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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187427
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】イヤリング
(51)【国際特許分類】
   A44C 7/00 20060101AFI20221212BHJP
【FI】
A44C7/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095462
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】591274668
【氏名又は名称】株式会社セベル・ピコ
(72)【発明者】
【氏名】二宮 朝保
【テーマコード(参考)】
3B114
【Fターム(参考)】
3B114EA04
(57)【要約】
【課題】耳たぶを挟持する挟持部材(円弧状部材)の回動にかかる負担を軽減させて、着脱操作を容易にできるイヤリングを提供する
【解決手段】耳たぶを挟持するための第1挟持部111を先端に有する第1部材110と、前記第1挟持部111に対向して前記耳たぶを挟持するための第2挟持部121を先端に有する第2部材120と、前記第1挟持部111に対向して前記耳たぶを挟持するための第3挟持部131を先端に有する第3部材130を備え、前記第1部材110、前記第2部材120及び前記第3部材130の各々の基端が、連結軸によって回動可能に連結されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耳たぶを挟持するための第1挟持部111を先端に有する第1部材110と、
前記第1挟持部111に対向して前記耳たぶを挟持するための第2挟持部121を先端に有する第2部材120と、
前記第1挟持部111に対向して前記耳たぶを挟持するための第3挟持部131を先端に有する第3部材130を備え、
前記第1部材110、前記第2部材120及び前記第3部材130の各々の基端が、
連結軸によって回動可能に連結されている
ことを特徴とするイヤリング。
【請求項2】
請求項1に記載のイヤリングにおいて、
前記第1部材110、前記第2部材120及び前記第3部材130の各々の基端には軸孔が形成されており、
前記各々の基端の軸孔に軸ピン160が挿通されて、前記連結軸が構成されている
ことを特徴とするイヤリング。
【請求項3】
請求項1に記載のイヤリングにおいて、
前記第2部材120及び前記第3部材130の各々の基端には軸孔が形成され、
前記第1部材110の基端には回動軸方向に突出した軸部113が形成されており、
前記各々の基端の軸孔に前記軸部113が挿通されて、前記連結軸が構成されている
ことを特徴とするイヤリング。
【請求項4】
請求項2に記載のイヤリングにおいて、
前記第1部材110、前記第2部材120及び前記第3部材130の各々の基端の軸孔に、回動軸に垂直な径方向に弾性的に縮小又は拡大可能な軸部形成部材210が挿通されており、
前記軸部形成部材210の中空部212に前記軸ピン160が挿通されている
ことを特徴とするイヤリング。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のイヤリングにおいて、
前記第1部材110の基端に嵌合され、前記第2部材120の基端に形成された曲面又は多角形の端面に当接する付勢部材220を備え、
前記付勢部材220は、前記第2部材120の端面の形状に対応して安定した配置となるように当該第2部材120の回動を付勢する
ことを特徴とするイヤリング。
【請求項6】
請求項1又は2記載のイヤリングににおいて、
前記第3挟持部131に対向して前記耳たぶを挟持するための第4挟持部141を先端に有する第4部材140をさらに備え、
前記第4部材140の基端が、前記連結軸によって回動可能に連結されている
ことを特徴とするイヤリング。
【請求項7】
耳たぶを挟持するための第1挟持部111を先端に有する第1部材110と、
前記第1挟持部111に対向して前記耳たぶを挟持するための第2挟持部121を先端に有する第2部材120と、
前記第1部材110に当接する当接部133を先端に有する第3部材130と、
前記第2部材120に当接する当接部143を先端に有する第4部材140と、を備え、
前記第1部材110、前記第2部材120、前記第3部材130及び前記第4部材140の各々の基端が、連結軸によって回動可能に連結されている
ことを特徴とするイヤリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耳たぶを挟持して装着する回動式(クリップ式)イヤリングに関するものである。
【背景技術】
【0002】
耳たぶを挟持する挟持部を有する部材と、当該挟持部に対向して耳たぶを挟持する部材を、1つの軸で連結(軸着)させて、それぞれの部材が相互に回動可能なイヤリングは、多くの文献で提示されている。
【0003】
多くの文献の中でも分かりやすい例として、特許文献1を挙げることにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、円弧状部材1と円弧状部材2が、連結軸5を介して回動可能に連結されており、円弧状部材1の基端において、二股形状の取付脚部が形成されている。
【0006】
しかし、この円弧状部材1と円弧状部材2を回動させて、イヤリングの着脱を行う場合、回動の負荷を分散化させることが出来ない為、着脱操作を行う上で支障が生じる虞がある。
【0007】
そこで本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、耳たぶを挟持する挟持部材(円弧状部材)の回動にかかる負担を軽減させて、着脱操作を容易にできるイヤリングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような課題を解決するために本発明のイヤリングは、耳たぶを挟持するための第1挟持部111を先端に有する第1部材110と、前記第1挟持部111に対向して前記耳たぶを挟持するための第2挟持部121を先端に有する第2部材120と、前記第1挟持部111に対向して前記耳たぶを挟持するための第3挟持部131を先端に有する第3部材130を備え、前記第1部材110、前記第2部材120及び前記第3部材130の各々の基端が、連結軸によって回動可能に連結されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、第2部材120と第3部材130が一体となっているような従来の構成と比較して、第2部材120と第3部材130が分離しており個別に回動させることができるので、これらを個別に回動させることで、イヤリングを着脱する際に必要な力を軽減させることができる。それ故、イヤリングの着脱操作を容易にすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施例であるイヤリングの分解斜視図である。
図2】第1実施例であるイヤリングの組立後の斜視図である。
図3】第1実施例であるイヤリングの開いた状態を示す図である。
図4】第1実施例であるイヤリングの閉じた状態を示す図である。
図5】第1実施例の変形1であるイヤリングの分解斜視図である。
図6】第1実施例の変形2であるイヤリングの分解斜視図である。
図7図6における第1部材110の部分拡大図である。
図8】第1実施例の変形3であるイヤリングの分解斜視図である。
図9】第1実施例の変形3であるイヤリングの組立後の斜視図である。
図10】第1実施例の変形3であるイヤリングの開いた状態を示す図である。
図11】第1実施例の変形3であるイヤリングの閉じた状態を示す図である。
図12】第1実施例の変形3の変形であるイヤリングの開いた状態(安定状態)を示す図である。
図13】第1実施例の変形3の変形であるイヤリングの開いた状態(静止状態)を示す図である。
図14】第1実施例の変形3の変形であるイヤリングの閉じた状態(安定状態)を示す図である。
図15】第1実施例の変形4であるイヤリングの分解斜視図である。
図16】第1実施例の変形4であるイヤリングの組立後の斜視図である。
図17】第1実施例の変形4であるイヤリングの開いた状態を示す図である。
図18】第1実施例の変形4であるイヤリングの閉じた状態(装着した状態)を示す図である。
図19】第2実施例であるイヤリングの分解斜視図である。
図20】第2実施例であるイヤリングの組立後の斜視図である。
図21】第2実施例の変形1であるイヤリングの分解斜視図である。
図22】第2実施例の変形1であるイヤリングの組立後の斜視図である。
図23】第3実施例であるイヤリングの分解斜視図である。
図24】第3実施例であるイヤリングの組立後の斜視図である。
図25図24における軸着部分(A-A)を示した拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明における「上・下・左・右・前・後」(斜視図の場合)、「上・下・左・右」(2次元図の場合)を、図中に矢印を付けて示している。また、本発明の各実施例の各々の部材における「内側」とは、イヤリングの中心部に近くなる側を指し、反対に「外側」とは、イヤリングの中心部から遠くなる側を指す。
【0012】
各実施例やその変形例の説明において、同種の部材については誤解が生じない限り同じ符号を用いて説明する。また、同じような構成や形状である場合には、適宜、重複した箇所の説明を省き、相違点を中心に説明をしてゆく。
【0013】
本発明において、第1部材110、第2部材120及び第3部材130の全てを含めて言及する場合に、必要に応じて「基本3部材」と記す。
【0014】
[第1実施例]
図1から図4は、第1実施例を示している。本発明の第1実施例に係わるイヤリング10は、第1部材110と、第2部材120と、第3部材130と、軸ピン160(連結軸)と、摩擦抵抗部材170と、を備えている。
【0015】
[第1部材110]
第1部材110は略半円状の形状であり、使用者の耳たぶを挟持する第1挟持部111が第1部材110の先端に設けられている。また、第1部材110の基端に軸孔112が形成されており、この軸孔112に軸ピン160が挿通され、第1部材110と軸ピン160は回動可能な状態で連結されている。
【0016】
[第2部材120]
第2部材120は略半円状の形状であり、使用者の耳たぶを挟持する第2挟持部121が第2部材120の先端に設けられている。また、第2部材120の基端に軸孔122が形成されており、この軸孔122に軸ピン160が挿通され、第2部材120と軸ピン160は回動可能な状態で連結されている。
【0017】
耳たぶを挟持する第1挟持部111と、当該耳たぶの反対側を挟持する第2挟持部121は、対向して配置されている。
【0018】
[第3部材130]
第3部材130は略半円状の形状であり、使用者の耳たぶを挟持する第3挟持部131が第3部材130の先端に設けられている。また、第3部材130の基端に軸孔132が形成されており、この軸孔132に軸ピン160が挿通され、第3部材130と軸ピン160は回動可能な状態で連結されている。
【0019】
耳たぶを挟持する第1挟持部111と、当該耳たぶの反対側を挟持する第3挟持部131は、対向して配置されている。そして、第2部材120と第3部材130は第1部材110を間に挟んで並列に配置されている。
【0020】
[軸ピン160]
軸ピン160は、基本的には、細長く延びた略円柱の形状(棒状)であり、イヤリング10の基本3部材を各々回動可能に連結(軸着)する連結軸となる。すなわち、基本3部材の各々の部材は、軸ピン160によって相互に回動可能に連結されている。
【0021】
また、軸着後において、軸ピン160の両端部をかしめ付けて、軸ピン160の抜落防止を強化する加工を施しても良い。
【0022】
[摩擦抵抗部材170]
摩擦抵抗部材170は、略円盤の形状であり、その略中央に軸ピン160を挿通させることの出来る貫通孔を有している。
【0023】
軸ピン160が挿通されている軸孔112と軸孔122の間に、摩擦抵抗部材170が介在(又は介挿又は介装)されている。同様に軸ピン160が挿通されている軸孔112と軸孔132の間にも、摩擦抵抗部材170が介在(又は介挿又は介装)されている。
【0024】
さらに、第2部材120および第3部材130の外側にも、摩擦抵抗部材170を配置して、軸ピン160に軸着された状態にしても良い。
【0025】
摩擦抵抗部材170は、平座金、丸ワッシャー、皿バネ、スプリングワッシャー等の金属のみならず、非金属であるの樹脂等のワッシャーであっても良い。
【0026】
摩擦抵抗部材170は、基本3部材の各々が回動する際に、当該各々の回動に負荷が生じるように摩擦抵抗(摩擦力)を生み出す。この摩擦力により、イヤリング10が耳たぶを挟持する状態(装着された状態)を維持させることが出来る。
【0027】
[第1実施例の効果]
使用者の耳たぶに対して、第1挟持部111と第2挟持部121との間で挟持することが出来、さらに第1挟持部111と第3挟持部131との間でも挟持させることが出来る。換言すれば、耳たぶを2重に挟持する状態で、イヤリング10を耳たぶに装着することが出来る。
【0028】
イヤリング10を装着する際に、第2部材120又は第3部材130のどちらか一方を個別に(つまり相互に独立に)回動させることが可能であるので、従来の第2部材120と第3部材130が一体構成になっているようなイヤリングに比べて、第2部材120又は第3部材130を回動させる力を軽減することができる。
【0029】
本第1実施例ではおおよそ1/2の力に軽減できる。それ故、イヤリング10を容易に耳たぶに装着又は耳たぶから取り外しすることが可能である。
【0030】
換言すれば、耳たぶを挟持するための部材の数を増やして各々を個別に回動させることで、イヤリング10を耳たぶに着脱する際に必要な力を軽減できるので、イヤリングの着脱操作を容易にすることが可能となる。
【0031】
また、イヤリング10は、使用者の耳たぶを挟持する方向へ付勢力がかからないので、使用者の耳たぶの痛みを軽減することが出来る。
【0032】
[第1実施例の変形1]
図5は、第1実施例の変形1を示している。第1実施例の変形1であるイヤリング10Aは、第1部材110と、第2部材120と、第3部材130と、摩擦抵抗部材170と、を備えている。
【0033】
[第1部材110(2)]
第1部材110の基端に、回動軸方向(前側と後側の両方向)に突出する軸部113が形成されており、第2部材120の基端に設けられた軸孔122に軸部113を挿通することが出来、第3部材130の基端に設けられた軸孔132にも軸部113を挿通することが出来る。
【0034】
この軸部113は、イヤリング10Aの基本3部材を各々回動可能に連結(軸着)する連結軸となり、イヤリング10における軸ピン160と同様の役割をする。
【0035】
[耳当部材180]
第1部材110の先端部と、第2部材120の先端部には、それぞれ耳当部材180が取り付けられている。この耳当部材180は、樹脂やシリコンから出来ていても良い。
【0036】
また、滑り止めの目的で、耳当部材180の先端部に細かい凹凸が設けられていても良い。第1部材110および第2部材120の各々の先端部に、耳当部材180を取り付ける方法としては、ボンド等の接着剤で固着しても良く、取り外し可能に取り付けても良い。
【0037】
耳当部材180を付けることで、耳たぶとの摩擦を増加させて、耳たぶから滑り落ちることを防止することが出来る。耳当部材180を覆設することで、使用者の耳たぶの痛みをさらに軽減することが出来る。
【0038】
便宜的に、基本3部材等の先端に耳当部材180が覆設されている状態(例えば、10A、10B)であっても、耳当部材180が覆設されていない状態(例えば、10、10D)と同じ符号および名称で説明をしてゆく。耳当部材180の形状の詳細を図示することを省略する。
【0039】
第1挟持部111、第2挟持部121および第3挟持部131は、耳当部材180を含んでいても良い。
【0040】
[第1実施例の変形1の効果]
第1部材110に形成された軸部113がイヤリング10Aの連結軸となることで、第1部材110の回動にかかる負荷(摩擦抵抗)が、第2部材120および第3部材130の回動にかかる負荷(摩擦抵抗)よりも、相対的に大きくなる。
【0041】
第1部材110が回動する際の負荷(摩擦抵抗)が増えたことで、イヤリング10Aの装着状態を安定化させることが可能である。
【0042】
[第1実施例の変形2]
図6図7は、第1実施例の変形2を示している。第1実施例の変形2であるイヤリング10Bは、第1部材110と、第2部材120と、第3部材130と、軸ピン160(連結軸)と、摩擦抵抗部材170と、軸部形成部材210を備えている。
【0043】
[軸部形成部材210]
軸部形成部材210は、端面及び断面が略C字になっており軸方向の両端が開口している細長い略筒状の形状であり、軸方向に垂直な径方向に弾性力を有して縮小又は拡大する弾性部材で出来ている。
【0044】
軸部形成部材210の軸方向の中心部は中空になっており、中空部212が形成されている。また、軸方向に直線状のスリット部211が形成されている。
【0045】
[第1部材110(3)]
第1部材110は基端に軸孔112を有し、当該軸孔112の内壁に、凸部114が形成されている。この凸部114は、スリット部211に嵌め合うことが出来、組立後に第1部材110と軸部形成部材210は回動する際に連動するようになる。
【0046】
[第1実施例の変形2の効果]
弾性部材で出来ている軸部形成部材210を、第1部材110の軸孔112に挿通させる際に、当該軸部形成部材210を径方向の内側に圧縮させた状態で挿通させることが出来る。
【0047】
組立後、軸部形成部材210の弾性力(復元力)により径方向の外側に向かって付勢する力が働くことで、基本3部材の各々が回動する際に生じる負荷(摩擦抵抗)を高めることが出来る。これによりイヤリング10Bの耳たぶへの装着状態を安定化させることが可能である。
【0048】
[第1実施例の変形3A]
図8から図11は、第1実施例の変形3Aを示している。第1実施例の変形3であるイヤリング10Cは、第1部材110と、第2部材120と、第3部材130と、軸ピン160(連結軸)と、摩擦抵抗部材170と、付勢部材220を備えている。
【0049】
[付勢部材220]
付勢部材220は、薄板を2つに折り畳んだ状態であり、その中央は中空部になっている。付勢部材220の側面は、略くの字の形状であり、第1部材110の基端を当該付勢部材220の中空部に挿入することが出来、付勢部材220は第1部材110の基端に嵌合(嵌着)されている。
【0050】
付勢部材220は、第2部材120の基端および第3部材130の基端に形成されたそれぞれの曲面に当接する位置にあり、第2部材120および第3部材130が安定した配置になるように、当該第2部材120および第3部材130の回動を付勢する付勢力を有している。
【0051】
付勢部材220は、バネ性を持つ金属のみならず、非金属であるゴムやシリコン等の樹脂で作られていても良い。
【0052】
[第1実施例の変形3Aの効果]
第1部材110の基端に嵌合(嵌着)された付勢部材220の付勢力によって、第2部材120および第3部材130は安定した配置になる。これによりイヤリング20の装着状態を安定化させることが出来る。
【0053】
[第1実施例の変形3B]
図12から図14は、第1実施例の変形3Bを示している。第1実施例の変形3Bであるイヤリング10C´は、第1部材110と、第2部材120と、第3部材130と、軸ピン160(連結軸)と、摩擦抵抗部材170と、付勢部材220を備えている。
【0054】
イヤリング10C´はイヤリング10Cとほぼ同じ態様であるが、第2部材120および第3部材130の基端には、多角形の端面が形成されている。
【0055】
図13では、付勢部材220が第2部材120と第3部材130の基端にそれぞれ形成された多角形端面の角部(つまり付勢力の分岐点)に当接しているので、付勢部材220の付勢力は第2部材120と第3部材130の回動に寄与せず、第2部材120と第3部材130はこの状態では不安定に静止する。
【0056】
しかし、僅かでも第2部材120(且つ/又は第3部材130)が回動すると、第2部材120(且つ/又は第3部材130)が当該僅かな回動と同じ方向に回動するように付勢部材220が第2部材120(且つ/又は第3部材130)の回動を付勢する。
【0057】
具体的には、図12は、第2部材120(且つ/又は第3部材130)が図13の静止状態から僅かに外向きに回動した状態を示しており、付勢部材220の付勢力により、第2部材120(且つ/又は第3部材130)が第1部材110に対して外向きにさらに回動するようになり、付勢部材220が多角形の角部に隣接する一方の平坦端面に当接した状態で安定する。
【0058】
一方、図14では、第2部材120(且つ/又は第3部材130)が図13の静止状態から僅かに内向きに回動した状態を示しており、付勢部材220の付勢力により、第2部材120(且つ/又は第3部材130)が第1部材110に対して内向きにさらに回動するようになり、付勢部材220が多角形の角部に隣接する他方の平坦端面に当接した状態で安定する。
【0059】
第1部材110と第2部材120との間の角度、および第1部材110と第3部材130との間の角度を調整することにより、付勢部材220の付勢する力を制御することが可能となる。
【0060】
多角形の端面間角度や角数を調整することで付勢力や挟持力を調整出来る。すなわち事前の設計による付勢力の調整を行うことが出来る。
【0061】
[第1実施例の変形3Bの効果]
第1部材110の基端に嵌合(嵌着)された付勢部材220の付勢力によって、第2部材120および第3部材130は安定した配置になる。これによりイヤリング20の装着状態を安定化させることが出来る。
【0062】
[第1実施例の変形4]
図15から図18は、第1実施例の変形4を示している。第1実施例の変形4であるイヤリング10Dは、第1部材110と、第2部材120と、第3部材130と、ベース部材150と、軸ピン160(連結軸)と、摩擦抵抗部材170を備えている。基本3部材およびベース部材150は、軸ピン160によって相互に回動可能に連結されている。
【0063】
[ベース部材150]
ベース部材150は、一対のプレート部151を備え、当該一対のプレート部151は下方において、ブリッジ部153によって橋絡されている。また、当該一対のプレート部151には軸ピン160を挿通できる軸孔152がそれぞれ形成されている。プレート部151の表面に、接触抵抗を低減するコーディングを施しても良い。
【0064】
摩擦抵抗部材170は、第1部材110の基端の軸孔112の軸方向の両側、第2部材120の基端の軸孔122の軸方向の外側、第3部材130の基端の軸孔132の軸方向の外側に、それぞれ配置され介在(又は介挿又は介装)されている。
【0065】
第1部材110の側壁の少なくとも一方には、軸方向に突出する突起部115が形成され、第2部材120の内側の側壁には、軸方向に突出する突起部125が形成され、第3部材130の内側の側壁には、軸方向に突出する突起部135が形成されている。
【0066】
第1部材110が回動する際に、突起部115がベース部材150の壁面と当接することで、第1部材110の回動できる範囲を制限することが出来る。また、第2部材120が回動する際に、突起部125がベース部材150の壁面と当接することで、第2部材120の回動できる範囲を制限することが出来る。
【0067】
さらに、第3部材130が回動する際に、突起部135がベース部材150の壁面と当接することで、第3部材130の回動できる範囲を制限することが出来る。
【0068】
[第1実施例の変形4の効果]
ベース部材150があることで、第1部材110を回動させた際に、第2部材120または第3部材130が一緒に回動してしまう現象(とも回り現象と呼ぶ)を抑制することが出来るようになる。
【0069】
とも回り現象を抑制することで、基本3部材の回動の独立性を高めることが出来る。これにより、イヤリング10Dの着脱をする際の操作性が向上する。
【0070】
[第2実施例]
図19および図20は、第2実施例を示している。第2実施例であるイヤリング20は、第1部材110と、第2部材120と、第3部材130と、後述する第4部材140と、連結部材150と、軸ピン160と、摩擦抵抗部材170と、後述する摩擦低減部材190を備えている。
【0071】
第1部材110、第2部材120、第3部材130及び第4部材140の全てを含めて言及する場合に、必要に応じて「主要4部材」と記す。
【0072】
第1部材110と第2部材120が対向して配置され、第3部材130と第4部材140が対向して配置されている。そして、第1部材110と第4部材140は第3部材を間に挟んで回動軸方向に並列に配置されており、第2部材120と第3部材130は第1部材110を間に挟んで回動軸方向に並列に配置されている。
【0073】
また、第1部材110と第3部材130間には摩擦低減部材190が配置されている。主要4部材およびベース部材150は、軸ピン160によって相互に回動可能に連結(軸着)されている。
【0074】
摩擦抵抗部材170は、第1部材110と第2部材120と間、第3部材130と第4部材140との間、摩擦低減部材190の両側にそれぞれ配置されて軸ピン160に介装されている。
【0075】
[第4部材140]
第4部材140は略半円状の形状であり、使用者の耳たぶを挟持する第4挟持部141が第4部材140の先端に設けられている。また、第4部材140の基端に軸孔142が形成されており、この軸孔142に軸ピン160が挿通され、第4部材140と軸ピン160は回動可能な状態で連結されている。
【0076】
第4挟持部141は、耳たぶを挟持する第3挟持部131と対向しており、第4部材140は第3部材130の軸方向の外側(右側)に配置されている。主要4部材の各々の形状は、ほぼ同じ形状であっても良い。
【0077】
[ベース部材150(2)]
ベース部材150は、一対のプレート部151を備え、当該一対のプレート部151は下方において、ブリッジ部153によって橋絡されている。また、当該一対のプレート部151には軸ピン160を挿通できる軸孔152がそれぞれ形成されている。
【0078】
ブリッジ部153の略中央に凹部154が設けられており、この凹部154は後述する摩擦低減部材190の下方に設けられた凸部193と嵌め合うことが可能である。
【0079】
[摩擦低減部材190]
摩擦低減部材190は、板状のプレート部191を有しており、当該プレート部191には軸ピン160を挿通できる軸孔192が形成されている。摩擦低減部材190の下方(底面)に凸部193が設けられており、ブリッジ部153の凹部154と嵌め合い、ベース部材150と摩擦低減部材190は、連動して回動するようになる。プレート部191の表面に、接触抵抗を低減するコーディングを施しても良い。
【0080】
[摩擦低減部材190による効果]
第1部材110と第3部材130との間の摩擦低減部材190を介した摩擦抵抗力は、第1部材110と第2部材120との間および第3部材130と第4部材140との間の摩擦抵抗力より低くなる。
【0081】
換言すれば、摩擦低減部材190によって、第1部材110と第3部材130との回動の影響度を軽減することが可能である。
【0082】
摩擦低減部材190によって、軸を共有する部材同士で摩擦が影響しあう現象(共回り現象)を低減することが出来る為、イヤリング20の開閉操作がスムーズになり、イヤリングの着脱を容易にすることが出来る。
【0083】
[第2実施例の効果]
第1部材110の第1挟持部111と第2部材120の第2挟持部121による挟持に加えて、第3部材130の第3挟持部131と第4部材140の第4挟持部141による挟持によって、耳たぶを2重に挟持することが出来る。
【0084】
これにより、イヤリング20を挟持する挟持力、即ち主要4部材が回動する際に生じる摩擦抵抗が増幅し、イヤリング20の装着状態を安定化させることが出来る。
【0085】
[第2実施例の変形]
図21および図22は、第2実施例を示している。第2実施例であるイヤリング20Aは、第1部材110と、第2部材120と、第3部材130と、第4部材140と、摩擦抵抗部材170と、後述する中間部材230を備えている。主要4部材および中間部材230は、相互に回動可能に連結(軸着)されている。
【0086】
[中間部材230]
中間部材230は、軸部231を有し、エンドパーツ等の装飾体を接続することのできる接続部232が設けられている。この軸部231が、軸孔112、軸孔122、軸孔132、軸孔142に挿通されており、軸部231がイヤリング20Aの連結軸となっている。
【0087】
摩擦抵抗部材170は、第2部材120の外側、第4部材140の外側、中間部材230の両側にそれぞれ配置されて軸部231に介装されている。
【0088】
[第2実施例の変形の効果]
イヤリング20Aは、イヤリング20と同様に、第1部材110の第1挟持部111と第2部材120の第2挟持部121による挟持に加えて、第3部材130の第3挟持部131と第4部材140の第4挟持部141による挟持によって、耳たぶを2重に挟持することが出来る。
【0089】
中間部材230によって、イヤリング20Aの下方に装飾体を接続させることが出来るので、イヤリングの装飾性を高めることが可能である。
【0090】
[第3実施例]
図23から図25は、第3実施例を示している。第3実施例であるイヤリング30は、第1部材110と、第2部材120と、第3部材130と、第4部材140と、ベース部材150と、軸ピン160と、摩擦抵抗部材170と、摩擦低減部材190を備えている。
【0091】
第1部材110と第2部材120は、対向して配置されており、第1挟持部111と第2挟持部121で、使用者の耳たぶを挟持することが出来る。主要4部材およびベース部材150は、軸ピン160によって相互に回動可能に連結(軸着)されている。
【0092】
[第3部材130と第4部材140]
イヤリング30では、第3部材130および第4部材140は、直接的に使用者の耳たぶを挟持するのではない。
【0093】
第3部材130の先端側に、第1部材110に当接できる当接部133が形成されており、第4部材140の先端側に、第2部材120に当接できる当接部143が形成されている。また、第3部材130は第2部材120に対向する側に配置され、第4部材140は第1部材110に対向する側に配置されている。
【0094】
[ベース部材150(3)]
ベース部材150の前方の側面に、突起部155が形成されており、第4部材140が回動した際に、第4部材140の下方の側壁とこの突起部155が当接することで、第4部材140の回動できる範囲を制限することが出来る。
【0095】
また、ベース部材150の下方の側壁に、突起部155が形成されており、第3部材130が回動した際に、第3部材130の右側の側面とこの突起部155が当接することで、第3部材130の回動できる範囲を制限することが出来る。
【0096】
[第3実施例の効果]
第1部材110が外向き(図では右回り)に回動する際に、第3部材130の当接部133が第1部材110の右側の側壁を押さえることで、第1部材110の回動における摩擦抵抗が高まり、第1部材110の回動を抑制することが出来る。
【0097】
第2部材120が外向き(図では左回り)に回動する際に、第4部材140の当接部143が第2部材120の左側の側壁を押さえることで、第2部材120の回動における摩擦抵抗が高まり、第2部材120の回動を抑制することが出来る。
【0098】
これにより、イヤリング30を挟持する挟持力、即ち主要4部材が回動する際に生じる摩擦抵抗が増幅し、イヤリング30の装着状態を安定化させることが出来る。
【0099】
また、ベース部材150があることで、主要4部材の一つが回動した際に他の主要4部材が一緒に回動してしまう現象(とも回り現象と呼ぶ)を抑制することが出来るようになる。
【0100】
とも回り現象を抑制することで、主要4部材の回動の独立性が高まるので、イヤリング10Dの着脱をする際の操作性が向上する。
【0101】
[素材]
前述した本発明のイヤリングの第1実施例から第3実施例において、第1部材110、第2部材120、第3部材130、第4部材140、ベース部材150、軸ピン160、摩擦抵抗部材170、摩擦低減部材190、軸部形成部材210、付勢部材220、中間部材230は、銀・銅・ステンレス・チタン等の金属素材、セラミック、またはプラスチック等の素材から作ることが出来る。また各部材ごとに違う素材であっても良い。
【0102】
これまでに相互に回動可能な2つの部材が並列する構造のイヤリングの説明をしてきたが、本発明はこの構造に限定されない。相互に回動可能な3つの部材が並列する構造のイヤリングであれば、当該の部材を回動させる力をおおよそ1/3の力に軽減できる。さらに、相互に回動可能な4つの部材が並列する構造のイヤリングであれば、当該の部材を回動させる力をおおよそ1/4の力に軽減できる。
【0103】
本発明の好ましい実施例について説明をしたが、本実施の形態は、本発明に係るイヤリングの一形態に過ぎない故に、本発明の要旨を変更しない範囲で変更を加えることは可能である。
【0104】
なお、図面は、イヤリングの構成部材等を模式的に表したものであり、これらの実物の寸法および寸法比は、図面上の寸法および寸法比と必ずしも一致していない。
【産業上の利用可能性】
【0105】
上述したように、本発明のイヤリングは、使用者の利便に資するイヤリング(耳飾り)として、提供することが可能である。
【符号の説明】
【0106】
10,20,30 イヤリング
110 第1部材
111 第1挟持部
112 軸孔
113 軸部
114 凸部
115 突起部
120 第2部材
121 第2挟持部
122 軸孔
125 突起部
130 第3部材
131 第3挟持部
132 軸孔
133 当接部
135 突起部
140 第4部材
141 第4挟持部
142 軸孔
143 当接部
150 ベース部材
151 プレート部
152 軸孔
153 ブリッジ部
154 凹部
155 突起部
160 軸ピン
170 摩擦抵抗部材
180 耳当部材
190 摩擦低減部材
191 プレート部
192 軸孔
193 凸部
210 軸部形成部材
211 スリット部
212 中空部
220 付勢部材
230 中間部材
231 軸部
232 接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
【手続補正書】
【提出日】2021-06-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耳たぶを挟持するための第1挟持部111を先端に有する第1部材110と、
前記第1挟持部111に対向して前記耳たぶを挟持するための第2挟持部121を先端に有する第2部材120と、
前記第1挟持部111に対向して前記耳たぶを挟持するための第3挟持部131を先端に有する第3部材130を備え、
前記第1部材110、前記第2部材120及び前記第3部材130の各々の基端が、
連結軸によって回動可能に連結されている
ことを特徴とするイヤリング。
【請求項2】
請求項1に記載のイヤリングにおいて、
前記第1部材110、前記第2部材120及び前記第3部材130の各々の基端には軸孔が形成されており、
前記各々の基端の軸孔に軸ピン160が挿通されて、前記連結軸が構成されている
ことを特徴とするイヤリング。
【請求項3】
請求項1に記載のイヤリングにおいて、
前記第2部材120及び前記第3部材130の各々の基端には軸孔が形成され、
前記第1部材110の基端には回動軸方向に突出した軸部113が形成されており、
前記各々の基端の軸孔に前記軸部113が挿通されて、前記連結軸が構成されている
ことを特徴とするイヤリング。
【請求項4】
請求項2に記載のイヤリングにおいて、
前記第1部材110、前記第2部材120及び前記第3部材130の各々の基端の軸孔に、回動軸に垂直な径方向に弾性的に縮小又は拡大可能な軸部形成部材210が挿通されており、
前記軸部形成部材210の中空部212に前記軸ピン160が挿通されている
ことを特徴とするイヤリング。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のイヤリングにおいて、
前記第1部材110の基端に嵌合され、前記第2部材120の基端に形成された曲面又は多角形の端面に当接する付勢部材220を備え、
前記付勢部材220は、前記第2部材120の端面の形状に対応して安定した配置となるように当該第2部材120の回動を付勢する
ことを特徴とするイヤリング。
【請求項6】
請求項1又は2記載のイヤリングににおいて、
前記第3挟持部131に対向して前記耳たぶを挟持するための第4挟持部141を先端に有する第4部材140をさらに備え、
前記第4部材140の基端が、前記連結軸によって回動可能に連結されている
ことを特徴とするイヤリング。
【請求項7】
耳たぶを挟持するための第1挟持部111を先端に有する第1部材110と、
前記第1挟持部111に対向して前記耳たぶを挟持するための第2挟持部121を先端に有する第2部材120と、
前記第1部材110に当接する当接部133を先端に有する第3部材130と、
前記第2部材120に当接する当接部143を先端に有する第4部材140と、を備え、
前記第1部材110、前記第2部材120、前記第3部材130及び前記第4部材140の各々の基端が、連結軸によって回動可能に連結されている
ことを特徴とするイヤリング。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のイヤリングにおいて、
前記第1部材110、前記第2部材120及び前記第3部材130の各々の基端の間の少なくとも1箇所に、摩擦抵抗部材170が介在されている
ことを特徴とするイヤリング。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のイヤリングにおいて、
連結軸に挿通できる軸孔152が形成された複数のプレート部151を有するベース部材150をさらに備え、
前記ベース部材150は、前記第1部材110、前記第2部材120及び前記第3部材130の各々の基端の間に前記プレート部151が挟まれた状態で前記軸孔152に前記連結軸が挿通されて回動可能に連結されている
ことを特徴とするイヤリング。