(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187423
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
F24C 7/02 20060101AFI20221212BHJP
F24C 7/04 20210101ALI20221212BHJP
F24C 15/02 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
F24C7/02 310
F24C7/04 A
F24C7/02 521A
F24C7/02 511K
F24C15/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095455
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】上甲 康之
(72)【発明者】
【氏名】森田 賢治
(72)【発明者】
【氏名】漆原 篤彦
(72)【発明者】
【氏名】三上 佳朗
(72)【発明者】
【氏名】逸見 泰章
(72)【発明者】
【氏名】大都 紀之
【テーマコード(参考)】
3L086
3L087
【Fターム(参考)】
3L086AA01
3L086AA13
3L086BC07
3L086CB01
3L086DA02
3L086DA24
3L087AA01
3L087AA04
3L087BB01
3L087DA24
(57)【要約】
【課題】カメラの視野の欠損の発生を抑制する。
【解決手段】加熱調理器10は、加熱庫12と、外界の光を加熱庫に透過する透明なガラス(内側ドアガラス31)を有する開閉自在なドア20と、ガラスを介してガラスよりも奥側の領域を撮影できるカメラ50と、を備える。ガラスには、パンチングメタルよりも開口率が高い透明な電磁波遮蔽ガラスが用いられている。カメラは、ドアの内部に、電磁波遮蔽ガラスを挟んで加熱庫に対向して配置されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱庫と、
外界の光を前記加熱庫に透過する透明なガラスを有する開閉自在なドアと、
前記ガラスを介して前記ガラスよりも奥側の領域を撮影できるカメラと、を備える
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理器において、
電磁波を発生する加熱源を有し、
前記ガラスとして、パンチングメタルよりも開口率が高い透明な電磁波遮蔽ガラスを用いており、
前記カメラは、前記ドアの内部に、前記電磁波遮蔽ガラスを挟んで前記加熱庫に対向して配置されている
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の加熱調理器において、
前記カメラは、レンズ光軸を水平よりも下向きに傾斜した状態で、前記ドアの上縁部のフレームに固定されている
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の加熱調理器において、
前記カメラは、環境光を遮蔽する遮蔽板と前記ガラスとで囲まれている
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項5】
請求項4に記載の加熱調理器において、
前記遮蔽板は、前記カメラのレンズ光軸と平行か、又は、前記カメラのレンズ光軸よりも下向きに傾斜して配置され、
前記遮蔽板と前記ガラスとの間には、隙間が設けられている
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の加熱調理器において、
前記ドアの内部に、冷却風が通過する冷却風路を備え、
前記カメラの背面は、前記冷却風路に面している
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項7】
請求項1に記載の加熱調理器において、
前記カメラは、前記加熱庫の天面、左面、右面、背面、底面のいずれか1つ以上の面に配置され、かつ、前記加熱庫の内部に加え、前記ガラスを介した当該加熱調理器の外部の撮影が可能である
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項8】
請求項7に記載の加熱調理器において、
前記カメラは、回動可能な
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項9】
請求項8に記載の加熱調理器において、
前記カメラは、レンズ光軸が前記加熱庫の内部方向と前記加熱庫の外部方向とに切り替わるように、回動する
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の加熱調理器において、
前記カメラによって撮影される画像の色補正を行う環境光補正部を備える
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項11】
請求項10に記載の加熱調理器において、
前記環境光補正部は、前記カメラによって撮影される環境光に基づいて、前記ドアが閉鎖された状態で前記カメラによって撮影される前記加熱庫の内部の画像に対してホワイトバランスの調整を行う
ことを特徴とする加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子レンジや、オーブン、オーブンレンジ等の加熱調理器において、食材(被加熱物)を良好に加熱するために、加熱庫内の食材を撮影することが行われている。そして、この種の従来技術として、ドアの内部に設けられた一般に「パンチングメタル」と称される電磁波遮蔽板の貫通孔に固定されたカメラで、ドアに設けられた内側ドアガラス越しに、少なくとも一つの貫通孔がカメラの視野内に存在するように加熱庫内を撮影する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。ここで「パンチングメタル」とは、複数の貫通孔が形成された網目状の金属板である。また、この種の従来技術として、ドアに設けられた内側ドアガラスに貫通孔を形成して耐熱ガラスを嵌めこみ、ドアの内部に設けられたカメラで、耐熱ガラス越しに、加熱庫内を撮影する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2017-527763号公報
【特許文献2】特開2018-109453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された従来技術は、カメラの視野にパンチングメタル(電磁波遮蔽板)の貫通孔を含むため、カメラの視野に欠損が生じる、という課題があった。
【0005】
また、特許文献2に記載された従来技術は、内側ドアガラスと耐熱レンズとが別体であるため、内側ドアガラスと耐熱レンズとの境界に汚れが蓄積した場合に、カメラの視野に欠損が生じる、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、加熱調理器であって、加熱庫と、外界の光を前記加熱庫に透過する透明なガラスを有する開閉自在なドアと、前記ガラスを介して前記ガラスよりも奥側の領域を撮影できるカメラと、を備える構成とする。
その他の手段は、後記する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態1に係る加熱調理器の斜視図(1)である。
【
図2】実施形態1に係る加熱調理器の斜視図(2)である。
【
図3】実施形態1に係る加熱調理器の主要部の概略断面図である。
【
図4A】実施形態1に係る加熱調理器の撮影動作の説明図(1)である。
【
図4B】実施形態1に係る加熱調理器の撮影動作の説明図(2)である。
【
図5】実施形態1に係る加熱調理器のホワイトバランスの設定動作を示すフローチャートである。
【
図6】実施形態2に係る加熱調理器の主要部の概略断面図である。
【
図7】実施形態3に係る加熱調理器の主要部の概略断面図である。
【
図8A】実施形態3に係る加熱調理器の撮影動作の説明図(1)である。
【
図8B】実施形態3に係る加熱調理器の撮影動作の説明図(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)について詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示しているに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0009】
[実施形態1]
前記した特許文献1に記載された従来技術(以下、「第1従来技術」と称する場合がある)と前記した特許文献2に記載された従来技術(以下、「第2従来技術」と称する場合がある)とには、以下のような課題がある。本実施形態1は、以下の課題を解決する加熱調理器を提供することも意図している。
【0010】
(1)特許文献1に記載された第1従来技術は、カメラの視野にパンチングメタル(電磁波遮蔽板)の貫通孔を含むため、パンチングメタル(電磁波遮蔽板)の貫通孔に汚れが蓄積した場合にも、カメラの視野の欠損が発生する、という課題があった。また、第1従来技術は、パンチングメタル(電磁波遮蔽板)の貫通孔が撮影画像内に映り込むことにより、撮影画像の色調変化が発生して、加熱庫に収容された食材の良好な撮影が阻害される可能性がある、という課題があった。
【0011】
(2)また、特許文献2に記載された第2従来技術は、耐熱レンズの領域を大きくすると、内側ドアガラスの領域が狭くなり、加熱庫の内部のユーザからの視認性が低下する、という課題があった。また、第2従来技術は、内側ドアガラスに設けられた貫通孔を大きくすると、貫通孔によって電磁波の遮蔽性が低下する、という課題があった。また、第2従来技術は、ドアに設けられた外側ドアガラスから差し込んだ環境光(外界の光)が耐熱レンズで反射して、反射光によって加熱庫の内部のユーザからの視認性を損なう可能性がある、という課題があった。また、第2従来技術は、外側ドアガラスから差し込んだ環境光(外界の光)が耐熱ガラスに映り込むことにより、撮影画像の色調変化が発生して、加熱庫に収容された食材の良好な撮影が阻害される可能性がある、という課題があった。
【0012】
<加熱調理器の構成>
以下、
図1乃至
図3を参照して、本実施形態1に係る加熱調理器10の構成について説明する。
図1及び
図2は、それぞれ、本実施形態1に係る加熱調理器10の斜視図である。
図1は、ドアを閉じた状態の加熱調理器10の構成を示しており、
図2は、ドアを開いた状態の加熱調理器10の構成を示している。
図3は、加熱調理器10の主要部の概略断面図である。ここでは、加熱調理器10が電子レンジであるものとして説明するが、加熱調理器10はオーブンやオーブンレンジ等の形態であってもよい。
【0013】
図1及び
図2に示すように、本実施形態1に係る加熱調理器10は、筐体11の内部に設けられた加熱庫12と、加熱庫12の前面側に設けられた開口部を開閉するドア20と、を備えている。
【0014】
加熱庫12は、周囲に設けられた加熱源13で内部に収容された食材(被加熱物)を加熱する構成要素である。本実施形態では、加熱源13が食材(被加熱物)に電磁波を照射する電磁波照射手段として構成されているものとして説明する。
図2に示すように、加熱庫12は、天面16a、左面16b、右面16c、背面16d(奥壁面)、底面16eとで囲まれており、前面側が開口部として開校した構成になっている。
【0015】
ドア20は、筐体11の前面側の下部に設けられた回動支持部15で開閉自在に支持されている。ドア20は、手前側に倒れることで加熱庫12を開放し(
図2参照)、奥側に起立することで加熱庫12を閉鎖する(
図1参照)。ドア20の上部には、ユーザが把持する取っ手25が設けられている。また、ドア20には、ユーザが加熱庫12の内部を視認するためのドアガラス30が設けられている。
【0016】
図3に示すように、ドアガラス30は、ドア20の内側に配置された内側ドアガラス31(ガラス)と、ドア20の外側に配置された外側ドアガラス32と、を有している。内側ドアガラス31は、庫内側表面31aが加熱庫12に臨み、庫外側表面31bがドア20の内部空間に臨むように配置されている。また、外側ドアガラス32は、庫内側表面32aがドア20の内部空間に臨み、庫外側表面32bが外界に臨むように配置されている。
【0017】
内側ドアガラス31は、ドア20の内側に配置されたドアベース21に固定されている。ドアベース21は、加熱源13により発生する電磁波を効率よく減衰することができるように、チョーク構造になっている。
【0018】
加熱調理器10は、加熱源13により発生する電磁波を効率よく減衰することができるように、内側ドアガラス31として電磁波遮蔽ガラスを用いている。電磁波遮蔽ガラスは、強化ガラス41に金属メッシュ42が一体化されたガラスである。金属メッシュ42は、電磁波を減衰するための金属材であり、網目状に形成されている。金属メッシュ42は、接着剤(図示せず)によって強化ガラス41に接合したりメッキ加工によって強化ガラス41に接合したりすることで、強化ガラス41と一体化されている。
【0019】
金属メッシュ42の開口率は、前記した第1従来技術に用いられているパンチングメタルの開口率(概ね約50%以下)よりも高くおり、例えば、約78%になっている。このような金属メッシュ42は、網目を形成する線が細いため、透明(ほぼ透明)に見える。このような金属メッシュ42を備える内側ドアガラス31(ガラス)も、透明(ほぼ透明)に見える。
【0020】
図示例では、内側ドアガラス31は、強化ガラス41と抑えガラス43との間に金属メッシュ42を配置した構成、つまり、複数層のガラスを有する構成になっている。強化ガラス41と抑えガラス43とは、同等の厚さか、又は、強化ガラス41の方が抑えガラス43よりも厚くなっている。
【0021】
ただし、内側ドアガラス31は、強化ガラス41に金属メッシュ42を接合して、抑えガラス43を排除した構成、つまり、1層(単相)のガラスだけを有する構成にすることもできる。
【0022】
なお、加熱調理器10は、内側ドアガラス31だけでなく、外側ドアガラス32にも電磁波遮蔽ガラスを用いるようにしてもよい。
【0023】
内側ドアガラス31と外側ドアガラス32とは、外界から加熱庫12の内部を見えるように透明になっている。したがって、ユーザは、加熱調理時等に、内側ドアガラス31と外側ドアガラス32とを介して加熱庫12の内部を明瞭に見ることができる。
【0024】
加熱調理器10は、ドア20の内部に、食材(被加熱物)を撮影するためのカメラ50を備えている。カメラ50は、レンズ光軸51を水平よりも下向きに傾斜した状態で、ドア20のドア枠23の上縁部に配置されたフレーム24に固定されている。カメラ50は、ドアベース21と、ドア枠23のフレーム24と、環境光(外界の光)を遮蔽する遮蔽板61と、内側ドアガラス31とで囲まれている。ドアベース21とドア枠23のフレーム24と遮蔽板61と内側ドアガラス31とは、環境光(外界の光)を遮蔽して、カメラ50の視野への環境光(外界の光)の進入を遮断する環境光遮蔽部60を形成している。
【0025】
遮蔽板61は、カメラ50のレンズ光軸51と平行か、又は、カメラ50のレンズ光軸51よりも下向きに傾斜して配置されている。これにより、加熱調理器10は、カメラ50の視野を確保する。
【0026】
ドアベース21と遮蔽板61との間には、内側ドアガラス31から加熱庫12を臨む(撮影する)ための撮影孔22が設けられている。カメラ50は、内側ドアガラス31として用いられている透明な電磁波遮蔽ガラス越しに加熱庫12の内部を撮影する。内側ドアガラス31のカメラ50に対向する部位は、カメラ50を保護するカメラ保護部31cとして機能する。カメラ保護部31cは、ユーザが加熱庫12の内部を覗く際に利用する覗き窓としての機能も兼ねている。カメラ保護部31cは、内側ドアガラス31の一部位であるため、仮に油や蒸気等の付着物が付着して汚れることがあったとしても、付着物を容易にふき取ることができる。これにより、加熱調理器10は、カメラ50の良好な視野を容易に確保することができる。内側ドアガラス31は、支持構造を除けば、外側ドアガラス32とほぼ同じ寸法になっている。
【0027】
環境光遮蔽部60は、外側ドアガラス32から差し込む環境光(外界の光)が内側ドアガラス31の庫外側表面31bに反射してカメラ50の撮影部に進入し、撮影画像に映り込むことを防止する。また環境光遮蔽部60は、カメラ50を冷却するための風路も兼ねている。環境光遮蔽部60の遮蔽板61は、内側ドアガラス31の庫外側表面31bと対向する位置にある端部が、カメラ50よりも庫内側に配置されるように、構成されている。遮蔽板61と内側ドアガラス31の庫外側表面31bとの間には、環境光(外界の光)が差し込まない程度の隙間62が形成されている。隙間62は、遮蔽板61が内側ドアガラス31の庫外側表面31bに当たって、内側ドアガラス31の庫外側表面31bに傷が付くことを防止する。なお、加熱調理器10は、遮蔽板61と内側ドアガラス31の庫外側表面31bとの間に隙間62を形成する代わりに、弾性変形するシール材を介して遮蔽板61を内側ドアガラス31の庫外側表面31bに当接させるようにしてもよい。なお、環境光遮蔽部60のカメラ50に面する側の表面を、つや消しの黒に塗装する等して、内面反射や迷光を防止することが好ましい。
【0028】
加熱調理器10は、ドア20の下部に操作基板28を有している。操作基板28は、ユーザの操作を受け付ける操作部が一体化された基板である。操作基板28は、筐体11(
図1参照)の内部に配置された制御基板29と電気的に接続されている。制御基板29は、加熱源13やカメラ50等の動作を制御する基板である。制御基板29は、加熱源13やカメラ50と電気的に接続されている。制御基板29は、加熱調理器10の全体の動作を制御する制御部29aと、カメラ50によって撮影される撮影画像の色補正を行う環境光補正部29bと、を有している。この制御部29aや環境項補正部29bは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)で構成することができる。
【0029】
<加熱調理器の動作>
以下、
図4A、
図4B、及び、
図5を参照して、加熱調理器10の動作について説明する。
図4A及び
図4Bは、それぞれ、加熱調理器10の撮影動作の説明図である。
図4Aは、環境光(外界99の光)を取得(撮影)する場合の加熱調理器10の動作を示しており、
図4Bは、加熱庫12の内部を撮影する場合の加熱調理器10の動作を示している。
図5は、加熱調理器10のホワイトバランスの設定動作を示すフローチャートである。
【0030】
図4Aに示すように、加熱調理器10は、ホワイトバランスの設定時に、ドア20が開放された状態でカメラ50によって環境光(外界99の光)を取得(撮影)する。このとき、加熱調理器10の環境光補正部29bは、取得(撮影)された環境光(外界99の光)に基づいてホワイトバランスの設定値を算出し、算出されたホワイトバランスの設定値を図示せぬ記憶部に記憶する。
【0031】
次に、
図4Bに示すように、加熱調理器10は、ドア20が閉鎖された状態でカメラ50によって加熱庫12の内部の画像を撮影する。このとき、加熱調理器10は、図示せぬ記憶部に記憶されたホワイトバランスの設定値に基づいて、加熱庫12の内部の撮影画像に対してホワイトバランスの調整を行う。
【0032】
図5は、このような加熱調理器10のホワイトバランスの設定動作を示している。ここでは、
図4Aに示すように、初期時においてドア20が閉鎖された状態になっているものとして説明する。
【0033】
図5に示すように、まず、加熱調理器10の環境光補正部29bは、ホワイトバランスの初期設定を行う(ステップS105)。次に、加熱調理器10の環境光補正部29bは、ホワイトバランスの自動設定を行うか否か(手動設定を行うか)を判定する(ステップS110)。
【0034】
ステップS110の判定で自動設定を行うと判定された場合(“Yes”の場合)に、加熱調理器10の制御部29aは、ドア20が開かれたと判定されるまで待機し(ステップS115)、ドア20が開かれた(
図4B参照)と判定されると(ステップS120)、カメラ50によって外界99(
図4B参照)の画像を撮影する。これにより、加熱調理器10は、環境光(外界99の光)を取得(撮影)する(ステップS125)。ステップS125の後、加熱調理器10の環境光補正部29bは、取得(撮影)された環境光(外界99の光)に基づいて、ホワイトバランスの自動設定を行う(ステップS130)。この場合に、加熱調理器10の環境光補正部29bは、取得(撮影)された環境光(外界99の光)に基づいてホワイトバランスの設定値を算出し、算出されたホワイトバランスの設定値を図示せぬ記憶部に記憶する。
【0035】
一方、ステップS110の判定で自動設定を行わないと判定された場合(“No”の場合)に、加熱調理器10の制御部29aは、ホワイトバランスの手動設定を行う(ステップS135)。この場合に、加熱調理器10の環境光補正部29bは、操作基板28に設けられた操作部でユーザによって入力されるホワイトバランスの設定値を受け付け、ホワイトバランスの設定値を図示せぬ記憶部に記憶する。
【0036】
ステップS130又はステップS135の後、加熱調理器10の制御部29aは、ユーザが加熱庫12に収容された食材(被加熱物)の調理を指示すると、カメラ50によって加熱庫12の内部を撮影する(ステップS140)。
【0037】
ステップS140の後、加熱調理器10の環境光補正部29bは、加熱庫12の内部の撮影画像に対して画像処理を行い、処理画像を図示せぬ記憶部に保存する(ステップS140)。このとき、加熱調理器10の環境光補正部29bは、加熱庫12の内部の撮影画像に対して画像処理として、ステップS130又はステップS135で図示せぬ記憶部に記憶されたホワイトバランスの設定値に基づいて、加熱庫12の内部の撮影画像に対してホワイトバランスの調整を行う。
【0038】
係る構成において、加熱調理器10は、カメラ50が加熱庫12に対して回動可能な構成になっている。具体的には、加熱調理器10は、ドア20の開放時に、回動支持部15を中心にしてドア20が回動されると、カメラ50がドア20と一緒に回動する構成になっている。このような加熱調理器10は、ドア20の開放時に、カメラ50のレンズ光軸51が庫外(外界)を通るため、環境光(外界99の光)を直接的に取得(撮影)することができる。そして、加熱調理器10は、取得(撮影)された環境光(外界99の光)に基づいて、カメラ50によって撮影される加熱庫12の内部の画像に対してホワイトバランスの調整を行うことで、撮影画像の色補正を確実に行うことができる。
【0039】
<加熱調理器の主な特徴>
(1)
図3に示すように、本実施形態1に係る加熱調理器10は、加熱庫12と、環境光(外界の光)を加熱庫12に透過する透明なガラス(内側ドアガラス31)を有する開閉自在なドア20と、ガラスを介してガラスよりも奥側の領域を撮影できるカメラ50と、を備える。
【0040】
このような本実施形態1に係る加熱調理器10は、前記した第1従来技術と異なり、カメラの視野にパンチングメタル(電磁波遮蔽板)の貫通孔を含まないため、カメラ50の視野の欠損の発生を抑制することができる。また、本実施形態1に係る加熱調理器10は、前記した第1従来技術と異なり、パンチングメタル(電磁波遮蔽板)の貫通孔に汚れが蓄積することがないため、これによってもカメラ50の視野の欠損の発生を抑制することができる。また、本実施形態1に係る加熱調理器10は、前記した第1従来技術と異なり、パンチングメタル(電磁波遮蔽板)の貫通孔が撮影画像内に映り込まないため、撮影画像の色調変化が発生して、加熱庫に収容された食材の良好な撮影が阻害されることを抑制することができる。
【0041】
また、本実施形態1に係る加熱調理器10は、前記した第2従来技術と異なり、内側ドアガラスと耐熱レンズとの境界に汚れが蓄積することがないため、カメラ50の視野の欠損の発生を抑制することができる。また、本実施形態1に係る加熱調理器10は、前記した第2従来技術と異なり、耐熱レンズの領域が存在しないため、耐熱レンズの領域を大きくすることで、内側ドアガラスの領域が狭くなり、ユーザからの視認性が低下することを無くすことができる。また、本実施形態1に係る加熱調理器10は、前記した第2従来技術と異なり、内側ドアガラスに貫通孔が設けられていないため、貫通孔によって電磁波の遮蔽性が低下することを防止することができる。また、本実施形態1に係る加熱調理器10は、前記した第2従来技術と異なり、外側ドアガラスから差し込んだ環境光(外界の光)が耐熱レンズで反射することがないため、反射光によって加熱庫の内部のユーザからの視認性を損なうことを無くすことができる。また、本実施形態1に係る加熱調理器10は、前記した第2従来技術と異なり、外側ドアガラスから差し込んだ環境光(外界の光)が耐熱ガラスに映り込むことにより、撮影画像の色調変化が発生して、加熱庫に収容された食材の良好な撮影が阻害されることを無くすことができる。
【0042】
また、本実施形態1に係る加熱調理器10は、ガラス(内側ドアガラス31)が前記した第1従来技術のパンチングメタル(電磁波遮蔽板)や前記した第2従来技術の耐熱レンズを持たない単純な構成になっている。このような本実施形態1に係る加熱調理器10は、仮に油や蒸気等の付着物がガラス(内側ドアガラス31)に付着して汚れることがあったとしても、付着物を容易にふき取ることができる。これにより、本実施形態1に係る加熱調理器10は、油や蒸気等の汚れが多い使用環境であっても、カメラ50の良好な視野を容易に確保することができる。
【0043】
(2)
図3に示すように、本実施形態1に係る加熱調理器10は、加熱庫12に収容される食材(被加熱物)に電磁波を照射して加熱する加熱源13を有し、ガラス(内側ドアガラス31)として、パンチングメタルよりも開口率が高い透明な電磁波遮蔽ガラスを用いており、カメラ50は、ドア20の内部に、電磁波遮蔽ガラスを挟んで加熱庫12に対向して配置されている。なお、パンチングメタルの開口率は、概ね約50%以下である。本実施形態1に係る加熱調理器10で用いる電磁波遮蔽ガラスは、金属メッシュ42の線が細線化されて、ガラス全体が透明に見えるように、好ましくは開口率が70%以上のもの、より好ましくは開口率が約78%以上のものであるとよい。
【0044】
このような本実施形態1に係る加熱調理器10は、加熱庫12の内部に収容された食材(被加熱物)の視認性の向上と電磁波の遮蔽性の向上とを両立することができる。
【0045】
(3)
図3に示すように、本実施形態1に係る加熱調理器10のカメラ50は、レンズ光軸51を水平よりも下向きに傾斜した状態で、ドア20の上縁部のフレームに固定されている。
【0046】
このような本実施形態1に係る加熱調理器10は、加熱庫12の内部に収容された食材(被加熱物)を良好に撮影することができる。
【0047】
(4)
図3に示すように、本実施形態1に係る加熱調理器10のカメラ50は、環境光(外界の光)を遮蔽する遮蔽板61とガラス(内側ドアガラス31)とで囲まれている。
【0048】
このような本実施形態1に係る加熱調理器10は、撮影した画像への環境光(外界の光)の映り込みを防止することができる。
【0049】
(5)
図3に示すように、本実施形態1に係る加熱調理器10の遮蔽板61は、カメラ50のレンズ光軸51と平行か、又は、カメラ50のレンズ光軸51よりも下向きに傾斜して配置され、遮蔽板61とガラス(内側ドアガラス31)との間には、隙間62が設けられている。
【0050】
このような本実施形態1に係る加熱調理器10は、隙間62によって遮蔽板61とガラス(内側ドアガラス31)とが衝突することを防止することができるため、ガラス(内側ドアガラス31)に傷がつくことを防止することができる。
【0051】
(6)
図3に示すように、本実施形態1に係る加熱調理器10は、カメラ50で撮影される画像に対して環境光(外界の光)の影響を抑制する環境光補正部29bを備える。
【0052】
このような本実施形態1に係る加熱調理器10は、環境光(外界の光)の影響による撮影した画像の色調変化や撮影した画像への意図せぬ環境光(外界の光)の映り込み等を抑制することができる。
【0053】
(7)
図5に示すように、本実施形態1に係る加熱調理器10の環境光補正部29bは、ドア20が開放された状態(
図4B参照)でカメラ50によって撮影された加熱庫12の外部の画像に基づいて、ドア20が閉鎖された状態(
図4A参照)でカメラ50によって撮影された加熱庫12の内部の画像に対してホワイトバランスの調整を行う。
【0054】
このような本実施形態1に係る加熱調理器10は、ドア20が開放された状態(
図4B参照)で環境光(外界の光)を直接受光し、加熱庫12の内部に収容された食材(被加熱物)の加熱時に撮影される画像のホワイトバランスの調整に利用することができる。
【0055】
以上の通り、本実施形態1に係る加熱調理器10によれば、カメラ50の視野の欠損の発生を抑制することができる。
【0056】
[実施形態2]
実施形態1に係る加熱調理器10(
図3参照)は、環境光遮蔽部60にカメラ50を冷却する機構を備えている。これに対して、本実施形態2では、内側ドアガラス31と外側ドアガラス32との間にカメラ50を冷却する風路を備える加熱調理器10Aを提供する。
【0057】
以下、
図6を参照して、本実施形態2に係る加熱調理器10Aの構成について説明する。
図6は、本実施形態2に係る加熱調理器10Aの主要部の概略断面図である。
【0058】
図6に示すように、本実施形態2に係る加熱調理器10Aは、実施形態1に係る加熱調理器10(
図3参照)と比較すると、以下の点で相違している。
(1)加熱調理器10Aは、ドア20の内部に、操作基板28を冷却するための冷却風が通過する冷却風路26を備えている点。
(2)加熱調理器10Aは、環境光遮蔽部60(
図3参照)の代わりに、遮蔽板61(
図3参照)よりも短い遮蔽板61aをカメラ50の下方に配置することにより、カメラ50の背面を外部に露出させた環境光遮蔽部60aを備えている点。
(3)カメラ50の背面が冷却風路26に面している点。
【0059】
カメラ50は、環境光遮蔽部60aの一部(冷却風路26に面する部分)を塞いでいる。言い換えると、環境光遮蔽部60aは、カメラ50によって塞がれる空間が冷却風路26側に設けられている。
【0060】
冷却風路26は、内側ドアガラス31と外側ドアガラス32との間に設けられ、吸気孔27aを介して操作基板28が設けられた空間と連通しているとともに、カメラ50の近傍に設けられた排気孔27bを介して冷却風路26の外部の空間(外界)と連通している。
【0061】
加熱調理器10Aは、冷却風で操作基板28を冷却すると、冷却風を冷却風路26に導いてカメラ50を冷却する。このような加熱調理器10Aは、カメラ50を効率よく冷却することができるため、カメラ50の動作の安定性を向上させることができる。しかも、加熱調理器10Aは、操作基板28を冷却する冷却風でカメラ50を冷却するため、カメラ50を冷却するための専用の冷却風を生成する機構を設けなくてもよい。このような加熱調理器10Aは、サイズを増大させることなく、カメラ50を効率よく冷却することができる。
【0062】
以上の通り、本実施形態2に係る加熱調理器10Aによれば、実施形態1に係る加熱調理器10と同様に、カメラ50の視野の欠損の発生を抑制することができる。
しかも、本実施形態2に係る加熱調理器10Aによれば、実施形態1に係る加熱調理器10に比べて、操作基板28を冷却する冷却風でカメラ50を効率よく冷却することができるため、カメラ50の動作の安定性を向上させることができる。
【0063】
[実施形態3]
実施形態1、2に係る加熱調理器10、10A(
図3及び
図6参照)は、ドア20の内部にカメラ50を備えている。これに対して、本実施形態3では、加熱庫12の内部にカメラ50を備えている加熱調理器10Bを提供する。
【0064】
なお、本実施形態3に係る加熱調理器10Bは、実施形態1で前記した特許文献1に記載された第1従来技術の課題と特許文献2に記載された第2従来技術の課題を解決することも意図したものである。
【0065】
以下、
図7を参照して、本実施形態3に係る加熱調理器10Bの構成について説明する。
図7は、本実施形態3に係る加熱調理器10Bの主要部の概略断面図である。
【0066】
図7に示すように、本実施形態3に係る加熱調理器10Bは、他の実施形態に係る加熱調理器10、10A(
図3及び
図6参照)と比較すると、ドア20の内部ではなく、加熱庫12の内部にカメラ50が配置されている点で相違している。
【0067】
本実施形態に係る加熱調理器10Bは、ガラス(内側ドアガラス31)として、パンチングメタル(約50%以下)よりも開口率が高い透明な電磁波遮蔽ガラスを用いている。カメラ50は、加熱庫12の天面16a、左面16b、右面16c、背面16d、底面16eのいずれか1つ以上の面に配置されている。本実施形態では、カメラ50は、レンズ光軸51を水平よりも下向きに傾斜した状態で、加熱庫12の天面16aに配置されているものとして説明する。加熱庫12の内部に加え、ガラス(内側ドアガラス31)を介した加熱調理器10の外部の撮影が可能である。
【0068】
加熱調理器10Bは、カメラ50の周囲に、円弧状の観測窓54と、円弧状のシャッタ55と、を備えている。カメラ50とシャッタ55は、回転ユニット52によって、同一の回転中心53を中心にして回転する。
【0069】
加熱調理器10Bは、レンズ光軸51が加熱庫12の内部方向と加熱庫12の外部方向とに切り替わるように、カメラ50が回転する(矢印A52参照)構成にしてもよい。
【0070】
この構成では、加熱調理器10Bは、ホワイトバランスの設定時に、カメラ50のレンズ光軸51を加熱庫12の外部方向に向けた状態でカメラ50によって環境光(外界99の光)を取得(撮影)する。このとき、加熱調理器10Bの環境光補正部29bは、取得(撮影)された環境光(外界99の光)に基づいてホワイトバランスの設定値を算出し、算出されたホワイトバランスの設定値を図示せぬ記憶部に記憶する。次に、加熱調理器10Bは、カメラ50のレンズ光軸51を加熱庫12の内部方向に向けた状態でカメラ50によって加熱庫12の内部を撮影する。このとき、加熱調理器10Bの環境光補正部29bは、図示せぬ記憶部に記憶されたホワイトバランスの設定値に基づいて、加熱庫12の内部の撮影画像に対してホワイトバランスの調整を行う。
【0071】
この構成では、カメラ50の光軸が加熱庫12の内壁のいずれかと交わる向きにカメラ50を回転・位置決している状態において、加熱庫12は、環境光遮蔽部を兼ねた構成になっている。また、カメラ50は、ドアガラス30を介してドアガラス30よりも奥側の領域を含む画像を撮影する構成になっている。加熱調理器10Bは、
図8Bのように、ドア20を開けずに環境光を取得(撮影)することができ、取得した環境光に基づいて、加熱庫12の内部の撮影画像に対してホワイトバランスの調整を行うことができる。
【0072】
また、加熱調理器10Bは、
図8A及び
図8Bに示すように、ドア20を開閉することで、環境光(外界99の光)を取得(撮影)したり、加熱庫12の内部を撮影したりする構成にしてもよい。
図8A及び
図8Bは、加熱調理器10Bの撮影動作の説明図である。
図8Aは、環境光(外界99の光)を取得(撮影)する場合の加熱調理器10Bの動作を示しており、
図8Bは、加熱庫12の内部を撮影する場合の加熱調理器10Bの動作を示している。
【0073】
この構成では、
図8Aに示すように、加熱調理器10Bは、ホワイトバランスの設定時に、ドア20が開放された状態でカメラ50によって環境光(外界99の光)を取得(撮影)する。このとき、加熱調理器10Bの環境光補正部29bは、取得(撮影)された環境光(外界99の光)に基づいてホワイトバランスの設定値を算出し、算出されたホワイトバランスの設定値を図示せぬ記憶部に記憶する。
【0074】
次に、
図8Bに示すように、加熱調理器10Bは、ドア20が閉鎖された状態でカメラ50によって加熱庫12の内部の画像を撮影する。このとき、加熱調理器10Bの環境光補正部29bは、図示せぬ記憶部に記憶されたホワイトバランスの設定値に基づいて、加熱庫12の内部の撮影画像に対してホワイトバランスの調整を行う。
【0075】
この構成でも、加熱庫12は、環境光遮蔽部を兼ねた構成になっている。また、カメラ50は、ドアガラス30を介してドアガラス30よりも奥側の領域を含む画像を撮影する構成になっている。加熱調理器10Bは、パンチングメタルのようにドア20の開口率が低い場合においても、ドア20を開けることで環境光を直接取得(撮影)することができ、取得した環境光に基づいて、加熱庫12の内部の撮影画像に対してホワイトバランスの調整を行うことができる。なお、電磁遮蔽ガラスのようにドア20の開口率が高ければ、ドア20を閉じたまま環境光を直接取得(撮影)できる。
【0076】
なお、加熱調理器10Bは、実施形態1、2に係る加熱調理器10、10A(
図3及び
図6参照)と同様に、操作基板28に設けられた操作部でユーザによって入力されるホワイトバランスの設定値を受け付けるようにしてもよい。この場合に、加熱調理器10Bは、実施形態1、2に係る加熱調理器10、10A(
図3及び
図6参照)と同様に、受け付けられたホワイトバランスの設定値を図示せぬ記憶部に記憶し、図示せぬ記憶部に記憶されたホワイトバランスの設定値に基づいて、加熱庫12の内部の撮影画像に対してホワイトバランスの調整を行う。
【0077】
本実施形態3に係る加熱調理器10Bは、実施形態1で説明した前記した第1従来技術や第2従来技術と異なり、加熱庫12の内部に配置されたカメラ50で食材(被加熱物)を直接撮影する構成になっている。このような加熱調理器10Bは、カメラ50の視野が欠損することがなく、カメラ50の視野の欠損の発生を抑制することができる。また、加熱調理器10Bは、撮影画像の色調変化が発生して、加熱庫に収容された食材の良好な撮影が阻害されることを抑制することができる。
【0078】
また、加熱調理器10Bは、カメラ50を、加熱庫12での食材(被加熱物)の出し入れを検知する用途に利用することができる。さらに、加熱調理器10Bは、庫外の環境光(外界99の光)を取得(撮影)する際に、カメラ50を、庫外のセキュリティの向上、庫外の見守り、ドアガラス30の汚れの検知等の用途に利用することができる。なお、「庫外のセキュリティ」は、例えば、加熱調理器10Bが設置されている部屋に入ってきた人物の監視や、ガスコンロ等の可燃物を扱う物品の監視を意味している。また、「庫外の見守り」は、例えば、加熱調理器10Bが設置されている部屋にいる子供やペット等の視聴を意味している。
【0079】
以上の通り、本実施形態3に係る加熱調理器10Bによれば、他の実施形態に係る加熱調理器10、10Aと同様に、カメラ50の視野の欠損の発生を抑制することができる。
しかも、本実施形態3に係る加熱調理器10Bによれば、他の実施形態に係る加熱調理器10、10Aに比べて、カメラ50を、加熱庫12での食材(被加熱物)の出し入れの検知、庫外のセキュリティの向上、庫外の見守り、ドアガラス30の汚れの検知等の用途にも利用することができる。
【0080】
本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の構成を加えることも可能である。また、各構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0081】
10、10A、10B 加熱調理器
11 筐体
12 加熱庫
13 加熱源
14 開口部
15 回動支持部
16a 天面
16b 左面
16c 右面
16d 背面(奥壁面)
16e 底面
20 ドア
21 ドアベース
22 撮影孔
23 ドア枠
24 フレーム
25 取っ手
26 冷却風路
27a 吸気孔
27a 排気孔
28 操作基板
29 制御基板
29a 制御部
29b 環境光補正部
30 ドアガラス
31 内側ドアガラス(ガラス)
31a 庫内側表面
31b 庫外側表面
31c カメラ保護部
32 外側ドアガラス
32a 庫内側表面
32b 庫外側表面
41 強化ガラス
42 金属メッシュ
43 抑えガラス
50 カメラ
51 レンズ光軸
52 回転ユニット
53 回転中心
54 観測窓
55 シャッタ
60、60a 環境光遮蔽部
61、61a 遮蔽板
62 隙間
99 外界