(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187467
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】超伝導アイソクロナス受信機システム
(51)【国際特許分類】
H04L 7/033 20060101AFI20221212BHJP
H03K 3/38 20060101ALI20221212BHJP
H03K 5/00 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
H04L7/033 700
H03K3/38 Z
H03K5/00 V
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022065097
(22)【出願日】2022-04-11
(31)【優先権主張番号】17/340,814
(32)【優先日】2021-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520128820
【氏名又は名称】ノースロップ グラマン システムズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン リー コーラー
(72)【発明者】
【氏名】コーリー アーサー ケゲライス
(72)【発明者】
【氏名】ハイタオ オー.ダイ
(72)【発明者】
【氏名】クエンティン ピー.ハー
【テーマコード(参考)】
5K047
【Fターム(参考)】
5K047AA01
5K047MM38
(57)【要約】 (修正有)
【課題】パルス信号を複数のサンプリングウィンドウの少なくとも2つに関連付けることに基づいて、ACクロック信号の複数のサンプリング位相の少なくとも1つに位相整合された出力パルス信号を生成する超伝導アイソクロナス受信機システム及び伝送線路からデータ信号をアイソクロナスに受信するための方法を提供する。
【解決手段】アイソクロナス超伝導チップ間伝送システム100において、受信機システム104は、伝送線路106から入力データ信号を受信し、入力データ信号をパルス信号に変換するパルス受信機112及び位相変換器システムを含む変換器システム114を含む。位相変換器システムは、ACクロック信号の周期にわたる個別の複数のサンプリングウィンドウに関連付けられた複数のパルス変換器を含む。複数のサンプリングウィンドウの少なくとも2つは、ACクロック信号の任意の所与の位相において重なっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイソクロナス受信機システムであって、
伝送線路から入力データ信号を受信し、前記入力データ信号をパルス信号に変換するように構成されたパルス受信機と、
位相変換器システムを含む変換器システムと、を備え、前記位相変換器システムは、ACクロック信号の周期にわたる個別の複数のサンプリングウィンドウに関連付けられた複数のパルス変換器を含んでおり、前記複数のサンプリングウィンドウの少なくとも2つが前記ACクロック信号の任意の所与の位相において重なっており、前記変換器システムは、パルス信号を前記複数のサンプリングウィンドウの少なくとも2つに関連付けることに基づいて、前記ACクロック信号の複数のサンプリング位相の少なくとも1つに位相整合された出力パルス信号を生成するように構成される、システム。
【請求項2】
前記ACクロック信号は、4つの等間隔サンプリング位相を含む直交クロック信号であり、前記パルス変換器は、
前記ACクロック信号の4つの等間隔サンプリング位相の各々に関連付けられた第1の組のパルス変換器と、
前記ACクロック信号の個々の4つの等間隔サンプリング位相間の45°である前記ACクロック信号の4つの中間位相に関連付けられた第2の組のパルス変換器と、を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の組のパルス変換器はそれぞれ、前記ACクロック信号の4つの等間隔サンプリング位相のうちの個々の1つの前後に広がる位相範囲を有する第1のサンプリングウィンドウを有しており、前記第2の組のパルス変換器はそれぞれ、前記ACクロック信号の4つの中間位相のうちの個々の1つの前後に広がる第2のサンプリングウィンドウを有し、前記第2のサンプリングウィンドウは前記第1のサンプリングウィンドウよりも小さい、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のサンプリングウィンドウは、位相長が120°より大きく、前記第2のサンプリングウィンドウは、位相長が約90°である、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記パルス受信機は、前記伝送線路からデータ信号を受信し、前記データ信号を単一磁束量子(SFQ)信号に変換するように構成されたSFQ受信機として構成され、前記複数のパルス変換器は、前記複数のパルス変換器の個々の少なくとも2つによりレシプロカル量子論理(RQL)位相信号の各々を前記複数のサンプリングウィンドウの個々の少なくとも2つに関連付けることに基づいて、複数のRQL位相信号を前記ACクロック信号の少なくとも1つのサンプリング位相に位相整合するように構成された複数のSFQ-RQL変換器として構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記変換器システムは、
SFQ信号を複数のSFQ信号に分割するように構成されたSFQスプリッタ段と、
前記ACクロック信号の別個の個々の位相の各々において複数のSFQ信号をサンプリングして、個別の複数のRQL位相信号を生成するように構成された複数のSFQ-RQL変換器を含む位相変換器システムと、
前記複数のRQL位相信号に基づいて前記ACクロック信号の複数のサンプリング位相の少なくとも1つに整合されたRQL出力信号を生成するように構成されたデジタル論理回路と、を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記パルス受信機は、マルチビットバスを介して複数の入力データ信号を同時に受信するように構成され、前記変換器システムは、
パルス信号を複数のパルス信号に分割するようにそれぞれ構成された複数のスプリッタ段と、
複数の位相変換器システムであって、前記ACクロック信号の別個の個々の位相の各々において前記複数のパルス信号をサンプリングして、前記複数の位相変換器システムの個々の1つに関連付けられた少なくとも1つの位相整合された信号を生成するように構成された複数のパルス変換器をそれぞれが含む前記複数の位相変換器システムと、
個々の入力データ信号に関連付けられた個別の複数の出力信号を生成するように構成されたデジタル論理回路であって、前記複数の出力信号の各々は、前記複数の位相変換器システムの個々の1つに関連付けられた少なくとも1つの位相整合された信号に基づいて、前記ACクロック信号の複数のサンプリング位相の少なくとも1つに整合されている、前記デジタル論理回路と、を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記デジタル論理回路は、
前記複数の位相変換器システムのうちの最初の1つから複数の位相整合された信号を受信して、前記複数の位相整合された信号に基づいて一組のイネーブル信号を生成するように構成されたマスター制御論理回路と、
前記複数の位相変換器システムの個々の1つにそれぞれ関連付けられた複数のパススルー制御論理回路と、を含み、前記パススルー制御論理回路の各々は、前記一組のイネーブル信号を受信して、前記少なくとも1つの位相整合された信号と前記一組のイネーブル信号との間の論理演算に基づいて個々の1つの出力信号を生成するように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記複数の位相変換器システムは、第1の位相変換器システムと、少なくとも1つの残りの位相変換器システムとを含み、前記少なくとも1つの残りの位相変換器システムが、
前記ACクロック信号の4つの等間隔サンプリング位相の各々に関連付けられた一組のパルス変換器を含み、前記第1の位相変換器システムは、
前記ACクロック信号の4つの等間隔サンプリング位相の各々に関連付けられた第1の組のパルス変換器と、
前記ACクロック信号の個々の4つの等間隔サンプリング位相間で等間隔である前記ACクロック信号の4つの中間位相に関連付けられた第2の組のパルス変換器と、を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記デジタル論理回路は、
前記第1の組のパルス変換器のうちの少なくとも1つおよび前記第2の組のパルス変換器のうちの少なくとも1つから位相整合された信号を受信し、前記第1の組のパルス変換器の少なくとも1つからおよび前記第2の組のパルス変換器の少なくとも1つからの前記位相整合された信号に基づいて前記一組のイネーブル信号を生成するように構成されたマスター制御論理回路と、
前記複数の位相変換器システムの個々の1つにそれぞれ関連付けられた複数のパススルー制御論理回路と、を含み、前記複数のパススルー制御論理回路の各々は、個々の組のパルス変換器から少なくとも1つの位相整合された信号を受信し、前記一組のイネーブル信号を受信して、前記少なくとも1つの位相整合された信号と前記一組のイネーブル信号との間の論理演算に基づいて個々の1つの出力信号を生成するように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
請求項1に記載のアイソクロナス受信機システムを備えるチップ間伝送システムであって、
入力信号を入力データ信号に変換するように構成された送信機システムと、
前記入力データ信号を前記アイソクロナス受信機システムに送信するための前記伝送線路と、をさらに備える、チップ間伝送システム。
【請求項12】
伝送線路からデータ信号をアイソクロナスに受信するための方法であって、
受信機システムのパルス受信機にDC電流を供給して、データ信号をパルス信号に変換するステップと、
前記パルス信号を複数のパルス信号に分割するステップと、
受信機システムの位相変換器システムにACクロック信号を供給して、前記複数のパルス信号を、前記ACクロック信号の周期にわたる個別の複数のサンプリングウィンドウに関連付けられた複数のパルス変換器により、前記ACクロック信号の個別の複数のサンプリング位相に関連付けられた複数の位相整合された信号に変換するステップと、前記複数のサンプリングウィンドウの少なくとも2つが前記ACクロック信号の任意の所与の位相で重なっており、
デジタル論理回路により前記複数の位相整合された信号に基づいて出力信号を生成して、前記出力信号を前記ACクロック信号の複数のサンプリング位相の少なくとも1つに位相整合させるステップと、を含む方法。
【請求項13】
前記ACクロック信号は、4つの等間隔サンプリング位相を含む直交クロック信号であり、前記複数のパルス変換器が、
前記ACクロック信号の4つの等間隔サンプリング位相の各々に関連付けられた第1の組のパルス変換器と、前記第1の組のパルス変換器の各々は、前記ACクロック信号の4つの等間隔サンプリング位相の個々の1つの前後に広がる位相範囲を有する第1のサンプリングウィンドウを有しており、
前記ACクロック信号の個々の4つの等間隔サンプリング位相間の45°である前記ACクロック信号の4つの中間位相に関連付けられた第2の組のパルス変換器と、を含み、前記第2の組のパルス変換器の各々は、前記ACクロック信号の4つの中間位相の個々の1つの前後に広がる第2のサンプリングウィンドウを有しており、前記第2のサンプリングウィンドウは前記第1のサンプリングウィンドウよりも小さい、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記DC電流を供給することは、データ信号を単一磁束量子(SFQ)パルス信号に変換するために前記パルス受信機に前記DC電流を供給することを含み、
前記ACクロック信号を供給することは、複数のSFQパルス信号を、前記ACクロック信号の個別の複数のサンプリング位相に関連付けられた複数のRQL位相信号に変換するために前記位相変換器システムに前記ACクロック信号を供給することを含み、
前記出力信号を生成することは、RQL出力信号を前記ACクロック信号の複数のサンプリング位相の少なくとも1つに位相整合させるために、前記デジタル論理回路により前記複数のRQL位相信号に基づいてRQL出力信号を生成することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記DC電流を提供することは、複数のデータ信号の各々を個別の複数のパルス信号に変換するために複数のパルス受信機に前記DC電流を供給することを含み、
前記ACクロック信号を供給することは、複数の位相変換器システムの個々の1つに関連付けられた複数のパルス信号を、前記ACクロック信号の個別の複数のサンプリング位相に関連付けられた複数の位相整合された信号に変換するために、前記ACクロック信号を前記複数の位相変換器システムの各々に供給することを含み、
前記出力信号を生成することは、複数の出力信号の各々を前記ACクロック信号の複数のサンプリング位相の少なくとも1つに位相整合させるために、前記複数の位相変換器システムの各々に関連付けられた前記デジタル論理回路による個別の複数の位相整合された信号に基づいて、個別の前記複数の位相変換器システムにより複数の出力信号を生成することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
マスター制御論理回路において、前記複数の位相変換器システムの最初の1つから複数の位相整合された信号を受信するステップと、
前記複数の位相整合された信号に基づいて、前記マスター制御論理回路により一組のイネーブル信号を生成するステップと、
前記複数の位相変換器システムの個々の1つにそれぞれ関連付けられた複数のパススルー制御論理回路の各々において、前記一組のイネーブル信号および少なくとも1つの位相整合された信号を受信するステップと、
前記複数のパススルー制御論理回路の各々による前記少なくとも1つの位相整合された信号と前記一組のイネーブル信号との間の論理演算に基づいて、前記複数の出力信号の各々を生成するステップと、をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
アイソクロナス受信機システムであって、
伝送線路から入力データ信号を受信し、前記入力データ信号を単一磁束量子(SFQ)パルス信号に変換するように構成されたパルス受信機と、
変換器システムと、を備え、前記変換器システムは、
ACクロック信号の周期にわたる個別の複数のサンプリングウィンドウに関連付けられた複数のパルス変換器を含む位相変換器システムであって、前記複数のサンプリングウィンドウの少なくとも2つが前記ACクロック信号の任意の所与の位相と重なっており、前記複数のパルス変換器は、前記複数のサンプリングウィンドウの少なくとも2つに関連付けられた複数のレシプロカル量子論理(RQL)位相整合された信号を生成するように構成されている、前記位相変換器システムと、
複数のRQL位相信号に基づいて前記ACクロック信号の複数のサンプリング位相の少なくとも1つに位相整合されたレシプロカル量子論理(RQL)出力信号を生成するように構成されたデジタル論理回路と、を含む、システム。
【請求項18】
前記ACクロック信号は、4つの等間隔サンプリング位相を含む直交クロック信号であり、前記複数のパルス変換器は、
前記ACクロック信号の4つの等間隔サンプリング位相の各々に関連付けられた第1の組のパルス変換器と、
前記ACクロック信号の個々の4つの等間隔サンプリング位相間の45°である前記ACクロック信号の4つの中間位相に関連付けられた第2の組のパルス変換器と、を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記パルス受信機は、マルチビットバスを介して複数の入力データ信号を同時に受信するように構成され、前記変換器システムは、
パルス信号を複数のSFQパルス信号に分割するようにそれぞれ構成された複数のスプリッタ段と、
複数の位相変換器システムであって、前記ACクロック信号の別個の各々の位相の各々において前記複数のSFQパルス信号をサンプリングして、前記複数の位相変換器システムの個々の1つに関連付けられた少なくとも1つのRQL位相信号を生成するように構成された複数のパルス変換器をそれぞれが含む前記複数の位相変換器システムと、を含み、
前記デジタル論理回路は、個々の入力データ信号に関連付けられた個別の複数のRQL出力信号を生成するように構成され、複数のRQL出力信号の各々は、前記複数の位相変換器システムの個々の1つに関連付けられた少なくとも1つのRQL位相信号に基づいて、前記ACクロック信号の複数のサンプリング位相の少なくとも1つに整合されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記デジタル論理回路は、前記複数の位相変換器システムの最初の1つから複数のRQL位相信号を受信して、前記複数のサンプリングウィンドウの少なくとも2つに関連付けられた前記複数のRQL位相信号に基づいて一組のイネーブル信号を生成するように構成されたマスター制御論理回路と、
前記複数の位相変換器システムの個々の1つにそれぞれ関連付けられた複数のパススルー制御論理回路と、を含み、前記複数のパススルー制御論理回路の各々は、前記一組のイネーブル信号を受信して、少なくとも1つのRQL位相信号と前記一組のイネーブル信号との間の論理演算に基づいて個々の1つのRQL出力信号を生成するように構成されている、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、超伝導コンピュータシステムに関し、より具体的には、超伝導アイソクロナス受信機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータシステムは通常、別個のチップ、別個のプリント回路基板、および/または別個のコンピュータシステム間の通信を実施する。チップ間または他のタイプの(例えばバスを介した)通信を適切に実施するために、クロック信号を使用して送信機および受信機が適切にタイミングを合わせて送信データを適切にサンプリングすることができ、その結果、受信機はデータを適切に受信し、処理することができる。しかしながら、クロック信号は複数のソースから生成されるか、またはチップ間通信システムを介して送信され得るので、データの送信および受信のために実装されるクロック信号は、未知または任意の位相関係を有する場合があり、これはアイソクロナス通信と呼ぶことができる。特定の種類の超伝導論理回路(例えば、レシプロカル量子論理回路、即ち、RQL:reciprocal quantum logic)などの特定の種類の通信は、クロック信号を電源として実装しているため、関連するACクロック信号によるクロック回復の可能性が排除される。
【発明の概要】
【0003】
一例は、アイソクロナス受信機システムを含む。システムは、伝送線路から入力データ信号を受信し、入力データ信号をパルス信号に変換するように構成されたパルス受信機を含む。システムは、位相変換器システムを含む変換器システムをも含む。位相変換器システムは、ACクロック信号の周期にわたる個別の複数のサンプリングウィンドウに関連付けられた複数のパルス変換器を含む。複数のサンプリングウィンドウの少なくとも2つは、ACクロック信号の任意の所与の位相において重なっており、変換器システムは、パルス信号を複数のサンプリングウィンドウの少なくとも2つに関連付けることに基づいて、ACクロック信号の複数のサンプリング位相の少なくとも1つに位相整合された出力パルス信号を生成するように構成される。
【0004】
別の例は、伝送線路からデータ信号をアイソクロナスに受信するための方法を含む。方法は、受信機システムのパルス受信機にDC電流を供給して、データ信号をパルス信号に変換すること、およびパルス信号を複数のパルス信号に分割することを含む。方法は、受信機システムの位相変換器システムにACクロック信号を供給して、複数のパルス信号を、ACクロック信号の周期にわたる個別の複数のサンプリングウィンドウに関連付けられた複数のパルス変換器により、ACクロック信号の個別の複数のサンプリング位相に関連付けられた複数の位相整合された信号に変換することを含む。複数のサンプリングウィンドウの少なくとも2つは、ACクロック信号の任意の位相において重なっている。方法は、デジタル論理回路により複数の位相整合された信号に基づいて出力信号を生成して、出力信号をACクロック信号の複数のサンプリング位相の少なくとも1つに位相整合させることをさらに含む。
【0005】
別の例は、アイソクロナス受信機システムを含む。システムは、伝送線路から入力データ信号を受信し、入力データ信号を単一磁束量子(SFQ)パルス信号に変換するように構成されたパルス受信機と、変換器システムとを含む。変換器システムは、ACクロック信号の周期にわたる個別の複数のサンプリングウィンドウに関連付けられた複数のパルス変換器を含む位相変換器システムを含む。複数のサンプリングウィンドウの少なくとも2つは、ACクロック信号の任意の位相において重なっている。パルス変換器は、複数のサンプリングウィンドウの少なくとも2つに関連付けられたレシプロカル量子論理(RQL)位相整合された信号を生成するように構成することができる。変換器システムはまた、RQL位相信号に基づいてACクロック信号の複数のサンプリング位相の少なくとも1つに位相整合されるレシプロカル量子論理(RQL)出力信号を生成するように構成されたデジタル論理回路をも含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】アイソクロナス超伝導チップ間伝送システムの一例を示す図である。
【
図3】SFQ-RQL変換器の一例を示す図である。
【
図6】変換器システムのさらに別の例を示す図である。
【
図8】伝送線路からデータ信号をアイソクロナスに受信する方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、概して、超伝導コンピュータシステムに関し、より具体的には、超伝導アイソクロナスデータ受信機に関する。超伝導アイソクロナス受信機システムは、レシプロカル量子論理(RQL)コンピュータシステムなどの様々な超伝導チップ間通信システムにおいて実装することができる。超伝導アイソクロナス受信機システムは、伝送線路からデータ信号を受信し、データ信号をパルス信号に変換するように構成されたパルス受信機を含む。一例として、データ信号は、RQL入力信号をSFQ信号に変換し、SFQ信号を、伝送線路を介して送信されるデータ信号に変換するように構成された伝送システムから生成することができる。
【0008】
また、超伝導アイソクロナス受信機システムは、複数のパルス変換器によりパルス信号を複数の位相整合された信号に変換するように構成された変換器システムを含む。パルス変換器の各々は、ACクロック信号のサンプリング位相の前後に広がるとともに、中間サンプリングウィンドウを含むようなサンプリングウィンドウに関連付けられており、複数のサンプリングウィンドウの少なくとも2つがACクロック信号の任意の所与の位相で重なるようになっている。例えば、サンプリングウィンドウは、ACクロック信号の等間隔サンプリング位相(例えば、90°増分)に関連付けられる第1のサンプリングウィンドウを含むことができ、かつ等間隔サンプリング位相間の45°の中間位相に関連付けられる第2のサンプリングウィンドウをさらに含むことができる。第2のサンプリングウィンドウは、第1のサンプリングウィンドウよりも位相長を小さくすることができる。従って、(例えば、デジタル論理回路により)位相整合された信号を実装して、(例えば、整合信号に応答して)出力信号をACクロック信号の少なくとも1つのサンプリング位相に位相整合させることができる。
【0009】
一例として、変換器システムは、パルス信号を、個別の複数のパルス変換器に供給される複数のパルス信号に分割するように構成されたスプリッタ段を含むことができる。パルス変換器には、パルス信号を複数の位相整合された信号(例えば、RQL位相信号)に変換するためのACクロック信号が供給され、位相整合された信号の各々は、ACクロック信号の別個の個々の位相に関連付けられる(例えば、ACクロック信号の一連の90°位相に関連付けられる)。従って、パルス信号の個々のタイミングに基づいて、ACクロック信号のサンプリング位相のタイミングウィンドウに基づいて、関連するパルス整合された信号を供給することができる。従って、位相整合された信号は、デジタル論理回路に供給することができ、デジタル論理回路は、複数のサンプリングウィンドウの少なくとも2つにおいて供給された位相整合された信号に基づいて、かつトリガを提供するように構成された整合信号に応答して、ACクロック信号の少なくとも1つのサンプリング位相に整合されたRQL出力信号を生成するように構成される。従って、出力信号をACクロック信号の既知の位相に整合させて、個々のデータを提供することができる。
【0010】
図1は、アイソクロナス超伝導チップ間伝送システム100の一例を示す。アイソクロナス超伝導チップ間伝送システム100は、様々なコンピュータシステムのうちの任意のものにおいて実装され、(例えば、レシプロカル量子論理(RQL)通信システムにおける)超伝導データ伝送においてチップ間通信を提供することができる。アイソクロナス超伝導チップ間伝送システム100は、通信されるデータの送信および受信に関連付けられたクロック信号間の未知のまたは任意の位相関係に適応できる方法で、チップ間通信を提供するように実装されることができる。
【0011】
アイソクロナス超伝導チップ間伝送システム100は、伝送線路106によって分離された送信機システム102と受信機システム104とを含む。送信機システム102は、
図1の例では信号PLS
INとして示されている入力信号(例えば、RQL入力信号)を受信し、
図1の例では電流I
BIASとして示されているバイアス電流に基づいて、信号PLS
INを、一連のデータパルスに対応するパルス信号PLSとして伝送線路106を介して受信機システム104に送信するように構成される。一例として、送信機システム102は、入力信号PLS
INをパルス信号(例えば、単一磁束量子(SFQ)信号)に変換するように構成されたパルス変換器および/またはドライバを含むことができる。送信パルス信号PLS
Tは、送信機システム102に入力される離散パルス信号(例えば、SFQパルスなどの超伝導パルス)とは対照的に、非クロック型の送信ライン106を介して送信するための高振幅パルスに対応することができる。
【0012】
送信パルス信号PLSは、受信機システム104に供給される。受信機システム104は、受信された送信パルス信号PLSをパルス信号(例えば、SFQパルス)に変換し戻すように構成された受信機112を含む。一例として、受信機112は、
図1の例では電流I
DCとして示されている、DCバイアス電流を供給するJTLとして構成することができる。従って、一例として、受信機112は、送信パルス信号PLS
Tに応答した少なくとも1つのジョセフソン接合のトリガに基づいて、かつ電流I
DCに基づいて、受信された送信パルス信号PLSをパルス信号に変換する(例えば、送信パルス信号PLSが供給される受信機112の入力におけるアンダーダンプジョセフソン接合)。従って、パルス信号は変換器システム114に供給され、変換器システム114は、本明細書でより詳細に説明するように、出力信号PLS
OUTのACクロック信号CLKのサンプリング位相への整合を開始することができる整合信号ALGNと、ACクロック信号CLKとに基づいてパルス信号を出力信号PLS
OUTに変換するように構成されている。例えば、出力信号PLS
OUTは、RQL出力信号として供給され得る。
【0013】
一例として、変換器システム114は、パルス信号を複数のパルス信号に分割するように構成されることができ、複数のパルス信号の各々は、ACクロック信号CLKの位相に基づいて、複数のパルス信号を複数の位相整合された信号に変換するように構成された個別の複数のパルス変換器に供給される。本明細書で説明するように、複数のパルス変換器の各々は、ACクロック信号CLKの周期にわたる別個の個々のサンプリングウィンドウに関連付けることができる。本明細書で説明するように、「サンプリングウィンドウ」という用語は、パルス変換器の個々の1つにパルス信号が入力されると、個々のパルス変換器が位相整合された信号を出力として提供することになるACクロック信号CLKの位相の範囲を表す。サンプリングウィンドウは各々、ACクロック信号CLKの等間隔サンプリング位相に関連付けられたサンプリングウィンドウに関する第1の位相長、およびACクロック信号CLKの中間位相(例えば、45°の位相シフト)に関連づけられたサンプリングウィンドウに関する第2の位相長のうちの1つなど、定義された位相長を有することができる。例えば、第2のサンプリングウィンドウの位相長は、第1のサンプリングウィンドウよりも短くすることができる。サンプリングウィンドウの個々の位相長に基づいて、サンプリングウィンドウの少なくとも2つは、ACクロック信号CLKの任意の所与の位相において重なることができる。従って、パルス変換器は、パルス信号に応答して、少なくとも2つの位相整合された信号を提供することができる。
【0014】
本明細書で説明するように、「サンプリング位相」という用語は、ACクロック信号CLKの各周期においてデータ(例えば、RQLデータ)がサンプリングされるACクロック信号CLKの位相を意味する。例えば、ACクロック信号CLKのサンプリング位相は、0°、90°、180°、および270°に対応することができる。本明細書にも説明されているように、「中間位相」という用語は、一組の2つのサンプリング位相間にある位相(例えば、45°)を意味する。例えば、ACクロック信号CLKの中間位相は、45°、135°、225°、および315°に対応することができる。本明細書で説明するように、ACクロック信号CLKにより、サンプリング位相の各々および中間位相の各々において、個々のパルス変換器を介してパルス信号がサンプリングされて、個々の位相整合された信号が生成される。
【0015】
位相整合された信号は、変換器システム114に関連付けられたデジタル論理回路に提供されることができる。デジタル論理回路は、少なくとも2つの位相整合された信号と、ACクロック信号CLKのサンプリング位相に関連付けられた少なくとも1つの位相整合された信号との間の論理演算を実行することができる。従って、論理演算に基づいて、整合信号ALGNに応答して、変換器システム114は、ACクロック信号CLKの複数のサンプリング位相の少なくとも1つに整合された出力信号PLSOUTを提供することができる。従って、出力信号PLSOUTを、ACクロック信号CLKの1つまたは複数の既知の位相に整合させることができる。その結果、受信機システム104は、関連付けられたクロック分配回路における時間的に変化するスキュー、クロックに対する負荷の動的変化、および/または熱雑音などに基づく、入力信号PLSINに関連付けられたクロック信号と出力信号PLSOUTとの間の未知のおよび/または任意の位相関係に対応することができる。
【0016】
図2は、変換器システム200の一例を示す。変換器システム200は、
図2の例における変換器システム114に対応することができ、従って、伝送線路106から受信した送信パルス信号PLSに関連付けられるような、SFQパルス信号SFQ
RXとして示されるパルス信号を、RQL出力信号RQL
OUTとして示される出力信号に変換するように構成することができる。
【0017】
変換器システム200は、SFQ信号SFQ
RXを複数のSFQ信号に分割するように構成されたSFQスプリッタ段202を含み、複数のSFQ信号は、
図2の例では、SFQ
1、SFQ
2、SFQ
3、SFQ
4、SFQ
5、SFQ
6、SFQ
7、およびSFQ
8として示されている。
図2の例では、8つであるSFQ信号の数は、ACクロック信号CLKの45°の位相間隔に対応することができる。例えば、ACクロック信号CLKは、90°位相がずれている同相成分および直交位相成分を含む直交クロック信号であってよく、従って、所与の周期の各90°増分で4つの別個の等間隔サンプル時間を提供する。従って、SFQ信号SFQ
1、SFQ
2、SFQ
3、SFQ
4、SFQ
5、SFQ
6、SFQ
7、およびSFQ
8は、ACクロック信号CLKの等間隔サンプリング位相および中間位相(例えば、サンプリング位相から45°)に関連付けることができる。
【0018】
SFQ信号SFQ
1、SFQ
2、SFQ
3、SFQ
4、SFQ
5、SFQ
6、SFQ
7、およびSFQ
8の各々は、位相変換器システム204に供給される。
図2の例では、位相変換器システム204は、SFQ信号SFQ
1、SFQ
2、SFQ
3、SFQ
4、SFQ
5、SFQ
6、SFQ
7、およびSFQ
8の個々の1つを各々が受信する複数のSFQ-RQLパルス変換器206を含む。SFQ-RQLパルス変換器206の各々は、ACクロック信号CLKの周期にわたる別個の個々のサンプリングウィンドウに関連付けられ得る。SFQ-RQLパルス変換器206の各々のサンプリングウィンドウは、ACクロック信号CLKのサンプリング位相または中間位相の個々の1つの前後に広がる定義された位相長を有することができる。サンプリングウィンドウは、ACクロック信号CLKのサンプリング位相とACクロック信号CLKの中間位相とに関連付けられたサンプリングウィンドウ間で変化する位相長を有することができる。例えば、ACクロック信号CLKのサンプリング位相に関連付けられた第1のサンプリングウィンドウは、ACクロック信号CLKの中間位相に関連付けられた第2のサンプリングウィンドウ(例えば、約90°)よりも長い位相長(例えば、120°より大きい)を有することができる。複数のサンプリングウィンドウの個々の位相長に基づいて、複数のサンプリングウィンドウの少なくとも2つは、ACクロック信号CLKの任意の所与の位相において重なることができる。
【0019】
図3は、SFQ-RQLパルス変換器300の一例を示す。SFQ-RQLパルス変換器300は、
図2の例におけるSFQ-RQLパルス変換器206のうちの任意の1つに対応することができ、従って、SFQ信号SFQ
1、SFQ
2、SFQ
3、SFQ
4、SFQ
5、SFQ
6、SFQ
7、およびSFQ
8の個々の1つに対応する入力SFQ信号SFQ
Nの到着と、ACクロック信号CLKの個々のサンプリング位相および中間位相(例えば、個々の0°、45°、90°、135°、180°、225°、270°、315°)との間の相対的なタイミングに応じて、フラクソン/反フラクソンの対を有するかまたは有しないRQL位相整合された信号を生成するように構成され得る。
【0020】
SFQ-RQLパルス変換器300は、第1の入力JTL段302および第2の入力JTL段304を含む。第1の入力JTL段302は、入力SFQパルスSFQNを受け取り、入力SFQパルスSFQNを出力JTL段306に伝搬するように構成されている。第1の入力JTL段302は、SFQパルスSFQNが伝搬する入力インダクタL1と、電流源308により生成されたDCバイアス信号IDCに基づいてSFQパルスSFQNに応答してトリガされる第1のジョセフソン接合J1とを含む。電流IDCは、第1のバイアスインダクタLBIAS1を流れて、第1のジョセフソン接合J1および第2のジョセフソン接合J2を個々のインダクタL2およびL3を介してバイアスし、その結果、SFQパルスSFQNが、第1のジョセフソン接合J1のトリガに応答してインダクタL2およびL3を通って伝搬し、続いてジョセフソン接合J2をトリガして、ノード310を介してSFQパルスSFQNを出力ドライバ段306に供給する。
【0021】
第2の入力JTL段304は、インダクタL4を介してノード310に結合されるとともに、第1の入力JTL段302に関して実質的に同様に構成されている。特に、第2の入力JTL段304は、(例えば、同じ電流源308からの)電流源312により生成され、第2のバイアスインダクタLBIAS2と、インダクタL5およびL6とを流れるDCバイアス電流IDCに関して互いに反対側に配置された一対のジョセフソン接合J3およびJ4を含む。しかしながら、第2の入力JTL段304は、接地に結合されたインダクタL7も含み、その結果、第2の入力JTL段304が、SFQパルスSFQNに対応するフラクソンに応答して反フラクソンを生成する。従って、SFQパルスSFQNが第1の入力JTL段302に供給されるのに応答して、第2の入力JTL段304は、対応する反フラクソンを生成してRQL信号RQLNを出力JTL段306に供給する。
【0022】
出力JTL段306は、第1の入力JTL段302および第2の入力JTL段304と実質的に同様に配置されている。出力JTL段306は、RQL信号RQL
Nが伝搬する入力インダクタL
8と、バイアス電流源314および個々のインダクタL
9およびL
10に関して互いに反対側に配置された一対のジョセフソン接合J
5およびJ
6とを含む。しかしながら、バイアス電流源314は、ACクロック信号CLKに関連付けられた特定の個々のサンプリング位相に関連付けられたAC電流源として構成される。
図3の例では、AC電流は、バイアスインダクタL
BIAS3を介して供給される信号CLK
Yとして示されており、ここで、YはACクロック信号CLKのサンプリング位相および中間位相の所与の1つに対応する(例えば、個々の0°、45°、90°、135°、180°、225°、270°、315°)。従って、RQL信号RQL
Nが、(例えば、インダクタL
8およびL
9に磁気エネルギーを供給することに基づいて)ACクロック信号CLK
Yの個々の位相とほぼ時間的に整合して到着する場合、RQL信号RQL
Nは、ジョセフソン接合J
5およびJ6のトリガを介して、RQL出力信号RQL
Yとして出力JTL段306の出力316に伝搬されることになり、ここで、Yは、ACクロック信号CLK
Yの個々の位相に対応する。しかしながら、RQL信号RQL
Nの到着が、ACクロック信号CLK
Yの位相に対して不整合である場合、RQL信号RQL
Nは、出力JTL段306の出力316から反射されることになる。その結果、出力JTL段306の出力316からはRQLパルスは供給されないことになる(例えば、RQL信号RQL
Yはゼロボルトになる)。
【0023】
一例として、第1の入力JTL段302の回路構成要素は、個々のSFQ-RQLパルス変換器300に関連付けられたサンプリングウィンドウを定義するように調整することができる。そのような調整は、ACクロック信号CVLKに対するSFQ-RQLパルス変換器300の位相と、関連するサンプリングウィンドウの位相長との両方に影響を及ぼし得る。例えば、ACクロック信号CLKのサンプリング位相(例えば、0°、90°、180°、および270°)に関連付けられた第1のサンプリングウィンドウの場合、ジョセフソン接合J1~J4は約50μA以下の臨界電流振幅を有するように製造することができ、入力インダクタL1は、約12pH未満のインダクタンスを有することができる。一例として、ジョセフソン接合J1、J3、およびJ4は、約35μAの臨界電流振幅を有することができ、ジョセフソン接合J2は、約50μAの臨界電流振幅を有することができ、入力インダクタは、約10.24pHのインダクタンスを有することができる。同様に、ACクロック信号CLKのサンプリング位相(例えば、45°、135°、225°、および315°)に関連付けられた第2のサンプリングウィンドウの場合、ジョセフソン接合J1~J4は、第1のサンプリングウィンドウのジョセフソン接合J1~J4よりも大きい(例えば、約2倍の)臨界電流振幅を有するように製造することができ、入力インダクタL1は、第1のサンプリングウィンドウの入力インダクタL1よりも近似的に大きいインダクタンスを有することができる。一例として、ジョセフソン接合J1、J3、およびJ4は、約70μAの臨界電流振幅を有することができ、ジョセフソン接合J2は、約100μAの臨界電流振幅を有することができ、入力インダクタは、約16.64pHのインダクタンスを有することができる。従って、SFQ-RQLパルス変換器300は、ACクロック信号CLKのサンプリング位相または中間位相に関連付けられた第1および第2のサンプリングウィンドウを定義する回路構成要素の特性を有しつつ、回路構成要素の配置に関してほぼ同じように製造されることができる。
【0024】
図2の例に戻ると、第1のSFQ-RQLパルス変換器206は、ACクロック信号CLKの周期の0°のサンプリング位相に関連付けられることができ、第2のSFQ-RQLパルス変換器206は、ACクロック信号CLKの周期の45°の中間位相に関連付けられることができる。同様に、第3のSFQ-RQLパルス変換器206は、ACクロック信号CLKの周期の90°のサンプリング位相に関連付けられることができ、第4のSFQ-RQLパルス変換器206は、ACクロック信号CLKの周期の135°の中間位相に関連付けられることができる。同様に、第5のSFQ-RQLパルス変換器206は、ACクロック信号CLKの周期の180°のサンプリング位相に関連付けられることができ、第6のSFQ-RQLパルス変換器206は、ACクロック信号CLKの周期の225°の中間位相に関連付けられることができる。同様に、第7のSFQ-RQLパルス変換器206、ACクロック信号CLKの周期の270°のサンプリング位相に関連付けられることができ、第8のSFQ-RQLパルス変換器206は、ACクロック信号CLKの周期の315°の中間位相に関連付けられることができる。
【0025】
上記で説明したように、SFQ-RQLパルス変換器206は、それぞれSFQ-RQLパルス変換器206の個々の1つのサンプリング位相または中間位相の個々の1つの前後に同相に広がるサンプリングウィンドウを有することができる。従って、SFQ-RQLパルス変換器206の各々は、個々のSFQ-RQLパルス変換器206のサンプリングウィンドウ内にあるACクロック信号CLKの位相で個々のSFQ-RQLパルス変換器206に個々のSFQパルスSFQ
Xが入力されるのに応答して、
図2の例において、RQL
0、RQL
45、RQL
90、RQL
135、RQL
180、RQL
225、RQL
270、およびRQL
315として示されているRQL位相整合された信号をそれぞれ生成するように構成されている。従って、RQL位相整合された信号RQL
0、RQL
45、RQL
90、RQL
135、RQL
180、RQL
225、RQL
270、およびRQL
315の各々は、個々のSFQ-RQLパルス変換器206のサンプリングウィンドウ内のACクロック信号CLKの位相で、個々のSFQ信号SFQ
1、SFQ
2、SFQ
3、SFQ
4、SFQ
5、SFQ
6、SFQ
7、およびSFQ
8が到着するタイミングに応じて、関連するフラクソン(例えば、後続の反フラクソン)を含むか、または含はないかのいずれかとすることができる。
【0026】
図4は、一例の位相
図400を示す。位相
図400は、ACクロック信号CLKの位相に対して配置されたSFQ-RQLパルス変換器206の各々に関連付けられたサンプリングウィンドウを含む。従って、以下の
図4の例の説明では、
図2の例を参照する。
【0027】
位相
図400は、位相整合された信号RQL
0に関連付けられた第1のサンプリングウィンドウ402と、位相整合された信号RQL
45に関連付けられた第2のサンプリングウィンドウ404と、位相整合された信号RQL
90に関連付けられた第3のサンプリングウィンドウ406と、位相整合された信号RQL
135に関連付けられた第4のサンプリングウィンドウ408とを含む。また、位相
図400は、位相整合された信号RQL
180に関連付けられた第5のサンプリングウィンドウ410と、位相整合された信号RQL
225に関連付けられた第6のサンプリングウィンドウ412と、位相整合された信号RQL
270に関連付けられた第7のサンプリングウィンドウ414と、位相整合された信号RQL
315に関連付けられた第8のサンプリングウィンドウ416とを含む。また、位相
図400は、ACクロック信号CLKの前の周期に関連付けられた第7および第8のサンプリングウィンドウ414および416、ならびにACクロック信号CLKの次の周期に関連付けられた第1および第2のサンプリングウィンドウ402および404を含む。
【0028】
図4の例では、サンプリングウィンドウ402、404、406、408、410、412、414、および416の各々は、サンプリングウィンドウが関連付けられた個々の1つの位相整合された信号RQLのACクロック信号CLKの位相角を含み、かつ位相角の前後に広がる。第1のサンプリングウィンドウ402は、0°を含み、かつ(前の周期における)約300°から約84°まで広がり、従って約144°にわたって広がる第1の位相長を有する。第2のサンプリングウィンドウ402は、45°を含み、かつ約20°から約110°まで広がり、従って約90°にわたって広がる第2の位相長を有する。第3のサンプリングウィンドウ406は、90°を含み、かつ約144°にわたって広がる第1の位相長を有する。第4のサンプリングウィンドウ408は、135°を含み、かつ約90°にわたって広がる第2の位相長を有する。第5のサンプリングウィンドウ410は、180°を含み、かつ約144°にわたって広がる第1の位相長を有する。第6のサンプリングウィンドウ412は、225°を含み、かつ約90°にわたって広がる第2の位相長を有する。第7のサンプリングウィンドウ414は、270°を含み、かつ約144°にわたって広がる第1の位相長を有する。第8のサンプリングウィンドウ416は、315°を含み、かつ約90°にわたって広がる第2の位相長を有する。
【0029】
従って、位相
図400は、ACクロック信号CLKの任意の所与の位相において、サンプリングウィンドウ402、404、406、408、410、412、414、および416の少なくとも2つが重なることを示している。その結果、位相変換器システム204に供給される任意の所与のSFQパルスに対して、少なくとも2つのSFQ-RQLパルス変換器206が個々のRQL位相整合された信号を生成する。
【0030】
図2の例に戻ると、RQL位相整合された信号RQL
0、RQL
45、RQL
90、RQL
135、RQL
180、RQL
225、RQL
270、およびRQL
315はデジタル論理回路208に供給され、デジタル論理回路は、RQL位相整合された信号RQL
0、RQL
45、RQL
90、RQL
135、RQL
180、RQL
225、RQL
270、およびRQL
315のうちの1つまたは複数に関連するRQLパルスを、RQLクロック信号CLKの少なくとも1つの所定のサンプリング位相に整合させて、RQL出力信号RQL
OUTを生成するように構成されている。本明細書でより詳細に説明するように、デジタル論理回路208は、少なくとも2つの位相整合された信号に基づいて、かつ整合信号ALGNに応答して、イネーブル信号を生成し、イネーブル信号と、ACクロック信号CLKの個々のサンプリング位相に関連付けられた位相整合された信号との間の論理演算を提供して、RQL出力信号RQL
OUTを生成するように構成されている。従って、RQL出力信号RQL
OUTおよび後続のRQL出力信号RQL
OUTは、ACクロック信号CLKに位相整合されることができる。
【0031】
図5は、変換器システム500の別の例を示す。変換器システム500は、
図5の例における変換器システム114に対応することができるが、代わりに、マルチビットバス用に実装することができる。従って、変換器システム500は、SFQパルス信号SFQ
RX1~SFQ
RXNとして示される複数のN個のパルス信号を、RQL出力信号RQL
OUT1およびRQL
OUTNとして示される複数のN個の出力信号に変換するように構成することができる。数量Nは、1より大きい任意の整数とすることができる。
【0032】
変換器システム500は、N個のSFQスプリッタ段502を含み、N個のSFQスプリッタ段502は、
図5の例においてSFQ
X1~SFQ
XNとして示されているように、SFQ信号SFQ
RX1~SFQ
RXNのうちの1つを複数のSFQ信号セットに分割するようにそれぞれ構成されている。信号セットSFQ
X1~SFQ
XNの各々は、
図2の例におけるSFQ信号SFQ
1、SFQ
2、SFQ
3、SFQ
4、SFQ
5、SFQ
6、SFQ
7、およびSFQ
8に対応することができる。従って、信号セットSFQ
X1~SFQ
XNは、
図2の例において上記で説明したのと同様に、ACクロック信号CLKの等間隔サンプリング位相および中間位相に対応することができる。
【0033】
信号セットSFQ
X1~SFQ
XNの各々は、N個の位相変換器システム504の個々の1つに供給される。例えば、位相変換器システム504の最初の1つは、
図2の例において上記で説明したのと同様に、SFQ信号SFQ
1、SFQ
2、SFQ
3、SFQ
4、SFQ
5、SFQ
6、SFQ
7、およびSFQ
8の個々の1つをそれぞれが受信する複数のSFQ-RQLパルス変換器を含むことができる。残りの位相変換器システムは、ACクロック信号CLKのサンプリング位相にのみ関連付けられたSFQ-RQLパルス変換器を含むことができる。従って、最初の位相変換器システム504のSFQ-RQLパルス変換器は、
図4の例において示されているように、ACクロック信号CLKの周期にわたって、サンプリング位相および中間位相(例えば、0°、45°、90°、135°、180°、225°、270°、および315°)の各々の別個の個々のサンプリングウィンドウに関連付けられることができる。残りの位相変換器システム504のSFQ-RQLパルス変換器は、ACクロック信号CLKの周期にわたって、サンプリング位相(例えば、0°、90°、180°、および270°)のみに関連付けられたサンプリングウィンドウに関連付けられることができる。従って、各SFQパルス信号SFQ
RX1について、個々の最初の位相変換器システム504は、位相整合された信号セットRQL
X1として示される、少なくとも2つの位相整合された信号を生成することができる。残りのSFQパルス信号SFQ
RX2~SFQ
RXNの各々について、個々の残りの位相変換器システム504は、少なくとも1つの個々の位相整合された信号セットRQL
X2~RQL
XNを生成することができる。
【0034】
図5の例では、RQL位相整合された信号セットRQL
X1~RQL
XNは、デジタル論理回路506に供給され、デジタル論理回路506は、位相整合された信号セットRQL
X1~RQL
XNの各々におけるRQL位相整合された信号の1つに関連付けられたRQLパルスを、RQLクロック信号CLKの少なくとも1つの所定のサンプリング位相に整合させて、個々のRQL出力信号RQL
OUT1~RQL
OUTNを生成するように構成されている。一例として、デジタル論理回路508は、最初の位相変換器システム504からの少なくとも2つの位相整合された信号に基づいて、かつ整合信号ALGNに応答してイネーブル信号を生成し、イネーブル信号と、位相変換器システム504の各々についてのACクロック信号CLKの個々のサンプリング位相に関連付けられた位相整合された信号との間の論理演算を提供して、RQL出力信号RQL
OUT1~RQL
OUTNを生成するように構成されている。従って、デジタル論理回路506からの出力の各々上のRQL出力信号RQL
OUT1~RQL
OUTNおよび後続のRQL出力信号RQL
OUT1~RQL
OUTNは、ACクロック信号CLKに位相整合されることができる。
【0035】
図6は、変換器システム600のさらに別の例を示す。変換器システム600は、
図6の例における変換器システム500の一部に対応することができる。従って、以下の
図6の例における説明では、
図5の例を参照する。
【0036】
変換器システム600は、
図5の例における位相変換器システム602にそれぞれ対応することができるN個の位相変換器システム602を含む。一例として、位相変換器システム602の各々は、複数のSFQ-RQLパルス変換器を含むことができる。例えば、最初の位相変換器システム602は、
図2の例において上記したのと同様に、SFQ信号SFQ
1、SFQ
2、SFQ
3、SFQ
4、SFQ
5、SFQ
6、SFQ
7、およびSFQ
8の個々の1つをそれぞれが受信し、従って、ACクロック信号CLKのサンプリング位相および中間位相に関連付けられる8個のSFQ-RQLパルス変換器を含むことができる。従って、
図6の例では、最初の位相変換器システム602は、位相整合された信号RQL
1_0、RQL
1_45、RQL
1_90、RQL
1_135、RQL
1_180、RQL
1_225、RQL
1_270、およびRQL
1_315を出力として提供するものとして示されている。従って、最初の位相変換器システム602のSFQ-RQLパルス変換器は、
図4の例に示されているように、ACクロック信号CLKの周期にわたって、サンプリング位相および中間位相(例えば、0°、45°、90°、135°、180°、225°、270°、および315°)の各々の別個の個々のサンプリングウィンドウに関連付けられることができる。
【0037】
残りの位相変換器システム602は、ACクロック信号CLKのサンプリング位相にのみに関連付けられる4個のSFQ-RQLパルス変換器を含むことができる。従って、
図6の例では、残りの位相変換器システム602は、位相整合された信号RQL
X_0、RQL
X_90、RQL
X_180、およびRQL
X_270を出力として提供し、ここで、Xは、位相変換器システム602の個々の1つのインデックス番号であり、N番目の位相変換器システム602が
図6の例において示されている。従って、残りの位相変換器システム602のSFQ-RQLパルス変換器は、ACクロック信号CLKの周期にわたって、サンプリング位相(例えば、0°、90°、180°、および270°)のみに関連付けられたサンプリングウィンドウに関連付けられることができる。従って、第1の位相変換器システム602は、任意の所与のSFQ入力信号SFQ
1に対して、位相整合された信号RQL
1_0、RQL
1_45、RQL
1_90、RQL
1_135、RQL
1_180、RQL
1_225、RQL
1_270、およびRQL
1_315のうちの少なくとも2つを生成することができ、残りの位相変換器システム602は、任意の所与のSFQ入力信号SFQ
Xに対して、位相整合された信号RQL
X_0、RQL
X_90、RQL
X_180、およびRQL
X_270のうちの少なくとも1つを生成することができる。
【0038】
図6の例では、RQL位相整合された信号セットRQL
1_0、RQL
1_45、RQL
1_90、RQL
1_135、RQL
1_180、RQL
1_225、RQL
1_270、およびRQL
1_315、ならびにRQL
X_0、RQL
X_90、RQL
X_180、およびRQL
X_270がデジタル論理回路604に供給される。デジタル論理回路604は、マスター制御論理回路606および複数のN個のパススルー論理回路608を含む。パススルー論理回路608の各々は、位相変換器システム602の個々の1つに関連付けられ、かつ複数のN個のRQL出力信号RQL
OUT1~RQL
OUTNの個々の1つを生成するようにそれぞれ構成される。本明細書で説明するように、パススルー論理回路608は、マスター制御論理回路606に供給される位相整合された信号RQL
1_0、RQL
1_45、RQL
1_90、RQL
1_135、RQL
1_180、RQL
1_225、RQL
1_270、およびRQL
1_315に基づいて、個々のRQL出力信号RQL
OUT1~RQL
OUTNを生成する。
【0039】
図6の例では、整合信号ALGNがマスター制御論理回路606に供給される。整合信号ALGNは、変換器システム600(例えば、変換器システム500)に入力されるSFQパルスSFQ
Xと、関連するバスの各伝送線路上の後続のSFQパルスとのACクロック信号CLKのサンプリング位相への整合を開始するようにアサートされ得る。上記で説明したように、最初の位相変換器システム602は、任意の所与のSFQ入力信号SFQ
1に対して、位相整合された信号RQL
1_0、RQL
1_45、RQL
1_90、RQL1_135、RQL
1_180、RQL
1_225、RQL
1_270、およびRQL
1_315のうちの少なくとも2つを生成することができる。位相整合された信号RQL
1_0、RQL
1_45、RQL
1_90、RQL
1_135、RQL
1_180、RQL
1_225、RQL
1_270、およびRQL
1_315のうちの少なくとも2つは、マスター制御論理回路606に供給される。整合信号ALGNがアサートされることに応答して、マスター制御論理回路606は、位相整合された信号RQL
1_0、RQL
1_45、RQL
1_90、RQL
1_135、RQL
1_180、RQL
1_225、RQL
1_270、およびRQL
1_315のうち次に受信した少なくとも2つを識別して、ACクロック信号CLKの少なくとも1つのサンプリング位相に位相整合された関連するRQL出力信号RQL
OUT1の生成を提供し、従って、各同時RQL出力信号RQL
OUTXおよび後続の受信SFQパルスSFQ
Xに関連付けられた各RQL出力信号RQL
OUTXの位相整合を提供する。
【0040】
一例として、整合信号ALGNのアサート後に、位相整合された信号RQL
1_0、RQL
1_45、RQL
1_90、RQL
1_135、RQL
1_180、RQL
1_225、RQL
1_270、およびRQL
1_315のうちの少なくとも2つを受信することに応答して、マスター制御論理回路606は、位相整合された信号RQL
1_0、RQL
1_45、RQL
1_90、RQL
1_135、RQL
1_180、RQL
1_225、RQL
1_270、およびRQL
1_315のうちの少なくとも2つに基づいてイネーブル信号のアサートを指示する事前定義された真理値表を参照する。
図6の例では、イネーブル信号は、EN0°、EN90°、EN180°、およびEN270°として示されており、従って、ACクロック信号CLKのサンプリング位相に関連付けられている。イネーブル信号EN0°、EN90°、EN180°、およびEN270°は、パススルー論理回路608の各々に供給され、その結果、アサートされたイネーブル信号EN0°、EN90°、EN180°、およびEN270°がデジタル論理回路604内の全てのパススルー論理回路608に適用可能となる。
【0041】
図7は、真理値表700の一例を示す。真理値表700は、デジタル論理回路600(例えば、マスター制御論理回路606)内のメモリに格納することができる。従って、以下の
図7の例の説明では、
図6の例を参照する。
【0042】
真理値表700は、702において概して示される、位相整合された信号RQL1_0、RQL1_45、RQL1_90、RQL1_135、RQL1_180、RQL1_225、RQL1_270、およびRQL1_315に対応するエントリを含む。従って、エントリ702は、マスター制御論理回路606によって受信される、位相整合された信号RQL1_0、RQL1_45、RQL1_90、RQL1_135、RQL1_180、RQL1_225、RQL1_270、およびRQL1_315の存在または不存在を表す。また、真理値表は、位相整合された信号RQL1_0、RQL1_45、RQL1_90、RQL1_135、RQL1_180、RQL1_225、RQL1_270、およびRQL1_315に応答してイネーブル信号EN0°、EN90°、EN180°、EN270°のうちどれが有効かを示す結果を含む。従って、位相整合された信号RQL1_0、RQL1_45、RQL1_90、RQL1_135、RQL1_180、RQL1_225、RQL1_270、およびRQL1_315のうちの少なくとも2つの任意のセットを受信することに応答して、マスター制御論理回路606は、イネーブル信号EN0°、EN90°、EN180°、およびEN270°の対応する2つをイネーブルすることができる。
【0043】
図6の例に戻ると、パススルー論理回路608の各々は、位相変換器システム602の個々の1つから少なくとも1つの位相整合された信号RQL
X_0、RQL
X_90、RQL
X_180、およびRQL
X_270を受信する。従って、少なくとも1つの位相整合された信号RQL
X_0、RQL
X_90、RQL
X_180、およびRQL
X_270と、アサートされたイネーブル信号EN0°、EN90°、EN180°、およびEN270°とを受信することに応答して、パススルー論理回路608の各々は、論理演算を実施して、個々の1つのRQL出力信号RQL
OUT1~RQL
OUTNを生成するように構成されており、個々の1つのRQL出力信号RQL
OUT1~RQL
OUTNは、ACクロック信号CLKの少なくとも1つの個々の位相に整合されている。例えば、パススルー論理回路608の各々は、少なくとも1つの位相整合された信号RQL
X_0、RQL
X_90、RQL
X_180、およびRQL
X_270と、アサートされたイネーブル信号EN0°、EN90°、EN180°、およびEN270°との論理和演算を実施して、ACクロック信号CLKの所与の各サンプリング位相において個々の1つのRQL出力信号RQL
OUT1~RQL
OUTNを生成するか、または生成しないように構成されている。
【0044】
その結果、デジタル論理回路604は、変換器システム600に入力されるSFQパルスSFQXの各々を、ACクロック信号CLKの所与のサンプリング位相と関連付けることができる。従って、本明細書に記載の受信機システムは、関連付けられたクロック分配回路における時間的に変化するスキュー、クロックに対する負荷の動的変化、および/または熱雑音などに基づく、RQL入力信号RQLINに関連付けられたクロック信号とRQL出力信号RQLOUTとの間の未知のおよび/または任意の位相関係に対応することができる。また、デジタル論理回路604は、ACクロック信号CLKの現在のサンプリング位相以外の他の位相に関連付けられるようなスプリアスSFQパルス(例えば、パススルー論理回路608の論理演算に基づく)を排除することができる。例えば、長期間にわたるACクロックの位相ドリフトは、アイソクロナス通信リンクに関して問題になり得る。しかしながら、本明細書で説明するように、パルス変換器によって供給される重複するサンプリングウィンドウに基づいて、総受信ウィンドウは、典型的なアイソクロナス受信機システムと比較して大幅に増加される(例えば、中間位相ウィンドウを実装しない典型的なアイソクロナス受信機システムと比較して約60%)。従って、典型的なアイソクロナス受信機システムの回路の複雑さ、サイズ、および電力消費の点でコストがかかる可能性がある自動位相ドリフト検出および再較正は、本明細書に記載の受信機システム(例えば、受信機システム104)では実質的に不要である。
【0045】
上記の構造的および機能的特徴を考慮して、本開示の様々な態様による方法は、
図8を参照してよりよく理解されるであろう。説明を簡単にするために、
図8の方法は順次実行されるものとして示され説明されているが、本開示に従って、いくつかの態様は、本明細書に示し説明したものとは異なる順序で、および/または別の態様と同時に生じ得るので、本開示が例示された順序によって限定されないことを理解および認識されたい。さらに、本開示の態様による方法を実施するために、例示された特徴のすべてが必要とされるわけではない。
【0046】
図8は、伝送線路(例えば、伝送線路16)からデータ信号(例えば、パルス信号PLS)をアイソクロナスに受信する方法800を示す。802において、DC電流(例えば、DC電流I
DC)が、受信機システム(例えば、受信機システム104)のパルス受信機(例えば、パルス受信機112)に供給されて、データ信号をパルス信号(例えば、パルス信号SFQ
RX)に変換する。804において、パルス信号は、複数のパルス信号(例えば、パルス信号SFQ
1、SFQ
2、SFQ
3、SFQ
4、SFQ
5、SFQ
6、SFQ
7、およびSFQ
8)に分割される。806において、ACクロック信号(例えば、ACクロック信号CLK)が、受信機システムの位相変換器システム(例えば、位相変換器システム304)に供給されて、複数のパルス信号を、複数の位相整合された信号(例えば、位相整合された信号RQL
0、RQL
45、RQL
90、RQL
135、RQL
180、RQL
225、RQL
270、およびRQL
315)に変換する。複数の位相整合された信号は、ACクロック信号の周期にわたって個別の複数のサンプリングウィンドウ(例えば、サンプリングウィンドウ402、404、406、408、410、412、414、および416)に関連付けられた複数のパルス変換器により、ACクロック信号の個別の複数のサンプリング位相に関連付けられている。複数のサンプリングウィンドウの少なくとも2つは、ACクロック信号の任意の位相において重なっている。808において、出力信号(例えば、出力信号RQL
OUT)が、デジタル論理回路(例えば、デジタル論理回路308)により複数の位相整合された信号に基づいて生成されて、出力信号をACクロック信号の複数のサンプリング位相の少なくとも1つに位相整合させる。
【0047】
上記の説明は、本開示の例である。もちろん、本開示を説明する目的のために構成要素または方法の考えられるあらゆる組み合わせを説明することは不可能であるが、当業者は本開示の多くのさらなる組み合わせおよび置換が可能であることを認識するであろう。従って、本開示は、添付の特許請求の範囲を含む本出願の範囲内に含まれるすべてのそのような代替形態、修正形態、および変形形態を包含することを意図している。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイソクロナス受信機システムであって、
伝送線路から入力データ信号を受信し、前記入力データ信号をパルス信号に変換するように構成されたパルス受信機と、
位相変換器システムを含む変換器システムと、を備え、前記位相変換器システムは、ACクロック信号の周期にわたる個別の複数のサンプリングウィンドウに関連付けられた複数のパルス変換器を含んでおり、前記複数のサンプリングウィンドウの少なくとも2つが前記ACクロック信号の任意の所与の位相において重なっており、前記変換器システムは、パルス信号を前記複数のサンプリングウィンドウの少なくとも2つに関連付けることに基づいて、前記ACクロック信号の複数のサンプリング位相の少なくとも1つに位相整合された出力パルス信号を生成するように構成される、システム。
【請求項2】
前記ACクロック信号は、4つの等間隔サンプリング位相を含む直交クロック信号であり、前記パルス変換器は、
前記ACクロック信号の4つの等間隔サンプリング位相の各々に関連付けられた第1の組のパルス変換器と、
前記ACクロック信号の個々の4つの等間隔サンプリング位相間の45°である前記ACクロック信号の4つの中間位相に関連付けられた第2の組のパルス変換器と、を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の組のパルス変換器はそれぞれ、前記ACクロック信号の4つの等間隔サンプリング位相のうちの個々の1つの前後に広がる位相範囲を有する第1のサンプリングウィンドウを有しており、前記第2の組のパルス変換器はそれぞれ、前記ACクロック信号の4つの中間位相のうちの個々の1つの前後に広がる第2のサンプリングウィンドウを有し、前記第2のサンプリングウィンドウは前記第1のサンプリングウィンドウよりも小さい、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のサンプリングウィンドウは、位相長が120°より大きく、前記第2のサンプリングウィンドウは、位相長が約90°である、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記パルス受信機は、前記伝送線路からデータ信号を受信し、前記データ信号を単一磁束量子(SFQ)信号に変換するように構成されたSFQ受信機として構成され、前記複数のパルス変換器は、前記複数のパルス変換器の個々の少なくとも2つによりレシプロカル量子論理(RQL)位相信号の各々を前記複数のサンプリングウィンドウの個々の少なくとも2つに関連付けることに基づいて、複数のRQL位相信号を前記ACクロック信号の少なくとも1つのサンプリング位相に位相整合するように構成された複数のSFQ-RQL変換器として構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記変換器システムは、
SFQ信号を複数のSFQ信号に分割するように構成されたSFQスプリッタ段と、
前記ACクロック信号の別個の個々の位相の各々において複数のSFQ信号をサンプリングして、個別の複数のRQL位相信号を生成するように構成された複数のSFQ-RQL変換器を含む位相変換器システムと、
前記複数のRQL位相信号に基づいて前記ACクロック信号の複数のサンプリング位相の少なくとも1つに整合されたRQL出力信号を生成するように構成されたデジタル論理回路と、を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記パルス受信機は、マルチビットバスを介して複数の入力データ信号を同時に受信するように構成され、前記変換器システムは、
パルス信号を複数のパルス信号に分割するようにそれぞれ構成された複数のスプリッタ段と、
複数の位相変換器システムであって、前記ACクロック信号の別個の個々の位相の各々において前記複数のパルス信号をサンプリングして、前記複数の位相変換器システムの個々の1つに関連付けられた少なくとも1つの位相整合された信号を生成するように構成された複数のパルス変換器をそれぞれが含む前記複数の位相変換器システムと、
個々の入力データ信号に関連付けられた個別の複数の出力信号を生成するように構成されたデジタル論理回路であって、前記複数の出力信号の各々は、前記複数の位相変換器システムの個々の1つに関連付けられた少なくとも1つの位相整合された信号に基づいて、前記ACクロック信号の複数のサンプリング位相の少なくとも1つに整合されている、前記デジタル論理回路と、を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記デジタル論理回路は、
前記複数の位相変換器システムのうちの最初の1つから複数の位相整合された信号を受信して、前記複数の位相整合された信号に基づいて一組のイネーブル信号を生成するように構成されたマスター制御論理回路と、
前記複数の位相変換器システムの個々の1つにそれぞれ関連付けられた複数のパススルー制御論理回路と、を含み、前記パススルー制御論理回路の各々は、前記一組のイネーブル信号を受信して、前記少なくとも1つの位相整合された信号と前記一組のイネーブル信号との間の論理演算に基づいて個々の1つの出力信号を生成するように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記複数の位相変換器システムは、第1の位相変換器システムと、少なくとも1つの残りの位相変換器システムとを含み、前記少なくとも1つの残りの位相変換器システムが、
前記ACクロック信号の4つの等間隔サンプリング位相の各々に関連付けられた一組のパルス変換器を含み、前記第1の位相変換器システムは、
前記ACクロック信号の4つの等間隔サンプリング位相の各々に関連付けられた第1の組のパルス変換器と、
前記ACクロック信号の個々の4つの等間隔サンプリング位相間で等間隔である前記ACクロック信号の4つの中間位相に関連付けられた第2の組のパルス変換器と、を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記デジタル論理回路は、
前記第1の組のパルス変換器のうちの少なくとも1つおよび前記第2の組のパルス変換器のうちの少なくとも1つから位相整合された信号を受信し、前記第1の組のパルス変換器の少なくとも1つからおよび前記第2の組のパルス変換器の少なくとも1つからの前記位相整合された信号に基づいて前記一組のイネーブル信号を生成するように構成されたマスター制御論理回路と、
前記複数の位相変換器システムの個々の1つにそれぞれ関連付けられた複数のパススルー制御論理回路と、を含み、前記複数のパススルー制御論理回路の各々は、個々の組のパルス変換器から少なくとも1つの位相整合された信号を受信し、前記一組のイネーブル信号を受信して、前記少なくとも1つの位相整合された信号と前記一組のイネーブル信号との間の論理演算に基づいて個々の1つの出力信号を生成するように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
請求項1に記載のアイソクロナス受信機システムを備えるチップ間伝送システムであって、
入力信号を入力データ信号に変換するように構成された送信機システムと、
前記入力データ信号を前記アイソクロナス受信機システムに送信するための前記伝送線路と、をさらに備える、チップ間伝送システム。
【請求項12】
伝送線路からデータ信号をアイソクロナスに受信するための方法であって、
受信機システムのパルス受信機にDC電流を供給して、データ信号をパルス信号に変換するステップと、
前記パルス信号を複数のパルス信号に分割するステップと、
受信機システムの位相変換器システムにACクロック信号を供給して、前記複数のパルス信号を、前記ACクロック信号の周期にわたる個別の複数のサンプリングウィンドウに関連付けられた複数のパルス変換器により、前記ACクロック信号の個別の複数のサンプリング位相に関連付けられた複数の位相整合された信号に変換するステップと、前記複数のサンプリングウィンドウの少なくとも2つが前記ACクロック信号の任意の所与の位相で重なっており、
デジタル論理回路により前記複数の位相整合された信号に基づいて出力信号を生成して、前記出力信号を前記ACクロック信号の複数のサンプリング位相の少なくとも1つに位相整合させるステップと、を含む方法。
【請求項13】
前記ACクロック信号は、4つの等間隔サンプリング位相を含む直交クロック信号であり、前記複数のパルス変換器が、
前記ACクロック信号の4つの等間隔サンプリング位相の各々に関連付けられた第1の組のパルス変換器と、前記第1の組のパルス変換器の各々は、前記ACクロック信号の4つの等間隔サンプリング位相の個々の1つの前後に広がる位相範囲を有する第1のサンプリングウィンドウを有しており、
前記ACクロック信号の個々の4つの等間隔サンプリング位相間の45°である前記ACクロック信号の4つの中間位相に関連付けられた第2の組のパルス変換器と、を含み、前記第2の組のパルス変換器の各々は、前記ACクロック信号の4つの中間位相の個々の1つの前後に広がる第2のサンプリングウィンドウを有しており、前記第2のサンプリングウィンドウは前記第1のサンプリングウィンドウよりも小さい、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記DC電流を供給することは、データ信号を単一磁束量子(SFQ)パルス信号に変換するために前記パルス受信機に前記DC電流を供給することを含み、
前記ACクロック信号を供給することは、複数のSFQパルス信号を、前記ACクロック信号の個別の複数のサンプリング位相に関連付けられた複数のRQL位相信号に変換するために前記位相変換器システムに前記ACクロック信号を供給することを含み、
前記出力信号を生成することは、RQL出力信号を前記ACクロック信号の複数のサンプリング位相の少なくとも1つに位相整合させるために、前記デジタル論理回路により前記複数のRQL位相信号に基づいてRQL出力信号を生成することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記DC電流を提供することは、複数のデータ信号の各々を個別の複数のパルス信号に変換するために複数のパルス受信機に前記DC電流を供給することを含み、
前記ACクロック信号を供給することは、複数の位相変換器システムの個々の1つに関連付けられた複数のパルス信号を、前記ACクロック信号の個別の複数のサンプリング位相に関連付けられた複数の位相整合された信号に変換するために、前記ACクロック信号を前記複数の位相変換器システムの各々に供給することを含み、
前記出力信号を生成することは、複数の出力信号の各々を前記ACクロック信号の複数のサンプリング位相の少なくとも1つに位相整合させるために、前記複数の位相変換器システムの各々に関連付けられた前記デジタル論理回路による個別の複数の位相整合された信号に基づいて、個別の前記複数の位相変換器システムにより複数の出力信号を生成することを含み、方法はさらに、
マスター制御論理回路において、前記複数の位相変換器システムの最初の1つから複数の位相整合された信号を受信するステップと、
前記複数の位相整合された信号に基づいて、前記マスター制御論理回路により一組のイネーブル信号を生成するステップと、
前記複数の位相変換器システムの個々の1つにそれぞれ関連付けられた複数のパススルー制御論理回路の各々において、前記一組のイネーブル信号および少なくとも1つの位相整合された信号を受信するステップと、
前記複数のパススルー制御論理回路の各々による前記少なくとも1つの位相整合された信号と前記一組のイネーブル信号との間の論理演算に基づいて、前記複数の出力信号の各々を生成するステップと、をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、超伝導コンピュータシステムに関し、より具体的には、超伝導アイソクロナス受信機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータシステムは通常、別個のチップ、別個のプリント回路基板、および/または別個のコンピュータシステム間の通信を実施する。チップ間または他のタイプの(例えばバスを介した)通信を適切に実施するために、クロック信号を使用して送信機および受信機が適切にタイミングを合わせて送信データを適切にサンプリングすることができ、その結果、受信機はデータを適切に受信し、処理することができる。しかしながら、クロック信号は複数のソースから生成されるか、またはチップ間通信システムを介して送信され得るので、データの送信および受信のために実装されるクロック信号は、未知または任意の位相関係を有する場合があり、これはアイソクロナス通信と呼ぶことができる。特定の種類の超伝導論理回路(例えば、レシプロカル量子論理回路、即ち、RQL:reciprocal quantum logic)などの特定の種類の通信は、クロック信号を電源として実装しているため、関連するACクロック信号によるクロック回復の可能性が排除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5450438号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/0131486号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0036595号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2011/0133059号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2011/0240865号明細書
【発明の概要】
【0004】
一例は、アイソクロナス受信機システムを含む。システムは、伝送線路から入力データ信号を受信し、入力データ信号をパルス信号に変換するように構成されたパルス受信機を含む。システムは、位相変換器システムを含む変換器システムをも含む。位相変換器システムは、ACクロック信号の周期にわたる個別の複数のサンプリングウィンドウに関連付けられた複数のパルス変換器を含む。複数のサンプリングウィンドウの少なくとも2つは、ACクロック信号の任意の所与の位相において重なっており、変換器システムは、パルス信号を複数のサンプリングウィンドウの少なくとも2つに関連付けることに基づいて、ACクロック信号の複数のサンプリング位相の少なくとも1つに位相整合された出力パルス信号を生成するように構成される。
【0005】
別の例は、伝送線路からデータ信号をアイソクロナスに受信するための方法を含む。方法は、受信機システムのパルス受信機にDC電流を供給して、データ信号をパルス信号に変換すること、およびパルス信号を複数のパルス信号に分割することを含む。方法は、受信機システムの位相変換器システムにACクロック信号を供給して、複数のパルス信号を、ACクロック信号の周期にわたる個別の複数のサンプリングウィンドウに関連付けられた複数のパルス変換器により、ACクロック信号の個別の複数のサンプリング位相に関連付けられた複数の位相整合された信号に変換することを含む。複数のサンプリングウィンドウの少なくとも2つは、ACクロック信号の任意の位相において重なっている。方法は、デジタル論理回路により複数の位相整合された信号に基づいて出力信号を生成して、出力信号をACクロック信号の複数のサンプリング位相の少なくとも1つに位相整合させることをさらに含む。
【0006】
別の例は、アイソクロナス受信機システムを含む。システムは、伝送線路から入力データ信号を受信し、入力データ信号を単一磁束量子(SFQ)パルス信号に変換するように構成されたパルス受信機と、変換器システムとを含む。変換器システムは、ACクロック信号の周期にわたる個別の複数のサンプリングウィンドウに関連付けられた複数のパルス変換器を含む位相変換器システムを含む。複数のサンプリングウィンドウの少なくとも2つは、ACクロック信号の任意の位相において重なっている。パルス変換器は、複数のサンプリングウィンドウの少なくとも2つに関連付けられたレシプロカル量子論理(RQL)位相整合された信号を生成するように構成することができる。変換器システムはまた、RQL位相信号に基づいてACクロック信号の複数のサンプリング位相の少なくとも1つに位相整合されるレシプロカル量子論理(RQL)出力信号を生成するように構成されたデジタル論理回路をも含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】アイソクロナス超伝導チップ間伝送システムの一例を示す図である。
【
図3】SFQ-RQL変換器の一例を示す図である。
【
図6】変換器システムのさらに別の例を示す図である。
【
図8】伝送線路からデータ信号をアイソクロナスに受信する方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、概して、超伝導コンピュータシステムに関し、より具体的には、超伝導アイソクロナスデータ受信機に関する。超伝導アイソクロナス受信機システムは、レシプロカル量子論理(RQL)コンピュータシステムなどの様々な超伝導チップ間通信システムにおいて実装することができる。超伝導アイソクロナス受信機システムは、伝送線路からデータ信号を受信し、データ信号をパルス信号に変換するように構成されたパルス受信機を含む。一例として、データ信号は、RQL入力信号をSFQ信号に変換し、SFQ信号を、伝送線路を介して送信されるデータ信号に変換するように構成された伝送システムから生成することができる。
【0009】
また、超伝導アイソクロナス受信機システムは、複数のパルス変換器によりパルス信号を複数の位相整合された信号に変換するように構成された変換器システムを含む。パルス変換器の各々は、ACクロック信号のサンプリング位相の前後に広がるとともに、中間サンプリングウィンドウを含むようなサンプリングウィンドウに関連付けられており、複数のサンプリングウィンドウの少なくとも2つがACクロック信号の任意の所与の位相で重なるようになっている。例えば、サンプリングウィンドウは、ACクロック信号の等間隔サンプリング位相(例えば、90°増分)に関連付けられる第1のサンプリングウィンドウを含むことができ、かつ等間隔サンプリング位相間の45°の中間位相に関連付けられる第2のサンプリングウィンドウをさらに含むことができる。第2のサンプリングウィンドウは、第1のサンプリングウィンドウよりも位相長を小さくすることができる。従って、(例えば、デジタル論理回路により)位相整合された信号を実装して、(例えば、整合信号に応答して)出力信号をACクロック信号の少なくとも1つのサンプリング位相に位相整合させることができる。
【0010】
一例として、変換器システムは、パルス信号を、個別の複数のパルス変換器に供給される複数のパルス信号に分割するように構成されたスプリッタ段を含むことができる。パルス変換器には、パルス信号を複数の位相整合された信号(例えば、RQL位相信号)に変換するためのACクロック信号が供給され、位相整合された信号の各々は、ACクロック信号の別個の個々の位相に関連付けられる(例えば、ACクロック信号の一連の90°位相に関連付けられる)。従って、パルス信号の個々のタイミングに基づいて、ACクロック信号のサンプリング位相のタイミングウィンドウに基づいて、関連するパルス整合された信号を供給することができる。従って、位相整合された信号は、デジタル論理回路に供給することができ、デジタル論理回路は、複数のサンプリングウィンドウの少なくとも2つにおいて供給された位相整合された信号に基づいて、かつトリガを提供するように構成された整合信号に応答して、ACクロック信号の少なくとも1つのサンプリング位相に整合されたRQL出力信号を生成するように構成される。従って、出力信号をACクロック信号の既知の位相に整合させて、個々のデータを提供することができる。
【0011】
図1は、アイソクロナス超伝導チップ間伝送システム100の一例を示す。アイソクロナス超伝導チップ間伝送システム100は、様々なコンピュータシステムのうちの任意のものにおいて実装され、(例えば、レシプロカル量子論理(RQL)通信システムにおける)超伝導データ伝送においてチップ間通信を提供することができる。アイソクロナス超伝導チップ間伝送システム100は、通信されるデータの送信および受信に関連付けられたクロック信号間の未知のまたは任意の位相関係に適応できる方法で、チップ間通信を提供するように実装されることができる。
【0012】
アイソクロナス超伝導チップ間伝送システム100は、伝送線路106によって分離された送信機システム102と受信機システム104とを含む。送信機システム102は、
図1の例では信号PLS
INとして示されている入力信号(例えば、RQL入力信号)を受信し、
図1の例では電流I
BIASとして示されているバイアス電流に基づいて、信号PLS
INを、一連のデータパルスに対応するパルス信号PLSとして伝送線路106を介して受信機システム104に送信するように構成される。一例として、送信機システム102は、入力信号PLS
INをパルス信号(例えば、単一磁束量子(SFQ)信号)に変換するように構成されたパルス変換器および/またはドライバを含むことができる。送信パルス信号PLS
Tは、送信機システム102に入力される離散パルス信号(例えば、SFQパルスなどの超伝導パルス)とは対照的に、非クロック型の送信ライン106を介して送信するための高振幅パルスに対応することができる。
【0013】
送信パルス信号PLSは、受信機システム104に供給される。受信機システム104は、受信された送信パルス信号PLSをパルス信号(例えば、SFQパルス)に変換し戻すように構成された受信機112を含む。一例として、受信機112は、
図1の例では電流I
DCとして示されている、DCバイアス電流を供給するJTLとして構成することができる。従って、一例として、受信機112は、送信パルス信号PLS
Tに応答した少なくとも1つのジョセフソン接合のトリガに基づいて、かつ電流I
DCに基づいて、受信された送信パルス信号PLSをパルス信号に変換する(例えば、送信パルス信号PLSが供給される受信機112の入力におけるアンダーダンプジョセフソン接合)。従って、パルス信号は変換器システム114に供給され、変換器システム114は、本明細書でより詳細に説明するように、出力信号PLS
OUTのACクロック信号CLKのサンプリング位相への整合を開始することができる整合信号ALGNと、ACクロック信号CLKとに基づいてパルス信号を出力信号PLS
OUTに変換するように構成されている。例えば、出力信号PLS
OUTは、RQL出力信号として供給され得る。
【0014】
一例として、変換器システム114は、パルス信号を複数のパルス信号に分割するように構成されることができ、複数のパルス信号の各々は、ACクロック信号CLKの位相に基づいて、複数のパルス信号を複数の位相整合された信号に変換するように構成された個別の複数のパルス変換器に供給される。本明細書で説明するように、複数のパルス変換器の各々は、ACクロック信号CLKの周期にわたる別個の個々のサンプリングウィンドウに関連付けることができる。本明細書で説明するように、「サンプリングウィンドウ」という用語は、パルス変換器の個々の1つにパルス信号が入力されると、個々のパルス変換器が位相整合された信号を出力として提供することになるACクロック信号CLKの位相の範囲を表す。サンプリングウィンドウは各々、ACクロック信号CLKの等間隔サンプリング位相に関連付けられたサンプリングウィンドウに関する第1の位相長、およびACクロック信号CLKの中間位相(例えば、45°の位相シフト)に関連づけられたサンプリングウィンドウに関する第2の位相長のうちの1つなど、定義された位相長を有することができる。例えば、第2のサンプリングウィンドウの位相長は、第1のサンプリングウィンドウよりも短くすることができる。サンプリングウィンドウの個々の位相長に基づいて、サンプリングウィンドウの少なくとも2つは、ACクロック信号CLKの任意の所与の位相において重なることができる。従って、パルス変換器は、パルス信号に応答して、少なくとも2つの位相整合された信号を提供することができる。
【0015】
本明細書で説明するように、「サンプリング位相」という用語は、ACクロック信号CLKの各周期においてデータ(例えば、RQLデータ)がサンプリングされるACクロック信号CLKの位相を意味する。例えば、ACクロック信号CLKのサンプリング位相は、0°、90°、180°、および270°に対応することができる。本明細書にも説明されているように、「中間位相」という用語は、一組の2つのサンプリング位相間にある位相(例えば、45°)を意味する。例えば、ACクロック信号CLKの中間位相は、45°、135°、225°、および315°に対応することができる。本明細書で説明するように、ACクロック信号CLKにより、サンプリング位相の各々および中間位相の各々において、個々のパルス変換器を介してパルス信号がサンプリングされて、個々の位相整合された信号が生成される。
【0016】
位相整合された信号は、変換器システム114に関連付けられたデジタル論理回路に提供されることができる。デジタル論理回路は、少なくとも2つの位相整合された信号と、ACクロック信号CLKのサンプリング位相に関連付けられた少なくとも1つの位相整合された信号との間の論理演算を実行することができる。従って、論理演算に基づいて、整合信号ALGNに応答して、変換器システム114は、ACクロック信号CLKの複数のサンプリング位相の少なくとも1つに整合された出力信号PLSOUTを提供することができる。従って、出力信号PLSOUTを、ACクロック信号CLKの1つまたは複数の既知の位相に整合させることができる。その結果、受信機システム104は、関連付けられたクロック分配回路における時間的に変化するスキュー、クロックに対する負荷の動的変化、および/または熱雑音などに基づく、入力信号PLSINに関連付けられたクロック信号と出力信号PLSOUTとの間の未知のおよび/または任意の位相関係に対応することができる。
【0017】
図2は、変換器システム200の一例を示す。変換器システム200は、
図2の例における変換器システム114に対応することができ、従って、伝送線路106から受信した送信パルス信号PLSに関連付けられるような、SFQパルス信号SFQ
RXとして示されるパルス信号を、RQL出力信号RQL
OUTとして示される出力信号に変換するように構成することができる。
【0018】
変換器システム200は、SFQ信号SFQ
RXを複数のSFQ信号に分割するように構成されたSFQスプリッタ段202を含み、複数のSFQ信号は、
図2の例では、SFQ
1、SFQ
2、SFQ
3、SFQ
4、SFQ
5、SFQ
6、SFQ
7、およびSFQ
8として示されている。
図2の例では、8つであるSFQ信号の数は、ACクロック信号CLKの45°の位相間隔に対応することができる。例えば、ACクロック信号CLKは、90°位相がずれている同相成分および直交位相成分を含む直交クロック信号であってよく、従って、所与の周期の各90°増分で4つの別個の等間隔サンプル時間を提供する。従って、SFQ信号SFQ
1、SFQ
2、SFQ
3、SFQ
4、SFQ
5、SFQ
6、SFQ
7、およびSFQ
8は、ACクロック信号CLKの等間隔サンプリング位相および中間位相(例えば、サンプリング位相から45°)に関連付けることができる。
【0019】
SFQ信号SFQ
1、SFQ
2、SFQ
3、SFQ
4、SFQ
5、SFQ
6、SFQ
7、およびSFQ
8の各々は、位相変換器システム204に供給される。
図2の例では、位相変換器システム204は、SFQ信号SFQ
1、SFQ
2、SFQ
3、SFQ
4、SFQ
5、SFQ
6、SFQ
7、およびSFQ
8の個々の1つを各々が受信する複数のSFQ-RQLパルス変換器206を含む。SFQ-RQLパルス変換器206の各々は、ACクロック信号CLKの周期にわたる別個の個々のサンプリングウィンドウに関連付けられ得る。SFQ-RQLパルス変換器206の各々のサンプリングウィンドウは、ACクロック信号CLKのサンプリング位相または中間位相の個々の1つの前後に広がる定義された位相長を有することができる。サンプリングウィンドウは、ACクロック信号CLKのサンプリング位相とACクロック信号CLKの中間位相とに関連付けられたサンプリングウィンドウ間で変化する位相長を有することができる。例えば、ACクロック信号CLKのサンプリング位相に関連付けられた第1のサンプリングウィンドウは、ACクロック信号CLKの中間位相に関連付けられた第2のサンプリングウィンドウ(例えば、約90°)よりも長い位相長(例えば、120°より大きい)を有することができる。複数のサンプリングウィンドウの個々の位相長に基づいて、複数のサンプリングウィンドウの少なくとも2つは、ACクロック信号CLKの任意の所与の位相において重なることができる。
【0020】
図3は、SFQ-RQLパルス変換器300の一例を示す。SFQ-RQLパルス変換器300は、
図2の例におけるSFQ-RQLパルス変換器206のうちの任意の1つに対応することができ、従って、SFQ信号SFQ
1、SFQ
2、SFQ
3、SFQ
4、SFQ
5、SFQ
6、SFQ
7、およびSFQ
8の個々の1つに対応する入力SFQ信号SFQ
Nの到着と、ACクロック信号CLKの個々のサンプリング位相および中間位相(例えば、個々の0°、45°、90°、135°、180°、225°、270°、315°)との間の相対的なタイミングに応じて、フラクソン/反フラクソンの対を有するかまたは有しないRQL位相整合された信号を生成するように構成され得る。
【0021】
SFQ-RQLパルス変換器300は、第1の入力JTL段302および第2の入力JTL段304を含む。第1の入力JTL段302は、入力SFQパルスSFQNを受け取り、入力SFQパルスSFQNを出力JTL段306に伝搬するように構成されている。第1の入力JTL段302は、SFQパルスSFQNが伝搬する入力インダクタL1と、電流源308により生成されたDCバイアス信号IDCに基づいてSFQパルスSFQNに応答してトリガされる第1のジョセフソン接合J1とを含む。電流IDCは、第1のバイアスインダクタLBIAS1を流れて、第1のジョセフソン接合J1および第2のジョセフソン接合J2を個々のインダクタL2およびL3を介してバイアスし、その結果、SFQパルスSFQNが、第1のジョセフソン接合J1のトリガに応答してインダクタL2およびL3を通って伝搬し、続いてジョセフソン接合J2をトリガして、ノード310を介してSFQパルスSFQNを出力ドライバ段306に供給する。
【0022】
第2の入力JTL段304は、インダクタL4を介してノード310に結合されるとともに、第1の入力JTL段302に関して実質的に同様に構成されている。特に、第2の入力JTL段304は、(例えば、同じ電流源308からの)電流源312により生成され、第2のバイアスインダクタLBIAS2と、インダクタL5およびL6とを流れるDCバイアス電流IDCに関して互いに反対側に配置された一対のジョセフソン接合J3およびJ4を含む。しかしながら、第2の入力JTL段304は、接地に結合されたインダクタL7も含み、その結果、第2の入力JTL段304が、SFQパルスSFQNに対応するフラクソンに応答して反フラクソンを生成する。従って、SFQパルスSFQNが第1の入力JTL段302に供給されるのに応答して、第2の入力JTL段304は、対応する反フラクソンを生成してRQL信号RQLNを出力JTL段306に供給する。
【0023】
出力JTL段306は、第1の入力JTL段302および第2の入力JTL段304と実質的に同様に配置されている。出力JTL段306は、RQL信号RQL
Nが伝搬する入力インダクタL
8と、バイアス電流源314および個々のインダクタL
9およびL
10に関して互いに反対側に配置された一対のジョセフソン接合J
5およびJ
6とを含む。しかしながら、バイアス電流源314は、ACクロック信号CLKに関連付けられた特定の個々のサンプリング位相に関連付けられたAC電流源として構成される。
図3の例では、AC電流は、バイアスインダクタL
BIAS3を介して供給される信号CLK
Yとして示されており、ここで、YはACクロック信号CLKのサンプリング位相および中間位相の所与の1つに対応する(例えば、個々の0°、45°、90°、135°、180°、225°、270°、315°)。従って、RQL信号RQL
Nが、(例えば、インダクタL
8およびL
9に磁気エネルギーを供給することに基づいて)ACクロック信号CLK
Yの個々の位相とほぼ時間的に整合して到着する場合、RQL信号RQL
Nは、ジョセフソン接合J
5およびJ6のトリガを介して、RQL出力信号RQL
Yとして出力JTL段306の出力316に伝搬されることになり、ここで、Yは、ACクロック信号CLK
Yの個々の位相に対応する。しかしながら、RQL信号RQL
Nの到着が、ACクロック信号CLK
Yの位相に対して不整合である場合、RQL信号RQL
Nは、出力JTL段306の出力316から反射されることになる。その結果、出力JTL段306の出力316からはRQLパルスは供給されないことになる(例えば、RQL信号RQL
Yはゼロボルトになる)。
【0024】
一例として、第1の入力JTL段302の回路構成要素は、個々のSFQ-RQLパルス変換器300に関連付けられたサンプリングウィンドウを定義するように調整することができる。そのような調整は、ACクロック信号CVLKに対するSFQ-RQLパルス変換器300の位相と、関連するサンプリングウィンドウの位相長との両方に影響を及ぼし得る。例えば、ACクロック信号CLKのサンプリング位相(例えば、0°、90°、180°、および270°)に関連付けられた第1のサンプリングウィンドウの場合、ジョセフソン接合J1~J4は約50μA以下の臨界電流振幅を有するように製造することができ、入力インダクタL1は、約12pH未満のインダクタンスを有することができる。一例として、ジョセフソン接合J1、J3、およびJ4は、約35μAの臨界電流振幅を有することができ、ジョセフソン接合J2は、約50μAの臨界電流振幅を有することができ、入力インダクタは、約10.24pHのインダクタンスを有することができる。同様に、ACクロック信号CLKのサンプリング位相(例えば、45°、135°、225°、および315°)に関連付けられた第2のサンプリングウィンドウの場合、ジョセフソン接合J1~J4は、第1のサンプリングウィンドウのジョセフソン接合J1~J4よりも大きい(例えば、約2倍の)臨界電流振幅を有するように製造することができ、入力インダクタL1は、第1のサンプリングウィンドウの入力インダクタL1よりも近似的に大きいインダクタンスを有することができる。一例として、ジョセフソン接合J1、J3、およびJ4は、約70μAの臨界電流振幅を有することができ、ジョセフソン接合J2は、約100μAの臨界電流振幅を有することができ、入力インダクタは、約16.64pHのインダクタンスを有することができる。従って、SFQ-RQLパルス変換器300は、ACクロック信号CLKのサンプリング位相または中間位相に関連付けられた第1および第2のサンプリングウィンドウを定義する回路構成要素の特性を有しつつ、回路構成要素の配置に関してほぼ同じように製造されることができる。
【0025】
図2の例に戻ると、第1のSFQ-RQLパルス変換器206は、ACクロック信号CLKの周期の0°のサンプリング位相に関連付けられることができ、第2のSFQ-RQLパルス変換器206は、ACクロック信号CLKの周期の45°の中間位相に関連付けられることができる。同様に、第3のSFQ-RQLパルス変換器206は、ACクロック信号CLKの周期の90°のサンプリング位相に関連付けられることができ、第4のSFQ-RQLパルス変換器206は、ACクロック信号CLKの周期の135°の中間位相に関連付けられることができる。同様に、第5のSFQ-RQLパルス変換器206は、ACクロック信号CLKの周期の180°のサンプリング位相に関連付けられることができ、第6のSFQ-RQLパルス変換器206は、ACクロック信号CLKの周期の225°の中間位相に関連付けられることができる。同様に、第7のSFQ-RQLパルス変換器206、ACクロック信号CLKの周期の270°のサンプリング位相に関連付けられることができ、第8のSFQ-RQLパルス変換器206は、ACクロック信号CLKの周期の315°の中間位相に関連付けられることができる。
【0026】
上記で説明したように、SFQ-RQLパルス変換器206は、それぞれSFQ-RQLパルス変換器206の個々の1つのサンプリング位相または中間位相の個々の1つの前後に同相に広がるサンプリングウィンドウを有することができる。従って、SFQ-RQLパルス変換器206の各々は、個々のSFQ-RQLパルス変換器206のサンプリングウィンドウ内にあるACクロック信号CLKの位相で個々のSFQ-RQLパルス変換器206に個々のSFQパルスSFQ
Xが入力されるのに応答して、
図2の例において、RQL
0、RQL
45、RQL
90、RQL
135、RQL
180、RQL
225、RQL
270、およびRQL
315として示されているRQL位相整合された信号をそれぞれ生成するように構成されている。従って、RQL位相整合された信号RQL
0、RQL
45、RQL
90、RQL
135、RQL
180、RQL
225、RQL
270、およびRQL
315の各々は、個々のSFQ-RQLパルス変換器206のサンプリングウィンドウ内のACクロック信号CLKの位相で、個々のSFQ信号SFQ
1、SFQ
2、SFQ
3、SFQ
4、SFQ
5、SFQ
6、SFQ
7、およびSFQ
8が到着するタイミングに応じて、関連するフラクソン(例えば、後続の反フラクソン)を含むか、または含はないかのいずれかとすることができる。
【0027】
図4は、一例の位相
図400を示す。位相
図400は、ACクロック信号CLKの位相に対して配置されたSFQ-RQLパルス変換器206の各々に関連付けられたサンプリングウィンドウを含む。従って、以下の
図4の例の説明では、
図2の例を参照する。
【0028】
位相
図400は、位相整合された信号RQL
0に関連付けられた第1のサンプリングウィンドウ402と、位相整合された信号RQL
45に関連付けられた第2のサンプリングウィンドウ404と、位相整合された信号RQL
90に関連付けられた第3のサンプリングウィンドウ406と、位相整合された信号RQL
135に関連付けられた第4のサンプリングウィンドウ408とを含む。また、位相
図400は、位相整合された信号RQL
180に関連付けられた第5のサンプリングウィンドウ410と、位相整合された信号RQL
225に関連付けられた第6のサンプリングウィンドウ412と、位相整合された信号RQL
270に関連付けられた第7のサンプリングウィンドウ414と、位相整合された信号RQL
315に関連付けられた第8のサンプリングウィンドウ416とを含む。また、位相
図400は、ACクロック信号CLKの前の周期に関連付けられた第7および第8のサンプリングウィンドウ414および416、ならびにACクロック信号CLKの次の周期に関連付けられた第1および第2のサンプリングウィンドウ402および404を含む。
【0029】
図4の例では、サンプリングウィンドウ402、404、406、408、410、412、414、および416の各々は、サンプリングウィンドウが関連付けられた個々の1つの位相整合された信号RQLのACクロック信号CLKの位相角を含み、かつ位相角の前後に広がる。第1のサンプリングウィンドウ402は、0°を含み、かつ(前の周期における)約300°から約84°まで広がり、従って約144°にわたって広がる第1の位相長を有する。第2のサンプリングウィンドウ402は、45°を含み、かつ約20°から約110°まで広がり、従って約90°にわたって広がる第2の位相長を有する。第3のサンプリングウィンドウ406は、90°を含み、かつ約144°にわたって広がる第1の位相長を有する。第4のサンプリングウィンドウ408は、135°を含み、かつ約90°にわたって広がる第2の位相長を有する。第5のサンプリングウィンドウ410は、180°を含み、かつ約144°にわたって広がる第1の位相長を有する。第6のサンプリングウィンドウ412は、225°を含み、かつ約90°にわたって広がる第2の位相長を有する。第7のサンプリングウィンドウ414は、270°を含み、かつ約144°にわたって広がる第1の位相長を有する。第8のサンプリングウィンドウ416は、315°を含み、かつ約90°にわたって広がる第2の位相長を有する。
【0030】
従って、位相
図400は、ACクロック信号CLKの任意の所与の位相において、サンプリングウィンドウ402、404、406、408、410、412、414、および416の少なくとも2つが重なることを示している。その結果、位相変換器システム204に供給される任意の所与のSFQパルスに対して、少なくとも2つのSFQ-RQLパルス変換器206が個々のRQL位相整合された信号を生成する。
【0031】
図2の例に戻ると、RQL位相整合された信号RQL
0、RQL
45、RQL
90、RQL
135、RQL
180、RQL
225、RQL
270、およびRQL
315はデジタル論理回路208に供給され、デジタル論理回路は、RQL位相整合された信号RQL
0、RQL
45、RQL
90、RQL
135、RQL
180、RQL
225、RQL
270、およびRQL
315のうちの1つまたは複数に関連するRQLパルスを、RQLクロック信号CLKの少なくとも1つの所定のサンプリング位相に整合させて、RQL出力信号RQL
OUTを生成するように構成されている。本明細書でより詳細に説明するように、デジタル論理回路208は、少なくとも2つの位相整合された信号に基づいて、かつ整合信号ALGNに応答して、イネーブル信号を生成し、イネーブル信号と、ACクロック信号CLKの個々のサンプリング位相に関連付けられた位相整合された信号との間の論理演算を提供して、RQL出力信号RQL
OUTを生成するように構成されている。従って、RQL出力信号RQL
OUTおよび後続のRQL出力信号RQL
OUTは、ACクロック信号CLKに位相整合されることができる。
【0032】
図5は、変換器システム500の別の例を示す。変換器システム500は、
図5の例における変換器システム114に対応することができるが、代わりに、マルチビットバス用に実装することができる。従って、変換器システム500は、SFQパルス信号SFQ
RX1~SFQ
RXNとして示される複数のN個のパルス信号を、RQL出力信号RQL
OUT1およびRQL
OUTNとして示される複数のN個の出力信号に変換するように構成することができる。数量Nは、1より大きい任意の整数とすることができる。
【0033】
変換器システム500は、N個のSFQスプリッタ段502を含み、N個のSFQスプリッタ段502は、
図5の例においてSFQ
X1~SFQ
XNとして示されているように、SFQ信号SFQ
RX1~SFQ
RXNのうちの1つを複数のSFQ信号セットに分割するようにそれぞれ構成されている。信号セットSFQ
X1~SFQ
XNの各々は、
図2の例におけるSFQ信号SFQ
1、SFQ
2、SFQ
3、SFQ
4、SFQ
5、SFQ
6、SFQ
7、およびSFQ
8に対応することができる。従って、信号セットSFQ
X1~SFQ
XNは、
図2の例において上記で説明したのと同様に、ACクロック信号CLKの等間隔サンプリング位相および中間位相に対応することができる。
【0034】
信号セットSFQ
X1~SFQ
XNの各々は、N個の位相変換器システム504の個々の1つに供給される。例えば、位相変換器システム504の最初の1つは、
図2の例において上記で説明したのと同様に、SFQ信号SFQ
1、SFQ
2、SFQ
3、SFQ
4、SFQ
5、SFQ
6、SFQ
7、およびSFQ
8の個々の1つをそれぞれが受信する複数のSFQ-RQLパルス変換器を含むことができる。残りの位相変換器システムは、ACクロック信号CLKのサンプリング位相にのみ関連付けられたSFQ-RQLパルス変換器を含むことができる。従って、最初の位相変換器システム504のSFQ-RQLパルス変換器は、
図4の例において示されているように、ACクロック信号CLKの周期にわたって、サンプリング位相および中間位相(例えば、0°、45°、90°、135°、180°、225°、270°、および315°)の各々の別個の個々のサンプリングウィンドウに関連付けられることができる。残りの位相変換器システム504のSFQ-RQLパルス変換器は、ACクロック信号CLKの周期にわたって、サンプリング位相(例えば、0°、90°、180°、および270°)のみに関連付けられたサンプリングウィンドウに関連付けられることができる。従って、各SFQパルス信号SFQ
RX1について、個々の最初の位相変換器システム504は、位相整合された信号セットRQL
X1として示される、少なくとも2つの位相整合された信号を生成することができる。残りのSFQパルス信号SFQ
RX2~SFQ
RXNの各々について、個々の残りの位相変換器システム504は、少なくとも1つの個々の位相整合された信号セットRQL
X2~RQL
XNを生成することができる。
【0035】
図5の例では、RQL位相整合された信号セットRQL
X1~RQL
XNは、デジタル論理回路506に供給され、デジタル論理回路506は、位相整合された信号セットRQL
X1~RQL
XNの各々におけるRQL位相整合された信号の1つに関連付けられたRQLパルスを、RQLクロック信号CLKの少なくとも1つの所定のサンプリング位相に整合させて、個々のRQL出力信号RQL
OUT1~RQL
OUTNを生成するように構成されている。一例として、デジタル論理回路508は、最初の位相変換器システム504からの少なくとも2つの位相整合された信号に基づいて、かつ整合信号ALGNに応答してイネーブル信号を生成し、イネーブル信号と、位相変換器システム504の各々についてのACクロック信号CLKの個々のサンプリング位相に関連付けられた位相整合された信号との間の論理演算を提供して、RQL出力信号RQL
OUT1~RQL
OUTNを生成するように構成されている。従って、デジタル論理回路506からの出力の各々上のRQL出力信号RQL
OUT1~RQL
OUTNおよび後続のRQL出力信号RQL
OUT1~RQL
OUTNは、ACクロック信号CLKに位相整合されることができる。
【0036】
図6は、変換器システム600のさらに別の例を示す。変換器システム600は、
図6の例における変換器システム500の一部に対応することができる。従って、以下の
図6の例における説明では、
図5の例を参照する。
【0037】
変換器システム600は、
図5の例における位相変換器システム602にそれぞれ対応することができるN個の位相変換器システム602を含む。一例として、位相変換器システム602の各々は、複数のSFQ-RQLパルス変換器を含むことができる。例えば、最初の位相変換器システム602は、
図2の例において上記したのと同様に、SFQ信号SFQ
1、SFQ
2、SFQ
3、SFQ
4、SFQ
5、SFQ
6、SFQ
7、およびSFQ
8の個々の1つをそれぞれが受信し、従って、ACクロック信号CLKのサンプリング位相および中間位相に関連付けられる8個のSFQ-RQLパルス変換器を含むことができる。従って、
図6の例では、最初の位相変換器システム602は、位相整合された信号RQL
1_0、RQL
1_45、RQL
1_90、RQL
1_135、RQL
1_180、RQL
1_225、RQL
1_270、およびRQL
1_315を出力として提供するものとして示されている。従って、最初の位相変換器システム602のSFQ-RQLパルス変換器は、
図4の例に示されているように、ACクロック信号CLKの周期にわたって、サンプリング位相および中間位相(例えば、0°、45°、90°、135°、180°、225°、270°、および315°)の各々の別個の個々のサンプリングウィンドウに関連付けられることができる。
【0038】
残りの位相変換器システム602は、ACクロック信号CLKのサンプリング位相にのみに関連付けられる4個のSFQ-RQLパルス変換器を含むことができる。従って、
図6の例では、残りの位相変換器システム602は、位相整合された信号RQL
X_0、RQL
X_90、RQL
X_180、およびRQL
X_270を出力として提供し、ここで、Xは、位相変換器システム602の個々の1つのインデックス番号であり、N番目の位相変換器システム602が
図6の例において示されている。従って、残りの位相変換器システム602のSFQ-RQLパルス変換器は、ACクロック信号CLKの周期にわたって、サンプリング位相(例えば、0°、90°、180°、および270°)のみに関連付けられたサンプリングウィンドウに関連付けられることができる。従って、第1の位相変換器システム602は、任意の所与のSFQ入力信号SFQ
1に対して、位相整合された信号RQL
1_0、RQL
1_45、RQL
1_90、RQL
1_135、RQL
1_180、RQL
1_225、RQL
1_270、およびRQL
1_315のうちの少なくとも2つを生成することができ、残りの位相変換器システム602は、任意の所与のSFQ入力信号SFQ
Xに対して、位相整合された信号RQL
X_0、RQL
X_90、RQL
X_180、およびRQL
X_270のうちの少なくとも1つを生成することができる。
【0039】
図6の例では、RQL位相整合された信号セットRQL
1_0、RQL
1_45、RQL
1_90、RQL
1_135、RQL
1_180、RQL
1_225、RQL
1_270、およびRQL
1_315、ならびにRQL
X_0、RQL
X_90、RQL
X_180、およびRQL
X_270がデジタル論理回路604に供給される。デジタル論理回路604は、マスター制御論理回路606および複数のN個のパススルー論理回路608を含む。パススルー論理回路608の各々は、位相変換器システム602の個々の1つに関連付けられ、かつ複数のN個のRQL出力信号RQL
OUT1~RQL
OUTNの個々の1つを生成するようにそれぞれ構成される。本明細書で説明するように、パススルー論理回路608は、マスター制御論理回路606に供給される位相整合された信号RQL
1_0、RQL
1_45、RQL
1_90、RQL
1_135、RQL
1_180、RQL
1_225、RQL
1_270、およびRQL
1_315に基づいて、個々のRQL出力信号RQL
OUT1~RQL
OUTNを生成する。
【0040】
図6の例では、整合信号ALGNがマスター制御論理回路606に供給される。整合信号ALGNは、変換器システム600(例えば、変換器システム500)に入力されるSFQパルスSFQ
Xと、関連するバスの各伝送線路上の後続のSFQパルスとのACクロック信号CLKのサンプリング位相への整合を開始するようにアサートされ得る。上記で説明したように、最初の位相変換器システム602は、任意の所与のSFQ入力信号SFQ
1に対して、位相整合された信号RQL
1_0、RQL
1_45、RQL
1_90、RQL1_135、RQL
1_180、RQL
1_225、RQL
1_270、およびRQL
1_315のうちの少なくとも2つを生成することができる。位相整合された信号RQL
1_0、RQL
1_45、RQL
1_90、RQL
1_135、RQL
1_180、RQL
1_225、RQL
1_270、およびRQL
1_315のうちの少なくとも2つは、マスター制御論理回路606に供給される。整合信号ALGNがアサートされることに応答して、マスター制御論理回路606は、位相整合された信号RQL
1_0、RQL
1_45、RQL
1_90、RQL
1_135、RQL
1_180、RQL
1_225、RQL
1_270、およびRQL
1_315のうち次に受信した少なくとも2つを識別して、ACクロック信号CLKの少なくとも1つのサンプリング位相に位相整合された関連するRQL出力信号RQL
OUT1の生成を提供し、従って、各同時RQL出力信号RQL
OUTXおよび後続の受信SFQパルスSFQ
Xに関連付けられた各RQL出力信号RQL
OUTXの位相整合を提供する。
【0041】
一例として、整合信号ALGNのアサート後に、位相整合された信号RQL
1_0、RQL
1_45、RQL
1_90、RQL
1_135、RQL
1_180、RQL
1_225、RQL
1_270、およびRQL
1_315のうちの少なくとも2つを受信することに応答して、マスター制御論理回路606は、位相整合された信号RQL
1_0、RQL
1_45、RQL
1_90、RQL
1_135、RQL
1_180、RQL
1_225、RQL
1_270、およびRQL
1_315のうちの少なくとも2つに基づいてイネーブル信号のアサートを指示する事前定義された真理値表を参照する。
図6の例では、イネーブル信号は、EN0°、EN90°、EN180°、およびEN270°として示されており、従って、ACクロック信号CLKのサンプリング位相に関連付けられている。イネーブル信号EN0°、EN90°、EN180°、およびEN270°は、パススルー論理回路608の各々に供給され、その結果、アサートされたイネーブル信号EN0°、EN90°、EN180°、およびEN270°がデジタル論理回路604内の全てのパススルー論理回路608に適用可能となる。
【0042】
図7は、真理値表700の一例を示す。真理値表700は、デジタル論理回路600(例えば、マスター制御論理回路606)内のメモリに格納することができる。従って、以下の
図7の例の説明では、
図6の例を参照する。
【0043】
真理値表700は、702において概して示される、位相整合された信号RQL1_0、RQL1_45、RQL1_90、RQL1_135、RQL1_180、RQL1_225、RQL1_270、およびRQL1_315に対応するエントリを含む。従って、エントリ702は、マスター制御論理回路606によって受信される、位相整合された信号RQL1_0、RQL1_45、RQL1_90、RQL1_135、RQL1_180、RQL1_225、RQL1_270、およびRQL1_315の存在または不存在を表す。また、真理値表は、位相整合された信号RQL1_0、RQL1_45、RQL1_90、RQL1_135、RQL1_180、RQL1_225、RQL1_270、およびRQL1_315に応答してイネーブル信号EN0°、EN90°、EN180°、EN270°のうちどれが有効かを示す結果を含む。従って、位相整合された信号RQL1_0、RQL1_45、RQL1_90、RQL1_135、RQL1_180、RQL1_225、RQL1_270、およびRQL1_315のうちの少なくとも2つの任意のセットを受信することに応答して、マスター制御論理回路606は、イネーブル信号EN0°、EN90°、EN180°、およびEN270°の対応する2つをイネーブルすることができる。
【0044】
図6の例に戻ると、パススルー論理回路608の各々は、位相変換器システム602の個々の1つから少なくとも1つの位相整合された信号RQL
X_0、RQL
X_90、RQL
X_180、およびRQL
X_270を受信する。従って、少なくとも1つの位相整合された信号RQL
X_0、RQL
X_90、RQL
X_180、およびRQL
X_270と、アサートされたイネーブル信号EN0°、EN90°、EN180°、およびEN270°とを受信することに応答して、パススルー論理回路608の各々は、論理演算を実施して、個々の1つのRQL出力信号RQL
OUT1~RQL
OUTNを生成するように構成されており、個々の1つのRQL出力信号RQL
OUT1~RQL
OUTNは、ACクロック信号CLKの少なくとも1つの個々の位相に整合されている。例えば、パススルー論理回路608の各々は、少なくとも1つの位相整合された信号RQL
X_0、RQL
X_90、RQL
X_180、およびRQL
X_270と、アサートされたイネーブル信号EN0°、EN90°、EN180°、およびEN270°との論理和演算を実施して、ACクロック信号CLKの所与の各サンプリング位相において個々の1つのRQL出力信号RQL
OUT1~RQL
OUTNを生成するか、または生成しないように構成されている。
【0045】
その結果、デジタル論理回路604は、変換器システム600に入力されるSFQパルスSFQXの各々を、ACクロック信号CLKの所与のサンプリング位相と関連付けることができる。従って、本明細書に記載の受信機システムは、関連付けられたクロック分配回路における時間的に変化するスキュー、クロックに対する負荷の動的変化、および/または熱雑音などに基づく、RQL入力信号RQLINに関連付けられたクロック信号とRQL出力信号RQLOUTとの間の未知のおよび/または任意の位相関係に対応することができる。また、デジタル論理回路604は、ACクロック信号CLKの現在のサンプリング位相以外の他の位相に関連付けられるようなスプリアスSFQパルス(例えば、パススルー論理回路608の論理演算に基づく)を排除することができる。例えば、長期間にわたるACクロックの位相ドリフトは、アイソクロナス通信リンクに関して問題になり得る。しかしながら、本明細書で説明するように、パルス変換器によって供給される重複するサンプリングウィンドウに基づいて、総受信ウィンドウは、典型的なアイソクロナス受信機システムと比較して大幅に増加される(例えば、中間位相ウィンドウを実装しない典型的なアイソクロナス受信機システムと比較して約60%)。従って、典型的なアイソクロナス受信機システムの回路の複雑さ、サイズ、および電力消費の点でコストがかかる可能性がある自動位相ドリフト検出および再較正は、本明細書に記載の受信機システム(例えば、受信機システム104)では実質的に不要である。
【0046】
上記の構造的および機能的特徴を考慮して、本開示の様々な態様による方法は、
図8を参照してよりよく理解されるであろう。説明を簡単にするために、
図8の方法は順次実行されるものとして示され説明されているが、本開示に従って、いくつかの態様は、本明細書に示し説明したものとは異なる順序で、および/または別の態様と同時に生じ得るので、本開示が例示された順序によって限定されないことを理解および認識されたい。さらに、本開示の態様による方法を実施するために、例示された特徴のすべてが必要とされるわけではない。
【0047】
図8は、伝送線路(例えば、伝送線路16)からデータ信号(例えば、パルス信号PLS)をアイソクロナスに受信する方法800を示す。802において、DC電流(例えば、DC電流I
DC)が、受信機システム(例えば、受信機システム104)のパルス受信機(例えば、パルス受信機112)に供給されて、データ信号をパルス信号(例えば、パルス信号SFQ
RX)に変換する。804において、パルス信号は、複数のパルス信号(例えば、パルス信号SFQ
1、SFQ
2、SFQ
3、SFQ
4、SFQ
5、SFQ
6、SFQ
7、およびSFQ
8)に分割される。806において、ACクロック信号(例えば、ACクロック信号CLK)が、受信機システムの位相変換器システム(例えば、位相変換器システム304)に供給されて、複数のパルス信号を、複数の位相整合された信号(例えば、位相整合された信号RQL
0、RQL
45、RQL
90、RQL
135、RQL
180、RQL
225、RQL
270、およびRQL
315)に変換する。複数の位相整合された信号は、ACクロック信号の周期にわたって個別の複数のサンプリングウィンドウ(例えば、サンプリングウィンドウ402、404、406、408、410、412、414、および416)に関連付けられた複数のパルス変換器により、ACクロック信号の個別の複数のサンプリング位相に関連付けられている。複数のサンプリングウィンドウの少なくとも2つは、ACクロック信号の任意の位相において重なっている。808において、出力信号(例えば、出力信号RQL
OUT)が、デジタル論理回路(例えば、デジタル論理回路308)により複数の位相整合された信号に基づいて生成されて、出力信号をACクロック信号の複数のサンプリング位相の少なくとも1つに位相整合させる。
【0048】
上記の説明は、本開示の例である。もちろん、本開示を説明する目的のために構成要素または方法の考えられるあらゆる組み合わせを説明することは不可能であるが、当業者は本開示の多くのさらなる組み合わせおよび置換が可能であることを認識するであろう。従って、本開示は、添付の特許請求の範囲を含む本出願の範囲内に含まれるすべてのそのような代替形態、修正形態、および変形形態を包含することを意図している。
以下に、上記実施形態から把握できる技術思想を付記として記載する。
[付記1]
アイソクロナス受信機システムであって、
伝送線路から入力データ信号を受信し、前記入力データ信号を単一磁束量子(SFQ)パルス信号に変換するように構成されたパルス受信機と、
変換器システムと、を備え、前記変換器システムは、
ACクロック信号の周期にわたる個別の複数のサンプリングウィンドウに関連付けられた複数のパルス変換器を含む位相変換器システムであって、前記複数のサンプリングウィンドウの少なくとも2つが前記ACクロック信号の任意の所与の位相と重なっており、前記複数のパルス変換器は、前記複数のサンプリングウィンドウの少なくとも2つに関連付けられた複数のレシプロカル量子論理(RQL)位相整合された信号を生成するように構成されている、前記位相変換器システムと、
複数のRQL位相信号に基づいて前記ACクロック信号の複数のサンプリング位相の少なくとも1つに位相整合されたレシプロカル量子論理(RQL)出力信号を生成するように構成されたデジタル論理回路と、を含む、システム。
[付記2]
前記ACクロック信号は、4つの等間隔サンプリング位相を含む直交クロック信号であり、前記複数のパルス変換器は、
前記ACクロック信号の4つの等間隔サンプリング位相の各々に関連付けられた第1の組のパルス変換器と、
前記ACクロック信号の個々の4つの等間隔サンプリング位相間の45°である前記ACクロック信号の4つの中間位相に関連付けられた第2の組のパルス変換器と、を含む、付記1に記載のシステム。
[付記3]
前記パルス受信機は、マルチビットバスを介して複数の入力データ信号を同時に受信するように構成され、前記変換器システムは、
パルス信号を複数のSFQパルス信号に分割するようにそれぞれ構成された複数のスプリッタ段と、
複数の位相変換器システムであって、前記ACクロック信号の別個の各々の位相の各々において前記複数のSFQパルス信号をサンプリングして、前記複数の位相変換器システムの個々の1つに関連付けられた少なくとも1つのRQL位相信号を生成するように構成された複数のパルス変換器をそれぞれが含む前記複数の位相変換器システムと、を含み、
前記デジタル論理回路は、個々の入力データ信号に関連付けられた個別の複数のRQL出力信号を生成するように構成され、複数のRQL出力信号の各々は、前記複数の位相変換器システムの個々の1つに関連付けられた少なくとも1つのRQL位相信号に基づいて、前記ACクロック信号の複数のサンプリング位相の少なくとも1つに整合されている、付記1に記載のシステム。
[付記4]
前記デジタル論理回路は、前記複数の位相変換器システムの最初の1つから複数のRQL位相信号を受信して、前記複数のサンプリングウィンドウの少なくとも2つに関連付けられた前記複数のRQL位相信号に基づいて一組のイネーブル信号を生成するように構成されたマスター制御論理回路と、
前記複数の位相変換器システムの個々の1つにそれぞれ関連付けられた複数のパススルー制御論理回路と、を含み、前記複数のパススルー制御論理回路の各々は、前記一組のイネーブル信号を受信して、少なくとも1つのRQL位相信号と前記一組のイネーブル信号との間の論理演算に基づいて個々の1つのRQL出力信号を生成するように構成されている、付記3に記載のシステム。
【外国語明細書】