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特開2022-187489作業機の動作を制御するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187489
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】作業機の動作を制御するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A01B 63/10 20060101AFI20221212BHJP
【FI】
A01B63/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022091705
(22)【出願日】2022-06-06
(31)【優先権主張番号】21305775.5
(32)【優先日】2021-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ゼルビーノ,ファルヴィオ
【テーマコード(参考)】
2B304
【Fターム(参考)】
2B304KA16
2B304KA17
2B304LA02
2B304LA04
2B304LA08
2B304LA10
2B304LA11
2B304LB05
2B304LB12
2B304MA06
2B304MB02
2B304MC17
2B304PC13
2B304PC15
2B304QA01
2B304QA15
2B304QA24
2B304QB04
2B304QC01
2B304QC14
2B304RA27
2B304RA28
(57)【要約】      (修正有)
【課題】作業車と共同した作業機の動作を制御するためのシステムに関する。
【解決手段】システムは、車両の姿勢を検出するように構成されたセンサ(60)と、センサ(60)および作業機(40)と通信するように構成された車両用ECU(22)と、車両と通信し、作業機の作業機能の実行を制御するように構成された作業機用ECU(42)と、を含み、センサは、車両の被検出姿勢(62)を車両用ECUに伝送するように構成されており、車両用ECUは、被検出姿勢が、車両の姿勢に対応する目標パラメータの範囲外である場合、作業機用ECUに信号(24)を送信するように構成されており、前記信号は、作業機用ECUに被検出姿勢を通知する、および/または、作業機が実行する作業機能の動作を修正する、ように構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(20)と協働して作業機能を実行するように構成された作業機(40)の動作を制御するためのシステム(10)であって、
車両(20)に含まれており、車両の姿勢を検出するように構成されたセンサ(60)と、
センサ(60)および作業機(40)と通信するように構成された車両用電子制御ユニット(22)と、
車両(20)と通信し、作業機(40)の作業機能の実行を制御するように構成された作業機用電子制御ユニット(42)と、を含み、
センサ(60)は、車両(20)の被検出姿勢(62)を車両用電子制御ユニット(22)に伝送するように構成されており、
車両用電子制御ユニットは、車両の被検出姿勢が、車両の姿勢に対応する目標パラメータの範囲外である場合、作業機用電子制御ユニット(42)に信号(24)を送信するように構成されており、
前記信号は、作業機用電子制御ユニットに車両の被検出姿勢を通知することと、作業機が実行する作業機能の動作を修正することと、のうちの何れかまたは両方のために構成されている、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステム(10)であって、
車両用電子制御ユニット(22)は、車両(20)の姿勢に対応するパラメータを操作者が選択するように構成されている、システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシステム(10)であって、
車両用電子制御ユニット(22)は、車両(20)の姿勢に対応するパラメータについて考慮すべき車両(20)の機能を操作者が選択するように構成されている、システム。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載のシステム(10)であって、
車両(20)の被検出姿勢(62)に関する処理を行うように構成された算出ユニット(26)を含み、
車両用電子制御ユニット(22)から作業機用電子制御ユニット(42)に送信される信号(24)は、算出ユニットによる被検出姿勢に関する処理に対応するエラーコードであるように構成されている、システム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステム(10)であって、
前記エラーコードは、国際規格ISO11783によって製造会社独自のものと定義される値の範囲内の値を含むように構成されている、システム。
【請求項6】
請求項1から5の何れかに記載のシステム(10)であって、
センサ(60)は、車両(20)のピッチ角と、車両のロール角と、車両のヨー角と、のうちの1または複数を特定するように構成されている、システム。
【請求項7】
請求項1から6の何れかに記載のシステム(10)であって、
車両(20)の姿勢に対応するパラメータは、車両のピッチ角と、車両のロール角と、車両のヨー角と、のうちの1または複数に対応する、システム。
【請求項8】
請求項1から7の何れかに記載のシステム(10)であって、
車両用電子制御ユニット(22)は、車両(20)の補助弁の流れまたは補助弁の状態と、車両の前部動力取出し装置のRPMと、車両の後部動力取出し装置のRPMと、車両のエンジンのRPMと、車両の前部ヒッチの位置と、車両の後部ヒッチの位置と、車両の速度と、のうちの1または複数に対応する測定値(23)を送信するように構成されている、システム。
【請求項9】
請求項1から8の何れかに記載のシステム(10)であって、
車両用電子制御ユニット(22)は、車両(20)の被検出姿勢(62)に基づいて作業機(40)の姿勢を検出するように構成されている、システム。
【請求項10】
請求項9に記載のシステム(10)であって、
車両用電子制御ユニット(22)は、車両(20)および作業機(40)のうちの何れかまたは両方の姿勢に対応するパラメータを操作者が選択するように構成されている、システム。
【請求項11】
車両(20)と協働して作業機能を実行するように構成された作業機(40)の動作を制御するための方法であって、
車両(20)の姿勢に対応するパラメータを選択する工程と、
車両(20)に含まれるセンサ(60)によって車両の姿勢を検出する工程と、
車両(20)の被検出姿勢(62)を車両用電子制御ユニット(22)に伝送する工程と、
車両(20)の被検出姿勢(62)が、車両の姿勢に対応するパラメータの範囲外である場合、車両用電子制御ユニット(22)から作業機用電子制御ユニット(42)に信号(24)を送信する工程であって、前記信号が、作業機用電子制御ユニット(42)に車両(20)の被検出姿勢(62)を通知することと、作業機(40)が実行する作業機能の動作を修正することと、のうちの何れかまたは両方のために構成されている工程と、を含む方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
算出ユニット(26)によって車両(20)の被検出姿勢(62)に関する処理を行う工程を含み、
車両用電子制御ユニット(22)から作業機用電子制御ユニット(42)に信号(24)を送信する工程は、信号が、算出ユニットによる被検出姿勢に関する処理に対応するエラーコードであるように構成されていることを含む、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
信号(24)がエラーコードの形態であるように構成されていることは、エラーコードが、国際規格ISO11783によって製造会社独自のものと定義される値の範囲内の値を含むように構成されていることを含む、方法。
【請求項14】
請求項11から13の何れかに記載の方法であって、
センサ(60)によって車両(20)の姿勢を検出する工程は、車両のピッチ角と、車両のロール角と、車両のヨー角と、のうちの1または複数を特定することを含む、方法。
【請求項15】
請求項11から14の何れかに記載の方法であって、
車両(20)の姿勢に対応するパラメータを選択する工程は、パラメータが、車両のピッチ角と、車両のロール角と、車両のヨー角と、のうちの1または複数に対応することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、作業車および作業機の分野に関する。より具体的には、本開示は、作業車と共同した作業機の動作を制御するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
作業車両、例えば、トラクターは、典型的には、農作業を実行するためにおよび/または行うために、1または複数の作業機、例えば、農機具と一緒に作動される。したがって、作業車は、意図した形態の農作業、例えば、土壌耕運、種まき、施肥、灌漑、収穫および/または干し草作りを実行するためにおよび/または行うために、作業機とともに改良および/またはカスタマイズすることができる。
【0003】
このような作業車と作業機との組み合わせにおいては、多くの場合、異なる製造会社の作業車と作業機とが互いに組み合わせられることが一般的である。したがって、異なる製造会社の作業車と作業機との接続および互換が可能であることが既に公表および確立されている。したがって、制御エリアネットワーク(control area network:CAN)に基づく国際規格ISO11783(ISOBUS)が、農産業のための通信プロトコルとして既に開発され、国際農業電子財団(AEF)によって公表されている。具体的には、ISO11783は、作業車と作業機との間で、作業車および/または作業機の動作に関する情報をやり取りするための通信プロトコルを定義している。
【0004】
また、現代の多くの作業車および作業機は、典型的には、TIM(tractor implement management)システムも含んでいる。TIMシステムは、作業機が、作業機の、および逆もまた同様である、特定の動作および/または機能を制御することを可能にする、製造会社間の農業技術システムのためのISOBUSに基づくソリューションである。より具体的には、TIMシステムは、作業車および作業機が、ユーザからの大した入力なしに農作業を自動的に行うことができるように、作業車と作業機との間の双方向通信を可能にする。
【0005】
作業車と作業機との組み合わせにおいて、作業車と作業機とが、ユーザからの大した入力を得ることなく農作業を自動的に実行する場合、作業機は、作業車および/または作業機が、農作業の特定の作業機能を実行するのに不適切な位置にあっても、その作業機能を実行する可能性がある。この場合、作業車および/または作業機が、作業機能を実行するのに適切な位置にあるかどうかを特定するために、ユーザ等の判断が通常必要となる。しかしながら、自動システムにおいてユーザに追加的な判断を要求すると、費用が増加する、および/または、農作業を実行するためにユーザが安全でない状況に晒される、ことになる。
【0006】
作業機の動作を制御するための改善されたシステムであって、作業車の姿勢を考慮に入れることで、作業機の動作および/または作業機による作業機能の実行を改善させることが可能なシステムを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0007】
本開示の態様によれば、車両と協働して作業機能を実行するように構成された作業機の動作を制御するためのシステムが提供され、該システムは、
車両に含まれており、車両の姿勢を検出するように構成されたセンサと、
センサおよび作業機と通信するように構成された車両用電子制御ユニットと、
車両と通信し、作業機の作業機能の実行を制御するように構成された作業機用電子制御ユニットと、を含み、
センサは、車両の被検出姿勢を車両用電子制御ユニットに伝送するように構成されており、
車両用電子制御ユニットは、車両の被検出姿勢が、車両の姿勢に対応する目標パラメータの範囲外である場合、作業機用電子制御ユニットに信号を送信するように構成されており、
前記信号は、作業機用電子制御ユニットに車両の被検出姿勢を通知することと、作業機が実行する作業機能の動作を修正することと、のうちの何れかまたは両方のために構成されている。
【0008】
本開示の態様によれば、車両用電子制御ユニットは、車両の姿勢に対応するパラメータを操作者が選択するように構成されている。
【0009】
本開示の態様によれば、車両用電子制御ユニットは、車両の姿勢に対応するパラメータについて考慮すべき車両の機能を操作者が選択するように構成されている。
【0010】
本開示の態様によれば、車両の被検出姿勢に関する処理を行うように構成された算出ユニットを含み、
車両用電子制御ユニットから作業機用電子制御ユニットに送信される信号は、算出ユニットによる被検出姿勢に関する処理に対応するエラーコードであるように構成されている。
【0011】
本開示の態様によれば、前記エラーコードは、国際規格ISO11783によって製造会社独自のものと定義される値の範囲内の値を含むように構成されている。
【0012】
本開示の態様によれば、センサは、車両のピッチ角と、車両のロール角と、車両のヨー角と、のうちの1または複数を特定するように構成されている。
【0013】
本開示の態様によれば、車両の姿勢に対応するパラメータは、車両のピッチ角と、車両のロール角と、車両のヨー角と、のうちの1または複数に対応する。
【0014】
本開示の態様によれば、車両用電子制御ユニットは、車両の補助弁の流れまたは補助弁の状態と、車両の前部動力取出し装置のRPMと、車両の後部動力取出し装置のRPMと、車両のエンジンのRPMと、車両の前部ヒッチの位置と、車両の後部ヒッチの位置と、車両の速度と、のうちの1または複数に対応する測定値を送信するように構成されている。
【0015】
本開示の態様によれば、作業機用電子制御ユニットは、車両用電子制御ユニットからの信号の送信に基づいてデータを生成するように構成されている。
【0016】
本開示の態様によれば、車両用電子制御ユニットは、車両の被検出姿勢に基づいて作業機の姿勢を検出するように構成されている。
【0017】
本開示の態様によれば、車両用電子制御ユニットは、車両および作業機のうちの何れかまたは両方の姿勢に対応するパラメータを操作者が選択するように構成されている。
【0018】
本開示の態様によれば、車両と協働して作業機能を実行するように構成された作業機の動作を制御するための方法が提供され、該方法は、
車両の姿勢に対応するパラメータを選択する工程と、
車両に含まれるセンサによって車両の姿勢を検出する工程と、
車両の被検出姿勢を車両用電子制御ユニットに伝送する工程と、
車両の被検出姿勢が、車両の姿勢に対応するパラメータの範囲外である場合、車両用電子制御ユニットから作業機用電子制御ユニットに信号を送信する工程であって、前記信号が、作業機用電子制御ユニットに車両の被検出姿勢を通知することと、作業機が実行する作業機能の動作を修正することと、のうちの何れかまたは両方のために構成されている工程と、を含む。
【0019】
本開示の態様によれば、算出ユニットによって車両の被検出姿勢に関する処理を行う工程を含み、
車両用電子制御ユニットから作業機用電子制御ユニットに信号を送信する工程は、信号が、算出ユニットによる被検出姿勢に関する処理に対応するエラーコードであるように構成されていることを含む。
【0020】
本開示の態様によれば、信号がエラーコードの形態であるように構成されていることは、エラーコードが、国際規格ISO11783によって製造会社独自のものと定義される値の範囲内の値を含むように構成されていることを含む。
【0021】
本開示の態様によれば、センサによって車両の姿勢を検出する工程は、車両のピッチ角と、車両のロール角と、車両のヨー角と、のうちの1または複数を特定することを含む。
【0022】
車両の姿勢に対応するパラメータを選択する工程は、パラメータが、車両のピッチ角と、車両のロール角と、車両のヨー角と、のうちの1または複数に対応することを含む。
【0023】
本明細書で記載したように、また、本明細書で示す様態によると、作業機の動作を制御するためのシステムおよび方法は、車両の姿勢を自動的に検出し、車両の被検出姿勢に対応して作業機の動作を制御することで、ユーザ等による追加的な判断および/または誘導を必要とすることなく、作業機の動作および/または作業機による作業機能の実行を改善させる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
実施形態の態様を、図面を参照して説明する。同様の数字は同様の要素を反映するものとする。
【0025】
図1】作業車および作業機での使用時において、作業機の動作を制御するためのシステムの側面図である。
【0026】
図2】作業機の動作を制御するための前記システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本開示の態様による作業機の動作を制御するためのシステムの実施形態を、図1および図2を参照して説明する。同様の数字は、同様のおよび/または機能的に類似の部材を表すものとする。このシステムは、専ら、参照数字10によって示されている。システム10は、特定の実施例を参照して説明するが、請求項によって定義されている一般的な範囲を越えることなく、それらの実施例を修正および変更できることを理解すべきである。具体的には、図示されおよび/または本明細書において記載されている種々の実施形態に関する個々の特徴は、追加的な実施形態において組み合わせてもよい。その結果として、前記説明および図面は、限定的ではなく例示的であるという意味で考慮すべきである。図面は、必ずしも縮尺通りではないが、例示的な態様を示し、本開示の範囲を限定することを意図していない。図示されている例示的な態様は、例示を意図しているに過ぎない。
【0028】
「例示的な」という用語は、「理想的な形」ではなく「実施例」という意味で用いられている。本開示の態様は、種々の変更形態および代替的形態に適合しているが、それらの具体例は、図面において例として示されており、詳細に説明する。しかし、本開示の態様を、記載されている具体的な実施形態に限定しようとする意図はないことを理解すべきである。それどころか、この開示の意図は、本開示の範囲内にあるすべての変更例、等価物および代替例をカバーすることである。
【0029】
さらに、本明細書で用いられている言葉は、読解および教示目的のために主に選択されており、発明の主題を定義するために、または、発明の範囲を定めるために選択されてはない。したがって、本開示の内容は、請求項に記載されている本開示の範囲を限定しようとするものではなく、例示的であることを意図している。
【0030】
単数形の「1つの」および「該」は、この開示および添付の請求項で用いられる場合、特段の断りのない限り、複数の対象を含む。「または」という用語は、この開示および添付の請求項で用いる場合、一般的に、特段の断りのない限り、「および/または」を含む意味で用いられている。
【0031】
請求項を含む説明の全体を通して、「1つを備える」、「1つを含む」および「1つを有する」という用語は、特に指示のない限り、「1つ以上を備える」、「1つ以上を含む」および「1つ以上を有する」と同義であると理解すべきである。さらに、請求項を含む、前記説明に記載されている任意の範囲は、特に指示のない限り、その最端値を含むと理解すべきである。記載されている要素の具体的な値は、当業者には公知の容認された製造公差または産業上の公差の範囲内にあることを理解すべきである、また、「実質的に」、「略」および「一般に」という用語の任意の使用は、このような容認された許容値の範囲内にあることを意味すると理解すべきである。
【0032】
「第1の」、「第2の」等の用語は、本明細書においては、種々の要素、構成要素、領域、層、部分および/またはパラメータを説明するために用いられている可能性があるが、これらの要素、構成要素、領域、層、部分および/またはパラメータは、それらの用語によって限定すべきではない。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層または部分を、別の領域、層または部分と区別するのに用いられているに過ぎない。したがって、本明細書において記載されている第1の要素、構成要素、領域、層または部分は、本発明の主題の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層または部分を指すことができる。
【0033】
以下の記載から明らかなように、特段の断りのない限り、説明の全体を通して、「処理する」、「演算する」、「計算する」、「特定する」、「表示する」、「推定する」、「決定する」等の用語を用いた記載は、コンピュータシステムのメモリまたはレジスタあるいは他のそのような情報の記憶装置、伝送装置または表示装置内で、物理的(電気的)量として表されるデータを処理し、変換するコンピュータシステムまたは同様の電子計算装置の動作およびプロセスについて言及していることを正しく認識されたい。
【0034】
本開示のいくつかの態様は、本明細書に記載されているプロセスステップおよび命令を含む。本開示のプロセスステップおよび命令は、ソフトウェア、ファームウェアおよび/またはハードウェアにおいて具体化することができ、ソフトウェアで具体化した場合には、さまざまなオペレーティングシステムによって用いられている異なるプラットホーム上に存在するようにダウンロードすることができ、異なるプラットホームから作動させることができることに留意すべきである。
【0035】
本開示はまた、本明細書において記載されているシステム10の動作を制御するための(本明細書において、各々が「電子制御ユニット」と呼ばれている)制御装置に関する。制御装置は、所要の目的のために具体的に構成することができ、または、制御装置は、コンピュータに格納されたコンピュータプログラムによって選択的に作動される、または再構成される汎用コンピュータを備えていてもよい。このようなコンピュータプログラムは、限定するものではないが、フロッピーディスク、光学ディスク、CD-ROM、磁気光学ディスクを含む任意の種類のディスク、読取専用ディスク(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能PROM(EPROM)、電気的に消去可能なプログラマブルROM(EEPROM)、磁気カードまたは光学カード、縮小命令セットコンピュータ(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、または、電子的命令を格納するのに適し、各々がコンピュータシステムバスに結合されている任意の種類の媒体等のコンピュータ可読記憶媒体に格納することができる。さらに、本明細書において言及されているコンピュータは、単一のプロセッサ、または、増大する演算能力のためにマルチプロセッサデザインを採用するアーキテクチャを含んでもよい。
【0036】
本明細書において提示されているコンピュータは、特定のコンピュータまたは他の装置に本質的に関連していない。また、種々の汎用システムを、本明細書で提示されている態様によるプログラムとともに用いてもよく、または、所要の方法ステップを実行するためのより専用化された装置を構成することが便利であることが実証できる可能性がある。さまざまなそれらのシステムのための所要の構造は、本明細書に開示されている態様から明らかであろう。さらに、本開示は、特定のプログラム言語に関連して記載されてはいない。本明細書に記載されているような本開示の教示を実施するために、さまざまなプログラム言語を用いることができること、以下における特定の言語への言及が、使用可能性の開示のために、本開示の最良の態様のために記載されていることは正しく認識されるであろう。
【0037】
図1および図2に示すように、作業機の動作を制御するためのシステム(本明細書において以後、「システム」という)10が開示されている。システム10は、方法として説明するおよび/または実施することができることを意図している。図1を参照すると、システム10は、車両20と、1または複数の機具(本明細書においては、「作業機」ともいう)40と、1または複数のセンサ60と、を含む。機具40の動作を制御するために、システム10は、車両20、機具40、および/またはセンサ60に含めることができるソフトウェアおよび/またはハードウェアに組み込まれるように構成することができる。
【0038】
開示する実施形態において、車両20は、農業用車両および/または作業車である。具体的には、開示する実施形態において、車両20は、農作業を実行するように構成されたトラクターである。また、車両20は、機具40と組み合わせた使用のために構成されている。追加的または代替的に、車両20は、複数の機具40との使用のために構成することができることを意図している。ここで、複数の機具40は、該複数の機具40に関する言及が必要でない限り、「機具40」と呼ぶこととする。開示する実施形態において、機具40は、農業用機械および/または作業機である。具体的には、開示する実施形態において、機具40は、作業機能および/または農作業を実行するように構成されている。したがって、機具40は、ベーラー、プラウ、耕作機、播種機、噴霧器、ウインドローア等であってもよい。追加的に、機具40は、車両20の前方、車両20の後方、車両20の側方、車両20の上方、および/または車両20の下方での使用のために構成されていてもよいことを意図している。「前方」、「後方」、「側方」、「上方」、および「下方」という用語は、車両20の進行方向に対するものと理解してもよいことを意図している。
【0039】
図1に示すように、車両20と機具40との間には、物理的接続部80がある。追加的に、車両20と機具40とセンサ60とは、通信するように構成されている。車両20と機具40とセンサ60とは、有線接続、無線接続、または、システム10と適合する他の任意の情報伝送方法によって通信するように構成されていることを意図している。追加的に、車両20と機具40とは、例えば、ISOBUSと呼ばれ、制御エリアネットワーク(CAN)に基づいている国際規格ISO11783によって通信可能に接続することができる。さらに、車両20と機具40とは、それぞれ、TIMシステムを含むことができる。本明細書において言及されているようなTIMシステムは、それぞれが、製造会社が異なる製品であってもよい車両20と機具40との間の互換および双方向通信を可能にするISOBUSに基づく農業技術システムであると理解できることを意図している。開示する実施形態において、車両20のいくつかの動作は、機具40によって特定される可能性がある。追加的または代替的に、機具40のいくつかの動作は、車両20によって特定される可能性がある。したがって、TIMシステムは、双方向通信を容易にするように構成されている。TIMシステムを考慮すると、車両20は、「リソースプロバイダ」として理解することができ、および/または、本明細書において「リソースプロバイダ」と呼ぶことができ、機具40は、「リソースマネージャ」として理解することができ、および/または、本明細書において「リソースマネージャ」と呼ぶことができる。さらに、車両20は、TIM機能のオーナーとして理解することができ、それにより、本明細書において「TIMサーバー」と呼ぶことができる。また、機具40は、TIMコマンドの生成器として理解することができ、それにより、本明細書において「TIMクライアント」と呼ぶことができる。開示する実施形態において、センサ60は、車両20と機具40との双方向通信でやり取りされる情報を取得するように構成されている。このようにして、システム10は、TIMシステムを用いた農作業の完了において、機具40の動作を改善し、および/または、機具40の作業機能の実行を改善することができる。
【0040】
図1および図2に示すように、車両20は、機具40と協働するように構成されている。この目的のために、車両20は、機具40と通信するように構成されている。開示する実施形態において、車両20は、1または複数の車両用電子制御ユニット(ECU)(本明細書において、「車両用電子制御システム」および/または「第1電子制御ユニット」としても理解され、および/または、そのようにも呼ばれる)22を含む。車両用ECU22は、機具40と通信するように構成されている。特に、車両用ECU22は、機具40に含まれる機具用電子制御ユニット(ECU)42と通信するように構成されている(下でさらに説明する)。この目的のために、図2に示すように、車両20は、機具40に測定値23を送信するように構成されている。特に、車両用ECU22は、機具用ECU42に測定値23を送信するように構成されている。車両用ECU22は、機具用ECU42に、連続的かつ即時に、測定値23を送信するように構成されていることを意図している。開示する実施形態において、測定値23は、車両20の各様態を制御するように構成されている複数のTIM機能のうちの1または複数に対応していてもよい。開示する実施形態において、TIM機能は、補助弁制御、前部動力取出し装置(PTO)制御、後部PTO制御、前部ヒッチ制御、後部ヒッチ制御、車両速度制御、および車両自動誘導制御のうちの1または複数を含む。したがって、測定値23は、車両20の補助弁の流れおよび/または補助弁の状態、車両20の前部PTOの毎分回転数(RPM)、車両20の後部PTOのRPM、車両20のエンジンのRPM、車両20の前部ヒッチの位置、車両20の後部ヒッチの位置、車両20の速度、車両20の自動誘導の曲率等を含んでいてもよい。追加的または代替的に、車両20は、機具40に第1信号24を送信するように構成されている。特に、図2に示すように、車両用ECU22は、機具用ECU42に第1信号24を送信するように構成されている。第1信号24は、センサ60が取得、伝送する情報と関連し、および/または、前記情報に依存する。追加的に、第1信号24は、車両20および/または機具40の姿勢に対応する(下でさらに説明する)。本明細書において、「姿勢」という用語は、物体(車両20および/または機具40)が占有する空間における、その物体の角度位置、角度姿勢、および/または角度方向のことであると理解できることを意図している。車両20および/または機具40の姿勢も、測定値23および/または第1信号24の一部として、連続的かつ即時に送信されてもよい。車両用ECU22から機具用ECU42に測定値23および/または第1信号24を送信することで、車両20および/または機具40に対応する情報によって機具40を自動的に更新することができる。機具用ECU42は、測定値23と第1信号24とを組み合わせて、および/または、ともに処理して、第1信号24を受信した際の機具用ECU42による特定を改良してもよいことを意図している。追加的に、測定値23および/または第1信号24は、機具40による作業機能の実行前および/または実行中に、車両用ECU22から機具用ECU42に送信されてもよいことを意図している。このようにして、機具40の動作および/または機具40による作業機能の実行は、測定値23および/または第1信号24の伝送によって即時に改善することができる。
【0041】
車両用ECU22はまた、車両20の動作を制御するように構成されている。開示する実施形態において、車両用ECU22は、車両20の表面上の移動を制御するように構成されていてもよい。車両20が動作および/または移動する表面は、傾斜面であってもよいことを意図している。この目的のために、車両20は、センサ60を含む。追加的または代替的に、車両20は、複数のセンサ60を含んでいてもよい。ここで、複数のセンサ60は、本明細書において、該複数のセンサ60に関する言及が必要でない限り、「センサ60」と呼ぶこととする。開示する実施形態において、センサ60は、車両20上に、および/または車両20内に搭載されていてもよい。追加的または代替的に、センサ60は、車両用ECU42の一部として含まれていてもよい。センサ60は、車両20の姿勢を検出するように構成されている。追加的または代替的に、車両20の姿勢に基づいて、機具40の姿勢を検出してもよい。機具40の姿勢は、車両用ECU22と機具用ECU42とのうちの何れかまたは両方がアルゴリズムを適用することによって検出してもよいことを意図している。アルゴリズムは、機具40の姿勢を特定および/または推定してもよく、機具40の姿勢は、車両20の姿勢とは異なっている可能性がある。
【0042】
開示する実施形態において、車両20および/または機具40の姿勢は、車両20および/または機具40のピッチ角と、車両20および/または機具40のロール角と、車両20および/または機具40のヨー角と、のうちの1または複数に対応する。したがって、開示する実施形態において、車両20および/または機具40の被検出姿勢62は、車両20および/または機具40のピッチ角と、車両20および/または機具40のロール角と、車両20および/または機具40のヨー角と、のうちの1または複数の特定に基づく。この目的のために、センサ60は、慣性計測装置(IMU)、傾斜計、および/または、車両20および/または機具40のピッチ角と、車両20および/または機具40のロール角と、車両20および/または機具40のヨー角と、を特定することが可能な、システム10と適合する任意の装置であってもよいことを意図している。センサ60はまた、車両20と通信するように構成されている。特に、センサ60は、車両用ECU22と通信するように構成されている。追加的または代替的に、センサ60は、機具用ECU42と通信する構成されていてもよい。このようにして、図2に示すように、センサ60は、車両20の被検出姿勢62を検出すると、車両60の被検出姿勢62を車両用ECU22に伝送する。追加的に、機具40の被検出姿勢62は、車両20の被検出姿勢に基づいて特定されていてもよいことを意図している。車両用ECU22と機具用ECU42とのうちの何れかまたは両方が適用するアルゴリズムは、機具40の被検出姿勢62を特定するための、車両20の被検出姿勢62に対応する値を組み込んでいてもよい。車両20および/または機具40の被検出姿勢62は、機具40による作業機能の実行前および/または実行中に特定されてもよいことを意図している。したがって、機具40の動作および/または機具40による作業機能の実行は、車両20および/または機具40の被検出姿勢62に基づいて即時に改善させることができる。
【0043】
図1および図2に示すように、機具40は、車両20と組み合わせて機能するように構成されている。この目的のために、機具40は、車両20と通信するように構成されている。開示する実施形態において、機具40は、1または複数の機具用ECU(本明細書において、「機具用電子制御システム」および/または「第2電子制御ユニット」としても理解され、および/または、そのようにも呼ばれる)42を含む。機具用ECU42は、車両20と通信するように構成されている。特に、機具用ECU42は、車両用ECU22と通信するように構成されている。このようにして、図2に示すように、機具用ECU42は、車両用ECU22が機具用ECU42に送信する測定値23および/または第1信号24を受信するように構成されていてもよい。追加的または代替的に、図2に示すように、機具用ECU42は、車両用ECU22に第2信号44を送信するように構成されていてもよい。第2信号44は、車両20の動作を修正および/または制御するように構成されていてもよい。追加的または代替的に、第2信号44は、車両用ECU22が車両20の動作を修正および/または制御するように、車両用ECU22に送るプロンプトおよび/または命令として機能するように構成されていてもよい。このようにして、第2信号44は、車両20の姿勢および/またはTIM機能のうちの1または複数を修正するよう、車両20および/または車両用ECU42を促す、および/または、車両20および/または車両用ECU42に命令するように構成されていてもよい。機具用ECU42はまた、機具40が実行する1または複数の作業機能の実行を制御するように構成されている。本明細書において、「作業機能」という用語は、ベーリング、プラウイング、耕作、播種、噴霧、刈取等の農作業活動として理解してもよいことを意図している。
【0044】
開示する実施形態において、システム10は、車両20および/または機具40の姿勢に対応する目標パラメータを含んでいてもよい(以下、「パラメータ」と呼ぶ)。パラメータは、機具40による作業機能の効率的な実行に最適な、および/または、そのために必要となるパラメータである。システム10の動作のために、1または複数の選択されたパラメータに基づいて、1または複数のTIM機能が、考慮および/または制御のために選択されてもよい。開示する実施形態において、システム10の操作者は、TIM機能のうちの1または複数と、パラメータのうちの1または複数と、を選択してもよい。この目的のために、システム10は、操作者が適切なTIM機能およびパラメータを選択するために使用するユーザーインターフェース(図示せず)を含んでいてもよい。ユーザーインターフェースは、車両用ECU22と通信する、および/または車両用ECU22を制御するように構成されていてもよい。ユーザーインターフェースは、車両20内の演算装置のスクリーンおよび/またはモニター、遠隔演算装置、スマートフォン、遠隔制御装置等であってもよいことを意図している。追加的または代替的に、車両用ECU22は、1または複数のTIM機能および1または複数のパラメータを選択するように構成されていてもよい。追加的または代替的に、機具用ECU42は、1または複数のTIM機能および1または複数のパラメータを選択するように構成されていてもよい。しかしながら、システム10について記載する目的で、1または複数のTIM機能およびパラメータのうちの1または複数の選択は、本明細書において、操作者および/または車両用ECU22が選択するものとして表現する。追加的に、システム10について記載する目的で、1または複数のTIM機能および1または複数のパラメータの選択は、本明細書において、ユーザーインターフェースの操作者および/または車両用ECU22の操作者が選択するものとして表現する。
【0045】
操作者が選択するパラメータは、車両20および/または機具40のピッチ角と、車両20および/または機具40のロール角と、車両20および/または機具40のヨー角と、のうちの1または複数に対応することを意図している。追加的に、操作者が選択するパラメータは、機具40による作業機能の効率的な実行に最適な、および/または、そのために必要となる、車両20および/または機具40のピッチ角と、車両20および/または機具40のロール角と、車両20および/または機具40のヨー角と、のうちの1または複数に対応することを意図している。車両用ECU22は、車両20および/または機具40の被検出姿勢62が、操作者が設定するパラメータの範囲外である場合、および/または、範囲外である時、機具用ECU42に第1信号24を送信するように構成されている。追加的または代替的に、操作者が選択するパラメータは、車両20および/または機具40の閾値ピッチ角と、車両20および/または機具40の閾値ロール角と、車両20および/または機具40の閾値ヨー角と、のうちの1または複数を含んでいてもよい。したがって、車両用ECU22は、車両20および/または機具40の被検出姿勢62が、操作者が選択するパラメータに含まれる、車両20および/または機具40の閾値ピッチ角、車両20および/または機具40の閾値ロール角、および/または、車両20および/または機具40の閾値ヨー角、のうちの1または複数を上回る場合、および/または、上回る時、機具用ECU42に第1信号24を送信するように構成されている。この目的のために、車両用ECU22は、算出および/または診断ユニット(以下、「算出ユニット」と呼ぶ)26を含んでいてもよい。算出ユニット26は、車両20および/または機具40の被検出姿勢62が、操作者が選択するパラメータに含まれる、車両20および/または機具40の閾値ピッチ角と、車両20および/または機具40の閾値ロール角と、車両20および/または機具40の閾値ヨー角と、のうちの1または複数を上回るかどうかを算出および/または特定するように構成されている。第1信号24は、車両20および/または機具40のピッチ角、車両20および/または機具40のロール角、および/または、車両20および/または機具40のヨー角、のうちのどれが、操作者が選択するパラメータの範囲外であるか、によって異なっていてもよいことを意図している。したがって、算出ユニット26はまた、操作者が選択するパラメータに含まれる、車両20および/または機具40の閾値ピッチ角、車両20および/または機具40の閾値ロール角、および/または、車両20および/または機具40の閾値ヨー角、のうちのどれを上回ったかを算出および/または特定するように構成されていてもよい。追加的に、算出ユニット26はまた、車両用ECU22から機具用ECU42に送る第1信号24の種類を特定するように構成されていてもよい。
【0046】
開示する実施形態において、第1信号24は、機具用ECU42に車両20および/または機具40の被検出姿勢62を通知することと、機具40が実行する作業機能を一時停止することと、機具40が実行する作業機能の動作を修正することと、のうちの1または複数のために構成されている。したがって、機具用ECU42は、第1信号24を受信すると、車両20および/または機具40の被検出姿勢62に対応するデータを処理する、機具40の作業機能を一時停止する、および/または、機具40の作業機能の動作を修正する、ように構成されていてもよい。追加的または代替的に、機具用ECU42は、第1信号24を受信すると、車両20および/または機具40の被検出姿勢62に対応するデータを、車両用ECU22から受信した測定値23に対応するデータと組み合わせて処理するように構成されていてもよい。車両20および/または機具40の被検出姿勢62に対応するデータを、測定値23に対応するデータと組み合わせて処理することで、機具用ECU42は、測定値23を鑑みて、車両20および/または機具40の被検出姿勢62を考慮することができる。測定値23を鑑みて、被検出車両20および/または機具40の姿勢を考慮することによって、機具用ECU42は、機具40の作業機能を一時停止するかどうか、および/または、機具40の作業機能の動作を修正するかどうか、をより良く決定することができる。例えば、機具用ECU42は、第1信号24を受信すると、測定値23のうちの1または複数の値を鑑みて、機具40の作業機能の一時停止、および/または、機具40の作業機能の動作の修正、が必要であると特定してもよいし、しなくてもよい。
【0047】
追加的または代替的に、機具用ECU42は、測定値23および/または第1信号24の受信に応答して車両用ECU22に第2信号44を送ってもよい。この目的のために、第2信号44は、車両20の姿勢および/またはTIM機能のうちの1または複数を修正するよう、車両20および/または車両用ECU22を促す、および/または、車両20および/または車両用ECU22に命令するように構成されていてもよい。例えば、機具用ECU42は、第1信号24を受信すると、測定値23のうちの1または複数の値を鑑みて、車両20の姿勢および/またはTIM機能のうちの1または複数の修正が必要であると特定してもよいし、しなくてもよい。このようにして、第2信号44は、車両20の姿勢および/またはTIM機能のうちの1または複数を修正することで、車両20のこれらの様態を、機具40による作業機能の効率的な実行に最適化するように構成されていてもよい。追加的または代替的に、第2信号44は、操作者が選択するTIM機能を修正することで、選択されたTIM機能を、機具40による作業機能の効率的な実行に最適化するように構成されていてもよい。TIM機能の最適化は、車両20および/または機具40の被検出姿勢62と測定値23とに依存および/または関連していてもよいことを意図している。このようにして、測定値23および/または第1信号24は、機具用ECU42に車両20および/または機具40の被検出姿勢62を通知すること、機具40が実行する作業機能を一時停止すること、および/または、機具40が実行する作業機能の動作を修正すること、のために構成されている。追加的または代替的に、このようにして、測定値23および/または第1信号24は、TIM機能のうちの1または複数等の車両20の様態を修正させるように構成されていてもよい。機具用ECU42の構成を選択することで、機具用ECU42が、車両用ECU22が送信する測定値23および/または第1信号24に応答するように構成されるかどうか、または、機具42が、車両用ECU22が送信する測定値23および/または第1信号24に基づいて特定を行うように構成されるかどうか、を操作者が選択してもよいことを意図している。
【0048】
開示する実施形態において、第1信号24は、エラーコードの形態であるように構成されていてもよい。本明細書において、「エラーコード」という用語は、数値、英数字データ、文法的に連結した1または複数の単語を含むフレーズ等であると理解してもよく、装置またはシステムが不適切に機能していることを特定して、前記装置またはシステムが不適切に機能している原因の特定を容易にする、および/または、前記装置またはシステムが不適切に機能していることに対する解決策の特定を容易にする、ように構成されていることを意図している。第1信号24をエラーコードの形態とすることで、機具用ECU42および/または機具40は、より適切かつ効率的な対策を取ることができる。追加的に、第1信号24をエラーコードの形態とすることで、システム10の操作者および/または車両20および機具40の製造会社が、ISOBUS規格に完全に準拠することができるだけではなく、操作者および/または製造会社の具体的な要求に合わせてシステム10を構成することが可能になる(下でさらに説明する)。エラーコードは、算出ユニット26による算出および/または特定に対応していてもよい。したがって、エラーコードは、車両用ECU22の算出ユニット26が特定するように、操作者が選択するパラメータに含まれる、車両20および/または機具40の閾値ピッチ角、車両20および/または機具40の閾値ロール角、および/または、車両20および/または機具40の閾値ヨー角、のうちのどれを上回ったかを示していてもよい。追加的に、エラーコードは、操作者が選択する1または複数のTIM機能を示していてもよい。このようにして、エラーコードは、操作者が選択する1または複数のパラメータを上回る車両20および/または機具40の被検出姿勢62によって影響および/または制御される可能性があるTIM機能を示していてもよい。追加的または代替的に、エラーコードは、車両用ECU22が設定するパラメータに含まれる、車両20および/または機具40の閾値ピッチ角、車両20および/または機具40の閾値ロール角、および/または、車両20および/または機具40の閾値ヨー角、を上回る車両20および/または機具40の姿勢に対する解決策を示していてもよい。追加的または代替的に、車両用ECU22が送る第1信号24が、エラーコードの形態となるようにのみ構成されるかどうか、または、車両用ECU22が送る第1信号24が、機具40の作業機能を一時停止する、および/または、機具40が実行する作業機能の動作を閉ループで修正するように構成されるかどうか(すなわち、機具用ECU42が応答するように構成されるかどうか、または、機具用ECU42が特定を行うように構成されるかどうか)を、操作者が選択することができてもよい。
【0049】
開示する実施形態において、エラーコードは、ISOBUS規格によって、製造会社独自の要求と定義された、および/または、製造会社独自の要求に特化した値の範囲内の値を含むように構成されていてもよい。具体的には、エラーコードは、16↓16↓から1D↓16↓の範囲内の値を含んでいてもよい。この範囲は、国際農業電子財団(AEF)国際ガイドライン、ISOBUS自動化原則、ガイドライン番号023によると、製造会社独自のものと定義される。エラーコードが、製造会社独自のものと定義される値の範囲内の値を含むように構成されていることで、システム10の操作者、および/または、車両20および機具40の製造会社は、ISOBUS規格に完全に準拠することができるだけではなく、操作者および/または製造会社の具体的な要求に合わせてシステム10を構成することが可能になる。代替的に、エラーコードは、車両20および機具40のうちの何れかまたは両方の製造会社が指定する値とは独立した値を含むように構成されていてもよい。
【0050】
システム10は、車両20および/または機具40が移動する表面に対応するデータを蓄積するように構成されていてもよいことを意図している。特に、システム10は、車両20および/または機具40が移動する表面のマップを生成するように構成されていてもよい。この目的のために、機具用ECU42は、車両20および/または機具40の被検出姿勢62に対応するデータを生成し、保存するように構成されている。機具用ECU42は、その後、車両20および/または機具40の被検出姿勢62に対応する、生成し、保存したデータに基づいて、表面のマップを生成してもよい。表面のマップを生成することで、機具用ECU42および車両用ECU22のうちの何れかまたは両方が、機具40による作業機能の効率的な実行には不適および/または最適以下の、傾斜面、および/または、車両20および/または機具40の姿勢を予期することができる。
【0051】
システム10の第1動作例において、図1に示すように、機具40は、ベーラーであってもよく、機具40が実行する作業機能は、ウインドローに沿って収集した材料のベール90の放出であってもよい。操作者は、1または複数のTIM機能を考慮のために選択し、車両20の姿勢に対応する1または複数のパラメータを選択する。これらは、第1動作例において、(ベーラゲート管理のための)補助弁制御と、車両20の閾値ピッチ角と、を含んでいてもよい。開示する実施形態において、車両20の閾値ピッチ角は、10度から20度の範囲内であってもよいが、好ましくは、15度であってもよい。追加的または代替的に、システム10の第2動作例において、機具40は、播種機(図示せず)であってもよく、機具40が実行する作業機能は、土壌への播種であってもよい。第2動作例において、選択されるTIM機能は、後部ヒッチ制御であってもよく、車両20の姿勢に対応する、選択される1または複数のパラメータは、車両20の閾値ピッチ角であってもよい。閾値ピッチ角は、1度から10度の範囲内であってもよいが、好ましくは3度であってもよい。
【0052】
機具40が作業機能を実行すると、センサ60は、車両20のピッチ角を検出する。車両20のピッチ角を検出すると、センサ60は、車両20のピッチ角(被検出姿勢62)を車両用ECU22に伝送する。車両用ECU22の算出ユニット26は、センサ60が検出した車両20のピッチ角(被検出姿勢62)が、操作者が選択したパラメータに含まれる車両20の閾値ピッチ角を上回るかどうかを算出および/または特定する。センサ60が検出した車両20のピッチ角(被検出姿勢62)が、操作者が選択したパラメータに含まれる車両20の閾値ピッチ角を上回ると特定した場合、車両用ECU22は、機具用ECU42に第1信号24を送信する。この例では、第1信号24は、選択されたTIM機能および/または選択されたパラメータ、すなわち、補助弁制御および/または車両20のピッチ角、に対応する値を含むエラーコードである。追加的または代替的に、車両20のピッチ角(被検出姿勢62)が、操作者が選択したパラメータに含まれる車両20の閾値ピッチ角を上回ると特定した場合、車両用ECU22が機具用ECU42に第1信号24を送信する前に、車両用ECU22の算出ユニット26は、車両20の被検出姿勢62に対応する解決策を算出および/または特定してもよい。車両用ECU22が機具用ECU42に送信した第1信号24に応答して、機具用ECU42は、車両20の被検出姿勢62を考慮に入れ、機具40の作業機能を一時停止し、機具40の作業機能の動作を修正し、および/または、車両用ECU22に第2信号44を送る。例えば、第1信号24を受信すると、機具は、補助弁制御を調節してベーラゲートを管理することで、ベールが坂等で放出される不都合がないようにしてもよい。追加的または代替的に、機具用ECU42は、測定値23を鑑みて、車両20の被検出姿勢62を考慮に入れ、機具40の作業機能を一時停止する、機具40の作業機能の動作を修正する、および/または、車両用ECU22に第2信号44を送る、かどうかを決定してもよい。この例では、第2信号44は、後部ヒッチ制御を調節するための命令を含んでいてもよい。センサ60が検出した車両20のピッチ角(被検出姿勢62)が、車両用ECU22が設定したパラメータに含まれる車両20の閾値ピッチ角を上回らない場合、車両用ECU22は、機具用ECU42に(具体的なエラーコードの形態の)第1信号24を送信せず、機具40は、車両20の被検出姿勢62に基づいて作業機能の実行をさらに修正することなく作業機能の実行を開始および/または再開してもよい。このようにして、システム10は、車両20の姿勢を自動的に検出し、車両20の被検出姿勢62に対応して機具40の動作を制御するように構成されており、これによって、ユーザ等による追加的な判断および/または誘導を必要とすることなく、機具40の動作および/または機具40による作業機能の実行を改善させる。
【0053】
本明細書において、本開示を特定の実施形態に関連して説明してきたが、それらの実施形態は、本開示の原理および適用に関する例示に過ぎないことを理解すべきである。
【0054】
本明細書および実施例は、以下の請求項によって示されている本開示の真の範囲に対する例示に過ぎないと考えられることを意図している。
【0055】
さらに、開示されているシステムの形状構成のすべては、単独でまたは組み合わせて、方法および/または装置に置き換えてもよく、逆もまた同様である。
図1
図2
【外国語明細書】