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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187464
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】分析カートリッジ
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/08 20060101AFI20221212BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20221212BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20221212BHJP
   C12M 1/26 20060101ALI20221212BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
G01N35/08 A
G01N37/00 101
C12M1/00 A
C12M1/26
C12M1/34 Z
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003762
(22)【出願日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】110120577
(32)【優先日】2021-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】516067494
【氏名又は名称】クレド ダイアグノスティックス バイオメディカル プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】▲頼▼ 盈達
(72)【発明者】
【氏名】歐 育誠
(72)【発明者】
【氏名】廖 峻毅
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 舒鴻
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 凡芸
(72)【発明者】
【氏名】蔡 睿逸
(72)【発明者】
【氏名】熊 俐▲ゆい▼
【テーマコード(参考)】
2G058
4B029
【Fターム(参考)】
2G058CA02
2G058CC08
2G058EA03
2G058EA05
2G058EA08
2G058EC02
2G058EC03
2G058EC04
4B029AA07
4B029AA09
4B029AA27
4B029BB20
4B029CC01
4B029FA12
4B029FA15
4B029GA03
4B029GA08
4B029GB05
4B029HA05
(57)【要約】
【課題】 新規の分析カートリッジを提供すること。
【解決手段】 分析カートリッジが、第1のカバーと、第2のカバーと、複数の容器と、複数の流体トンネルと、回転弁とを含む。第2のカバーは、対向する2つの表面を有し、複数の第1のスルーホール及び1つの第2のスルーホールが個々に、対向する2つの表面を貫通し、第1のカバーは、第2のカバーに取り付けられる。複数の容器は、第1のカバーと第2のカバーとの間に配置され、容器の各々は、第1のスルーホールと整列し、第1のスルーホール内に埋められる。複数の流体トンネルは、第1のカバーの上に配置され、その各々は、第1のピペットに個々に接続される。回転弁は、第2のスルーホールに対応するように、第1のカバーと第2のカバーとの間に回転可能に配置され、回転弁の上に配置された流路が、容器に個々に接続されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のカバーと、
前記第1のカバーに取り付けられた第2のカバーであって、対向する2つの表面、並びに、その上に配置された複数の第1のスルーホール及び1つの第2のスルーホールを含み、前記第1のスルーホール及び前記第2のスルーホールは個々に、前記2つの表面を貫通している、第2のカバーと、
前記第1のカバーと前記第2のカバーとの間に挟まれた複数の容器であって、個々に前記第1のスルーホールと整列している、複数の容器と、
前記第1のカバーの上に配置された複数の流体トンネルであって、前記流体トンネルの各々は第1のピペットに接続されている、複数の流体トンネルと、
前記第1のカバーと前記第2のカバーとの間に回転可能に配置されて、前記第2のスルーホールと整列している回転弁であって、前記容器に個々に接続するためにその上に配置された流路を含む回転弁と、
を含む分析カートリッジ。
【請求項2】
前記回転弁は、異なる材料の第1の部分及び第2の部分を含み、前記第1の部分は、前記流路を取り囲むようにその上に配置された突出部を含む、請求項1に記載の分析カートリッジ。
【請求項3】
前記回転弁の前記第2の部分は、その上に配置されたクランプ部分を含み、前記クランプ部分は、前記第2のスルーホールから突き出ている、請求項2に記載の分析カートリッジ。
【請求項4】
前記流路は、スピンドル形状又は直線形状を含む、請求項1に記載の分析カートリッジ。
【請求項5】
前記流路は、前記第1のカバーの上に配置された液体一時貯蔵領域にさらに接続する、請求項1に記載の分析カートリッジ。
【請求項6】
前記流路は、前記流体トンネルを介して前記容器に接続され、前記流体トンネルは、水平方向に沿って前記第1のカバーの上に配置されている、請求項5に記載の分析カートリッジ。
【請求項7】
前記流路は、前記回転弁の上に配置された垂直チャネルを介して前記容器に接続されている、請求項1に記載の分析カートリッジ。
【請求項8】
前記第1のピペットは、前記第1のカバーの第1の表面から下方に延びて、前記第1のカバーの第2の表面から突き出る、請求項1に記載の分析カートリッジ。
【請求項9】
前記第1のピペットは、その底部において傾斜した側壁を含む、請求項1に記載の分析カートリッジ。
【請求項10】
前記回転弁は、垂直方向において前記容器の各々を部分的に覆っている、請求項1に記載の分析カートリッジ。
【請求項11】
前記第1のカバーと前記第2のカバーとの間に挟まれた第3のカバーをさらに含み、前記回転弁は、前記第3のカバーの上に配置されている、請求項1に記載の分析カートリッジ。
【請求項12】
前記第3のカバーの上に配置された複数の第2のピペットをさらに含み、前記第2のピペットは、前記第1のスルーホールとそれぞれ整列している、請求項11に記載の分析カートリッジ。
【請求項13】
前記容器は、試料容器、反応容器、及び試薬容器を含む、請求項1に記載の分析カートリッジ。
【請求項14】
前記第1のカバーの上に配置された複数の気体トンネルをさらに含み、前記気体トンネルの各々は気体孔を有している、請求項1に記載の分析カートリッジ。
【請求項15】
前記容器の各々は、少なくとも前記容器の各々の底に配置された傾斜部分を含む、請求項1に記載の分析カートリッジ。
【請求項16】
前記傾斜部分は、傾斜した側壁を含む、請求項15に記載の分析カートリッジ。
【請求項17】
前記容器の各々は、本体、及び前記本体を密封するためのフィルムをさらに含む、請求項1に記載の分析カートリッジ。
【請求項18】
前記容器のうち1つが、複数の磁気ビーズをさらに含む、請求項1に記載の分析カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、分析カートリッジに関し、特に、核酸抽出及び核酸増幅のための分析カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
核酸抽出及び核酸増幅は、生物医学的な検査又は診断に使用される一般的な技術である。一般的に、核酸抽出キット又は核酸抽出試薬が、通常、核酸抽出のために公開及び日常実験室で使用され、次に、核酸増幅キット又は核酸増幅試薬を使用して、特定の核酸断片を増幅するか又は特定の核酸断片を検出する。しかし、上述のキット又は試薬には、通常、手動操作が必要とされ、これは、時間がかかり、試料又は試薬上への汚染を生じやすく、それによって、大量検査又は生産ラインモード検査に対する使用効率が低くなる。
【0003】
従って、関連技術の実用的な要件を満たすように、核酸抽出及び核酸増幅のための新規の改善されたキット、試薬、又は装置を提供することが、関連技術には依然として必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願第17/364,868号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的の1つは、分析カートリッジを提供することであり、この分析カートリッジにおいては、回転弁と各容器との接続を、外部の駆動力を介して回転弁を特定の向きに回転させることによって制御することができ、次に、試料、試薬、反応溶液、及び他の流体を、要求に応じて容器間で移送及び混合することができ、その体積も正確に制御されるため、各反応工程の進行を容易にしている。本開示の分析カートリッジは、サンプルインリザルトアウトの自動検査プロセスを提供するのを可能にし、それによって、日常実験室の限界及び不十分な効果を改善し、検査の効率及び感度を向上させている。
【0006】
加えて、本開示の多機能の分析カートリッジは、さらに、磁気ビーズを使用して核酸を抽出し、また、磁気ビーズを吸収、放出、又は移送する効率を高め且つ抽出効率及び純度を改善するように、容器及びピペットの構造も改善する。同時に、本開示は、複数の詳細な構成要素の組み立ての困難性を効果的に減らし、分析カートリッジ全体の作製プロセスを簡略化し、その生産量及び利便性も効果的に改善する。従って、本開示の新規の分析カートリッジは、医療検査又は検出製品の実用的な要件を満たすことが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本開示の一実施形態は、第1のカバー、第2のカバー、複数の容器、複数の流体トンネル、及び回転弁を含む分析カートリッジを提供する。第2のカバーは、第1のカバーに取り付けられ、第2のカバーは、対向する2つの表面、並びにその上に配置された複数の第1のスルーホール及び1つの第2のスルーホールを含み、第1のスルーホール及び第2のスルーホールは個々に、2つの表面を貫通する。容器は、第1のカバーと第2のカバーとの間に挟まれ、容器は個々に、第1のスルーホールと整列している。流体トンネルは、第1のカバーの上に配置され、その各々は、第1のピペットに接続される。回転弁は、第1のカバーと第2のカバーとの間に回転可能に配置されて、第2のスルーホールと整列し、回転弁は、個々の容器に接続するためにその上に配置された流路を含む。
【0008】
本発明のこれら及び他の目的は、様々な図及び図面において例示されている好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後に、当業者には確かに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1乃至図6は、本開示における第1の実施形態による分析カートリッジを例示した概略図である。図7乃至図10は、本開示における第2の実施形態による分析カートリッジを例示した概略図である。
図1】本開示における第1の実施形態による分析カートリッジの分解図である。
図2】本開示における第1の実施形態による分析カートリッジの上面図である。
図3】本開示における第1の実施形態による分析カートリッジの容器の断面図である。
図4】本開示における第1の実施形態による分析カートリッジの回転弁の分解図である。
図5】本開示における第1の実施形態による分析カートリッジのピペットの断面図である。
図6】本開示における第1の実施形態による分析カートリッジの流体トンネル内の細胞を破壊するための短パルスレーザービームの使用を例示した断面図である。
図7】本開示における第2の実施形態による分析カートリッジの分解図である。
図8】本開示における第2の実施形態による分析カートリッジの上面図である。
図9】本開示における第2の実施形態による分析カートリッジの回転弁の分解図である。
図10】本開示における第2の実施形態による分析カートリッジの回転弁及びピペットの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示のより良い理解を提供するために、好ましい実施形態が詳細に記載される。本開示の好ましい実施形態は、番号付きの要素を有する添付の図面において例示されている。
【0011】
本開示において、記載における第2の特徴にわたって又はその上に第1の特徴を形成することは、第1及び第2の特徴が直接接触して形成される実施形態を含んでもよく、また、第1及び第2の特徴が直接接触しなくてもよいように、第1及び第2の特徴の間にさらなる特徴を形成することができる実施形態を含んでもよい。加えて、本開示は、様々な例において参照番号及び/又は文字を繰り返すことができる。この繰り返しは、単純化及び明確化を目的としており、それ自体は、論じられる様々な実施形態及び/又は構成間の関係を指示するものではない。さらに、「下」、「下方」、「下に」、「上」、「上方」、及び「上に」等の空間的に相対的な用語が、図において例示されているように、1つの要素又は特徴の、1つ又は複数の別の要素又は特徴に対する関係の説明を容易にするために本明細書において使用されてもよい。空間的に相対的な用語は、図において描かれている向きに加えて、使用中又は動作中の装置の異なる向きを包含するように意図されている。例えば、図中の装置が反転された場合、他の要素又は特徴の「下方」及び/又は「下」にあるとして記載される要素は、従って、他の要素又は特徴の「上方」及び/又は「上」に向けられる。装置は、他の方法で向けられてもよく(90度回転又は他の向きにされてもよく)、本明細書において使用される空間的に相対的な記述子は、同様に、応じて解釈され得る。
【0012】
第1、第2、第3等という用語を、様々な要素、構成要素、領域、層、及び/又は部分を記載するために本明細書において使用することができるけれども、これらの要素、構成要素、領域、層、及び/又は部分は、これらの用語によって限定されるべきではないことが理解されたい。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層、及び/又は部分を別の領域、層、及び/又は部分から区別するためにのみ使用することができる。本明細書において使用される場合、「第1」、「第2」、及び他の数値用語等の用語は、文脈によって明確に示されていない限り、順序又は順番を意味しない。従って、以下に論じられる第1の要素、構成要素、領域、層、及び/又は部分は、実施形態の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層、及び/又は部分と称され得る。
【0013】
本明細書において開示されているように、「約」又は「実質的」という用語は、一般的に、所与の値又は範囲の20%以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%、3%、2%、1%、又は0.5%以内を意味する。明示的に別段の定めをした場合を除き、本明細書において開示される数値範囲、量、値、及びパーセンテージの全てが、全ての例において、「約」又は「実質的」という用語によって修正されるものとして理解されるべきである。従って、特段の記載がない限り、本開示及び添付の特許請求の範囲において明記される数値パラメータは、所望により変わり得る近似値である。
【0014】
本開示の第1の実施形態による分析カートリッジ300を例示している図1~6を参照されたい。図1は、分析カートリッジ300の概略分解図であり、図2は、分析カートリッジ300の概略上面図であり、図6は、分析カートリッジ300の動作の概略図であり、残りの図面は、分析カートリッジ300の詳細な構成要素を示す概略立体図又は概略断面図である。図1及び図2において示されているように、分析カートリッジ300は、第1のカバー100、第2のカバー110、及び回転弁130を含む。例えば、第1のカバー100は、図1において示されているように、第1の表面100a及び第2の表面100b等、対向する2つの表面を含み、第2のカバー110も、図1において示されているように、第1の表面110a及び第2の表面110b等、対向する2つの表面を含む。第1のカバー100の第2の表面100bは、第2のカバー110の第1の表面110aに面している。分析カートリッジ300はまだ組み立てられておらず、第2のカバー110及び第1のカバー100は、互いに分離されて、それらの間に収容空間160を(図1において示されているように)画定し、回転弁130、複数の容器150、及び他の構成要素が、収容空間160内に配置されてもよい。図2において示されているように、分析カートリッジ300を組み立てている間に、第1のカバー100の第2の表面110bは、第2のカバー110の第1の表面110aに取り付けられ、回転弁130、容器150、及び他の構成要素は全て、第2のカバー110と第1のカバー100との間に挟まれ、収容空間160はもはや存在しない。一実施形態では、分析カートリッジ300の信頼性及び可鍛性を改善するように、第1のカバー100及び第2のカバー110は、例えば、熱融解法又は超音波法を介して組み立てられるが、これらに限定されない。
【0015】
第1のカバー100及び第2のカバー110の各々は、例えば、水平方向(図1において方向D1で示されているように、x方向等)に沿って延びる平板を含み、熱可塑性及び生体適合性を有するポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びその他を含む群から選択された適切な材料を使用してプラスチック射出成形法によって形成することができるが、これらに限定されない。また、第1のカバー100及び第2のカバー110は、相互に対応する輪郭を有してもよく、例えば、両方とも、図1において示されているように長方形であるが、これに限定されない。図1において示されている第1のカバー100及び第2のカバー110の特定の輪郭は単に例証的なものであり、第1のカバー100及び第2のカバー110は、実用的な製品要件に基づき他の適用可能な形状をさらに含んでもよいことを当業者は容易に理解するはずである。
【0016】
正確に言えば、第1のカバー100は、第1の表面100aの上に配置された複数の流体トンネル101及び複数の気体トンネル103をさらに含む。本実施形態では、流体トンネル101の各々及び気体トンネル103の各々は、例えば、方向D1に平行な任意の方向に沿って横方向に延びて、流体循環又は気体循環のためにピペット102又は気体孔104に接続している。各気体トンネル103の一端は、気体孔104に接続され、他端は、排気のために第1のカバー100の上に配置されたベント106に接続される。ピペット102の各々及び気体孔104の各々が、第1のカバー100の第1の表面100aから下方に延びて第1のカバー100の第2の表面100bから突き出る中空構造である図3も参照されたい。一実施形態では、ピペット102及び気体孔104の底部は、好ましくは、図3において示されているように、それぞれ傾斜した側壁102a、104aを含むが、これらに限定されない。ピペット102の傾斜した側壁102aは、液体を吸い込みながらピペット102内に液体を留めることが容易であるという問題を改善することができ、組み立ての間にシーリングフィルムを突き抜けることも容易にし得る。別の実施形態では、ピペット及び気体孔の傾斜した側壁は、任意的に、省くこともできる(図面には示されていない)。さらに、実用的な製品要件のために、流体トンネル及び/又は気体トンネルは、異なる延びる方向をさらに有してもよく、例えば、(方向D2等の)方向D1に垂直であるか又は異なる場所に位置を定め、上述のタイプであると限定されない任意の方向に沿って延びている。
【0017】
複数のスルーホール111、113、115が第2のカバー110の上にさらに配置されて、第1の表面110a及び第2の表面110bを順次貫通し、スルーホール111、113、115の各々は、異なるサイズを有する複数の容器150(例えば、図1及び2において示されているような容器151、153、155)を収容するように、異なるサイズ(例えば、異なる開口サイズ)を有してもよいが、これらに限定されない。言い換えると、各スルーホールの実用的なサイズは、各容器のサイズによって多様であってもよく、各容器の実用的なサイズは、実際の製品要件に基づき多様であってもよく、図1~2において示されているものに限定されず、当業者であれば容易に理解することができる。図3において示されているように、容器150の各々は、実用的な製品要件に基づき様々な所望の試薬を収容するための中空の本体154を含み、本体154は、例えばアルミニウム箔又はプラスチックのような材料を含むフィルム152によって密封される。好ましくは、本体154は、容器150内に配置された様々な試薬を集中させるのを容易にするための傾斜部分154aを含む。傾斜部分154aは、傾斜した側壁154bを含んでもよく、これは、例えば、図3において示されているように、少なくとも本体154の底部に配置されるが、これに限定されない。別の実施形態において、本体154は、任意的に、図5において示されているように、傾斜した側壁154cを全体として含んでもよい。
【0018】
一実施形態において、容器150は、例えば、複数の試薬容器151、少なくとも1つの反応容器153、及び少なくとも1つの試料容器155を含み、試薬容器151の各々は個々に、洗浄試薬、緩衝液、溶離液、又はライセート等を収容し、少なくとも1つの反応容器153は、反応を行うための様々な酵素又は反応物質(プライマー又はプローブ等)を収容し、少なくとも1つの試料容器155は、細菌、細胞、若しくはウイルス等の様々な試料、又は、細菌、細胞、若しくはウイルスを保有しているのではないかと疑われ且つ確認のために核酸抽出及び核酸増幅を必要とする試料を収容する。反応容器153の量は、任意の適した数であってもよく、例えば、図1において示されているように2つであってもよい。次に、分析カートリッジ300は、2つの反応容器153を介して、その中に配置された様々なプライマー及び/又はプローブに基づき異なる増幅及び検査反応を同時に行うことができるが、これに限定されない。他の実施形態では、異なる検査要件を達成するために、単一の反応容器又は複数の反応容器を任意的に分析カートリッジに配置することもできることを当業者は容易に理解するはずである。加えて、容器150は、複数の磁気ビーズ(図面には示されていない)をその中に配置させた抽出容器157をさらに含んでもよく、磁気ビーズは、精製のために検査の開始時に検査試料と組み合わされてもよい。
【0019】
第1のカバー100の上に配置されたピペット102及び気体孔104は、第2のカバー110の上に配置されたスルーホール111、113、115と整列しているため、第1のカバー100の上に配置されたピペット102及び気体孔104は、図3において示されているように、分析カートリッジ300を組み立てる間に、その傾斜した側壁102a、104aを使用することによって、各スルーホール111、113、115内に配置された各容器150のフィルム152を突き抜けることができるということに留意されたい。好ましくは、図3において示されているように、第1のカバー100の上に配置されたピペット102は、容器150のフィルム152を貫通した後、容器150の底部にさらに延びてもよく、より好ましくは、傾斜部分154aに近い部分まで延ばされてもよく;第1のカバー100の上に配置された気体孔104は、容器150の上部に位置してもよく、ちょうどフィルム152を貫通する部分のすぐそばに位置してもよいが、これに限定されない。
【0020】
一方で、スルーホール117が、その中で回転する回転弁130を収容するために、第2のカバー110の上にさらに配置されている。正確に言えば、回転弁130は、例えば、第1のカバー100及び第2のカバー110と組み合わされた後の回転弁130の気密性を向上させるために、硬質材料と組み合わされた軟質材料から成っている。図4において示されているように、回転弁130は、上から下に積み重ねられた第1の部分131及び第2の部分133を含み、第1の部分131は、例えば、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ゴム、ポリウレタン材料、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)、生体適合性樹脂、又はそれらの組み合わせを含み、第2の部分133は、ポリプロピレン繊維又はポリカーボネート等、第1の部分131の材料とは異なる剛性材料を含むが、これらに限定されない。このようにして、分析カートリッジ300が組み立てられると、回転弁130の第1の部分131は、第1のカバー100の第2の表面100bに取り付けられてもよく、回転弁130の第2の部分133は、スルーホール117内に据え付けられてもよく、それによって、気密な組み立て様式を達成している。
【0021】
本実施形態では、回転弁130の第1の部分131は、突出部137をさらに含み、突出部137は、流路135を取り囲み、開口部137aを形成し、回転弁130の第2の部分133は、係合部133aを含む。流路135は、任意の適した形状、例えば、図4において示されているような直線形状等を含んでもよいが、これに限定されない。このようにして、分析カートリッジ300が組み立てられた後、回転弁130の(係合部133aを含む)第2の部分133は、第2のカバー110のスルーホール117内に突き出て、さらにモータ(図面には示されていない)に外部で接続されてもよく、モータは、分析カートリッジ300内の回転弁130を回転させるように駆動及び制御している。言い換えると、回転弁130は、第1のカバー100と第2のカバー110との間に回転可能に配置されてもよい。そのような配置で、同時に開口部137aを気体孔104と整列させることができる場合に、流路135の一端を、回転弁130の回転を介して順番に異なる流体トンネル101に接続することができる。回転弁130は、さらに、液体一時貯蔵領域170を介して外部でポンプ(図面には示されていない)に接続するけれども、各容器150内の様々な試薬は、ポンプによって提供される正圧又は負圧を介して吸い出され、放出され、又は移されてもよい。本実施形態において、分析カートリッジ300は、例えば、第1のカバー100の第1の表面100aの上に配置された液体一時貯蔵領域170をさらに含む。図1及び図2において示されているように、液体一時貯蔵領域170は、蛇行した形状又は連続的に湾曲した形状の中空管構造を含んでもよく、液体一時貯蔵領域170の一端は、流路135の別の端部に接続することができ、液体一時貯蔵領域170の別の端部は、ポンプに外部で接続するためのポンプコネクタ173をさらに含んでもよい。従って、試薬を吸い出す、放出する、又は移すのに寄与するように、分析カートリッジ300の液体一時貯蔵領域170を使用して、吸い出された試薬を一時的に貯蔵することができる。
【0022】
さらに、分析カートリッジ300は、流体トンネル101、気体トンネル103、及び液体一時貯蔵領域170を閉じたチャネルで密封するために、第1のカバー100の第1の表面100aに取り付けられる平らなフィルム状材料(例えば、図1において示されているシール形成層180等)をさらに含んでもよい。
【0023】
好ましい実施形態では、分析カートリッジ300を、核酸抽出及び核酸増幅において使用することができるが、これらに限定されない。例えば、回転弁130を特定の向きまで回転させることを介して、試料容器155内に配置された試料を、第一に、化学的方法を使用して試料の細胞を破裂又は開放させるために試薬容器151の1つまで移し、その後、回転弁130を再度回転させて、破裂又は開放された細胞を有する試料及びその放出された物質を抽出容器157まで移すことができる。破裂又は開放された細胞を有する試料及びその放出された物質は、精製のために抽出容器157内の磁気ビーズと組み合わされる。次に、磁気ビーズと組み合わされた試料を、洗浄のために別の試薬容器151までさらに移し、最後に、後の検査を行うために、核酸等の所望の生体材料が磁気ビーズから溶離される。その後、生体材料はまた、所望の反応を実行するために、回転弁130を介して反応容器153まで移される。反応容器153が凍結乾燥したプライマー対、窒素塩基、及び核酸ポリメラーゼを有する場合、ポリメラーゼ連鎖反応が、生体材料が反応容器153に注入された後に実行されてもよいが、反応はこれに限定されない。別の実施形態において、反応容器153は、任意的に、製品要件に基づき、他の酵素又は試薬を有して、プローブ結合又は酵素結合等の他の反応を実行することができる。上述の試料又は生体材料を移しながら、各容器150内に延びたピペット102の長さを使用して、流体を定量することができるということに留意されたい。正確に言えば、図5において示されているように、(上述の試料又は生体材料等の)流体200が容器150内に注入される間に、最初の液体レベルを有する流体200は、(図5の左のパネルにおいて示されているように)特定の高さに達するようにピペット102を覆うことができる。次に、流体200は吸い出されて、液体レベルを低下させ、さらに、流体200´を残し、ピペット102の底部は、(図5の右のパネルにおいて示されているように)流体200´によってもはや覆われなくてもよい。従って、吸い出される流体200の体積を正確に制御することができ、それは、容器150内に残っている流体200´の体積を使用してさらに確認することができる。言い換えると、特定の液体レベルは、所望の流体200の体積に依存する。より大きい体積の流体200が吸引されることになるのが所望される場合には、より深く容器150内に延びることができるピペット102、又はより短い長さを有する容器150を選択することができる。より小さい体積の流体200が吸引されることになるのが所望される場合には、より浅く容器150内に延びることができるピペット102(例えば、ピペットは、容器150の半分の深さまで延びるか、又は容器150の上部近くにある等)、又はより長い長さを有する容器150を選択することができる。このようにして、移される流体の量を定量するように、各容器150内に延びるピペット102の深さを、実用的な検査の要件に従って調整することができる。
【0024】
さらに、回転弁130を介して生体材料を反応容器153まで移しながら、回転弁130を回転させて、その流路135を、反応容器153内に延びるピペット102と整列させ、さらに、その開口部137aを、反応容器153内に延びる気体孔104と整列させることにも留意されたい。これらの配置を介して、気体トンネル103が循環のために自由である間に、生体材料を反応容器153内に首尾よく注入することができる。しかし、反応が反応容器153内で行われる必要がある間に、回転弁130を再度回転させて、反応容器153内に延びるピペット102及び気体孔104を、流路135及び開口部137aともはや整列しないようにすることができる。次に、反応物質及び流体の濃度に重大な影響を与え得る、反応容器153内に配置された反応物質及び流体の体積の、上昇した温度による蒸発を防ぐか又は低下した温度による凝縮を防ぐように、流体トンネル101及び気体トンネル103をそれによって閉じることができる。言い換えると、反応が反応容器153内で実行される間に、反応容器153内に延びるピペット102及び気体孔104を、回転弁130の上に配置された突出部137によって覆うことができるため、反応容器153の内部空間は気密状態に達し、それによって反応の能力を促進することができる。
【0025】
従って、核酸抽出及び核酸増幅のための好ましい実施形態において、回転弁130は、その上の流路135を介して液体一時貯蔵領域170と連通し、且つ流体トンネル101を介して試料容器155と連通するように回転される。その間、ポンプは、試料容器155内の試料を液体一時貯蔵領域170まで吸い出すように駆動される。次に、ポンプが駆動されて、試薬容器151と液体一時貯蔵領域170との間で、往復して液体一時貯蔵領域170内の試料を放出する及び吸い出すように、回転弁130を再度回転させて、流体トンネル101を介して流路135の一端を試薬容器151(図2において右上隅に示されている)と連通させ、さらに、流路135の他端を液体一時貯蔵領域170と依然として連通させる。従って、試料又は細胞を有することが疑われる試料内の細胞を、従って、試薬容器151内に配置された溶解バッファー、並びに流体トンネル101、流路135、及び液体一時貯蔵領域170間の流れにより引き起こされる物理的な力によって破裂又は開放させて、溶解バッファー及び試料を混合することによって第1の混合物を得ることができる。次に、回転弁130を再度回転させて、流体トンネル101を介して流路135を抽出容器137と連通させ、液体一時貯蔵領域170に一時的に貯蔵された第1の混合物は、流路135及び流体トンネル101を介して抽出容器157内に放出される。抽出容器157は、核酸に結合するための分子をその表面が有する磁気ビーズを有し、磁気ビーズは、第1の混合物内の核酸(もしあれば)を捕捉して、核酸-磁気ビーズ複合体を形成することができる。或いは、試料内に核酸が存在しない場合、磁気ビーズは核酸を捕捉することができない。同様に、ポンプによる放出及び吸い出しを介して、磁気ビーズは第1の混合物と完全に混合されて第2の混合物を形成する。
【0026】
次に、第2の混合物内の核酸-磁気ビーズ複合体(又は核酸が存在しない場合には磁気ビーズのみ)を、抽出容器157の外側に置かれた磁石又は磁気デバイス(図面には示されていない)を使用することによって吸着することができる。次に、第2の混合物の残留物が吸い出され、液体一時貯蔵領域170まで移され、次に、回転弁130を回転させて、使用される試薬容器151(図2の右上の領域に示されている)と連通させ、さらに、貯蔵のために、第2の混合物の残留物を液体一時貯蔵領域170から使用される試薬容器151まで移す。好ましくは、ポンプ吸引によって所望の核酸-磁気ビーズ複合体が抽出容器157から吸い出され且つ放出されるのを防ぐように、磁石又は磁気デバイスは、ピペット102の傾斜した側壁102aから離れた位置に置かれる。
【0027】
その後、回転弁130を再度回転させて、洗浄試薬を有する別の試薬容器151(例えば、図2において示されているように回転弁130の下に配置された試薬容器151等)に接続し、さらに、磁石又は磁気デバイスを抽出容器157から離して置き、それによって、洗浄試薬を液体一時貯蔵領域170まで移し、次に、抽出容器157まで移す。従って、核酸-磁気ビーズ複合体は解放され、洗浄試薬と混合して、第3の混合物を形成する。次に、核酸-磁気ビーズ複合体を吸着するために、磁石又は磁気デバイスが再度配置され、第3の混合物の残留物は、貯蔵のために、試薬容器151(図2の右上の領域における試薬容器151等)まで移される。
【0028】
緩衝液が適用される場合、核酸-磁気ビーズ複合体はまた、上述の段落における同じ工程を介して処理される。別の実施形態において、抽出効率及びその純度を改善するように、核酸-磁気ビーズ複合体を、1つ以上の試薬容器151に配置された同じ又は異なる洗浄試薬又は緩衝液で処理することもできるということを当業者は容易に理解するはずである。
【0029】
次に、回転弁130を再度回転させて、溶離液を有する別の試薬容器151(図2の右下の領域における試薬容器151等)と連通させ、さらに、磁石又は磁気デバイスが、抽出容器157から離して置かれ、その後、溶離液をまず液体一時貯蔵領域170まで移し、次に抽出容器157まで移し、溶離液は、核酸と磁気ビーズの表面上の分子との結合を切断し、それによって、核酸を解放することができる。次に、核酸、磁気ビーズ、及び溶離液は、従って、第4の混合物を形成することができる。磁石又は磁気デバイスが、磁気ビーズを吸収するために再度配置され、次に、(核酸及び溶離液を含む)第4の混合物の残留物が、液体一時貯蔵領域170まで移され、さらに、回転弁130を再度回転させて、反応容器153、流路135、及び液体一時貯蔵領域170と連通させる。回転弁130の半閉鎖された突出部137によって形成された開口部137aは、この時点で、気体トンネル103及び気体孔104を介して反応容器153と連通しており、気体トンネル103は循環のために自由であるため、(核酸及び溶離液を含む)第4の混合物の残留物を、液体一時貯蔵領域170から反応容器153に注入することができるということに留意されたい。一方で、反応が反応容器153内で行われる間に、回転弁130を回転させて、反応容器153内に延びるピペット102及び気体孔104を流路135及び開口部137aと整列しないようにし、それによって、流体トンネル101及び気体トンネル103を遮断する。
【0030】
加えて、本開示の分析カートリッジ300は、1つ以上の核酸増幅反応を同時に実行するのを可能にし、適切な体積の第4の混合物の残留物を2つ以上の反応容器153に分注することができる。次に、第4の混合物の残留物に含有される核酸が、プライマー対及び/又はプローブ、デオキシヌクレオシド三リン酸、及びポリメラーゼの存在下で、外部機器(図面には示されていない)によって増幅され、外部機器は、さらに、増幅された核酸の信号を検出することによって、特定の細菌株を有する試料かどうかを特定することができる。
【0031】
上述の実施形態では、試料内の細胞は、試薬容器151内に配置された溶解バッファー、及び流路135間で往復して課される物理的な力によって破裂又は開放され、さらに、試料及び溶解バッファーは混合されて第1の混合物を形成し、次にこれは、抽出容器157内の磁気ビーズとさらに混合されて核酸-磁気ビーズ複合体を形成する。別の改善された実施形態では、試料及び溶解バッファーを個々に抽出容器157まで移し、磁気ビーズと混合して、第2の混合物を形成してもよい。或いは、試料をまず溶解バッファーと混合して、直ちに抽出容器157まで移し、それによって、磁気ビーズと混合して第2の混合物を形成してもよい。次に、混合プロセスの間に、第2の混合物内の細胞が物理的な力及び溶解バッファーによって破裂又は開放されるだけでなく、細胞から放出された核酸が磁気ビーズによって捕捉され、これが、核酸抽出のための時間を有意に短縮し得るように、第2の混合物は、流体トンネル101、流路135、及び液体一時貯蔵領域170間を往復して流れることができる。
【0032】
これらの配置を介して、本開示の第1の実施形態による分析カートリッジ300が提供される。本実施形態によると、回転弁130は、分析カートリッジ300内に回転可能に配置され、外部のモータが、分析カートリッジ300内の回転弁130と連結されて、任意の向きまで回転させるように回転弁130を駆動するため、容器150の各々に配置された試料、試薬、及び反応物質等の様々な流体を、容器150間で自由に移し且つ混合し、最終的に、反応を実行するために反応容器153まで移すことができる。回転弁130は、その上に配置された流路135と開口部137aとを含む。試料、試薬、及び反応物質が回転弁130を介して吸い出される間に、流体の移送を容易にするように、回転弁130を回転させて、その上に配置された流路135及び開口部137aを、容器150内に入るピペット102及び気体孔104とそれぞれ整列させる。一方で、核酸抽出、核酸増幅、細胞破裂、又は細胞開放反応等の反応が容器150内で実行される間に、回転弁130を回転させて、その上の突出部137が、容器150内に入るピペット102及び気体孔104を直接覆うようにし、それによって、容器150が気密状態になるように行って、汚染を防ぎ且つ反応を容易にするのを可能にしている。そのような配置で、本実施形態の分析カートリッジ300は、サンプルインリザルトアウトの自動検査プロセスを提供するのを可能にし、それによって、日常実験室の限界及び不十分な効果を改善し、検査の効率及び感度を向上させている。
【0033】
本開示の分析カートリッジが上述のタイプに限定されず、他の例又は異形を含み得ることも当業者は十分に理解するはずである。例えば、上述の実施形態において、試料は化学的に処理されるため、細胞を破裂又は開放させるための試薬を有する試薬容器151が分析カートリッジ300内に配置されてもよい。しかし、別の実施形態では、レーザー又は超音波法等の他の方法を介して細胞を破裂又は開放させることもでき、レーザー又は超音波の細胞破裂を行うための装置を、さらに分析カートリッジ内に配置し、光学レンズと共に使用することができる。例えば、図6において示されているように、レーザーダイオード210をさらに提供することができ、レーザーダイオード210から発せられた短パルスレーザービーム211が、(受光レンズ212a及び集束レンズ212bを含む)光学レンズセット200を通過することができ、焦点213上に集束される。次に、液体一時貯蔵領域170と、回転弁130の流路135と、流体トンネル101と、ピペット102と、容器151との間を流れる生体材料を、焦点213を通過するときに短パルスレーザービーム211によって照射することができ、生体材料内の細胞220を破裂又は開放させて、核酸を放出することができる。しかし、別の実施形態では、レーザーダイオード又は光学レンズセット等を分析カートリッジ内に配置することもでき、又は、光学レンズセットを分析カートリッジ内に配置し、レーザーダイオードを、例えば、分析カートリッジを収容するための機器(図面には示されていない)の上にさらに提供してもよい。
【0034】
以下の記載は、分析カートリッジの異なる実施形態を詳細に説明し、以下の記載は、異なる実施形態間の相違点を詳細に説明し、同一の特徴は、重複して記載されない。実施形態間の相違を容易に比較するために、以下の実施形態の各々における同一の構成要素は、同一のシンボルでマークされる。
【0035】
本開示の第2の実施形態による分析カートリッジ500を例示している図7~10を参照されたい。図7は、分析カートリッジ500の概略分解図であり、図8は、分析カートリッジ500の概略上面図であり、残りは、分析カートリッジ500の詳細な構成要素の概略立体図又は概略断面図である。図7及び図8において示されているように、分析カートリッジ500も、第1のカバー400、第2のカバー410、シール形成層480、及び回転弁470を含み、第1のカバー400及び第2のカバー410は、それらの間に収容空間460を共に画定するように、組み立てる前には互いに別々になっている。本実施形態における分析カートリッジ500の構造、材料選択、及び組み立て方法は全て、第1の実施形態における分析カートリッジ300の構造、材料選択、及び組み立て方法と実質的に同じであり、以下において重複して記載されない。本実施形態と第1の実施形態との相違点は、第3のカバー430が第1のカバー400と第2のカバー410との間にさらに配置され、回転弁470が第3のカバー430の上及び第1のカバー400と第2のカバー410との間の収容空間460内に回転可能に配置されることにある。(図8において示されているように)第1のカバー400と第3のカバー430との間で回転弁470を挟むように、第1のカバー400、第3のカバー430、及び第2のカバー410は、熱融解法又は超音波法を介して組み立てられ、それによって、分析カートリッジ500の信頼性及び可鍛性を改善している。
【0036】
正確に言えば、第1のカバー400及び第2のカバー410も、図7~8において示されているようなアーチ形状等、相互に対応する輪郭を含むが、これに限定されない。第1のカバー400は、その上に配置された複数の流体トンネル401及び複数の気体トンネル403をさらに含み、流体トンネル401の各々及び気体トンネル403の各々は、例えば、方向D1に平行な任意の方向において水平方向に延びて、流体又はガスの循環のために、ピペット402又は気体孔404に接続している。一方で、第2のカバー410は、その上に配置された複数のスルーホール411をさらに含み、スルーホール411は、複数の容器450を収容するために第2のカバー410を貫通してもよい。本実施形態では、各容器450及び各スルーホール411のサイズ(例えば、容器450及びスルーホール411の直径又は開口部等)は均一であるけれども、実用的な構成はこれに限定されない。別の実施形態では、スルーホール及び容器の構成はまた、任意的に、第1の実施形態におけるスルーホール111、113、115及び容器151、153、155を参照するように、様々なサイズを含んでもよい。容器450は、例えば、複数の試薬容器451、少なくとも1つの反応容器453、及び少なくとも1つの試料容器455を含み、試薬容器451の各々は、洗浄試薬、緩衝液、溶離液、又は溶解バッファー等を収容することができ、少なくとも1つの反応容器453は、反応を行うために様々な酵素又は反応物質(プライマー又はプローブ等)を収容することができ、少なくとも1つの試料容器455は、核酸抽出及び核酸増幅を行うために、細菌、細胞、若しくはウイルス等の様々な試料、又は細菌、細胞、若しくはウイルスを有する疑いのある試料を収容することができる。また、容器450は、複数の磁気ビーズ(図面には示されていない)をその中に配置させた抽出容器457をさらに含んでもよく、磁気ビーズは、検査開始時に精製のために検査試料と組み合わされてもよい。加えて、第1のカバー400、第2のカバー410、及び他の構成要素(流体トンネル401、ピペット402、気体トンネル403、気体孔404、容器450、及び第1のカバー400の表面上に取り付けられる平らなフィルム材料等)の詳細な特徴(材料選択、構造、又は配置等)は全て、第1の実施形態における特徴と実質的に同じであり、以下において重複して記載されないことに留意されたい。
【0037】
第1のカバー400、第3のカバー430、及び第2のカバー410と組み合わされた後の回転弁470の気密性を改善するために、本実施形態の回転弁470も、硬質材料と組み合わされた軟質材料から成る。図9において示されているように、回転弁470は、上から下に積み重ねられた第1の部分471及び第2の部分473を含み、第2の部分473は、例えば、第1の部分471とは異なる剛性材料を含む。第1の部分471及び第2の部分473の具体的な材料は、第1の実施形態における第1の部分131及び第2の部分133の材料と実質的に同じであり、以下において重複して記載されない。第1の部分471は、流路475及び開口477aを形成するように、第1の部分471の上面を取り囲む突出部477をさらに含み、回転弁470の第2の部分473は、係合部473aを含む。このようにして、分析カートリッジ500が組み立てられた後で、回転弁470の第1の部分471はまた、第1のカバー400に取り付けられてもよく、回転弁470の第2の部分473は、スルーホール413内に突き出て、それによって、気密な組み立て様式を達成することができる。そのような配置で、回転弁470の第2の部分473の係合部473aは、モータ(図面には示されていない)に外部で接続することができ、モータは、分析カートリッジ500内の回転弁470を回転させるように駆動及び制御している。
【0038】
本実施形態と上述の実施形態との相違点は、主に、回転弁470の被覆領域が上述の実施形態における回転弁130の被覆領域よりも大きいことにある。例えば、図8において示されている上面図を観察すると、回転弁470は、下に配置された容器450の一部を部分的に覆ってもよく、比較すると、上述の実施形態における回転弁130は、(図2において示されているように)いかなる容器150も覆わない。図7及び図10も参照されたい。回転弁470は、第3のカバー430のベース431の上に配置され、ベース431の被覆領域も、容器450の一部を部分的に覆ってもよい。さらに、複数のピペット433がベース431の下に配置され、各ピペット433は、下にある各容器450と整列している。分析カートリッジ500が組み立てられる間に、ピペット433の各々は、各容器450上のフィルム452を貫通して各容器450内に延びてもよい。正確に言えば、ピペット433の各々は、第3のカバー430から下方に延び且つ第3のカバー430の表面から突き出る中空構造を含む。本実施形態では、図10において示されているように、各ピペット433の底部は平面として例示されているけれども、実用的な構成は、これに限定されない。別の実施形態において、ピペットは、液体を吸い込むときにピペット内に留めることが容易であるという問題を改善するように、ピペットの底部は、上述の実施形態のピペット102を参照するように傾斜した側壁を含んでもよい。
【0039】
一方で、回転弁470の拡大された被覆領域によって、回転弁470の上に配置された流路475も、それに応じて、より多くの流体を収容するように、より大きな体積を有してもよい。流路475は、図9において示されているようにスピンドル形状等の任意の適した形状を含んでもよいが、これに限定されない。回転弁470は、(図9~10において示されているように)その上に配置された垂直チャネル472をさらに含み、垂直チャネル472は、回転弁470の第1の部分471及び第2の部分473を貫通して流路475と連通しているということに留意されたい。そのような配置で、垂直チャネル472は、回転弁470の回転によって、順番にピペット433の各々と接続することが可能である。次に、回転弁470が、その係合部473aを介してポンプ(図面には示されていない)と外部で接続されている間に、各容器450内の様々な試薬が、ポンプによって供給される正圧又は負圧を介して吸い出され、放出され、又は移されてもよい。さらに、本実施形態では、回転弁470の第1の部分471は、空気孔479aの周囲に配置された突出リング479をさらに含む。回転弁470がポンプの補助を介して様々な試薬を吸い出す、放出する、又は移すために使用される間に、回転弁470の上に配置された空気孔479aを、第1のカバー400の上にさらに配置された空気ガイドチャネル405を介してベント406に接続することができるため、様々な試薬を、よどみなく吸い出す、放出する、又は移すことができる。
【0040】
これらの配置を介して、本開示における第2の実施形態の分析カートリッジ500が提供される。分析カートリッジ500も、分析カートリッジ500内に配置された回転弁470を使用することによって、容器450内の試料、試薬、及び反応物質等の様々な流体を自由に移送及び混合して、最終的に反応容器453内で検出反応を実行することができる。このようにして、分析カートリッジ500は、サンプルインリザルトアウトの自動検査プロセスを効果的に提供することができる。本実施形態では、回転弁470の被覆領域が拡大されるため、回転弁470が、下にある容器450を部分的に覆うのが可能であってもよく、回転弁470の流路475も、対応して拡大された体積を有してもよい。従って、外部のモータが、回転弁470を回転させるように駆動するために、分析カートリッジ500内に配置された回転弁470と連結されている間に、回転弁470の上に配置された垂直チャネル472は、容器450内に入るピペット433と直接整列及び連通されてもよく、流体を、流路475内に吸い出し、一時的に貯蔵することができる。従って、流体循環経路を短くすることができ、流体が吸い出され、放出され、又は移されるのに要する時間も、大幅に減らすことができる。また、これらの配置で、本実施形態における分析カートリッジ500は、簡略化された構成要素の構成も得ることができ、この構成では、上述の実施形態の液体一時貯蔵領域170を省くことができるだけでなく、第1のカバー400の上に配置された流体トンネル401及び/又は気体トンネル403の特定の数を劇的に減らすこともできる。従って、上述の実施形態における分析カートリッジ300と比較して、分析カートリッジ500は、従って、検査製品の実用的な要件を満たすように、より最適化された検査効率及びより簡略化された構成を得ることができる。
【0041】
要約すると、本開示は、熱融解法又は超音波法を介して2つ以上のカバーによって組み立てられる分析カートリッジを提供する。分析カートリッジは、その中に回転可能に配置された回転弁を含み、回転弁は、外部のモータと連結されることによって回転されて、「容器-流体トンネル-回転弁上の流路-流体トンネル-容器」の経路、「容器-流体トンネル-回転弁上の流路-液体一時貯蔵領域-流体トンネル-容器」の経路、又は「容器-回転弁上の垂直チャネル-回転弁上の流路-容器」の経路のような流体循環経路を形成する。従って、分析カートリッジにおける各容器内の様々な試薬を、ポンプによって供給される正圧又は負圧を介して、首尾よく吸い出し、放出し、移し、さらに混合して、最終的に、反応容器内で、核酸増幅、プローブ結合反応、又は酵素結合反応等、所定の検出反応を実行することができる。従って、本開示の分析カートリッジは、サンプルインリザルトアウトの自動検査プロセスを達成することができる。さらに、分析カートリッジは、核酸抽出及び核酸検査において使用され得るだけでなく、実用的な要件に基づき他の検査分野においてもさらに使用され得ることを当業者は十分に理解するはずである。例えば、他の実施形態において、本開示の分析カートリッジを、タンパク質試料抽出及び酵素免疫反応においても使用することができる。
【0042】
本発明の教示を保持しつつ、装置及び方法の多くの修正及び変更を行うことができるということを当業者は容易に理解するであろう。従って、上記の開示は、添付の特許請求の範囲の境界によってのみ限定されると解釈されるべきである。
図1
図2
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図8
図9
図10