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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187411
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】ペン型指示具
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/03 20060101AFI20221212BHJP
   B06B 1/04 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
G06F3/03 400F
B06B1/04 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095438
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】嘉指 裕介
(72)【発明者】
【氏名】天野 和彦
(72)【発明者】
【氏名】水津 貴之
【テーマコード(参考)】
5D107
【Fターム(参考)】
5D107AA15
5D107BB08
5D107CC09
5D107DD03
(57)【要約】
【課題】接触部とタッチ面との間の断続的な接触が生じるのを抑制すること。
【解決手段】ペン型指示具101は、タッチ面TSと接触可能な接触部1Fcを有するハウジング1と、ハウジング1の内部に設置されるとともにハウジング1の長手方向(X軸方向)に垂直な振動方向(Y軸方向)に沿って往復振動する振動発生装置2と、使用者がハウジング1を手で持って接触部1Fcをタッチ面TSに接触させたときのハウジング1の姿勢が所定姿勢となるように使用者を誘導する誘導手段GMと、備える。所定姿勢は、振動方向がタッチ面TSと平行になる姿勢である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ面と接触可能な接触部を有するハウジングと、
前記ハウジングの内部に設置されるとともに前記ハウジングの長手方向に垂直な振動方向に沿って往復振動する振動発生装置と、
使用者が前記ハウジングを手で持って前記接触部を前記タッチ面に接触させたときの前記ハウジングの姿勢が所定姿勢となるように使用者を誘導する誘導手段と、備え、
前記所定姿勢は、前記振動方向が前記タッチ面と平行になる姿勢であることを特徴とするペン型指示具。
【請求項2】
前記誘導手段は、前記ハウジングの前記長手方向に垂直で且つ前記振動発生装置の前記振動方向に垂直な方向を他の方向から区別可能に提示する、前記ハウジングの表面に配置された目印を含む、
請求項1に記載のペン型指示具。
【請求項3】
前記誘導手段は、前記ハウジングの姿勢が前記所定姿勢のときに前記ハウジングの表面と接触する人差し指が配置される領域を定める凹部又は凸部と、前記ハウジングの姿勢が前記所定姿勢のときに前記ハウジングの表面と接触する親指が配置される領域を定める凹部又は凸部と、を含む、
請求項1又は2に記載のペン型指示具。
【請求項4】
前記誘導手段は、前記ハウジングの姿勢が前記所定姿勢のときに前記ハウジングの表面と接触する人差し指によって操作可能な前記ハウジングの表面上の位置に配置される操作部材、又は、前記ハウジングの姿勢が前記所定姿勢のときに前記ハウジングの表面と接触する親指によって操作可能な前記ハウジングの表面上の位置に配置される操作部材を含む、
請求項1から請求項3の何れかに記載のペン型指示具。
【請求項5】
前記振動発生装置は、前記ハウジングの内部において、前記ハウジングの握り部に対応する位置に設置されている、
請求項1から請求項4の何れかに記載のペン型指示具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペン型指示具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タッチパネル又はタッチパッド等の入力面(タッチ面)に対する入力に使用されるタッチペン(ペン型指示具)が知られている(特許文献1参照。)。このタッチペンは、スイッチ入力が検知されたことを振動によって使用者に伝える圧電振動子を用いた圧電式振動タッチペンである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-140114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のタッチペンでは、圧電振動子は、タッチペンの長手方向に垂直な方向に振動するようにタッチペンの内部に配置されている。タッチペンの先端部(接触部)がタッチ面に接触した状態で圧電振動子が振動すると、圧電振動子の振動に伴って先端部も振動するため、タッチペンの接触部とタッチ面とは互いに断続的に接触する。そして、この断続的な接触は、接触ノイズを発生させてしまうおそれがある。
【0005】
そこで、接触部とタッチ面との間の断続的な接触が生じるのを抑制することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係るペン型指示具は、タッチ面と接触可能な接触部を有するハウジングと、前記ハウジングの内部に設置されるとともに前記ハウジングの長手方向に垂直な振動方向に沿って往復振動する振動発生装置と、使用者が前記ハウジングを手で持って前記接触部を前記タッチ面に接触させたときの前記ハウジングの姿勢が所定姿勢となるように使用者を誘導する誘導手段と、備え、前記所定姿勢は、前記振動方向が前記タッチ面と平行になる姿勢である。
【発明の効果】
【0007】
上述のペン型指示具は、接触部とタッチ面との間の断続的な接触が生じるのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ペン型指示具の斜視図である。
図2】ペン型指示具の上面図である。
図3】ペン型指示具の断面図である。
図4】タッチ面に接触部を接触させた状態でペン型指示具を把持する使用者の右手の左側面図である。
図5】タッチ面に接触部を接触させた状態でペン型指示具を把持する使用者の右手の左側面図である。
図6】タッチ面に接触部を接触させた状態でペン型指示具を把持する使用者の右手の上面図である。
図7】ペン型指示具の別の構成例の上面図である。
図8】ペン型指示具の更に別の構成例の上面図である。
図9】ペン型指示具の更に別の構成例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態に係るペン型指示具101について説明する。図1は、ペン型指示具101の斜視図である。図2は、ペン型指示具101の上面図である。図3は、ペン型指示具101の断面図である。
【0010】
図1において、X1は三次元直交座標系を構成するX軸の一方の向きを表し、X2はX軸の他方の向きを表す。また、Y1は三次元直交座標系を構成するY軸の一方の向きを表し、Y2はY軸の他方の向きを表す。同様に、Z1は三次元直交座標系を構成するZ軸の一方の向きを表し、Z2はZ軸の他方の向きを表す。本実施形態では、ペン型指示具101のX1側は、ペン型指示具101の前側(正面側)に相当し、ペン型指示具101のX2側は、ペン型指示具101の後側(背面側)に相当する。また、ペン型指示具101のY1側は、ペン型指示具101の左側に相当し、ペン型指示具101のY2側は、ペン型指示具101の右側に相当する。そして、ペン型指示具101のZ1側は、ペン型指示具101の上側に相当し、ペン型指示具101のZ2側は、ペン型指示具101の下側に相当する。他の図においても同様である。
【0011】
図3は、図2に示す切断線III-IIIを含むYZ平面に平行な断面をX1側から見たときのペン型指示具101の断面図である。
【0012】
ペン型指示具101は、スマートフォン、タブレットPC、デスクトップPC、ラップトップPC、又はゲーム機等の電子機器に情報を入力するための装置であり、ハウジング1、振動発生装置2、及び誘導手段GMを有する。図1に示す例では、ペン型指示具101は、スマートフォンに設けられたタッチパネルに対する入力に用いられるスタイラスペンである。
【0013】
ハウジング1は、タッチパネルのタッチ面TS(図4参照。)と接触可能な接触部1Fcを前端に有する前部1Fと、前部1Fから後方(X2向き)に延在するとともに握り部GRを有する中央部1Mと、中央部1Mから後方(X2向き)に延在する後部1Bと、を有する。
【0014】
本実施形態では、中央部1Mは、中空の筒状体であり、その内部に振動発生装置2が収容されるように構成されている。具体的には、中央部1Mは、図3に示すように、円筒形状を有し、その内面に一体化された台座部1Mpで振動発生装置2を支持できるように構成されている。なお、台座部1Mpは、中央部1Mとは別の部材であってもよい。また、中央部1Mは、ハウジング1の長手軸LAに垂直な断面の輪郭が多角形(三角形、四角形、五角形、若しくは六角形等)、楕円形、又は長円形等、円形以外の他の形状となるように形成されていてもよい。また、本実施形態では、図1に示すように、前部1Fの後端部は中央部1Mの前端部に嵌め込まれ、後部1Bの前端部は中央部1Mの後端部に嵌め込まれている。
【0015】
握り部GRは、使用者の指が接触する部分である。本実施形態では、握り部GRは、ハウジング1の中央部1Mの前半部に配置される部分であり、中央部1Mに一体化されている。但し、握り部GRは、中央部1Mとは別の部材として形成されていてもよい。この場合、握り部GRは、中央部1Mを形成する材料とは別の材料で形成されていてもよい。図1及び図2では、明瞭化のため、握り部GRにはドットパターンが付されている。
【0016】
振動発生装置2は、ペン型指示具101の使用者が触覚で知覚可能な振動を発生させるように構成されている。ペン型指示具101の使用者が触覚で知覚可能な振動は、例えば、ペン型指示具101の使用者に様々な情報を伝えるために用いられる。様々な情報は、例えば、ペン型指示具101の先端部がタッチ面TS上の所定範囲に進入(接触)したこと等の所定の事象が発生したこと、又は、ソフトウェアボタンの押下等の所定の操作が行われたこと等である。本実施形態では、振動発生装置2は、ハウジング1の内部に設置されるとともにハウジング1の長手方向(X軸方向)に垂直な振動方向(Y軸方向)に沿って往復振動する。図1図3では、明瞭化のため、長手方向は、一点鎖線で示された長手軸LAによって表され、振動方向は、一点鎖線で示された振動軸VAと両矢印とによって表されている。他の図においても同様である。
【0017】
本実施形態では、振動発生装置2は、可動側部材としての永久磁石と固定側部材としてのコイルとで構成されるボイスコイルモータ式の駆動部を備えている。但し、振動発生装置2は、圧電素子で構成される圧電式の駆動部、又は、偏心錘で構成される回転式の駆動部等の他の任意の方式の駆動部を備えていてもよい。
【0018】
誘導手段GMは、使用者がハウジング1を手で持って接触部1Fcをタッチ面TSに接触させたときのハウジング1の姿勢が所定姿勢となるように使用者を誘導できるように構成されている。所定姿勢は、振動方向がタッチ面TSと平行になるときのハウジング1の姿勢である。なお、「平行」は、振動軸VAとタッチ面TSとの間に形成される角度がゼロ度である状態と、その角度が所定の微小角度以下である状態とを含む。すなわち、「平行」は、幾何学的に完全な平行であることに限定されない。
【0019】
本実施形態では、誘導手段GMは、ハウジング1の表面に配置されている。図1に示す例では、誘導手段GMは、ハウジング1の上面(Z1側の面)に付された目印1Msである。
【0020】
目印1Msは、ペン型指示具101の使用者が視認可能な物である。目印1Msは、立体的なものであってもよく、平面的なものであってもよい。図1に示す例では、目印1Msは、ハウジング1の中央部1Mの後端部の上面に一体的に形成されたマーカであり、他の部分と区別できるように構成されている。具体的には、ハウジング1は、合成樹脂材料を射出成形することによって形成される部材であり、目印1Msは、ハウジング1の外形が成形される際に一体的に成形される。なお、目印1Msは、図3に示すように、中央部1Mの上面において上方(Z1向き)に突出するように形成されているが、中央部1Mの上面において下方(Z2向き)に凹むように形成されていてもよい。
【0021】
また、目印1Msは、ハウジング1の上面に取り付けられる別の部材であってもよい。例えば、目印1Msは、ハウジング1の上面に貼り付けられるシールであってもよく、ハウジング1の上面に嵌め込まれる発光ダイオードであってもよい。
【0022】
また、目印1Msは、中央部1Mの後端部の上面に配置されているが、中央部1Mの他の部分の上面に配置されていてもよい。すなわち、目印1Msは、ハウジング1の姿勢が所定姿勢となるようにペン型指示具101を持っている使用者が視認できる位置に配置されていればよい。例えば、目印1Msは、握り部GRの後端部の上面に配置されていてもよい。
【0023】
また、誘導手段GMは、長手軸LA及び振動軸VAのそれぞれの軸線方向に垂直な方向(Z軸方向)を使用者が特定できるように配置されていればよい。そのため、誘導手段GMは、例えば、中央部1Mの上面(図1において目印1Msが配置されている部分)以外の部分に意匠を施すことによって実現されてもよい。この場合、意匠が施されていない部分が目印1Msを構成する。すなわち、目印1Msは、ペン型指示具101の使用者が他の部分と区別できるのであれば、平坦で特徴の無い部分であってもよい。
【0024】
次に、図4図6を参照し、振動発生装置2の振動方向と接触ノイズとの関係について説明する。接触ノイズは、例えば、接触部1Fcとタッチ面TSとが断続的に接触することで発生するノイズである。
【0025】
図4及び図5は、タッチ面TSに接触部1Fcを接触させた状態でペン型指示具101を把持する使用者の右手の左側面図である。図6は、タッチ面TSに接触部1Fcを接触させた状態でペン型指示具101を把持する使用者の右手の上面図である。
【0026】
なお、図4図6を参照する以下の説明は、右手で把持されたペン型指示具101に関するが、左手で把持されたペン型指示具101にも同様に適用される。
【0027】
また、図4は、振動軸VAとタッチ面TSとが交差するときの振動発生装置2の振動(加速度G1)の向きと接触部1Fcの振動(加速度G2)の向きとを示す。図5及び図6は、振動軸VAとタッチ面TSとが平行になっているときの振動発生装置2の振動(加速度G1)の向きと接触部1Fcの振動(加速度G2)の向きとを示す。なお、接触部1Fcは、振動発生装置2の振動に応じて振動している。
【0028】
図4及び図5に示す例では、タッチ面TSは、水平面上に置かれたスマートフォンのタッチパネルの表面であり、水平になるように配置されている。但し、タッチ面TSは、水平面に対して傾斜するように配置されていてもよい。また、タッチ面TSは、ラップトップPC、デジタイザ、若しくはペンタブレット等に搭載されるタッチパッドの表面等、タッチパネルの表面以外の表面であってもよい。また、タッチ面TSは、ホワイトボードの表面、マウスパッドの表面、机の表面、又はノート(紙)の表面等、ペン型指示具101を用いて情報を入力する際に接触部1Fcが接触する任意の部材の表面であってもよい。
【0029】
具体的には、図4(A)は、振動発生装置2の加速度G1がタッチ面TSと交差する振動軸VAの方向における一方の向き(Y2向き)に作用するときの接触部1Fcの加速度G2の向きを示し、図4(B)は、振動発生装置2の加速度G1がゼロになったときに接触部1Fcの加速度G2もゼロになることを示し、図4(C)は、振動発生装置2の加速度G1がタッチ面TSと交差する振動軸VAの方向における他方の向き(Y1向き)に作用するときの接触部1Fcの加速度G2の向きを示す。
【0030】
なお、図4に示す例では、振動発生装置2は、使用者がペン型指示具101を支持する部分(使用者の指が接触する部分)よりも前側(X1側)に配置されている。そのため、振動発生装置2の加速度G1と接触部1Fcの加速度G2とは互いに同じ向きとなっている。しかしながら、振動発生装置2は、使用者がペン型指示具101を支持する部分(使用者の指が接触する部分)よりも後側(X2側)に配置されていてもよい。この場合、振動発生装置2の加速度G1と接触部1Fcの加速度G2とは互いに反対向きとなる。
【0031】
より具体的には、振動軸VAとタッチ面TSとが交差している場合、振動軸VAの方向における一方の向き(Y2向き)に作用する振動発生装置2の加速度G1は、図4(A)に示すように、タッチ面TSと交差する振動軸VAの方向における一方の向きと同じ向き(Y2向き)に作用する接触部1Fcの加速度G2をもたらす。そして、加速度G2は、タッチ面TSに平行な成分(平行成分G2h)とタッチ面TSに垂直な成分(垂直成分G2v)とに分解される。図4(A)では、平行成分G2hは、使用者に近づく向きに作用し、垂直成分G2vは、鉛直下向きに作用する。
【0032】
同様に、振動軸VAとタッチ面TSとが交差している場合、振動軸VAの方向における他方の向き(Y1向き)に作用する振動発生装置2の加速度G1は、図4(C)に示すように、タッチ面TSと交差する振動軸VAの方向における他方の向きと同じ向き(Y1向き)に作用する接触部1Fcの加速度G2をもたらす。そして、加速度G2は、タッチ面TSに平行な成分(平行成分G2h)とタッチ面TSに垂直な成分(垂直成分G2v)とに分解される。図4(A)では、平行成分G2hは、使用者から遠ざかる向きに作用し、垂直成分G2vは、鉛直上向きに作用する。
【0033】
図4(A)に示す状態と図4(C)に示す状態とは、図4(B)に示す状態を挟んで交互に繰り返される。すなわち、ペン型指示具101には、先端部(接触部1Fc)をタッチ面TSに押し付ける力(加速度G2の鉛直下向きの垂直成分G2vに関する力)と、先端部(接触部1Fc)をタッチ面TSから引き離す力(加速度G2の鉛直上向きの垂直成分G2vに関する力)とが交互に作用する。そのため、ペン型指示具101の先端部(接触部1Fc)は、タッチ面TSと断続的に接触し、接触ノイズを発生させる。
【0034】
このような振動発生装置2の振動方向と接触ノイズとの関係は、ハウジング1の長手方向に平行な振動方向に沿って往復振動する振動発生装置と接触ノイズと関係にも同様に当てはまる。
【0035】
一方で、図5(A)及び図6(A)は、振動発生装置2の加速度G1がタッチ面TSと平行な振動軸VAの方向における一方の向き(Y2向き)に作用するときの接触部1Fcの加速度G2の向きを示し、図5(B)及び図6(B)は、振動発生装置2の加速度G1がタッチ面TSと平行な振動軸VAの方向における他方の向き(Y1向き)に作用するときの接触部1Fcの加速度G2の向きを示す。
【0036】
なお、図5及び図6に示す例では、図4に示す例と同様に、振動発生装置2は、使用者がペン型指示具101を支持する部分(使用者の指が接触する部分)よりも前側(X1側)に配置されている。そのため、振動発生装置2の加速度G1と接触部1Fcの加速度G2とは互いに同じ向きとなっている。しかしながら、振動発生装置2は、使用者がペン型指示具101を支持する部分(使用者の指が接触する部分)よりも後側(X2側)に配置されていてもよい。この場合、振動発生装置2の加速度G1と接触部1Fcの加速度G2とは互いに反対向きとなる。
【0037】
より具体的には、振動軸VAとタッチ面TSとが平行になっている場合、振動軸VAの方向における一方の向き(Y2向き)に作用する振動発生装置2の加速度G1は、図5(A)及び図6(A)に示すように、タッチ面TSと平行な振動軸VAの方向における一方の向き(Y2向き)に作用する接触部1Fcの加速度G2をもたらす。すなわち、加速度G2は、タッチ面TSに平行な成分(平行成分G2h)のみを有し、タッチ面TSに垂直な成分を有しない。そのため、加速度G2は、先端部(接触部1Fc)をタッチ面TSに押し付ける力も、先端部(接触部1Fc)をタッチ面TSから引き離す力も発生させない。
【0038】
同様に、振動軸VAとタッチ面TSとが平行になっている場合、振動軸VAの方向における他方の向き(Y1向き)に作用する振動発生装置2の加速度G1は、図5(B)及び図6(B)に示すように、タッチ面TSと平行な振動軸VAの方向における他方の向き(Y1向き)に作用する接触部1Fcの加速度G2をもたらす。すなわち、加速度G2は、タッチ面TSに平行な成分(平行成分G2h)のみを有し、タッチ面TSに垂直な成分を有しない。そのため、加速度G2は、先端部(接触部1Fc)をタッチ面TSに押し付ける力も、先端部(接触部1Fc)をタッチ面TSから引き離す力も発生させない。
【0039】
図5(A)及び図6(A)に示す状態と図5(B)及び図6(B)に示す状態とは、図4(B)に示すような加速度G1及び加速度G2が何れも作用しない状態を挟んで交互に繰り返される。すなわち、振動発生装置2が振動している場合であっても、ペン型指示具101には、先端部(接触部1Fc)をタッチ面TSに押し付ける力も、先端部(接触部1Fc)をタッチ面TSから引き離す力も作用しない。そのため、ペン型指示具101の先端部(接触部1Fc)は、タッチ面TSから離れることはなく、タッチ面TSに接触した状態が継続的に維持される。したがって、振動軸VAとタッチ面TSとが平行になるときのペン型指示具101(ハウジング1)の姿勢である所定姿勢をとることは、タッチ面TSと先端部(接触部1Fc)とが断続的に接触するのを抑制し或いは防止することができ、ひいては、接触ノイズの発生を抑制し或いは防止することができるという効果をもたらす。
【0040】
そのため、本実施形態に係るペン型指示具101は、使用者がハウジング1を手で持って接触部1Fcをタッチ面TSに接触させたときのハウジング1の姿勢が所定姿勢となるように使用者を誘導する誘導手段GMを備えている。
【0041】
図示例では、誘導手段GMは、ハウジング1の上面(Z1側の面)に付された目印1Msである。ペン型指示具101の使用者は、目印1Msが使用者の前方を向くようにペン型指示具101を把持している。言い換えれば、使用者は、目印1Msが付された部分の反対側に位置するハウジング1の表面部分が、右手の親指の付け根と人差し指の付け根との間にある部位に接触するようにペン型指示具101を把持することで、振動軸VAとタッチ面TSとが互いに平行となるように振動軸VAを位置付けることができる。
【0042】
次に、図7を参照し、ペン型指示具101の別の構成例(ペン型指示具101A~ペン型指示具101C)について説明する。図7は、ペン型指示具101の別の構成例の上面図である。具体的には、図7(A)は、誘導手段GMの一例である誘導手段GM1を有するペン型指示具101Aの上面図である。図7(B)は、誘導手段GMの一例である誘導手段GM2を有するペン型指示具101Bの上面図である。図7(C)は、誘導手段GMの一例である誘導手段GM3を有するペン型指示具101Cの上面図である。
【0043】
なお、図7を参照する以下の説明は、右手で把持されたペン型指示具に関するが、左手で把持されたペン型指示具にも同様に適用される。
【0044】
ペン型指示具101Aは、誘導手段GMとしての目印1Msの代わりに誘導手段GM1を有する点でペン型指示具101と異なるが、その他の点でペン型指示具101と同じである。そのため、ペン型指示具101Aに関する以下の説明では、共通部分の説明が省略され、相違部分が詳説される。
【0045】
誘導手段GM1は、第1凹部RC1及び第2凹部RC2を有する。第1凹部RC1は、使用者が右手でペン型指示具101Aを持ったときに右手の人差し指の腹が接する部分である。第2凹部RC2は、使用者が右手でペン型指示具101Aを持ったときに右手の親指の腹が接する部分である。
【0046】
図7(A)に示す例では、第1凹部RC1及び第2凹部RC2は、人間工学的に形成されている。すなわち、第1凹部RC1及び第2凹部RC2は、使用者が可能な限り自然な動き又は状態でペン型指示具101Aを使うことができるように形成されている。具体的には、第1凹部RC1は、右手の人差し指の腹の膨らみに適合するようにハウジング1の表面において滑らかに凹むように形成され、第2凹部RC2は、右手の親指の腹の膨らみに適合するようにハウジング1の表面において滑らかに凹むように形成されている。
【0047】
使用者は、第1凹部RC1に右手の人差し指の腹を当て、且つ、第2凹部RC2に右手の親指の腹を当てながらペン型指示具101Aを把持し、その先端部(接触部1Fc)をタッチ面TSに接触させるだけで、ペン型指示具101A(ハウジング1)の姿勢を所定姿勢にすることができる。
【0048】
また、第1凹部RC1及び第2凹部RC2は、使用者がハウジング1を手で持って接触部1Fcをタッチ面TSに接触させたときのハウジング1の姿勢が所定姿勢以外の姿勢となるのを抑制できるように構成されていてもよい。すなわち、第1凹部RC1及び第2凹部RC2は、ハウジング1の姿勢が所定姿勢以外の姿勢となるように使用者がハウジング1を把持した場合、使用者が使いづらさ又は持ちにくさを感じるように配置されていてもよい。例えば、第1凹部RC1及び第2凹部RC2は、使用者が第1凹部RC1以外の部分に右手の人差し指の腹を当て、且つ、第2凹部RC2以外の部分に右手の親指の腹を当てながらペン型指示具101Aを把持した場合に、右手の他の部分が第1凹部RC1及び第2凹部RC2のそれぞれに嵌まり込み、使用者が使いづらさ又は持ちにくさを感じてしまうように配置されていてもよい。使用者に使いづらさ又は持ちにくさを感じさせることで、ハウジング1を握り直すように、すなわち、所定姿勢でハウジング1を把持するように使用者を促すためである。
【0049】
なお、誘導手段GM1は、第1凹部RC1及び第2凹部RC2以外の他の凹部を含むように構成されていてもよい。例えば、誘導手段GM1は、右手の中指の背の一部に適合するように形成された凹部(図示せず。)を含むように構成されていてもよく、人差し指の付け根の一部に適合するように中央部1Mの後端部に形成された凹部を含むように構成されていてもよい。
【0050】
ペン型指示具101Bは、誘導手段GMとしての目印1Msの代わりに誘導手段GM2としての第1凸部PR1~第4凸部PR4を有する点でペン型指示具101と異なるが、その他の点でペン型指示具101と同じである。そのため、ペン型指示具101Bに関する以下の説明では、共通部分の説明が省略され、相違部分が詳説される。
【0051】
図7(B)に示す例では、第1凸部PR1~第4凸部PR4は、人間工学的に形成されている。すなわち、第1凸部PR1~第4凸部PR4は、使用者が可能な限り自然な動き又は状態でペン型指示具101Bを使うことができるように形成されている。具体的には、第1凸部PR1及び第2凸部PR2は、第1凸部PR1と第2凸部PR2とに挟まれた領域が右手の人差し指の腹の膨らみに適合するようにハウジング1の表面から滑らかに突出するように形成されている。同様に、第3凸部PR3及び第4凸部PR4は、第3凸部PR3と第4凸部PR4とに挟まれた領域が右手の親指の腹の膨らみに適合するようにハウジング1の表面から滑らかに突出するように形成されている。
【0052】
使用者は、第1凸部PR1と第2凸部PR2とに挟まれた領域に右手の人差し指の腹を当て、且つ、第3凸部PR3と第4凸部PR4とに挟まれた領域に右手の親指の腹を当てながらペン型指示具101Aを把持し、その先端部(接触部1Fc)をタッチ面TSに接触させるだけで、ペン型指示具101A(ハウジング1)の姿勢を所定姿勢にすることができる。
【0053】
また、第1凸部PR1~第4凸部PR4は、使用者がハウジング1を手で持って接触部1Fcをタッチ面TSに接触させたときのハウジング1の姿勢が所定姿勢以外の姿勢となるのを抑制できるように構成されていてもよい。すなわち、第1凸部PR1~第4凸部PR4は、ハウジング1の姿勢が所定姿勢以外の姿勢となるように使用者がハウジング1を把持した場合、使用者が使いづらさ又は持ちにくさを感じるように配置されていてもよい。
【0054】
なお、誘導手段GM2は、第1凸部PR1~第4凸部PR4以外の他の凸部を含むように構成されていてもよい。例えば、誘導手段GM2は、右手の中指の背の一部を挟むように握り部GRに配置された一対の凸部(図示せず。)を含むように構成されていてもよく、人差し指の付け根の一部を挟むように中央部1Mの後端部に配置された一対の凸部を含むように構成されていてもよい。
【0055】
ペン型指示具101Cは、誘導手段GMとしての目印1Msの代わりに誘導手段GM3としての第1パッド部PD1及び第2パッド部PD2を有する点でペン型指示具101と異なるが、その他の点でペン型指示具101と同じである。そのため、ペン型指示具101Cに関する以下の説明では、共通部分の説明が省略され、相違部分が詳説される。
【0056】
図7(C)に示す例では、第1パッド部PD1は、使用者が右手の人差し指の腹を接触させるべき物であると認識できるように形成され、第2パッド部PD2は、使用者が右手の親指の腹を接触させるべき物であると認識できるように形成されている。具体的には、第1パッド部PD1は、右手の人差し指の腹の膨らみと接するようにハウジング1の表面に貼り付けられている。同様に、第2パッド部PD2は、右手の親指の腹の膨らみと接するようにハウジング1の表面に貼り付けられている。
【0057】
第1パッド部PD1の表面には、「人差し指」という文字が付されていてもよく、人差し指を表すイラストが付されていてもよい。同様に、第2パッド部PD2の表面には、「親指」という文字が付されていてもよく、親指を表すイラストが付されていてもよい。
【0058】
また、第1パッド部PD1及び第2パッド部PD2には、右手の指がハウジング1の表面上で滑ってしまうのを抑制できるように、エンボス加工等の滑り止め加工が施されていてもよい。また、第1パッド部PD1及び第2パッド部PD2は、右手の指がハウジング1の表面上で滑ってしまうのを抑制できるように、ゴム又はスポンジ等の弾性体が貼り付けられていてもよい。
【0059】
誘導手段GM3は、第1パッド部PD1及び第2パッド部PD2以外のパッド部を含むように構成されていてもよい。例えば、誘導手段GM3は、右手の中指の背にハウジング1の硬い表面が接触してしまうことがないように、ハウジング1の表面における右手の中指の背が接触すべき部分に配置される軟らかい材料で形成されたパッド部を含んでいてもよい。
【0060】
また、第1パッド部PD1及び第2パッド部PD2は、使用者がハウジング1を手で持って接触部1Fcをタッチ面TSに接触させたときのハウジング1の姿勢が所定姿勢以外の姿勢となるのを抑制できるように構成されていてもよい。すなわち、第1パッド部PD1及び第2パッド部PD2は、ハウジング1の姿勢が所定姿勢以外の姿勢となるように使用者がハウジング1を把持した場合、使用者が使いづらさ又は持ちにくさを感じるように配置されていてもよい。
【0061】
なお、誘導手段GM3は、右手の中指の背の一部と接触するように握り部GRに配置されたパッド部(図示せず。)を含むように構成されていてもよく、人差し指の付け根の一部と接触するように中央部1Mの後端部に配置されたパッド部を含むように構成されていてもよい。
【0062】
次に、図8を参照し、ペン型指示具101の更に別の構成例(ペン型指示具101D~ペン型指示具101F)について説明する。図8は、ペン型指示具101の更に別の構成例の上面図である。具体的には、図8(A)は、誘導手段GMの一例である誘導手段GM4を有するペン型指示具101Dの上面図である。図8(B)は、誘導手段GMの一例である誘導手段GM5を有するペン型指示具101Eの上面図である。図8(C)は、誘導手段GMの一例である誘導手段GM6を有するペン型指示具101Fの上面図である。
【0063】
なお、図8を参照する以下の説明は、右手で把持されたペン型指示具に関するが、左手で把持されたペン型指示具にも同様に適用される。
【0064】
ペン型指示具101Dは、誘導手段GMとしての目印1Msの代わりに誘導手段GM4を有する点でペン型指示具101と異なるが、その他の点でペン型指示具101と同じである。そのため、ペン型指示具101Dに関する以下の説明では、共通部分の説明が省略され、相違部分が詳説される。
【0065】
誘導手段GM4は、第1スイッチSW1を有する。第1スイッチSW1は、ハウジング1の姿勢が所定姿勢のときにハウジング1の表面と接触している右手の人差し指によって操作可能な位置に配置される操作部材の一例である。
【0066】
具体的には、第1スイッチSW1は、図9に示すような押しボタンスイッチである。図9は、図8(A)に示す切断線IX-IXを含むYZ平面に平行な断面をX1側から見たときのペン型指示具101Dの断面図である。図9のブロック矢印で示すように、第1スイッチSW1は、ペン型指示具101Dの長手軸LAに向かって押し込まれるように構成されている。
【0067】
図9に示す例では、第1スイッチSW1は、モーメンタリ方式の押しボタンスイッチであるが、オルタネイト方式の押しボタンスイッチであってもよい。また、第1スイッチSW1は、メンブレンスイッチであってもよい。
【0068】
より具体的には、第1スイッチSW1は、ハウジング1の姿勢が所定姿勢のときにハウジング1の表面と接触している右手の人差し指によって操作可能なハウジング1の表面上の位置に配置されている。図9に示す例では、ハウジング1の姿勢が所定姿勢のときにハウジング1の表面と接触している右手の人差し指で覆われる位置に配置されている。そのため、使用者は、右手の人差し指の腹に既に接触している第1スイッチSW1をその人差し指の腹で押し込むことによって第1スイッチSW1を操作することができる。すなわち、使用者は、右手の人差し指の位置を横にずらすことなく、第1スイッチSW1を操作することができる。但し、第1スイッチSW1は、ハウジング1の姿勢が所定姿勢のときにハウジング1の表面と接触している右手の人差し指で覆われない位置に配置されていてもよい。この場合、第1スイッチSW1は、例えば、使用者が右手の人差し指以外の指を動かすことなく右手の人差し指だけを僅かに動かすことによってアクセスできる位置に配置される。
【0069】
また、第1スイッチSW1は、使用者がハウジング1を手で持って接触部1Fcをタッチ面TSに接触させたときのハウジング1の姿勢が所定姿勢以外の姿勢となるのを抑制できるように構成されていてもよい。すなわち、第1スイッチSW1は、ハウジング1の姿勢が所定姿勢以外の姿勢となるように使用者がハウジング1を把持した場合に使用者が右手の人差し指で操作しにくくなる位置又は操作できない位置に配置されていてもよい。
【0070】
この配置は、ハウジング1の姿勢が所定姿勢以外の姿勢となるように使用者がハウジング1を把持してしまうのを抑制できる。ハウジング1の姿勢が所定姿勢以外の姿勢となるように使用者がハウジング1を把持してしまうと、使用者は、第1スイッチSW1を操作しにくくなってしまうためである。
【0071】
ペン型指示具101Eは、誘導手段GMとしての目印1Msの代わりに誘導手段GM5を有する点でペン型指示具101と異なるが、その他の点でペン型指示具101と同じである。そのため、ペン型指示具101Eに関する以下の説明では、共通部分の説明が省略され、相違部分が詳説される。
【0072】
誘導手段GM5は、第2スイッチSW2を有する。第2スイッチSW2は、ハウジング1の姿勢が所定姿勢のときにハウジング1の表面と接触している右手の親指によって操作可能な位置に配置される操作部材の一例である。
【0073】
具体的には、第2スイッチSW2は、第1スイッチSW1と同様の押しボタンスイッチである。第2スイッチSW2は、ペン型指示具101Eの長手軸LAに向かって押し込まれるように構成されている。
【0074】
図8(B)に示す例では、第2スイッチSW2は、モーメンタリ方式の押しボタンスイッチであるが、オルタネイト方式の押しボタンスイッチであってもよい。また、第2スイッチSW2は、メンブレンスイッチであってもよい。
【0075】
より具体的には、第2スイッチSW2は、ハウジング1の姿勢が所定姿勢のときにハウジング1の表面と接触している右手の親指によって操作可能なハウジング1の表面上の位置に配置されている。図8(B)に示す例では、ハウジング1の姿勢が所定姿勢のときにハウジング1の表面と接触している右手の親指で覆われる位置に配置されている。そのため、使用者は、右手の親指の腹に既に接触している第2スイッチSW2をその親指の腹で押し込むことによって第2スイッチSW2を操作することができる。すなわち、使用者は、右手の親指の位置を横にずらすことなく、第2スイッチSW2を操作することができる。但し、第2スイッチSW2は、ハウジング1の姿勢が所定姿勢のときにハウジング1の表面と接触している右手の親指で覆われない位置に配置されていてもよい。この場合、第2スイッチSW2は、例えば、使用者が右手の親指以外の指を動かすことなく右手の親指だけを僅かに動かすことによってアクセスできる位置に配置される。
【0076】
また、第2スイッチSW2は、使用者がハウジング1を手で持って接触部1Fcをタッチ面TSに接触させたときのハウジング1の姿勢が所定姿勢以外の姿勢となるのを抑制できるように構成されていてもよい。すなわち、第2スイッチSW2は、ハウジング1の姿勢が所定姿勢以外の姿勢となるように使用者がハウジング1を把持した場合に使用者が右手の親指で操作しにくくなる位置又は操作できない位置に配置されていてもよい。
【0077】
この配置は、ハウジング1の姿勢が所定姿勢以外の姿勢となるように使用者がハウジング1を把持してしまうのを抑制できる。ハウジング1の姿勢が所定姿勢以外の姿勢となるように使用者がハウジング1を把持してしまうと、使用者は、第2スイッチSW2を操作しにくくなってしまうためである。
【0078】
ペン型指示具101Fは、誘導手段GMとしての目印1Msの代わりに誘導手段GM6を有する点でペン型指示具101と異なるが、その他の点でペン型指示具101と同じである。そのため、ペン型指示具101Fに関する以下の説明では、共通部分の説明が省略され、相違部分が詳説される。
【0079】
誘導手段GM6は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を有する。上述のように、第1スイッチSW1は、ハウジング1の姿勢が所定姿勢のときにハウジング1の表面と接触している右手の人差し指によって操作可能な位置に配置される操作部材の一例である。また、第2スイッチSW2は、ハウジング1の姿勢が所定姿勢のときにハウジング1の表面と接触している右手の親指によって操作可能な位置に配置される操作部材の一例である。
【0080】
より具体的には、誘導手段GM6は、ハウジング1の姿勢が所定姿勢のときにハウジング1の表面と接触している右手の人差し指によって操作可能なハウジング1の表面上の位置に第1スイッチSW1が配置され、且つ、ハウジング1の姿勢が所定姿勢のときにハウジング1の表面と接触している右手の親指によって操作可能なハウジング1の表面上の位置に第2スイッチSW2が配置されるように構成されている。図8(C)に示す例では、ハウジング1の姿勢が所定姿勢のときにハウジング1の表面と接触している右手の人差し指で覆われる位置に第1スイッチSW1が配置され、且つ、ハウジング1の姿勢が所定姿勢のときにハウジング1の表面と接触している右手の親指で覆われる位置に第2スイッチSW2が配置されている。そのため、使用者は、右手の人差し指の腹に既に接触している第1スイッチSW1をその人差し指の腹で押し込むことによって第1スイッチSW1を操作することができ、且つ、右手の親指の腹に既に接触している第2スイッチSW2をその親指の腹で押し込むことによって第2スイッチSW2を操作することができる。但し、第1スイッチSW1は、ハウジング1の姿勢が所定姿勢のときにハウジング1の表面と接触している右手の人差し指で覆われない位置に配置されていてもよく、第2スイッチSW2は、ハウジング1の姿勢が所定姿勢のときにハウジング1の表面と接触している右手の親指で覆われない位置に配置されていてもよい。この場合、第1スイッチSW1は、使用者が右手の人差し指以外の指を動かすことなく右手の人差し指だけを僅かに動かすことによってアクセスできる位置に配置され、第2スイッチSW2は、使用者が右手の親指以外の指を動かすことなく右手の親指だけを僅かに動かすことによってアクセスできる位置に配置される。
【0081】
上述のように、本発明の一実施形態に係るペン型指示具101は、タッチ面TSと接触可能な接触部1Fcを有するハウジング1と、ハウジング1の内部に設置されるとともにハウジング1の長手方向(X軸方向)に垂直な振動方向(Y軸方向)に沿って往復振動する振動発生装置2と、使用者がハウジング1を手で持って接触部1Fcをタッチ面TSに接触させたときのハウジング1の姿勢が所定姿勢となるように使用者を誘導する誘導手段GMと、備える。所定姿勢は、振動方向がタッチ面TSと平行になる姿勢である。
【0082】
図1に示す例では、ハウジング1は、タッチ面TS(図5参照。)と接触可能な先端部(接触部1Fc)を有する前部1F、前部1Fから後方に延在し握り部GRを有する中央部1M、及び、中央部1Mから後方に延在する後部1Bを有するとともに前後方向(X軸方向)を長手方向としている。すなわち、ハウジング1は、前後方向(X軸方向)に延びる長手軸LAを有し、振動発生装置2は、左右方向(Y軸方向)に延びる振動軸VAを有する。図示例では、長手軸LAと振動軸VAとは、図2に示すように、Z軸方向に沿って見たときに互いに垂直となるように配置されているが、図3に示すように、Y軸方向に沿って見たときには交差(直交)していない。すなわち、長手軸LAと振動軸VAとは、互いにねじれの位置となるように配置されている。但し、長手軸LAと振動軸VAとは、互いに直交するように配置されていてもよい。
【0083】
この構成は、先端部(接触部1Fc)がタッチ面TSを打撃しにくいという効果をもたらす。すなわち、この構成は、先端部(接触部1Fc)とタッチ面TSとの間の断続的な接触が生じるのを抑制できるという効果をもたらす。振動発生装置2が発生させる振動は、先端部(接触部1Fc)の振動を発生させるが、ハウジング1が所定姿勢にあるときには、先端部(接触部1Fc)の振動の方向は、タッチ面TSに平行な方向となるためである。すなわち、ハウジング1が所定姿勢にあるときには、先端部(接触部1Fc)は、タッチ面TSと交差する方向には振動しないためである。
【0084】
誘導手段GMは、ハウジング1の長手方向に垂直で且つ振動発生装置2の振動方向に垂直な方向を他の方向から区別可能に提示する、ハウジング1の表面に配置された目印であってもよい。
【0085】
図5に示す例では、誘導手段GMは、ハウジング1の長手方向(X軸方向)に垂直で且つ振動発生装置2の振動方向(Y軸方向)に垂直な方向(Z軸方向)をZ軸方向以外の方向から区別可能に提示する目印1Msである。
【0086】
この構成により、ペン型指示具101の使用者は、目印1Msを視認することにより、長手軸LA及び振動軸VAのそれぞれに垂直な方向であるZ軸方向を容易に認識することができる。使用者は、目印1Msが付された面を使用者の前方に向けてペン型指示具101を把持するだけで、ハウジング1の姿勢を所定姿勢にすることができる。使用者は、目印1Msが付された部分を通る軸(長手軸LAに垂直な軸)が振動軸VAに垂直であることを認識する必要は無く、振動軸VAの延在方向を認識する必要もない。すなわち、使用者は、振動軸VAの延在方向を意識する必要は無く、単に機械的に目印1Msが付された面を使用者の前方に向けてペン型指示具101を把持するだけで、接触ノイズの発生を抑制できる。
【0087】
誘導手段GMは、ハウジング1の姿勢が所定姿勢のときにハウジング1の表面と接触する人差し指が配置される領域を定める凹部又は凸部と、ハウジング1の姿勢が所定姿勢のときにハウジング1の表面と接触する親指が配置される領域を定める凹部又は凸部と、を含んでいてもよい。
【0088】
図7(A)に示す例では、誘導手段GMの一例である誘導手段GM1は、ハウジング1の姿勢が所定姿勢のときにハウジング1の表面と接触する使用者の右手の人差し指が配置される領域を定める第1凹部RC1と、ハウジング1の姿勢が所定姿勢のときにハウジング1の表面と接触する使用者の右手の親指が配置される領域を定める第2凹部RC2と、を含んでいる。
【0089】
図7(B)に示す例では、誘導手段GMの一例である誘導手段GM2は、ハウジング1の姿勢が所定姿勢のときにハウジング1の表面と接触する使用者の右手の人差し指が配置される領域を定める第1凸部PR1及び第2凸部PR2と、ハウジング1の姿勢が所定姿勢のときにハウジング1の表面と接触する使用者の右手の親指が配置される領域を定める第3凸部PR3及び第4凸部PR4と、を含んでいる。
【0090】
誘導手段GMは、ハウジング1の姿勢が所定姿勢のときにハウジング1の表面と接触する使用者の右手の人差し指が配置される領域を定める凹部と、ハウジング1の姿勢が所定姿勢のときにハウジング1の表面と接触する使用者の右手の親指が配置される領域を定める凸部と、を含んでいてもよい。或いは、誘導手段GMは、ハウジング1の姿勢が所定姿勢のときにハウジング1の表面と接触する使用者の右手の人差し指が配置される領域を定める凸部と、ハウジング1の姿勢が所定姿勢のときにハウジング1の表面と接触する使用者の右手の親指が配置される領域を定める凹部と、を含んでいてもよい。
【0091】
これらの構成により、ペン型指示具101の使用者は、自然な状態でペン型指示具101Bを把持するだけで、ハウジング1の姿勢を所定姿勢にすることができる。使用者は、振動軸VAの延在方向を認識する必要もない。すなわち、使用者は、振動軸VAの延在方向を意識する必要は無く、自然な状態でペン型指示具101を把持するだけで、接触ノイズの発生を抑制できる。
【0092】
「自然な状態」は、例えば、ペン型指示具101を把持している使用者が持ちにくさ又は使いにくさといった違和感を抱かない状態を含む。或いは、「自然な状態」は、例えば、ペン型指示具101の様々な持ち方のうちで最も持ちやすいと使用者が感じる持ち方を選択した状態を含む。図7(A)に示す例では、「自然な状態」は、第1凹部RC1に使用者の右手の人差し指の腹が当てられ、且つ、第2凹部RC2に使用者の右手の親指の腹が当てられた状態である。
【0093】
誘導手段GMは、ハウジング1の姿勢が所定姿勢のときにハウジング1の表面と接触する人差し指によって操作可能な位置(ハウジング1の表面上の位置)に配置される操作部材、又は、ハウジング1の姿勢が所定姿勢のときにハウジング1の表面と接触する親指によって操作可能な位置(ハウジング1の表面上の位置)に配置される操作部材を含んでいてもよい。
【0094】
図8(A)に示す例では、誘導手段GMの一例である誘導手段GM4は、ハウジング1の姿勢が所定姿勢のときにハウジング1の表面と接触する使用者の右手の人差し指によって操作可能な位置に配置される操作部材の一例である第1スイッチSW1を含んでいる。
【0095】
図8(B)に示す例では、誘導手段GMの一例である誘導手段GM5は、ハウジング1の姿勢が所定姿勢のときにハウジング1の表面と接触する使用者の右手の親指によって操作可能な位置に配置される操作部材の一例である第2スイッチSW2を含んでいる。
【0096】
図8(C)に示す例では、誘導手段GMの一例である誘導手段GM6は、ハウジング1の姿勢が所定姿勢のときにハウジング1の表面と接触する使用者の右手の人差し指によって操作可能な位置に配置される操作部材の一例である第1スイッチSW1と、ハウジング1の姿勢が所定姿勢のときにハウジング1の表面と接触する使用者の右手の親指によって操作可能な位置に配置される操作部材の一例である第2スイッチSW2と、を含んでいる。
【0097】
これらの構成により、ペン型指示具101の使用者は、自然な状態でペン型指示具101Bを把持するだけで、ハウジング1の姿勢を所定姿勢にすることができる。使用者は、振動軸VAの延在方向を認識する必要もない。すなわち、使用者は、振動軸VAの延在方向を意識する必要は無く、自然な状態でペン型指示具101を把持するだけで、接触ノイズの発生を抑制できる。
【0098】
「自然な状態」は、例えば、ペン型指示具101を把持している使用者が第1スイッチSW1を右手の人差し指で(不自然な動きをすることなく)容易に操作できる状態、又は、ペン型指示具101を把持している使用者が第2スイッチSW2を右手の親指で(不自然な動きをすることなく)容易に操作できる状態を含む。
【0099】
振動発生装置2は、望ましくは、ハウジング1の内部において、ハウジング1の握り部GRに対応する位置に設置されている。
【0100】
図1図3に示す例では、振動発生装置2は、円筒状のハウジング1の内部において、ハウジング1の握り部GRに対応する位置に設置された台座部1Mpに取り付けられている。
【0101】
この構成は、振動発生装置2が握り部GRに対応しない位置に設置される場合に比べ、使用者が触覚で知覚する振動の大きさを大きくできるという効果をもたらす。「握り部GRに対応しない位置」は、例えば、中央部1Mの前端部又は後端部に対応する位置等、中央部1Mにおける握り部GR以外の部分に対応する位置である。但し、振動発生装置2は、円筒状のハウジング1の内部において、握り部GRに対応しない位置に設けられていてもよい。また、振動発生装置2は、ハウジング1の内部において、ハウジング1の前部1F又は後部1Bに対応する位置に設置されていてもよい。
【0102】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形又は置換等が適用され得る。また、上述の実施形態を参照して説明された特徴のそれぞれは、技術的に矛盾しない限り、適宜に組み合わされてもよい。
【0103】
例えば、上述の実施形態では、ペン型指示具101は、タッチパネル又はタッチパッド等の別体型の座標読み取り装置と協働する座標指示器としてのスタイラスペンであるが、別体型の座標読み取り装置を必要としないペン型マウスであってもよい。
【0104】
また、上述の実施形態では、ペン型指示具101のハウジング1内には一つの振動発生装置2が収容されているが、二つ以上の振動発生装置2が収容されていてもよい。なお、二つ以上の振動発生装置2のそれぞれの振動方向は互いに平行である。
【0105】
また、上述の実施形態では、操作部材の一例として押しボタンが採用されているが、操作部材は、ダイヤル、スライダ、又はホイール等であってもよい。
【0106】
また、上述の実施形態では、誘導手段GM1~誘導手段GM3を構成する各部(第1凹部RC1、第2凹部RC2、第1凸部PR1~第4凸部PR4、第1パッド部PD1、及び第2パッド部PD2)は、握り部GRの表面に配置されているが、握り部GRの表面以外の位置に配置されていてもよい。例えば、誘導手段GM1~誘導手段GM3を構成する各部の少なくとも一部は、中央部1Mにおける握り部GR以外の部分の表面に配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0107】
1・・・ハウジング 1B・・・後部 1F・・・前部 1Fc・・・接触部 1M・・・中央部 1Mp・・・台座部 1Ms・・・目印 2・・・振動発生装置 101・・・ペン型指示具 GM、GM1~GM6・・・誘導手段 GR・・・握り部 LA・・・長手軸 PD1・・・第1パッド部 PD2・・・第2パッド部 PR1・・・第1凸部 PR2・・・第2凸部 PR3・・・第3凸部 PR4・・・第4凸部 RC1・・・第1凹部 RC2・・・第2凹部 SW1・・・第1スイッチ SW2・・・第2スイッチ TS・・・タッチ面 VA・・・振動軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9