(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187405
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】配線機器用スイッチ
(51)【国際特許分類】
H01H 13/20 20060101AFI20221212BHJP
H01H 23/16 20060101ALI20221212BHJP
H01H 23/14 20060101ALI20221212BHJP
H01H 23/24 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
H01H13/20 A
H01H23/16
H01H23/14
H01H23/24 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095431
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】成田 昌示
(72)【発明者】
【氏名】吉村 庸
(72)【発明者】
【氏名】新谷 将一
【テーマコード(参考)】
5G035
5G206
【Fターム(参考)】
5G035AA09
5G035CA01
5G035CB01
5G035DA07
5G206AS06H
5G206FS01J
5G206JS02
5G206JU38
5G206KS16
5G206KS38
5G206KS40
5G206PS13
(57)【要約】
【課題】大型化を抑制しつつ、意匠性を確保することができる配線機器用スイッチを提供する。
【解決手段】配線機器用スイッチ1は、タンブラータイプのハンドル10aと押し釦タイプのハンドル10bとのいずれのタイプのハンドル10も装着することが可能な配線機器用スイッチ1であって、回転動作可能な反転ハンドル40と、スイッチカバー20とを備えている。また、反転ハンドル40は、ハンドル10とスイッチカバー20との間に配置された軸部43と、ハンドル10とスイッチカバー20との間に配置され、軸部43よりもスイッチカバー20側に位置するカム機構部44とを有する。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンブラータイプのハンドルと押し釦タイプのハンドルとのいずれのタイプのハンドルも装着することが可能な配線機器用スイッチであって、
回転動作可能な反転ハンドルと、
スイッチカバーとを備え、
前記反転ハンドルは、
前記ハンドルと前記スイッチカバーとの間に配置された軸部と、
前記ハンドルと前記スイッチカバーとの間に配置され、前記軸部よりも前記スイッチカバー側に位置するカム機構部とを有する、
配線機器用スイッチ。
【請求項2】
前記反転ハンドルは、前記タンブラータイプのハンドルと嵌合する嵌合部を有し、
前記スイッチカバーは、前記反転ハンドルを回動可能に支持する軸支部と、前記押し釦タイプのハンドルを揺動可能に支持する支持部とを有する、
請求項1に記載の配線機器用スイッチ。
【請求項3】
前記反転ハンドルの前記カム機構部は、前記軸部の軸方向と垂直な方向において、前記軸部の軸中心線の両側に設けられている、
請求項1または2に記載の配線機器用スイッチ。
【請求項4】
前記タンブラータイプのハンドルが当該配線機器用スイッチに装着された状態であって、前記タンブラータイプのハンドルが押下された状態における前記タンブラータイプのハンドルの表面と前記軸部の回転中心を含む前記スイッチカバーの表面に沿った仮想平面との間の最短距離である第1距離と、前記押し釦タイプのハンドルが当該配線機器用スイッチに装着された状態であって前記押し釦タイプのハンドルが押下されていない状態における前記押し釦タイプのハンドルの表面と前記軸部の回転中心を含む前記スイッチカバーの表面に沿った仮想平面との間の最短距離である第2距離とは、略等しい、
請求項1から3のいずれか1項に記載の配線機器用スイッチ。
【請求項5】
さらに、前記スイッチカバーが装着される基部を備え、
前記基部は、可動接点と固定接点とを有する開閉素子であって、前記反転ハンドルの回転動作によって前記可動接点の位置が変更される前記開閉素子を有する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の配線機器用スイッチ。
【請求項6】
前記反転ハンドルは、
前記タンブラータイプのハンドルと前記押し釦タイプのハンドルとのいずれのタイプのハンドルが押下されることで揺動する揺動部と、
前記揺動部から所定方向に延びる第1アームと、
前記第1アームの両端側に設けられる一対の第2アームとを有し、
前記第1アームには、前記カム機構部が設けられ、
前記一対の第2アームには、前記軸部が設けられている、
請求項1から5のいずれか1項に記載の配線機器用スイッチ。
【請求項7】
前記一対の第2アームには、前記タンブラータイプのハンドルと嵌合する嵌合部が、さらに設けられている、
請求項6に記載の配線機器用スイッチ。
【請求項8】
前記カム機構部には、前記タンブラータイプのハンドルと嵌合する嵌合部が、さらに設けられている、
請求項6又は7に記載の配線機器用スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線機器用スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ハウジング上に露出する第1ボタン部材を有し、第1ボタン部材がオン操作されることで、オン動作が完了する押しボタンスイッチ構造が開示されている。
【0003】
特許文献2には、操作ボタンを押圧操作して作動子を揺動させることで、コイルばねを介して可動接触子を揺動させて可動接点を固定接点に接触させるリモコンスイッチが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-95410号公報
【特許文献2】特許第6478144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の押し釦タイプのハンドルが設けられるスイッチ本体と、特許文献2の操作ボタンが揺動するタンブラータイプのハンドルが設けられるスイッチ本体とを共通化させたいという要望がある。この場合、1つのスイッチ本体に対して2つのタイプのハンドルを設けることが可能となるように設定しても、配線機器用スイッチが大型化したり、造営物からハンドルが大きく飛び出す等の意匠性を損なったりしてしまうことがある。
【0006】
そこで、本開示は、押し釦タイプのハンドルとタンブラータイプのハンドルとが1つのスイッチ本体に装着することができるようにしても、大型化を抑制しつつ、意匠性を確保することができる配線機器用スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る配線機器用スイッチは、タンブラータイプのハンドルと押し釦タイプのハンドルとのいずれのタイプのハンドルも装着することが可能な配線機器用スイッチであって、回転動作可能な反転ハンドルと、スイッチカバーとを備え、前記反転ハンドルは、前記ハンドルと前記スイッチカバーとの間に配置された軸部と、前記ハンドルと前記スイッチカバーとの間に配置され、前記軸部よりも前記スイッチカバー側に位置するカム機構部とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の配線機器用スイッチによれば、大型化を抑制しつつ、意匠性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】
図1Aは、実施の形態に係るタンブラータイプのハンドルを装着した配線機器用スイッチの外観を示す斜視図である。
【
図1B】
図1Bは、実施の形態に係る押し釦タイプのハンドルを装着した配線機器用スイッチの外観を示す斜視図である。
【
図2A】
図2Aは、実施の形態に係るタンブラータイプのハンドルを装着した配線機器用スイッチを示す分解斜視図である。
【
図2B】
図2Bは、実施の形態に係る押し釦タイプのハンドルを装着した配線機器用スイッチを示す分解斜視図である。
【
図3A】
図3Aは、
図1AのIIIA-IIIA線において、実施の形態に係るタンブラータイプのハンドルを示す断面図である。
【
図3B】
図3Bは、実施の形態に係るタンブラータイプのハンドルを装着した配線機器用スイッチをスイッチOFFの状態にした場合を示す断面図である。
【
図4A】
図4Aは、
図1BのIVA-IVA線において、実施の形態に係る押し釦タイプのハンドルを示す断面図である。
【
図4B】
図4Bは、実施の形態に係る押し釦タイプのハンドルを装着した配線機器用スイッチをスイッチOFFの状態にした場合を示す断面図である。
【
図4C】
図4Cは、押し釦タイプのハンドルを押下するときに、スライドカムがカム機構部に当接したときの様子を示す図である。
【
図4D】
図4Dは、押し釦タイプのハンドルを押下するときに、スライドカムがスライドし、かつ、カム機構部が回動する様子を示す図である。
【
図5】
図5は、その他変形例に係るタンブラータイプのハンドルを示す断面図である。
【
図6】
図6は、その他変形例に係るロータリータイプハンドルと、その動作を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。また、以下の実施の形態において、略矩形等の表現を用いている。例えば、略矩形は、完全に矩形であることを意味するだけでなく、実質的に矩形である、すなわち、例えば数%程度の誤差を含むことも意味する。また、略矩形は、本開示による効果を奏し得る範囲において矩形という意味である。他の「略」を用いた表現についても同様である。
【0012】
また、以下の実施の形態では、ハンドル及びスイッチカバーの重なる方向をZ軸方向と規定し、配線機器用スイッチの長手方向をX軸方向とし、Z軸向及びX軸方向と垂直な方向をY軸方向とする。また、X軸方向において
図1Aの紙面の奥側をプラス側の方向とし、Y軸方向において
図1Aの紙面の手前側をプラス側の方向とし、Z軸方向においてハンドルを押圧する方向と反対方向をプラス側の方向とする。
図1B以降の図面においても、同様に適用する。
【0013】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0014】
(実施の形態)
<構成:配線機器用スイッチ1>
図1Aは、実施の形態に係るタンブラータイプのハンドル10aを装着した配線機器用スイッチ1の外観を示す斜視図である。
図1Bは、実施の形態に係る押し釦タイプのハンドル10bを装着した配線機器用スイッチ1の外観を示す斜視図である。
【0015】
図1A及び
図1Bに示すように、配線機器用スイッチ1は、例えば、施設に設置される照明装置、送風装置等の設備システムに電力を供給したり、供給する電力を遮断したりする接続機器である。配線機器用スイッチ1は、天井、壁等の造営物に埋め込み設置される。配線機器用スイッチ1は、例えば、コンセント又はスイッチである。配線機器用スイッチ1は、Z軸マイナス方向に沿って正面視した場合に、縦長の直方体状に形成されている。
【0016】
配線機器用スイッチ1では、タンブラータイプのハンドル10aと押し釦タイプのハンドル10bとのいずれのタイプのハンドル10も装着することが可能である。つまり、配線機器用スイッチ1は、タンブラータイプのハンドル10aをスイッチカバー20に装着したり、タンブラータイプのハンドル10aを押し釦タイプのハンドル10bに付け替えることで、スイッチカバー20に装着したりすることができる。また、この逆の付け替えもすることができる。また、タンブラータイプのハンドル10a及び押し釦タイプのハンドル10bを総称してハンドル10と呼ぶ。
【0017】
配線機器用スイッチ1の具体的な構成について、
図2A、
図2Bを用いて説明する。
【0018】
図2Aは、実施の形態に係るタンブラータイプのハンドル10aを装着した配線機器用スイッチ1を示す分解斜視図である。
図2Bは、実施の形態に係る押し釦タイプのハンドル10bを装着した配線機器用スイッチ1を示す分解斜視図である。また、
図2Aでは、タンブラータイプのハンドル10aをスイッチカバー20側から見た場合を図示し、タンブラータイプのハンドル10a以外の配線機器用スイッチ1をタンブラータイプのハンドル10a側から見た場合を図示している。また、
図2Bでは、押し釦タイプのハンドル10b、スライドカム16及びコイルばね19をスイッチカバー20側から見た場合を図示し、押し釦タイプのハンドル10b、スライドカム16及びコイルばね19以外の配線機器用スイッチ1を押し釦タイプのハンドル10b側から見た場合を図示している。
【0019】
配線機器用スイッチ1は、ハウジング5と、端子装置7とを備えている。
【0020】
[ハウジング5]
ハウジング5は、端子装置7を収容する筐体であり、一部が天井、壁等の造営物に埋め込み設置される。ハウジング5は、コンセントのハウジング又はスイッチのハウジングである。
【0021】
ハウジング5は、ハンドル10と、反転ハンドル40と、コイルばね49aと、スイッチカバー20と、本体ケース30とを有している。
【0022】
ハンドル10は、扁平な略矩形状をなしており、配線機器用スイッチ1の前面(Z軸プラス方向側の面)であり、スイッチカバー20の全体を実質的に覆うように、スイッチカバー20のZ軸プラス方向側に配置されている。ハンドル10は、ハウジング5の外郭の一部を構成している。
【0023】
本実施の形態において、ハンドル10には、タンブラータイプのハンドル10aと、押し釦タイプのハンドル10bとが含まれている。
図1A及び
図2Aに示すように、タンブラータイプのハンドル10aは、回転動作可能な反転ハンドル40と連結することで、反転ハンドル40を介してスイッチカバー20に回動可能に支持されている。タンブラータイプのハンドル10aは、反転ハンドル40の軸部43を回動軸心として回動する。
図1B及び
図2Bに示すように、押し釦タイプのハンドル10bは、スイッチカバー20に回動可能に支持されている。押し釦タイプのハンドル10bでは、押圧力によって第2接続部15を回動軸心として回動する。
【0024】
図1A及び
図2Aに示すように、タンブラータイプのハンドル10aは、X軸方向における中間部分であり、Y軸方向に沿って並ぶように配置されている一対の第1接続部11を有している。つまり、一対の第1接続部11は、タンブラータイプのハンドル10aにおけるY軸プラス方向の側面と、Y軸マイナス方向の側面とのそれぞれに形成されている。一対の第1接続部11は、タンブラータイプのハンドル10aにおいて、X軸方向における中間部分からZ軸マイナス方向側に延びる長尺をなしている。一対の第1接続部11は、反転ハンドル40における一対の第2アーム42bと一対一で嵌合することで、反転ハンドル40と連結する。
【0025】
図1B及び
図2Bに示すように、押し釦タイプのハンドル10bは、X軸プラス方向側であり、Y軸方向に沿って並ぶように配置されている一対の第2接続部15を有している。つまり、一対の第2接続部15は、押し釦タイプのハンドル10bにおけるY軸プラス方向の側面と、Y軸マイナス方向の側面とのそれぞれに形成されている。一対の第2接続部15は、押し釦タイプのハンドル10bにおいて、X軸プラス方向側の部分に設けられた軸部である。一対の第2接続部15は、スイッチカバー20における一対の第2軸支部22に一対一で挿入することで、押し釦タイプのハンドル10bを回動可能に支持する。
【0026】
ここで、押し釦タイプのハンドル10bについて、
図2B及び
図4Aを用いて説明する。
【0027】
図4Aは、
図1BのIVA-IVA線において、実施の形態に係る押し釦タイプのハンドル10bを示す断面図である。
【0028】
押し釦タイプのハンドル10bは、スライドカム16と、コイルばね19とを有している。つまり、押し釦タイプのハンドル10bが装着される場合、反転ハンドル40と押し釦タイプのハンドル10bとの間にはスライドカム16が設けられる。
【0029】
スライドカム16は、スライド部16aと、斜面カム16bとを有している。スライド部16aは、押し釦タイプのハンドル10bが押圧操作又は押圧操作が解除されることでZ軸方向に移動する。具体的には、スライド部16aは、押し釦タイプのハンドル10bが押圧操作によって、第1凸部16cがスライドカム16の第2凸部16dを押圧することで、Z軸マイナス方向に移動する。また、押圧操作が解除されると、スライド部16aは、コイルばね19によって押圧されることで、Z軸プラス方向に移動する。スライド部16aは、Z軸方向に扁平かつ反転ハンドル40側に開口した収容体であり、内部に斜面カム16bを収容している。斜面カム16bは、スライド部16aともにZ軸方向に移動することで反転ハンドル40のカム機構部44と当接したり、カム機構部44と離間したりする。具体的には、斜面カム16bは、板状をなし、X軸プラス方向側の端縁及びX軸マイナス方向側の端縁に近づくにつれて次第に肉厚になることで、反転ハンドル40のカム機構部44と当接する斜面16b1を有している。斜面カム16bは、反転ハンドル40のカム機構部44と当接することで、スライド部16a内をX軸方向に移動することが可能な斜面カム機構である。つまり、斜面カム16bは、押し釦タイプのハンドル10bの押下時に、斜面カム16bと反転ハンドル40のカム機構部44とが当接することで、反転ハンドル40の軸部43の軸方向と垂直な方向(X軸方向)に移動する。ここで、反転ハンドル40の軸部43の軸方向は、Y軸方向と略平行な方向である。
【0030】
このため、斜面カム16bと反転ハンドル40との間には、所定の空隙16eが確保されている。
【0031】
また、押し釦タイプのハンドル10bが押下されていない場合、斜面カム16bと反転ハンドル40のカム機構部44との間に空隙16eが設けられる。具体的には、斜面カム16bが反転ハンドル40の軸部43の軸方向と垂直な方向に移動することで、斜面カム16bの斜面16b1と反転ハンドル40のカム機構部44とが当接する側とは反対側における、斜面カム16bと反転ハンドル40との間の空隙16eを拡大させる。より具体的には、押し釦タイプのハンドル10bの押下時に、斜面カム16bのX軸プラス方向側の斜面16b1とX軸プラス方向側のカム機構部44とが当接すると、カム機構部44の斜面16b1がカム機構部44を摺動することで、カム機構部44がX軸プラス方向側にスライドする。このため、斜面カム16bのX軸マイナス方向側において、斜面カム16bと反転ハンドル40との間の空隙16eが拡大する。これにより、反転ハンドル40が回転動作した際に、開閉素子70の可動接点73aの位置が変更される。また、押し釦タイプのハンドル10bの押下を解除すると、スライドカム16とスイッチカバー20との間に配置されたコイルばね19が付勢力によって、スライドカム16をZ軸プラス方向側に押し上げるため、押し釦タイプのハンドル10bは、押下前の姿勢に戻る。本実施の形態のコイルばね19は、Z軸マイナス方向側の端部がスイッチカバー20のZ軸プラス方向側の面の凸部27に係止され、Z軸プラス方向側の端部がスライドカム16のZ軸マイナス方向側の面の凸部16gに係止されている。また、本実施の形態のコイルばね19は、2つ設けられているが、1つでもよく、3つ以上でもよい。
【0032】
図2A及び
図2Bに示すように、反転ハンドル40は、揺動部41と、アーム部42と、軸部43と、カム機構部44とを有している。
【0033】
揺動部41は、Z軸方向に沿って延びる、長尺な筒状をなしている。揺動部41は、反転ハンドル40がスイッチカバー20に回動可能に支持された状態で、スイッチカバー20に形成されている貫通孔24を挿通している。また、揺動部41の内部には、コイルばね49aが設けられている。
【0034】
揺動部41は、反転ハンドル40が回動する際に、貫通孔24を挿通した状態で揺動することができる。揺動部41は、タンブラータイプのハンドル10aと押し釦タイプのハンドル10bとのいずれのタイプのハンドル10が押下されることで揺動する。
【0035】
コイルばね49aは、可動接触子73の上端部(Z軸プラス方向側の端部)と反転ハンドル40との間に設けられる。コイルばね49aの上端部は、反転ハンドル40の揺動部41の内部に嵌め込まれた状態で支持されている。また、コイルばね49aの下端は、可動接触子73の上端に形成されたばね係止部75に係止されている。コイルばね49aは、ハンドル10への圧操作による反転ハンドル40の揺動に伴い、揺動部41が可動接触子73を揺動させて可動接点73aを固定接点71aに当接させる。一方、ハンドル10への押圧操作の解除に伴い、反転ハンドル40を逆向きに揺動させ元の待機位置に復帰させることで、可動接触子73も逆向きに揺動させることで、可動接点73aを固定接点71aから離間させて元の静止位置に復帰させる。
【0036】
アーム部42は、第1アーム42aと、一対の第2アーム42bとを有している。
【0037】
第1アーム42aは、揺動部41の上端部からY軸マイナス方向(所定方向)に沿って延びた長尺な板状である。
【0038】
一対の第2アーム42bは、第1アーム42aにおけるY軸方向の両端側に設けられ、両端側の部分からZ軸プラス方向に立ち上がる板状である。一対の第2アーム42bの内のうちの一方の第2アーム42bは、揺動部41の上端部に設けられ、一対の第2アーム42bの内のうちの他方の第2アーム42bは、一方の第2アーム42bと対向するように、離れた位置に設けられている。
【0039】
また、一方の第2アーム42bと他方の第2アーム42bとは、押し釦タイプのハンドル10bが当該配線機器用スイッチ1に装着された場合、スライドカム16を配置することが可能な空間を形成するように、互いに離間している。つまり、第1アーム42aは、Z軸プラス方向側にスライドカム16を配置することが可能なように、他方の第2アーム42bを一方の第2アーム42bから所定距離遠ざける程度の長さに設定されている。
【0040】
また、一対の第2アーム42bのそれぞれには、タンブラータイプのハンドル10aにおける一対の第1接続部11と嵌合する嵌合部42cが形成されている。本実施の形態では、嵌合部42cは、タンブラータイプのハンドル10aにおける一対の第1接続部11に形成された爪部と係合する凹状部である。
【0041】
また、一対の第2アーム42bには、一対の軸部43が設けられている。つまり、一方の第2アーム42bに設けられた軸部43と他方の第2アーム42bに設けられた軸部43との間には、後述するスライドカム16を配置することができる。
【0042】
本実施の形態では、一対の軸部43は、互いに遠ざかるように、一対の第2アーム42bから配線機器用スイッチ1の外側に突出している。また、一対の軸部43は、第2アーム42bにおいて嵌合部42cの反対側に形成されている。
【0043】
一対の軸部43は、ハンドル10のX軸方向における中間部分であり、Y軸方向に沿って並ぶように配置されている。また、反転ハンドル40がスイッチカバー20に回動可能に支持された状態において、軸部43は、ハンドル10とスイッチカバー20との間に配置される。一対の軸部43のそれぞれは、スイッチカバー20に形成された第1軸支部21に挿入されることで、第1軸支部21に対して軸支される。これにより、反転ハンドル40は、ハンドル10の押圧操作によって回動する。
【0044】
カム機構部44は、ハンドル10とスイッチカバー20との間に配置され、軸部43よりもスイッチカバー20側に位置している。カム機構部44は、軸部43の軸方向(Y軸方向)と垂直な方向(X軸方向)において、軸部43の軸中心線Vの両側に設けられている。カム機構部44は、第1アーム42aから第1アーム42aの短手方向(X軸方向)かつZ軸プラス方向側に突出した一対の爪部である。本実施の形態では、カム機構部44は、第1アーム42aの中央部分に設けられている。
【0045】
スイッチカバー20は、略矩形状の板状をなしており、ハンドル10と本体ケース30とに挟まれるように配置される。スイッチカバー20は、直接的に又は支持枠等を介して造営物に固定される。これにより、配線機器用スイッチ1が造営物に固定される。また、スイッチカバー20は、本体ケース30の開口部を覆うように、本体ケース30に装着されている。
【0046】
スイッチカバー20には、タンブラータイプのハンドル10aと押し釦タイプのハンドル10bとのいずれのタイプのハンドル10も、直接的又は間接的に装着することができる。
【0047】
具体的には、スイッチカバー20は、第1軸支部21と、第2軸支部22とを有している。
【0048】
第1軸支部21は、スイッチカバー20のX軸方向における中間部分であり、Y軸方向に沿って並ぶように、一対となって配置された軸支孔である。つまり、第1軸支部21は、スイッチカバー20におけるY軸プラス方向の側面と、Y軸マイナス方向の側面とのそれぞれに形成されている。それぞれの第1軸支部21には、反転ハンドル40に形成されたそれぞれの軸部43が一対一で挿入されることで、それぞれの第1軸支部21は、タンブラータイプのハンドル10aを回動可能に支持する。第1軸支部21は、軸支部の一例である。
【0049】
第2軸支部22は、スイッチカバー20のX軸プラス方向側であり、Y軸方向に沿って並ぶように、一対となって配置された軸支孔である。つまり、第2軸支部22は、スイッチカバー20におけるY軸プラス方向の側面と、Y軸マイナス方向の側面とのそれぞれに形成されている。それぞれの第2軸支部22には、押し釦タイプのハンドル10bに形成されたそれぞれの第2接続部15が一対一で挿入されることで、それぞれの第2軸支部22は、押し釦タイプのハンドル10bを回動可能に支持する。第2軸支部22は、押し釦タイプのハンドル10bを揺動可能に支持する支持部の一例である。
【0050】
本体ケース30は、立方体状の外形をなし、Z軸マイナス方向側に底部を有し、Z軸プラス方向側に開口部を有している。本体ケース30は、基部の構成に含まれている。
【0051】
また、本体ケース30には、配線を挿抜するための第1挿入孔37aと、端子装置7の押圧部材79を配置するための第2挿入孔37bとが形成されている。第1挿入孔37aは、端子装置7と電気的に接続するための配線が挿入される。本実施の形態では、第1挿入孔37aは、複数形成されているが、1つだけ形成されていてもよい。第2挿入孔37bは、本体ケース30の側面において、X軸方向側の両側壁部に形成されている。また、押圧部材79は、第1挿入孔37aに挿入される配線を挿抜するためのネジであり、本体ケース30の第2挿入孔37bに挿入された状態で本体ケース30に保持されている。本実施の形態では、第2挿入孔37bは、複数形成されているが、1つだけ形成されていてもよい。
【0052】
本体ケース30の底部には、複数の突起部が形成されている。複数の突起部は、収容室35を規定し、本体ケース30内に収納された端子装置7等を支持している。
【0053】
[端子装置7]
端子装置7は、本体ケース30に形成された第1挿入孔37aから挿入された配線と電気的に接続するために、本体ケース30内に配置されている。端子装置7は、基部の一例である。
【0054】
端子装置7は、反転ハンドル40の回転動作によって可動接点73aの位置が変更される開閉素子70を有している。開閉素子70は、固定端子71と、支持端子72と、可動接触子73とを有している。なお、開閉素子70は、可動接点73aと、固定接点71aとを有しているだけでもよい。少なくとも、支持端子72は、開閉素子70の必須の構成要件ではない。
【0055】
固定端子71は、金属板で構成され、表面から突出した状態の固定接点71aを有している。固定接点71aは、可動接触子73の可動接点73aと対向する姿勢となるように、本体ケース30の収容室35内に組み付け固定されている。また、固定端子71は、第1挿入孔37aに挿入された配線と電気的に接続することができる。
【0056】
支持端子72は、金属板で構成され、本体ケース30の収容室35内に組み付け固定されている。支持端子72の上には、可動接触子73の下端(揺動支点)が配置されることで、支持端子72は、支持端子72の上で可動接触子73を揺動自在に支持している。また、支持端子72は、第1挿入孔37aに挿入された配線と電気的に接続することができる。
【0057】
可動接触子73は、金属板で構成され、表面から突出した状態の可動接点73aを有している。可動接点73aは、固定端子71の固定接点71aと対向する姿勢で、反転ハンドル40及びコイルばね49aによって、支持端子72と電気的に接続された状態で揺動自在に支持されている。また、可動接触子73の上端には、コイルばね49aの下端を係止するためのばね係止部75が形成されている。
【0058】
[タンブラータイプのハンドル10aと押し釦タイプのハンドル10bとの関係]
ここで、タンブラータイプのハンドル10aと押し釦タイプのハンドル10bとの関係について、
図3A及び
図4Aを用いて説明する。
図3Aは、
図1AのIIIA-IIIA線において、実施の形態に係るタンブラータイプのハンドル10aを示す断面図である。
【0059】
タンブラータイプのハンドル10aが当該配線機器用スイッチ1に装着された状態であって、タンブラータイプのハンドル10aが押下された状態におけるタンブラータイプのハンドル10aの表面と軸部43の回転中心(軸中心線V)を含むスイッチカバー20の表面に沿った仮想平面(XY平面)との間の最短距離である第1距離L1(高さ)と、押し釦タイプのハンドル10bが当該配線機器用スイッチ1に装着された状態であって押し釦タイプのハンドル10bが押下されていない状態における押し釦タイプのハンドル10bの表面と軸部43の回転中心を含むスイッチカバー20の表面に沿った仮想平面(XY平面)との最短距離である第2距離L2(高さ)とは、略等しい。つまり、タンブラータイプのハンドル10aにおける反転ハンドル40の回転中心(軸部43の軸中心線V)と、押し釦タイプのハンドル10bにおける反転ハンドル40の回転中心とは、ハンドルを取り換えても変化しない。
【0060】
<動作>
次に、本実施の形態における配線機器用スイッチ1の動作について説明する。
【0061】
まずは、タンブラータイプのハンドル10aについて、
図3A及び
図3Bを用いて説明する。
図3Aでは、タンブラータイプのハンドル10aを装着した配線機器用スイッチ1をスイッチONの状態にした場合を示している。
図3Bは、実施の形態に係るタンブラータイプのハンドル10aを装着した配線機器用スイッチ1をスイッチOFFの状態にした場合を示す断面図である。
【0062】
図3Aに示すように、タンブラータイプのハンドル10aのX軸マイナス方向側の端部が押下されると、タンブラータイプのハンドル10aは、反転ハンドル40の軸部43がスイッチカバー20に形成された第1軸支部21に対して回動する。このとき、反転ハンドル40の揺動部41は、軸部43の軸中心線Vに対して時計周りに回動する。すると、反転ハンドル40の揺動部41の内部に挿入されているコイルばね49aも同様に軸部43の軸中心線Vに対して時計周りに回動するため、コイルばね49aの下端に係止されている可動接点73aも同様に揺動されて、固定接点71aに当接する。これにより、可動接点73aと固定接点71aとが電気的に接続されることで、スイッチONの状態となる。
【0063】
また、スイッチONの状態でタンブラータイプのハンドル10aのX軸プラス方向側の端部を押下すると、
図3Bに示すように、反転ハンドル40の軸部43がスイッチカバー20に形成された第1軸支部21に対して回動する。このとき、反転ハンドル40の揺動部41は、軸部43の軸中心線Vに対して反時計周りに回動する。すると、反転ハンドル40の揺動部41の内部に挿入されているコイルばね49aも同様に軸部43の軸中心線Vに対して反時計周りに回動するため、コイルばね49aの下端に係止されている可動接点73aも同様に揺動されて、固定接点71aから離間する。これにより、可動接点73aと固定接点71aとの電気的に接続が解除されることで、スイッチOFFの状態となる。
【0064】
次に、押し釦タイプのハンドル10bについて、
図4A~
図4Dを用いて説明する。
図4Aでは、押し釦タイプのハンドル10bを装着した配線機器用スイッチ1をスイッチONの状態にした場合を示している。
図4Bは、実施の形態に係る押し釦タイプのハンドル10bを装着した配線機器用スイッチ1をスイッチOFFの状態にした場合を示す断面図である。
図4Cは、押し釦タイプのハンドル10bを押下するときに、スライドカム16がカム機構部44に当接したときの様子を示す図である。
図4Dは、押し釦タイプのハンドル10bを押下するときに、スライドカム16がスライドし、かつ、カム機構部44が回動する様子を示す図である。
【0065】
図4Aに示すように、押し釦タイプのハンドル10bを押下すると、押し釦タイプのハンドル10bは、一対の第2接続部15がスイッチカバー20に形成された一対の第2軸支部22に対して回動する。このとき、押し釦タイプのハンドル10bにおける裏面(Z軸マイナス方向側の面)の第1凸部16cは、スライドカム16の第2凸部16dを押圧することで、スライドカム16はZ軸マイナス方向に移動する。すると、
図4Cに示すように、スライドカム16の斜面カム16bは、反転ハンドル40のカム機構部44に当接する。
図4Cでは、斜面カム16bのX軸マイナス方向側の斜面16b1とX軸マイナス方向側のカム機構部44とが当接している場合を例示している。
図4Dに示すように、さらなる当該押圧操作によって、カム機構部44の斜面16b1がカム機構部44を摺動することで、斜面カム16bがX軸マイナス方向側にスライドし、斜面カム16bのX軸プラス方向側において、斜面カム16bと反転ハンドル40との間の空隙16eが拡大する。このとき、反転ハンドル40が斜面カム16bの斜面16b1に押されることで、反転ハンドル40の揺動部41は、軸部43の軸中心線Vに対して時計周りに回動する。すると、X軸プラス方向側のカム機構部44がスライドカム16と干渉せずに空隙16eに侵入し、反転ハンドル40の揺動部41の内部に挿入されているコイルばね49aも同様に軸部43の軸中心線Vに対して時計周りに回動する。このため、
図4Aに示すように、コイルばね49aの下端に係止されている可動接点73aも同様に揺動されて、固定接点71aに当接する。これにより、可動接点73aと固定接点71aとが電気的に接続されることで、スイッチONの状態となる。そして、押圧操作を解除すると、スライドカム16がコイルばね19によって押圧されることでZ軸プラス方向に移動し、スライド部16aがスライドカム16のカムばねによってX軸プラス方向側にスライドして押圧操作前の姿勢に戻り、かつ、押し釦タイプのハンドル10bも押圧操作前の姿勢に戻る。
【0066】
また、
図4Bに示すように、スイッチONの状態で押し釦タイプのハンドル10bを押下すると、押し釦タイプのハンドル10bは、一対の第2接続部15がスイッチカバー20に形成された一対の第2軸支部22に対して回動する。このとき、押し釦タイプのハンドル10bにおける裏面(Z軸マイナス方向側の面)の第1凸部16cは、スライドカム16の第2凸部16dを押圧することで、スライドカム16はZ軸マイナス方向に移動する。すると、スライドカム16が押し釦タイプのハンドル10bに押されることでZ軸マイナス方向に移動し、スライドカム16の斜面カム16bは、反転ハンドル40のカム機構部44に当接する。斜面カム16bのX軸プラス方向側の斜面16b1とX軸プラス方向側のカム機構部44とが当接すると、さらなる当該押圧操作によって、カム機構部44の斜面16b1がカム機構部44を摺動することで、斜面カム16bがX軸プラス方向側にスライドし、斜面カム16bのX軸マイナス方向側において、斜面カム16bと反転ハンドル40との間の空隙16eが拡大する。このとき、反転ハンドル40が斜面カム16bの斜面16b1に押されることで、反転ハンドル40の揺動部41は、軸部43の軸中心線Vに対して反時計周りに回動する。すると、X軸マイナス方向側のカム機構部44がスライドカム16と干渉せずに空隙16eに侵入し、反転ハンドル40の揺動部41の内部に挿入されているコイルばね49aも同様に軸部43の軸中心線Vに対して反時計周りに回動する。このため、コイルばね49aの下端に係止されている可動接点73aも同様に揺動されて、固定接点71aから離間する。これにより、可動接点73aと固定接点71aとが電気的に遮断されることで、スイッチOFFの状態となる。そして、押圧操作を解除すると、スライドカム16がコイルばね19によって押圧されることでZ軸プラス方向に移動し、スライド部16aがスライドカム16のカムばねによってX軸プラス方向側にスライドして押圧操作前の姿勢に戻り、かつ、押し釦タイプのハンドル10bも押圧操作前の姿勢に戻る。
【0067】
<作用効果>
次に、本実施の形態における配線機器用スイッチ1の作用効果について説明する。
【0068】
上述したように、本実施の形態の配線機器用スイッチ1は、タンブラータイプのハンドル10aと押し釦タイプのハンドル10bとのいずれのタイプのハンドル10も装着することが可能な配線機器用スイッチ1であって、回転動作可能な反転ハンドル40と、スイッチカバー20とを備えている。また、反転ハンドル40は、ハンドル10とスイッチカバー20との間に配置された軸部43と、ハンドル10とスイッチカバー20との間に配置され、軸部43よりもスイッチカバー20側(本実施の形態では、X軸方向における配線機器用スイッチ1の中央部分)に位置するカム機構部44とを有する。
【0069】
例えば、従来の配線機器用スイッチでは、1つの配線機器用スイッチに対してタンブラータイプのハンドルと押し釦タイプのハンドルとのいずれのタイプのハンドルも装着可能にした場合、タンブラータイプのハンドルではその表面と反転ハンドルの回転中心との第1距離(高さ)は短いが、押し釦タイプのハンドルではその表面と反転ハンドルの回転中心との第2距離(高さ)が長くなってしまう。これは、押し釦タイプのハンドルでは、押圧操作を反転ハンドルの回転方向に変換させるための機構を設けることになるためであると考えられる。この場合には、配線機器用スイッチが大型化してしまうため、天井、壁等の造営物に埋め込み設置した場合では、造営物から大きく飛び出てしまい、見栄えが悪くなる。
【0070】
しかしながら、本実施の形態によれば、カム機構部44を軸部43よりもスイッチカバー20側に位置させることで、反転ハンドル40の回転中心とハンドル10とを近づけることができる。
【0071】
したがって、配線機器用スイッチ1では、大型化を抑制しつつ、意匠性を確保することができる。つまり、この配線機器用スイッチ1では、押し釦タイプのハンドル10bとタンブラータイプのハンドル10aとを1つの配線機器用スイッチ1に装着することができるようにしても、大型化が抑制されるとともに、意匠性を損ない難い。
【0072】
特に、ハンドル10の種類が異なっていても、配線機器用スイッチ1の部品を共通化することができるため、配線機器用スイッチ1の製造コストの高騰化を抑制することができる。
【0073】
また、本実施の形態の配線機器用スイッチ1は、反転ハンドル40は、タンブラータイプのハンドル10aと嵌合する嵌合部42cを有する。そして、スイッチカバー20は、反転ハンドル40を回動可能に支持する軸支部(第1軸支部21)と、押し釦タイプのハンドル10bを揺動可能に支持する支持部(第2軸支部22)とを有する。
【0074】
これによれば、スイッチカバー20にタンブラータイプのハンドル10aを装着したり、押し釦タイプのハンドル10bを装着したりすることができる。つまり、1種類のスイッチカバー20で、2種類のハンドルを取り替えることができるため、配線機器用スイッチ1において、部品を共通化することができる。その結果、ハンドルの種類ごとにスイッチカバー20を製造することなくスイッチカバー20を共通化することができるため、配線機器用スイッチ1の製造コストの高騰化をより抑制することができる。
【0075】
また、本実施の形態の配線機器用スイッチ1において、反転ハンドル40のカム機構部44は、軸部43の軸方向と垂直な方向において、軸部43の軸中心線Vの両側に設けられている。
【0076】
これによれば、タンブラータイプのハンドル10aと装着することができたり、押し釦タイプのハンドル10bで用いられるスライドカム16を移動させたりすることができる。配線機器用スイッチ1の汎用性を高めることができる。
【0077】
また、本実施の形態の配線機器用スイッチ1は、タンブラータイプのハンドル10aが当該配線機器用スイッチ1に装着された状態であって、タンブラータイプのハンドル10aが押下された状態におけるタンブラータイプのハンドル10aの表面と軸部43の回転中心を含むスイッチカバー20の表面に沿った仮想平面(XY平面)との間の最短距離である第1距離L1と、押し釦タイプのハンドル10bが当該配線機器用スイッチ1に装着された状態であって押し釦タイプのハンドル10bが押下されていない状態における押し釦タイプのハンドル10bの表面と軸部43の回転中心を含むスイッチカバー20の表面に沿った仮想平面(XY平面)との最短距離である第2距離L2とは、略等しい。
【0078】
これによれば、配線機器用スイッチ1にタンブラータイプのハンドル10aを取り付けたり、押し釦タイプのハンドル10bを取り付けたりしても、配線機器用スイッチ1が大型化し難いため、配線機器用スイッチ1を造営物に取り付けても意匠性をより確実に損ない難い。
【0079】
また、本実施の形態の配線機器用スイッチ1は、さらに、スイッチカバー20が装着される基部を備えている。そして、基部は、可動接点73aと固定接点71aとを有する開閉素子70であって、反転ハンドル40の回転動作によって可動接点73aの位置が変更される開閉素子70を有する。
【0080】
これによれば、タンブラータイプのハンドル10a及び押し釦タイプのハンドル10bであっても、これらのハンドル10を操作することで、可動接点73aと固定接点71aとを電気的に接続したり、遮断したりすることができる。
【0081】
また、本実施の形態の配線機器用スイッチ1において、反転ハンドル40は、タンブラータイプのハンドル10aと押し釦タイプのハンドル10bとのいずれのタイプのハンドル10が押下されることで揺動する揺動部41と、揺動部41から所定方向(Y軸マイナス方向)に延びる第1アーム42aと、第1アーム42aの両端側に設けられる一対の第2アーム42bとを有している。また、第1アーム42aには、カム機構部44が設けられている。そして、一対の第2アーム42bには、軸部43が設けられている。
【0082】
これによれば、タンブラータイプのハンドル10aと押し釦タイプのハンドル10bとのいずれのタイプのハンドル10においても、反転ハンドル40を揺動させることができる。このため、反転ハンドル40は、配線機器用スイッチ1に好適である。
【0083】
また、本実施の形態の配線機器用スイッチ1において、一対の第2アーム42bには、タンブラータイプのハンドル10aと嵌合する嵌合部42cが、さらに設けられている。
【0084】
これによれば、一対の第2アーム42bに嵌合部42cと軸部43とを設けることができるため、反転ハンドル40の大型化を抑制することができる。
【0085】
(その他の変形例)
以上、本開示に係る配線機器用スイッチについて、上記各実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思い付く各種変形を実施の形態に施したものも、本開示の範囲内に含まれてもよい。
【0086】
例えば、本実施の形態に係る配線機器用スイッチ1において、押し釦タイプのハンドルのスライドカムは、押圧操作によって、押圧方向と直交する方向に沿ってスライドするが、これには限定されない。例えば、
図6に示すように、押し釦タイプのハンドル10bは、押圧操作によって、反転ハンドル40を軸部43周りで回転させるロータリータイプのハンドル10cであってもよい。ここで
図6は、その他変形例に係るロータリータイプのハンドル10cと、その動作を示す模式図である。
図6の一点鎖線は中心線を示し、二点鎖線は中心線に対するロータリータイプのハンドル10cの傾きを示す目安である。ロータリータイプのハンドル10cは、押圧操作部90と、複数のバネ部91と、複数のバネ部91を介して押圧操作部90に接続されたロータリーカム92とを有している。押圧操作部90は、直接的に押圧操作される釦である。複数のバネ部91は、押圧操作部90に対してロータリーカム92を揺動可能に支持する板バネである。ロータリーカム92は、反転ハンドル40のカム機構部44に押し付けられることで複数のバネ部91のうちの一部のバネ部91を弾性変形させながら、自身が揺動できる。例えば、
図6のa及びbに示すように、押圧操作部90が押圧されると、押圧操作部90とともにロータリーカム92が反転ハンドル40に近づき、ロータリーカム92が反転ハンドル40における一対のカム機構部44のうちの一方のカム機構部44に当接する。さらに、押圧操作部90が押圧されることで、
図6のcに示すように、ロータリーカム92が反転ハンドル40における一対のカム機構部44を押し付けることで、ロータリーカム92がバネ部91を弾性変形させながら時計周りに回動するとともに、反転ハンドル40が反時計周りに回動する。このとき、ロータリーカム92が時計周りに回動することで、一対のカム機構部44のうちの他方のカム機構部44とロータリーカム92との間に空隙93が形成される。
図6のd及びeに示すように、押圧操作部90に対する押圧が解除されると、バネ部91を弾性変形が解除されて、図示しないコイイルバネの反力で押圧操作部90の姿勢が戻るため、押圧操作部90とともにロータリーカム92が反転ハンドル40から離間する。このようなロータリータイプのハンドル10cにおいても、反転ハンドル40を回動させることができるため、
図2Bの可動接点73aと固定接点71aとを電気的に接続したり、遮断したりすることができる。
【0087】
また、本実施の形態に係る配線機器用スイッチ1は、
図5に示す構成であってもよい。
図5は、その他変形例に係るタンブラータイプのハンドル10a1を示す断面図である。タンブラータイプのハンドル10a1は、裏面(Z軸マイナス方向側の面)からスイッチカバー20に向かって延びる爪状をなした一対の支持部11dを有していてもよい。一対の支持部11dは、反転ハンドル40のカム機構部44のX軸方向における両側から挟んで引っ掛けるように連結されていてもよい。つまり、一対の支持部11dは、反転ハンドル40のカム機構部44に嵌合されていてもよく、カム機構部44は、嵌合部44bを有していてもよい。このように、本実施の形態の配線機器用スイッチ1において、カム機構部44には、タンブラータイプのハンドル10a1と嵌合する嵌合部44bが、さらに設けられていてもよい。これによれば、カム機構部44を嵌合部44bとしても利用することができるため、別途、嵌合部44bの構成を反転ハンドル40に設けなくてもよいため、反転ハンドル40の大型化を抑制することができる。
【0088】
また、本実施の形態に係る配線機器用スイッチ1において、押し釦タイプのハンドル10bをZ軸方向と垂直な方向に移動するスライドカム16は、スイッチカバー20の支持部の一例であってもよい。
【0089】
なお、上記の各実施の形態に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【符号の説明】
【0090】
1 配線機器用スイッチ
7 端子装置(基部)
10 ハンドル
10a、10a1 タンブラータイプのハンドル
10b 押し釦タイプのハンドル
10c ロータリータイプのハンドル(押し釦タイプのハンドル)
20 スイッチカバー
21 第1軸支部(軸支部)
22 第2軸支部(支持部)
30 本体ケース(基部)
40 反転ハンドル
41 揺動部
42a 第1アーム
42b 第2アーム
42c、44b 嵌合部
43 軸部
44 カム機構部
70 開閉素子
71a 固定接点
73a 可動接点
V 軸中心線