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(一実施形態)
図1図4に示す一実施形態の便器装置1について、説明する。以下では、便器装置1に座った利用者から見た方向を基準に、前後方向及び上下方向を定義して、各構成について説明する。
【0010】
(便器装置の基本構成)
まず、一実施形態の便器装置1の基本構成について説明する。
【0011】
図1に示すように、便器装置1は、ボウル部2、排出管22、給水部3、可動トラップ4、制御部5、モーター6、蓄電部8及び電源部91を備える。
【0012】
ボウル部2は、上方に開口した略半球状に形成されている。ボウル部2の上端部には、リム21が形成されている。リム21は、上方から見てボウル部2の中心側に突出した庇状の形状を有する。
【0013】
排出管22は、ボウル部2と一体に形成されている。排出管22は、ボウル部2の底部から後方に向けて突出している。なお、排出管22は、ボウル部2とは別の部材であってもよい。
【0014】
排出管22の先端(言い換えれば排出管22の後端)には、後方に向けて開口する開口部23が設けられている。排出管22の先端部(後端部)には、可動トラップ4が接続されている。
【0015】
給水部3は、ボウル部2の上端部からボウル部2の内周面に沿うように洗浄水を吐出する吐出ノズル32と、給水源33に接続されて吐出ノズル32に給水を行う給水管34と、給水管34の途中に設けられた電磁弁35とを有する。
【0016】
電磁弁35は、制御部5によって開閉弁が制御される。給水部3からボウル部2内に供給する洗浄水の量は、電磁弁35を用いて制御される。給水源33は、例えば、水道管である。なお、給水源33は、水道管に限定されず、例えば、貯水槽又は井戸等であってもよい。
【0017】
制御部5は、コンピューター(マイクロコンピューターを含む)を有する。コンピューターは、ハードウェアとしてのプロセッサー及びメモリーを含む。制御部5は、コンピューターのメモリーに記録されたプログラムをプロセッサーが実行することによって、給水部3の電磁弁35、モーター6及び蓄電部8を制御する。
【0018】
プログラムは、コンピューターのメモリーに予め記録されていてもよいが、電気通信回線を通じて提供されてもよいし、コンピューターで読み取り可能なメモリーカード、光学ディスク及びハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0019】
コンピューターのプロセッサーは、半導体集積回路(IC)と大規模集積回路(LSI)が含まれた複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、一つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、一つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
【0020】
電源部91は、外部電源である給電部9に電気的に接続され得る。給電部9は、例えば、商用電源である。電源部91には、給電部9から電力が供給される。電源部91は、給電部9から供給された電力をモーター6、制御部5、電磁弁35及び蓄電部8に供給する。
【0021】
蓄電部8は、電源部91に電気的に接続されている。蓄電部8は、電源部91から電力が供給されることで、電力を蓄える。蓄電部8は、例えば、コンデンサー又は蓄電池である。なお、便器装置1が電源部91から給電部9に電力が供給される通常状態では、電源部91は、モーター6、制御部5及び電磁弁35に対して、蓄電部8を介さずに電力が供給されてもよいし、蓄電部8を介して電力が供給されてもよい。
【0022】
また、蓄電部8は、コンデンサー又は蓄電池に限定されない。例えば、蓄電部8は、乾電池であってもよい。この場合、便器装置1が通常状態にあるときには、電源部91は、モーター6、制御部5及び電磁弁35のそれぞれに対して蓄電部8を介さずに電力が供給される。
【0023】
電源部91は、例えば、給電部9から供給された電力を、モーター6、制御部5、電磁弁35及び蓄電部8のそれぞれに供給する電源回路である。電源部91は、例えば、手動又は自動でONとOFFに切り替えることができる電源スイッチを含む。電源スイッチがONの状態であるとき、モーター6、制御部5、電磁弁35及び蓄電部8のそれぞれには、電源部91から電力が供給される。また、電源スイッチがOFFの状態であるとき、モーター6、制御部5、電磁弁35及び蓄電部8のそれぞれには、電源部91から電力が供給されない。
【0024】
図1に示すように、便器装置1は、スカート11、便座12、便蓋13及びケース14を更に備える。スカート11は、ボウル部2の周囲を覆うように設けられている。便座12は、ボウル部2のリム21に載置される。ボウル部2とスカート11は、リム21を介して一体に設けられている。便座12とこれを覆う便蓋13は、ケース14に回転自在に支持されている。ケース14の内部には、制御部5と蓄電部8が収容されている。
【0025】
(可動トラップ)
一実施形態の可動トラップ4は、変形可能な蛇腹状の筒体である。可動トラップ4は、ゴム製又は樹脂製等の弾性材で形成されている。可動トラップ4のゴム材は、例えば、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)である。可動トラップ4の下流端41は、モーター6を駆動(回転)することで、上下移動する。すなわち、モーター6は、可動トラップ4の下流端41を移動させる駆動力を発生する。
【0026】
便器装置1は、トラップケース7とアーム部61とを更に備えている。トラップケース7は、可動トラップ4を覆っている。なお、トラップケース7は、可動トラップ4の全体を覆ってもよいし、可動トラップ4の一部だけを覆ってもよい。トラップケース7は、例えば、下水管71に接続される。トラップケース7は、可動トラップ4から排出された水及び汚物等(例えば、大便、小便及びトイレットペーパー等)を下水管71に円滑に排出するために設けられている。
【0027】
アーム部61は、互いに反対側に位置する第一端部62と第二端部63を有する。アーム部61の第一端部62には、可動トラップ4の下流端41が接続されており、アーム部61の第二端部63には、モーター6が接続されている。
【0028】
モーター6が駆動するとアーム部61が第二端部63を中心として回転する。これにより、可動トラップ4の下流端41は、側方から見て円弧状の軌跡に沿って、アーム部61の第一端部62と共に上下動する。モーター6の駆動は、制御部5によって制御される。可動トラップ4の下流端41は、図1に示す上方位置と図2に示す下方位置との間で往復動可能である。制御部5は、モーター6の駆動を制御することで、前記往復動を制御する。
【0029】
可動トラップ4の下流端41が図1に示す上方位置にあるとき、下流端41は、排出管22よりも上方に位置する。このため、便器装置1は、下流端41と略同じ高さであるボウル部2の所定の高さまで、ボウル部2内に水を溜め得る封水状態になる。この封水状態において、ボウル部2に前記所定の高さまで水が溜められた状態では、排出管22が水で満たされ、可動トラップ4よりも下流側に存在する臭気が、排出管22を介してボウル部2側に流れることが抑制される。以下、ボウル部2内に溜められた水の表面(水面)の高さを、「溜め水24の高さh」という。本開示において、「溜め水24の高さh」は、排出管22の上端から、ボウル部2内に溜められた溜め水24の水面までの上下長さである。
【0030】
可動トラップ4の下流端41が、図2に示す下方位置にあるときには、下流端41は、少なくとも排出管22の上端よりも下方に位置する。このため、便器装置1は、ボウル部2内の水が排出管22及び可動トラップ4を介して排出される排水状態になる。一実施形態では、下方位置に配された下流端41は、排出管22の下端よりも下方に位置する。このため、ボウル部2内の溜め水24と汚物等を、可動トラップ4を通じて排出することができる。なお、下方位置に配された下流端41は、排出管22の上端よりも下方に位置するのであれば、排出管22の下端よりも上方に位置してもよい。
【0031】
可動トラップ4の下流端41が上方位置にあるとき(すなわち、便器装置1が封水状態にあるとき)、下流端41は後斜め上方を向く。なお、可動トラップ4の下流端41が上方位置にあるとき、下流端41は上方を向いてもよい。
【0032】
可動トラップ4の下流端41が下方位置にあるとき(すなわち、便器装置1が排水状態にあるとき)、下流端41は後斜め下方を向く。なお、可動トラップ4の下流端41が下方位置にあるとき、下流端41は下方を向いてもよいし、後方を向いてもよい。
【0033】
可動トラップ4の下流端41の上下の移動に伴って、ボウル部2内の溜め水24の高さhが変化する。可動トラップ4の下流端41が上方に位置するほどボウル部2内の溜め水24の高さhが高くなり、可動トラップ4の下流端41が下方に位置するほど、溜め水24の高さhが低くなる。
【0034】
可動トラップ4の下流端41が上方位置にあるとき、ボウル部2内の溜め水24の高さhが50mm以上100mm以下の範囲内の高さで設定されることが好ましく、ボウル部2内の溜め水24の高さhが50mm以上60mm以下の範囲内の高さで設定されることがより好ましい。このように、ボウル部2内の溜め水24の高さを前記範囲内に設定することで、節水が図れ、かつ、便器装置1の封水及び洗浄能力等を確保できる。一実施形態では、可動トラップ4の下流端41が上方位置にあるとき、ボウル部2内の溜め水24の高さhは60mmの高さに設定される。
【0035】
(電力供給停止時における便器装置)
便器装置1は、停電時等において便器装置1への外部からの電力供給が停止する電力供給停止時(以下「電力供給停止時」という)に、可動トラップ4の下流端41が、上方位置と下方位置の間の図3に示す中間位置に移動するように構成されている。
【0036】
一実施形態の便器装置1では、電力供給停止時に、外部電源である給電部9から電源部91への電力供給が停止する。この場合、便器装置1では、蓄電部8から制御部5とモーター6のそれぞれに対して電力が供給される。そして、制御部5は、蓄電部8から供給された電力を用いてモーター6を駆動することで、可動トラップ4の下流端41が中間位置に動かされる。
【0037】
利用者が便器装置1を使用しない非使用時には、可動トラップ4の下流端41は上方位置に位置している。このため、電力供給停止時には、ほとんどの場合、可動トラップ4の下流端41は、上方位置から中間位置に移動することとなる。ここで、便器装置1は、可動トラップ4の下流端41が、例えば、上方位置と下方位置との間又は下方位置に配されているときに便器装置1への電力供給が停止した場合にも、可動トラップ4の下流端41が中間位置に移動するように構成されることが好ましい。なお、便器装置1は、可動トラップ4の下流端41が上方位置以外の位置に配さている状態で便器装置1への電力供給が停止した場合に、可動トラップ4の下流端41が中間位置に移動するように構成されなくてもよい。
【0038】
可動トラップ4の下流端41が中間位置にあるとき、下流端41は上方位置にあるときよりも下方に位置し、下方位置にあるときよりも上方に位置する。
【0039】
可動トラップ4の下流端41が中間位置にあるとき、下流端41は、少なくとも排出管22の上端から上方に位置するように設定されている。このため、可動トラップ4の下流端41が中間位置にあるとき、ボウル部2内には、排出管22の上端から上方の高さまで、溜め水24を溜めることができる。
【0040】
可動トラップ4の下流端41が中間位置にあるとき、下流端41は後斜め上方を向き、かつ、上方位置にあるときよりも後方を向く。このため可動トラップ4の下流端41が中間位置にあるときには、ボウル部2内の汚物等は排出されやすい。
【0041】
一実施形態では、可動トラップ4の下流端41が中間位置にあるとき、溜め水24の高さhは、排出管22の上端から上方で、かつ、排出管22の上端から上方に30mmの高さよりも下方に位置する。可動トラップ4の下流端41が中間位置にあるときには、ボウル部2内の溜め水24の高さhが0mm以上10mm以下の範囲内の高さで設定されることが好ましく、ボウル部2内の溜め水24の高さhが5mm以上10mm以下の範囲内の高さで設定されることがより好ましい。
【0042】
このように、電力供給停止時おいて、ボウル部2内の溜め水24の高さhを低くすることで、例えば、使用者がバケツに入れた水を一気に注ぎ込んでも、注ぎ込んだ水がボウル部2内から溢れることが抑制される。
【0043】
可動トラップ4の下流端41が中間位置にあるとき、可動トラップ4の下流端41とトラップケース7との間に20mm以上の隙間が形成される。具体的には、可動トラップ4の下流端41が中間位置のとき(つまり、可動トラップ4の下流端41が上方位置よりも後方でかつ、後斜め上方を向くとき)には、可動トラップ4の下流端41の後端からトラップケース7との間が20mm以上の隙間が形成されている。このため、例えば、使用者がバケツに入った水を注ぎ込んでボウル部2内の汚物等を排出するときに、汚物等が可動トラップ4の下流端41とトラップケース7との間の隙間に引っ掛かることが抑制される。
【0044】
また、中間位置にある可動トラップ4の下流端41の全周とトラップケース7との間に形成される隙間の大きさは、20mm以上に形成されてもよいし、中間位置にある可動トラップ4の下流端41の全周の一部とトラップケース7との間に形成される隙間の大きさは、20mm以上に形成されてもよい。なお、中間位置にある可動トラップ4の下流端41とトラップケース7との間に形成される隙間の大きさは、20mm以上に限定されない。
【0045】
一実施形態の便器装置1では、給電部9からの電力の供給が復帰したときに、可動トラップ4の下流端41が中間位置から上方位置に移動するように構成されている。
【0046】
以上説明した一実施形態の便器装置1によれば、電力供給停止時において、蓄電部8は、制御部5とモーター6に電力を供給し、モーター6の駆動力で可動トラップ4の下流端41が中間位置に移動する。このため、例えば、使用者がバケツ等でボウル部2内に水を注ぎ込んでボウル部2を洗浄する際には、少量の水をボウル部2内に注ぎ込むだけで、ボウル部2内の溜め水24を入れ替えて、ボウル部2内を綺麗に洗浄することができる。
【0047】
また、上述した一実施形態の便器装置1では、電力供給停止時に制御部5がモーター6を駆動することで、可動トラップ4の下流端41が中間位置に移動するように構成されているがこれに限定されない。電力供給停止時には、他の手段で可動トラップ4の下流端41が中間位置に移動するように構成されてもよい。例えば、電力供給停止時には、可動トラップ4の下流端41が重りによって中間位置に移動するように構成されてもよいし、可動トラップ4の下流端41が可動トラップ4の自重よって中間位置に移動するように構成されてもよい。また、電力供給停止時には、可動トラップ4に溜まった水の重みによって中間位置に移動するように構成されてもよいし、可動トラップ4の下流端41がばねによって中間位置に移動するように構成されてもよい。
【0048】
また、一実施形態の便器装置1は、本開示の一例に過ぎず、本開示の目的を逸脱しない範囲であれば、適宜に設計変更を行うことができる。
【0049】
(態様)
第一の態様に係る便器装置(1)は、ボウル部(2)と、ボウル部(2)内に溜まった溜め水(24)を排出する排出管(22)と、排出管(22)に接続された変形可能な可動トラップ(4)と、可動トラップ(4)の下流端(41)を上方位置と下方位置に移動させる駆動力を発生するモーター(6)と、を備える。便器装置(1)は、便器装置(1)への電力供給が停止する電力供給停止時に、可動トラップ(4)の下流端(41)を上方位置と下方位置との間の中間位置に移動させるように構成されている。
【0050】
第一の態様に係る便器装置(1)によれば、電力供給停止時において、可動トラップ(4)の下流端(41)が中間位置に移動させることで、使用者がバケツ等でボウル部(2)内に水を注ぎ込んでボウル部(2)を洗浄する際には、少量の水をボウル部(2)内に注ぎ込むだけで、ボウル部(2)内の溜め水(24)を入れ替えて、ボウル部(2)内を綺麗に洗浄することができる。
【0051】
第二の態様に係る装置装置(1)では、第一の態様において、モーター(6)を制御する制御部(5)と、電力供給停止時にモーター(6)と制御部(5)のそれぞれに電力供給する蓄電部(8)と、を備える。制御部(5)は、電力供給停止時に蓄電部(8)の電力を用いてモーター(6)を駆動して可動トラップ(4)の下流端(41)を中間位置に移動する。
【0052】
第二の態様に係る便器装置(1)によれば、制御部(5)は、電力供給停止時に蓄電部(8)の電力を用いてモーター(6)を駆動して可動トラップ(4)の下流端(41)が中間位置に移動させることができる。
【0053】
第三の態様に係る便器装置(1)では、第二の態様において、蓄電部(8)は、コンデンサー、蓄電池又は乾電池を含む。
【0054】
第三の態様に係る便器装置(1)によれば、電力供給停止時において、コンデンサー、蓄電池又は乾電池を含む一つ又は複数の蓄電部(8)によって、電力を供給することができる。
【0055】
第四の態様に係る便器装置(1)では、第一から第三のいずれか一つの態様において、可動トラップ(4)の下流端(41)が中間位置に位置した状態で、ボウル部(2)の溜め水(24)の水面は、排出管(22)の上端から上方で、かつ排出管(22)の上端から上方に30mmの高さよりも下方に位置する。
【0056】
第四の態様に係る便器装置(1)によれば、可動トラップ(4)の下流端(41)が中間位置のときには、ボウル部(2)内の溜め水(24)の水面は、排出管(22)の上端から上方でかつ、排出管(22)の上端から上方に30mmの高さよりも下方に位置することで、例えば、使用者がバケツに入った水で汚物等を排出するとき、水を一気に注ぎ込んでもボウル部(2)内から溢れることが抑制される。また、第四の態様に係る便器装置(1)によれば、ボウル部(2)の溜め水(24)の水面は、排出管(22)の上端から上方に高く位置することで、排出管(22)が水で満たされた状態(封水状態)であるため、可動トラップ(4)よりも下流側に存在する臭気が、排出管(22)を介してボウル部(2)側に流れることが抑制される。
【0057】
第五の態様に係る便器装置(1)では、第一から第四のいずれか一つの態様において、可動トラップ(4)を覆うトラップケース(7)を更に備える。可動トラップ(4)の下流端(41)が中間位置に位置する状態で、可動トラップ(4)の下流端(41)とトラップケース(7)との間に20mm以上の隙間が形成される。
【0058】
第五の態様に係る便器装置(1)によれば、電力供給停止時において、中間位置にある可動トラップ(4)の下流端(41)とトラップケース(7)との間に隙間が形成されることで、例えば、使用者がボウル部(2)内にバケツに入った水を注いで汚物等を排出するときに、汚物等が可動トラップ(4)の下流端(41)とトラップケース(7)との間に引っ掛かることが抑制される。
【符号の説明】
【0059】
1 便器装置
2 ボウル部
22 排出管
24 溜め水
4 可動トラップ
41 下流端
5 制御部
6 モーター
7 トラップケース
8 蓄電部
図1
図2
図3
図4