(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187431
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】設定支援装置、シュリンクシステム、設定支援方法、及び、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
B65B 53/02 20060101AFI20221212BHJP
B65B 53/00 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
B65B53/02 D
B65B53/00 C
B65B53/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095466
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】301055262
【氏名又は名称】日本テクノロジーソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111567
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 寛
(72)【発明者】
【氏名】岡田 耕治
(72)【発明者】
【氏名】霜浦 賢太
(72)【発明者】
【氏名】高杉 香央里
(72)【発明者】
【氏名】中野 貴紀
(57)【要約】
【課題】シュリンク装置の処理パラメータの設定を支援する設定支援装置を提供する。
【解決手段】設定支援装置は、シュリンクフィルム91を加熱室にて加熱処理することで物品9に装着させるシュリンク装置1のための設定支援処理を実行するよう構成された設定支援装置であって、設定支援処理は、物品の特性及びシュリンクフィルムの特性の少なくとも一方に関する特性データを受け付け、特性データが与えられると加熱処理における処理パラメータを出力するよう構成されたモデルに対して、特性データを与えることで処理パラメータを取得する、ことを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シュリンクフィルムを加熱室にて加熱処理することで物品に装着させるシュリンク装置のための設定支援処理を実行するよう構成された設定支援装置であって、
前記設定支援処理は、
前記物品の特性及び前記シュリンクフィルムの特性の少なくとも一方に関する特性データを受け付け、
前記特性データが与えられると前記加熱処理における処理パラメータを出力するよう構成されたモデルに対して、前記特性データを与えることで前記処理パラメータを取得する、ことを備える
設定支援装置。
【請求項2】
前記シュリンク装置は、前記加熱処理を制御する制御部を備え、
前記設定支援処理は、取得した前記処理パラメータを、前記加熱処理のための制御パラメータとして前記制御部に与えることを更に備える
請求項1に記載の設定支援装置。
【請求項3】
前記シュリンク装置は、前記加熱処理を制御する制御部を備え、
前記設定支援処理は、
前記処理パラメータがユーザによって修正された修正値を、前記加熱処理のための制御パラメータとして前記制御部に与えることを更に備える
請求項1に記載の設定支援装置。
【請求項4】
前記設定支援処理は、前記特性データに関する複数の選択肢をユーザに提示することを更に備え、
前記特性データを受け付けることは、前記複数の選択肢の中から選択するユーザ操作を受け付けることを含む
請求項1~3のいずれか1項に記載の設定支援装置。
【請求項5】
前記物品の特性は、前記物品の形状、前記物品の材質、前記物品の寸法、前記物品の温度、及び、前記物品の周囲温度からなる群から選択される1つ以上の特性を含む
請求項1~4のいずれか1項に記載の設定支援装置。
【請求項6】
前記シュリンクフィルムの特性は、前記シュリンクフィルムの材質、前記シュリンクフィルムの寸法、及び、前記シュリンクフィルムに施されている加工からなる群から選択される1つ以上の特性を含む
請求項1~5のいずれか1項に記載の設定支援装置。
【請求項7】
前記処理パラメータは、前記加熱処理の温度、前記加熱処理のための温風の風量、前記加熱室における温風の吐出位置、前記加熱処理が行われる物品の搬送速度、蒸気圧、蒸気量、蒸気を吸引する陰圧室における陰圧、及び、温風の吐出角度からなる群から選択される1つ以上のパラメータを含む
請求項1~6のいずれか1項に記載の設定支援装置。
【請求項8】
前記モデルは、前記特性データが与えられると前記加熱処理における処理パラメータを出力するよう機械学習された学習モデルである
請求項1~7のいずれか1項に記載の設定支援装置。
【請求項9】
前記特性データは、前記シュリンク装置の機械特性をさらに含み、
前記機械特性は、前記シュリンク装置の加熱方法、前記加熱室の寸法、及び、前記加熱処理が行われる物品の搬送時の向きからなる群から選択される1つ以上の特性を含む
請求項1~8のいずれか1項に記載の設定支援装置。
【請求項10】
前記設定支援処理は、
前記加熱処理の処理結果データを受け付け、
前記処理結果データに基づいて、前記処理パラメータの調整情報を生成する
請求項2又は3に記載の設定支援装置。
【請求項11】
シュリンクフィルムを加熱処理することで物品に装着させるシュリンク装置と、
前記シュリンク装置のための設定支援処理を実行するよう構成された設定支援装置と、
を備え、
前記設定支援処理は、
前記物品の特性及び前記シュリンクフィルムの特性の少なくとも一方に関する特性データを受け付け、
前記特性データが与えられると前記加熱処理における処理パラメータを出力するよう構成されたモデルに対して、前記特性データを与えることで前記処理パラメータを取得する、ことを備える
シュリンクシステム。
【請求項12】
シュリンクフィルムを加熱処理することで物品に装着させるシュリンク装置のための設定支援方法であって、
前記物品の特性及び前記シュリンクフィルムの特性の少なくとも一方に関する特性データを取得し、
前記特性データが与えられると前記加熱処理における処理パラメータを出力するよう構成されたモデルを用いて、前記特性データから前記処理パラメータを取得する
設定支援方法。
【請求項13】
シュリンクフィルムを加熱処理することで物品に装着させるシュリンク装置の設定の支援のための処理をコンピュータに行わせるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記物品の特性及び前記シュリンクフィルムの特性の少なくとも一方に関する特性データを受け付け、
前記特性データが与えられると前記加熱処理における処理パラメータを出力するよう構成されたモデルを用いて、前記特性データから前記処理パラメータを取得させ、
前記処理パラメータを出力させる
コンピュータプログラム。
【請求項14】
前記コンピュータは、前記シュリンク装置と通信可能な端末装置に搭載されており、
前記処理パラメータを出力させることは、前記処理パラメータに基づく信号を前記シュリンク装置に送信させることを含む
請求項13に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、設定支援装置、シュリンクシステム、設定支援方法、及び、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2003-81219号公報(以下、特許文献1)に開示されているような、シュリンクフィルムを商品に密着させるシュリンク装置がある。シュリンクフィルムとは、ポリエチレン、ポリプロピレン、PVC等により形成された熱収縮性を有するフィルムであって、商品に装着された状態で加熱され、収縮することにより商品と密着する。これにより、商品の包装やラベルの添付が容易かつ強固に行なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
シュリンク装置は加工現場に設置され、加熱温度や加熱時間などの処理パラメータの設定が設置された現場で行われる。そのため、設置された現場の操作者によっては処理パラメータの設定が難しい場合がある。また、シュリンク装置の中には、上記特許文献1に示されたような気流を利用するものもあり、処理パラメータの設定が難しい場合がある。
【0005】
この点、時計などの一般的な装置であれば店舗等に持ち込んで調整を依頼することが考えられる。しかしながら、シュリンク装置は大型であるため、いったん加工現場に設置されると移動が容易ではない。また、サービスマンの訪問も日程の調整や費用など容易でない場合もある。そのため、シュリンク装置の処理パラメータの設定が支援されることが望まれる。
【0006】
ある実施の形態に従うと、設定支援装置は、シュリンクフィルムを加熱室にて加熱処理することで物品に装着させるシュリンク装置のための設定支援処理を実行するよう構成された設定支援装置であって、設定支援処理は、物品の特性及びシュリンクフィルムの特性の少なくとも一方に関する特性データを受け付け、特性データが与えられると加熱処理における処理パラメータを出力するよう構成されたモデルに対して、特性データを与えることで処理パラメータを取得する、ことを備える。
【0007】
ある実施の形態に従うと、シュリンクシステムは、シュリンクフィルムを加熱処理することで物品に装着させるシュリンク装置と、シュリンク装置のための設定支援処理を実行するよう構成された設定支援装置と、を備え、設定支援処理は、物品の特性及び前記シュリンクフィルムの特性の少なくとも一方に関する特性データを受け付け、特性データが与えられると加熱処理における処理パラメータを出力するよう構成されたモデルに対して、特性データを与えることで処理パラメータを取得する、ことを備える。
【0008】
ある実施の形態に従うと、設定支援方法は、シュリンクフィルムを加熱処理することで物品に装着させるシュリンク装置のための設定支援方法であって、物品の特性及びシュリンクフィルムの特性の少なくとも一方に関する特性データを取得し、特性データが与えられると加熱処理における処理パラメータを出力するよう構成されたモデルを用いて、特性データから処理パラメータを取得する。
【0009】
ある実施の形態に従うと、コンピュータプログラムは、シュリンクフィルムを加熱処理することで物品に装着させるシュリンク装置の設定の支援のための処理をコンピュータに行わせるコンピュータプログラムであって、コンピュータに、物品の特性及びシュリンクフィルムの特性の少なくとも一方に関する特性データを受け付け、特性データが与えられると加熱処理における処理パラメータを出力するよう構成されたモデルを用いて、特性データから前記処理パラメータを取得させ、処理パラメータを出力させる。
【0010】
更なる詳細は、後述の実施形態として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施の形態に係るシュリンクシステムの構成、及び、シュリンクシステムに含まれるシュリンク装置の構成を表した概略図である。
【
図2】
図2は、シュリンク装置に含まれる予熱部の断面概略図である。
【
図3】
図3は、シュリンク装置に含まれる加熱部の平面概略図である。
【
図4】
図4は、加熱部に含まれるノズルの配置及び気流の制御を説明するための図である。
【
図5】
図5は、シュリンク装置の制御部の機能構成の概略図である。である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る設定支援方法の一例を表したフローチャートである。
【
図7】
図7は、シュリンク装置の操作画面の一例である。
【
図8】
図8は、シュリンク装置の操作画面の一例である。
【
図9】
図9は、シュリンク装置の操作画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<1.設定支援装置、シュリンクシステム、及び、設定支援方法の概要>
【0013】
(1)本実施の形態に含まれる設定支援装置は、シュリンクフィルムを加熱室にて加熱処理することで物品に装着させるシュリンク装置のための設定支援処理を実行するよう構成された設定支援装置であって、設定支援処理は、物品の特性及びシュリンクフィルムの特性の少なくとも一方に関する特性データを受け付け、特性データが与えられると加熱処理における処理パラメータを出力するよう構成されたモデルに対して、特性データを与えることで処理パラメータを取得する、ことを備える。
【0014】
処理パラメータは、加熱処理に用いられるためのパラメータである。物品の特性は、加熱処理に関連する特性である。シュリンクフィルムの特性は、加熱処理に関連する特性である。
【0015】
モデルに特性データを与えることで処理パラメータを取得することによって、取得された処理パラメータを用いて、シュリンク装置のユーザは、加熱処理に用いる処理パラメータの設定を行うことができる。そのため、シュリンク装置のユーザによる加熱処理に用いる処理パラメータの設定を好適に支援することができる。
【0016】
(2)好ましくは、シュリンク装置は、加熱処理を制御する制御部を備え、設定支援処理は、取得した処理パラメータを、加熱処理のための制御パラメータとして制御部に与えることを更に備える。これにより、制御部は、モデルから取得された処理パラメータから得られた制御パラメータを用いて、加熱処理を制御することができる。そのため、シュリンク装置のユーザによる処理パラメータの設定が容易になる。
【0017】
(3)好ましくは、シュリンク装置は、加熱処理を制御する制御部を備え、設定支援処理は、処理パラメータがユーザによって修正された修正値を、加熱処理のための制御パラメータとして制御部に与えることを更に備える。これにより、制御部は、修正値から得られた制御パラメータを用いて、加熱処理を制御することができる。そのため、シュリンク装置のユーザは、モデルから取得された処理パラメータの変更が容易になる。
【0018】
(4)好ましくは、設定支援処理は、特性データに関する複数の選択肢をユーザに提示することを更に備え、特性データを受け付けることは、複数の選択肢の中から選択するユーザ操作を受け付けることを含む。これにより、特性データの入力が容易になる。
【0019】
(5)好ましくは、物品の特性は、物品の形状、物品の材質、物品の寸法、物品の温度、及び、物品の周囲温度からなる群から選択される1つ以上の特性を含む。これにより、この1つ以上の特性が加熱処理のファクターとして用いられる。その結果、加熱処理の仕上がりを向上させることができる。
【0020】
(6)好ましくは、シュリンクフィルムの特性は、シュリンクフィルムの材質、シュリンクフィルムの寸法、及び、シュリンクフィルムに施されている加工からなる群から選択される1つ以上の特性を含む。これにより、この1つ以上の特性が加熱処理のファクターとして用いられる。その結果、加熱処理の仕上がりを向上させることができる。
【0021】
(7)好ましくは、処理パラメータは、加熱処理の温度、加熱処理のための温風の風量、加熱室における温風の吐出位置、加熱処理が行われる物品の搬送速度、蒸気圧、蒸気量、蒸気を吸引する陰圧室における陰圧、及び、温風の吐出角度からなる群から選択される1つ以上のパラメータを含む。これにより、加熱処理が制御されるようになる。
【0022】
(8)好ましくは、モデルは、特性データが与えられると加熱処理における処理パラメータを出力するよう機械学習された学習モデルである。学習モデルを用いることで、容易に処理パラメータが得られる。
【0023】
(9)好ましくは、特性データは、シュリンク装置の機械特性をさらに含み、機械特性は、シュリンク装置の加熱方法、加熱室の寸法、及び、加熱処理が行われる物品の搬送時の向きからなる群から選択される1つ以上の特性を含む。これにより、機械特性も考慮して処理パラメータが得られるようになる。そのため、異なる機械特性のシュリンク装置でもモデルを用いて処理パラメータが得られ、処理パラメータの設定が好適に支援される。
【0024】
(10)好ましくは、設定支援処理は、加熱処理の処理結果データを受け付け、処理結果データに基づいて、処理パラメータの調整情報を生成する。調整情報は、処理パラメータを調整するために用いられる情報である。調整情報が得られることによって、処理パラメータを調整することができる。その結果、加熱処理の結果の仕上がりを向上させることができる。
【0025】
(11)本実施の形態に含まれるシュリンクシステムは、シュリンクフィルムを加熱処理することで物品に装着させるシュリンク装置と、シュリンク装置のための設定支援処理を実行するよう構成された設定支援装置と、を備え、設定支援処理は、物品の特性及び前記シュリンクフィルムの特性の少なくとも一方に関する特性データを受け付け、特性データが与えられると加熱処理における処理パラメータを出力するよう構成されたモデルに対して、特性データを与えることで処理パラメータを取得する、ことを備える。モデルから取得された処理パラメータを用いて、シュリンク装置のユーザは、加熱処理に用いる処理パラメータの設定を行うことができる。そのため、シュリンク装置のユーザによる加熱処理に用いる処理パラメータの設定を好適に支援することができる。
【0026】
(12)本実施の形態に含まれる設定支援方法は、シュリンクフィルムを加熱処理することで物品に装着させるシュリンク装置のための設定支援方法であって、物品の特性及びシュリンクフィルムの特性の少なくとも一方に関する特性データを取得し、特性データが与えられると加熱処理における処理パラメータを出力するよう構成されたモデルを用いて、特性データから処理パラメータを取得する。モデルから取得された処理パラメータを用いて、シュリンク装置のユーザは、加熱処理に用いる処理パラメータの設定を行うことができる。そのため、シュリンク装置のユーザによる加熱処理に用いる処理パラメータの設定を好適に支援することができる。
【0027】
(13)本実施の形態に含まれるコンピュータプログラムは、シュリンクフィルムを加熱処理することで物品に装着させるシュリンク装置の設定の支援のための処理をコンピュータに行わせるコンピュータプログラムであって、コンピュータに、物品の特性及びシュリンクフィルムの特性の少なくとも一方に関する特性データを受け付け、特性データが与えられると加熱処理における処理パラメータを出力するよう構成されたモデルを用いて、特性データから前記処理パラメータを取得させ、処理パラメータを出力させる。これにより、コンピュータに、加熱処理に用いる処理パラメータの設定の支援を行わせることができる。その結果、コンピュータに、シュリンク装置のユーザによる加熱処理に用いる処理パラメータの設定を好適に支援させることができる。
【0028】
<2.設定支援装置、シュリンクシステム、及び、設定支援方法の例>
【0029】
図1を参照して、本実施の形態に係るシュリンクシステム100は、シュリンク装置1と、管理装置3と、を備える。
【0030】
シュリンク装置1は、シュリンクフィルムを加熱処理することで物品に装着させる装置である。シュリンクフィルムを物品に装着させることは、物品の外側の少なくとも一部にシュリンクフィルムを装着させることであり、装着は、シュリンクフィルムで覆うことを指す。シュリンクフィルムで覆うことは、シュリンクフィルムを物品に貼付すること、シュリンクフィルムを物品に密着させること、などである。シュリンクフィルムが表示ラベルとして用いられる場合は、シュリンクラベルとも呼ばれる。下の例では、シュリンクフィルムを物品に密着させることとする。
【0031】
シュリンクフィルムとは、一例として、ポリエチレン、ポリプロピレン、PVC等により形成された、熱収縮性を有するフィルムである。シュリンク装置1は、一例として、物品にシュリンクフィルムを装着し、シュリンクフィルムが装着された物品を加熱処理する。これにより、シュリンク装置1は、シュリンクフィルムを熱収縮させて商品と密着させる。
【0032】
図1~
図4を参照して、シュリンク装置1は、装着部15、1以上の予熱部(第1加熱室)13、及び、加工部(第2加熱室)14を有する。装着部15、予熱部13、及び、加工部14は、物品9の搬送するコンベヤ120に沿って、この順で配置されている。好ましくは、予熱部13、及び、加工部14は、連続して配置されている。
図1では、シュリンク装置1は、2台の予熱部13を有し、それらが連続して配置されている。
【0033】
コンベヤ120は、
図1に示すように2つのローラ(プーリー)121,122の少なくとも一方をモータMに接続させて回転させることにより、ベルト123の上側の部分が、矢印Rに示される、図の左から右に向けて移動する。
図1の例では、ローラ121がモータMに接続され、駆動プーリーとして機能している。これにより、ベルト123上の物品9はこの図の左から右に向けて搬送される。
【0034】
シュリンク装置1には、コンベヤ120の上方にコンベヤ120と平行にトップベルトが配置され、ベルト123上の物品9を上方から把持する機構がトップベルトによってコンベヤ120の搬送速度と同期して移動してもよい。これにより、ベルト123上の物品9の姿勢を維持して搬送することができる。
【0035】
矢印Rの方向を以降の説明では進行方向とも言い、進行方向の先、つまり、矢印Rの向き(図の右側)を前方(進行前側)、逆(図の左側)を後方(進行後側)とし、搬送方向Rに搬送される物品9の側方を左右方向(進行右側、及び、進行左側)とする。
【0036】
装着部15は、規定位置Pにある物品9にシュリンクフィルム91を装着する装置である。装着部15は、一例として、規定位置Pに真上からシュリンクフィルム91を落とす。詳しくは、
図1に、規定位置Pでの物品9を拡大した平面図が示されている。
【0037】
平面図を参照して、一例として、シュリンクフィルム91は環状フィルムであって、二つ折りに畳まれて装着部15にセットされている。装着部15は、折り畳まれたシュリンクフィルム91の中央部分を、内側に物品9が入るように広げて規定位置Pに真上から落とす。これにより、規定位置Pに位置した物品9の外周をシュリンクフィルム91が覆う。
【0038】
シュリンクフィルム91は、二つ折りにされていることによって、折位置に相当する高さ方向の筋91Aが2か所、生じる。これにより、シュリンクフィルム91と物品9の外周との隙間は均等ではなく筋91Aの位置の方が隙間が大きくなる。従って、加熱処理において、均等にシュリンクフィルム91を物品9に密着させるために、筋91Aの位置を考慮する場合がある。
【0039】
予熱部13及び加工部14はコンベヤ120の搬送路を覆うように設けられている。言い換えると、予熱部13及び加工部14は加熱室であって、コンベヤ120はその内部に物品9を搬入し、内部から物品9を搬出する。
【0040】
コンベヤ120によって搬送される物品9は、予熱部13及び加工部14の順に内部へ導かれる。予熱部13及び加工部14は、いずれも、内部に導かれた、シュリンクフィルム91が装着された物品9に、加熱処理を施す。
【0041】
加熱処理は、一例として、高温気体を吹き付けることを含む。高温気体は、蒸気を含んでもよいし、蒸気を含まない乾燥気体であってもよい。加熱処理が蒸気を含む高温気体を用いるものである場合、好ましくは、シュリンク装置1は、図示しない吸引室を有する。吸引室(バキューム)は陰圧に保たれ、蒸気を含む高温気体で加熱処理を行う加熱室に隣接して設けられ、その加熱室から漏れる蒸気を吸引する。これにより、外部への上記の漏れを防ぐことができる。
【0042】
加工部14は、高温気体を物品9に吹き付ける。予熱部13は、加工部14で用いられる高温気体の温度より低い高温気体を物品9に吹き付ける。言い換えると、予熱部13は予熱室であり、加工部14は加熱による加工を行う本加工室である。
【0043】
詳しくは、コンベヤ120に載荷され、装着部15によってシュリンクフィルム91が装着された物品9は、予熱部13内部へと搬送されて、内部を搬送中に、シュリンクフィルム91が収縮を開始する直前の温度になるまで予備的に加熱される。その後、コンベヤ120により物品9が予熱部13外に搬送される。
【0044】
予熱部13外に搬送された物品9は、連続して、加工部14内部へと搬送される。物品9は、加工部14内部を搬送中に、シュリンクフィルム91が収縮する高温にて熱加工される。これにより、シュリンクフィルム91が物品9の外面に密着する。その後、コンベヤ120により物品9が加工部14外に搬送される。
【0045】
図2を参照して、予熱部13のカバー21内には、コンベヤ120を挟んで進行方向の左右に、対をなす送風部22が配置されている。物品9は、2つの送風部22の間をコンベヤ120によって搬送される。
【0046】
送風部22の上部には供給管134が接続され、図示しないヒータによって加熱された高温気体が送風機134Aによって送風され、供給管134を介して送風部22内へと供給される。送風部22のコンベヤ120に向く側の面には複数の開口221Aが形成された開口板221が取り付けられている。送風部22内へ供給された高温気体は開口板221の開口から物品9に向けて送出される。これにより、物品9には左右から高温気体が吹き付けられる。物品9に吹き付けられる高温気体の風量は、一例として、送風機134Aの回転数によって制御される。
【0047】
開口221Aは、搬送方向Rと平行して列状に設けられている。これにより、搬送方向Rに搬送される物品9に、予熱部13内を搬送されている期間、連続して左右から高温気体が吹き付けられる。開口221Aの列は、高さ方向に複数段設けられている。これにより、物品9の高さ方向の複数の位置において、左右から高温気体が吹き付けられる。
【0048】
送風部22には、高温気体の吐出位置、つまり、物品9に吹き付けられる高温気体の位置を制御する機構が設けられている。高温気体の位置を制御する機構は、一例として、各開口221Aのコンベヤ120に向く側の面に設けられたシャッター222が挙げられる。
【0049】
詳しくは、
図2のシャッター222の拡大図を参照して、シャッター222は、搬送方向Rと平行して設けられた開口221Aの一列を覆い、開口221Aに相当する位置に開口222Aが設けられている。シャッター222は、高さ方向に複数本設けられており、各シャッター222が、高さ方向に複数段設けられている開口221Aの一列を覆う。開口221Aに開口222Aが重なることで、その開口221Aからの高温気体の吐出が許容される。
【0050】
各シャッター222は、独立した開閉機構を有する。開閉機構は、一例として、シャッター222を搬送方向Rに往復移動させるエアシリンダ223である。エアシリンダ223にはエアホース223Aを介して内部の空気が給排気される。それにより、エアシリンダ223の内圧が変化し、プランジャが往復移動する。プランジャに接続されたシャッター222は、プランジャの往復移動に連動して前後移動する。
【0051】
シャッター222が、開口221Aに開口222Aが重なる第1状態ST1であるとき、開口221Aから高温気体が吐出する。シャッター222が、開口221Aに開口222Aが重ならない第2状態ST2であるとき、開口221Aから高温気体が吐出されない。従って、シャッター222の位置を制御することによって、開口221Aからの高温気体の吐出の許否が制御可能となる。
【0052】
シャッター222ごとに独立した開閉機構を有する。これにより、シャッター222ごとに高温気体の吐出の許否が制御可能となる。この例の場合、シャッター222は高さ方向に並列して設けられているため、開口221Aからの高温気体の吐出の位置を高さ方向で個別に制御することができる。
【0053】
なお、シャッター222は、搬送方向に複数に分割されていてもよい。例えば、予熱部13の搬送方向の前半と後半とでシャッター222が分割されていてもよい。その場合、前半のシャッター222と後半のシャッター222とがそれぞれ独立した開閉機構を有することで、開口221Aからの高温気体の吐出の位置を、さらに、搬送方向でも個別に制御することができる。
【0054】
図3を参照して、加工部14には、2つの配管33が接続されている。各配管33は、コンベヤ120を挟むように2つの経路に分離し、カバー31を貫通して加工部14内部に延びている。加熱部14内部には4つのノズル34が配置され、それぞれ、2つの配管33それぞれの分離した先端に接続されている。図示しないヒータによって加熱された高温気体が送風機33Aによって送風され、配管33を介して4つのノズル34へ供給され、ノズル34から送出される。
【0055】
コンベヤ120上の所定位置が加熱位置Tと設定されている。加熱位置Tに高さ方向の仮想的な軸(以下、基準軸)8を想定すると、4つのノズル34は基準軸8の周囲を囲むように等間隔(基準軸8の周方向に対して等間隔)に配置されている。これにより、コンベヤ120によって搬入されてきた物品9が加熱位置Tまで搬送されると、4つのノズル34から高温気体が吹き付けられ、効率よくシュリンクフィルム91が加熱される。
【0056】
図4を参照して、各ノズル34は加熱位置Tに位置する物品9の中央に向けて高温気体を送出するのではなく、物品9の中央、つまり、基準軸8に向かう方向から、同一方向に角度θだけ傾いた方向に向けて高温気体を送出する。これにより、4つのノズル34から送出された高温気体の気流F1は互いに干渉し合いながら渦を形成する。そのため、高温気体が物品9に装着されたシュリンクフィルム91の表面に沿って流れる。その結果、シュリンクフィルム91の表面全体が一様に速やかに加熱され、皺や偏った収縮の発生が防止される。
【0057】
好ましくは、加工部14は、高温気体の吐出角度を可変とする機構を有する。吐出角度を可変とする機構は、一例として、各ノズル34の有する、角度θを可変とする機構を有する。角度θを可変とする機構は、一例として、ノズル34の配管33との接続部分に設けられたボールジョイントなどの回転部34Aである。回転部34Aは、図示しないエアシリンダなどに接続されることによって、ノズル34を所定の角度に回動させる。これにより、高温気体の吐出角度が制御される。
【0058】
吐出角度を可変とする機構は、他の例として、各ノズル34からの吐出量を個別に制御する機構であってもよい。各ノズル34からの吐出量を個別に制御する機構は、予熱部13のシャッター222と同様に、ノズル34からの吐出口を物理的に遮蔽する物体を備え、その位置を各ノズル34で可変とする機構であってもよい。各ノズル34が基準軸8に向かう方向から、同一方向に角度θだけ傾いた方向に向けて高温気体を送出するため、その吐出量を異ならせることによって加熱位置Tに吹き付けられる高温気体の角度を可変とすることができる。これにより、高温気体の吐出角度が制御される。
【0059】
シュリンク装置1は、入出力装置の一例として、タッチパネル17を有する。タッチパネル17は、ユーザ操作を受け付ける入力装置の一例であるとともに、ディスプレイとして情報を出力する出力装置の一例である。タッチパネル17は、一例として、予熱部13又は加工部14の外面に取り付けられ、シュリンク装置1近傍のユーザの操作を受け付けることができる。また、シュリンク装置1近傍のユーザに対して情報を提供することができる。
【0060】
また、シュリンクシステム100は、入出力装置の一例としてユーザ端末5などの外部装置を含んでもよい。この場合、タッチパネル17の表示やユーザ操作の受け付けの少なくとも一部をユーザ端末5が行ってもよい。これにより、シュリンク装置1の近傍でないユーザの操作を受け付けることができる。また、シュリンク装置1の近傍でないユーザに対して情報を提供することができる。
【0061】
シュリンク装置1は、装置全体の制御を行う制御部10を有する。
図5を参照して、制御部10は、一例として、プロセッサ11とメモリ18とを有するコンピュータで構成される。メモリ18は、一次記憶装置であってもよいし、二次記憶装置であってもよい。
【0062】
タッチパネル17は制御部10に接続されて、操作入力を示す操作信号を制御部10に入力する。制御部10は、操作信号に従ってシュリンク装置1の制御を行う。また、制御部10は、タッチパネル17の表示を制御する。
【0063】
制御部10は、通信装置16を有し、インターネット等の通信網7を介して管理装置3と通信可能である。また、シュリンクシステム100がユーザ端末5を含む場合、制御部10はユーザ端末5と相互に通信可能であってもよい。
【0064】
制御部10のメモリ18は、プロセッサ11によって実行されるコンピュータプログラムを記憶している。プロセッサ11は、メンテナンスプログラム621を実行することによって支援動作のための処理を実行する。
【0065】
制御部10は、設定支援装置の少なくとも一部として機能する。設定支援装置は、シュリンク装置1における処理パラメータの設定を支援するための設定支援処理を実行するよう構成されている。シュリンク装置1における処理パラメータの設定は、予熱部13及び加工部14に加熱処理を実行させるために必要な処理パラメータの設定を指す。
【0066】
処理パラメータは、加熱処理に用いられるためのパラメータであって、予熱部13及び加工部14それぞれの高温気体の温度、風量、予熱部13における高温気体の吐出位置、物品9の搬送速度、及び、加工部14における高温気体の吐出角度のうちの少なくとも1つである。これにより、加熱処理が制御されるようになる。
【0067】
プロセッサ11に設定支援処理を実行させるために、メモリ18に記憶されているコンピュータプログラムは、支援用プログラム181を含む。また、制御部10にシュリンク装置1の制御を行わせるため、メモリ18に記憶されているコンピュータプログラムは、加工制御用プログラム182を含む。
【0068】
メモリ18は、さらに、パラメータ設定モデル183を記憶している。パラメータ設定モデル183は、プロセッサ11が支援用プログラム181を実行することによって実現される設定支援処理において用いられる。詳細は後述する。
【0069】
メモリ18は、好ましくは、パラメータ修正モデル184を記憶している。パラメータ修正モデル184は、プロセッサ11が支援用プログラム181を実行することによって実現される設定支援処理において用いられてもよい。詳細は後述する。
【0070】
メモリ18は、特性データ記憶部187を含む。特性データ記憶部187は、後述の特性データを記憶するための記憶領域である。メモリ18は、設定値記憶部185を含む。設定値記憶部185は、シュリンク装置1での加熱加工において制御パラメータとして用いられた処理パラメータを記憶するための記憶領域である。また、メモリ18は、装置情報記憶部186を含む。装置情報記憶部186は、シュリンク装置1の機械特性を記憶するための記憶領域である。
【0071】
シュリンク装置1の機械特性は、加熱処理に関連した特性を指す。例えば、シュリンク装置1の加熱方法、予熱部13及び加工部14の寸法、並びに、加熱処理が行われる物品9の搬送時の向きのうちの少なくとも1つを含む。シュリンク装置1の加熱方法は、例えば、高熱気体が乾燥気体であるか蒸気を含む気体か、などである。
【0072】
予熱部13及び加工部14の寸法は、予熱部13及び加工部14の前後方向の長さ、室内の高さ、幅、などを含む。物品9の搬送時の向きは、シュリンクフィルム91の筋91Aが、物品9の搬送時に、前後方向に向いているか左右方向に向いているかランダムであるか、などである。これらの情報は、処理パラメータの設定にも影響するためである。
【0073】
プロセッサ11は、支援用プログラム181を実行することによって、設定支援処理111を実現する。設定支援処理111は、シュリンク装置1のユーザが、シュリンクフィルム91を加熱処理して物品9に装着させるために必要な処理パラメータをシュリンク装置1に対して設定することを支援するための処理を指す。
【0074】
詳しくは、設定支援処理111は、物品9の特性及びシュリンクフィルム91の特性の少なくとも一方に関する特性データを受け付けることを含む。物品9の特性は、物品9の加熱処理に関連する特性であって、物品9の形状、物品9の材質、物品9の寸法、物品9の温度、及び、物品9の周囲温度のうちの少なくとも1つを含む。物品9の寸法は、物品9の大きさを指し、具体的には、高さ、幅、などを含む。これらを加熱処理のファクターとして用いることで、加熱処理の仕上がりを向上させることができる。
【0075】
シュリンクフィルム91の特性は、シュリンクフィルム91の加熱処理に関連する特性であって、シュリンクフィルム91の材質、シュリンクフィルム91の寸法、及び、シュリンクフィルム91に施されている加工のうちの少なくとも1つを含む。シュリンクフィルム91の寸法は、シュリンクフィルム91の幅、長さ、厚み、などを含む。シュリンクフィルム91に施されている加工は、印刷、オーバーコート加工、インナーコート加工、外面のマット加工、ミシン目加工の有無、ミシン目加工の範囲などを含む。これらを加熱処理のファクターとして用いることで、加熱処理の仕上がりを向上させることができる。
【0076】
好ましくは、設定支援処理111は、特性データに関する複数の選択肢をユーザに提示することを含む。この場合、特性データを受け付けることは、提示した複数の選択肢の中から選択するユーザ操作を受け付けることを含む。これにより、特性データの入力が容易になる。
【0077】
設定支援処理111は、与えられた特性データをパラメータ設定モデル183に適用することで処理パラメータを得ることを含む。パラメータ設定モデル183は、特性データが与えられると加熱処理における処理パラメータを出力するよう構成されたモデルである。パラメータ設定モデル183は、一例として、特性データが与えられると加熱処理における処理パラメータを出力するよう機械学習された学習モデルである。この場合、処理パラメータを得ることは、与えられた特性データをパラメータ設定モデル183に入力し、パラメータ設定モデル183から出力される処理パラメータを取得することを含む。学習モデルを用いることで、容易に処理パラメータが得られる。
【0078】
パラメータ設定モデル183は、他の例として、特性データと処理パラメータとが対応付けられたテーブルとして構成されていてもよい。この場合、処理パラメータを得ることは、与えられた特性データに対応する処理パラメータを読み出すことを含む。
【0079】
パラメータ設定モデル183は、他の例として、特性データを代入することで処理パラメータを算出する演算式であってもよい。この場合、処理パラメータを得ることは、与えられた特性データをパラメータ設定モデル183に代入することで処理パラメータを算出することを含む。
【0080】
パラメータ設定モデル183は、一例として、シュリンク装置1の機械特性に応じて予め用意されていてもよい。この場合、特定データにパラメータ設定モデル183を適用することで、処理パラメータが得られる。他の例として、パラメータ設定モデル183は、異なる機械特性にも共通したものであってもよい。この場合、パラメータ設定モデル183は、シュリンク装置1の機械特性と特性データとを入力データとし、加熱処理における処理パラメータを出力するよう機械学習されている。後者の場合、処理パラメータを得ることは、与えられた特性データとシュリンク装置1の機械特性とをパラメータ設定モデル183に入力し、パラメータ設定モデル183から出力される処理パラメータを取得することを含む。
【0081】
好ましくは、設定支援処理111は、加熱処理による仕上がりを表す症状データを受け付けることを含む。加熱処理による仕上がりは、しわ、あばた、空気だまり、物品9の変形、破れや伸び、シュリンクフィルム91の折れ込み、シュリンクフィルム91の物品9の底面への巻き込み、色むら、ゆがみ、浮き上がり、ミシン目の破断、白色化、収縮不足、ずれ、及び、表示の不良のうちの少なくとも1つを含む。これにより、これら症状が生じた場合に、適切に対処するための調整情報が得られるようになる。
【0082】
設定支援処理111は、与えられた症状データをパラメータ修正モデル184に適用することで処理パラメータを調整するための調整情報を得ることを含む。調整情報は、一例として、処理パラメータの調整値であってもよい。他の例として、処理パラメータの調整割合であってもよい。
【0083】
パラメータ修正モデル184は、症状データが与えられると調整情報を出力するよう構成されたモデルである。パラメータ修正モデル184は、一例として、症状データが与えられると調整情報を出力するよう機械学習された学習モデルである。この場合、調整情報を得ることは、与えられた症状データをパラメータ修正モデル184に入力し、パラメータ修正モデル184から出力される調整情報を取得することを含む。
【0084】
パラメータ修正モデル184は、他の例として、症状データと調整情報とが対応付けられたテーブルとして構成されていてもよい。この場合、調整情報を得ることは、与えられた症状データに対応する調整情報を読み出すことを含む。
【0085】
パラメータ修正モデル184は、他の例として、症状データを代入することで調整情報を算出する演算式であってもよい。この場合、調整情報を得ることは、与えられた症状データをパラメータ修正モデル184に代入することで調整情報を算出することを含む。
【0086】
パラメータ修正モデル184は、一例として、シュリンク装置1の機械特性に応じて予め用意されていてもよい。この場合、症状データにパラメータ修正モデル184を適用することで、調整情報が得られる。他の例として、パラメータ修正モデル184は、異なる機械特性に共通したものであってもよい。この場合、パラメータ修正モデル184は、シュリンク装置1の機械特性と症状データとを入力データとし、調整情報を出力するよう機械学習されている。後者の場合、調整情報を得ることは、与えられた症状データとシュリンク装置1の機械特性とをパラメータ修正モデル184に入力し、パラメータ修正モデル184から出力される調整情報を取得することを含む。
【0087】
好ましくは、設定支援処理111は、取得した処理パラメータをユーザに提示し、ユーザ操作に従って加熱処理のための制御パラメータとすることを決定することを含む。また、好ましくは、設定支援処理111は、取得した処理パラメータをユーザに提示し、ユーザ操作に従って修正し、修正値を得ることを含む。これにより、ユーザは、提示された処理パラメータの設定することも、所望する処理パラメータに変更することも可能になる。その結果、ユーザによる処理パラメータの設定が好適に支援される。
【0088】
プロセッサ11は、支援用プログラム181を実行することによって、設定処理112を実現する。設定処理112は、決定された処理パラメータを、加熱処理のための制御パラメータとして、加熱処理を制御する制御部に与えることを含む。制御パラメータは、処理パラメータに基づいて得られる制御用の信号であって、例えば、高温気体の温度が処理パラメータとして設定された場合に、図示しないヒータのオンオフや電圧値を指示する信号を指す。
【0089】
また、設定処理112は、処理パラメータがユーザによって修正された修正値を、加熱処理のための制御パラメータとして、加熱処理を制御する制御部に与えることを含む。加熱処理を制御する制御部は、プロセッサ11が加工制御用プログラム182を実行することによって実現される機能を指す。
【0090】
プロセッサ11は、加工制御用プログラム182を実行することによって、加工制御処理113を実現する。加工制御処理113は、シュリンク装置1の各部を制御し、シュリンクフィルム91を加熱処理して物品9に装着させる動作をシュリンク装置1に行わせることを含む。加工制御処理113において、設定支援処理111によって制御パラメータが与えられているときには、その制御パラメータが用いられる。
【0091】
好ましくは、加工制御処理113は、加熱処理の際に設定された処理パラメータを、設定時の特性データと対応付けて設定値記憶部185に記憶させることを含む。これにより、後述の更新処理114で用いることができる。
【0092】
好ましくは、プロセッサ11は、支援用プログラム181を実行することによって、更新処理114を実行する。更新処理114は、パラメータ設定モデル183やパラメータ修正モデル184を更新することを含む。例えば、モデルが学習モデルの場合、更新処理114は、設定値記憶部185に記憶されている処理パラメータと設定時の特性データとを用いて、モデルを再学習することを含む。これにより、設定の支援の精度を向上させることができる。
【0093】
設定支援装置が管理装置3を含んで構成されるものであってもよい。一例として、管理装置3は、1又は複数のシュリンク装置1と通信可能であって、シュリンク装置1のパラメータ設定モデル183やパラメータ修正モデル184を再学習し、更新するように構成されていてもよい。
【0094】
この場合、更新処理114は、設定値記憶部185に記憶されている処理パラメータと設定時の特性データとを更新用データとして通信装置16に渡し、所定のタイミングで管理装置3に送信させることを含む。また、更新処理114は、さらに、管理装置3から再学習されたモデルを受け取り、メモリ18に記憶されているモデルを更新することを含む。これにより、制御部10に再学習の機能を搭載せず管理装置3側でモデルの再学習を行うことができる。
【0095】
管理装置3が複数のシュリンク装置1と通信し、各シュリンク装置1から更新用データを受け取る場合、管理装置3は、複数のシュリンク装置1からの更新用データを用いてモデルの再学習を行うことができる。そのため、1台のシュリンク装置1から更新用データを用いるよりも多くの更新用データを用いて再学習が行われるため、より高度の再学習を行うことができる。
【0096】
図6は、本実施の形態にかかる設定支援方法の一例を表したフローチャートである。また、
図7~
図13は、
図6の設定支援方法の一例において出力される表示画面の具体例である。これらの表示画面は、例えば、シュリンク装置1のタッチパネル17に表示され、タッチパネル17で表示画面に従ってユーザ操作を受け付ける。
【0097】
他の例として、
図7~
図13の表示画面はユーザ端末5の図示しないタッチパネルに表示され、ユーザ端末5で表示画面に従ってユーザ操作を受け付ける。この場合、表示画面の表示、及び、ユーザ端末5に対するユーザ操作を示す操作信号の入力は、制御部10とユーザ端末5との間の通信を介して行われる。
【0098】
図6の処理は、一例として、電源がONされたときなどの特定のタイミングにおいて、プロセッサ11が開始する。このとき、プロセッサ11は、シュリンク装置1のタッチパネル17に
図7のメニュー画面40を表示させる。メニュー画面40は、設定支援処理にも用いられる。詳しくは、
図7を参照して、メニュー画面40は、ボタン41~48を含む。
【0099】
ボタン41は、自動運転画面に切り替えるためのボタンである。自動運転画面は、設定済の処理パラメータを用いて自動で行う加熱処理のための操作入力や情報表示を行うための画面である。操作は、例えば、処理の開始や終了、処理対象の物品9の数の設定、などである。情報表示は、例えば、処理済の物品9の数や、未処理の物品9の数などの表示であってよい。
【0100】
ボタン42は、手動運転画面に切り替えるためのボタンである。手動運転画面は、設定済の処理パラメータを用いて手動で行う加熱処理のための操作入力や情報表示を行うための画面である。手動で行う加熱処理は、処理パラメータなどのテストとして行われる加熱処理を指し、自動で行う加熱処理よりも少ない数の物品9に対して行う加熱処理を指す。
【0101】
ボタン43は、パターン設定画面に切り替えるためのボタンである。パターン設定画面とは、パターン化して記憶している特性データを読み出して設定する操作を受け付けるための画面である。この画面を用いて設定することで、例えば同じシュリンクフィルム91を用いて同じ物品9に加熱処理を行う場合の特性データの設定が容易になる。
【0102】
ボタン47は、現在値仮設定画面に切り替えるためのボタンである。現在値仮設定画面は、現在設定されている処理パラメータを、これからの加熱処理の処理パラメータとして仮に設定する操作入力を受け付けるための画面である。この画面を用いて設定することで、設定支援処理によらずにユーザが処理パラメータを設定する際に、設定が容易になる。
【0103】
ボタン44は、機能設定画面に切り替えるためのボタンである。機能設定画面は、シュリンク装置1の機能設定のための操作入力や情報表示を行うための画面である。ボタン45は、ファクター入力画面に切り替えるためのボタンである。ファクター入力画面は、特性データの入力操作を受け付けるための画面である。ボタン46は、症状入力画面に切り替えるためのボタンである。症状入力画面は、症状データの入力操作を受け付けるための画面である。ボタン48は、推奨値画面に切り替えるためのボタンである。推奨値画面は、パラメータ設定モデル183から取得された処理パラメータを提示する画面である。詳細は後述する。
【0104】
図6を参照して、プロセッサ11は、メモリ18の装置情報記憶部186から、シュリンク装置1の機械特性データを読み込む(ステップS101)。機械特性データは、一例として、
図8の機械設定画面50を用いて入力される。プロセッサ11は、機械設定画面50を用いて機械特性データの入力を受け付けると、装置情報記憶部186に記憶させる。
【0105】
図8を参照して、機械設定画面50は、シュリンク装置1に固有のデータを入力する入力部51を含む。入力部51は、例えば、シュリンク装置1の識別番号や、シュリンク装置1の機種や、シュリンク装置1のサイズや、シュリンク装置1のタイプなどの入力を受け付ける。機械設定画面50は、予熱部13及び加工部14の寸法を入力する入力部52を含む。予熱部13及び加工部14の寸法は、例えば、予熱部13及び加工部14の幅や高さなどである。機械設定画面50は、シュリンク装置1の搬送に関するデータを入力する入力部53を含む。搬送に関するデータは、例えば、モータMのギア比、モータMに接続されて駆動プーリーとして機能するローラ121の直径、搬送方向、などである。
【0106】
機械特性データは、処理パラメータの初期値を含んでもよい。この場合、機械設定画面50は、予熱部13及び加工部14の温度を入力する入力部54、風量に対応した送風部22,送風機33Aの回転の周波数を入力する入力部55、コンベヤ120の速度、図示しないトップベルトの速度などである搬送速度を示すデータを入力する入力部56、及び、図示しない吸引室の圧力を入力する入力部57、予熱部13に、高さ方向に複数、並行に設けられ、かつ、進行方向の前半、後半に分割されたシャッター222それぞれの開閉を示すデータを入力する入力部58を含む。
【0107】
入力部51~57は、一例として、数値の入力を受け付けるものであってよい。これにより任意の数値を入力できる。入力部58は、タッチによってシャッター222の開閉状態のいずれかが選択可能なものであってよい。一例として、奇数回のタッチでシャッター222の開状態が指定され、偶数回のタッチでシャッター222の閉状態が指定されるものであってよい。これにより、容易に開閉状態を入力することができる。
【0108】
機械特性データは、シュリンク装置1の出荷時に入力されて装置情報記憶部186に記憶されていてもよい。又は、管理者やサービスマンなどの特定のユーザのみ入力や変更が可能であってもよい。その場合、プロセッサ11は、所定の操作によってのみ機械設定画面50を表示するようにしてもよい。
【0109】
次に、プロセッサ11は、特性データの入力を受け付ける(ステップS103)。ステップS103は、メニュー画面40においてボタン45が操作されると行われる。このとき、プロセッサ11は、タッチパネル17に
図9のファクター入力画面60を表示する。
【0110】
図9を参照して、ファクター入力画面60は、物品9の特性データとして、シュリンクフィルム91を収縮させ装着させる範囲を入力する入力部61、物品9(例えば容器)の形状を入力する入力部62、物品9の材質を入力する入力部63、物品9の寸法を入力する入力部64、物品9の温度や物品9の周囲温度を入力する入力部65を含む。物品9の寸法は、例えば、物品9の高さや物品9の幅を含む。
【0111】
入力部64,65は、一例として、数値の入力を受け付けるものであってよい。これにより任意の数値を入力できる。入力部61,62,63は、一例として、複数の選択肢をユーザに提示し、その中から選択するユーザ操作を受け付けるものであってもよい。具体例として、入力部62,63が選択されて入力状態となったとき、それぞれ、
図10に示される選択肢601,602が提示される。
【0112】
詳しくは、
図10を参照して、選択肢601は、物品9の形状を選択するための選択肢であって、シュリンク装置1での加熱加工の対象となる代表的な物品の形状を複数、選択可能に提示するものである。この中から1つの選択を受け付けると、プロセッサ11は入力部62への入力とする。選択肢602は、物品9の材質を選択するための選択肢であって、シュリンク装置1での加熱加工の対象となる代表的な物品の材質を複数、選択可能に提示するものである。この中から1つの選択を受け付けると、プロセッサ11は入力部63への入力とする。このように選択肢を提示することで、ユーザの特性データの入力が容易になるとともに、プロセッサ11の設定支援処理も容易になる。
【0113】
ファクター入力画面60は、シュリンクフィルム91の特性データとして、シュリンクフィルム91の材質を入力する入力部71、シュリンクフィルム91の寸法を入力する入力部72、及び、シュリンクフィルム91に施されている加工に関する情報を入力する入力部73を含む。シュリンクフィルム91の寸法は、例えば、シュリンクフィルム91の幅、長さ、厚みを含む。
【0114】
入力部72は、一例として、数値の入力を受け付けるものであってよい。入力部71は、一例として、
図10と同様に、複数の選択肢をユーザに提示し、その中から選択するユーザ操作を受け付けるものであってもよい。
【0115】
好ましくは、特性データは、さらに、加熱処理に対する設定を示すデータをさらに含む。加熱処理に対する設定を示すデータは、例えば、加熱処理の速度(処理能力)、シュリンクフィルム91の搬送時の向き(流し方向)を含む。この場合、ファクター入力画面60は、処理能力を入力するための入力部74、及び、流し方向を入力するための入力部75をさらに含む。
【0116】
ファクター入力画面60は、メニュー画面40への移行を指示するボタン66をさらに含む。プロセッサ11は、ボタン66の操作を受け付けることでメニュー画面40に切り替えるとともに、ファクター入力画面60での入力が完了したとして、ステップS105を終了する。
【0117】
好ましくは、ファクター入力画面60は、ファクター入力画面60で入力された特性データのメモリ18への登録を指示するボタン68と、登録時の識別情報を入力する入力部67と、を含む。プロセッサ11は、ボタン68の操作を受け付けることで、ファクター入力画面60で入力された特性データを、入力部67で受け付けた識別情報と関連付けて特性データ記憶部187に記憶させる。これにより、パターン設定画面を用いて、特性データ記憶部187に登録された特性データの中から選択肢の指定を受け付けるだけで容易に特性データを入力することができるようになる。
【0118】
なお、特性データの入力は、ファクター入力画面60での個別の値の入力に替えて、図示しないパターン設定画面からパターンを選択することによって行われてもよい。この場合、プロセッサ11は、メニュー画面40においてボタン43を操作されるとステップS103を実行する。この時のステップS103の処理は、図示しないパターン設定画面において選択されたパターンに関連付けて記憶されている特性データを特性データ記憶部187から読み出すことを含む。これにより、容易に特性データを入力することができる。
【0119】
なお、パターン設定画面でパターンが選択された後にメニュー画面40にてボタン45が操作された場合、プロセッサ11は、選択されたパターンに対応付けて記憶されている特性データを各部に入力した状態のファクター入力画面60をタッチパネル17に表示する。ファクター入力画面60においてユーザ操作を受け付けると、ユーザ操作に従って特性データを変更する。これにより、パターンを利用して特性データを読み出し、柔軟に変更することができる。
【0120】
次に、プロセッサ11は、処理パラメータを取得するために、ステップS103で入力された特性データをパラメータ設定モデル183に入力する(ステップS105)。パラメータ設定モデル183が異なる機械特性にも共通したものである場合、ステップS105でプロセッサ11は、ステップS101で読み出した機械特性もパラメータ設定モデル183に入力する。
【0121】
プロセッサ11は、パラメータ設定モデル183からの出力を受け取ることによって、処理パラメータを取得する(ステップS107)。ステップS105,S107は、メニュー画面40においてボタン48が操作されると行われる。
【0122】
プロセッサ11は、タッチパネル17に
図11の推奨値画面80を表示する。プロセッサ11は、パラメータ設定モデル183からの出力によって得られた処理パラメータを入力した推奨値画面80の表示データを生成し、タッチパネル17に表示する。
【0123】
推奨値画面80が表示されることにより、シュリンク装置1を用いて物品9にシュリンクフィルム91を密着させる加熱処理を行う場合の処理パラメータを、物品9又はシュリンクフィルム91の少なくとも一方の特性データを入力することによって得ることができる。そのため、処理パラメータの設定が好適に支援される。その結果、処理パラメータの設定に不慣れなユーザであっても適した処理パラメータを得ることができる。
【0124】
好ましくは、推奨値画面80は、提示した処理パラメータの修正を指示するユーザ操作を受け付け可能な画面である。具体的には、プロセッサ11は、ユーザ操作に従って、推奨値画面80の各入力部に表示した処理パラメータの削除や変更を行う。これにより、シュリンク装置1のユーザは、提示された処理パラメータを任意に変更可能となる。そのため、シュリンク装置1の使い勝手が向上する。
【0125】
図11を参照して、推奨値画面80は、予熱部13及び加工部14の温度を提示し、その修正を入力する入力部81と、予熱部13及び加工部14の風量に対応した送風部22,送風機33Aの回転の周波数を提示し、その修正を入力する入力部82と、コンベヤ120の速度、トップベルトの速度などである搬送速度を提示し、その修正を入力する入力部83と、高温気体が蒸気を含む気体である場合に用意されている蒸気の吸引機構の陰圧を提示し、その修正を入力する入力部84と、シャッター222それぞれの開閉を示すデータを提示し、その修正を入力する入力部84と、を含む。好ましくは、流し方向を提示し、その修正を入力する入力部86をさらに含む。また、他の例として、推奨値画面80は、高温気体の吐出角度を提示し、その修正を入力する入力部をさらに含んでもよい。
【0126】
入力部81~84は、一例として、数値の入力を受け付ける入力部であってよい。これにより、表示された数値を任意の数値に変更できる。入力部86は、
図10と同様に、複数の選択肢をユーザに提示し、その中から選択するユーザ操作を受け付けるものであってもよい。入力部85は、入力部58と同様に、タッチによってシャッター222の開閉状態のいずれかが選択可能なものであってよい。これにより、表示された開閉状態を容易に変更できる。
【0127】
推奨値画面80は、メニュー画面40への移行を指示するボタン87をさらに含む。プロセッサ11は、ボタン87の操作を受け付けることでステップS109を終了し、メニュー画面40に切り替える。
【0128】
推奨値画面80で提示した処理パラメータの修正値が入力された後にボタン87が操作された場合、つまり、推奨値画面80で提示された処理パラメータが決定されずに修正された場合(ステップS111でNO)、プロセッサ11は、推奨値画面80で受け付けたユーザ操作に従って処理パラメータを変更して修正値を得る(ステップS113)。推奨値画面80で提示した処理パラメータを変更するユーザ操作が行われずにボタン87が操作された場合、つまり、推奨値画面80で提示された処理パラメータが決定された場合(ステップS111でYES)、プロセッサ11は、ステップS113をスキップする。プロセッサ11は、決定された処理パラメータ、又は、修正値を、加熱処理の処理パラメータとする(ステップS115)。
【0129】
その後、メニュー画面40においてボタン42が操作されることで、プロセッサ11は、処理パラメータなどのテストとして、手動運転画面にて設定されたタイミングで加熱処理を実行する(ステップS117)。ステップS117でプロセッサ11は、設定された処理パラメータが制御パラメータを得、手動運転画面にて設定されたタイミングで加熱処理を実行するように各部を制御する。
【0130】
次に、プロセッサ11は、必要に応じて(ステップS119でYES)、症状データの入力を受け付ける。症状データの入力は、メニュー画面40においてボタン46が操作されると行われる。このとき、プロセッサ11は、タッチパネル17に
図12の症状入力画面90を表示する。
【0131】
図12を参照して、症状入力画面90は、しわ、あばた、空気だまり、物品9の変形、破れや伸び、シュリンクフィルム91の折れ込み、シュリンクフィルム91の物品9の底面への巻き込み、色むら、ゆがみ、浮き上がり、ミシン目の破断、白色化、収縮不足、ずれ、及び、表示の不良、などの、加熱処理で生じ得る、複数の不具合の現象それぞれについて、その有無を指示するボタン94、及び、発生位置を入力するボタン92を含む。
【0132】
ボタン94は、一例として、タッチによって不具合の有無のいずれかが選択可能なものであってよい。一例として、奇数回のタッチで不具合の有が指定され、偶数回のタッチで不具合の無が指定されるものであってよい。これにより、不具合の有無を入力することができる。
【0133】
ボタン92も、ボタン94と同様にタッチによって不具合の位置が選択可能なものであってよい。好ましくは、不具合の位置の選択は、一例として、複数の選択肢をユーザに提示し、その中から選択するユーザ操作を受け付けるものであってもよい。具体例として、ボタン94が操作されて不具合の有が指定されたとき、不具合の有が指定された現象について、
図13に示される選択肢901が提示される。
【0134】
図13を参照して、選択肢901は、予め設定された不具合の可能性のある複数位置を、有が指定された不具合の現象について選択可能に提示するものである。一例として、
図12のボタン92を拡大したものであってもよい。シュリンク装置1に設置されるタッチパネル17やユーザ端末に搭載されるディスプレイは小型であるが、
図13のように拡大した選択肢901を表示することで、操作が容易になる。
【0135】
症状入力画面90は、メニュー画面40への移行を指示するボタン93をさらに含む。プロセッサ11は、ボタン93の操作を受け付けることでメニュー画面40に切り替える。また、プロセッサ11は、ボタン93の操作を受け付けることで、症状入力画面90での入力が完了したとして、ステップS121に移行する。
【0136】
次に、プロセッサ11は、症状データの入力を受け付けると、調整情報を取得するために、症状入力画面90で入力された症状データをパラメータ修正モデル184に入力する(ステップS121)。パラメータ修正モデル184が異なる機械特性にも共通したものである場合、ステップS121でプロセッサ11は、ステップS101で読み出した機械特性もパラメータ修正モデル184に入力する。プロセッサ11は、パラメータ修正モデル184からの出力を受け取ることによって、調整情報を取得することができる。
【0137】
プロセッサ11は、一例として、取得した調整情報を用いて処理パラメータを修正し、修正値をユーザに提示するようにしてもよい。すなわち、ステップS109からの処理を繰り返してもよい。これにより、症状データが入力されるたびに、入力された症状データを用いて処理パラメータが修正されるようになる。これにより、設定した処理パラメータを用いた加熱処理の仕上がりに不具合が生じた場合にも、その不具合を解消するための処理パラメータの調整が容易になる。
【0138】
ステップS115で処理パラメータが加熱処理に用いる処理パラメータと設定された後、メニュー画面40においてボタン46が操作されることなく他の操作が行われた場合、つまり、症状データの入力がなされなかった場合(ステップS119でNO)、プロセッサ11は、設定された処理パラメータを特性データと関連付けて設定値記憶部185に記憶させてから(ステップS123)、設定支援処理を終了する。
【0139】
設定された処理パラメータが設定値記憶部185に記憶されていることで、プロセッサ11は、更新用データとして用いて所定のタイミングで更新処理114を実行することができる。その結果、パラメータ設定モデル183やパラメータ修正モデル184が再学習され、設定支援処理によってより適した処理パラメータが得られるようになる。また、より適した調整情報が得られるようになる。
【0140】
なお、設定支援装置が管理装置3を含んで構成されるものである場合、プロセッサ11は、所定のタイミングで更新用データを管理装置3に送信させて、管理装置3から再学習されたモデルを受け取る処理を行う。所定のタイミングは、例えば、指定された時刻や、指定された時間間隔などである。この場合、管理装置3では複数のシュリンク装置1からの更新用データを用いてモデルの再学習を行うことができるため、より高度の再学習を行うことができる。その結果、パラメータ設定モデル183やパラメータ修正モデル184がより高度に再学習されるようになる。
【0141】
なお、設定支援装置は、さらに、シュリンク装置1以外の装置に搭載されたコンピュータを含んでもよい。シュリンク装置1以外の装置に搭載されたコンピュータは、例えば、ユーザ端末5に搭載されたコンピュータであってよい。この場合、ユーザ端末5のプロセッサは、シュリンク装置1の通信装置16と通信することで、
図6に表された設定支援方法を実現する処理の少なくとも一部を実行する。
【0142】
一例として、ユーザ端末5は、上記の処理によって得られた処理パラメータを通信装置16と通信することでシュリンク装置1に送信する。他の例として、ユーザ端末5は、上記の処理によって得られた処理パラメータをディスプレイに提示してユーザから処理パラメータの選択を受け付けて、選択された処理パラメータを設定させる制御信号をシュリンク装置1に送信してもよい。これにより、ユーザは、ユーザ端末5などのシュリンク装置1以外の装置を用いても処理パラメータの設定のための支援を得ることができる。
【0143】
<3.付記>
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0144】
1 :シュリンク装置
3 :管理装置
5 :ユーザ端末
7 :通信網
8 :基準軸
9 :物品
10 :制御部
11 :プロセッサ
13 :予熱部
14 :加工部
15 :装着部
16 :通信装置
17 :タッチパネル
18 :メモリ
21 :カバー
22 :送風部
31 :カバー
33 :配管
33A :送風機
34 :ノズル
34A :回転部
40 :メニュー画面
41 :ボタン
42 :ボタン
43 :ボタン
44 :ボタン
45 :ボタン
46 :ボタン
47 :ボタン
48 :ボタン
50 :機械設定画面
51 :入力部
52 :入力部
53 :入力部
54 :入力部
55 :入力部
56 :入力部
57 :入力部
58 :入力部
60 :ファクター入力画面
61 :入力部
62 :入力部
63 :入力部
64 :入力部
65 :入力部
66 :ボタン
67 :入力部
68 :ボタン
71 :入力部
72 :入力部
73 :入力部
74 :入力部
75 :入力部
80 :推奨値画面
81 :入力部
82 :入力部
83 :入力部
84 :入力部
85 :入力部
86 :入力部
87 :ボタン
90 :症状入力画面
91 :シュリンクフィルム
91A :筋
92 :ボタン
93 :ボタン
94 :ボタン
100 :シュリンクシステム
111 :設定支援処理
112 :設定処理
113 :加工制御処理
114 :更新処理
120 :コンベヤ
121 :ローラ
123 :ベルト
134 :供給管
134A :送風機
181 :支援用プログラム
182 :加工制御用プログラム
183 :パラメータ設定モデル
184 :パラメータ修正モデル
185 :設定値記憶部
186 :装置情報記憶部
187 :特性データ記憶部
221 :開口板
221A :開口
222 :シャッター
222A :開口
223 :エアシリンダ
223A :エアホース
601 :選択肢
602 :選択肢
621 :メンテナンスプログラム
901 :選択肢
F1 :気流
M :モータ
P :規定位置
R :搬送方向
T :加熱位置
θ :角度